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プロフィール
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性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  ダージリン急行 しょうもない兄弟のしょうもない親睦会を見せられている感じなのですが、それがなかなかどうして可笑しい。予定表がありながらも行き当たりばったりで、移動している感じがするのもいかにもロードムービーであり、三人兄弟と一緒に旅をしたくなってしまいます。そして全編を通して脱力気味であるにもかかわらず、随所で意外なまでに躍動感に満ちていますし、何度か使われるスローモーションも面白く、久しぶりに良いスローモーションを見たという感じです。・・・ただ残念?なのは、これの一番面白い所は冒頭に登場する本編とは何の関係もないビル・マーレーのシーンだったりするところです。…何の関係もないついでにもう一つ、三人兄弟のなかで最も男前なオーウェン・ウィルソンは包帯グルグル巻きで顔を隠していますが、彼は現在、プロ野球の巨人に在籍しているグライシンガーにソックリですね。いやぁただ誰かに伝えたかっただけなんです。ごめんなさい。[映画館(字幕)] 8点(2009-05-08 18:34:41)(笑:1票)

42.  転々 《ネタバレ》 主役二人をはじめドラ息子の石原良純さんまでキャスティングが良いですし、思わず吹いてしまう台詞が随所に散りばめられているのも面白いですし、カレーと雑に束ねられた一万円も別れの伏線として効いていますが…散歩の映画であるのに移動があまり感じられないのは問題だとおもいます(スーパーの三人組の方がよっぽど移動している)。その原因はおそらく時間の流れと擬似家族描写にあって、スタートした初日は日が暮れていったし常に歩いていたのに途中からすぐに夜になってしまいますし、ロード・ムービーではなくホームドラマに切り替わってしまうのです。そうすると奇妙な可笑しさは失せてしまい、例えばジェットコースターで昔に遡った映像を挿むところなど、やり過ぎていて面白くないなぁと思ってしまいます。 ただ、あまり本編とは関係ありませんが、岸部一徳さんの弁当シーンや、麻生久美子さんとハイテンションな吉高由里子さんが振り向く瞬間はとても魅力的だと思います。[DVD(邦画)] 6点(2009-04-27 18:14:20)(良:1票)

43.  ダーウィン・アワード 《ネタバレ》 人間の突拍子も無い発想から生まれるダーウィン的事故を見聞していくのですが、その〝目線〟が工夫されています。たまにわざわざドキュメンタリー男のカメラの枠を画面に表示させ、観客の目線をドキュメンタリー男のものと同化させているのです。ドキュメンタリー男の姿は画面に映りませんし、時にその存在も無かったもののように扱われますので、あたかも神の目線の如く、人間の奇妙な行動を観察するダーウィン的なファインズを観察するのです。・・・ところが、途中からこのドキュメンタリー男のカメラを構えた姿がチラチラと映し出され始めます。〝あらら、おかしいぞ、神様の姿は見えないはずだろ?〟と思っていましたら、最後の最後でドキュメンタリー男がダーウィン的行動をして画面にもろにインしてくるのです。まるで雲の上から下りて来るように屋上からファインズの位置まで落下してきます。つまりアホな連中だなと思って見ていたら自分もダーウィン的人物の仲間だったというわけです。神の目線は事件の真相を映し出していた固定カメラの方だったのです。当初はハンディカムで撮ってドキュメ風なんて安易でお粗末すぎやしないか?と思っていましたが、見事な仕掛けでした。と言う事で、素敵なダーウィン的人類に幸あれ![DVD(字幕)] 7点(2009-04-14 18:18:56)(良:2票)

44.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 Part1と比べて明かにつまらなくなってしまったと感じたのですが、それは海上戦闘シーンの表情の乏しさや、キーとなる風の演出や火のスペクタクルの面白味の無さ(1ではあんなに巧く軍旗を使っていたのに)、1でほとんど出し切ってしまったのか個々の人物たちの魅力が発揮されなくなってしまったところによるものだと思います。 良かったのは小喬と曹操で、特に小喬を演じるリン・チーリンが今回も素晴らしく、例えば曹操に茶を立てようとするシーンの妖艶さや、勝機が見え始めた戦場を見て泣く姿がとことん美しいです。曹操に関してはジョン・ウー監督は撮っているうちに曹操が一番楽しくなってしまったのではないかと思えるほどで、1では周瑜が特別な存在として描かれていたのに、その対象が曹操へと移行し、例えば裏切り者を罰するため霧の中に姿を現すシーンであるとか、ラストの幽霊のような神出鬼没ぶりはもはやこの世の者ではない印象を与えるのです。 ・・・それから「三国志」好きの観点から一つ、逃げ帰ってしまう劉備の人物像についてはあれで良かったと思います。周囲が〝義理だ〟〝誇りだ〟〝命は惜しまぬ〟だのとアツーイ漢どもなので、撤退する劉備は情けなく裏切り者のように見えるかもしれませんが、尚香の友人で作中随一の好漢である蹴鞠の一般兵が死んでしまう姿が悲しく映し出されるのを見れば分かるように、最後には戦争の惨さを物語っているのです。格好良いこと言っている裏では犠牲者が大勢でているのだぞと。つまり劉備は常に真の弱者の味方だという事なのだと思います。将たる者は〝義〟や〝名誉〟等の男の甘美なロマンなどに陶酔してばかりいてはならんのです。[映画館(字幕)] 6点(2009-04-13 18:23:42)《改行有》

45.  ワルキューレ 《ネタバレ》 この題材を英語劇でやってしまったこと、サスペンスなのにオチが周知の事実であることは、本作の着想段階からすでに問題だったとは思いますが、そんな欠点を物ともせずに撥ね除けてしまっているのが大スター、トム・クルーズの凄いところです。隻眼になっても、いや隻眼だからこそなのか、いつにもまして眼光するどく圧倒的なオーラを放ち、成功するはずのない作戦の成功を祈らざるをえない状況へと観客を誘導し、物語に説得力を持たせてしまうのは、ひとえにトムのスター性によるものです。不自由な手だからこそ行われる机の端で拳銃の弾を装填する仕草など何気ないシーンがかっこいい。それともう一人、僅かな登場ながら毒薬を口に仕込むゲッペルスの鬼気迫った感じが異彩を放っていて印象的です。…それから映画にはいまいち活きていませんが皆が精神安定剤のようにスパスパ吸うタバコがうまそうです。・・・と、もう一つ、トムの奥さん役がなんとあの「ブラックブック」のカリス・ファン・ハウテンだったなんて!…気付きませんでした。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-30 18:26:55)

46.  ハーフェズ ペルシャの詩 何だかよく分からず、文化を理解していないと細かい事までは理解できない作品だと思うのですが、そうでなくともこれは説明的なシーンをほとんど省略してしまっています。その代わりに度々、出てくるのが移動シーンです。似たような風景のなか移動する度に、走るのはもちろん車移動までしっかり挿入してくるのですが、不思議なのはこれがあまり〝移動〟を感じさせないことです。わざとそうやって撮っているのでしょうけど、〝愛からは逃れられない〟って事なのかどうかは不明です(主人公以外の移動もあるので)。  それはともかくとして、麻生久美子さんが登場するファーストショットの美しさなどは素晴らしいですね。民族衣装もよく似合っています。[DVD(字幕)] 7点(2009-03-06 18:12:30)《改行有》

47.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 とにもかくにも息子を強く強く想う母の姿が胸を打ちます。たとえ相手が敵意むき出しの高圧的態度で迫ってきても、この母親は温厚で保守的であり反撃に転じませんし、悲しくても辛くても嬉しくてもボロボロ涙して泣くのですが(化粧が濃いのが良い)、どんな目に会っても決して挫けずメチャメチャ強いのです。この強さの原動力がアメリカ人の好むような不正に対する正義感からくるのではなく、母の子を想う一途な愛からきているのが良いです。最後に母親と犯人が面会するシーンがあるのですが、薄暗い部屋でアンジーの顔に光が当りまるで聖母のようになります。ところが息子の話が聞けないと一転し、非暴力的な彼女が犯人に対してはじめて手を上げるのです。しかし彼女が怒るのは犯人に対する怒りからではなく息子の生存を信じ、確認したいからであり、この映画が素晴らしいのはまさにそこの所で、最後の瞬間まで一貫してどこまでも息子を想う母の愛を描ききっているから美しいのだと思います。その証拠に正義を代表し大勢を引き連れて闘う牧師ジョン・マルコヴィッチにしっかりと焦点があたるのは、闘う時ではなく母親に警察の悪徳ぶりを教授する時だけなのです。[映画館(字幕)] 9点(2009-02-24 18:30:57)(良:3票)

48.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 《ネタバレ》 ラストにベンジャミンの関わった人々が順番に登場しますが、早い話し〝人生ってのは誰もが数奇でしょ?〟って事なんだと思います。しかし人生を語る割りには人物描写が浅い感じがします。〝若返り〟という題材にしても、口にはするものの若さへの渇望や恐怖が希薄なのです。ケイト・ブランシェットがプールで健康体の女性を見て泣きますが、そういったシーンをもっとブラピで見せてほしかったです。結局のところ肉体的に逆行する事に関してはさして重要ではなく、極端に普通の人生ではなかった一例を見せているように思います。またそんな事は別にど~でも良かったとしても、例えば大人になって最初に二人が再会した時にブランシェットがブラピを誘惑するシーンであるとか、ブラピとティルダ・スウィントンとの夜の密会シーンであるとかが全く官能的じゃなかったりするのです。そんなこんなで、つまらなくはないのですがフィンチャー監督がいったい何を一番見せたかったのかが良く分かりません。色々と詰め込み過ぎているようで、逆回転の時計などは思わせぶりに登場したのに作中に活かされていませんし、また現在のシーンで病院を直撃する嵐もニュース画面で省略するのは些かズルイんじゃないかと。  ただ、祖父と孫のようなベンジャミンとデイジーが夜中にテーブルの下で秘密を語り合う場面は作中で最も象徴的であり怪しくも幻想に溢れ素敵なシーンだったと思います(短かったので見誤ったかもしれないが海上の戦闘シーンも良かった気がする…)。  ところで若返りネタだと少し前にフランシス・フォード・コッポラ監督が「コッポラの胡蝶の夢」なる作品を撮っていますが、こちらはアカデミー賞にノミネーもされず…。コッポラとティム・ロスのコンビじゃ旬じゃなくダメだったんでしょうけど、〝若返り〟という事に関して撮ったとするならば私はコッポラ監督作の方を支持します。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-23 18:46:14)《改行有》

49.  ドミノ(2005) スタイリッシュと言えばスタイリッシュですが、とにかく映像がスピーディ過ぎるので、例えばキーラ・ナイトレイが下着姿でラップダンスを踊るシーンであるとか、例えばラストの激しい銃撃戦であるとかは、もっとちゃんと見せてほしいと思います。…ですが、〝ではつまらないのか?〟と問われるとそうでもなくて少々乱暴な見せ方ではあるものの随所でキーラは凄く魅力的に見えましたし、その目まぐるしさはドミノの人生そのもののようでもあります。 また、ビバヒルの役者たちやウォーケンとミーナ・スヴァーリなどそれぞれのコンビだけでも一本の独立した映画が撮れてしまいそうなほど、各々のキャラクターに面白味が秘められています。 さらに鉛筆をカリカリ削るルーシー・リューとの尋問シーンや、モーテルでドミノにあしらわれブチ切れたチョコにミッキー・ロークが諭すように語るシーンもやっぱり良いと思うのです。[DVD(字幕)] 7点(2009-01-26 18:26:57)

50.  グッドナイト&グッドラック 報道の真の意味を問い闘うエド・マローがとことんカッコ良いです。それはたとえあのジョージ・クルーニーがダサめの眼鏡をかけていなくたって彼の方が格好良く見えたでしょう。というのはマローの鋭い眼光だけではなく、始終プカプカ吸い続けている指の間で今にも燃え尽きそうなあのタバコがキーアイテムになっているからです。クルーニーが白黒で撮ったのは当時の映像に合わせる為よりもタバコの煙の美しさを表現するためではないかと思えるくらいに、あるいはタバコ会社がスポンサーについているのではないかと思えるくらいにタバコが素晴らしいです。特にマローが登場するファーストショットがしびれます。横顔の影にタバコの白い煙が美しくまっています。この魅力的なショットから始まることによって、これから始まるマローの物語において彼がいかに立派に闘ったかという事に説得力を持たせ、英雄譚として成立させているのです。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-19 18:13:23)

51.  地球が静止する日 《ネタバレ》 SFの古典作品を再映画化する目的は何にあるのか?それは過去表現できなかったシーンをCGを駆使してリアルにすることだろうと思っていましたが…どうやらそうじゃないみたいです。宇宙人側にはあまり興味がないようで、その証拠に宇宙人のロボットであるゴートが犯罪的なまでに魅力に欠いています(巨大化すれば良いってもんじゃない)。クラトゥもキアヌ・リーブスの無感情な雰囲気が感じを出していますが、格別に謎めいた存在でもありません。どうも〝愚かながらも愛しい人類〟の側を描きたかったようで、わざわざ中国人のおじいちゃんに人類を説明させた上で、血の繋がりのない白人の母親と黒人の息子の愛をキアヌの目前で見せます。なるほどと得心したキアヌは去って行くわけですが、不思議なのはこの作品には集団というものがほとんど描かれていないことです。冒頭こそ科学者たちが集められるものの、以後はあらゆる場面でほとんど個人の判断で物事がなされます。クラトゥを治療する医師も自白をさせる男も一人、ゴートに攻撃する際や調べる時も一人の軍人や政治家?の指示で行われ、ノーベル賞の博士も厭世感を抱いていそうであり、きわめつけは国防長官で(キャシー・ベイツの超然とした様がいかにも個人主義)地球存亡の危機にほぼ独断で指揮をとり大統領との会談も一対一の電話ですませるのです。ここには地球に共存する人類に不可欠な〝話し合い〟というものがなされていません。また「宇宙戦争」など襲来ものでは度々見られる群衆のパニックも皆無に近いです。〝人間は一人だと良いが集団になると厄介だ〟と言ったのは「メン・イン・ブラック」のトミー・リー・ジョーンズで、そのとおり怖いのは個人ではなく群集なのです。中国人のおじいちゃんは70年に及ぶ観測の結果、それを知っていたからこそ人類を愛しながらも殲滅を選んだのでしょう。なのに集団を全く描いてないので人類が助かったことについては説得力に欠けているのです。  それと言わずもがなですが、〝地球が静止する日〟ではなく〝アメリカが静止する日〟と言う感じがします。まぁ、実際のところ残念ながらアメリカが静止したら地球が静止したようなもんなんですけどね;。[映画館(字幕)] 5点(2008-12-29 11:06:23)(良:2票) 《改行有》

52.  傷だらけの男たち 《ネタバレ》 こう言っては元も子もないのですが、全体的に平坦で盛り上がりに欠けます。金城武が捜査をしトニー・レオンに迫っていくのですが、近付いていく感じが全く感じられません。また金城演じる探偵は重度の酔っ払いですが、ただ酔っ払っているだけに過ぎず、そこから何にも発展しませんし、時おり挿入される、いかにも現代風なサスペンス演出はスタイリッシュというよりも安っぽさしか感じさせません。…ただ、冒頭の捕縛場面でトニー・レオンが何気なくハンカチを手にすると蝋燭立てを持って犯人を殴打する狂気はゾクゾクさせてくれますし、この男がただの善玉警官ではないと一見にして判明するシーンでなかなか面白いと思います。ですが、この狂気というものが持続していないのです。そして何よりこの映画が致命的なのはトニー・レオンと金城武というカッコイイ男たちが、あまりカッコ良くみえないことです。哀しいトニー・レオンはもっとカッコイイはずです。[DVD(字幕)] 5点(2008-12-22 18:25:19)(良:1票)

53.  レッドクリフ Part I 私は「三国志」大好きで、演義・正史問わず小説、マンガ、ゲーム、人形劇…と見境なく何でも見るのですが、結局のところ何に惹かれているのかと言いますと、その人物たちの魅力、〝漢〟たちの格好良さなのです。その観点からすると本作はやっぱり面白いです。キャラクターの特徴がそれぞれ端的にとらえられていて、劉備は庶民派全開でワラジを編み、中国で神格化されている関羽は当然のように光の中から登場し、張飛は怒声をあげ超人的なパワーを発揮し、超雲は不言実行で主君に尽くし、孔明は聡明で物腰は柔らかありながら掴みどころがなく、悪役として描かれる曹操も重い空気を纏いながら微笑みをたたえ懐が深そうな感じが良く出ているのです。しかしながら本作では、何と言ってもトニー・レオン演じる周瑜が格好良くって、その殺陣は一番アクロバティックに決まっていますし、時折、孔明すら見失うようにスッと姿を消すその存在は特別な者として描かれています。  さらに軍旗が印象的に使われていて、関羽は馬に踏みつけられている劉備の軍旗を取り戻しハタめかせ忠義を表明し、周瑜は曹操の軍旗をたたみ敵を屈服させようとします。この他にも各々の一騎当千ぶりを見せる殺陣がなかなかユニークで面白いのです。  そしてまた、男たちだけではなく女たちも格好良いのです。パンチをかます男勝りの孫尚香は魅力的ですし、絶世の美女・小喬が凄く官能的で惚れてしまいます。それも決してラブシーンが良いのではなくて、負傷した夫の体に自分の体を巻きつけるように包帯を巻くシーンの扇情的なことといったらないのです。こういうのをロマンティックというのでしょう。こりゃパート2も見ずにはいられなくなりました。 [映画館(字幕)] 8点(2008-12-03 18:05:15)(良:2票) 《改行有》

54.  1408号室 この作品は〝音〟に気を遣っていると思います。例えば特に序盤では、グラスの触れる音やペンを走らせる音…そういった細かい音がちゃんと拾われているのです。こういう音というのは生々しくて神経を鋭くさせ恐怖を体感し易くする効果を促しています。さらに登場は少ないながらもホテルの支配人を演じるサミュエル・L・ジャクソンの怪しさも存分に生かされていますし、あの何の変哲も無いはずの1408号室の孤立した雰囲気も良く出ています。そしてドンドン主人公に迫ってくる危機を演出するCGもまた効果的だったのですが・・・、個人的には最初の方の〝いつのまにかチョコが!?〟や〝不気味な部屋に親父がポツンと座っている〟というシーンの方がずっと怖かったですし、水に襲われるシーンはもっとしっかり見せて欲しかったですし、途中の自殺してゆく幽霊?のCGは、本当に〝ホーンテッドマンション〟かってぐらいのもので本作とマッチしておらず興ざめでした。それでもテンポは良いですし、あの煙草スパッーはやっぱり決まってますね。[映画館(字幕)] 7点(2008-11-28 18:44:40)(良:2票)

55.  コッポラの胡蝶の夢 一風変わった感じのする幻想的な世界が投影されており、その辺りはいかにも〝映画〟なのですが、コッポラ監督が一体何を言いたいのかいまいち良く分からなかったですし(夢幻世界の時点でもはやそこに明確なメッセージ性など存在しないのかもしれませんが)、また夢の世界では天地を逆転させていることなども面白い事とは思えません。例えば、ティム・ロスが夜道でナチス軍の研究医?に襲われるシーンなどはフィルム・ノワールを彷彿させるような雰囲気がある上に、青白い光が不気味ながらに美しく神秘的でなかなか良いのですが…そもそもお話自体が妙に哲学的で退屈であり、幻想譚の映像美が全体的にはいささか面白味に欠けているように思えます。ただ、最近のハリウッド映画などの作風とは明らかに一線を画しており何となく後に残る感じはします。特に印象的なのは、異世界のように鏡を使ったティム・ロスの分裂と彼の吸う限りなく短いタバコの煙が幻のような感じをさせるシーンと、ナチスの女との情事、それにやたら美しく見えたヴェロニカです。特に彼女の初登場の時、ティムにかけた声の鮮烈さは素晴らしく夢見心地のボンヤリ感から目覚めさせてくれます。[映画館(字幕)] 7点(2008-09-20 17:48:02)(良:1票)

56.  バンディダス 《ネタバレ》 例えば緊張するとシャックリをするサルマ・ハエックが何故にいざって時にクシャミなのかとか、オッチョコチョイな感じの捜査官はここぞというところで何もやらかさないのかとか、はたまたラストのスローモーションシーンとか、かなりいい加減なところがある映画です。・・・しかし、捜査官とお別れをする際の夕日に映えるペネロペ・クルスがとってもキュートですし、キスの件がその最後のシーンまで巧く繋がっていて女二人組に戻るのも合点が行くというものです。それにサム・シェパードの「つるんでるのが楽しかった」なんて台詞がとっても良いですし、ペネロペとサルマのラテン系美女を愛でる作品としては十分です。胸元がはだけた服装で川で腕立てふせしますし、夢のような変態プレイまであるのだっ!…といっても過度な期待は禁物、ポロりはありませんって、これはある意味、本作における最高のネタバレなのだ。[DVD(字幕)] 7点(2008-08-26 18:45:40)(良:1票)

57.  この自由な世界で 《ネタバレ》 社会の歪みの元凶は利潤追求にあるとでも言うように、他人を顧みない金儲け主義の人々の悪行が描き出されています。階級が低くなれば低くなるほど割りを食う残酷社会の中で主人公のアンジーもバイクにまたがりよく働きますが、彼女はケン・ローチ監督がたびたび描く労働者階級ではなく、成上がりであっても一段上で労働者たちを食い物にする搾取する側なのです。そんなアンジーも仕方なしと感じさせてはいますが彼女の表情というものはくすんで見え、それに対するようにポーランド人の移民青年は謝礼も受け取らず、物質的に貧しくも実に爽やかで自然体に見え生き生きと描かれているのです。というところからも本作は、視点が変わっただけでやっぱりどうして労働者たちの映画なのだと思います。無事丸く収まって運営しているように見える〝自由な世界〟ロンドンの裏には、寄るところの無い移民労働者の人々がたくさんいて、彼らは無視できない社会の大きな歯車の一つだという現実を強く訴えているのです。その証拠にラストショットは、再び労働者の斡旋を始めた主人公アンジーの表情で彼女の是非を問うのではなく、冒頭と同じく一移民労働者の不安と期待の入り混じった表情をとらえているのです。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-25 18:23:59)

58.  ハプニング 《ネタバレ》 静止する人々、髪留めをおもむろに抜く読書中の女性、建設現場で次々と飛び降りてくる作業員たち、木に突進する車、芝刈機を動かす男…などなど自殺者のシーンがとても痛々しくて目を背けたくなります。その自殺を引き起こす前兆が、吹いてくる風、車のルーフにある切れこみ、ブランコでしなる木などで演出されるのですが、シャマラン監督はこういうのがとっても巧いと思います。最後に逃げ込む家の異様さもたまりません。・・・ただストーリーテラーとしてのシャマランのアイディアは枯渇してしまったのかと心配になってしまいます。例えば彼らが守るものはなぜ親友の子供なのかなど十分に機能しているとは思えません。「サイン」と同じように正体不明?の恐怖に襲われる…あるいは「ヴィレッジ」と同じように愛する者のために安全な空間から危険な外へ出て行く…のですが、「サイン」のように神の啓示で、「ヴィレッジ」のように愛の力で乗り切るわけでもありません。まさかシャマラン監督が地球の環境問題を題材にしているとは思えませんので、人知の及ばぬ圧倒的な力を前にした時、ただただ愛する者のそばにいたいということなんだと思います。スピルバーグ監督の「宇宙戦争」では人類は協力してトライポッドを撃破しましたが、本作では集団はダメだと言います。最後には男と女と子どもだけ、純粋に立ち返った時に助かります。だからこそ最後の妊娠関連のシーンがいずれも印象的で良いのです。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-15 18:30:03)(良:1票)

59.  ダークナイト(2008) お話としてはシリーズ中一番良く練られている思います。が、映像として見た時、はっきり言って何を見たのか印象に残らないくらい画面に深みが無ければ実際に奥行きもありませんし、動きまくっていて全く面白味がありません。長い尺にもかかわらずそれでも足りんとばかりに、詰め込まれた物語をスピーディーに処理しようとしているために画面の方は全く練られていないのです。夜のアスファルトを濡らせて光らせることすらしていませんし、見てもらいたいシーンとか重要なシーンとか無いんじゃないかと思ってしまうくらい平坦なのです。当然アクション・シーンともなるとさらに何がどうなっているのか訳が分からずで、とにかくバットマンが暴れているということしか分かりません。これはノーラン版一作目の「~ビギンズ」でも同じようだったので、この辺りがノーラン監督の限界なのかと感じずにはいられません。 ただ、やっぱり筋書きは面白いですし、演技が絶賛されている亡きヒース・レジャーのジョーカーは確かに良かったです。あれは声が素晴らしい。[映画館(字幕)] 5点(2008-08-15 17:53:24)

60.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 例えば工場で男にしつこく絡まれる女性に助け船を出すシーンのノートンの佇まいが、危険な香りがあってハルクを連想させます。そしてハルクの顔が映るファースト・ショット、大学内での戦闘で檻を彷彿させる渡り廊下で変身してしまうシーンで煙の中から出てくる手、あるいはヘリから落下した後、地面から突き出てくる手などのハルクの登場のさせ方、等々の瞬間瞬間は印象的です。また、人物設定がはっきりしていて、ノートンは科学者としての責任を果たすためヘリから飛び降り、ティム・ロスは戦士として最強の対戦相手との勝負を求め無線機を外し命令を無視し、リヴは愛する者としてノートンに尽くし肉体関係がもてなくともさめざめと泣いたりしません。誰もが(リヴの新しい彼氏までもが)見返り無しに自らの進むべき方向へ迷いなく前進し、行動基準がぶれないので見ていてスッキリします。・・・しかし、全体的に平坦で盛り上がりがなく、最後の街中での戦闘シーンもいまいち芸がなくて面白味に欠けていますし、わざわざノートンやティムを起用しているのだから変身後も少しは原型を感じさせて欲しかったです。それからノートンとリヴが久方ぶりに再会し、雨の中で抱き合うシーンにキスがないのは物足りません。もちろん、そこには二人の誠実さや時間の隔たりがあるのでしょうが、物語に大きく影響を及ぼしているわけではないので、あれはキスがあった方がずっと感動的だったと思うのです。[映画館(字幕)] 7点(2008-08-07 18:37:48)(良:3票)

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