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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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【製作年 : 1930年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  残菊物語(1939) ひゃ~凄い作品です。舞台役者の花柳章太郎、森赫子(かくこ)を迎え、ワンシーン・ワンショットを基本とする長回しがとことんまで研ぎ澄まされております。全体をローキーで捉えた三木滋人(稔)さんのカメラは、この哀切極まりない物語を実に哀切たらしめております。また森赫子さんの艶やかで控えめな演技が、緊張感の持続強いられる長回しに映えてお見事。舞台でスポットを浴びる菊之助と舞台下の暗闇でひたすら手をあわせるお徳のまさしく明暗、菊之助が調達した呉服の生地に顔を埋めるお徳・・・あ~涙。菊之助が台所で餅を眺めるシーンの切なさよ。「あらっ、若旦那こんなところにいらしたん」のノー天気な台詞が拍車をかけます。病床で芸人の女房として振舞うお徳、その弱々しい肢体、口調とは裏腹に力強い菊之助への言葉・・・あ~、涙涙。安易な感傷とは無縁のお徳の物語、完。10点(2004-08-27 00:21:58)(良:1票)

42.  マダムと女房 日本で最初の本格的トーキー作品であります。楽士であった土橋兄弟が開発したので土橋式トーキーというそうですが、オープニングの会話からいきなり映像と音が同調していない(笑)、シーンによっては大きくずれている・・・しかししかし全編、音にあふれており、とにかく音の缶詰のような作品になっていて私は大満足であります。ねずみ、猫の鳴き声、赤ちゃんの泣き声、目覚まし時計の音、鐘の音、ミシンの音、飛行機の音、そしてなんといってもジャズバンドの演奏。音を意識しすぎただけの作品という評も一部あるようですが、せっかくの初トーキーなんですからいいじゃ~ないですか。とぼけた渡辺篤、そして田中絹代が若い、かわいい~、声も若い。「ねぇ、あなた~」うーん、たまらない魅力です。この田中絹代はクレジットでは女房としか記されていませんが、夫が「おーい、キヌヨ、キヌヨー」と言っているのが楽しいです。さてこの夫、劇作の締め切りにおわれているのですが、隣家のジャズバンドの演奏がやかましくて文句を言いにいきます。ところが、そこのマダムにそそのかされ一緒に歌い踊りお酒を飲み・・・そのジャズバンド名が「MAMMY JAZZ BAND」、これはマミーソングを歌う『ジャズ・シンガー』を意識したものでしょうな、きっと。ラスト、日本髪がすっかり洋風になった田中絹代(着物は着物のままです)、♪ららら~、と口ずさみ寄りそう二人、オチもきまって、1時間足らずですが実に愛すべき作品でありました。「ねぇ、あなた~」、言われてみたいものでありますな~。9点(2004-08-21 23:57:25)

43.  隣りの八重ちゃん この作品は、松竹蒲田調・大船調へとつながる小市民映画の代表的傑作ということで、非常な感慨をもって見させていただきました。内容は、まさしくお隣同士の一家の交流を、日常生活的な台詞をもって実に生き生きと切り取っていきます。まずキャッチボールをする兄弟、これがオープニングなんですが、このボールがミットにおさまるパン、パンという音が日常の反復をあらわすかのように始まります。そしてガチャンと隣の家のガラスを割る音。日常にも多少の起伏はありますよ、ということでしょうかな。まあそんな感じで、父親同士で一杯やったり、子供同士でお風呂へいったり、自分の家が留守なので隣家でお茶漬けを食べたり、靴下を繕ったり、とそんなことが積み重ねられていきます。女学生の八重ちゃんを演じる逢初夢子さんの愛くるしい表情、キャハハという笑い声が屈託ないこの隣同士の一家の関係を象徴していますね。そこへ八重ちゃんの姉が、嫁ぎ先を飛び出して帰ってくるのですが、演じる岡田嘉子さんの台詞回しが、彼女だけが異分子ですよと言わんばかりの舞台調であるのもおかしいです。カメラは、引いたり、クローズアップで撮ったり、ハイポジションで撮ったり、洗濯物など心象的な風景を挟んだり、とても工夫されています。家屋内の人物構図もきまっていますね~。編集もけっして単調になることなく丁寧にカットがつながれています。ラスト、八重ちゃんが兄弟一家と一緒に暮らすことになるのですが、その時の台詞「もう隣の八重ちゃんじゃないわ、キャハ」。う~ん、素晴らしい台詞ではないですか。この歴史的作品にはもう10点をつけるしかないですね、キャハ。10点(2004-08-06 00:37:02)

44.   どこを切り取ってもポストカードにできそうな美しい構図が、降りそそぐ雨のごとく、見る者に降り注いできます。マイナスイオンのシャワーでも浴びたような気分でした。こんな作品は、もう抱きしめてあげたいぐらい好きです。軒下の長回しのシーンは、動いては止まる2人を追い続け、クロフォードの向こうにテーブルを囲む泊り客を捉え、そのままカメラは回り込んで、降りしきる雨を捉えます。まさに泊り客と雨に挟まれるクロフォード。さてこの長回し、どう次のカットにつなげるのか、と思って見ていたら、フレームから2人が消えた瞬間、素早くパンして室内へ、そこへまた2人が現れ、と見事に緩が急になってつながっていきました。んー、隙がない。ウォルターが狂気に駆り立てられるシーンは、部屋の明かりが消えた瞬間、雨の音、呪術的な太鼓の音が、じわじわとクレッシェンドで奏でられ、沸点へと近付いていきます。そのウォルターのファナティックな表情、これは怖い!そして、当然のように晴れ上がったラスト。憐れは相対的に捉えるもんではない、との摂理を語り、クロフォードは去っていきました。クロフォードの日本語には、言えてないぞ!とつっこみたくなりますが、そんなとこつっこんでも“シカタガナイ”ので満点献上です。10点(2004-07-08 20:11:14)(良:1票)

45.  メリィ・ウィドウ(1934) ん・・・これまでのルビッチ作品とはなんか違うぞ。そうだ、やたら構図のきれいなショットが出てくるんです。ルビッチ作品は、窓から窓への移動などカメラワークの巧みさに目がいくことはあったんですが、あまり構図を意識させられるようなことはありませんでした。ところが、オープニングのパレードのシーン、バイオリンを奏でる室内、ソニアがテラスで歌い上げるシーンを地上から見上げるショットから始まって、後半のフレンチカンカン、ダンスシーン・・・きまってるんです。キャメラマンは誰だ・・・と後から見ればオリヴァー・マーシュさん。早速マーシュさんが撮った『雨』(大傑作!)を見ましたが、これで納得。なんとも素晴らしいキャメラワーク、構図。ルビッチお得意の恋のかけひきはいつものごとくに、愛嬌あるシュヴァリエ、美しいマクドナルドが鮮やかにフレームに収められた傑作です。9点(2004-07-08 19:06:25)(良:1票)

46.  青髭八人目の妻 ルビッチ作品でワイルダー、ブラケットが脚本を担当したのは、これと『ニノチカ』ですが、特にこの作品は、上品にストーリィを組み立てるルビッチタッチというよりも、いかにもワイルダーの脚本でございます、といった風情になっておりますね。ルビッチの作品は、純粋な恋愛のかけひきを軽妙洒脱に描くことで、見ているものをルビッチワールドに誘い込むのですが、この作品は財産という金銭欲が恋愛にからまることで、少しアクの強い作品になっている、といえましょうか。私の中では、『ニノチカ』も含めて、ルビッチ+ワイルダー=最高傑作とはなっていないところに映画の奥深さを感じているところであります。7点(2004-07-02 19:12:21)(良:1票)

47.  天使(1937) おー、ルビッチの見せない演出だー。見せなきゃいいってもんでもないんですが、この作品は、ここというツボをお見事に刺激。エンジェルが突然いなくなるシーン、エンジェルが友人の妻であることがわかるシーン、エンジェルが自分の妻であることがわかるシーン。ストーリィのコアとなるこれらのシーン、ともすれば役者の表情のクローズアップで表現したくなるシーンをことごとく間接的に表現。スミレ売りのおばあさん、反対を向いている写真立て、秘密のメロディーを奏でる電話口・・・、また下げられてくるお皿で、3人の心理状態を巧みに表現されちゃー、ははぁーと頭をこすりつけるほかありませんです。ラスト、芝居を打つエンジェル、それを逆手にとるバーカー卿、といった脚本も素晴らしく、エンジェル役のディートリッヒの魅力、ルビッチの見せない演出とあいまって、この作品はまさに、金のエンジェルマーク。これ一つでルビッチタッチの缶詰がいただけるのであります。10点(2004-06-30 13:03:05)(良:3票)

48.  赤ちゃん教育 しゃべる、しゃべる、走る、こける、しゃべる、しゃべる、走る、こける・・・このリズムにのってジ・エンドまでハイテンションで展開する息つく島ないスクリューボールコメディ。とぼけた令嬢に巻き込まれてしまった生真面目学者、その2人をさらに巻き込むのは、豹と犬。動物的なる天然キャラの令嬢とまさに動物に振り回されるグラント、その彼が動物学者であるのがおかしいですね。ホークス監督の一気に駆け抜ける演出が冴えわたる一品です。8点(2004-06-28 08:40:40)

49.  出世太閤記 監督・稲垣浩、撮影・宮川一夫。これはもう、ビデオテープに一拝してからデッキに差込ませていただきました。宮川さん本人いわく、監督とキャメラマンは夫婦の関係。いわば初婚の相手が稲垣浩、再婚の相手が溝口健二とのこと。そしてこの『出世太閤記』が、自らの出世作だと言われております。ということでこの作品は出世太閤記ならぬ“出世宮川記”でもあります。で、私には動的なキャメラが印象的です。桶狭間の合戦に向かう騎馬隊の疾走に挿し込まれる、沸き立つ雲、揺れる大地。まさしく天地、轟く。一転、静的な合戦後の焼け跡、ただよう煙。合戦そのものを描かない、このあたりは稲垣浩の冴えといえるのでしょうか。そして、もう一つ、秀逸なのが、普請のために切り出した材木を激流にまかせて運ぶシーン。材木の先頭に凛と立つ藤吉郎と激流のコントラスト。ここのキャメラはお見事。ストーリィ的には、藤吉郎は主従に忠実に励み、武将たる才能を随所に覗かせる様が描かれております。後のギラギラとした野心はもう少し先になるのでしょうか。これで終わりか・・・といった少し物足りなさを感じるところが割引です。7点(2004-06-15 20:50:12)(良:1票)

50.  モンテ・カルロ ミュージカル。どうも一連のルビッチ作品に比べると、会話のリズム、テンポが少しギッコンバッコン・・・。やはり、ミュージカルシーンがそうさせているような感じです。ラストの劇中劇のオペラがストーリィとシンクロしていくあたりに“らしさ”はうかがえられましたが、ルビッチ風味を堪能している身には、やや薄味かなー。吉野家で豚丼を食べたような、おいしいんだけどなんか気分が出ないぞ、と、そんな感じの作品でございました。7点(2004-06-15 18:48:25)

51.  生活の設計 おっなんだ、フランス語かこの映画は・・・んなわけなくこれも伏線でした。さて、『極楽特急』に続き、ミリアム・ホプキンス嬢が登場。オープニングの列車のシーンだけ見るとこっちが『極楽特急』かと思ってしまいますが、そんなことはどうでもよくて、ホプキンス嬢は前作の泥棒役さながら、今度は男性二人の心を同時に奪ってしまった・・・が、ジルダも2人を愛してしまった。ジルダは2人に「ノー・セックス」。おー、ソフィスティケーション・コメディの本質が語られた。それだけでもこの映画には価値がありそう、だ。見せない演出の醍醐味は終盤に登場。パーティーを無茶苦茶にする2人を扉の向こうの音だけで表現。今ならここぞとばかりのドタバタがこれでもかと描かれる場面ですね。扉といえば笑ったのが「20の扉」。NHKの人気ラジオ番組ですが、ルビッチだけに「20の扉」というのは出来すぎてるなー。最後にタイプライターの“チーン”だけで象徴された愛、これには、この野郎またやりやがったと毒づいてしまいました。あー、私の部屋ではむなしく電子レンジの“チーン”が今日も鳴るのでありました。9点(2004-06-11 23:55:52)(良:1票)

52.  暗黒街の顔役(1932) カポネをモデルにした映画だそうで、ホークスが語るところによると、実際にカポネが見て偉大な映画だと言っていたそうな。なんかそれを知るだけで凄いもんですね。さてさて、この顔役さんは、無邪気で子どもっぽくて寂しがりやにして、征服欲、独占欲にあふれたギャングであります。トンマなシショをずっと雇っているところや、妹から撃たれないところなどなんか憎めません。突然の発砲音にも平然とする強さと、周りの人物がもがれうろたえる脆さ、そこがなかなか魅力的なのですが、ラストは大きく×の刻印が打たれたかのように突き放されてしまいました。この×印の使い方、まーいろいろと出てくるんですが、私は妹のドレスが一番気になりました。妹が派手になり背中にはドレスの×のラインが・・・、顔役のラストを暗示するようで。見終わって思わずコインを弾きたくなるエポックな一品であります。9点(2004-06-11 00:37:55)(良:3票)

53.  孔雀夫人 ワイラー初期の作品。伝統格式、気品、上流階級ってなものに憧れを抱く夫人が旦那をけしかけ、ヨーロッパ旅行に出かけます。さてさてそこでの夫人の色恋沙汰やいかに、というお話。旦那はそのうち彼女も気付いてくれるやろ、と20年の結婚生活を大切に考えるのですが、彼女は懲りない。伝統に憧れる彼女、目の前に結婚生活という歴史、伝統を大切に思う旦那という恰好の対象がいるのにねー。また伝統というのは年を重ね刻まれていくのですが、自ら年をとることを極端に恐れる彼女というのも滑稽です。そんな自己矛盾に満ちた彼女ですからついに最も大切な人を失ってしまいました。夫人=アメリカ、旦那=ヨーロッパの象徴と置き換えて、その国にはその国の振る舞い方がある、と勝手に解釈させていただきました。7点(2004-06-06 17:43:44)

54.  権三と助十 伊丹万作監督作品、です。畏れながら初めて見させていただきました。これはたんぽぽの綿帽子のような、ふわりとしたテンポのいい作品ですねー。同年に同じ長屋を描いた山中貞雄の『人情紙風船』と比較すると、その終わらせ方の違い・・・なんともつい山中の胸中に思いをはせてしまいそうになります。山中にもラストに相合傘の似合う作品をこの後、撮ってほしかった・・・。彼らが残した綿帽子の種が日本映画の財産、ですね。8点(2004-05-25 23:38:32)

55.  人情紙風船 山中貞雄をただ早逝の天才という知識だけで、初めてこの作品を見た時には、正直、うわーなんと厭世的、諦観的な作品なんやと。山中貞雄=ペシミスティックと勝手に式化してました。ところが・・・『丹下左膳餘話 百萬両の壺』『河内山宗俊』を見ると、ありゃりゃーー。さらに評伝などを読むと『街の入墨者』の脚色にはルビッチの『私の殺した男』、演出にはキャプラの『或る夜の出来事』を取り入れた、らしい。『人情紙風船』の憂色の濃さを時代に見るのはたやすいかもしれません。しかし三村伸太郎の生き生きとした脚本を全く反対にしてしまった山中の心情はいかなるものだったんでしょう。空と流れゆく雲のカット、金魚売りの長閑な声、ラストの紙風船。うーん、切ない。特にラストの紙風船、静かに向こうへ流れていく姿、あれはもう山中そのもの・・・。10点はいつか見ることができると信じて『街の入墨者』『国定忠治』にとっておくとしよう。9点(2004-05-25 08:10:56)

56.  極楽特急 《ネタバレ》 「しかしルビッチさんはドアがお好きどすなー」、舞妓さんならきっと見終わってこう言うかな(言わんか)。時計のカットだけをつなげて会話をかぶせるところや、医者やゴンドラの連想から話をつなぐところなど、“らしい”ですねー。会話もしゃれてるし、テンポもいいし、カメラ移動も巧い、です。ストーリィに少しひねりが足りないのがマイナス、かな。ケイ・フランシスのマダム・コレには、“ケイ”つながりで桂銀淑の大阪暮色を贈りたいと思います。♪あほやねんあほやねん騙された私があほやねん♪ ケイ・フランシスに桂銀淑の歌を贈っている私があほですな。8点(2004-05-20 01:08:00)(笑:1票)

57.  巴里の屋根の下 《ネタバレ》 これは映画中のシャンソンを聞くだけで幸せな気分になれます。アルベールは恋には破れたが、楽譜までは破らず、あいかわらずパリの屋根の下で楽しそうにシャンソンを教えています。「まーまー皆さん、生きてりゃいろんな嫌なことも辛いこともあるかもしりゃーせんが、ここはひとつ、シャンソンでもうたって甘い気分に浸りやしょう」というメッセージが聞こえてきそうです。トーキーな台詞は少ないですが、数々の映像的音使いのセンスあふれる作品です。シャンソンで口説かれたのはニニだけではなく、“パリの屋根の下”で幸せになったのもニニだけではなく、この私もでした。思わずつっこみたくなるストーリィがマイナス1点です。9点(2004-05-16 23:44:36)(良:1票)

58.  大いなる幻影(1937) 反戦を謳い、人間の本質を描き出した見事な作品です。「所詮、人間が作った物」の国境に救われるラストシーンは、人間が作る物への愚かさと尊さを描き出していてなんとも象徴的でした。幻影であるかもしれないが希望を紡ぎだす1コマ1コマ、1シーン1シーンは、どれも丁寧。どこまでも高貴になり得る人間、その姿そのものが幻影であったしても、幻影が実体になるその時を信じて営まれる人間の行い。その行いのなんとも愛しいことか。その行いこそに人間の本質があるのではないだろうか、と感じさせられました。そう感じることが“大いなる幻影”なのかもしれませんが・・・。とにかく素晴らしい作品です。10点(2004-05-14 13:23:21)(良:2票)

59.  阿部一族(1938) 森鴎外原作の“武士たるもの”を描いた作品です。かなり手間隙とお金をかけているのでは、、、とうかがえます。カメラは縦の構図やフォーカス送り、深度の浅い銃口や井戸をはさんで2人が対峙するシーンなど見所たっぷり。セットも燃え崩れる屋敷などたいしたもんで、編集も丁寧です。どうしても台詞が聞き取りづらいのは仕方ないですね。内容は、阿部一族を真ん中にどかーんと据えて、多助と竹内数馬なる人物を脇に置き、武士の潔さを描きます。追腹うんぬんは少し時代背景を知ってから見たほうがいいです。息子の殉死の申し出に嬉々とする母親や白装束の晴れやかな老侍が白のまぶしい階段を登って行くシーンなど、どこまでもカラッとしており、逆に痛々しさを感じました。それはラストの滅び行く一族が煙に包まれていく白のまぶしさでもそうです。殿様の「すがすがしい朝じゃの」という台詞が輪をかけています。「犬死一番」と焼け跡に一人たたずむ女の姿が私には救いでした、、、。8点(2004-05-10 20:24:42)

60.  私の殺した男 異色のルビッチ作品、さてどうなるものかの不安もなんのその、参った!何がってラスト3分ですよ。このシーンは映画史上燦然と輝くルビッチの3分クッキングですよ。用意する材料は役者とバイオリンとピアノ。青年にバイオリンを渡してしまえば、台詞は一切なし。手を握り合うバリモアとカーターの老夫妻、閉ざされたピアノに息吹を与えるキャロル。彼らの表情を見るだけで、わたしゃーこれから幸せですよ。ルビッチ様、あなたはいったい、Who are you!10点(2004-05-04 20:48:39)(良:2票)

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