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421. ああ結婚 一応コメディ・タッチですが、お国柄や時代を反映してか、そんなに笑えない。フィルメーナが結婚にこだわるというのも時代を感じさせて、今なら結婚せずにすませるかもと思います。ドメニコにどれほど惚れているのか、映画を見ただけではあまりよくわからない。マストロヤンニの軟派ぶりは面白かった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-08 16:58:37) 422. 花嫁の父 《ネタバレ》 コメディタッチですが、全体として笑いに品があって楽しめました。特にモーニングのくだりは、「あるある」と思う人も多いでしょう。父親を演じているのが謹厳実直タイプのスペンサー・トレイシーというのもいいです。式や披露宴にお金をかけないという、中流階級の結婚観が見えていてるのも興味深い。近所づきあい、仕事上のつきあい、今なら思い切って切ってしまえても、当時は非常に大切にされていたことがよくわかります。古きよきホームドラマでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-31 20:40:49) 423. モロッコ 《ネタバレ》 主役2人がとにかく格好よすぎ。ハンサムなディートリヒにやられてしまいました。しかし、リンゴを売るというのは笑っちゃいますね……。大男のクーパーも、キザなところがたまりません。お話はたわいないといえばたわいないのですが、各人物が相手をいたわり合う心情がよく出ていたと思います。とはいえ、基本的にはクーパー/ディートリヒのカップルを鑑賞する映画でしょう。ただ、ラストはやられた。パラマウントのロゴに“The End”の文字がかぶさってもなお、音楽と風の音が鳴り続けている。粋なこの映画にふさわしいラストでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-30 11:47:48)(良:1票) 424. リトル・ミス・サンシャイン 《ネタバレ》 なかなかの良品でした。いちばん印象的だったのは、オリーブがお母さんに「やめてもいいのよ。やっぱり出る?」と言われ、あくまで出場するところ。たぶん彼女、最初に顔見せした時点で絶対に優勝できないことを確信したと思います。それでも出たのは、死んだじいちゃんのためでもあり、ここまで連れてきてくれた家族のためでもあり、何より自分自身のためでしょう。出ないと一生後悔するであろうことを、本能的に理解していたと思います。それはきっと、じいちゃんの教育あってのたまもの。本作で最初から最後まで前向きだったのは、じいちゃんとオリーブだけでしょう。 で、一風変わった負け犬一家ですが、それでも大切なものをもっている。それは人に対するやさしさ。特にじいちゃんの気の遣いようは、ぶっきらぼうで不器用だけど相手に対する愛情を感じさせます。フランクに「君もゲイの雑誌を買ったらどうだ」なんて言うのが典型的。ついでのようでいて、実はそれが目的でしょう。本作にはそうしたやさしさ、心遣いに満ちあふれています。この一家、全然負け犬じゃないですね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-05 22:34:15)(良:2票) 《改行有》 425. 西部開拓史(1962) 《ネタバレ》 これもなかなかすごい映画ですね。西部開拓の歴史をある一家の視点から描いた大河ドラマ。撮影も美しく、シネラマの大画面で見たらさぞかし迫力満点だろうと思われますが、今の日本にシネラマを上映できる映画館があるか疑問なので、テレビで我慢するしかありません。お話も魅せますし、西部開拓の負の面も一応描いています。とはいえ、基本的には「アメリカ人の、アメリカ人による、アメリカ人のための」アメリカを讃える映画であることは間違いないでしょう。であっても、日本人が楽しめないわけでもありません。豪華オールスターキャストだけでも堪能できます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-04 12:52:56) 426. 天平の甍 《ネタバレ》 長いけれど、見ごたえがありました。問題は、鑑真がそれほどまでして日本に渡ろうとする理由がよくわからないことですが……。それほど当時の日本は、仏教国として遅れていたということなのでしょう。留学僧それぞれのドラマが描かれていたのはよかったです。中では業行の末路はインパクトが強かった。あれはやはり、海南島の寺に教典を納めたのに、それを憤ったことへの仏罰ということになるんでしょうね。鑑真役の田村高廣が、常に冷静にして高潔な高僧を演じて、はまり役でした。成功のキャスティングです。ロマンスをほのかに味付けしたのも好感が持てます。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-03 11:42:32) 427. 紀ノ川 《ネタバレ》 NHKの朝のドラマにあるような「女の一代記」なので、映画で見るのは少々つらいか。実際、花の子供は都合何人いるのかよくわからなかったり、娘の反発と和解はもう少しじっくり見せてほしかったとか、不満はあります。しかし、二時間半を越える長尺で明治・大正・昭和に渡る一家の歴史、女の半生だけでなく、時代の推移やそれに伴う地主階級の栄枯盛衰を描いたことは、評価できましょう。それになんといっても司葉子がすばらしい。20代から70代まで、それぞれにふさわしい演技で、賞賛されるのも納得です。岩下志麻も我の強いところがそれらしくてよかった。男性では田村高廣よりも、本音で生きている丹波哲郎の弟に魅力を感じます。自然や田舎の家屋を美しく撮った撮影もみごとでした。ただ、武満徹はあまりやる気が感じられませんでしたが(笑)。 製作当時はテレビが普及してきていて、それに対抗しようと作られた大作らしいですが、最初に書いたように題材としてはテレビドラマ向けなので、かえってテレビのよさを認識させる結果になったのは皮肉です。とはいえ、日本の古きよき伝統も描いた、力のこもった良作と感じました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-28 20:08:23)(良:1票) 《改行有》 428. 真実一路 《ネタバレ》 なかなか深い作品と見ました。自分の真実を貫けば、他人に迷惑を及ぼすことは避けられません。普通の人は現実と折り合いをつけて生きていくわけですが、自分を偽るとやはり不幸になることもある。ならばどう生きるのか。深すぎて私などには底が見えない話ですが、人が生きていくことの核心を問うような内容です。しかしそれだけに、やや食い足りない感じもしました。素香おじさんがひょうひょうとしていて面白いと思ったら、多々良純さんでしたか。テレビでしか見たことがなかったので、イメージと違い驚きました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-09 20:47:18) 429. キリング・フィールド 《ネタバレ》 よくやったと思います。実話を元にしているということで映画もドキュメンタリー・タッチ。大量のエキストラや大道具・小道具を動員しての同時進行撮影は、見ごたえがありました。内容としては、前半シドニーとプランの友情を軸に進行しているのですが、2人が別れてからは主にプランの見聞したカンボジアの情勢が中心となります。このため友情物語という側面は薄くなり、せっかく最後に再会しても、付け足しという感じになってしまいました。「イマジン」を使ったのは失笑もの。 そのカンボジアでのクメール・ルージュの残虐行為についてはしっかり描かれ迫力もありましたが、一方アメリカ批判の方は出てくるものの、時間的に少ないし訴えるものも少ない。これは、アメリカ批判が言葉だけで語られることが多いのに対し、クメール・ルージュの行いは画で見せることもあるのでしょう。当時のカンボジアでの行為を明らかにしたとはいえ、この点不満が残ります。物語の展開も含め、全体としてバランスがよくないと感じました。しかし見るべき点も多く、良作であることは間違いないでしょう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-29 20:55:03)《改行有》 430. 兄とその妹(1939) 《ネタバレ》 お洒落でモダン。女声合唱のタイトル音楽が、それを象徴しているように思います。主舞台となる間宮家は、戦前のことゆえ日本家屋で和服の生活ですが、洋装の妹・文子が思いっきりモダンな要素となっていて、三宅邦子の義姉と好対照になっています。兄も含め、それぞれを思いやる三人の心の機微がよく描かれていたと思います。特に、文子役の桑野通子が素敵でした。前半は大きな事件がなく、状況説明や伏線とはいえ、やや間延びした印象となったのが残念でした。よく言えば、伸び伸びしているのですが。 最後に大陸に渡るというのも、その後の経緯を知っているだけに、めでたしめでたしとは思えず、尻切れトンボな思いが残りました。間宮家はけっこう裕福な家庭のようでしたが、そうした層の方が現地の情勢についてうとかったのかもしれません。まあ、当時のスタッフがこの最後になにを託していたかというのは、私にはうかがい知ることはできませんが……。 ちなみに、文子が同窓生とウェルナーの「野ばら」を歌う場面があるのですが、詞が現在一般に知られている近藤朔風の訳詞ではありません。誰の訳なのでしょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-22 21:53:47)《改行有》 431. 羅生門(1950) 《ネタバレ》 ストーリーとしては、原作にかなわないですね。これはやはり、真相がわからないから面白いのであって、目撃者がいたのでは興ざめ。しかもそこから、なにやら教訓めいた結論を出しているのもよくなかった。原作にないため、付け足しという感じが強いです。監督としてはこれが言いたかったのでしょうが、どうも俗っぽいという気がします。 逆に映像の方は、すばらしかったと思います。どちらかというと、映像を鑑賞する映画ではないでしょうか。海外で高く評価されたのもうなずけます。早坂文雄もあいかわらずいい仕事をしています。それだけに、強引に(と思える)「いいお話」に持っていったのが残念でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-17 20:33:46)《改行有》 432. 愛情物語(1956) 《ネタバレ》 いかにも“古き佳きアメリカ”という雰囲気ですね。一代記なので、今なら連続ドラマ向けの題材でしょう。話の進行が早いこと。映画としては夫婦や親子の情愛を狙っているのでしょうが、個人的には「音楽の持つ力」を再認識させられました。そういう意味で、戦争中に子供とピアノを弾くシーンがもっとも印象に残っています。ファミリー映画としては、まあ普通でしょうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-31 11:02:18) 433. お葬式 まあ普通。これとか『おくりびと』を見ると、父親の葬式を思い出します。人が死んだというのに、親戚が集まって笑い話してるんだよなぁ。何かそういう、日常と非日常が入り交じったような雰囲気は出ていたと思います。ほかにも、「あるある」というエピソードがいっぱいでした。 終盤、火葬場で煙突を見上げるカットが絶品で、とにかく印象に残っています。お母さんのスピーチもよし。ただ、これは必要なのかと思う部分も、なきにしもあらず。脇役陣は皆さん個性的でよかったのですが、中でも友里千賀子がよかったです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-17 20:43:58)《改行有》 434. ひまわり(1970) 《ネタバレ》 今となっては、戦争が引き起こした悲劇によるメロドラマとしては珍しくありません。まあ、日本人が好きそうな題材ではありますね。特に製作年代を考えれば、戦争を記憶している人がまだまだ多かったわけですから。個人的には、恋愛よりも途中に出てくるひまわり畑の由来、そしておびただしい十字架が並ぶ広大な墓場の方が、よほど印象に残りました。それだけで“戦争の悲劇”を描くには十分だったのではないでしょうか。それと、パンやズームなど縦横無尽に動くカメラがよかったと思います。 最後にジョヴァンニが「2人で逃げよう」というのは、メロドラマの定番ですし、その後の展開には必要なのでしょうが、あれだけ恵まれた家庭を見たあとでは、逆に白けてしまいます。リュドミラ・サベーリエワの奥さんがとても素敵でしたし。 とりあえず、ひまわり畑と墓地とカメラとテーマ曲にこの点数。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-05 21:07:57)《改行有》 435. 私は二歳 《ネタバレ》 育児の日常を綴りつつ、笑いありホロリとさせるところあり。ともすれば冗長に流れがちですが、飽きずに見ることができました。団地住まいの若夫婦に船越英二・山本富士子という、美男美女コンビをキャスティングしたのが面白い。渡辺美佐子が新生児に湯を使うあたりは、育児書原作の面目躍如たるところでしょう。後半おばあちゃんと同居するようになってややトーンが変わりますが、このおばあちゃんの使い方もうまいですね。浦辺粂子さんさすがの好演。太郎君のモノローグがもっと出てくるのかと思ったら、案外少なかったのですが、主役はやはりお父さんお母さんなので、この程度でよかったでしょうか。ほのぼのしつつ、現実的な問題もきちんと取り込んだ、バランスのいい好編でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-02 20:09:42)(良:1票) 436. 父と暮せば 《ネタバレ》 これねー。話としてはいいと思うのですよ。特に原田芳雄のエプロン劇場とか、終盤のジャンケンとか。しかしいかんせん、舞台を意識しすぎ。台詞回しも舞台ならいいですが、映画でああいう風にしゃべると不自然です。個人的に舞台劇の映画化は好きなのですが、これはもう少し考えてほしかったところ。舞台風の映画であっても、『十二人の怒れる男』のような傑作もあるわけですし、本作はやはり演出のまずさが出てしまったと言わざるを得ません。惜しいです。井上ひさしはこの映画化について、「世界中の人に見てもらえるようになった」と言って喜んでいたそうです。そういう意義はあるものの、舞台人の自己満足でしょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-12-01 19:30:21) 437. 真昼の決闘 《ネタバレ》 社会派西部劇といった趣ですね。帰ってくるならず者がどれだけ悪くて、かつてどんなことをしたのかは、実はどうでもいい。そいつが帰って来るということが起こす波紋が、本作の主題ですから。起こるであろう悶着を、保安官個人の問題として片付けていいのか、そいつは本当にほかの町の人には危害を加えないのか。結局仮定の話であり、そこには正論などありません。単純に正義とか悪とかいった言葉で片付けられないだけに、現実感があります。ほぼリアルタイムで進行するのも、物語のリアリズムを生かすためでしょう。 主人公の保安官は、苦悩しながらも“信念”を持った人間として描かれています。何となくドラマ『男たちの旅路』を思い出しました。少なくとも、信念を持つことは重要ではないかと思います。 本作の弱点は、当時のハリウッド映画の原則として、「主人公が勝利しなくてはいけない」という限界を破れなかったことでしょう。「力には力で対抗するしかない」という、いかにもアメリカ的な解決をとっています。しかしそれでも、新妻に助太刀させるという皮肉な結末を迎えています。人を射殺した彼女がこれからどんな人生を送るのか、それでまたドラマが作れそうです。そういう点からしても、一筋縄ではいかない深みのある作品でした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-24 20:58:45)《改行有》 438. 新・平家物語 《ネタバレ》 冒頭の、市場の様子から平氏の凱旋、さらにそれを平伏させる僧兵という流れがよかった。エキストラもふんだんに使い、見ごたえがありました。お話としては割と現代的なところがあり、そのあたりが「新」なのかと思います。台詞回しも時代がかっておらず、平安時代を舞台にした現代劇という様相。このあたりが面白かった。出演者では、雷蔵より父親役の大矢市次郎に存在感があり、作品を締めていたと思います。思ったよりも楽しめました。シリーズの残り2作も見てみたいです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-21 19:53:10) 439. 午後の遺言状 《ネタバレ》 一応ストーリーらしきものはありますが、それよりも場面場面の対話で見せる映画ですね。会話も舞台劇風で、かなり好みです。出演者では杉村・乙羽よりも、朝霧鏡子に存在感がありすぎ。ほとんどこの方で保っていたんじゃないでしょうか。夫の観世栄夫もよかった。もっとも、牛国夫妻のいない場面では、主役2人の対決があったりして、これはこれで見ものでした。前半はかなり笑いの要素があり、後半と好対照をなしていました。 ちなみに終盤、牛国夫妻が心中した海岸を、蓉子と豊子が歩く場面があります。2人の後ろ姿を撮っているのですが、乙羽信子の歩き方がフラフラ。やっと歩いているという感じです。かなり病気が進んでいたことを伺わせますが、あえてこのシーンを撮った監督の思いは、決して本作のテーマと無縁ではないと思いました。 何にせよ、妙に印象に残る映画でした。私も年をとったということか。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-15 20:35:14)《改行有》 440. 無法松の一生(1958) 《ネタバレ》 エピソードを連ねた構成なので、途中でちょっと飽きてしまいました。テレビドラマ向きの題材でしょう。作品としては優れていると思います。ポスターの使い方などうまいです。三船敏郎の「野性的でありながらシャイ」というキャラクターが生きています。ただ、高峰秀子はベストな配役だったかどうか……。最後の泣き崩れるところはさすがにすばらしいので、そのための出演だったのかな?[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-03 11:22:38)
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