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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 シリーズ15作目。本シリーズで流血を観たのは初めてじゃないだろうか?…劇中夢の話だけど。過去最大級にお金が掛かった夢だなぁ。帆船のミニチュア特撮まで出てきたわ。 当レビューサイトで平均点も高くレビュー数も多い。1作めを除くと最高傑作の呼び声も高い本作。 噂が独り歩きじゃないけど、何故か有名な『メロン騒動』の部分だけは、以前動画で観てました。コトがメロンだけに、たかがメロンって馬鹿らしい可笑しさと、されどメロンって笑えないリアリティの、さじ加減がまた秀逸だなぁ。 真顔で「…ワケを聞こうじゃないか」で引き込まれ、そっくりな博のモノマネで吹き出したわ。おいちゃんがお金投げて、おばちゃんが泣き出す修羅場っぷり。とどめのリリーの一括。寅に掌返しで「他人様」と言われたからこそ言い返せた口上に、とらや一家でなくてもスカッとしてしまう。あぁでも、寅は悪くないんだよなぁ。本作『寅次郎メロン騒動』でも良いんじゃないか?ってくらい。 そのあとの雨の中の相合い傘。大人げない姿を見せた寅と、つい言い過ぎたリリーの、気遣いたっぷり、心をくすぐる男女の会話が堪らない。結婚とかお付き合いとか、そういうのでなく、この瞬間が最高なんだよね。 「お兄ちゃんのお嫁さんに…」心から“それも良いな”って思った嬉しそうなリリーと、口に出した後、そんな生活は自分には無理なことを悟っていくリリーの表情の変化。ここで一拍置ければよかったのに帰ってきてしまう寅。冗談にするしか出来なかった二人の間が悲しい。 「オレみてぇバカとくっついて、幸せになれる訳がないだろう?」最後に来て寅のこのセリフ。「女が幸せになるのに、男の力を借りなきゃいけないとでも思ってるのかい?」小樽の港でのリリーのセリフ。 リリーが去って大雨が降るなか、傘を持って掛け出せない寅の背中、さくらへの語りが寂しすぎる。だからタイトル『寅次郎相合い傘』なんだな。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-09-02 17:00:40)《改行有》

22.  男はつらいよ 寅次郎子守唄 《ネタバレ》 シリーズ14作目。あぁこれ、私が初めて観た寅さんです。たぶん中学生くらいにやってた日曜洋画劇場で、マドンナの「飴降って痔固まる」の話を覚えてました。 本作からおいちゃんが変わりましたね。私の中ではおいちゃん=下條さん。今までのおいちゃんと比べて大人しめな印象ですね。 今さらだけど男はつらいよは、ほぼ2つのパートに分かれていて、マドンナと寅の話が後半にあって、前半はもう一つの話って感じ。 本作は前半、寅が赤ん坊を連れてくる話と博が手を怪我する話で、後半赤ん坊は引き取られ、博の手は治ってる。つまり前半が無くても後半は成り立つんです。 もちろん、博の手の怪我を診せた看護婦に赤ん坊を診せに行くって関連はあるけど、マドンナパートの中心は看護婦である必要が無いコーラスグループの話。 たぶんもしかしたら、たくさんのバリエーションを作ったマドンナ・シナリオ案と、同じくたくさん作った前半のシナリオ案(とらやの人々の掘り下げ、寅の旅先話などなど)を組み合わせて、一つの作品にしてるんじゃないかな。 妄想はそれくらいにして、本作はタコ社長の人柄がいい味出てました。博の怪我を心配して、寿司を届けて詫びる姿。印刷所の仕事を止めて社員を休ませる気遣い。いい社長だと思います。 それとおばちゃん。寅の連れてきた赤ん坊を本気で育てようとしたおばちゃん。男が引き取りに来たあとの、おばちゃんの喪失感はもう少し掘り下げてほしかった気がする。湿っぽい話になってしまうけれど。 寅がさくらに7,700円入った貯金通帳を渡すのも良い。名義が諏訪さくらなのがもう、泣けてくる。[地上波(邦画)] 5点(2023-08-27 18:00:24)《改行有》

23.  男はつらいよ 寅次郎恋やつれ 《ネタバレ》 シリーズ13作目。出だしがすっごく面白かったです。旅先で既に寅が恋をしていて、いよいよ成就するか?ってところから始まる新たなパターン。まるでリーサル・ウェポン2のよう。 絹代の振り方も、『主人が帰ってきた!』って屈託なく言うもんだから、今回も寅の一方的な思い込みだったようで… 歌子再登場。ってか、吉永小百合再利用。愛知県のどこかに住んでるハズの歌子が津和野で暮らしていて、偶然再開するなんて、なかなか強引な設定。しかもあのブサ…陶芸家のご主人は結婚1年目で亡くなってる。実生活でも前年にあたる'73年に電撃結婚した吉永小百合。 これは悪く読み取れば、サユリストの「小百合様に旦那はいらん!」って願望じゃなかろうか?映画は夢を観るところ。ならば映画の中だけでも永遠に独身でいてほしい。そんな願望に応えようとしての、本作だったり? 本作は柴又慕情の後日談の意味合いが強く、歌子の父親だけでなく、女子旅仲間のみどりとマリも出てくるのが嬉しい。更に「はい!バター!」のギャグも再登場と、続きもの感が強くて良い。ただね、この歌子がどうにも、何をしたいのかイマイチわからない。前作ではOLだったらしいけど、陶芸家の嫁としてその道に行ったかと思えば、夫の実家で図書館で働き、姑の家を出ても実家には戻らず、今度は看護・介護系の仕事に就こうとする。歌子は何がしたいのか?嫌なものから逃げてブラブラしてるようにも思えてしまう。 夫の葬儀にも出ない父。歌子がとらやに来たと聞いて、とらやに顔を出す父。あぁ、お父さんが考えていた以上に、歌子は全然子供だったんだ。自立した女としてでなく、一人娘、子供として接しなみゃいけなかったんだ。修吉はそう思って、とらやに来たんじゃないかな?そう思わせる展開でした。 最後、絹代のところに顔を出した寅がいい。あの流れだったら絶対歌子だろうって期待を裏切る好展開。未練たらしく独り身の歌子を追うのでなく、フラレた自分を見つめ直す寅が良い。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-23 20:42:02)《改行有》

24.  男はつらいよ 私の寅さん 《ネタバレ》 シリーズ12作目。冒頭の夢がだんだん豪勢になっていくなぁ。本編よりこっち創るのが楽しくなってたりして? ここに来て寅の子供時代の男友達が出てきたり、とらや一家が九州旅行に行ったりと、マンネリ打破に取り組んでいた時期なんだろうか? 今までのシリーズとの大きな違いが、寅が面と向かってフラレるところ。事情を察して身を引いたりはあったけど、今でも使われるであろう「友達でいましょう」は、確か寅さんでは初めてですよね。 そして大抵、寅を踏み台に(もしくは寅は無関係に)幸せに向かって進み出すマドンナだけど、本作のりつ子は失恋(※観てる最中、津川雅彦がりつ子の片思いの相手だと思って、こんがらがったわ。)したまま、宙ぶらりんに終わるのも初めてじゃないかな。 劇中3度も出てくるセリフ「自分の気に入った作品は誰にも売りたくない、まして気に入らない作品は売りたい訳がない」画家を志す者の心中とはこんなものなのか。りつ子が食べるにも困る貧乏画家なのも、嫁に行って出戻って、更には片思いの画家に失恋してしまう男運の悪さも、彼女のこの考え方から来るものなのかもしれない。 言ってしまえば自身の実力に対し理想が高すぎる。一条も寅も自分の理想とは違うから受け入れない。だから幸せにもなれないし、画も売れない。 最後の啖呵売「だが、私にも生活というものがある」が答えだわ。「私の寅さん」なんて言ってる場合じゃない、現実を観て、自活していこう。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-19 17:13:00)《改行有》

25.  愛の嵐 《ネタバレ》 “Il Portiere Di Notte”『夜勤のポーター』。これは、邦題とどっちが良いのか困ってしまう。マックスが夜勤に拘る理由から納得な原題だけど、お客が入るのは邦題の方だろう。なにせあの“トップレス×サスペンダー×軍帽”ポスターのインパクトは強烈で、どれだけ過激なエロスが観られるんだろう?って、興味はそっちに全振りされてたんじゃないかな。 ってか予備知識無しで観たから、何がしたい映画なのかよく分からなかったわ。ナチスがユダヤ人を弄ぶ映像に嫌悪感を覚えたけど、現代のホテルとの繋がりがよく分からず…ネットであらすじ探してようやく、何が起きてるか理解できたかな?くらい。でも何でそうしてるのかサッパリ分からなかった。 マックスはナチス残党たちと上手く交渉するとか、逃げないで籠城が正しかったのか?とか、なんかもっと上手く出来なかったんだろうか。ルチアのために鎖で繋ぐとか意味がわからん。何だろう、周りが見えなくなってしまうほどの…愛? 残党側も兵糧攻めなんて手間と人手の掛かりそうな方法がベストだったんだろうか?ガッと攻め入ってババっとやっちゃえば早かったろうに、中途半端に撃ったり、店の店主や隣人を懐柔したり。隣人トラブルの嫌がらせレベルの兵糧攻めからの、最後は雑に終わらせる始末。 本筋とどれだけ関係しているのか不明だけど、バートのセクシーなダンスと、黙ってそれを観ている将校たち。ユダヤ人男性とのベッドシーンと、黙って観ているしか無い同室のユダヤ人たちの画は、かなり衝撃だったわ。あんな人前で、よくまぁ…って。 名作か駄作か判断に迷う作品だけど、マックスとルチアの“周りの観えてなさ”や“死という退廃的な結末”は、日活ロマンポルノに近い印象です。オーストリアとナチスを背景に、倒錯した愛という衣をまとった成人映画というか。成人映画監督が一般映画枠で撮った実験的な映画というか。[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-14 11:35:17)《改行有》

26.  男はつらいよ 寅次郎忘れな草 《ネタバレ》 シリーズ11作目。ようやく、タイトルの意味が通じる内容の作品登場。 忘れな草の花言葉は「真実の愛」。またリリー(ユリ)の花言葉は「純粋」。 寅が散財して買ったおもちゃのピアノが、タコ社長のうっかり一言のせいで、一気に価値のないものになった時の空気の変わりようが、また絶妙だったわ。必死にピアノをフォローするおいちゃんと博。おばちゃんは奥で魚屋に電話「なんか、お刺し身ある?え?タコだけ~?」最高のタイミングで鐘の音がゴーン…まぁここからいつもの修羅場になるんだけど、間の取り方が、上手いなぁ。 そして舞台は網走です。山田洋次×網走と言えば『幸福の黄色いハンカチ』。個人的には健さんが食堂でビールを飲むシーンと並び、本作の網走の港は名シーンだと思います。二人たたずむ寅とリリー。夜汽車から見る明かりの話。この時の寅次郎の手。指には下品な金の指輪。そしてリリーの足の赤いペディキュア。同様に赤いマニキュアの指先にはセブンスター。二人がカタギじゃないことを一枚の画で観せる。そして海に出る父と見送る子たちを、寅とリリーの対岸に置く辺り、綿密に計算したのではなく、自然とそうなったんだろうな。美しい。山田洋次と網走はよっぽど相性が良いのかな。 今までとは違うタイプのマドンナのリリー。中学で家を飛び出てフーテン暮らしという、同じ境遇のリリーに、寅もさぞシンパシーを感じたことでしょう。酔ってとらやに来たリリーをなだめる寅。「昼間みんな働いて、疲れて寝てるんだ。ここはカタギの家なんだぜ?」こんな格好いい大人な寅を、旅先でなくとらやで観られるなんて。 寅を大人の男として信頼して、子供のようにワガママを言えるリリー。そうか登だ。登の女版がリリーなんだわ。先の話をチラッと調べたらやっぱり。前作を最後に登はしばらく出て来なくなります。メッチャ残念。 一方リリーが結婚して、寿司屋の女将になったのは急展開。今までの作品同様、マドンナは寅のそばから離れて終わるんだけど、1作限りではあまりに勿体ないマドンナだったからなぁ。さて次回はどんなカタチで登場するのかな?[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-08-09 22:39:05)《改行有》

27.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 シリーズ10作目。オープニングの夢、前回のは電柱とか現代のまんまだったのに、セットが大掛りになってきた、マカオの寅だって。給仕さん姿のさくらが可愛い。 初期作のマドンナは世代的にあまり知らなくて、榊原るみ、吉永小百合と、ここに来て私でも見知った人が出てきた感じです。本作は八千草薫。この人は若い頃も晩年も全然変わらない。いい歳の取り方をされたんだな。ただ私の世代だと優しいおふくろさんってイメージだから、マドンナ役もやっていたことにちょっと不思議な気持ちになってしまったよ。そう、ママンの若い頃の恋愛話を観ているような… 前段が寅のお見合い話。浅草の人たちに寅がどう思われているかが、これでもかと描かれる。ダメ人間の例えにされ、落書きに馬鹿にされ(源公が書いたのか)、お見合い話は相手の娘に泣き出される始末。 漫画チックな変わり者の大学助教授が登場。恋愛経験のない岡倉のからかい方が、また意地悪で面白い。 本作では岡倉のために、自分が好きなお千代との橋渡しをしてしまうパターン。お千代も寅に気があったのは新しいパターンかな? 「そんな良いこと知ってんなら、何で最初から言わないんだよ!」散歩先生の回にも出たセリフだけど、恋愛に対して、お千代の告白に対してはこのセリフを言えない寅。腰を抜かすところ、冗談と言われてホッとするところ、寅の引っ込み思案振りがよく出ていたと思います。 登もチョコチョコ出てきて私的には好きな展開な筈なんだけど。なんかサラッと終わってしまった印象。ここに来てちょっぴり、このシリーズにマンネリ感を感じてしまったのかもしれません。 寅「そこのミドリ取ってくれ」博「…ムラサキ(ボソッ)」『アユミの呪い~毛が生えた~♪』なにこの歌こわい。小ネタは相変わらず面白い。 余談ですが1作目からここまで全作レビューされてるレビュワーさん、私含め20名らしいです。さぁここから先が正念場![CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-05 11:45:35)《改行有》

28.  男はつらいよ 柴又慕情 《ネタバレ》 シリーズ9作目。ついに吉永小百合が寅さんデビュー。そして私のお気に入りの登が出てくるのも嬉しい一作。 寅さんといえば夢から始まるオープニング。過去に“瞼の母”や“おいちゃんの死”の夢があったけど、寅たちが何かの役を演じてる夢は本作が初かな? それと本作から観光地の描写が旅の情報番組っぽくなった気が。観光地巡りと名物の食べ物の組合わせ。まぁ田楽美味しそうだったけど。 貸間騒動から博の「酷いこと言うなあ」に続く流れが良いね。家の話は今後も出てくるんだろうか? さて本作のマドンナ歌子。「いつも『寅さん!寅さん!』って言ってる」なんて気を持たせ、とらやに2回も遊びに来る。だけどそもそも寅に対しては恋愛感情なし。一番困るパターンかも。 この歌子。結婚した陶芸家の男を考えると、どうもブサメン好きのよう。気難しい小説家の父はそこを理解していたんじゃないだろうか? 歌子の昔の失恋話として相手から「バラの手入れだけしていれば良い」って言われて怒るんだけど、それを聞いた父は「そんな男やめちまえ」って後押しする。バラの話云々じゃなく、相手がブサイクだったからじゃないだろうか? イマ彼の陶芸家の男に対し「(会ってくれたって、あんなブ男と…)結婚したいなら勝手にしろ、俺は知らん!」と突き放す…自分で気付いてくれと。 自分からフッたのにフラレた気になってる歌子だから、結婚を諦めて父の面倒を診なきゃいけないというのもきっと、歌子の思い込みなんだろうな。言う割に金沢とか旅行してるし。 一緒に旅行に行く友だちの2人にも、恋人の存在は言ってないのに、父が“変わり者の小説家”だとは伝えてる。面倒な女だわ。 劇中、父の反対を押し切って陶芸家との結婚を選んだ歌子。吉永小百合はこの映画の翌年、両親の反対を押し切って、15歳も年上のプロデューサーと結婚している。披露宴には両親が来なかったそうだから、これまた面倒な女かも?[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-07-25 01:11:32)《改行有》

29.  男はつらいよ 寅次郎恋歌 《ネタバレ》 シリーズ8作目。なに?おいちゃん役の森川さん、本作を最後に亡くなってしまうのか。シリーズの長さを考えると、あまりに早い重要人物の交代は、心より残念に思います。 オープニングから重たい雨。旅芸人の座長と景気の悪い近況話。さくらの耳に入る悪い例えに使われる寅の話。寅が帰ってくるなりいきなりギスギス。驚いたのは酔っ払いを連れ込んでの酒宴。とらやのみんなにイライラしてる寅、おいちゃんたちを使用人呼ばわり、さくらに一曲歌えなんて…これは最低だ。寅ってこんな奴だっけ?って驚いてしまった。観ていてヒリヒリと痛い。続く博の母の葬式。食事の席での言い争いと、笑えない場面が続く。う~ん、重たい。 寅が博の父と暮らし始める辺りから、いつもの調子に戻ります。日暮れのリンドウの花越しに見る家庭の明かり。家族の食事。瓢一郎の人生観。この深い話を繰り返し出して、借り物の話の伝わらなさ、本人に話す気まずさ、苦し紛れに出てしまいマドンナの心を奪わせる。上手いなぁ。 寅の女性観には、今の暮らしと違う、人生が変わる“憧れ”があるんでしょう。今回のマドンナは寅の暮らしに憧れます。本気じゃないにしても、寅に対する探りとも言える「私も一緒について行きたいな」。 寛子と未知の新しい暮らしをするのでなく、自分の暮らしに寛子を連れて行く。それを想像して、寅は一気に現実に引き戻されたんでしょう。中学で家を飛び出した寅。テキ屋稼業の大変さは身に沁みています。万に一つ一緒になって、学(子供)はどうなる?そう考えると、身を引くしか無かったんでしょう。 最後の寅とさくらの会話。「兄ちゃんの、こんな暮らしが羨ましいか?」そんな問に対するさくらの返しが心にグイッと来ます。 旅先で偶然再会した一期一会の旅一座。お互いいつ死んでても解らない風来坊の暮らし。「そうかい。良かった。本当に良かった。」いまが無事で居ることを確かめ合う。なんか本作、最終回の前に見返したくなるかも? 「それを言ったら、おしまいだよ」おっとここで出た名台詞。売り言葉に買い言葉。なんか初めて聞いたような気がしてたけど、1作目から言ってた模様。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-15 16:02:57)《改行有》

30.  スーパーマン(1978) 《ネタバレ》 “Superman: The Movie”はデイリープラネット社のレイン記者が“A FRIEND”と名乗る超人的能力を持つ人物に付けた名前。地球人としての名前は『クラーク・ケント』で、その正体はクリプトン星人の『カル=エル』。 '50年代前後に、何度か映画化やアニメ化、ドラマ化を経て、決定版として本作が創られた感がありますね。電話ボックスで変身しようとしたら公衆電話(スタンド)化してたなんて、時代を感じさせる遊び心も感じられます。 ストーリーを完全再現する方向性なのか、我らが知るスーパーマンが登場するまで50分も掛かります。クリプトン星の滅亡からクラーク・ケントの学生時代、両親との別れなんかが描かれるんだけど、ゾッド将軍の追放とか、本作だけだと意味不なシーンも入ってますね。 アメコミ変身ヒーローの王道作品で、ジョン・ウィリアムズの有名なスコアも映画を盛り上げます。そして何よりスーパーマンのヒーロー性・真面目なキャラ設定も、王道一直線って感じです。 王道のスーパーマンに比べたらバットマンは根暗。フラッシュ・ゴードンはウスノロ。スパイダーマンはいけ好かないマイペース野郎… 子供向け変身ヒーロー映画の王道作品なんだけど、時代に沿って取り入れたのが“お色気要素”。ハスキーボイスでキュートなロイスに、劇場に子供を連れてきたお父さんも釘付けです。 路上強盗を蹴り倒すロイス。スカートからスラリと伸びる足を収める絶妙なカメラ位置。 そう来たらヘリコプターからぶら下がるロイスを見上げる視線に期待しないわけがない。見えそうで見えない演出がニクいですね。 シースルー・ドレスに夜空の散歩。そうか、ピンクなのか。 ミス・テシュマッカー(吹き替えだとのび太の声だった)もシースルー・ドレス。大サービスでプールにドボン。子供向けなのにミス・テシュマッカーの胸が。 でもキスシーンの可愛さに、普段なら目くじら立てるお母さんも大満足。わかるわその気持。 スーパーマンのピチピチのコスチュームが、水に濡れてハッキリ観えるムキムキのボディライン。そういやピッタリした赤いパンツもセクシーです。 この映画をキッカケに、後のアメコミヒーローの映画化に、必要不可欠な要素(お色気)が決定した!と言っても過言ではないでしょう。 この流れで書くけど、カル=エルって性格歪んでます。 ロイスが派手なスーパーマンに惚れてるのを知っていて、地味な友人クラークを演じて、ロイスの心を探って楽しんでます。 ここに来て、必要性が不明だったクラークの学生時代、アメフト部で虐められていた描写が、彼の性格が歪んだ理由として見事に立ち上がってきます。 う~ん…スーパーマン=アメコミヒーロー映画の王道。…なんて安易な言葉で片付けちゃいけない、闇の深さを感じますねぇ。[地上波(吹替)] 7点(2023-07-10 14:36:16)《改行有》

31.  男はつらいよ 奮闘篇 《ネタバレ》 シリーズ7作目。この当時のタイトルって、内容とかと関係なく、取り敢えず付けてたんだろう。前作から3か月後の'71年4月の公開。 嬉しかったのが母お菊と坪内冬子の再登場。寅さん世界は“サザエさんループ”してたのか?って思いかけていたところで、二人の登場で時間の概念がきちんと刻まれてたんだな。って…私の中でね。 寅の1年ほど前の手紙から整理してみる。オープニングで集団就職が出てくるから季節は春だろうか?3月くらい?浦安の節子さん(5作目)は去年の夏。幼稚園の秋子先生(4作目。春子の言い間違い?)が1年くらい前で、散歩先生の夏子さんは、そのもう少し前(2作目、このとき寅が初めてお菊と会ってる)。 名前の出てない冬子(1作目)はお菊と出会う前。お志津(3作目)は、寅の旅先の事だからおいちゃん達は詳しくは知らない。夕子(6作目)はついこの間… さぁ寅のお嫁さん候補は誰だ??私はお志津の事だと思いました。大きなヒントとして『住所が書いてない』こと。浦安と湯の山温泉以外だったら柴又のとらやに住んでそう。お菊と関係改善された直後の3作目ということもあり、お志津の可能性大かと…ハガキの消印が気になるところ。 本作では『頭が薄い』花子がマドンナです。今の世の中では考えにくい思い切った表現だけど、キャラ設定で頭が薄そうな喋り方するあのタレントが毎日テレビに出てくる今の世の中も、それはそれでどうかと思うけど、花子は都会に出て頑張って生きてきて、アテもなく逃げ出してます。 今までの寅と同年代のマドンナに比べ、花子はまだ子供。演じる榊原るみもまだ20歳。40歳手前設定の寅も流石に接し方が違いますね。純粋で汚れていない花子からは“守ってあげたいオーラ”が出ています。 とらやのみんなは反対するけど、寅と花子は今までのベスト・カップルな気がするなぁ。世間が2人をどう見ようと、どんな子が産まれようと、2人が一緒になるのは、ベストな気がするけどなぁ。福士先生と一緒に青森に帰るけど、それは寅と結婚しても出来たんじゃないかなぁ? 中学で家を飛び出した寅。まだ幼いさくらの面倒をロクに見てやれなかったかつての自分。寅はきっと、まだ子供の花子に妹のさくらを重ねたんだと思います。今度はきちんと面倒見ようと、そんな決意があったのかも。 そう思えたから、事故とはいえ、寅がさくらをぶったのはショックだったけど、自分の決意を全否定された寅の悲しい気持ちも、なんか解るなぁ。後から手紙で謝る不器用さは寅らしいかも。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-10 13:19:53)《改行有》

32.  男はつらいよ 純情篇 《ネタバレ》 シリーズ6作目。どこがどう純情篇なのだろう?こっちこそが望郷篇じゃないの?なんて思ったり。 男はつらいよは、'69年8月、単独作品として公開されたところ、好評で続編を創り、それも好評でシリーズ化。それでも5作目で完結したのが1年後の'70年8月。凄いハイペース。そこからまだまだ引き伸ばして創った作品が本作のよう。DBで言えばセル編か?'71年1月の作品。 出だしから行きずりの女を助ける寅。彼女を抱かない理由を優しく言い聞かせるのが格好いい。五島に行ってからも女と父親の板挟みになりつつ、故郷について自分の思いを話す寅。随分と大人な言い方で“シリーズ化に際し人情モノに全振りしてきたか?”って思ったくらい。 だけど柴又に帰ってくると、博とタコ社長の板挟みになって、出先で見せた大人なところを発揮せず、有耶無耶に投げ出して、無責任に酒宴に参加してしまうのが、何だかなぁ…だわ。 本作のメインが朝日印刷の現状なのかな?博が居ないと経営が厳しいこと。タコ社長の奥さんと小さな子どもたち。従業員慰安レクの舟遊びのショボさ。大変だな梅太郎さん。 おばちゃん「この人ね、私のいとこの嫁行った先の主人のメイの、夕子さん」こういう『…要するに、誰?』ってなる冗談話好き。だけど、ついこの間まで春子先生(3作目)に間貸ししていた部屋をまた間貸し。時間軸とか気にしちゃいけない作品なんだろうけど、寅さんって大学時代の私より故郷に帰る頻度高いわ。 最初と最後の宮本信子&森繁久彌の親子の話は良かったけど、長期安定シリーズに入るための低空飛行か、単独作品としては際立ったものを見つけにくい作品でした。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-07-02 15:36:54)《改行有》

33.  男はつらいよ 望郷篇 《ネタバレ》 シリーズ5作目。本作でシリーズを終わらせる予定だったそうで、1作目に回帰するように寅&登コンビ復活です。ここまで順番に観てきた印象では、共通のお約束はあるけれど、各作品個性が出せていてマンネリ感はなく、寅を中心に登場人物を深掘りしていくようで面白いです。 本作は寅がテキ屋をやっている姿は出てきませんが、テキ屋を生業とする者の生き様、仁義が描かれています。正吉親分の死をキッカケに登の兄貴分としてピリッとした空気を創り出してます。旅館で登に酒を注ぎ、自分には注がせないで父親の話を始める寅。兄弟の杯を割り、泊まり客に凄んで見せる寅はまさにヤクザ者。前作で子供と一緒に歌ってた寅とは一転して、寅がどんな世界で生きているかが観えてきます。 本作のタイトル・望郷篇。最初ピンとこなかったんだけど、寅次郎の心の拠り所と考えるとストンと落ちました。 本作ではさくらの出番も増えてます。むしろ前2作の出番があまりに少なかった(山田監督の陰謀?)んだけど。本作では生まれ故郷の柴又に帰ってきた寅と、それまでのテキ屋として生きてきた寅。それぞれの世界で寅の拠り所となっていたのが、柴又の妹・さくらと、テキ屋の弟分・登でした。 最後、いつものように柴又を後にする寅。訪ねてきた節子に『いつものことだから』という顔を見せるさくら。一方で朝里の海岸で偶然にも登と出会って、嬉しそうに仁義を切り合う寅と登。これまた『いつものこと』なんだろうな。と思わせる、素晴らしい終わり方でした。 あ、私が生まれるちょっと前の札幌と小樽と共和町の景色も楽しめて、テンション上がりました。あの頃までSLが走ってたなんて思わなかったわ。旅館に貼られた札幌五輪のポスター。そうかそんな時代か。札幌はオリンピックを境に急速に発展したんだろうな。 当時の小沢駅周辺、末次旅館のある風景の味わい深さ。ロケ地を回る個人サイトの写真と見比べると、今の小ざっぱりとしてしまった北海道の田舎の寂しさが、なんか私にとって望郷って感じです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-06-26 08:39:00)《改行有》

34.  新・男はつらいよ 《ネタバレ》 前作に引き続き、山田監督作品じゃない寅さん。前作の舞台が寅の旅先が中心だったのに対し、本作の舞台はほぼ柴又。前作同様、さくらはあまり出てきません。なんか3作と4作でワンセットになってる印象です。 今回のマドンナがとらやに下宿するというのも、前作の寅が旅館に住み込みで働いていたのと対になってるのかな?って。 ここに来て思ったのが、オープニングで寅が、悪びれもなく赤の他人に迷惑をかけるシーン(本作ではバスで窓側の席の乗客を押しのける)を入れてくるんだけど、当時は純粋に“笑い”として入れてたんだろうな。って。自転車の列が土手からコケたり、寝てる人の頭をカバンで小突いたり。オープニングのこの場面はね、どうにも「寅次郎、酷っ…」って思ってしまうわ。 前作でとらやのツケで大盤振る舞いしたからってワケじゃないだろうけど、競馬で大当たりしたお金で、おいちゃん夫婦と一緒にハワイ旅行に行かせようとします。ここから先の展開はまるでこち亀を観てるかのよう。悲しいやら情けないやら、追い打ちを掛けるように泥棒まで入ってくるなど、ドタバタしたコメディ要素が満載でワクワクしました。 本作の影の主役はおいちゃんとおばちゃん。青いJALのカバンを下げたおいちゃんとおばちゃんの嬉しそうな顔。慣れないカタコト英語。ハワイに行けなくなってからの二人の言い分なんか、とても人間臭いリアリティを感じました。最後も寝たふりで寅を見送るところが、寅の親代わりなんだなぁって微笑ましかったです。そういや今さらだけど、おいちゃん夫婦には実子が居ないのかな? 春子の父の死は、もっと話の筋に絡めてもって思ったけど、重たくなるから抑え気味にしたのかな。会沢という友人の訪問が突飛に思えたのもあって、とらや住み込みという好条件な割に、マドンナの印象が薄い。春子に近づくためとはいえ、幼稚園児と一緒になってはしゃぐ寅が可愛いです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-21 23:45:32)《改行有》

35.  男はつらいよ フーテンの寅 《ネタバレ》 フーテンとは、瘋癲と書いて…精神疾患の意味??とんでもない事を知ってしまった。 順番に観て3作目。監督は違いますが、さほど作品としての違和感や、キャラクターの破綻なんかは感じませんでした。きっとTVシリーズで既に車寅次郎というキャラクターが一人歩き出来ていたからでしょう。 一人歩きと言えば、本作は寅次郎の日常、日本中を旅する姿がメインとなっていて、お馴染みの柴又へは一度しか行ってません。そのため寅次郎のフーテン具合がよく伝わる作品となっていて、ある意味面白かったです。 家族写真のさくらを奥さんだって見栄を張る寅。博と喧嘩になって、あっさり負けて呆然としている寅。染子の父の気持ちを代弁し、その父に対しテキ屋として最大級の礼儀を示す寅。普段は馬鹿で子供だけど、テキ屋の世界に長く居るだけの人物であることを観せてくれてます。最後の桜島行の船での口上の実演なんか、定番だけどやっぱり聞き入ってしまう。 このシリーズをキッカケに、フーテンという言葉の本来の意味から、何ものにも縛られない、自由気ままな暮らしをする人物。みたいな意味が書き加えられたそうな。 マドンナとしてお志津が配されていますが、彼女との恋の駆け引きは今回殆どなく、お見合いから駒子夫婦の復縁に必要以上に大盤振る舞いさせたり、信夫と染子の駆け落ちを後押ししたり。自分の為でなく人の為に奔走する寅次郎が印象的でした。 でもそこはフーテン。無断でとらやのツケでご馳走用意したり、ハイヤー呼んだりと、どこかズレてるんだけど、さくらの「でもお兄ちゃん、別に悪い事した訳じゃないもんね」って一言と、大晦日に駒子夫婦も招いているおいちゃんに、ホッとさせられました。 『ゆく年くる年』がとらやのモノクロテレビから、お志津の家のカラーテレビへ。これだけでお志津が裕福で不自由のない暮らしに入ったことを表す手法はお見事。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-06-07 22:40:53)《改行有》

36.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 私の世代のルパンはピンクジャケットでしょうか。でも全然観てなくて、夕方の再放送の赤ジャケが一番馴染みがありました。 夏休みとかの午前中に放送されていた、もっと古いルパンが緑ジャケですね。チャーリー・コーセイの歌が格好良く(子供には可笑しかったけど)、インパクトが有りましたね。 ルパンのTVアニメは当初、ハードボイルドな怪盗&殺し屋という大人向けの作風でしたが、あまりの低視聴率から監督が自主降板。テコ入れで参加させられたのが宮崎監督。大人向けに完成しているルパンというキャラを、視聴率のために子供向けに軌道修正して創り変えられたそうです。健闘及ばず、緑ジャケのルパンは23話で番組打ち切りという結末を迎えました。 再放送で人気が出たルパン。本作公開当時、テレビでは赤ジャケのルパンが放送されていました。赤ジャケのルパンは155話もの長寿番組となり、以降映画やTVスペシャルでは、赤ジャケがルパンの代名詞となっています。 では何故、カリオストロでは緑ジャケに逆戻りしてたのか?宮崎監督はおそらく、自分が育てた(産んだわけではない)不遇な緑ジャケ・ルパンの、最後の大冒険・引退の物語として、本作を創ったんじゃないでしょうか?そうであれば、本作の優しいルパンが、モンキー・パンチ氏の創ったアダルトなルパンとも、コミカルな赤ジャケとも違うことが観えてきます。 最初のカジノでルパン一味は「ざっと50億」もの大金を手に入れます。モナコだから円ではなくフランかな?'79年あたりは1フラン=50円~60円。これはもう一生遊んで暮らせるお金です。泥棒稼業の“退職金”としては充分な金額だったハズ。 だけどルパンは偽札だからって捨ててしまいます。自分たちの“退職金”が偽札だったなんて恰好悪いコトが出来なかったんでしょう。 「次元、次の仕事は決まったぜ!!」カリオストロ公国のゴート札。ここを攻略したって偽札しか手に入らないはず。尻尾を巻いて逃げ出した、駆け出しのチンピラ時代の精算なのか。思い残しを無くすことが、今のルパンが考える“仕事”なのかもしれません。そう考えると、たまたま出会った少女を悪い奴から助ける事も、今のルパンには立派な“仕事”なんでしょう。 派手なベンツから安い大衆車フィアットに乗り換え、100円ライターを使ってシケモクを吸い、カップうどんを食べる。そして何より不二子を“追わなくなった”ルパン。不二子とは実に1年ぶりの再会。 豪勢なもの、精巧な偽札、不二子との縮まることのない男女の関係さえ、今のルパンには宝物では無くなっていたのかもしれません。 カリオストロのダム湖の秘密を暴き、無垢なお姫様と一緒に暮らす未来も掴めたのに、彼女を抱きしめることなく立ち去るルパン。 「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」ルパン三世の長い歴史の中で、クラリスの心ほど価値のあるものがあっただろうか? 「おめえ、残っててもいいんだぜ?」返事をしないルパンが、不二子の収穫、偽札の原盤を見て元気を振り絞る。そして追いかけっこはいつまでも続く… 宮崎監督が育てた緑ジャケットのルパン三世は、宮崎監督の考える最も価値のあるものを盗んだからこそ、このカリオストロの城が最終回なんです。[地上波(邦画)] 10点(2023-05-27 01:23:31)(良:1票) 《改行有》

37.  ドランク・モンキー/酔拳 《ネタバレ》 “Drunken Master”『大酒飲みの達人』。ジャッキーのカンフー映画黄金期の作品はほとんど好きだけど、一番完成度が高いのがこの酔拳でしょうか?いろんな格闘技がある中で、酔っ払いの動作で敵と闘うって発想が凄い。ダンスのような酔拳の動きは小学生にも真似しやすく、カンフーの組手ごっこは、プロレスごっこみたく痛くないからか、男子はみんなやってましたね。 殺し屋の鉄心良いですよね。生意気な飛鴻をさんざん痛めつけるけど、殺したりしないオトナな対応。たぶん初めて見る酔八仙に対し、封じ技の無影拳で対抗するのは殺しのプロらしくてカッコいい。 あと棒のオッサンが結構好きです。相手が蘇と聞いて帰ろうとするトコが最高。腹から出血してたけど、生きていてほしいなぁ。 今改めて見ると、ストーリーは結構雑です。街で見かけた可愛い娘が従姉妹、叔母さんは拳法の達人だけど2人の出番は前半のみ。個性の強い師範代(ディーン・セキ)も出番は最初の方だけ。街で喧嘩したキザ男の父親が飛鴻のお父さんの商売敵だったけど、特に掘り下げなし。殺し屋鉄心を倒して…商売敵とのその後は?飛鴻とお父さんのその後は? なんかツギハギだらけの話でモヤモヤしそうだけど、一切ご心配なく。華麗なカンフーの動き。だんだんランクアップする敵。観たこともない修行方法。合間に入るコメディ要素。CGの無い時代、人間の身体能力のと華麗な組み手が、観ていて飽きさせない、観ていて疑問を感じさせない、観ていて退屈させない、すごく前向きで明るくてパワフルな、素晴らしい娯楽映画だと思います。 やっぱりジャッキー映画は石丸さんの吹替版が良いよね。カーーーンフーージョーーーーnデデッテーーーーン♪[地上波(吹替)] 10点(2023-05-20 20:18:46)《改行有》

38.  ガントレット 《ネタバレ》 “The Gauntlet”『四面楚歌』。もともとは『(囚人が2列に並んだ兵士の間を通らされる)刑罰』だそうで、通ってる間、囚人は両側の兵士からボコボコに殴られるんですね。痛そうですね。刑事ショックリーのバスが、仲間の警官たちに撃たれるラストシーンがそのままガントレット。 小中学生の頃、年イチくらいのペースでテレビで流れてた印象です。単純なストーリーで、目的もわかりやすく、いかにもクライマックスな銃撃。最後も悪党に一撃食らわせて痛快。週末の夜を締めくくるのに程よい満足感を得られました。 今回、それこそ35年ぶりくらいに再見しましたが、声が山田康雄じゃないこと以外、要所要所はしっかり覚えてました。 ソンドラ・ロックがノーパンなこと。法律に詳しい暴走族がいること。貨物列車で鉢合わせ&最後女を殴るとこ。自分の生死の賭けに大金かけるトコ。手を降って応援するお婆ちゃん。手で“行け!”って合図するジョセフソン…覚えていたなぁ。私の中に染み込んでいるんだなぁ。 そしてイーストウッドの刑事モノと言えばダーティ・ハリー。ぱっと見キャラハンとショックリーってキャラが被るけど、キャラハンは検挙率も高く警察内外ともに有名人。一方でショックリーは、理想も高く警官になったものの、現実はうだつの上がらないボンクラ刑事で、とかげの尻尾切りに抜擢される始末。 本作はイーストウッドとロックが交際を始めてからの一作目らしく、バスの中で未来像を語る二人が、現実のラブラブな二人とシンクロして面白い。“好きな女に自分の弱さと理想を語る”この大役は、スーパーヒーローのハリー・キャラハンには似合わない。だからわざわざ、等身大のショックリーという、一回限りのキャラを創り出したのかもしれない。[地上波(吹替)] 6点(2023-02-08 21:38:30)《改行有》

39.  未知との遭遇 《ネタバレ》 “Close Encounters of the Third Kind”『第三種接近遭遇』。J.A.ハイネック博士が定義した空飛ぶ円盤と遭遇した際の分類。 第一種は“円盤を至近距離で見る”で、第二種は“円盤が周囲に影響を与える”で、第三種が“円盤の乗組員と接触する”ことなんだって。へぇぇ~、ロボット三原則みたい。だけどコレだと意味がわからないから、『未知との遭遇』で正解なんだろう。 子供の頃テレビで観たのは“特別編”だったっけ。UFOというと、ふよん・ふよんと空に浮かぶ円盤状の物体だったのが、この映画で細かくてきらびやかな物体へとイメージが進化したんだよな。大都市の夜景のようなキラキラした宇宙船“マザーシップ”の美しさに目を奪われたわ。そして宇宙人と言えば銀色のピチピチしたスーツを着ているイメージだったのが、頭の大きい子供体型の宇宙人のイメージに。 何よりもウルトラマンに慣れ親しんだ私達には、宇宙人=“地球に侵略に来る者”、もしくは“侵略から守る目的の者”だったのに、“単に友好接触してくるだけの者”は斬新だった。 矢追純一のUFO特番とかで、グレイという宇宙人を知ったのは、この映画の後。当時のSF映画とマッチする、リアリティある宇宙人だなって思えたわ。 そして何より、デビルズタワーが実在しているのが一番驚いた。アメリカ人や地理に詳しい人がどう思ったか知らないけど、あんな奇妙な山が実在するなら、UFOや宇宙人が地球に来ていてもおかしくないよな。って思えたわ。 このような映画を観ていると、アメリカは本当に宇宙人と秘密裏に遭遇していて、そのうち一般に公開された時に、ビックリしないように、この手の映画が創られている。って説も頷けるところ。 そしてこの『未知との遭遇』は、友好的な宇宙人とのファースト・コンタクトものの元祖として、リアルとファンタジーの混ぜ方がとても上手い作品だったと思う。怪現象の一つバミューダ・トライアングルは取り入れ、ビッグフットには失笑を。ミステリーすべてを包括するのではなく、宇宙人をリアルに見せる味付けに使う。さじ加減が上手い。 インドで録音した歌が手話と合わさり(当時としては)未来的な楽器シンセサイザーを介して、宇宙人と最初のコミュニケーションを取る。人類が発展・進化していく中で、宇宙人とのコミュニケーション方法に気がついていく過程としているのが面白い。 子供の頃は、人間に媚を売った可愛い宇宙人の出て来ない、大人な味付けのこの映画が、かなりお気に入りだったわ。[地上波(吹替)] 7点(2023-02-04 20:17:27)《改行有》

40.  高校生ブルース 《ネタバレ》 オープニングの4バカ(あ、ウルトラマンタロウの人だ!)、女子の生理日チェックに、もっとヌードや性行為が売りの、ロマンポルノ的な映画かと思っていたけど、大人に成りかけの子供が妊娠してしまうという、当事者の悩みと苦しみが丁寧に描かれていて、エロスよりそっちに関心が向かってしまい、観終わって心がズシンと重くなる内容でした。 スラッとしてスタイルと姿勢が良く、顔立ちが整っていて、今の目で観ても美しい関根恵子。当時15歳にしては大人びて観える。 彼女の表情が演技演技していなくて、例えば昇に妊娠を告げる不安げな表情。佐伯のオジサマに嫌悪感を示す表情。とてもデビュー作は思えない。 興味本位で美子と関係を持って、妊娠を告げられて動揺する昇の台詞。責任を背負いたくない感じがよく出ている。 それでもスラックスにネクタイで、妊娠の本を読んだり産婦人科に行ったりと、子供なりに何とかしようともがき苦しむ姿が生々しい。堕胎費用を工面しようと、美子にも家族にも内緒でバイトするところなんか、自分が撒いた種、美子の妊娠を無かった事にする努力がリアル。内田喜郎がこれまた見事に演じていた。賢そうで内気っぽく、イザって時に頼りなさげなところが、イケメン五十嵐とまるで違う。でも目に力があるなぁ。窓際から美子を見る姿に、昇が何を思っているのか手に取る様に解る。 クライマックスの体育倉庫の衝撃。本当に、痛いんじゃないか?これ、演技なのか?関根恵子、演技でこんな表情出来るのか?デビュー作で。若干15歳で。 昇の苦しそうな表情から、徐々に遠慮が無くなる負の感情も伝わってくる。自分が撒いた種なのに、まるで逆恨みのように。延々と続く苦しみの表現に思わず目を伏せたくなってしまうが、目が離せない。映像の力が凄い。 硫酸。いつも笑っている少女。微笑ましいカップル。そして今の自分。「~これから始まるのよ…」オープニング同様、堂々と胸を張って歩く美子が美しい。[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-12 23:00:31)《改行有》

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