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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1930年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  虞美人草 《ネタバレ》 脚本に伊藤大輔!まずファーストシーンが良いね。 壁に書かれた「お嬢さんを下さい」という落書きを黙々と消すお父さん。 消しまくっている内に諦めニッコリ笑うお父さんの表情が良い。 最初サイレント映画かと思いきや、バックに流れるBGMは実はこの父親の娘が奏でる琴の音色であった。 公開は1935年。この作品を撮る直前までサイレントだったんだよな(トーキーとサイレント混じりの「藤原義江のふるさとの歌」)。その名残を感じさせるシーンだった。 話も序盤はやや退屈だが、その後のゆっくりと盛り上げていく展開が面白い。 5年も付き合い結婚したも同然だったと小夜子と平蔵。そこに縁談の話が舞い込み、藤尾という女が小野の前に現れる。声がエロい。 それと短いシーンだが、藤尾の母親を演じる梅村蓉子の母親ぶりも中々。 藤尾と偶然居合わせる小野。 小野と藤尾の表情を交互にカットバックさせる演出。呆気にとられた小野の表情がより彼の心境を表す。 小野は縁談の話を思い出し動揺する。 しかし5年も暮らしを共にした小夜子は結婚を夢見て写真館に飾られた夫婦の写真を眺めていた。オマケに小夜子の恩師である井上には世話になった恩義があった。 しかし縁談も断るに断れない。二人の女の間で揺れる小野の表情が何とも言えない。脳裏によぎる二人の女性の声。 藤尾も徹底的に揺さぶること揺さぶること。金時計を“エンゲージ(指輪)”替わりに小野にプレゼントする藤尾。絵で魅せる場面が豊富だ。 会話する夫婦と障子越しに話を聞くひとりの女、「狂恋の女師匠」を思い出す花火、打ち上がる花火を見つめる二人の異性。 玄関先から家の中を覗くようなショットなど。 「父は死んだが生きている母よりも確かだ(信用ならないのか?それとも単にボケてる?)」 井上先生、そしてもう一人の熱血漢、宗近! ハッキリせず情けない小野に喝を入れる男らしさ。終盤数分の見せ場でこれほど印象を残すとは。 出て行く列車。 間一髪列車に乗り込む場面は中々緊張感がある。 ラストがまた良いのよ。 まるで今のサスペンスドラマさながらの展開。海をバックにした演出。 “代理”を買って出た宗親の男気。 殴らず、言葉でなだめ喝を入れるその精神が良い。 とにかく海がキレイです。 例の金時計が波にさらわれていく場面、ラストの船。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-13 18:54:27)《改行有》

22.  折鶴お千 《ネタバレ》 溝口健二はこの作品の前に「瀧の白糸」という傑作を既に完成させていたが、本作はそれの焼き直し。 ただこれほど「死んだほうがマシじゃないか」と思えるラストはなかった。生き地獄とも言える。 まずファースト・シーン。 機関車がトラブルを起こして駅に立ち往生。 その駅から神社を見つめる一人の男。 一方カメラは横にスライドし、もう一人女性を映す。 その女性もじーっと同じ神社を眺めている。 実はこの二人は昔あの神社で出会った腐れ縁だった。 そこから主人公の目を通して過去が語られていく。 山田五十鈴が凄い若いし綺麗だ。 男は田舎から出て偉くなろうと頑張るが中々芽が出ず落ち込んでいた。 そこに走り込んできた一人の女。 これがこの二人の出会いだ。 女に拾われた男だが、そこの雇い主にこっぴどい扱いを受ける。 男は黙って耐え凌ぐが、やはり飢えには勝てない。 エスカレートする嫌がらせ、それを見て女は我慢に限界が来て雇い主にけしかける。 その時の山田五十鈴のカッコ良さと色っぽさ。 口に刃物を添えるところは色っぽいね。 まるで勧善懲悪ものの一場面を見るかのような胸のすくシーンだった。 ただそこは溝口。 簡単に女を幸せにする気はサラサラない、ある種性根が腐ってんじゃないかという展開にかならずする男だ。 いや、真面目だからこそあえて女性を与えるのが溝口。 小津とは違うパターンの天才。 女性を徹底的に描こうとする男の厳しさがそこにある。 ヒロインを追い詰める男どもは、ある意味溝口の分身なのかもな。 その山田五十鈴が良いねえ。 折り鶴を折って「いつか自分も自由に羽ばたきたい」と思いを込める。 ただ運命は彼女を追い詰める。 そんな時に愛した男に向って「魂をあげます」とその折り鶴をひと吹きやって思いを届けようとする儚さ。 いい女だなぁ・・・。 それがあんな事になるなんて・・・ひどい運命もあったもんじゃない。 我を失うほど狂い、幻を切り刻むお千。 まるで亡霊に刃を向け空を斬る様子は、伝説と化した傑作「狂恋の女師匠」や後の「雨月物語」に通じるものがある。 まあ、こういう幽霊描写よりも女の情念の方が遥かに怖いけどな。 そう正に「雨月」の京マチ子(亡霊な上に執念深いとか勘弁)! 溝口は本当に女に厳しい。男もほったらかしである意味一番厳しいかも。 溝口あんさんは鬼や(そんな事は原作者に言え)。 泉鏡花あああっ[DVD(邦画)] 9点(2014-12-11 05:48:18)《改行有》

23.  赤西蠣太 《ネタバレ》 伊丹万作の傑作喜劇調時代劇。 この映画は原田甲斐の「伊達騒動」、それに志賀直哉の小説を読んでからの方が楽しめるだろう。 冴えない下級武士の赤西蠣太。しかし実は陰謀の真相を探るべく送り込まれた密偵の一人だった。 世継ぎ騒動で揺れる仙台藩。その真相を暴くべく命懸けの日々・・・なーんてシリアスな空気を感じにくいコメディタッチのやり取り。 かといってドタバタしたものではなく、落語の名人が語るような洗練された流れ。 歌舞伎調のキャラ原田甲斐とブサイクな赤西蠣太を演じ分ける片岡千恵蔵の名演。 顔は悪くとも心は腸捻転を自力で治そうとするほどの肝っ玉。 「脱走」のアイデアや追っ手をけむに巻く手口など大胆不敵だ。 少ない時間だが若いサラリーマンのような武士を演じる志村喬の演技も忘れられない。 「時間がありません」もう結婚しろよおまえら・・・[DVD(字幕)] 9点(2014-10-23 18:26:04)《改行有》

24.  磯の源太 抱寝の長脇差 《ネタバレ》 「河内山宗俊」に収録された特典を再見。 山中貞雄の幻の傑作と言われる「抱寝の長脇差」。 かつて双葉十三郎さんが伊藤大輔「忠次旅日記」と並ぶ作品と絶賛し、後に「切腹」を撮る小林正樹が伊藤作品とともに夢中になった時代劇の傑作だったという。 残念ながら現存するフィルムは約1分の断片のみ。ほぼ殺陣の場面のみで、何かストーリー的なものを感じられるのは主人公らしき男が抱える男の亡骸?と終盤にチラッと女性が登場するのみ。 このようにストーリーはまったく掴めないが、それでも山中貞雄独特の殺陣を見る事が出来る。 「丹下左膳」のような洗練されたものはまだ無いが、高速で複数の男たちと斬り合っていく。鍔迫り合いの多さに驚く。後年の「丹下左膳」や「河内山宗俊」はほとんど鍔迫り合いをせずに一瞬で切り払うという感じ。 「抱寝の長脇差」の頃はまだ模索中だったのだろうか。 斬り合っている最中に、男が敵を足蹴にする場面が2度出て来たのには更に驚いた。コレは他の時代劇でも中々見られる光景じゃない。[DVD(邦画)] 9点(2014-08-31 03:41:37)《改行有》

25.  血煙高田の馬場(1937) 《ネタバレ》 忠臣蔵といえば堀部安兵衛。 堀部安兵衛と言えば高田馬場の決闘! 坂東妻三郎主演「血煙高田の馬場(決闘高田馬場)」。 正月番組の一言で片すには惜しい密度を誇る、傑作娯楽時代劇だ。 40数分の短縮版とはいえ、テンポ良く歯切れの良いストーリーと4回もスピーディーな斬り合いを楽しめる。 ほとんど鍔迫り合わずに、しかも音もなく敵を切り倒していくその速さは息を呑む。 しゃがれ声のバンツマの切れ味、女相棒の原駒子に名優・志村喬の手堅いメンツ。 バンツマが「叔父さん」のモノマネを長々とする場面はクスッと笑ってしまう。 ファースト・シーンからお祭り騒ぎ、度肝を抜かれるシーンだったぜ。 喧嘩の仲裁どころか「俺様も混ぜやがれ」という三度の飯より喧嘩好き。 弱いものを虐げる野郎は許さねえ、この義侠心。 斬り倒した男たちを「星」にしてしまう洒落も粋だ。 ラスト6分間のダイナミックな展開は圧巻だが、幕切れは少し唐突に感じた。 だが、とにかく時間を忘れて楽しめる快作! 以前見た伊藤大輔の「決闘高田の馬場」の断片とは微妙に違うんだよな。 伊藤大輔版は大河内傳次郎主演。真上から撮影された人の群れを突き破るように猛烈に走り去る場面、決闘場面もクローズアップとロングショットを交互に組み合わせた場面だった。いずれも凄い迫力だ。 マキノ版のバンツマを真横から捉えたフルスピード、ロングショットで捉えられたラストバトルも迫力満点だったぜ。 「鴛鴦歌合戦」や「弥次喜多道中記」もDVD化したんだから、この作品も早くDVD化してくれないだろうか。[ビデオ(邦画)] 9点(2014-08-31 02:32:44)《改行有》

26.  未完成交響楽(1933) 《ネタバレ》 音楽伝記映画の傑作の一つ。まさかこんなに楽しく面白い映画だったとは。 実在の音楽家シューベルトが、貧しい生活の中で文字通り音楽を“楽しんで”いる様子が伝わってくる。三度の飯より音楽が好きだけど、やっぱり生きるためには食い物で腹を満たさなきゃいけない。生活のためにバイオリン?を質に入れ“金に換えざる負えない”姿は切実で胸に染みる場面だ。バイオリンを「今までありがとうな」と言わんばかりに手でなでる。それがファースト・シーンなんだから面白い。悪ガキ共もあれだけ歌が上手かったら文句は言えないね。 ヒロインとは結ばれるかと思いきや・・・あれだけ親しくなれた女性も忘れてしまうほど音楽に没頭するシューベルト。音楽馬鹿って感じが良く出ているが、やはり切ない。音楽を心から楽しみたい人、「アマデウス」のような音楽伝記ものが好きだという人にオススメな作品です。[DVD(字幕)] 9点(2014-06-18 19:23:26)《改行有》

27.  ゲームの規則 《ネタバレ》 過大評価だ!・・・と言いたかったのに、何でこんなに面白いの。いやマジで。 個人的にジャン・ルノワールの最高傑作が「ピクニック」で一番好きな映画でもある事は間違いないが、この「ゲームの規則」もすげえ面白い 「大いなる幻影」よりもずっと面白いし、ブルジョワ共の狂騒と没落していく様子を愉快に描いた傑作コメディだ。 第二次大戦開戦前夜、戦争の足音も聞こえずオープンな性と浮かれきった貴族たちの危うさが生々しく描かれる。 社交場での絶えない笑い声、裏舞台で本音を洩らすように辛辣に語り合う人々、ユダヤ人に対する使用人たちの声など皮肉たっぷりの会話も怖い。 大陸を渡った英雄も、この狂騒に包まれた社交場では一人の人間でしかない。 まず、ファースト・シーンで一気に引き込まれる。冒頭の闇夜、熱狂的に騒ぐ民衆がひしめく場面から物語は始まる。 車の衝突音だの、銃の発砲音だの音楽とかマジでうるせえ。 「大いなる幻影」や「十字路の夜」はパンッパンッとリアルな音だったが・・・拳銃の発砲音まで狂騒してやがる。 「大いなる幻影」では静かに泣くように発砲音は小さかった。この映画は、貴族たちの笑い声のように音がデカい。 食事会の場面や、その後のパーティーで起こる騒動、時折現れる人形の不気味さとカオス。 狩りの場面は、とても神秘的で俺が好きな場面の一つだ。貴族たちのスポーツとして、余興として、滅びゆく貴族たちの絶頂が垣間見れる場面でもある。 林にわんさかいるウサギや鳥たちを、木に棒を打ちつける音で林の外へと追い立てていく。まるで祭りの囃子のようにカンカンカンと。 猟銃を持った狩人たちは、獲物が出てくる瞬間をひたすら狙う。 獲物が出た瞬間に一斉射撃。爆音が辺りに響きまくり、次々と獲物は地に倒され堕ちてゆく。本当に撃ち殺しているのだから凄い。 まるで戦争映画みたいだ。 銃声が響く中で情事にふけようとする男女の様子が印象的。 後半のパーティーでの騒動も笑いが止まらない。 浮気をする召使の男女二人、それにブチ切れて拳銃片手に走る森番との追いかけっこ。それを咎められてショボーンと涙まで流して落ち込む姿の可愛さは何なのだろうか。仲直り?する場面は最高に微笑ましい。 で、熊の着ぐるみに入って何してんだよルノワールは(爆)[DVD(字幕)] 9点(2014-06-08 20:17:48)《改行有》

28.  激怒(1936) 《ネタバレ》 いやー本当アレだ。タイトル通りこの映画のラングは“ブチ切れ”てる。 ナチスのクソ共よくも私が映画を撮りづらい環境にしやがって、 ユダヤ人迫害しやがってあのクソチョビヒゲ、 おかげで私の愛しいテア・フォン・ハルボウと離れ離れだよファ●キンゲシュタポ、 まあ ど お せ?私の「メトロポリス」をメチャクチャにしくさった奴らのいる国なんかもうウンザリだね、売り込んで延命?そんな価値はもう無えよ!!アメリカでテメえらを散々disってやるよあ゛あ゛ーん゛!?・・・てな事をラングが何処まで思っていたかは別として、とにかくそんな感じにラングの怒りがズドンと伝わってくるアメリカでの記念すべき第一作「激怒」。 序盤は普通のドラマだが、徐々にドイツ時代の禍々しいまでの戦慄と恐怖が画面を支配しはじめる。 「凶悪犯が捕まった」という知らせがまるで伝染病のように拡まり群衆を狂気に奔らせる。これは「M」や「メトロポリス」等で見せてくれた群衆心理の恐怖。ラングがドイツで描き続けた恐怖であるし、同時に「私はドイツでこういう映画をいくつも作った。それもこの作品でひとまずお別れだ」という具合に、つまりドイツ時代との決別を感じさせる。 事実、アメリカ時代のラングはドイツ時代にあった“まがまがしい”ほどの恐怖は消えてしまった。だが、その代わりにドイツで研鑽を重ねてきた技術や美術はアメリカでより一層発展したと言える。後の「死刑執行人もまた死す」や「スカーレット・ストリート」「暗黒街の弾痕」「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(アメリカでは一番評価が高いラングのフィルム・ノワール)」へのな。「激怒」はそのはじまりでもある。 中盤の法廷劇で感じるのは、まるで河から溢れ出し止めようのない激流、それに何も抵抗できずに押し流されるような・・・とにかく圧倒的な恐怖だ。 祖国ドイツがナチスの狂気で染まり、意を唱える者はその声すら誰にも聞いて貰えず溺死させられる・・・問答無用で。 それにしたってウォルター・ブレナンの何と素晴らしいこと。「死刑執行人もまた死す」でも印象的だった。シルヴィア・シドニーは「暗黒街の弾痕」「真人間」だろ? この頃から出演していると思うと胸熱。 クライマックスは何度見ても衝撃的。 オマケに製作にジョセフ・L・マンキーウィッツ!傑作にならないワケが無い。 [DVD(字幕)] 9点(2014-06-01 00:33:56)《改行有》

29.  襤褸と宝石 《ネタバレ》 スクリュー・ボール・コメディの傑作。 もうね、最初から最後まで、何から何まで狂いに狂ったキチ●イどもが全力疾走するような映画です。 常識が最初からログアウト。最早“常識”なんてこの世に無いんじゃないかと思いたくなるような映画です。笑いすぎて死にそう(褒め)。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-21 18:38:51)《改行有》

30.  ロビンフッドの冒険 《ネタバレ》 「カサブランカ」は余り好きじゃないが、「ミルドレッド・ピアース」や「汚れた顔の天使」と本作は別格。 数あるロビン・フッドものの中でも突出した作品の一つ。 他の冒険活劇映画と比較しても、キング・ヴィダーの「Badelys the Magnificent」やアラン・ドワンの「三銃士」「鉄仮面」に引けを取らない作品だと俺は思う。 エロール・フリンにとっても、この作品はラオール・ウォルシュの「鉄腕ジム」や「壮烈第七騎兵隊」と供にフリン最高傑作の一つ。 カーティスとコンビを組んだウィリアム・キーリーにとっても、彼の生涯に残る仕事の一つとなった。 フリンをはじめキャストも豪華だ。 エロール・フリンのアクションは元より、スピーディーな展開でグイグイ見る事が出来る カラーの美しさもたまらない。カーティス侮りがたし。 石の壁に映る影で、二人の男の激しい戦いを物語る演出も良い。 山田宏一さんが言うところの、正に血沸き肉踊る傑作。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-21 17:49:04)《改行有》

31.  仮面の米国 《ネタバレ》 マーヴィン・ルロイの「心の旅路」に並ぶ、或るは囚人ものの、或いは主演を務めたポール・ムニ最高傑作の一つ。 アメリカで史上初めて本格的に作られた囚人もの映画。「ショーシャンクの空に」よりも完成されたドラマがここにある。 ルポタージュ(実録)ものの作品で、モデルとなったジョージア州の刑務所の実態を告白したある囚人の記録を元に映画化。 実在の刑務所を撮影するという困難を乗り越え、ポール・ムニの鬼気迫る演技もあいまってスリルに満ちた作品となった。 この映画の影響でアメリカの法律まで変わってしまったのだから大したものだ。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 16:34:41)《改行有》

32.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 ウェルマンによる戦争映画の傑作の一つ。 ウェルマンは「飢ゆるアメリカ」「紅の翼」等戦争映画の傑作が豊富だが、この作品はウェルマンの映画の中でもかなり楽しく、アクションとコメディ両方の面でとにかく面白い。 「つばさ」以来何度かウェルマン映画を飾るゲイリー・クーパーの存在も良い。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:12:46)《改行有》

33.  スタア誕生(1937) 《ネタバレ》 ウェルマンの傑作。 ジャネット・ゲイナーとフレドリック・マーチの火花散るぶつかり合いが凄い。 ジョージ・キューカー版の方が好きだが、コチラも充分すぎるほど完成度のある作品だ。 [DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:04:04)《改行有》

34.  オペラハット 《ネタバレ》 財産を相続したクーパーは世間ではドラ息子、本当は誰よりも正直者で優しい男。 本当の彼を知るのは、皮肉にも他人の秘密を暴き立てて生計を立てる新聞記者のジーン・アーサーのみ。 クーパーとアーサーは金ではなく、心からの信頼で固く結ばれる。 疑い深い新聞記者がだ。 「スミス都に行く」のジェームズ・スチュアートもそうだが、フランク・キャプラは最後の最後まで人を信じようと努力し続ける映画を撮り続けた。そんなキャプラの暖かさが滲み出た作品の一つ。とにかくクーパーファンは見て損無し。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-08 02:01:23)《改行有》

35.  コンドル(1939) 《ネタバレ》 否、ケーリー・グラントのカッコ良さに惚れる逸品である。 ケーリー・グラントと言えばコメディやヒッチコック作品で有名だが、若い頃はもっぱらコメディだ。 しかし、若い頃も落ち着きのある冷静でカッコイイ役もそつなくこなしてる。 冒頭のシーンが凄い。 特撮技術よりも、飛行機音と無線機から聞こえる音響だけでスリリングな着陸シーンを演出してしまう妙技。 ケーリーの演技も相まって、必見のシーンとなっている。 「コンドル」戦争を背景にした航空映画だが、一番の醍醐味は男たちの人間ドラマだ。 「ヘンリー4世」を引用するシーンの粋なやり取り、リチャード・バーセルメスのカッコ良さ、後半から出てくるコミカルなやり取り。 実に硬派で、ロマンティックで、楽しい映画だ。 スクリュー・ボール・コメディではドアや電話といったアイテムのやり取りが殺人的な笑いを産む。 毎回笑いすぎてしばらく腹痛になってしまうのが毎回の悩みだ。 ジーン・アーサーの変貌振りはギャグとしか言いようがない。 男たちの友情に押され気味のジーン・アーサーよりも、一瞬とはいえ元恋人として強烈な印象を残すリタ・ヘイワースの方が魅力的である。 とにかくオススメ![DVD(字幕)] 9点(2014-05-07 20:01:47)《改行有》

36.  新婚道中記 《ネタバレ》 夫婦喧嘩は犬も食わないという。じゃあ誰が食うのか? 笑いに飢えている我々観客のお腹をいっぱいにしてくれるのだ。 新婚ホヤホヤの夫婦が繰り広げる壮絶な喧嘩。ケイリー・グラントはいつも受身のキャッチャー。毎回殺人的な剛速球や変化球をブン投げる淑女のお相手だ。 後の「Mr.&Ms.スミス」が銃による喧嘩なら、本作はマシンガントークによる破壊力で我々の腹筋を破壊してくれる。 同じマッケリーの「邂逅」でシリアスな役をやるヒロインを見た後だと、余計にギャップが凄まじい。 愛犬スミスの兄弟も愛らしい。どうしてスクリュー・ボール・コメディは動物が大活躍するのだろうか。 来るはずの無い人間がバツも悪く来てしまう「お約束」。大掃除で爆音が響くのは夫婦喧嘩と戦争(浄化という名の焦土作戦)だけです。 ドアのやり取りも最高![DVD(字幕)] 9点(2014-05-07 19:16:30)《改行有》

37.  ベンガルの槍騎兵 ヘンリー・ハサウェイが撮った初期の傑作戦争映画。 ドラマ重視の語りが面白く、ゲイリー・クーパーも若くてカッコ良い。 終盤の戦闘シーンは凄い。アクション映画好きにオススメ。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-25 23:12:43)《改行有》

38.  地獄への道 《ネタバレ》 再見。 子供を殴り倒してまで書類へのサインを要求する横暴な鉄道会社、暴力には暴力で抗うしかなかったジェシー・ジェイムズ兄弟。 母親を守るための銃撃、取っ組み合い、義侠心の厚さが農民仲間や街の人々から慕われ、庇われる。女も愛しているからこそ自ら馬に乗り男の下に駆けていく。 黒人の使用人としてジェシーたちに尽くすアーネスト・ホイットマン(Ernest Whitman)は「地獄への逆襲」にも出演。 窓に投げ込まれる爆弾、酒場に手を並ばせる復讐、鉄道会社への報復 走る馬から列車の後に飛び乗り、列車の上を運転席まで走り抜ける疾走を横移動で捉え、照明の破壊とともに暗闇にフェード・アウト。 懸賞金の紙を穴だらけにする銃撃、口笛による合図、吐かれるツバ、刑務所に送る“予告”と実行手段、打っていた先手、猛烈に馬を飛ばす追跡劇、金に群がる烏合の衆。 出産とともに訪れる衰弱とホームシック、投げ渡す名刺、探偵、背中が殺意を促す誘惑、汗を吹き出し迷う表情、ロング・コート、破滅へと向かう銀行襲撃、窓から伸びるライフルの銃口、窓ガラスをブチ破り断崖から馬ごと水辺に飛び降りる疾走。 以前見た時はミスキャストかと思えた兄役のタイロン・パワーも、英雄から悪党と妻を愛する一児の父親との間で葛藤する様子に胸を打たれる。 子供たちが“ジェシー・ジェイムズ”ごっこの遊びとはいえ子供を“殺してしまう”瞬間に罪悪を感じる表情。散々銃を撃ってきた男が、昔の仲間とはいえ目の前ですんなり両脇にぶら下げていた銃を降ろす。 そして時計を映し時間が迫る焦りは、アンチ西部劇「拳銃王(ガン・ファイター)」の自分だけが時計を見て迫り来る時間と向き合う無法者の孤独へと繋がっていく。 撃つ瞬間まで震え両手で構える銃。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-11 00:36:21)《改行有》

39.  モダン・タイムス 《ネタバレ》 「サイレント映画なんて、今見たら絶対面白くねえだろ」なんてイメージを粉々にブッ壊してくれたのがバスター・キートン、そしてチャップリンだった。 そんなチャップリン映画でも1、2を争う傑作がこの「モダン・タイムス」。 チャップリンはサイレント映画にトーキーの“音”を巧みに混ぜて演出。 サウンドの中で映像に合わせて響く機械音やベルの音。そしてラストのダンスシーンはチャップリンの歌声が収められる。 「歌の時くらい音を出したいな」と誘惑にかられたのか、それとも「音ってのはこういう時に使うんだよ」とアピールしたかったのか。いずれにせよ「ティティナ(ティティーナ)」の演奏が美しい見事なシーンだ。 「モダン・タイムス」の冒頭はフリッツ・ラングの「メトロポリス」を思い出すような工場の場面から始まる。 部品を流す機械、その上で機械のように部品のボルトを締め続ける人間たち。延々と続く流れ作業で狂ってしまう人間の滑稽さと恐怖。 冒頭の工場のやり取りだけでも面白いのに、後半はチャップリンが貧乏と向き合いながら起こす騒動でさらに盛り上げてくれる。 チャップリンが捕まるのは「偽牧師」以来じゃないか?散々法権力から逃げ続けてきたチャップリンも、とうとう捕まってしまう・・・世の中に対する皮肉がたっぷり込められているぜ。ただ、そこはチャップリン。 何度捕まろうが何度でも戻ってくる。愛する者のためなら何度でも。愛が成せる展開だね。 「今回がダメでも、また次があるぜ!」と語りかけてくれるようなラストシーンが素晴らしい。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 09:49:41)(良:2票) 《改行有》

40.  デッドエンド(1937) 《ネタバレ》 まずファースト・シーンが印象的だ。 街の景観を斜め上から捉え、一見澄み切った街から徐々に質素な街の一角へと画面が映る。 街の外から流れる美しい川をたどり、やがて川の上にある小さな貧民街でボロを来て生活する子供たちの集団に出くわす。 貧しさの余り心が荒もうとする子供たち。 川の美しさに目を付けた富裕層の家を、憧れと恨めしさの混じった眼差しで見つける。 坊ちゃんと貧民街の子供たちの睨み合いが印象的だ。貧しさが憎しみに変わる一歩手前。 そんな彼らの成れの果てが、しばらくしてスッーと登場するギャングたちなのだろうか。 貧困から抜け出すために犯罪の世界に足を踏み入れてしまったマーティン。 ストーリーは終始ドラマだけで終わるかと思いきや、終盤の銃撃戦には度肝を抜かれる。 誘拐を決意したマーティン、それを止めようとマーティンの目の前に迫るデイヴ。 豪邸から流れる曲が変わる、冷酷な殺し屋となりマーティンを川に落とす、急死に一生を得て川から這い上がるデイヴ、薄暗い路地裏での緊張、反撃と揉み合い、咄嗟に逃げ込んだ薄明かりが照らす廃屋での銃撃、屋根伝いの追走劇、上を目指し梯子を登るマーティン、地の底に堕ちるマーティン、蜂の巣のように滅多撃ちにされるマーティン、母親の悲痛な叫び、やるせない表情でかつての親友を見下ろすデイヴ・・・。 グレッグ・トーランドの神がかったキャメラの素晴らしき事。 去り際に絶えず母親の窓を見つめ続けるデイヴの表情。正義感を気取っていた彼も、浮気をし、気付けば親友を死に追いやっていた。そんな今の自分への絶望の混じった表情だ。 相手が悪い事をしても「いや、俺がもっとしっかりしていれば」と真っ先に自分の非を考えてしまう・・・そんな男なんだ。そいう奴だから、ドリーナはデイヴに惹かれたと思うのよ。 それに対局を成すようなマーティンを演じたボガートの演技もまた良い。すべてに絶望して「所詮俺の人生なんてこんなものよ」と哀しい表情が胸に迫る。 ギャングの英雄としてではなく、実に呆気なく虚しい死に様だ。顔の変わった彼の死体を見て、かつて彼が貧民街出身の子供だった事など誰も知る由がない。事情を知る母親だけが彼のために声を挙げ涙を流す。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-31 00:54:06)《改行有》

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