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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 これは本当に凄い。同じ記憶が別の感情に触れるとカラーを変える。感情が迷路に迷い込むと性格を構成する要素が停止する。脳内地図を移動するのは思考。眠ると思考も止まるが感情と想像は動いている。喜びと悲しみはコンビ。怒りと恐れと嫌悪はトリオ。喜びは原動力だが道を憶えているのは悲しみ。怒りが突破口を開き嫌悪がそれを焚きつける。恐れは身を守る。イマジナリー・フレンドは成長のために犠牲となって忘れ去られる。11歳が12歳になるとコンソールがいきなり複雑になる。 少年とおっさんの感情メンバーがやたら単純なのは面白い。そうなんだよ、我々の種族では感情は「同時」に働かず「一緒に」動いてしまうんだよ。女性教師が休暇と男のことだけ考えてたり、このあたりの描写は少女の複雑さに魅せられた大人のいかにも大人っぽい自己診断という感じがする。でもあんたらのバックヤードも実際は多分えらいことになってるよ。 この映画では人間の原動力であるヨロコビが世界の仕組みや様相、他のメンバーの大切さを学んで進む成長物語になっている。現実世界でも物事を学ばないで得る「喜び」はすぐ虚無に落ちてしまう。そんな知的な話でありながら知性はあくまで脇に置くという知性が凄い。 追記:一つだけ文句を。子供向け映画で邦題『インサイド・ヘッド』てなんだよ。「あたまのなか(直訳案)」「ライリーの大切な仲間たち(平凡案)」「ココロレンジャー(冒険案)」でもなんでもいいから邦題考えようよ。邦題は何かと叩かれやすいが、ひるむな。もしアナ雪が邦題「フローズン」だったらどうなってた?[DVD(字幕)] 9点(2019-07-02 23:43:42)(良:1票) 《改行有》

42.  ゴーストバスターズ(2016) 《ネタバレ》 今頃オリジナルシリーズを観て乗れなかったという者だが、正直これはかなりいい。やはり現代の映画なので「ゴースト」の存在が受容されていく社会の描写がちゃんと描かれている。最初から街のヒーローというわけじゃない。 キャストがとにかく素晴らしいのだが、特にケイト・マッキノンが最高でどのシーンでも超個性的で格好良い。これは惚れてまうやろ。「二刀流」の殺陣のシーンとかああいうの他のキャラでももっとやればよかったのに。とんでもないバカ男を演じたクリス・ヘムズワースも取り憑かれてからの「普通さ」がかえって不気味で良かった。このバカ男にクリステン・ウィグの生真面目博士がなぜか入れあげるのが面白い。ケビンが吹き出したコーヒーを奪い取って飲むとかネタとしてギリギリだろ(笑)。周囲がマッドなのでメリッサ・マッカーシーが常識人役になって影が薄くなるのは仕方がない。 不満点としては、まずオリジナルをリスペクトするのは良いが、ビル・マーレイ以外はカメオ出演が無理やり過ぎる。もっと自然に出す方法はいくらでもある気がするのだが。あと現代の作品として設定や成立過程を丁寧に描くのは良いが、ラストがこれまた今風にだらだらと長い。長すぎて収まらずエンドロールでも延々やってる。みんな、もっと映画はすっきり終わらせる勇気を持とう。カットした分はいくらでもDVDの特典映像に入れればいいだろ。[インターネット(字幕)] 8点(2019-05-27 14:31:24)《改行有》

43.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 名だたる評論家たちが年間ベストに挙げ、巷も大絶賛。どうやら僕はそこに乗れない少数派のようだ。 たしかに良い映画だとは思うが、この映画の「感動」って元のクイーンの曲の力にあるんじゃない?それは別に悪いことじゃないし再現度はそりゃ素晴らしいが、そこが大事ならもっと音楽に焦点を当てればよかったのにと思う。しかし長い上映時間の大半を占めるのはフレディのセクシュアリティの葛藤。果たしてこれはストーリーとして何度も繰り返して表現すべきプロットだろうか?。フレディのソロ活動がカネまみれでクイーンを裏切る「完全悪」みたいな扱いなのもよく分からない。もっと分からないのはライアン・メイとロジャー・テイラーがこの映画のかなりの権限を握っているらしいこと。つまりその他史実の改変もこの二人の意向てこと?(少なくともOKは出しているはず) ライブ・エイドの演奏場面はもちろん素晴らしいのだが、当たり前だけど本物のライブ映像の方がもっと良いんだよ(笑)。このへんは音楽やスポーツの伝記映画の宿命ではある。しかしこれをクライマックスにするのならそこに至る雌伏の時期が物語上必要だが、それは「無駄な」ソロ活動や乱痴気騒ぎに「うつつを抜かしていた」フレディが「ファミリー」の元に帰る、という話なんだな。それでいいのかブライアン&ロジャー? 個人的にはフレディ役は当初の予定だったらしいサシャ・バロン・コーエンで観てみたかった。ラミ・マレックは確かに頑張っているが、フレディ・マーキュリーという人のとんでもない「強さ」を表現しきれていないように感じる。そりゃフレディは繊細で闇も弱さもある人だったろうが、どんな大観衆も圧倒する強さがこの役には必要だろう。サシャならそれができたように思うのだが。[映画館(字幕)] 6点(2019-01-01 20:43:25)(良:2票) 《改行有》

44.  ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years(2016) 《ネタバレ》 ビートルズは偉大だ、時代を変えたと何百回聞かされてきたか分からないが、この映画を観てようやくその意味が分かった気がする。以前はあのファンの熱狂が不思議だった。そりゃ曲は良いが狂いすぎでしょと。 あの時代は二度の大戦の後。古い価値観は完全に否定された、にもかかわらず大人達は相変わらず同じことを言い、行い、押し付けてくる。そんな中で新しい価値観を堂々と提示する若者がビートルズだった。彼らは奇跡のような才能を授かったが、それに加えて短くも濃密な下積み期間で演奏者としての技量と仲間意識を確立していた。それが彼らを消費物として使い潰されることから守ることになった。世に出た時には彼らはすでに圧倒的な才能と確実な演奏技術、そして仲間意識に支えられた揺るぎない自信と落ち着きを持った賢い若者たちだった。ビートルズの登場は新しい時代そのものだったようだ。 賢い若者たちも中年になるとその言動が「炎上」を引き起こすようになる。しかし彼らはそこから逃げない。ビートルズは自分たちの作り出した状況から、本当にやりたいことから、言いたいことから逃げなかった。才能だけならもっとある人やグループもいたかもしれない。でもそれを完遂して世に出せたのがビートルズだったんだね。[インターネット(字幕)] 8点(2019-01-01 20:21:41)《改行有》

45.  マイケル・ムーアの世界侵略のススメ 《ネタバレ》 まったく泣けてくるわ。この映画で比較されるアメリカの問題はほとんど日本にも共通する問題。ただし日本にはマイケル・ムーアのような「侵略者」はいない。この映画を見ていると国、というか人間の社会が何のためにあるのか考えさせられる。その構成員が幸せになるために、生き残るためにどうやってその力を活かすか。 この映画は身近な楽しい話題から重い話、普遍的な課題へという展開が上手い。そして「侵略」ネタが実はアメリカ発であったことが希望を抱かせる。ムーア本人が言うように各国にも問題はあるし「道は遠い」のだが。そしてこれはやはり日本も同じなんだよね。かつては工業製品の信頼性が日本だけのものだった時代があったんだよ(今もそうだと信じてる人は多いが)。 相変わらず断トツNo.1経済大国のアメリカがこれからどうするかは分からないが、変革する力は持っている。さて我々日本人は果たして自分たちの問題を「ノミとハンマーでダウン」できるのかな。それともそんな問題は存在しないと思い込んで停滞を延ばし続けるのだろうか?[インターネット(字幕)] 10点(2018-11-19 22:15:01)《改行有》

46.  LOOPER/ルーパー 《ネタバレ》 この監督のテイストはクリストファー・ノーランに似ている。カット割りとシーン描写が上手くリズム感と説得力があるが、全体のテーマに腑に落ちないものがある。この腑に落ちなさをノーランより思い切り開き直って展開するのが面白い。が、問題もある。 ルーパー達が持たされる「ラッパ銃」は射程が短いので処刑には使えるが攻撃に向かない(わざわざそれを実演するプロットまである)。だから最後はあの選択しかない。これは良い。しかし突然変異によって人口の何割かが超能力を持つ(だから現代でもできるはずの時代設定が近未来になっている)という設定は未来の大悪党の能力の理由付けためのものに過ぎない。これはいらんでしょう。結局ストーリーの「ために」作られた設定があからさまだからノイズに感じる。そもそも映画の設定なんてどんなに無茶でも物語内で整合性が取れていればその世界に入っていけるのだが、ストーリーの都合という「舞台裏」が見えてくると興ざめしてしまう。 ブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットは印象こそ違うがメイクのおかげもあって並ぶとけっこう似ている。だが役者は頑張ってもストーリーに同一人物性を現すものがない。そりゃ30年経てば人は変わるでしょう。若い時の方が賢明ということもあるでしょう。しかし同一人物の根本的な人間性がすれ違ったままというのはどうなのか。この映画は魅力はあるがSFとしても人間ドラマとしてもちょっと破綻が多すぎる。[インターネット(字幕)] 5点(2018-10-06 03:39:30)《改行有》

47.  神様メール 《ネタバレ》 序盤からこれは斜に構えた無神論的世界観のコメディなのか、と思っていたらしっかりキリスト教、それもカトリックの世界でした。 とにかく欧米の奴らにとってキリスト教世界観は抜き難いものなのだな、ジーザス・クライスト(JC)は大好きだがユダヤ教の父なる神は大嫌いなのだな、そして現代の世界にモディファイした新たなメシアを求めているのだな、ということはよく分かった。その新たな救世主、エアを演じたピリ・グロワーヌがとても良い。そうだね、「無垢な賢い少女」が世界を救うことに文句のある奴はいないよね。 とにかくどのシーンもキャラクターも魅力的で次の展開が余命無い、もとい読めない。もうこの先どうなってもいいや、と思っていたらオチがあれでいいのかという(笑)。しかし最後は男女の性愛でハッピーを表現するあたり、やはりカトリシズムなのだな。 人はどうしても世界が「あるべき形」になってほしいという願望がある。自分の余命がはっきり分かったらどうする?やっぱりやりたいことやるよね。劇中「悪用」する奴は一人だけだが、そいつは単なる自業自得で終わる。この映画は徹頭徹尾「宗教映画」なのだが、それを現代性と完全にマッチさせて爽やかなエロと共にまとめ上げたことに拍手。[インターネット(字幕)] 9点(2018-09-23 19:57:56)《改行有》

48.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 全体が緊迫感のある会話劇で出来ていてこの詰め詰め感は魅力的だが、残念ながら脚本が力不足で台詞の言葉尻がいちいち軽い。登場人物がやたら多いので演技が玉石混交になるのは仕方ないが、特に主役級の長谷川博己と石原さとみが致命的。特に石原さとみは変な英語なんかより気の強い優秀なキャリアガールを演じた結果が蓮っ葉になるのは駄目でしょう。背伸び感が強すぎて将来の大統領とか無知無理無理。 役者で良かったのは市川実日子、高橋一生、國村隼、津田寛治。この4人は玉石混交の「玉」。もし彼らがいなかったらこの映画はかなり締まりのないものになっていたはず。 そもそも現代に怪獣が現れるという「リアリティ」がこの映画の肝だと思うのだが、その肝心の怪獣ゴジラの造形は頂けない。いくらなんでもあの目はないでしょ。動きも巨大生物のスケールにまで考えが及んでいない。とは言え、このゴジラはハリウッド怪獣映画によくある「人間に嫌がらせするためだけに現れるご都合主義的モンスター」ではなく、意図不明な謎の生物、人智を超えた災害としての怪獣である。これは本来のゴジラ、つまりは災害大国日本のリアリティを持った怪獣像でもある。 しかしどうしても許容できないのは音楽。明らかな打ち込みなのは仕方ないにしても楽曲の質は低くサウンドはしょぼく、かつ音量が中途半端。あれじゃ劇中に誰かがラジカセで鳴らしているみたいでノイズにしかならない。いっそBGMなしの方がよっぽど良かったが・・・。 この映画は傑作の部類だとは思うがノイズも多い。台詞のノイズ、演技のノイズ、造形のノイズ、そして音楽がノイズ!!!僕はどうしても減点法で映画を観る癖があるのでこのくらいの点数になってしまう。[インターネット(邦画)] 6点(2018-09-20 00:30:48)《改行有》

49.  バトルシップ(2012) 《ネタバレ》 SFアクション映画と思わせて青春コメディ?な序盤。どのシーンもきっちり作られていて各演技が優れていておまけに編集のテンポも良い。だから本筋がよく分からなくなるほどだが、この高品質な満艦飾がいい感じのデタラメ感を持っていてかなり愉快。 30分過ぎからはエイリアンとの闘いに収束していくが、CGIの出来にややばらつきはあるものの破壊の表現などはかなり良い。侵略的異星人を単なる嫌がらせ役ではなく理解不能の存在に描いているのも良かった。各キャラクターもしっかり活躍させておいてかつ主役を食わない程度にひっこめるシナリオの妙がある。重厚なBGMとハードロックを組み合わせる音楽もセンスが良い。 古戦艦と古英雄の活躍とかカタルシス要素をしっかり盛り込んで実によく出来たエンタメ映画なのだが、しかし中身は、ないよね。作家性のなさというか、指揮者不在のフェスティバル楽団。「祭り映画」という評も頷ける。楽しいので人には勧められるが、しょせんレジャー映画というか、自分の映画体験としてはこれで2時間楽しむなら別のことしてもよかったね、と思えてしまう。[インターネット(字幕)] 6点(2018-08-16 21:53:16)《改行有》

50.  ホビット/決戦のゆくえ 《ネタバレ》 本作は『ロード・オブ・ザ・リング』のファンには物足りないようですが、こっちはあのくどさにちょっと辟易する方なので素直に楽しめました。なんと言ってもテンポが良い。そしてやっと2時間ちょっとに収めてくれた。大群の整列と突撃シーンはやはり圧巻で、特に一糸乱れぬ優雅な動きのエルフ軍が素晴らしい。ドワーフ軍が山羊に乗るのも良いね。 気に入らない点ももちろんあって、まず卑怯者のアルフリド、散々ウザさを振りまくのを放置しておいてちょっと矜持を見せて出ていこうとしたらぶっ潰されるって(笑)。どっちかにしてくれよ。そしてなんと言っても肉弾戦は強いのに魔法はからきしなガンダルフ。結局このシリーズでは前作で松ぼっくり燃やしただけだぞ。いいのかそれで。 いいのかそれでと言うとバルド役のルーク・エヴァンスはどう見ても顔と活躍が主役級、なのに終盤居なくなるぞ。居なくなるといえばクライマックス中ビルボは気絶したままなのだがこれまたいいのかそれで。 ドラゴンが早々に退治されるのはあれでよし。あいつは台詞が小物すぎる。カンバーバッチがしゃべったってだめ。それより全体的に条件設定があるのかないのかよく分からない、というかストーリーの都合で変わってる気がする。オークやトロールの首のもげやすさもその都度変わる。あと人間軍は漁師だから強いという話なのに最初からおばさん前線に出してどうする。 まあいろいろな突っ込みどころもテンポ良く進むので観ている間はあまり気にならないが、このシリーズはクライマックスとラストがやたら長いのでその間に反省会が出来てしまうんだよね。[インターネット(字幕)] 6点(2018-05-19 00:00:36)《改行有》

51.  42~世界を変えた男~ 映像が美しく物語がサクサク進んでテンポが良い。ジャッキーとその妻役が魅力的だし久々に2時間が長く感じない映画だった。ただ当時のジャッキー・ロビンソンが受けた困難の描写は生ぬるいように感じる。どこにでも黒人ファンやコミュニティが支えていて四面楚歌な感じが薄い。そして問題なのは音楽。効果的なシーンもあるが、冒頭と最後を感動的な音楽だけで盛り上げようというのは安易過ぎないか?妻役も美しいがあんなに出す必要あるか?それならチームメイトとの葛藤をもっと描いたほうが良いような気がするのだが。 とはいえブランチ・リッキー役のハリソン・フォードは凄い。片方の口だけ上げるいつもの演技はしてみせるものの、最後までハン・ソロとは別人の気骨ある老オーナーの姿だった。映画評論家の町山智浩さんによるとハリソン・フォードという人はいつもやる気がないらしい。その気だるい演技で評判を取ってきた。『ブレードランナー』の演技も評価が高いが、劣悪な撮影環境でうんざりする気持ちをそのまま演技に出して成功した。要は天才なのだ。その天才が本気を出すとどうなるか。このブランチ・リッキーは本当に時代を変えた男に見える。[インターネット(字幕)] 7点(2018-03-10 23:07:46)《改行有》

52.  ヒア アフター 《ネタバレ》 クリント・イーストウッドは映画を撮るのが上手い。シーンを作るのが上手い。映像が上手い。早撮りの名手らしいが役者に自然な演技をさせるのが上手い。台詞ではなく映像で分かりやすくさらっと説明してしまうのが上手い。そして題材が幅広い。この監督にマット・デイモンはすごく合う。あの「スターの輝きを持ちながら自分ではそれに気付かない普通の人」っぽさは異常だ。映画自体もシーンごとの流れが自然なので見やすいし、3つの別々の話がどう絡んでいくのかわくわくさせられる。 で、これ結局なんの話だったの?霊能力に悩む霊能力者、臨死体験を持つ人気キャスター、双子の兄を失った少年、それぞれ問題を抱えているのは分かるが、その深みというか闇の質がいまいち伝わらない。そしてこの3人が出会うとどうなるのか?というと特に意外なことは起こらないんだよね(笑)。個人的には話の整合性を重視しすぎて盛り上がらないストーリーというのも嫌いではないが、広げた風呂敷を半分に折って「はい畳みました」というのもどうなのか。 あと壊滅的なのが音楽で、ギターかピアノかストリングスの叙情的?メロディーがシーンによっては延々流れ続ける。音楽はクリント・イーストウッド。名優にして大監督に対してこんなこと言うのもなんだが、音楽はちゃんとした人を雇いなさい。[インターネット(字幕)] 5点(2018-02-16 22:30:56)(良:1票) 《改行有》

53.  ミッドナイト・イン・パリ 《ネタバレ》 これはものを作る人や作りたい人にとってのシンデレラ・ストーリー。「いつか白馬に乗った理想世界がボクを迎えに来てくれる」。主人公は偉大な芸術家たちに諸手を挙げて歓迎され常に気に入られすぐに腹を割った話ができる。萌え小説のクリエイター版か。 この映画にはウディ・アレンの願望・妄想・欲望が炸裂している。その恥ずかしいご開陳を決別という形にして自立した成長物語のふりをする。過去の世界に留まりたい気持ちはアドリアナが身代わりに実現させ、自分はちゃっかりと戻る。それも現代のパリという丁度よい落とし所で新しいお相手まで見つかる。「黄金時代」が幻想だと言ったのは「天敵」だった似非教養人のポール。そういえばアドリアナが19世紀で服装の斬新さを讃えられるのに明らかに場違いな21世紀人のギルは何も言われない。彼は帰る人だからか?夢の世界で1人醒めてしまった人か。ダブル黄金時代が黄金時代の幻想を醒ます。 数々の偉人の中でもロートレックがあまりにそのまんまでびっくりする。ピカソがずっと小物っぽいのも面白い。そしてキャシー・ベイツ扮するガートルード・スタインがめちゃくちゃ格好良い。ピカソやヘミングウェイにも堂々と意見するスタインはギルを励ます。成長物語のようでいて実は甘い甘い夢物語。僕もどこかへ引っ越したくなってきた。[インターネット(字幕)] 9点(2018-01-25 10:05:15)《改行有》

54.  スティーブ・ジョブズ(2015) 普通の脚本家はストーリーを作るが、アーロン・ソーキンという脚本家は人間を丸ごと造り出してしまう。その人間が舞台の中で自由に動き回って衝突する。ほとんど会話だけで話を成立させるのだが、その会話の密度が凄く、それでいて一貫した人間的テーマが論じられる。およそ「頭の良い人間」の表現をギミックなしのまともな会話だけで説得力を持たせられるのはソーキンくらいだろう。誰にも媚びない観客置いてけぼり感がむしろ心地良い。 時代によって解像度を変える映像表現は効果的だが、その中に写っている時代を確実に反映したディテールが凄い。80年代の大群衆がまったくその時代の人間にしか見えないし、1998年も今から見ればけっこうな「昔」だということがよく分かる。 この現実感とフィクションの独特の折り合いの付け方がジョブス役のファスベンダーで、外見はまったくスティーブ・ジョブズに似ていないし最後ちょっと寄せはするものの基本的に似せる気がない。ウォズニアックもスカリーも同様。つまりこの映画の登場人物は実在でエピソードも事実を元にはしているが、あくまで架空の人物なのだ。この映画は懸命に生きて魂でぶつかり合った人々のファンタジーだ。[インターネット(字幕)] 8点(2018-01-11 00:20:17)《改行有》

55.  ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 前半1時間延々続く少年の苦労話が辛い。まあ映像は美しいしカメラワークも見事、主役のエイサ・バターフィールド君も印象的。名だたる名優が居並ぶ中でクロエ・モレッツとの子供だけのパートが見劣りしない。 後半は打って変わって話が急展開するが、じゃああの前半は何だったん?まず前半だけずっと流れ続けるハリー・ポッター風の音楽がくどすぎる。そしてあれほど意味ありげに登場したノート、あれ単なるマクガフィンなんだな。ストーリー上で「大事な物」扱いであればなんでもいい。だから用済みになると話から消えてしまう。もっと言うと機械人形も物語上大事な役割を果たすが、要は「大事な物」だから大事という存在。ヒューゴが劇中でちゃんと「発明」していればまた意味も変わるのだろうが。 話が途中から映画黎明期の歴史にシフトしていくのでヒューゴの存在意義が危うくなる。それを補うために人形を大事にしたり爺さんに彼の「功績」をわざわざスピーチさせたりするわけ。ノートや人形だけでなく主役まで小道具と化してしまっている。この映画は後味は良いし映像は美しいし映画愛に満ちているがその「映画愛」に集中したためにかえって物語の意味が薄れている。 邦題は評判が悪いが実は原作のタイトルでもある。原作ではヒューゴの「不思議な発明」が本当に出てくるらしいが、映画ではそのプロットが削られたために原題でもなくなった。それを邦題で復活させるとは何考えてんの?[インターネット(字幕)] 5点(2018-01-10 00:17:34)(良:1票) 《改行有》

56.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 前作に比べるとテンポが良くて見やすい。エルフ2人のスーパーテクニカルアクションが格好良いが、原作にないらしい場面が最大の見どころというのはどうなのか(笑)。そしてイケメンにはやっぱりイケメン向きの役割があったか。 前作以上にドワーフやホビットの「小ささ」の表現が磨かれていて、189cmのトーリン役アーミテージを始めドワーフだけやホビット1人の場面でもしっかり小さく見える。この点は『ロード・オブ・ザ・リング』で常に違和感があったので技術の進歩というのは素晴らしい。 今作ではドワーフの頑固さや傑出したリーダーであるトーリンの独善性が描かれる。「勇敢な種族」は勇敢であるだけに潔い。つまり諦めも早い。まあこの回はドワーフがめんどくさい奴らであることを強調する回なんでしょう。そろそろビルボも活躍させないといけないし。 竜のおしゃべりはカンバーバッチだからつい長くしたかったんだろうな。この竜は「悪いことするために存在する悪役」であり、物語上の作為的な障害物と言える。しかしそもそもこの世界はオークが完全に邪悪でマシな奴すらいない世界なので役割的な作為性はある程度は仕方がない。 映像表現は素晴らしいがその表現に唯一不満が。ファンタジーとはいえ人間が演じるので仕方がないが、一応前日譚なので『ロード・オブ・ザ・リング』の登場人物はもう少し若く見せる工夫があってもいいんじゃないかと思った。全部CGで化粧するのは大変だろうが、せめてガンダルフのヒゲはちょっと短く黒めにするとかしたらいいのに。[インターネット(字幕)] 7点(2018-01-06 04:19:27)《改行有》

57.  ホビット/思いがけない冒険 《ネタバレ》 『ロード・オブ・ザ・リング』が原作読み込んだファン向け(としか思えない)のに比べるとこちらはいちげんさんにも優しい。ストーリーも状況もよく分かる。進まないんだけどね。 個人的には序盤のしつこい食事風景が良かった。登場人物がちゃんと血の通う人間類(?)で文化や様式は異なっているがそれぞれの生活があることが想像できる。ホビットはただのひ弱な小人ではなくて立派な文明人なのだ。 『ロード~』に比べるとドワーフやホビットの「小ささ」がきちんと表現されているシーンが多いのも良い。そしてこれまでヒゲオヤジしかいなかったドワーフにちゃんと若いヒゲイケメンがいる。これファンタジー作品として画期的じゃない?そしてヒゲオヤジ連中もみんな個性的で味がある。 相変わらずガンダルフは何が出来て何が出来ないのかよく分からないしストーリー展開は偶然に頼りすぎだが、ドワーフのキャラ、特にトーリン王子が格好良いので2時間ついていける。2時間ならね。でも3時間なんだよな。原作薄いらしいのになぜそう長くしたがる?[インターネット(字幕)] 7点(2018-01-05 01:46:55)(良:1票) 《改行有》

58.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 マーゴット・ロビーがとにかく美しくて見とれてしまう。本人はもうこういう役はやりたくないそうだが、彼女の完璧な外見は成功者の「トロフィー」としてぴったりなんだよね。ディカプリオと釣り合うどころかだいぶ超えている。 全編通じてバディ映画の雰囲気があって仲間意識が強調される。司法取引に応じても仲間を売らずに切り抜けようとするし、天敵であるFBI捜査官もどこか捕まえたくなさそうだ。こいつらのやってる「悪いこと」の描写は経済犯罪よりもセックスとドラッグに集中する。その無茶苦茶さが痛快なのでついベルフォートに肩入れしたくなる。 だがちょっと待って下さいよ?この話はジョーダン・ベルフォートという男の自伝が元になっている。仲間達は極端にダサくダメな奴に描かれていて、なのに美しい友情がある。肝心の詐欺は抽象的にしか描かれずスイス銀行マンの方が悪く見える(あいつのセックスシーン、いるか?)。被害者である顧客は一切画面に出て来ず電話の声だけ。 この映画の3時間は退屈ではないが疲れる。この長さは多分2時間くらいだと観客が冷静になってベルフォートの嘘に気付いてしまうからだろう。3時間のまくし立てに観ている側も呑み込まれていく。ディカプリオが突然観客に話しかけるメタ演技は最初の方にだけ出て来るが、あれは作り手の「これはあくまでこいつの言い分ですよ」という言い訳なのだ。 この映画は大変評判が良いが、詐欺師の言い分そのまんまで観客を騙しに来る映画でもある。相手に考えさせるな、電話(台詞)を切らすな、札束(裸)を喰らわせろ。ベルフォートの詐欺の手口をそのまま映画で観客に向けて実演している。気をつけよう。[インターネット(字幕)] 6点(2018-01-03 06:19:22)(良:1票) 《改行有》

59.  宇宙人ポール 《ネタバレ》 僕には散りばめられているネタはごく一部しか理解できていないのだが、それでも面白かった。こういう映画にありがちな汚いネタやエグいシーンは一切なし。警官が爆死するところでドキっとするくらい。これも状況的に爆発に巻き込まれる描写になっている。基本的に観客を追い詰めないで「良いシーン」で映画を作っていく姿勢は好きだ。 悲しいシーンでも役者は涙を出さないし感動シーンも茶々を入れて笑いで終わらせる。ラストは少し長いなと思ったらポールが自分でその点を突っ込む。これはイギリスのエンターテインメントの特徴なのかわからないが、バカにも分かるような作りにしない代わりに分かる人ならちゃんと気付けるように作ってある。観客を騙しに行かない。こういうところが後味の良さを生み出していると思う。 ポールのキャラと造形には感心した。あの目は爬虫類のような「瞬膜」があるんだよね。生物としてのリアリティをマニアックに追求している。スーパーボールみたいにペンポコ跳ね回る最近のCGアクションに辟易しているのでポールのあの自然な動きは新鮮だった。[インターネット(字幕)] 8点(2017-12-31 23:40:40)(良:1票) 《改行有》

60.  グリーン・ランタン 《ネタバレ》 評価が低いので気軽に流し見するつもりで観たらけっこう楽しめた。ていうかむしろ出来が良い部類なのでは?ライアン・レイノルズの3枚目っぷり、ヒロインの完璧彼女ぶり、親友と屈折したライバル、いかにも議員ぽい議員と演技のレベルは高い。スーパーマンを遥かに凌ぐ大設定ながらみんなそんなに強くなさそうなのはご愛嬌。 この映画は明るく楽しく爽快で「ちょっと」無理があるという正統派アメコミ映画だと思うが、生まれた2011年はシリアスヒーローが大流行の時代。おそらくそういう風潮に抗いたかったのだろうがあえなく撃沈した。しかし主人公ハルの苦悩はもうちょっと前面に出しても良かったのでは?そして「恐怖に立ち向かう勇気」という手垢まみれのテーマをもうちょっと刺さる言葉で鋭く表現してほしかった。せっかく雰囲気は良いシーンなのに。 良いシーンと言えば基本的にシーンはどれも丁寧で退屈しないのだが、特に群衆のシーンは良かった。どんなにCGが発達しても「必死で逃げ惑う大群衆」を撮るのは意外に難しい。よく見ると画面のすみで「ジョギング(ただ指示通りに走っている)している人」が写ってる名作映画はいくらでもある。この映画の悪役は「恐怖」を餌にするという設定だからこの点は重要だ。子供の集団まで必死感を出していたのは感心した。 この映画はコケてしまったせいか劇中で「予告」される続編はアニメになったようだ。制作陣は同じらしい。つまり彼らはきちんと志とヴィジョンを持って作っていたわけだ。時流に合わずに敗れたがいずれ再評価されることを願う。(とまで言っておいてなんだがそれほど深いメッセージ性とか感動があるわけではないのがつらいところ。)[インターネット(字幕)] 7点(2017-12-31 18:00:05)(良:1票) 《改行有》

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