みんなのシネマレビュー |
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561. 映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ 《ネタバレ》 今日は、小2と小6の娘を連れて劇場鑑賞。上の娘の評価はイマイチでしたが、下の娘はいたく気に入った様子。まあ、そうでしょう。原作児童書のメインターゲットは、小学低学年~就学未満児。そういう意味では、手堅くターゲットを狙い撃ち出来た仕上がりであったと思います(劇場内のお子さま客の反応も上々でした)。物語は『バックトゥザフューチャー』を下敷きに『シン・ゴジラ』もオマージュ。名作の骨組みを利用しているワケですから見応えは充分。一緒に来た親御さんも退屈しないで済むと思われます。さて、私の目的は勿論声優初挑戦のももクロのリーダー・百田夏菜子さん。既にナレーションのお仕事は経験済みですし、女優としてのキャリアも順調に積んでいる現在、本格アニメ声優も心配ないとは思っておりましたが、堅実な仕事ぶりに安心しました。夏菜子さんの声質は、声優向きで間違いありません。今後も声のお仕事を続けていただきたいものです。それにしても、今の夏菜子さん(ももクロ全員ですが)の成長は凄まじいばかり。歌も演技も飛躍的に伸びました。努力の証。4年前の『天使とジャンプ』の頃と比べると演技面ではまるで別人です。返す返すも本格的に女優に挑戦した『幕が上がる』が、彼女らにとってターニングポイントであったことがよく分かります(夏菜子さんについては朝ドラ『べっぴんさん』で得た経験も大きかったでしょう)。個人的には、現地参戦がかなった青春ツアーの富山で披露された”替え歌『瀬戸の花嫁』完全版”の確認が出来てニヤニヤ。エンディングの歌も何気に良曲で嬉しいかぎりです。[映画館(邦画)] 7点(2018-03-24 19:05:22) 562. メッセージ 《ネタバレ》 巨大宇宙船、タコ型地球外生命体、そして“未来の記憶”。トラディショナルなTHE・SF映画の体裁です。ストーリーは“異星人との意思疎通”にほぼ終始するという極めて地味な展開ながらも、情感たっぷりのヒューマンドラマを孕み、見応は十分でした。最終的には親子愛という普遍的なテーマに落とし込むあたりも、王道中の王道のSF作品。個人的な好みで言えば『コンタクト』や『インターステラ―』と甲乙付けがたい傑作SFとの認識です。[CS・衛星(吹替)] 8点(2018-03-20 19:59:44) 563. フライト・ゲーム 《ネタバレ》 物語の肝は“もしかして本当は主人公が犯人じゃないか”という点にありました。巧妙な芝居か、あるいは飲酒による記憶錯乱か。いずれにしても彼が犯人である可能性は、真犯人が姿を現す直前まで不明でした。このミスリードが成功したのは、実はリーアム・ニーソン主演の別作品のおかげ(念のため作品名は伏せますね)。役者のパーソナルイメージを利用したワザアリなミステリーだったと思います。娘の死から逃げた主人公が、同じ年頃の少女を救うクライマックスはベタですが泣かせます。リーアム・ニーソンのアクションはセガールよりもスタイリッシュで、個人的にはかなり好みです。[DVD(吹替)] 8点(2018-03-17 23:56:44)(良:1票) 564. 樹海のふたり 《ネタバレ》 うだつの上がらぬなディレクター2人が手掛けた特番は、まさにテレビ東京のバラエティ特番(『土曜スペシャル』や『日曜ビッグバラエティ』)。純粋に面白そうというか、観たことがあるような無いような、今までなかったの?という気がしますが、企画意図がコンプライアンス的にアウトなのでしょうね。物語の仕立ては、自殺志願者の様々な人生に触れ、また樹海そのものが持つ不思議な生命力にも感化され、主人公2人の人生にも変化が訪れるというもの。蜘蛛は巣を張り、かかった獲物の命を奪うことで自らの生を永らえますが、本作の主人公はビニール紐を命綱に樹海に身を投じ、出会った自殺志願者の命を救うことで、己が人生を豊かにしていきました。網を張り、かかった獲物を養分にするという意味では蜘蛛と彼らは同じですが、獲物を殺すと生かすでは正反対。本来、営利関係にない他人が死のうが生きようがどうでもいい話ですが、そこに価値や特別な意味を見出だすのが人間という生き物の特長なのでしょう。所謂ヒューマンドラマのカテゴリーに属する作品と判断しますが、正直インパルスのコントから笑いの要素を抜きましたな印象が強いです。たとえば板倉のギザな台詞の言い回しや、ニヤけた表情など、お馴染みのコントさながらでした。ですから、インパルスが主演で問題なかったのか?という疑問はありますが、テーマは重くとも各エピソードを深掘りはしないライトなスタイルのため、本職俳優ではない彼らでもOKだったのかなと思います。ドラマとして悪くはありませんが、特段良くもありません。というより、やっぱテレ東で番組を作っていただきたいという感想です。バス旅も終わったことですし、太川さんと蛭子さんにお願いしたら如何でしょう。懸命に説得する太川さんの後ろで、興味なさそうに「死なせておけばいいよ」とのたまう蛭子。いやいや、想像しただけで面白そう。絶対イケるでしょ![DVD(邦画)] 6点(2018-03-10 17:28:22) 565. ブラックパンサー 《ネタバレ》 アメコミヒーローもののフォーマットは、どの作品も大体同じ(敵役とのバトルアクション&自らの強大な能力をどう活かすかのイデオロギー論)なので、あとはヒーローの見た目や性格、能力・世界観が趣向に合うかどうかの問題。そういう観点からすると、超好みだったなと。王位継承バトルは『キン肉マン』世代にはドンピシャですし、空は飛べない、飛び道具もない、基本地味で無敵感があまりない能力や、インスタ映えなどしなさそうなルックスは渋くてイイ感じ。そして何より脇を固める女ソルジャーの皆さんがカッコイイこと。このあたりは『ワンダーウーマン』にも共通しますが、鍛えられた肉体美から繰り出されるお姉さま方のアクションには惚れ惚れします。原作を承知していないのですが、妹の天才科学者が次々とお役立ちアイテムを発明するパターンのヤツですかね。本作のヒーローは地味なところが長所だと思いますので、続編製作にあたり、あまり強力な武器とか、えげつないスキルは身につけない方向でお願いしたいです。アベンジャーズ系はほぼ観ていないのですが、本作を契機に観てみようかしら。(以下、声優・百田夏菜子さんについて)吹替版を鑑賞しました。正直、不安は大いにありました。確かに『かいけつゾロリ』では合格点がつけられる(偉そうにスミマセン)お仕事ぶりでしたが、アニメの吹替と実写のそれは、似て非なるもの。生身の人間の場合、まず声に対して経験則が働きます(安田大サーカスのクロちゃんの声が笑えるのは、経験則が裏切られるから)。その点、シュリ役の女優さんと夏菜子さんの顔立ちが似ており一安心。声質で違和感はありません。あとは演技の部分。今まで数多くの人気俳優さん(演技派を含む)の残念な吹替を目の当たりにしてきたので、内心ハラハラしておりました。五感に訴えかけられる演技と、声だけの演技は別物。しかし、嬉しいことに杞憂に終わりました。夏菜子さんが本来持ち合わせている茶目っ気がキャラクターにピッタリ。素晴らしい出来映えでした。勿論、これは夏菜子さんに基本的な声優のスキルが備わっていたからこそ。歌、演技、ナレーション、ギター。最初は下手でも逃げずに挑戦することで身に付けてきた”表現力”が、ここで実を結んだものと考えます。餅は餅屋は正論ですが、大谷だってメジャーで二刀流を目指す時代。欲張ることは罪ではありません。何でもやる、何でもチャレンジできるのがアイドルの強みでしょう。[映画館(吹替)] 8点(2018-03-05 00:54:44)(良:1票) 566. 激流(1994) 《ネタバレ》 “逃走中の強盗に脅されながら、大自然の中を川下り”という、トリッキーな設定を有するサスペンスは、恐怖度1コワの甘口仕様で家族揃って楽しめる娯楽作品でした。ハイライトは、ガントレットと呼ばれる激流をゴムボートで乗り越えるシーンで、普通にアクティビティを楽しむ感覚。ノーCGの迫力ある画が楽しめますが、クライムサスペンスのハラハラドキドキとはまた別の種類のもで、ネイチャーアドベンチャー要素の比率の方が遥かに高いと考えます。それにしても、途中から別行動となったお父さんの動きが謎過ぎました。家族救出を試みるなら、(絶対に越えられないと散々アナウンスしていた)ガントレットの前じゃなきゃ駄目なんじゃないでしょうか。まあ、そのあたりも“お約束”と捉えて、ゆるく楽しむのが正しい観方なのでしょう。[CS・衛星(吹替)] 7点(2018-02-25 23:02:57) 567. 虐殺器官 《ネタバレ》 哲学的であり、観念的であり、演劇的な映画。社会派のテーマやハードな殺戮シーンを観るにつけ、確かにアダルト志向ではあるのでしょうが、イチイチ台詞で説明してしまう(せざるを得ない)中2病な世界観とロジックが気恥ずかしくもありました。誤解を恐れずに言うなら、実写で観たかったなと。例えば『エヴァンゲリオン』も同カテゴリーのアニメ作品と判断しますが、彼方は”ロボットSF“という”ザ・お子さま向け”看板を掲げているので、似たような仕様でも違和感が無いのかもしれません(そもそもがリアリティを必要としていないので)。真っ当な大人向けアニメを成立させるには、仕立てに相当なテクニックが必要であると感じる一作でした。へんてこな着地点ですみません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-02-20 18:56:02) 568. ソルト 《ネタバレ》 最早ハリウッドいち女スパイ役が似合う女優、アンジェリーナ・ジョリー。派手過ぎる顔立ちは、決してスパイ向きとは思えませんが。さて、ストーリーの方は二重スパイの嫌疑をかけられた主人公の逃亡劇をメインとしたサスペンス。そもそもハズレの少ないカテゴリーではありますが、ミスリードが上手く、それでいてヒントもフェアに出されており、脚本は上質だったと思います。展開にメリハリもありましたし。ただしヒロインの無敵感は、やや過ぎたかもしれません。これなら、エイリアンVSプレデターのノリでイーサンハントVSイヴリン・ソルトもアリじゃないかと思ったりします。[CS・衛星(吹替)] 7点(2018-02-15 00:23:53)(良:1票) 569. チアリーダー忍者 ①ドラえもんより忍者ハットリくん派だ。②チアリーダー目当てでスポーツ観戦に行ったことがある。③フェイバリット“加藤”は、加藤あいではなくミスターカトーだ。④モデルの水着より企画女優のヌードのほうが有難い。⑤日本刀は鞘が無くても安全だと思う。⑥“キャットファイト”という言葉の意味を知っている。⑦女装癖がある(あるいは憧れる)。⑧仮面ライダーの変身ベルトのぐるぐるに、うっとり見とれたことがある。⑨自暴自棄になって、目の前に横たわる等身大ビニール人形を投げたくなった(あるいは投げた)ことがある。⑩騙されてもわりと平気だ。…以上の設問のマルの数を数えてください。 ○の数が0の方。標準的な日本人です。ご安心ください。 ○の数が2~9の方。あなたの中のチア忍スピリットは眠っていますよ。安心していいでしょう。 全てに○が付いた方。あなたは立派なチア忍です。少し心配した方がいいかも。[DVD(字幕)] 3点(2018-02-14 22:53:53) 570. チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜 《ネタバレ》 豪華女優陣の感想から。まずは、天海祐希(早乙女先生)。本サクセスストーリー上の真の主人公は、紛れもなく先生です。彼女の教育者としての信念と熱意が、偉業達成の原動力であったのは間違いありません。そういう意味では『スクールウォーズ』や『金八先生』のように、指導者にスポットをあてた物語に仕立てることも出来たはずです。しかし、何故そうしなかったのでしょうか。私が考える理由は2つ。一つめは、天海の女優としての資質の問題。華はあっても、ナチュラルな演技は厳しいタイプ(失礼)。正直言って演技派とは思えません。彼女が最大限魅力を発揮するのは『女王の教室』のような極端なキャラ設定のとき。本作では、なまじ実話であったがゆえに、デフォルメした人物像は難しかったかもしれません。2つめの理由の方が決定的と考えますが、これは後述としましょう。次に、中条あやみ(彩乃)。彼女は影の主役と言っていいキーパーソン。主将として、チアダンス部を牽引してきた功労者です。最後に檜舞台でセンターを外されるという悲劇も用意されており、感情移入しやすいポジションでもありました。しかしながら、美人で真面目という淡白な人物設定からも分かるように、あくまで準主役に届かない“脇役”に甘んじている印象です。彼女の魅力を際立たせる手立てはいくらでもあったと思いますが、あえて”控えた”と推測します。こちらの理由も後述します。そして冨田望生(ぽっちゃりさん)。キャラクターバランスの観点からも、体型に特徴あるキャラが欲しいのは分かります。しかし、ステレオタイプな配役の感は否めません。誰でも夢は勝ち取れるというメッセージかもしれませんが、全米制覇という途方もない目標の前に、早乙女先生が課した個のスキルアップには、当然ボディスタイルも含まれていると考えるのが道理かと。あれだけ厳しい練習をして、痩せない方が逆に不自然でしょう。スケジュール的に難しい面もありましょうが、徐々にシェイプアップされていくキャラがいても面白かったかなと思います。さて、最後に広瀬すず(ひかり)。実は今まで彼女の出演作品を観てこなかったのですが、正直度肝を抜かれました。何と言う存在感。圧倒的主役感。持っている熱量が桁違いの女優さんでした。更に演技も上手い!「チアの気持ちが生まれながらに備わっている」というひかりへの抽象的な人物評に説得力が生まれるのも、広瀬ならでは。その一方、サッカー部の彼への片思いがリアリティを欠くという不具合が生じてしまうのも、同じ理由と言えましょう(広瀬をふる男などこの世に存在するはずがないのです!)。彼女の前では、元宝塚の大スターも、S級美少女も霞んでしまう化け物女優でありました(誉めているように聞こえませんね笑)。こうなると、無理に準主役級のキャラを仕立てるより、脇は脇に徹した方が全体のバランスは取れるでしょう。本来なら主役クラスの天海や中条の扱いが軽かった点も合点がいくというもの。広瀬すずの配役が決定した時点で、本作の方向性が定まったと考えます(すみません。完全な決め付けです笑)。青春サクセスストーリーとしては、全てのピースが揃っているところから始まるため、ややドラマチックさには欠けますが、その分子供たちのメンタルと技術向上の過程を丁寧に描いた印象です。とはいえ、イチ女優の魅力だけで本作は既に成立してしまっているのも事実。何とも不思議な映画との評価です(長文失礼しました!)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-02-10 00:58:48) 571. ジオストーム 《ネタバレ》 “シネコンで作品選びに迷ったらディザスターを選べ(決して携帯小説原作のラブストーリーや、間違っても堤幸彦監督を信用してはならぬ)”という家訓(又は偏見に満ちたでっち上げ)に習い、今回は本作を劇場鑑賞しました。『彼氏も凍る!』なんてチープなTVCMのキャッチコピーからして、大して期待していなかったのですが、これがなかなかどうして面白かったです。とはいえ、お目当てだった驚天動地の地球破壊スペクタクルシーンは意外や控え目で、本筋は”国家レベルの陰謀に果敢に立ち向かう正義の主人公+家族愛“というアメリカ人が大好きなトンデモサスペンス。ですから、目新しさやオリジナリティなんてものはございません。何度も観てきたお馴染みのヤツ。でもそれで十分でした。優秀なレシピに余計な工夫は要らないワケです。リアリティとか科学的考察なんてものは、とりあえず棚上げして、映画館の重低音と大スクリーンでハイスパート地球崩壊パニック祭りに参加するのがよろしいかと思います。個人的には“男の仕事と娘との約束”というポイントで比較するために『アルマゲドン』を予習しておくことをお勧めします。[映画館(字幕)] 8点(2018-02-05 00:25:16)(良:2票) 572. エベレスト 3D 《ネタバレ》 コレ『実話もの』だったのですね。どうりでストーリーにドラマチックさが足りないワケです。もっともあの流れで主人公が助かるはずもなく、結末には納得しています。“雪山で非情な決断ができない者は死ぬ”法則が破られたら一大事ですから。ただし、ジャーナリストが助かったのには驚きました。鼻と両手を失ったとしても、命が助かれば十分でしょう。それにしても権力とはスゴイものですね。無理が通れば道理が引っ込むヘリ救出。2次被害の危険性なんてお構いなし。まさに地獄の沙汰も金次第です。人間が生存してはいられない領域=デスゾーンとは、すなわち三途の川。三途の川ライン下りは、おそらく世界で一番贅沢な観光アクティビティでしょう。ヒトの冒険心(あるいは好奇心または虚栄心)という“業の深さ”には恐れ入ります。ストーリーは兎も角も、せっかくの世界最高峰の山。画的なダイナミックさ≒恐ろしさ≒荘厳さが、もう少し欲しかった気はします。[DVD(吹替)] 6点(2018-01-30 22:49:44)(良:1票) 573. 劇場版 マジンガーZ/INFINITY 《ネタバレ》 有安杏果さんのももクロ卒業を明日に控え、モノノフ(ファン)が今観る映画はやはりZだろうと本作を選択。と言うのは半分冗談ですが、何やら良さそうな噂を耳にしておりましたので劇場鑑賞に至りました。懐かしのスーパーロボットが今風のアプローチでどう生まれ変わったのか興味津々でしたが、まあ、何と言いますか、馬鹿映画というか、変態映画というか、滅茶苦茶でしたね。『シン・ゴジラ』チックなリアルシミュレーションエッセンスもありつつの、トンデモSF理論やら中2病的倫理観やらが混在するカオスな世界観。さらに劇画風お馴染みキャラと新顔の美少女萌えキャラの作画の差異も違和感アリアリで、食べ会わせがいいんだか悪いんだか。兎に角、リクエストのあったもの全部ぶち込みました感が凄いです。そうそう、火薬の量も半端なかったので、やはり馬鹿映画で間違いありません。良くも悪くも振り切れている作品なので文句はありませんが。[映画館(邦画)] 7点(2018-01-20 20:48:41) 574. 幕が上がる 《ネタバレ》 原作3回読了。劇場鑑賞4回。幸運なことに貴重な舞台も観劇させていただきました。その上で、映画版『幕が上がる』について考えてみます。夏菜子の横顔が印象的な劇場ポスターのイメージカラーは青です。文字通り青春の“青”であり、澄み渡る空の“青”でもあります。いや、あえて国立競技場の空の色と言いましょうか。「私たちは、舞台の上でならどこまでも行ける」本作を代表するキャッチコピーは、希望に溢れた、堂々たる青春宣言。でも、それ以上に重要なのがその後に続く言葉でした。「でも、どこにも辿り付けない」漠然とした不安が、絶望としてかたちを成した時、さおりは自らの立ち位置を悟ったのだと思います。いつまでも子供ではいられない。そして道標は、吉岡先生は、もう居ない。希望と絶望、その狭間で彼女たちが出した答えに、本作が伝えたいメッセージがありました。だからこそ、今、この瞬間を大切にしよう。目の前の課題に全力で取り組もう。それが宇宙の果てまで続く、私たちが進む道。これは、ももクロの生き様にも重ね合わせる事が出来ます。紅白出場も、国立競技場ライブも、目標だったけれど通過点。彼女らが目指すのは果て無き“笑顔の天下”です。徹底してシンクロする富士ヶ丘高校演劇部の生徒たちと、アイドル・ももクロ。これがアイドル映画最大の強みと知りました。劇中のキャラと、実在するアイドルグループのイメージが共鳴し合い、物語に深みを与えます。『Chai Maxx ZERO』『行く春来る春』『Link Link』『走れ! -Z ver.-』そして主題歌『青春賦』。劇中使用されたももクロの楽曲には、その全てに思いが込められていました。アイドル映画というジャンルを正直ナメていた自分が恥ずかしいです。極めて高度なエンターテイメントで間違いありません。映画版の結末は原作ファンを裏切り、県大会上演直後に設定されています。読点(、)は打っても、句点(。)は打たない。それがももクロ。そしてアイドル映画の美しさです。でも物語としては消化不良でしょうか。いえいえ、ご心配なく。「勝てる気しかしない」「楽しみ過ぎる」彼女らの力強い言葉と自信に満ちた表情は、これまでの地道な稽古と積み重ねてきた努力の証明。コンクールの行く末を十分に物語っています。みなまで語らぬ、映画の流儀でしょう。優れた原作と脚本、そして演者の個性を熟知した監督の手腕が結集された至高のアイドル映画『幕が上がる』。この映画を観て涙が出るのは、私たちが経験してきた青春の真実が其処に在るからです。小さな思い込みや勘違いの結晶が、多分『夢』と呼ばれるもの。それを丹念に重ねていく過程が青春であり、かけがえのない人生に違いないと思うのです。初めは単なる友達の付添の、平凡な少女が“その気になって”舞台演出家を目指すなんて、嘘から出た実(まこと)もいいところ。でも、これこそが人生の醍醐味です。素晴らしき人生讃歌。なんて素敵な映画なのでしょう。この映画に携わった全ての人に、そしてももクロファン(モノノフ)という立場でこの映画に出会えた幸運に、心から感謝します。 2018年1月15日、有安杏果さんのももクロからの卒業が発表されました。ファンとしてはまだ、現実を受け止めきれませんが、今言えるのは「8年間お疲れ様でした」。“奇跡の5人”杏果さん、ももクロにいてくれて本当にありがとうございました。幸せな時間でした。[映画館(邦画)] 10点(2018-01-16 02:39:51) 575. 少女は異世界で戦った 《ネタバレ》 本作のセールスポイントは格闘アクション。ルチャ・リブレを彷彿とさせる空中戦+ソードアクションの融合はなかなかに見応えあり。スローモーション等のエフェクトに頼っていない点も好感が持てます。ただ、今一つ物足りないというのも事実。“動ける女優”を集めているので、想定の範囲内というか。みな同じ動きがツマラナイというか。もっと各女優の個性・特技を活かしたアクションを観たかった気はいたします。SF設定の方は彼女たちに戦う理由を与えるためだけのもの。それ以上でも以下でもなく、その部分でややマイナス査定か。折角パラレルワールドなんていう素敵な設定を持ち出してきたのですから、多角的なアプローチ・ストーリー展開に挑戦して欲しかったと思います。[DVD(邦画)] 5点(2018-01-15 23:07:58) 576. ドクター・ストレンジ 《ネタバレ》 小難しい理論は差し置いても、この映像美は大ご馳走。折りたたまれるビル群、歪む次元、私たちの知る法則の外の世界。映画館の大スクリーンで鑑賞したら、さぞや楽しめた事でしょう。それにしてもティルダ・スウィントン。『コンスタンティン』の大天使役のときも感心しましたが、年齢性別を超越した存在感は素晴らしいですね。折角魔法を題材とした物語ですから、よくわからない念の縄みたいな攻撃だけでなく、様々な種類・属性の魔法を見たかった気がしますが、続編に期待ということで。[CS・衛星(吹替)] 7点(2018-01-10 18:21:15) 577. ワンダーウーマン 《ネタバレ》 女優(キャラクター)の魅力だけで成立してしまう映画がたまにあります。『ローマの休日』のオードリー然り『キック・アス』のクロエ然り。本作もガル・ガドット嬢演じるダイアナちゃんがノーベル賞級のアダルトキューティ。主演女優のキャラクターだけで、ほぼ作品が成立しています。素晴らしい。しかし、残念ながら“ほぼ”なのです。大切なのは、ダイアナちゃんの魅力を最大限に引き出すこと。その点で本作は不完全燃焼であったと判断します。物語の仕立ては、『300』のような格闘アクション+『クロコダイルダンディー』的カルチャーギャップの面白さ。後者の比率が大き過ぎた事、またクライマックスの戦いの格闘要素が弱くカタルシス不足であった事が、不完全燃焼の要因かと。構成の問題。とはいえ、このキャラクターは映画界の宝でしょう。続編に期待します。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2018-01-05 19:29:56)(良:1票) 578. たまこちゃんとコックボー 《ネタバレ》 廣田あいか(ぁぃぁぃ)は、所属するアイドルグループ・私立恵比寿中学において、切り込み隊長兼エース的なポジションの人気メンバーです(私的見解)。普段の幼げなアニメ声からは想像がつかないパワフルな歌声、ポップなファッションセンスに鉄道オタクと(フックの数が多いこと!)、際立つキャラクターがセールスポイント。一般的には“不思議ちゃん”(実際はそんな事ありませんが)にカテゴライズされると思われます。本作は、そんな廣田のパブリックイメージを存分に活かした作品でありました(※映画化の背景は、くるきまきさんが丁寧に解説されております。参考になります!)。現実世界とアニメ世界を行き来するファンタジー系アイドル映画でありながら、テーマは意外とシリアス。社会問題である“引きこもり”を扱い、甘々な味付けの中にも苦味が感じられる仕立て。ポスタービジュアルで想像していたスイートな茶番劇とは違いました。これは嬉しい裏切り。“夢見がち”というより“現実逃避”な主人公が苦難(?)を乗り越え成長していく展開は、王道青春映画のプロットなれど、問題解決がほとんど運と他人任せなのはご愛嬌。いや、人はひとりでは生きられない、成長出来ないというメッセージと受け取りましょうか。結末は腑に落ちるもので、ひよ子が垣間見せた悲しげな(そして諦めと納得の)表情がなかなか魅力的でした。本質的には影ある役が廣田には合っている気がいたします。“ファン向け”の範疇を出ない作品には違いないものの、真摯なつくりで全体印象は悪くありません。(以下映画に関係ない余談)さて、主演を務めた廣田あいかは、平成30年1月3日の日本武道館公演をもってエビ中から転校(脱退)します。芸能活動は継続する模様。『いつかやれると思って今を抑えるのはもうやめよう』そう語った彼女が、どの方向を目指すのか承知しておりませんが、廣田の才能と芯の強さをもってすれば、心配は要らないでしょう(謎の親目線すみません)。旅立つ彼女への餞別に+1点、お年玉で+1点とさせてください。頑張れぁぃぁぃ!そしてエビ中在校生6人へも心からのエールを。突き進め!私立恵比寿中学ー(サドンデスの中山莉子風に)。[DVD(邦画)] 8点(2018-01-01 00:00:00)(良:1票) 579. 本能寺ホテル 《ネタバレ》 今やカワイイ天然キャラをやらせたら右に出る者なし。流石、綾瀬はるか。彼女の魅力で無理筋なファンタジーや、理想主義で説教じみたテーマも、何となく納得させられてしまう仕掛け。ほんわかしてしまうんですね。凄い才能だと思います。そして何より素晴らしかったのは、ボディライン際立つ白ニット!トップとアンダーの差は、一体いくらあるのかと。たすき掛けポシェットの強調感たるや最早悪魔的かと。『おっぱいバレー』より、余程おっぱい祭りでありました。綾瀬はるかが遂に本気を出した本作を、目隠シストは有無を言わさず支持します!(師走に何言ってんだか)[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-12-30 00:55:00) 580. DRIVE 《ネタバレ》 2017年の時点で観ると、まず驚くのがキャストの豪華さ。松重豊、ピエール瀧、津田寛治、松雪泰子ら人気と実力を兼ねそろえた味ある俳優がチョイ役で色を添える贅沢ぶり。まあ15年も前の作品ですから今とはネームバリューが違いますけれども。ホント、どのキャラクターも濃いめの味つけで自分好みでした。趣としては、『世にも奇妙な物語』風のファンタジックな仕上がり。テーマは人の縁。マヌケな銀行強盗たちと生真面目主人公の偶然の出会いが化学変化を引き起こし、各人の人生が好転していく様は観ていて気持ちの良いものでした。因果応報の原則が効いているのかいないのか微妙なところですが、強盗たちは皆その後お縄になったと考えるのが自然なのでしょうね。[DVD(邦画)] 7点(2017-12-25 19:50:57)
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