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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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【製作年 : 1930年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  淑女と髭 小津のギャグセンスと岡田時彦の役者センスが融合したサイレント喜劇の佳作。冒頭の剣道の審判長が、突貫小僧であるのに一本取られた。[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-12-12 17:51:04)

42.  歴史は夜作られる そりゃ~シャルル・ボワイエに見つめられたら落ちますわな。そんな気品あるフランス男 のボワちゃんとアメリカ女ジーン・アーサー嬢のメロドラマですが、二人の洒落た会話に洒落た行動が殺人事件や海難事故といったイベントを突き抜け、グレッグ・トーランドのカメラにとろ~りと溶け込んでいます。靴を脱ぐアーサー嬢、そして二人で踊り見つめ合いながら「フランスの男は女性に軽々しく自分の思いを口にしない。少なくとも一年は待つ」「カンザスでも女性は半年は待つわ」「夜を一年とすれば半年過ぎた」「じゃあ半年待てばいいのね?」、どうぞ勝手にやってやがれ~、靴がなくなっても知りませんよ・・・と軽々しく自分の思いを口にしている私は日本の男です。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-03 18:02:36)《改行有》

43.  エノケンの頑張り戦術 怪談映画のイメージが強い中川信夫の初期のエノケンものです。エノケンと如月寛多はお互い意地と見得を張り合う会社のライバルでしかも家が隣同士、ということから頑張り戦術となるわけです。オープニングからその二人が揃って家を出る線対称な画面は、その後も列車の中、会社の食堂、温泉・・・と引き継がれ、その対称ぶりは、テニスの試合を見る観客のように右へ左へ慌しくカメラがパンすることにより二人のライバル関係の滑稽ぶりをこれでもかと増幅していきます。小国英雄さんのオリジナル脚本は「弥次喜多道中記」で笠の取り違えを生かしたようにここでも、防弾チョッキと浮き袋チョッキの取り違えが生かされ、按摩に扮したエノケンのナンセンスなアクションがこれでもかと炸裂し、怒涛のコメディ作品に昇華しております。妻の宏川光子の背中で赤ちゃんに扮するエノケンは、宏川の表情が真面目なだけに大笑いしました。最後の最後まで強情っ張りな二人のオチも決まって、エノケンワールドは幕を閉じていくのでありました。めでたしめでたし~。8点(2005-03-08 23:05:10)

44.  お気に召すまま(1932) お~、ガルボにシュトローハイムが接吻しておる、電灯をバックにしたシルエットで・・・そのシーンを見るだけで西宮戎の福男のような気分になることができます。ってよくわからんことを言ってないで次へ進めますが、次もやっぱりガルボの接吻。前半でタバコをスパスパやっていたガルボの伏線をいかした、「私にもタバコをくれる」からダグラスの咥えているタバコがガルボの咥えているタバコに火が移り、そのまま両者のタバコは床に落ち口と口が触れた時のガルボがダグラスを受け入れる意思表示と愛の高揚。ここで間違っても、火のついたタバコを床に落として危ないじゃないか、というツッコミは入れてはいけません。と書くこと自体がツッコミを入れているじゃないか、というツッコミも入れてはいけません。ラストのどんでん返しのどんでん返しを楽しんだ後は、情熱的なキッスの練習をし、愛の賛歌に備えるだけなのです・・・むむっ。8点(2005-01-11 13:14:13)

45.  上陸第一歩 島津保次郎監督第1回トーキー作品ということで、「トーキー上陸第一歩」ともいえるこの作品、初代水谷八重子の若き日の芝居を見ることができること、フォン・スタンバーグの「紐育の波止場」の翻案であること、などとも相成り、興味深く見させていただきました。まずは音ですが、汽笛、鉄道音、口笛、ピアノ音、工事音、酒場のダンスシーンでのレコード、乱闘シーンでの窓ガラスやビール瓶の割れる音、などなど楽しそうに取り入れております。終始和服の水谷さんとエキゾチックな雰囲気のある岡譲二さんとのコントラストは、磁石のSとNのようでいてなかなか楽しいです。二人ともかなり舞台調のオーバーアクトな台詞回しをするのが、2年後の「隣りの八重ちゃん」で日常的台詞回しの小市民映画を完成させる島津さんを思うと、これまたなかなか楽しいです。カメラ音の防止にボックスの中に入っていたため撮影中の火災により焼け死にそうになったという水谷至宏さんのエピソードもあるそうで、日本映画トーキー黎明期の労苦が忍ばれます。島津さんのサイレント作品も是非見てみたいですね~。8点(2004-12-13 23:14:02)(良:1票)

46.  瀧の白糸(1933) 溝口健二さん、昭和8年のサイレント作品です。残念ながらフィルムの保存状態は相当に悪いので、カメラが引いた時には役者の表情がつぶれてしまうのですが、アップになった時の入江たか子さんの美しさ、岡田時彦さんの二枚目ぶり、菅井一郎さんの鋭い眼光などにはハッとさせられます。そしてこの作品もまた、溝口さんの主題とした女の意地と矜持、たくましさとか弱さ、それらを優しく、激しく、きめ細かく、高らかに謳い上げています。サイレント作品ではどうしても説明字幕、会話字幕が入るので、後年溝口さんの代名詞ともなるワンシーンワンショットとはいかないのですが、それでも白糸が高利貸邸に包丁を持って乗り込んでいく最も切迫したシーンで、白糸が廊下を渡り部屋へ入り、隣りの部屋へ移り高利貸を発見するまでのシーンをカットを割らずに撮っているところにミゾグチを見ることができます。字幕がなければ・・・と思わせられるシーンがたびたび出てくるのは、後の溝口さんを知っているからで、この作品はこの作品として堂々とサイレントの名作といえるのではないでしょうか。8点(2004-11-24 20:44:06)(良:1票)

47.  私の兄さん 田中絹代と林長二郎(長谷川一夫)の共演、いや~お二人ともお若い・・・。田中絹代さんはこの作品では、純情っぽくもあり、ちょっと強がりでもありという令嬢、須磨子を演じておりますが、台詞やしぐさがほんと可憐で当時の男性が魅了されたのもよくわかります。林長二郎さんはやはり長谷川一夫さんで、所作がハセガワカズオしておりますね~。でこの二人が兄妹かといえば、そうではなくて、林さん演じる文雄の腹違いの兄、重太が〝私の兄さん〟になります。この重太を演じているのが河村黎吉さんで、タイトルにふさわしく名演なんです。継母である文雄の実母との関係、弟の文雄との関係、やや距離をおきながらも暖かい眼差しで二人を見守る役柄を見事に演じております。そしてこの作品は、ロードムービー的なところがありまして、といっても郊外をタクシーでいくだけなんですが、運転手の文雄と客の須磨子のロマンスが生まれていくさまが見ものなのです。また飯屋で須磨子が椅子に息を吹きかけたり、割り箸をねだったり、彼女の育ちのよさをさらっと描いているところなんかも楽しいです。ラスト、夕日にかぶせられる二人の会話・・・♪ほろり・ほろり ふたりぼっち~ ってとこでしょうかね~。もらい泣きまではしませんでしたが。8点(2004-11-18 23:13:13)《改行有》

48.  新婚道中記 「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言いますが、この映画では犬のスミス君が夫婦二人へありったけの愛着を見せ、喧嘩を食ってしまいます。ついでにグラントとダンの二人の役者の存在をも食ってしまうかの勢いで、愛らしい演技をご披露してくれます。目ざとくグラントの新聞記事の写真に飛びつかせたりするあたりの演出は巧いですね~。さて、そのマッケリーの演出はその後の40年代のプレストン・スタージェスを思わせるような突然のズッコケぶり、唐突さで笑わしてきたり、ルビッチを思わせるような小道具とシチュエーションで笑わせたりと、広がりあるコメディに仕上げております。ラストのドアを必死で押さえつけている黒猫、この描写(猫写)にも膝を打ちますが、最後の時計にさらに膝を打ち、実はこの夫婦喧嘩を一番おいしく味わっていたのは見ている自分であったことに気付き、最後にもう一度大きく膝を打ったのでありました。8点(2004-11-09 00:38:35)(良:2票)

49.  新しき土 日独防共協定を背景に両国がそれぞれの思惑で作った合作映画です。ドイツの監督にアーノルド・ファンク、日本の監督に伊丹万作が当りましたが、意見が衝突、結局、ファンク版と伊丹万作版が出来上がり別々に公開されたようです。私が見たのはファンク版で、日本の風土に普通に育った者から見ると、とにかくおかしなところのオンパレード。さま~ずの三村に是非つっこんでいただきたい(笑)。例えば、富士山の近くに住んでいるはずが裏庭が安芸の宮島、東京音頭をバックに阪神電車のネオン、着物に草履の原節子が噴火する山にどんどんと登って行く、などなど。また日本文化の象徴たる事物の羅列は和的スパイラルのごとくとどまるところなし。富士山、桜、歌舞伎、相撲、お寺、仏像、屋台・・・、しかしこれは日本をドイツ国民に好意的に紹介するという使命を帯びた作品で、ドイツ人のファンクから見るとこういう映像になりますよ、ということを知ることができます。それらを切り取ったアングストのカメラは美しいです。ストーリィは、ドイツ語題を「侍の娘」というように、日本の美徳、因習と西洋の進歩主義のはざまに起こるドラマで、17歳の原節子がその娘を熱演しており、早川雪舟が原の父親役で競演しているのは、映画ファンならずともわくわくしますね~。ラストは、これは国策映画です!ということが直球で描かれていますが、そういう時代であったのだということを知る貴重なフィルムとして評価させていたたきます。←結局評価するのかよ!(三村調)8点(2004-10-23 21:25:56)(笑:1票)

50.  兄いもうと(1936) 夏、河川工事に精を出す人足衆、叱咤しながら指揮する親分。間違いなく頑固親父の画を描き、そこに英百合子さん演じる妻が、ふかした芋をもってやって来て人足衆を労います。この2人が兄いもうとの父と母で、彼らの人物像を見せた後、兄といもうとの会話へとつなげていきます。丸山定夫さん演じる兄と竹久千恵子さん演じる上の妹の一本気なところは父親似、堀越節子さん演じる下の妹のおっとりした感じは母親似、ってとこでしょうか。実家である家屋が、また生活臭を感じさせて素晴らしいんです。土間でご飯の支度をする母のショットや、開け放たれた障子の向うに広がる土手は、それだけで絵になるんです。秋、冬が過ぎ、春がやってきます。ここは郵便配達人を配し、おちる葉っぱや、雪のショット、虫とり網をもった子供たちのショットで語ってきます。外に出ている妹2人が帰って来る時ののどかなロケーションは、口の悪さを見せるもののそれぞれにやさしさを持つ家族の肖像のようでした。そして後半は、兄とワケありの上の妹がすさまじい口論をします。その時の、竹久千恵子さんの圧倒的な口調に見せる女の強さ、その騒ぎが落ち着いた後にもらす口調に見せる女のやさしさ。兄の妹への思いはそれまでに直接的に語られるシーンがあるのですが、兄が家から去っていく後ろ姿の超ロングショットにもそれがにじみでておりました。また夏がやって来て、人足衆を鼓舞する父親の姿。このラストシーンはこの父の持つやさしさ、いつまでも変わらない家族の絆・・・なかなかの傑作です。8点(2004-10-10 21:56:47)

51.  赤ちゃん教育 しゃべる、しゃべる、走る、こける、しゃべる、しゃべる、走る、こける・・・このリズムにのってジ・エンドまでハイテンションで展開する息つく島ないスクリューボールコメディ。とぼけた令嬢に巻き込まれてしまった生真面目学者、その2人をさらに巻き込むのは、豹と犬。動物的なる天然キャラの令嬢とまさに動物に振り回されるグラント、その彼が動物学者であるのがおかしいですね。ホークス監督の一気に駆け抜ける演出が冴えわたる一品です。8点(2004-06-28 08:40:40)

52.  権三と助十 伊丹万作監督作品、です。畏れながら初めて見させていただきました。これはたんぽぽの綿帽子のような、ふわりとしたテンポのいい作品ですねー。同年に同じ長屋を描いた山中貞雄の『人情紙風船』と比較すると、その終わらせ方の違い・・・なんともつい山中の胸中に思いをはせてしまいそうになります。山中にもラストに相合傘の似合う作品をこの後、撮ってほしかった・・・。彼らが残した綿帽子の種が日本映画の財産、ですね。8点(2004-05-25 23:38:32)

53.  極楽特急 《ネタバレ》 「しかしルビッチさんはドアがお好きどすなー」、舞妓さんならきっと見終わってこう言うかな(言わんか)。時計のカットだけをつなげて会話をかぶせるところや、医者やゴンドラの連想から話をつなぐところなど、“らしい”ですねー。会話もしゃれてるし、テンポもいいし、カメラ移動も巧い、です。ストーリィに少しひねりが足りないのがマイナス、かな。ケイ・フランシスのマダム・コレには、“ケイ”つながりで桂銀淑の大阪暮色を贈りたいと思います。♪あほやねんあほやねん騙された私があほやねん♪ ケイ・フランシスに桂銀淑の歌を贈っている私があほですな。8点(2004-05-20 00:16:30)(笑:1票)

54.  阿部一族(1938) 森鴎外原作の“武士たるもの”を描いた作品です。かなり手間隙とお金をかけているのでは、、、とうかがえます。カメラは縦の構図やフォーカス送り、深度の浅い銃口や井戸をはさんで2人が対峙するシーンなど見所たっぷり。セットも燃え崩れる屋敷などたいしたもんで、編集も丁寧です。どうしても台詞が聞き取りづらいのは仕方ないですね。内容は、阿部一族を真ん中にどかーんと据えて、多助と竹内数馬なる人物を脇に置き、武士の潔さを描きます。追腹うんぬんは少し時代背景を知ってから見たほうがいいです。息子の殉死の申し出に嬉々とする母親や白装束の晴れやかな老侍が白のまぶしい階段を登って行くシーンなど、どこまでもカラッとしており、逆に痛々しさを感じました。それはラストの滅び行く一族が煙に包まれていく白のまぶしさでもそうです。殿様の「すがすがしい朝じゃの」という台詞が輪をかけています。「犬死一番」と焼け跡に一人たたずむ女の姿が私には救いでした、、、。8点(2004-05-10 20:24:42)

55.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 グランド・ホテルの回転ドア(この時代にもうあるのね)をくぐると、それに呼応するかのように、それぞれの人生も回転します。社長は犯罪者へ、帳簿係は絶望から希望へ、踊り子は陰鬱から高揚へ、タイピストはお金から情へ、盗人は恋を覚え、生から死へ。そして、元の回転ドアをくぐり戻っていきます。犯罪者は横の戸口から、死者は裏口から出ていくのもどこか暗示的。その様子を何事もなく眺めるような円形ロビーの俯瞰ショットが「人生はめぐる、いい事があれば悪いこともあるさ」とささやいているようでなんとも象徴的でした。形式としてその名を残すだけでも誉れ高い作品です。8点(2004-05-04 16:39:28)(良:3票)

56.  東京の宿 小津安二郎、最後のサイレント映画。この時期になると周りが全てトーキーに移行し、残された小津もトーキーへの移行を見据え試行錯誤していたようなことを読んでみたりすると、いかにも画面から、もはやトーキー後に聞き慣れた坂本武や飯田蝶子の声が聞こえてくるような感覚になったりもします。原っぱででんぐり返しする突貫小僧たちや、風に髪が緩やかに揺れる岡田嘉子が印象的。飯屋の軒先で雨宿りする父子のシーンが美しい。[DVD(邦画)] 7点(2006-12-12 22:38:40)

57.  地獄への道 これはアメリカ開拓時代の無法者ジェシー・ジェイムズを描いた映画です。そんなことは原題を見ればわかるぞと言われそうですが、アメリカでは誰もが知っているようなアウトローだそうですね。そのせいか分かりきったことは描きませんよ、とジェシー・ジェイムズの南北戦争時代のエピソードなどはありません。鉄道会社に土地を無理矢理買収された人々の公憤と母親を殺されてしまった私憤を背景にそのならず者ぶりと苦悩、葛藤、愛情を描いていきます。アメリカで初めて発生したといわれる列車強盗の描写は迫力満点で、列車を追って線路を走る馬、追い付き列車に飛び乗るジェシー、夕景をバックに車両を飛び移っていくジェシーのシルエット・・・見応えあるシーンです。しかし全体的にジェシー・ジェイムズの個的な動機による衝動といった感が強く、鉄道会社=資本=悪といった図式の中で暴れまくる大衆ヒーローという印象をあまり受けないのが、今ひとつカタルシスを与えてはくれないところでしょうか・・・。7点(2004-11-29 13:37:15)

58.  青髭八人目の妻 ルビッチ作品でワイルダー、ブラケットが脚本を担当したのは、これと『ニノチカ』ですが、特にこの作品は、上品にストーリィを組み立てるルビッチタッチというよりも、いかにもワイルダーの脚本でございます、といった風情になっておりますね。ルビッチの作品は、純粋な恋愛のかけひきを軽妙洒脱に描くことで、見ているものをルビッチワールドに誘い込むのですが、この作品は財産という金銭欲が恋愛にからまることで、少しアクの強い作品になっている、といえましょうか。私の中では、『ニノチカ』も含めて、ルビッチ+ワイルダー=最高傑作とはなっていないところに映画の奥深さを感じているところであります。7点(2004-07-02 19:12:21)(良:1票)

59.  出世太閤記 監督・稲垣浩、撮影・宮川一夫。これはもう、ビデオテープに一拝してからデッキに差込ませていただきました。宮川さん本人いわく、監督とキャメラマンは夫婦の関係。いわば初婚の相手が稲垣浩、再婚の相手が溝口健二とのこと。そしてこの『出世太閤記』が、自らの出世作だと言われております。ということでこの作品は出世太閤記ならぬ“出世宮川記”でもあります。で、私には動的なキャメラが印象的です。桶狭間の合戦に向かう騎馬隊の疾走に挿し込まれる、沸き立つ雲、揺れる大地。まさしく天地、轟く。一転、静的な合戦後の焼け跡、ただよう煙。合戦そのものを描かない、このあたりは稲垣浩の冴えといえるのでしょうか。そして、もう一つ、秀逸なのが、普請のために切り出した材木を激流にまかせて運ぶシーン。材木の先頭に凛と立つ藤吉郎と激流のコントラスト。ここのキャメラはお見事。ストーリィ的には、藤吉郎は主従に忠実に励み、武将たる才能を随所に覗かせる様が描かれております。後のギラギラとした野心はもう少し先になるのでしょうか。これで終わりか・・・といった少し物足りなさを感じるところが割引です。7点(2004-06-15 20:50:12)(良:1票)

60.  モンテ・カルロ ミュージカル。どうも一連のルビッチ作品に比べると、会話のリズム、テンポが少しギッコンバッコン・・・。やはり、ミュージカルシーンがそうさせているような感じです。ラストの劇中劇のオペラがストーリィとシンクロしていくあたりに“らしさ”はうかがえられましたが、ルビッチ風味を堪能している身には、やや薄味かなー。吉野家で豚丼を食べたような、おいしいんだけどなんか気分が出ないぞ、と、そんな感じの作品でございました。7点(2004-06-15 18:48:25)

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