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性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  大樹のうた 《ネタバレ》 「大地のうた」から人生をオプー一家で体現してきた三部作が、ついにここに完結!・・・ですが、先に言ってしまえば前二作と比べてこの最終章は少々落ちると思います。徹底して〝生〟を描いてきた三部作には必然的に〝死〟が伴っており、今回もオプーの新妻が早産で亡くなってしまうという過酷な現実とつきあわされます。オプーの幸せそうな新婚生活が微笑ましく描写されているからこそ余計に辛くなっており、死の報告に来た者を殴ってしまうオプーの遣る瀬無い怒り、哀しみが伝わってきます。しかし、オプーの時間が止まってしまってからはいささか退屈になります。人生は待ったなしで進みオプーの息子はどんどん成長し、一部二部でオプー登場のファーストショットと同じく顔をチラッと見せて登場するあたりは可笑しいのですけど…。何と言いますか、一家のありのままの姿をリアリティに富ませ詩情的に描いてきた前二作とは異なり、もはや日常が消えてしまっているから物足りなさを感じたのかもしれません。でも決してそれだけではなくて、例えば汽車などは一、二作目では物凄いパワーを有していたのに対して本作では詩情もドラマ性も欠き印象深いシーンには見えないのです。さらにそれに反して物語は一部と比べ、二部、三部と段々センチメンタルになってきているから違和感を覚えるのです。それでも、肩車の親子が歩んでいく幕切れは、苦しみながらも再び一つの家族として歩み始めた姿であり、人間が営んでいく人生そのもので壮大な三部作のラストを飾るのに相応しいでしょう。  風土やカースト制度への問題提起などなど〝インド〟を映し出し、この一大叙事詩を作り上げたことは凄いとしか言い様がありません。いやぁ、インドにもサタジット・レイなる凄い監督さんがいたのですねぇ。歌い踊るばかりじゃない。さすがは映画大国ですな。[DVD(字幕)] 7点(2008-01-10 18:32:39)《改行有》

42.  大河のうた 《ネタバレ》 「大地のうた」に引き続きオプー一家を見守る今作には、ついにインドの代表的なガンジス河が登場し、そのほとりから伸びる階段の使い方がまた何とも素晴らしいです。が、やはり第一部同様に汽車がとても良い役割を果たしドラマ性を高めています。というのもこれは母子の、殊に母親の物語でありますから岸壁の母のように汽車を待ち続ける母親の姿が胸を打つのです。この母親は第一部の時から他の家族の面々とは異なり家の外にほとんど出ません。家族を、家を守っているのです。だからこそ一人になると弱々しくなりますし、オプーの帰りを待ち戸口は開け放たれています。孤独に年老い弱っていく母親の姿は酷に映りますが、これこそが現実であり人生なのでしょう。母は強く美しく、そして悲しい。[DVD(字幕)] 8点(2008-01-09 18:12:32)

43.  大地のうた これは紛れも無くインドを撮った映画なのですが、この感性は同じアジア人である日本人の胸にも響きます。貧しい一家のこの生きる姿!オプー登場のファーストショット、雨中のお姉ちゃんのダンス、杖つくお婆ちゃんの歩く様子、人間というものが驚くほどしっかり描写されており一家を通して〝生きる〟ことを具現化しています。そして動物に虫に植物、生きとし生けるものはもちろんのこと汽車の登場シーンも抜群に素晴らしい。〝映画史上ベスト汽車〟があったら確実に上位に食い込みますな。残りの二部を観ずにはいられなくなります。[DVD(字幕)] 9点(2008-01-08 18:59:39)

44.  宇宙戦争(1953) 《ネタバレ》 スピルバーグのリメイク版を先に鑑賞したクチなのですが…まぁ50年という歳月で人類はどえらく進歩しましたなぁ。その進歩たるや今なら火星人が襲来しても大丈夫なんじゃないかと思えるほどです(火星人もどえらい進歩を遂げているわけですが;)。この特殊映像の雲泥の差ときたら!もし映像技術にも賞味期限なるものがあるとしたら偽造不可能なほどで、見えてはならぬ釣り糸が存在する宇宙船は現在見たらもう目が点です。でも本作はスピルバーグ版も受賞ならなかったアカデミー特殊効果ナンチャラをしっかり受賞しているわけで、当時としてはトップクラスの作品なのですよ。そんなわけで映像技術は致し方ないとしても、宇宙人が圧倒的パワーで侵略してきているというのに前半は良家のお子様のように人々が落ち着いていて緊張感の欠片も無い演出は退屈です(宇宙人の有無を言わさぬ攻撃性は凄いと思いますが)。ただ、暴徒に車が奪われるあたりからは圧巻。前半の不自然なまでの静から一気にパニックの動へ。やっぱりこうでなくっちゃね。それからスピルバーグ版に勝っているところが一つ、火星人が肩に手を置いて現れるシーンで一見ギャグっぽくもあるのですけど、これがなかなか怖い。[DVD(字幕)] 6点(2007-12-21 18:05:23)(良:1票)

45.  雨月物語 《ネタバレ》 朽木屋敷の幻想世界が最高の見せ場だとは思いますが、個人的にはその世界の入口と出口が印象深いです。入口は霧が立ち込める舟のシーンで、出口は妻の幽霊が待つ家に戻ったシーン、どちらも息を呑むほど素晴らしい。それから田中絹代さんが落武者に槍でつかれてしまうシーンは衝撃的ではないのに俯瞰気味に見せることによって傍観者のような冷たさを感じさせたまらなく悲しいです。…ただ一点気になるのが、説明台詞のようなものが何ヶ所かあることで完璧に近いからこそ逆に目についてしまいます。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-11-19 18:16:41)

46.  田舎司祭の日記 題名に違わずこれは全くもって日記の映画、つまりはブレッソン監督の信仰への告白と思える作品です。本作に限らず監督の隙の無い作品を観て何となく想像していましたが、やはり厳格な方なのだと思います。例えば本作は、本来なら滑稽になりかねない説明に値する言葉の氾濫を逆手にとってテーマを厳しく追及しています。神経質に書きなぐられる日記、仏語が分からないので読めませんでしたが字面を画面に提示している上に独白を被せことごとくシーンを解説してしまう念の入れよう。次元の違う私事で恐縮ですが学生時代の折、暗記科目の試験勉強は書いてつぶやきながら覚えていました。それは読むだけではなく、見て目で覚え書いて手で覚え、口に出し耳で覚えるという様々な感覚に訴えることで記憶しやすくする方法だったのですが、これと似たような効果が働いて映画を印象深いものにしているのだと思うのです。苦悩する若司祭、信仰というデリケートな題材において自ら退路を断つように確信をもって描いたブレッソン監督は、自己に最も厳しいのでしょうね。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-14 18:09:48)

47.  素直な悪女 《ネタバレ》 本作ではたびたび対象を画面の中央に捕えておらず、まるで固定カメラで傍観するような心持ちにさせられ〝何だよ~もう少しで見えるのに…〟というような窃視的感覚が生まれるのですが、これはチラリズムというものですね。BBの裸もバッーンと映すのではなく想像力をかきたてるように見せるあたりが巧妙で、まだ表情にあどけなさが残るにもかかわらずあの魅惑的な肢体が画面を支配しており眩しい限りです。そのBBがラストで踊りまくるシーンが圧巻なのですが、これは夫が彼女を平手打ちするシーンに対しているように思えます。と言うのも、この平手打ちは兄貴との喧嘩等のどの暴力シーンよりも痛々しく感情的に見え互いの愛の激しさの表われであり、これで彼女が家に戻ったのだと得心がいくのです。・・・それにしても生来の魔性の女を我が妻に演じさせ裸体をスクリーンに映し出したロジェ・ヴァディム監督は…やっぱり変態の気があるのでしょうね。[DVD(字幕)] 7点(2007-10-23 18:10:11)

48.  山椒大夫 《ネタバレ》 家族の別離による激しい苦しみ。安寿と厨子王、それに母親のほとばしる感情が画面から溢れ出ています。そして山椒大夫の根城の陰鬱な雰囲気。物語としては前半部の方が過酷であり劇的なんですけれど、この映画は厨子王の逃亡場面あたりからが特に際立っていると思います。もはや一瞬たりとも気が抜けたシーンがないどころか素晴らしいシーンの連続!まったく驚愕の完璧さです。[ビデオ(邦画)] 9点(2007-09-19 18:31:51)(良:1票)

49.  三人の狙撃者 《ネタバレ》 ほとんど家の中だけで行われる密室劇が緊張感たっぷりに撮られています。何人か死人がでますがいずれもあっさり処理されるのも逆に印象深いです。特に感電し機関銃を乱射しながら計画をぶち壊し殺されていく殺し屋が壮絶。道具としての銃の使い方なども巧く考えられています。しかし、やはり何と言ってもフランク・シナトラの悪役っぷりがとても素晴らしいです。キャラクター造型自体が秀逸なのですが、見事に冷静そうで神経質で今にも暴発しそうな線上を狂気いっぱいに演じています。最初に保安官が訪ねてきた時に見せる笑みなど異常に怖い。…ただ、何ヶ所か妙な繋がりの部分がある(カットされたのか?)のが残念です。それから、戦争の被害者のような殺し屋を描きながら、最後に夫の戦死が無駄ではなかったと語る妻、それに自己防衛としての子供の銃の存在と、戦争を否定しているのか肯定しているのか良く分からないところがあります。でもまぁ難しいことは考えずに観ればサクサク進んで行くテンポの良さと上映時間の短さがあるので十分に楽しめます。[DVD(字幕)] 7点(2007-09-18 18:06:18)(良:1票)

50.  殺人カメラ 《ネタバレ》 内容は簡単で極めて教訓的な喜劇であり、作中に出る説明文だけでオチまで読めてしまうくらいなのですが、神が世界を創造するかのように村のジオラマ作りから始まり、一つの世界が構築されていくシーンからして寓話的でユニーク。主人公はまさに迷走中で、常に走り続ける姿には味があります。死ぬ際のポーズの滑稽さは幼稚にして品がありますし、〝悪魔の世界も実力主義〟と嘆くヨボヨボじいさん悪魔などは同情したくなるくらいで、独特の皮肉とユーモアが笑えます。 ただ一つ残念なのは、一回だけ巻き添えに写してしまうところがあるものの、せっかくの〝カメラ〟という道具が単なる殺しの道具でしかなく、カメラという特性を十分には生かし切れていないように思えるところです。例えば、〝善人に集合写真を頼まれる〟だとか〝自分が写されそうになる〟とか…自己嫌悪に陥るくらいつまらぬ考えしか浮かばないのですが、そんなことです。これでは別にカメラでなくとも良かったのではないかと思ってしまうのです。 まぁでも、写真は魂を抜くという迷信もありますから。煙の出所は知りませんが、イタリアにもその手の迷信があるのかもしれませんね。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-17 18:24:54)

51.  野いちご 50年代の作品だったのでまずは斬新な象徴的シーンにビックリ。回想中に現在のイサクを登場させる手法も今でこそ度々目にしますが当時は珍しかったのではないでしょうか。 イサクは利己的な人物であったという設定ですが、名誉や地位などとは別にガソリンスタンドがあった町の人々ように彼を慕っている者も登場させていますし、イサクの周囲の面々にも多少なり利己的な面があるように見えます。つまり誰だってイサクのようになりえるかもしれないし、事故を起こした夫婦のようになるかもしれないし、イサクの息子夫婦のようになるかもしれない。僅かな事の差で人生は変わってしまう。でも僅かだからこそ自分自身で変える事もできる。しかしその僅かな事が難しいから人間は後悔する。冷たい雰囲気の中、イサクに好人物の印象をもたせることによって決して否定的にはせず、人間には欠点があるけれどそれでも自身を見つめればそれで良いのだという温かいメッセージを感じました。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-06-12 18:07:38)(良:1票)

52.  誓いの休暇(1959) 《ネタバレ》 若者の通過儀礼のように人生の酸いも甘いもつまった旅中の一つ一つの挿話が印象的である。松葉杖の負傷兵の行く末を見届けたくなってしまう展開と最後の最後で片足だと分かる巧さ。戦時に青春真っ盛りで、見ているこっちまで顔が赤くなってしまいそうな二人の若い男女関係は瑞々しく描かれ、どうしたって温かく見守りたくなってしまう。さらに人生の苦味の部分では石鹸を持ち去る抵抗をみせ若者の純潔さを実に爽やかに描出している。しかし一番のクライマックスはやはり母親が畑を疾走するシーンであり、その姿の感動的なことといったらない。しかも〝戦地に赴き二度と戻らぬ息子を持ち続ける母〟という最初からネタバレされたこの哀しみ最上級の設定に涙腺が刺激され、主人公に肩入れせざるを得なくなるところが憎い。そのうえ様々な出来事で明るみに出てくる彼の人物像ときたら好感度抜群なのである。そして何よりこの物語はヒューマニズムの極致であるにもかかわらず、決して感動の押し売りをしていないところが良いところだ。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-04-18 18:15:56)(良:2票)

53.  ウンベルトD ウンベルトの金銭的な問題だけでなく孤独も描かれているから不安にさせられます。社会的弱者となると居場所すら不安定であり周囲の理解も得られない哀しみ寂しさ恐怖を味わいます。将来への不安が募る現代日本社会を思うと他人事ではすまされない悲惨な状況が刻々と描き出され悲痛な心持になります。それでも完全に悲劇的でなく希望を存在させたことが救いとなっています。人間は一人で生きていけるほど強くはないが、何であれ支えがあれば生きていくことが出来る。デ・シーカ監督は本作で「自転車泥棒」と「靴みがき」の二作で描かなかった救いを描いています。愛犬フライクが実に愛らしいです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-26 18:48:44)

54.  影(1956) 《ネタバレ》 何とも奇妙な謎の事件から導入し好奇心を掻き立て、勢いのみに留まらず三本の興味深い話で次々と魅せ、最後には数本が絡まったように見えた糸が一本に解ける面白さがある。三つの不可解な事件が一つに繋がるのはあまりにも偶然が過ぎるのだが、そんなことを気にさせないほど、すんなりとそれぞれの過去の回想に入っていき結末を知りたくなってしまう話の聞かせ方がとにかく巧い。特に二話目は緊張感があってドキドキさせられる。虎穴で仲間の足を蹴った時のあの反応、たった一人のところ狂気に駆られた表情で「手を出すんだ!」と凄まれる恐怖。計算尽でさり気なく事の結末である義足を見せるのも見事だ。作中に漂う空気も暗澹としており、白黒映画ならではかもしれないが物語のキーとなっている陰影のつけ方も不安を呼び起こすようで良い。もちろん1956年製作のポーランド映画であり政治的な内容だが、単純にスパイサスペンスとしても十分に楽しめる。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-03-05 18:49:52)(良:1票)

55.  新・平家物語 冒頭の市中を写すカメラワークの見事さや、視覚に迫る圧倒的な美術、僧兵や市民に至るまで活気のある人物描写は凄い。だが、肝心要の清盛の描写にはやや不満が残る。清盛という人物は不運にも『平家物語』の印象により世間での評判があまり宜しくないが、実際、権力手中後は武家より公家寄りになったのも事実。本作では若かりし頃までしか描かれていないとは言え、武士として打倒公家に闘志を燃やすエネルギッシュな姿を全面に押し出しているだけでは、いささか単純過ぎるように思え違和感を覚えずにはいられない。もちろん続編ありきで、その後の凋落した姿との対比としての清々しさなら一向に差支えないどころか、寧ろ望むべきものであるが本作のみの一本ものだと深みの無い人物にしか思えない。当然個人的な歴史観が入り混じった視点と思うが、私にとってはこの清盛像は消化不良なのである。[ビデオ(邦画)] 6点(2007-01-05 18:07:23)

56.  現金に体を張れ 《ネタバレ》 古い作品で話も入り組んでいるようで割と単純だが、実にテンポが良く簡潔で面白い。自分も一味に加わったよう気分になり僅かな読み違いのために起こる惨劇に目を白黒させてしまう。やはりどんなに用意周到なものでも悪事は露見してしまうのですね。ジョージの狂気っぷりや、お金が空港で舞い散ってしまう場面などは秀逸ですよ。タランティーノやその後の数々の映画に影響を与えたのも頷けます。それから坊主でがたいの良いおじさん、メチャメチャつえ~。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-30 23:14:36)

57.  禁じられた遊び(1952) 私は基本的に同じ映画を複数回観ます。ですが本作はナルシソ・イエペスのギターメロディを聴いただけで、もう涙腺があぶないので二度目が観られません。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-29 16:39:18)

58.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 シェイクスピアの『マクベス』を翻案した本作ですが、見事に日本風にアレンジされています。野心や強欲から身を滅ぼしてしまう愚かな人間。物の怪に唆された訳でもない、ただ心の底にある願望が実現すると言われただけで足を踏み外してしまう様が恐いほど鮮明に描かれています。そんな人間の心理を演じる役者さんが素晴らしいですね。三船敏郎はもちろん、それほど乗り気でない武時に対して、山田五十鈴さん演じる浅茅が無表情で冷酷に指示する姿が不気味です。『マクベス』の「女から生まれた人間に殺されない」というのは省き、最後の壮絶な絶命シーンにしたのは、舞台では到底できない映画ならではの演出ですね。矢の雨の中、目をひん剥いて逃げ回る三船敏郎の強烈さは見物です。冒頭ではまるで昔話を始めるかのように、終りでは無常観が余韻となるように写る城跡も雰囲気を醸し出します。ただ惜しむらくは何を言っているのか聞きづらい事。やや人物関係が入り組んでいるので、誰と戦をしているのか一回観ただけでは良く分りませんでした。[ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-28 18:20:02)

59.  人間の運命 《ネタバレ》 一般市民目線から戦争の悲劇を痛烈に訴える本作は、むごい運命を背負った男の過酷な半生記であるが暗くなるどころかむしろ前向きにさせてくれる。最悪の事態の連続で絶望の淵に立たされても不屈の精神で前進し続けるソコロフの姿が、感傷的になり過ぎず描かれており逆に人間の静かな力強さを感じさせる。目的意識を持つ事によって〝生きる〟という精神的な強さが滲み出ている演出も素晴らしい。それでも最後に利害関係の一致とは言え戦争孤児である赤の他人の子を、単に養子とすると言うよりも我が子と思い込むことにした展開は現実逃避であり、やや寂しさや哀しさを感じる。しかし悲惨で残酷な世の中を散々映し出すことにより、生き抜くためには〝思い込み〟ですら必要な生きる術であると説得力を持たせている。特にソコロフは〝横から人生を見られず真正面から見つめた〟という台詞通り真っ当な人間に描かれ希望無しでは歩いて行けないキャラクターなのだから。本作に描かれているのは生半可なヒューマニティではない。生きぬくためには殺しも辞さない生身の生命力溢れる人間像である。[DVD(字幕)] 9点(2006-12-25 18:35:52)

60.  白鯨 エイハブ船長が復讐心から憎悪の塊となり自らがモンスターとなっている様子はじっくり見せていますが、グレゴリー・ペックのエイハブ船長は少々違和感を覚えてしまいます。私の中では彼は紳士のようなイメージですから憎悪に飲み込まれ狂気の沙汰となっている複雑屈折キャラのエイハブには迫力不足なのです。この作品の主役は白鯨ですけれど白鯨はエイハブと表裏一体とも言えますので、エイハブの魅力が存分に発揮されないと作品の魅力も低下してしまいますね。映像に関しては確かに現在観ると作り物感が漂いますが、当時を考えると迫力があり、〝モビー・ディック〟の神格化もまずまずです。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-25 18:34:42)

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