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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  酔いどれ天使 《ネタバレ》 日頃から札付きのチンピラみたいな顔の三船がヤクザの「松永」を好演。 デビュー作「銀嶺の果て」から既に雄の匂いがプンプンしていたが、この映画でそれが爆発。 演技は駆け出しホヤホヤのチグハグで、何を言ってるか訳わかめ。 字幕があっても声が聞き取れねえ。 ただこの男が醸し出すオーラ! 戦争の暗さを背負い、それに負けない笑顔と怒りに満ちた三船敏郎は演技を超えた凄みを感じる。 地のオーラと動きで魅せる。 マキノ雅弘の「抱擁」でスマートなヤクザを演じていたのとは対照的だ。 オマケに仲間のヤクザに裏切られようともまだ仁義があると頑なに信じる松永。何度裏切られようとも。 酔いどれの医者に気遣われた恩を忘れずに庇い、「こんな腐った泥の中にも、一輪の蓮の花が残ってるはずだ」と信じ続ける。泥の中に咲く蓮の花を・・・。 こんなヤクザに同情すんなって方が無理だよチクショウ。 最後までヤクザを貫く山本礼三郎の存在も圧倒的。機銃のようにギターを抱えていやがる。 千石規子と久我美子は最高の癒し。 「静かなる決闘」の千石規子も良かったぜ。久我美子の初々しさが「白痴」であそこまで変貌しようとは思わなんだ。 壮絶な決着の後に、静かな感動をもたらしてくれる。 ペンキ塗れの壮絶な散り様は「野良犬」のクライマックスで“色”がつくラストにも繋がっている。[DVD(字幕)] 9点(2015-06-04 20:53:33)《改行有》

22.  静かなる決闘 《ネタバレ》 本格的な医療ドラマ。 黒澤が大映時代に撮った映画はハズレが多いが、この「静かなる決闘」はかなりの力作。 医療ヒューマニズムは「赤ひげ」にも受け継がれる。 “音”の映画。雨音、車、ガラスの割れる、人々の叫び、叫び、叫び、「リンゴの唄」の音。 この映画の“決闘”とは、病との、己自身との闘い、対照的な二人の男たちの対比を描いた闘い。 雨と不協和音から始まるオープニング、第二次大戦下へ。 野戦病院、疲れ切った医者たち。雨の音が緊張を持続させる。 静かな三船。戦場ではまだ梅毒の兆候が出ない。 戦場から帰った戦後、愛するが故に結婚を諦めるしかない苦しみ。立ち聞きしてしまった衝撃。壁で踊る女の絵のヌード、花。 酒瓶を振り回そうとするのを止める一瞬。酒瓶を投げようとするのを女の悲鳴が止める。中の酒を震える手で注ぎ溢れさせる。この時から男の破滅は予告されていた。 ハーモニカの音色で笑顔になる人々の表情。欲望を爆発させる三船の一人語り。ドン引きして泣くしかない千石規子。 廊下で対峙する二人の男。看護婦のビンタに力のない反応。ガラスをブチ割り、絶望に沈む姿。[DVD(邦画)] 8点(2015-06-04 20:52:41)《改行有》

23.  深夜の告白(1944) 《ネタバレ》 ワイルダーの傑作は数あれど、個人的に最高傑作を一つ挙げるとすれば「深夜の告白」になるだろうか。 レイモンド・チャンドラーと組んだシナリオというだけでも凄い。 「失われた週末」「サンセット大通り」に先駆けた初期の傑作フィルム・ノワールであり、ワイルダーが余り好きで無いという人間にもオススメする作品だ。 真夜中のハイウェイ。 冒頭から車をブッ飛ばして会社に駆け込む一人の男。どうやらこの男はかなりワケ有りのようだ。 そこから回想形式で事の顛末を告白していく形式が面白い。 如何にして事件に至ったのか。倒錯的なサスペンスとして、中盤から徐々にスリルを増していくストーリーが面白かった。 エンジンが中々かからない場面も異様に緊張感を盛り上げる。 バーバラ・スタンウィックの悪女振りも最高。真の主役はフレッド・マクマレイではなくエドワード・G・ロビンソンなのかも知れない。どちらも素晴らしい名演だ。 ワイルダーと組んだレイモンド・チャンドラーだが、この二人の折り合いは最悪と言っても良い。 ジェームズ・ケインの原作が元だが、そもそもチャンドラーはケインの作品が大嫌いだった。元々金欲しさで契約を結んでいたに過ぎず、ケインと同席しようものなら遠慮なく作品を酷評するほどだった。ワイルダーも余り好きではなかった。 ワイルダーが長くコンビを組んてきたチャールズ・ブラケットまで「糞」呼ばわり。こんな状況で一体どうやってこの傑作が生まれたのだろうか。不思議でしょうがない。 だが、それと作品の完成度は別だ。 チャンドラーの鮮やかな脚色、ワイルダーの辛辣な人物描写。制作現場のギスギスした空気は、そのまま映画の面白さに結びつく。 そんな二人を不安に満ちた表情で見守るかのようなミクロス・ローザの音楽も秀逸だ。いや、実際にカメラで見守るのはジョン・サイツの見事な撮影だろうか。[DVD(字幕)] 9点(2015-04-24 09:34:21)(良:1票) 《改行有》

24.  ヒズ・ガール・フライデー 《ネタバレ》 ベン・ヘクト&チャールズ・マッカーシーの戯曲を映画化した作品では、最もアメリカで評価が高く成功した作品。 ルイス・マイルストンの「犯罪都市」、 ビリー・ワイルダーの「フロント・ページ」を含めると3回も映画化されている。その中で一番面白いと思ったのがこのホークス版。 マイルストン版は古臭くて演出過剰な上に退屈だった。 ワイルダー版も「教授と美女」でホークスと組んだだけあって悪くないと思うけど、もう一度見たいというほど惹かれなかった。 俺はホークス版の飾り気の無い感じが一番しっくりきたし、何より腹筋がヤバくなったのはホークス版だけだ。 ホークスのコメディは「教授と美女」が一番好きだけど、“破壊力”という点じゃ「ヒズ・ガール・フライデー」が最強。 最初は字幕で見ていたけど、字幕の速さが足りない!そもそも、原語のスピードに字幕が追いつけるワケないじゃないか。 クエンティン・タランティーノの映画といい、この手の作品は原語だけで見るのに限る。遅い字幕なんぞクソ喰らえ! 「赤ちゃん教育」は虎のようなキャサリン・ヘップバーンに追い回される狂気地味た内容だったが、この作品のヒロインは「赤ちゃん教育」よりは正気を保っている。 それでも瓶の中で爆竹を破裂させるような内容だ。 物語は女性記者のヒルディと前の夫だったウォルターが中心となって起こる騒動を描く。 明日再婚してしまうロザリンド・ラッセル、ケーリー・グラントは未練がましく彼女と別れるのが寂しい。 ウォルターは彼女に残ってもらうべく負かさなきゃならな、ヒルディもまた想うところがあるけどウォルターを負かしてやりたい。 かくしてここに90分に渡る嵐のような特ダネ合戦が幕を開ける。 密室において激しく繰り拡げられる男と女の言葉による“殴り合い”。 初っ端からまくし立て、どんどん加速するマシンガン・トークの凄まじさ。10分?5分の間違いじゃない? その後も一人が喋り終わらないうちにまた一人が喋りだしてカオスの坩堝。 銃で撃ち合うようなやり取り・・・そしたら本当に街中で銃撃戦をはじめやがった!ヒロインまでタックルを決めやがる。俺の腹筋を返してくれっ!! ラストスパートは機関砲を撃ちまくるようなスピードと破壊力。 激闘の果てに“降伏”するシーンは可愛い。この可愛らしさはパートナーが女性じゃないと味わえない面白味だね。[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-04-24 09:25:16)(良:1票) 《改行有》

25.  わが谷は緑なりき 《ネタバレ》 フォードの西部劇の最高傑作が「リバティ・バランスを射った男」「捜索者」だとすれば、人間ドラマの最高は「怒りの葡萄」「静かなる男」とこの「わが谷は緑なりき」! 炭鉱の街に生きる人々の家族愛と絆を描いていく。 炭鉱作業の描写は終盤まで挿入されない。 それはススだらけになった男たちの顔が物語るし、主人公が成長する過程で挿入される。 そう、本作の視点は子供の主人公の眼だ。 大家族の末っ子として生まれた主人公。 炭鉱でたくましく働く兄弟たちへの憧れ、様々な出会いと別れを、幼い眼に焼き付けていく。 ストライキ、孤独と戦う父、一喝する母親の強さ、一人また一人去っていく兄姉弟たち・・・主人公も勉学に励み、知る人間のいない学校で戦った。 殴られたら殴り返す。 大人が手を出したら大人が倍返しだ! フォードの暖かい人間ドラマがここに詰まっている。 燃え盛る炭鉱に何のためらいもなく助けに向かう男たち。 「果てなき船路(果てなき航路)」でジョン・ウェインを助けに行く水夫たちに通じる熱い魂。 どんな逆境でも懸命に生きる男たちは、何時の時代もカッコイイ。 それを見守る母親、女性たち。 牧師も拳闘士も関係ない、みんな一人の人間だ。 ラストは悲しくもあり、温もりもある締めくくり。 家族の魂は主人公の心の中に生き続ける・・・そんな映画だ。[DVD(字幕)] 9点(2015-04-22 09:22:25)(良:1票) 《改行有》

26.  マクベス(1948) 《ネタバレ》 オーソン・ウェルズの史劇映画にハズレなし(特に「フォルスタッフ」は最高傑作)という印象。 この「マクベス」は後の「オセロ」に続く演出はもちろん、ウェルズのシェイクスピアへの尊敬と挑戦が凝縮された傑作の一つ。 例えば、中盤の女が石の階段を上っていく様子をワンショットに収めたカメラワーク。 これが後の「黒い罠」における冒頭の見事なシークエンスに繋がっていくのだろう。 ファースト・シーンと言えば本作の出だしも強烈なもの。 おどるおどろしい雰囲気、濃霧の中で怪しげな儀式を繰り返す三人の魔女。そこに居合わせた騎士二人。二人の呪われた物語はここから始まっていく。 一人の男が如何に栄華を極め、如何に仲間を裏切り、如何に滅んでいくか。その過程の凄まじさ。 正に「市民ケーン」だが、張り詰めた緊張の糸は最後の最後まで持続される。 この作品はシェイクスピアの舞台劇を演じるように、重厚なドラマとセリフで魅せてくれる。派手な戦いの場面がない代わりに、心理面での葛藤や恐怖がマクベスを常に襲う。 魔女の予言で狂う男、女、男! 冠を頂く姿の不格好さは、まるで小人が一時の権力に溺れたような滑稽さを感じさせる。 ラストの決闘は少ない時間ながら鬼気迫る演出だ。 マクベスは玉座で黙って傍観するような器ではない。剣を奮って戦うマクベスの活き活きとした表情を見れば、一目瞭然だ。 首を斬り落とす場面の繋げ方が面白い。 その屈強なマクベスを演じたウェルズが「フォルスタッフ」ではずんぐりむっくりになってしまうのだからビックリ。[DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 06:34:53)《改行有》

27.  戸田家の兄妹 《ネタバレ》 サイレント時代は漲る若さで撮った「大人の繪本 生まれてはみたけれど」、 そしてトーキーにおける小津の最高傑作は、個人的に「戸田家の兄妹」あたりだと思う。 小津の作品と言うと説明的で説教臭い話が多く、俺のような人間にはまず肌が合わないタイプ。 そんな俺でもこの「戸田家の兄妹」は良い作品だと思ったよ。メッチャ良い! 「東京物語」ほどかったるくないし、何より家族が崩壊していく様子をストレートに描写していくところに惹かれる。 突然の死や老いた家族のたらい回しなんか「東京物語」より残酷さを感じた。 戦前の映画で家制度の崩壊をここまで辛辣に描けたのは、家族を何十回と描いていく小津だからこそ出せた答えだ。 葬式の後に遅れてやって来た昌二郎は、正に家族への怒りをストレートにぶつける代弁者。江戸っ子人情を噴出させる小津のな。 「食うや食わずの人間だって、親と子の関係はもっと暖かいもの。どれもこれも一つの腹から生まれながらこの有様はなんだ!」 こ の 有 様 は な ん だ ! ! 「人が何と言おうとそんなこと構いやしないよ、対面だとか体裁だとか、世間体とか、そんなことじゃ何にも出来やしないよ。」 何故だろう・・・説教臭い匂いが無い。だって誰もが思う怒りがここに集約されているもの。 良い意味で小津の「家族」描写が完成された作品。唐突なラストもまた意味深だったりするのかも。 斎藤達雄はこれと「宗方姉妹」を最後に小津作品に出なくなってしまった。もう少し見たかったよ・・・。[DVD(邦画)] 9点(2015-01-15 16:57:36)《改行有》

28.  脱出(1944) 《ネタバレ》 似たプロットを持つ「脱出」と「カサブランカ」。 ハワード・ホークスがヘミングウェイの原作を純水な娯楽として仕上げたのに対し、マイケル・カーティスはやや政治色の強い内容となっている。 決定的に違うのは船の「脱出」、飛行機の「カサブランカ」。 そもそも題材は似ているが原作はまったく違う。内容もオチもまったくの別物。 で、どっちが好きかと問われれば俺は迷うことなく「脱出」を選ぶ。 ホークスが好きだからというワケでなく、純水なハードボイルドであり娯楽に徹したコチラの方が完成度があるだろうし好きだ。無駄がなくスマート。 ハンフリー・ボガートもコッチの方がイカしてる。 というより、俺は「カサブランカ」みたいに臭すぎるメロドラマが嫌い。 女性の好みもイングリッド・バーグマンよりグレース・ケリーやローレン・バコールみたいな色気と情に厚い方がタイプなのです。 ノッケから酔って寝てるウォルター・ブレナンに水を浴びせて起こすボガート。 ホークス映画といえば名優ブレナンの存在も忘れられない。コレほどライフルが似合う御老体はいない。 ローレン・バコールの粋な登場の仕方にもそそられる。 酒場の粋なピアニストも好きだ。 銃撃戦の後で怯える人々をピアノの音色で元気づけようとする心意気。レクイエムまでかなでてくれる。 ピアノを聴いて歌いだすバコールが良い。 中盤の“脱出”シーンは警備艇の照明だけを撃ちぬくスリリングなやり取り、終盤のバコールとボギーの連携&机ごと敵を撃ち抜くシーンに震えた! ラストシーンで顔を見合わせにんまり笑うボギーとバコールは完璧夫婦。本当に結婚しちゃうんだからお熱いっす。 ローレン・バコールとのコンビは「三つ数えろ」でも拝める。 ラストの駆け引きも面白かった。傑作。 ローレン・バコールは今もスクリーンの中に生き続ける最高の女優の一人です。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-15 16:37:53)《改行有》

29.  怒りの日(1943) 《ネタバレ》 「奇跡」と並ぶドライヤーの最高傑作。 「魔女狩り」をめぐって揺れた時代。女は男に愛を求めるが、その禁断の愛は男を虜にする。 女の魔性の美・・・心は拒絶しても肉体は彼女を求めようとする・・・人間の本能が。 ドライヤーの宗教描写は「宗教なんざクソ喰らえ」ってところが好きだ。 劇中の二人も禁じられた愛に染まっていく・・・。 ドライヤーの描く女性像もフルスロットル。 本当こういうの上手えなドライヤーは・・・。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-13 03:11:51)《改行有》

30.  緋色の街/スカーレット・ストリート 《ネタバレ》 「飾窓の女」のオチが気に入らない俺は断然「スカーレット・ストリート」。 序盤はラング得意のじっくりドラマを描く展開で見せ、徐々に複雑かつ深刻な状況に主人公を追い詰めてしまう。些細な出来事がどんどん膨れ上がる恐怖。 主人公が描いた美人画(どう見ても「メトロポリス」の雰囲気バリバリの絵です。本当に(ry)が強烈だ。 「飾窓の女」に出てきたショーウィンドウの絵よりも強烈だぜ。言っちゃ悪いが、アッチはキレイすぎて毒が無い。サスペンスはやっぱり猛毒が無いとな。悪夢が一生続くような毒がさ。 寝ても覚めても悪夢が主人公を蝕み続けるラストが素晴らしい!こういう「飾窓の女」が見たかったのよ。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-11 19:31:26)(良:1票) 《改行有》

31.  赤い河 《ネタバレ》 「リオ・ブラボー」がガンファイトなら、「赤い河」は人間ドラマの傑作。 牛、牛、牛。 見渡す限りの牛の大河。 西部劇というよりは、西部開拓時代に生きた人間たちの生き様を色濃く描ききった歴史ドラマ。 カウボーイは何故銃を持って戦ったのか?それは牧場を武装した他者から守るため。 アメリカに渡った開拓者たちは、そこに元々居住していたインディアンを押し流すように町や農場を作った。 生き残ったインディアンたちは当然報復してくる。 こちらも武装しなければ殺される・・・家族を守るため、新大陸で生き残るためカウボーイは誕生した。 開拓者たちは「侵略者」である前に「移住者」でしかなかった。 ヨーロッパで絶望し、夢と希望を抱いて命懸けでアメリカに渡ってきた。 弱肉強食の大自然・・・殺るか殺られるかの厳しき世界に。 8分目におけるコマンチの夜襲、牛の大群を追い立てるカウボーイたちの迫力、思わぬ仲間割れなど見所も豊富。 後半の山場であるコマンチに包囲された馬車隊の救出劇! ダメなオッサンすぎて逆にカッコいいジョン・ウェイン、後半の主人公モンゴメリー・クリフトの男気、ウェインとは「リオ・ブラボー」でも名コンビだったウォルター・ブレナン爺さん、ジョアン・ミレーがエロイ等々登場人物も魅力的。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:15:46)(良:2票) 《改行有》

32.  死刑執行人もまた死す 《ネタバレ》 ラングは人によっては「ドイツ時代よりも冴えがない」という人もいると思うが、俺はアメリカに来てからの方がより面白くなった監督だと思う。 1930年代~40年代はドイツ時代の「M」や「怪人マブゼ」から連なるラングの黄金時代だ。アメリカ時代は「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」や「スカーレット・ストリート」「激怒」が最高だと思うが、この作品もラングが生きてきたドイツへの望郷とナチスへの反抗が詰め込まれた傑作。 劇中で命を燃やすレジスタンスたちはラングの分身。 麗しき女性たちにはドイツ時代に長年コンビを組んだ愛しきテア・フォン・ハルボウの面影でも刻まれているのだろう。 サスペンス映画としては2時間オーバーと長尺だが、ダレも飽きも感じさせない密度。 銃撃戦はほとんど無いが、徹底した骨太のドラマとスリリングなやり取りの数々で次から次へと楽しませてくれる。 また、レジスタンスを処刑するゲシュタポ側も一歩間違えれば問答無用で殺される・・・その辺の怖さ。 何より本作が求めるものは「屈しない」という事だ。 戦争に屈してたまるか、独裁に屈してたまるか、俺たちは自由に生きるんだ、自由のために闘うんだ、自由のために死ぬんだ。負けてたまるか!! 処刑台に連行される男たちは、実に清々しい顔つきで散っていく。「あの世で会おうぜ!!」 Not The End.[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:57:51)《改行有》

33.  赤い靴(1948) 《ネタバレ》 赤い靴に“恋をした”少女の壮絶な生き様を眼に焼き付けられる作品。 単なるメロドラマでは終わらず、赤い靴によって取り付かれたように踊り続ける少女の切なさと怖さ。 彼女はもうどうにも止まらない。バレエを愛しているから、踊る事を愛していたから、何より赤い靴を“愛して”しまったから・・・。 新聞紙との踊りは正に死に際の美しさ。 この映画をデジタル・リマスター・エディションとして蘇らせてくれたマーティン・スコセッシには感謝してもしきれない。 フランシス・F・コッポラと組んで蘇らせたというヴォイツェク・イェジーハスの「サラゴサの写本(サラゴサ手稿)」も見なければ![DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:55:37)《改行有》

34.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 「殺人狂時代」はチャップリンが最後まで悪党として生をまっとうした久しぶりの作品だ。オーソン・ウェルズの原案というのも面白い。 実際はチャップリン自身が実在の殺人鬼アンリ・デジレ・ランドリューやウェインライトというモデルを参考にしたのだが、ウェルズの問いかけがなかったらこの作品は生まれなかったかも知れない。 金と命を奪って逃げての繰り返し、その過程にも限界が来てやがて大騒動になっていく。 ブラックユーモアに富んだギャグ、殺しの狂気に染まった男の闇の部分。 そんな殺人鬼にも魔が差したのか、偶然出会った女性の殺しをやめてしまった。 「逮捕されて夫も家族も失ったわ」同じ犯罪者としての同情か、己の運命を予期しての考えか。 実に四つの人間になって機関車で行き来する主人公アンリ・ヴェルド。嘘の上塗りと殺人、だがそんな生活にも限界。一度ほつれた糸はどんどんと崩壊していく。完璧な筈だった殺人計画は次々と失敗しオマケに世界恐慌にヒトラーまで出てきた! 「独裁者」でもヒトラーDisり足りないのねー。デジャブ? 新聞の記事を写すあたりなんか「独裁者」そのものだ。 全てを失い、そんな時に巡り合った「再会」・・・己の運命を受け入れるヴェルドゥ。 処刑前のセリフが考えさせられる。 「One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify(一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する)」・・・奴隷廃止を訴え続けたベイルビー・ポーテューズのセリフ。 小説や戯曲に精通したオーソン・ウェルズが取り上げ、チャップリンが言い放つ。 それを殺人をテーマとしたコメディ映画で言うというのが凄い。 虐殺によって帝王になったヒトラーを初めとする多くの英雄(殺人者)たち。 それに比べたら自分の殺しなど“アマチュア”に過ぎないと言う。 現実のチャップリンもまた、劇中のヴェルドゥのように多くのものを失っていた。 戦争に反対した姿勢は「赤狩り(レッド・パージ)」に弾圧され、苦楽を共にしたスタッフの多くも戦争を通して亡くなった人間が多い。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:40:04)《改行有》

35.  我等の生涯の最良の年 戦争の傷跡から苦悩し、再び立ち上がろうとする3人の男たちと家族のドラマを描いた作品。 戦場で様々な「何か」を失い帰還した3人の男たち。それを暖かく迎え入れる家族たちも、何処か後ろめたい暗さを見せる。 悪夢にうなされていた男は、現実でも妻にうなされていたろうぜ。廃棄寸前の飛行機に居心地良さそうに座る姿なんかさ。心がどっか行っちまってんのさ。 そんな男たちが再び家族や恋人と交流し、自分なりに立ち直っていく姿に勇気付けられる。良い映画です。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:32:58)《改行有》

36.  イワン雷帝 《ネタバレ》 セルゲイ・エイゼンシュテインの映画には、フィルムが撮影されたにも関わらず破棄されてしまったフィルムが幾つか存在する。 一つは「ベジン高原」であり、もう一つは「イワン雷帝」の第三部だ。 「イワン雷帝」の第三部はイリヤ・レーピンの「イワン雷帝と皇子イワン」が如くイヴァン4世が今まで殺めてきた人々に贖罪を求めるという内容にするつもりだったらしい。 ところが、時のジダーノフ批判によってスターリンが「イワン雷帝」そのものを封印してしまったのである。 だが、それが先に製作された99分の第一部、88分の第二部を合わせた187分に及ぶ傑作を完全に殺してしまったワケではない。 第一部も凄いが、特に第二部! “暗殺”をめぐる数十分に渡るシークエンスが凄いんです。総てが一つに繋がる瞬間の戦慄! 暗殺の誓いをたてる場面、子供に子守唄を捧げる母親に送られる黒い布に包まれた“メッセージ”、ラスト28分で入り乱れるカラーと白黒の映像。 黒と赤が織り成す壮烈な宴、“生贄”にささげだす“戴冠式”という名の余興、真に果たされる“復讐”の結末・・・。 後悔の念で総てを破壊される者の最期・・・。 第一部も、第二部も、そして製作される筈だった第三部も絶望に満ちた叫びで終幕を引いて行く。 いくら叫び唄いつづけても、一度失った者は二度と戻って来ない・・・。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-02 23:15:07)《改行有》

37.  ギルダ 《ネタバレ》 本作は恋愛映画とフィルム・ノワールの狭間で揺れるようなラブロマンス。 ナチスを絡めたストーリーは戦後のモダニズムを捉えていたりするから不思議。 本作はまた3人の男女を軸にストーリーは展開される。 細かいセットやギミックなど随所に凝られた演出、ベン・ヘクトの見事なシナリオはまったく飽きるという事をさせてくれない。 ジョニーの賭博から始まるファーストシーン、ジョニーの危機を颯爽と助けるベイリンの登場、そして妖艶な美女ギルダ。 男勝りで肉感のある女優リタ・ヘイワース、これほど彼女の個性と役柄がハマッた作品は無い。グレン・フォードの演技も最高。 過去に愛し合った男女二人。 別れてみればジョニーは賭博に明け暮れ、ギルダは危険な男と床を共にする生活を送っていた。 変わっていないのはギルダの美しい歌声と力強い踊りだけだ。 皮肉にもジョニーの命を救ったベイリン・マンスンはギルダの夫だった。 未練が残るジョニー。本当はギルダとよりでも戻そうかと積極的になりたいが、恩人のベイリンの手前未練をしまい込む。 ギルダもジョニーとまた一緒になろうかと思いつつ、ジョニーの気持ちを知ってか知らずか他人の男と一緒にいる光景をジョニーに見せつける。 それを黙って見つめるベイリンの不気味なこと不気味なこと。 ベイリンの右腕として頭角を表すジョニーだが、命懸けの日々からいつか抜け出してやろうと野心が芽生えてくる。 ギルダもジョニーに急接近し、ベイリンもまた自分の命を守るために逃げようとする。 様々なドラマが交錯し、3人は己の希望を満たす結果となった。 ただ心は満たされない。 ジョニーはよりを戻したとはいえ、恩人の元妻となったギルダに複雑な気持ちを抱く。 ギルダもまたそんなジョニーに対して申し訳なさそうな後ろめたさを感じさせる。 ギクシャクしながらも再び元の仲に戻ろうとする二人。しかしベイリン! この男もまたギルダを愛していたのだろう。 ラストはちょっとベイリンがマヌケすぎて何だか可哀想になってくるのだが、際立った演出はそれを感じさせない。 つうか帰ってくんなよ。一番未練タラタラだったのコイツじゃねえか。 「愚なる妻」のカラムジンかおのれは(ハゲ具合まで一緒)。 その後の刑事な粋な対応、ハッピーエンドなラストと中々の作品だった。[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 22:13:19)《改行有》

38.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 正直イングリッド・バーグマンは余り好きじゃなかった。 恐らく「カサブランカ」などというアホくさい恋愛ドラマを先に見てしまったせいだろう。 ところが「ガス燈」のバーグマンは見直した・・・いや惚れた! あの心を吸い寄せられるような目の演技。 家族を殺され、愛していた筈の男に騙され、ノイローゼになって追い詰められていく様・・・彼女の目は光を失っていく。 だが真実を知った時の彼女の燃えるような瞳。 「あの野郎よくも・・・今に見てなさい・・・!」復讐心ではなく、冷ややかな眼と口舌でグレゴリーを罵るポーラの凄さ。目!眼だよ眼!! グレゴリーの不気味な優越感に浸ったあの黒目が、唖然として丸くなっていくあの時の目。 「やられた!」というグレゴリーの眼。 そしてポーラの「ざまあみさらせ」という最高に冷たい視線・・・勃起したわ。 ラストシーンの「おや、まあ」には不覚にも笑ってしまった。あの瞬間に解放される感じが良かった。 ジョージ・キューカーは女を撮らせたら世界一ですね。[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 21:41:35)《改行有》

39.   《ネタバレ》 俺は「二十四の瞳」といった辛気臭い話よりも、「風前の灯」みたいなブラックコメディ、この作品みたいに初期の方が惹かれる。 ロードムービーのような流れで男女の恋愛と亀裂を描いていく映画。 登場人物はたった二人。 あてもなく流離う二人の間に生じる関係。 直接的な描写はせずに、女の表情と少し乱れた服だけで「情事」を感じさせるこの演出の見事さ。 たった1時間ちょっと、限られた登場人物でここまで戦後の洞察について話を膨らませられるとは・・・ラストの火事のシーンも凄い。 実験的な要素たっぷりの作品だった。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 18:36:45)《改行有》

40.  海外特派員 《ネタバレ》 ヒッチコックといえば不気味な建物、不気味な人物、疑惑の連続、二重三重のドラマ、豪快なアクション、パニック、そして鳥。 前作「レベッカ」はプロデューサーのセルズニック色が強く、リミッターをかけられたかのようにヒッコック色は薄めだった。 今作からは誰の邪魔も無し、やりたい放題! その全てを満遍なく取り揃えた感じの良作。ジョエル・マクリーもカッコイイ。 序盤のあらましで地盤を固め、事件が起きた瞬間からの盛り上がりをじっくり描く。 最初は少々退屈だが、主人公がいきなり派遣されるわ、コンタクトを取ろうとした要人を襲う悲劇・そこから車での追走劇(一瞬とはいえ唸るように走るチェイスの迫力!)、風車小屋におけるサスペンス、塔から“落ち”れば飛行機も落ちる。クライマックスは「救命艇」を思い出す。 第二次世界大戦前夜までの駆け引き、開戦直後の混乱を描いた本作。 実際1940年の前年から第二次大戦は勃発。 イギリス本土は「バトル・オブ・ブリテン」におけるドイツ空軍との死闘の真っ只中。 故郷イギリスの苦境を憂いたヒッチコックの怒りと執念、叫びが伝わって来る映画でもある。[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 19:54:59)《改行有》

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