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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  バットマン(1989) 《ネタバレ》 クリスマス感を味わいたくて、昔を思い出しながら観ました。 '89年の年末は、ゴーストバスターズ2、ビオゴジ、バットマン、BTTF2が次々公開。2G2B対決と銘打たれ、映画好きには期待感ハンパないシーズンでした。 このなかで唯一続きものじゃないバットマンは、ダークホース的な存在だったけど、プリンスのサントラ・アルバムが先行販売されるカタチになり、あの印象的な黄色と黒のバットマン・マークの認知度も高くなってたのもあって、公開前からとても斬新でとてもオシャレな映画の印象があったっけ。 タイツを履いた子供向けなヒーロー映画のダサい印象を、黒いラバースーツのバットマンが変えたと思う。 今でこそコメディ要素が感じられるけど、当時は影を背負った大人も楽しめるリアルなダークヒーローとして復活させたのもインパクトが有ったし、漫画チックな悪役ジョーカーをアカデミー俳優のジャック・ニコルソンが怪演したことも話題になって、なんか大人が本気で創ったヒーロー映画って感じが良かった。 ヴィッキー・ベール役のキム・ベイシンガーの魅力&脚線美が炸裂。劇中ハイヒール3回も脱いでます。戦場写真を撮っていた設定に対し、すぐ悲鳴を上げるとことか、水を掛けられたジョーカーの背中をポンポンするとことか可愛い。 ティム・バートン作品らしく、メカ、美術のこだわりも強く出ている。退廃的なゴッサムシティのヤバさ、空気感。森の中を走るバットモービルの格好良さ、飛行機(名前わかんない)が月と重なる美しさ。 ジョーカーがヴィッキーにプレゼントするガスマスクのリボンが緑と紫なのとか、凄いこだわりだと思う。 これまた全然クリスマスな内容じゃなかったけど、エンディングに流れるプリンスのスキャンダラスが、セクシーで素晴らしい。 ストーリーがしっかりしていて、それでいてオシャレで、とても満足度の高い大好きな映画の一つです。[映画館(字幕)] 8点(2022-01-01 18:01:10)《改行有》

42.  バベットの晩餐会 《ネタバレ》 静かだけどすごい映画だ。ついつい2回連続で見てしまった。 ユトランド。海と草原しか無い寂しい土地。常に灰色の雲の掛かった重たい空。そこで育つ美しい姉妹。高貴な士官との恋愛や、パリの大舞台の歌姫を夢見ることもあっただろうけど、人生を謳歌すること無くただ年老いていく。姉妹も村人も、まるで生まれた時から死ぬ準備をしてきたような敬けんな信者だ。干したヒラメと乾いたパンを、水に浸して戻して煮るだけの質素な食事。この質素な食事が、まるで彼らの味気ない人生のように見える。 そんな村人も、普通の人らしく浮気をしたり人を騙したりもしていたようだ。年老いて人生の幕引きを間近に控えて、お互いにいがみ合う。質素で敬けんな彼らの歩んだ人生は正しかったんだろうか? 野心のまますべての夢を叶え将軍にまでなったローレンスは、人生に虚しさを感じていた。かつて喝采を浴びた歌手パパンは世間から忘れられ、寂しい老後を過ごしている。フランス随一のレストランの料理長だったバベットは、革命で夫と子を失い辺境のユトランドに流れ着いた。華々しく夢を実現してきた彼らの人生の末路。自分の選んだ人生、その選択は正しかったのか? 宝くじはバベットにとって、フランスとの唯一の繋がりである。一晩の晩餐会にその全額を投じたバベット。 村人にとって生涯たった一度であろう豪華な料理が、彼らの心を開かせ、過去の罪を許しあい、輪になって神への感謝の歌を歌う。 かつて無言で村を立ち去ったローレンスは、あれからおよそ50年ののち、マーチーネに告白する。その気持ちを受け入れるマーチーネ。 ヨボヨボだったレーヴェンイェルム婦人が最後、杖も使わず背筋を伸ばし、馬車に飛び乗る。 ローレンスのスピーチ、神の恵みに条件など無い。選択したものは手に入った。拒否したものさえ与えられた。 デザートのいちじくを手掴みで頬張る村人も、丁寧にナイフで切って口にする将軍も、口に広がる味は同じ。どちらの人生も正解だ。 自分で選んだ人生なら、どんな人生にも間違いはない。 タイトルの晩餐会、-Gæstebud=Feast-は“入念に準備したごちそう”だそうな。その晩餐会にバベットは顔を出さない。 この映画のタイトルは、料理を食べることではなく、創ることを表しているんだろう。料理は目で見て味わう芸術を作ることであり、人生も芸術。 神のもとに逝くのが人生の集大成=テーブルに出されるごちそうだとしたら、この長い人生はキッチン=入念な準備と丁寧な調理なのかもしれない。 キッチンで格闘して、料理という芸術作品を作り出す姿こそが、バベットの人生そのものなんだろう。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-03 10:40:29)《改行有》

43.  スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 《ネタバレ》 ~Return of the Jedi~ジェダイの帰還。帰還になって結構経つけど、当初は英題も~Revenge of the Jedi~だったそうで、公開時の“ジェダイの復讐”の印象が今でも強い。 帝国の逆襲の続きを、いつ観られるのか解らない穴埋めに、ケイブンシャのSW大百科を買って読んでたっけ。タトゥイーンに出てくるエイリアンや、イウォークの個体名とか、どうでも良い知識は増えたと思う。 それから数年後、初見はテレビだったか、友達にビデオを借りたのか、ちょっと覚えてない。 初登場時はほぼ白い球体だったデス・スターが、不気味な青みがかったグレーに。建造中でスカスカなのが更にリアルで巨大感を感じさせた。 序盤のタトゥイーンからダークな感じ。ロボットの拷問。ランコアの生贄やカークーンの大穴。おぞましい容姿のエイリアンも多数登場。この前半から親子の戦いに続いていくと、ちょっと重たすぎる感じなので、ライトなイウォークを挟んだのかな。 ベイダーがルークの父親だというサプライズが大いに話題になったことから、レイアを双子の妹にしたのか。シリーズ化の時からレイア=妹が決まっていたなら、EP5でキスシーンは入れないと思うけど…そのレイアの衣装がスゴいインパクトで、後のドラクエの女戦士や踊り子に多大な影響を与えたと思う。魔法使いのようなローブを着た強そうなルーク。再びレイアとのターザンロープ。この時のルークの頼もしそうなこと。男として、ヒーローとしての成長と安心感が感じられる。 宇宙や雪原とまた違って、森の中を木を避けながら猛スピードで駆け抜けるスピーダーバイクは、SWシリーズらしい迫力と新しい魅力があった。そして今作の目玉の一つスカウト・ウォーカー。前作でもチラッと出てたけど、絶妙なバランスでユーモラスに2足歩行する姿を堪能できる。丸太のトラップで破壊される様子は当時の最高レベルの特撮技術。 イウォーク…う~ん。3部作の最後の方に来て、急に子供向けにシフトしたようで、あまり好ましい展開ではなかったな。当時はE.T.が流行ったこともあり、ルーカスもフレンドリーで可愛い架空の生物を出したかったのか。だけど見た目がそれほど可愛いとも思えなかったし、デス・スター内ではルークとベイダー、皇帝が、3人とも黒い服着てダークな雰囲気で問答してるのと対照的に、緊張感が薄れるというか。グライダーのようなもので石を落とすとか、今までの世界観をぶち壊しかねなかったと思う。SWで出すべきキャラクターじゃあない気がする。 戦艦の間を縫うように飛び交う戦闘機の戦いは素晴らしかった。デス・スター突入も、今回は細い通路上の内部に入っての攻撃。コアを破壊したファルコンが炎に巻かれながらの脱出は手に汗握る迫力。 戦いに勝って、エンドアでの祝いの宴。サントラで聞いたイウォークの陽気な音楽。当時は“これで終わったんだなぁ”って、3部作の最後を彩る満足感があった。ルークを見守るオビワン、ヨーダ、それと…。左の人が誰か解らず、しばらくオーウェン叔父さんだと思っていたよ。だって髪があるから。後々アナキンだと教えてもらって、これぞ大団円、あぁ良かったなぁって思えた。[ビデオ(字幕)] 8点(2021-09-18 18:03:58)(良:1票) 《改行有》

44.  アラビアのロレンス 完全版 《ネタバレ》 ロレンスの葬儀、語る人それぞれで一致しない人物像。スエズ運河の対岸でバイクの男が問い掛ける「お前は何者だ!?」 イギリス人でありながら、エル・オレンスという名を与えられ、1人だけの部族としてトーブに身を包む。カメラを向けられるとヒラリと舞ってみせる。自分のやることがほぼ上手く行って、神か英雄の気分だろうか、相当なナルシストなんだろう。 ガシムを処刑し流砂でダウドを死なせたことを「楽しんだ」と告白してしまう。アカバから休まる暇が無かったためもあるけど、この時すでにかなり精神的に追い詰められていたから出た発言に思える。オスマン帝国軍に捕まり、自信喪失してアッサリ転属を願い出るところは、理想よりも恐ろしい現実を見せつけられたんだろう。かと思えばモトの任務にもアッサリ戻るところから、行動に一貫性がない。子供のような人物だ。 村の虐殺に感化され、感情のまま皆殺し命令を出したり、ダマスカスを占領したけど、アラブ民族会議をまとめられなかったり。カリスマ性はあっても、軍人としても政治家としても一流とは言えないロレンス。ダマスカス侵攻中、まだ熟れてない葡萄を口にしたロレンス。上手く機能しないアラブ民族会議にバラバラに散るアラブ部族。“もし実れば見事な果実だった”は、ロレンス自身のツメの甘さ、未熟さを表すかのようだ。アラブのためと言いつつ、自分が誰かに認められるための戦いだったように思える。結局、あれだけの活躍をしたのに、イギリスにもファイサルにも利用され、終いには砂漠に居場所がなく、すごすごと本国に帰るしか無いロレンスが寂しい。だけど未だに国家としてまとまっていないアラブ諸部族を考えると、ロレンスの能力に関わらず、西洋とは文化が違いすぎるために、イギリスやフランスがアラブを国家というワクにハメること自体が、そもそもの間違いなんだとしか思えない。 この映像凄い。これは音楽とマッチして、とっても良いシーンだな。…とか思ったところがそのまんまウィキに書かれていて、なんかリーン監督の思うツボって感じでちょっと悔しい。 マッチの火を吹き消すと画面に広がる曙色の朝焼け。蜃気楼から現れるアリ。砂漠のアカバ戦で役に立たない大砲とその先の海。夕暮れの海岸をラクダで進むロレンス。想像を超える砂漠の世界の美しさ。映画という文化が伝える自然のダイナミズム。おそらく誰が観ても圧倒される映像美。オリジナリティのない表現で悔しいけど、これが映画だ。とても長い映画だけど、しばらくするとまた観たくなる魅力がある。 コロナの影響はもちろん、中東の不安定な政局を考えると、今後しばらくは、本物のこの風景を安全に見ることは難しいかもしれない。生きているうちに一度は見てみたいな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-09 00:52:02)(良:1票) 《改行有》

45.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 ロボットを“ロボ”って呼ぶの、日本だけだと思ってた。 ヤマハのスポーツ心臓とか核戦争ゲームとか、真面目にふざけたCM。ニュース番組は緊迫した世界情勢と街の事件をゴチャまぜにして、アナウンサーも同じトーンで話す。バーホーベンらしいブラックユーモア。『1$で楽しむべ~!!』いったいどんなコメディ番組だ?通して観てみたい。 警察が民営化された世界で、待遇の悪さからストを考える警官たち。ここもバーホーベンらしく男女同じ更衣室。 飛び散る血しぶき。緊急搬送されるマーフィーの痛々しさ。手術台のマーフィが本当に死んでそうに見えるリアリティもバーホーベンらしい。 こんなにバーホーベン要素が高いマニアックなバイオレンス映画なのに、何故か一般ウケした。思い返せばこの時代が映画の出血量のピークだったかもしれない。当時は結構血に耐性が出来ていて、逆に今観ると「うわっこんなに血が出てたんだ」って驚かされる。 その場の空気の作り方がとても上手。ED209が制御不能な時の科学者たちの慌てよう。モートンがトイレでジョーンズの悪口を言ってる時の他の幹部たち。一瞬でこちらにまでヤバい空気が伝わってくる。ロボコップ製作中のニューイヤー・パーティの浮かれっぷりも人間臭くて良い感じ。 悪党の1人がロボコップを観て、よくマーフィだと気がついたなって思ったけど、「デッドオアアライブ・・・!」同じセリフだったから気がついたのね。 マーフィを苦しめた第4指令と、最後の使い方が痛快。…てか撃たれるジョーンズを見るジョンソン嬉しそう。社長に名を聞かれ「マーフィ」と名乗るエンディングも痺れる。 ルイス巡査のその後、家族のその後、マーフィのその後。実際の続編はバイオレンス色が強くなりすぎたので、この名作の続きは心の中の想像で補完したい。[ビデオ(字幕)] 8点(2021-09-08 22:56:50)《改行有》

46.  バタリアン 《ネタバレ》 ~The Return of the Living Dead~生ける屍の再来。バタリアン=大群って邦題も見事。 でもオバンバとかタールマンとかは、今思うと蛇足。頑張ったんだろうけど… 『この映画は真実だけを書いている。そのため人物や団体も全て実名である』「ゾンビの夜って映画知ってるか?アレ本当にあったんだ」なんて、子供だったらアッサリ騙されそうな文言で始まるホラーコメディだけど、当時子供だった私はすっかり騙されたわけだ。 公開時、人気急上昇のシュワちゃんコマンドーとの同時上映で、なんとも豪華な二本立ての新聞広告を見たのを覚えている。 その一年後に金曜ロードショーで放送され、当時の同級生はほとんど観てたんじゃないかな。次の日盛り上がったことと言ったら…タールマンのモノマネするバカ多数。オバンバの声真似するバカも多数。ハーゲンタフ…地元にはハーゲンダッツがないから意味解らない奴多数。ノーカット・ノーモザイクのトラッシュの全裸踊りに度肝を抜かれたもの多数…あぁ楽しかった。 でも観てる間は怖かったな。救急隊員が多数のゾンビに襲われるとことか、オバンバの背骨がゴツゴツ動いて、透明な髄液みたいなのが滴ってるリアルさ。手足のないゾンビが走るの、障害のある役者さんだろうけど、細かく動いてビックリした。 この映画も夏の風物詩として毎年見ているけど、当時も今も楽しく観ている。 フランクの顔芸とジョークの上手さ。社長と葬儀屋の憎めないキャラ。オッサン3人がとても上手い。ゾンビを焼くよう頼まれるシーンで、アーニーが破れたズボンの裾をハサミで切るシーンの間がいい。 死後硬直の前フリのも後に活きるし、アーニーの葬儀社が“復活の家”葬儀社というのも面白い。 建物内に釘や板がたくさんあって、ゾンビから隠れるには最適の家。 フランクが脳みそを食いたい欲望に勝って、妻(指輪)に別れを告げて、自分で焼却炉に入る場面は悲しすぎる。単なるコメディでは片付けちゃいけない、ホラー映画の名シーンじゃないだろうか。 しゃべる。走る。道具も使う新しいゾンビ。これはこれで、ロメロゾンビと違うくて、逃げられなくて怖い。 結末も怖かった。ミサイル(CGっぽいけど、年代からアニメーションだろうか?)が火災を起こし、酸性雨と混ざってゾンビを増やす原因になるなんて、ホラー映画として見事なオチ。 今回気がついたんだけど、ドラム缶の煙を吸ったバートとフランク、トラッシュはゾンビになった。けどゾンビに頭を噛まれたスーサイドとスクーズはゾンビになってない。あと救急隊員も。この世界では脳みそを食われるとゾンビにはならないっぽい。[地上波(吹替)] 8点(2021-07-28 01:04:43)《改行有》

47.  キリング・フィールド 《ネタバレ》 ~The Killing Fields~クメール・ルージュによる大量虐殺が行われた処刑場の総称。 中学生の頃ゴールデン洋画劇場で見て、とんでもなく怖かった映画。 戦争(アクション)映画は大好きだったけど、ここに描かれている世界は、私の知るカッコイイ戦争とは違っていた。日常的に目の前で起きる処刑。どうすれば許されるのか、意味も解らず脅かされる命。子供の判断基準で殺される大人。国政が不安定で常識の通じない世界。人間が家畜のように扱われ、教養があれば殺される、逃げ道のない世界への恐怖を、まざまざと見せつけられた。 そしてイマジンの美しさ、インパクト。賛否両論あるみたいだけど、私たち世代の多くにはきっとイマジン=キリング・フィールドのテーマソングだ。 『処刑のシーンでポール・マッカートニーの曲が掛かり、再会のシーンでジョン・レノンの曲が掛かる』当時は監督が“悪の場面と善の場面で意図的に両者の曲を掛けた”なんて思っていたっけ。 ポールの曲“Band On The Run”は、ビートルズ時代、世間に追われて自由が無く、バンド活動に拘束されていた当時の、逃げ出したい気持ちを歌ったものと知った。一般人はもちろん、兵士であっても地獄と化したカンボジアから逃げたい気持ちを表現したんだろうな。 曲を聞いているのは捕虜を処刑する政府の側の兵士。ヘルメットに黄色い花を刺した女の子で、まだ子供のようだ。英語の歌詞などわからないだろう。 彼女はその後、腹部に助かりそうにない重傷を負って運ばれていく。何があったのかは描かれてなかった。後日病院でシドニーが捕虜になる際、ポケットから彼女のと同じ様な花を取り出すが、何か繋がりがあったのかな。 放映の翌週、クラスの反応は様々だった。心にズシンと来た者。途中で見るのをリタイアした者。口数が少ない者もいれば、娯楽として楽しめたのか、喜んでる者もいた。みんながTVで映画を観て、翌週話し合う、盛り上がる、それぞれの反応を知るのって、何かとても貴重な体験で、とても素晴らしい文化だったように思う。 『永六輔の誰かとどこかで』ってラジオ番組のコーナーで“アルハンブラの思い出 ”が流れると、映画の恐怖がフラッシュバックしたのも今では良い思い出。 あの時は突然ラジオ消して、ごめんねママン。[地上波(吹替)] 8点(2021-06-14 15:19:04)《改行有》

48.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 ~Nuovo Cinema Paradiso~新パラダイス劇場。 今回が初見。にもかかわらず、以前テレビのバラエティで、このエンディングシーン“だけ”を見て知っていたのよ… もちろん見たくて見た訳でなく、交通事故。それは不幸なことなのよ… この映画を何の予備知識も無しに観ていたとしたら、きっと涙が溢れ出ていたに違いない。 なぜエレナは音信不通になったのか。 アルフレードはなぜ、トトに厳しく『帰ってくるな』と言ったのか。 トトはなぜ、30年も村に帰らなかったのか。 99日目、兵士はなぜ最後の夜に立ち去ったのか。 なぜ?当然だけど、それぞれ事情や考え、簡単なものから複雑なものまで、本人にしか解らない理由があったんだろう。 その理由を知ること無く過ぎ去った過去。神さまでもない人間には、答えを想像する事くらいしか出来ない。 『キスシーンを見せろ!もう20年も見てないぞ!』ラブシーンを見られるのは、検閲する司祭と技師のアルフレードだけ。 休みなく映画を上映し、見せられないフィルムをカットし、ある時は映画館の外に劇場を作るアルフレードは、トトにとって神さまのような存在だったろう。 アルフレードからの最後のプレゼント。劇場で流されなかったラブシーンの詰め合わせ。それはカットされた理由≠答えの詰め合わせ。 肝心なところ、見たいところ、本当の理由≠答えが見えないのは、人生も一緒じゃないだろうか。 エレナが去った事情、アルフレードの最後の言葉の意味、兵士が立ち去った理由…神さまでもないトトに、それを知る術はない。 『理由なんて、カットされた映画のラブシーンのようなもの。そこにこだわって、これからの人生を無駄にするほどの、大した事じゃ無いんだよ。いくら思ったところで、過ぎ去った人生は、映画のフィルムのように、集めて繋ぎ合わせて見ることなんて出来ないのだから。』 映画のタイトルが最初の劇場『シネマ・パラダイス』ではなく、建て直された方の『“ニュー”シネマ・パラダイス』なのも、そしてそれさえも最後解体されるのも、過去よりこれからの新しい人生を大事にしてほしいと言う、トトへのメッセージに思える。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-06-09 22:05:51)(良:2票) 《改行有》

49.  名探偵ホームズ2/海底の財宝の巻 《ネタバレ》 ~『青い紅玉』のつづき~ 青い…で描かれるロンドンの街並み、群衆の動き。海底…で描かれる戦艦の水兵たち、砲の動き。砲撃と爆発。 子供向けの作品だけど、作画やストーリーに手を抜かない姿勢がこの2作に込められている。 この当時は『大人の鑑賞にも耐えられるアニメ』なんてジャンルはなく、あくまでターゲットは子供だけだったのに、この作画クオリティ。 共同制作のイタリアに日本アニメの底力を魅せつける意味もあったかもしれないが。 戦艦のシーンで延々と流れる軍艦マーチ。時々チリン・ジャラジャラ…ってパチンコかい!遊んでるけど、ふざけてない。 キャラの見せ方が上手く、たった23分×2の作品なのに、メインキャラの性格がしっかりわかる。 ゲストのポリィにしてもライサンダー兄弟にしても、人じゃないけど怪鳥や潜航艇といったゲストメカも、1話のみの登場(TV版はあまり覚えていないので、たぶん他の回には出てこないと思う。)なのに、魅力が込められている。 これだけ短時間で密度が濃いにも関わらず、山盛りサンドイッチの調理や、飛行船のイギリス周遊など、本筋とは特に関係がないシーンだけど、宮崎作品らしいシーンをしっかり入れているのが凄い。 個人的な思い入れが強いため。とは思うけど、やはり宮崎監督の、一番脂が乗っていた時期の作品。 素人に声を当てさせたり、独り善がりな芸術性が出てなくて、監督の個性と商業作品としてのクオリティが共に高く出ている名作。[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 18:56:24)《改行有》

50.  名探偵ホームズ1/青い紅玉の巻 《ネタバレ》 懐かしい。劇場で続けて2回観て、TVシリーズで1回。今回は久々の視聴になる。まさかまた観られるとは… 正直、当時10歳の自分には、本命の風の谷のナウシカより、同時上映のコッチのほうが面白かった。 ここでのレビューは『海底の財宝』とは別作品の扱いなのね。 後年TV版を観た時、名前が微妙に違うので違和感を感じた記憶がある。 モロアッチ教授だったのにモリアーティ教授と呼ばれてたり、エリソン夫人がハドソン夫人だったり。 なんか、TV版はニセモノだって、そんな認識だった。 TV版の作画の甘さも気になった。ホームズやモロアッチ、エリソンの顔が人間臭かった。 恐らく制作第一話だった本作は、登場人物の顔が長めで犬っぽさが強い。やっぱこうでないと。 ウィキによると、この回はTV版の第5話だったそう。 モロアッチとの初顔合わせで「シャー(ベ)ック・ホームズ」と名乗る。ここがなんか、格好いいんだ。 当時の雑誌で『シャーロックと名乗った上に、後から(ベ)の音声を乗っけた』みたいな事が書いてあったけど、劇場では気が付かなかったな。 TV版では「ホームズ!」としか名乗らなくて、長年消化不良だったけど、ついに当時の劇場版を観られて感激。 劇場版初期の声が広川太一郎じゃなかったのも、今回初めて知った。 ~『海底の財宝』につづく~[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 18:54:36)《改行有》

51.  快盗ルビイ 《ネタバレ》 ポワトリンとキャッツアイを合わせたような映画かなぁ?なんて思ってたけど、変身したり、夜のビル街を飛び回ったりしない、もっとスケールの小さい、可愛らしいお話でした。 『快盗ルビイ・マーチンスン』という原作小説があったんですね。原作のルビイ青年と従弟の犯罪を、ちょっと不思議な女の子と平凡なサラリーマンに置き換えてます。アイドル全盛期のキョン²と、芸の幅を広げてる最中の真田広之のコンビが異色で面白いです。 “成功しない犯罪”なんて面白い原作に目をつけて、アイドル映画に落とし込むアレンジも上手いですね。留美→ルビイってのもお洒落です。 カバンのすり替え、銀行強盗、詐欺、空き巣…殺人や誘拐じゃないにせよ、一生懸命悪事に手を染めるルビイと徹。徹が見る悪夢のように、成功したら警察に捕まって大変なんだけど、毎度毎度、何やかや失敗します。計画とか変装とか頑張ってるんだし、今度こそ犯罪を成功してほしいって気持ちと、失敗して何もない日常に戻ってホッとする気持ちが交互にポンポン繰り返されるのが心地いい。どこか、毎回マドンナにフラれる寅さんみたいな様式美を感じさせます。 自分が出した手紙を、彼氏に読まれる前に取り戻す…って、今までで一番どうしようもない犯罪計画だけど、立派な犯罪(窃盗罪)になってしまうのが、最後のエピソード。30分以下の短編TVシリーズなら、もう数話犯罪計画も追加出来たと思うけど、映画としては、ダレる前の程よい尺で終わらせたと思います。近年の邦画コメディは、このさじ加減がダラダラ長すぎたり、詰め込みすぎと感じることが多い気がします。 2人のほのぼのした犯行を、もっと観ていたい気持ちもあるけど、適当なところでスパッと終わらせた見切りが上手い。続編を創らなかったのも潔かったと感じます。まさに『こういうので良いんだよ、こういうので』って逸品でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-06-26 22:22:31)(良:1票) 《改行有》

52.  ストリート・オブ・ファイヤー 《ネタバレ》 “Streets of Fire”『炎の街路』。ストリートは道路というより『◯◯通りに面した街』が、イメージに合う気がします。 夜の似合うアメリカの下町。ギラギラしたネオンサインが、雨に濡れた路面に反射して、とても綺麗で幻想的な世界観を創り出しています。幻想的と言えば、この映画の時代設定がよく解りません。警官たちが乗るパトカーが'50年代のスチュードベーカーってマニアックな車なので、その時代の映画かと思いきや、『今夜は青春』にせよ『アイ・キャン・ドリーム・アバウト・ユー』にせよ、公開当時の年代('84年)にマッチした新しい楽曲です。 当時の日本の若者には、アメリカの文化もファッションも音楽も、日本のものより洗練された格好いいものに映っていたように思います。そんな中公開されたこの映画は、私より少し上の世代のハートをガッチリ掴んだようです。 その一方で本国アメリカでは大赤字だったとか。恐らく、ストーリーはシンプルで若者向け。でも時代設定はどことなく'50年代で中高年向けな辺りから、どの層をターゲットにした映画なのか、イマイチ伝わらなかったんだと思います。 でも日本では、アメリカの流行り廃りがリアルタイムに入っていた訳じゃなかったため、少し時代遅れのものでも、最新のものと同列にカッコいいものとして扱っていたのかと思います。 アメ車('50年代)とロック('80年代)がゴチャ混ぜの変な街が、日本人が思い描く『格好いいアメリカ文化』そのものだったのかもしれません。 このレトロでお洒落でカッコいい路線は、アメリカでもバットマン('89)で大成功するので、この映画は、ちょっと時代の先を行っていたんでしょうね。[地上波(吹替)] 7点(2024-05-13 00:19:30)《改行有》

53.  戦場のメリークリスマス 《ネタバレ》 “Merry Christmas, Mr. Lawrence”『ローレンスさん、あなたに祝福を。』 …思いっきり意訳ですが、今回改めて観て、こんなニュアンスじゃないかな?と感じました。 何だか不思議な映画ですよね。いろんな解釈ができそうで、名作なんだか駄作なんだか判断に迷います。ただ私は好きですこの映画。 そして音楽が良いですね。メインテーマはもちろん神曲ですが、“The Seed and the Sower”(1:30~)も負けじと名曲です。この映画が好きな理由に、神がかってるシーンが幾つかあって、そのシーンには必ず上の2曲が入ってます。 クリスマスとは縁遠そうな早朝のジャワ。ヤシの木の下を歩く軍服の男2人・ハラとローレンス。ここにメインテーマを被せる。このチョイスが素晴らしい。 脱走するセリアズの前にヨノイが現れ軍刀を抜く。『セリアズを斬りたくない』って表情に出てるのがもうたまらない。“The Seed~”の入り具合が完璧です。 酔ったハラ軍曹「ローレンスさん、ファーザルクリースマス。ご存知かな?」この時のハラさんの『合ってるのかな、意味通じてるかな』って表情が最高。俘虜なのに“さん付け”で呼ぶのが、平時のハラの人柄を感じさせて良い。「今夜!ワタシ!ファーザルクリースマス!」拙い英語に気持ちが感じられます。 ヨノイにキスするセリアズ。奇跡のスローモーション。あれ偶然撮れたそうで、そんな奇跡もあるものですね。そしてセリアズの髪を斬り敬礼するヨノイ。共に“The Seed~”が掛かります。 最後のハラのアップ「メリークリスマス!メリークリスマス!Mr.ローレンス」。 想像ですが、ハラとローレンスのシーンで掛かる“Merry Christmas~”は西洋(イギリス)の神を、セリアズとヨノイのシーンで掛かる“The Seed~”は東洋(日本)の神をイメージした曲じゃないでしょうか? 私はこの映画を、セリアズの中に神を見たヨノイ。ハラの中に神を見たローレンスという2つの話と解釈しました。 ヨノイは収容所の長。あの狭い世界では王のような存在です。2・26事件に参加できず、死に場所を失って今に至ります。神になり損ねたんですね。当時から話題のメイクは、ヨノイが『バッチリ化粧をした軍人さんだった。』という意味ではなく、美しい神でありたい、ヨノイの心の内側を視覚的に表現したのが、あのメイクだったんでしょう。なのできっと『メイクはオカシイ』なんて悪評が出るのも、大島監督は織り込み済みだったと考えます。 そんな収容所にセリアズが現れます。彼は処刑を恐れ、過去の弟との関係を後悔して生きる、普通の人間です。だけどヨノイから見て、(心に)メイクなどしなくても美しく、常に毅然とした態度のセリアズは、西洋の神そのものでした。 カネモトとデ・ヨンが死に、ヨノイは全ての俘虜に行(ギョウ)を強要。一方セリアズは花と盗んだまんじゅうを与えます。東西の文化の違いであり、神が民に与えるものの違いでもあります。 セリアズたちの脱走の際、ヨノイは遂に死に場所を見つけました。死んで軍神となりたい。そんなヨノイを見透かすように、セリアズはナイフを捨てます。ヨノイはここでも死ぬことが出来ませんでした。 遂にヨノイは俘虜全員を集合させ、重病人を死なせ、命令を聞かない俘虜長を斬り殺そうとします。セリアズっは身を挺して俘虜長を守り、ヨノイに博愛のキスをしました。ここでヨノイはセリアズの中に本物の神を見て、自分は神にはなれないのだと思い知らされました。 ハラはこの小さな世界では生殺与奪を与えられています。朝鮮人のカネモトを処刑しようとし、無線ラジオの件ではヨノイの判断を仰がず、独断で真犯人のチョウ?(と聞こえる)を処刑し、ローレンスたちを釈放しています。そんな勝手な事をして自室謹慎だけで済まされてます。そのためセリアズがヨノイにキスする場面は観ていません。 首から数珠を下げ、お経を唱える熱心な仏教徒のハラが、酒に酔って「ファーザークリスマス(イギリスのサンタの呼び方)」と、異教徒の神を名乗っておどけてみせます。立場は違えど友情を感じているローレンスへの好奇心から、彼らの信じる神がどんな存在か調べたのかもしれません。 処刑の前日、面会に来たローレンスに、ハラは流暢な英語で話します。好奇心の強いハラは、イギリスの文化と言葉を勉強していました。 そして別れ際、ローレンスの「Goodbyeハラさん、God bless you(あなたに神のご加護を)」に対し、ハラは「ローレンス!」と呼び止めます。『ローレンスさん、あなたに祝福を。祝福を。』ハラが思う最上級の贈る言葉。この時ローレンスはハラの中に本物の神を見ます。 …こんな解釈で、どうでしょう?[地上波(字幕)] 7点(2024-02-21 01:17:58)(良:1票) 《改行有》

54.  男はつらいよ ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 シリーズ42作目。タイトルが『寅次郎の◯◯』とかじゃない本作。男はつらいよのスピン・オフ感が強くなっています。主役は満男。浪人生として今後の人生に不安だらけで、バイクで現実逃避しながらも、好きな女の子を思って悶々としてる満男。タイトルがタイトルだけに、観る前は『満男が主役かぁ…』なんて思っていたけど、意外なことに見応えは充分にあって、かえって寅の魅力が引き出された一作だったと思います。 正直『カッコいい寅が観たければ本作』と言っても良いくらい格好良かったです。「なんだオイ、酒の飲み方から教えなきゃなんないのか、まったく…」どぜう屋で教える酒の呑み方。あぁこういう大人と呑める若者は幸せだわ。「イッキイッキイッキ!」寅とは真逆の無粋な飲み方をする若者たち。実際、一気飲みで亡くなった人も話題になった時代でした。 この後のくるまやのひと悶着は、前段で諏訪夫婦の気持ちもきちんと書いているため、どちらの気持ちも伝わって痛ましい。取っ組み合いで息子に手加減されたのが判った時の博の悲しさ。上手い表現を使うわ。 いつもの寅さんと違い、本作は満男のロードムービー。バイクにゴクミ、当時の若者の流行りはキチンと抑えているけど、平成に入って2作めだけど、でもやっぱり絵面はまだ昭和。寅さんらしくないけどホモネタは、私は大爆笑しました。笹野さん何でもやるんだなぁ。あとどぜう屋で出てきた戸川純が、懐かしくてとても可愛い。おばちゃんの「私の手料理じゃナウくないんだってさ」うん。この当時『ダサい』って言葉の方が死語だった記憶があります。 泉の伯父の満男に対する苦言。本人が居ないところだし、黙って聞き流しても良いものを、一瞬間を置いて、穏やかな口調で満男の汚名返上する寅の格好良さは、シリーズで一番かもしれない。 公衆電話でくるまやに連絡する満男と寅。方やテレホンカードでピピーッピピーッと。方や10円玉でチャリンチャリンと。昭和と平成の違いを感じさせつつ、寅の掛ける電話の先にみんなが揃ってる、この最終回のような、世代交代のような演出。うん、寅さんはこれで最後と言われても納得の綺麗さです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-02-17 19:50:14)《改行有》

55.  君がいた夏 《ネタバレ》 “Stealing Home”『ホームスチール』。このタイトル、観た人は「おぉ!?」ってなりますよね。ビリーには様々なドラマがあって、過去に呼びもどされて、家に戻っていくのです。 この映画、20代の頃に一度観てますが、もっと歳を重ねた今の方が心に滲みました。地元を出て、慣れない土地で頑張ってる人は、更に感じるものがあるかもしれませんね。今回の帰省の目的が従姉のケイティの死がきっかけ。ケイティーにも様々なドラマがあって、遺灰をビリーに託して生涯を閉じます。ずっと会っていなかったのに、もう会えないってなった時の寂しさって、何なんでしょうね? ロビン『私ももう38歳。普段と変わりない朝。初体験(たぶん)の男が、高校時代のユニフォーム着て立ってた。』こんな事が実際に起きたら、脳みそグルングルンなりますよね。でも本筋はビリーとロビンの恋じゃないので、娘が玄関開けて、ロビンはシャワー後のすっぴんで、恥ずかしいって思う間もなくあのペンダント返してって展開が見事です。 この時のロビンの言葉「立派になったわね」高校のユニフォーム着た38歳のオッサンにこの言葉。ビリーがプロ入りした時から、ずっと言いたかったんでしょうね。面と向かってやっと言えたこの感じが素敵じゃないですか。手渡しじゃなく首に掛けてあげるのもいい。 遺灰を撒くシーン。20代の頃の初見時は『あ~ぁ、せっかく感動のシーンなのに、風に戻されちゃってるよ…』って思いました。だってあのくらいのシーンなら、幾らでも撮り直しは出来たはず。そうしなかったのは、あれが正解だったからなんです。 38歳の大人なら、波打ち際で丁寧にサラサラと灰を撒いたでしょうが、遺灰持って桟橋を駆けるシーン見てください。ガキンチョみたいな満面の笑顔。ビリーが高校のガキに戻って遺灰をバラ撒くんです。大事なものの扱いが雑で当然なんです。 ガキの頃のビリーといえば、ケイティーにもらった一生のお守りをロビンにポイとあげちゃうヤツ。でもケイティーは許した。ビリーの満足そうな笑顔をみて、ケイティーはやっぱり許すでしょう。『どうして風向きとか考えないの!散らばっちゃったじゃない!…でも、やっとペンダントを取り戻したわね。』って。 ノスタルジー全開。ひと夏の思い出映画を、極寒の2月に観てしまいました。割と知名度は高い映画だと思うけど、2014年を最後に10年間レビューがないのも、過去を呼び覚ますこの映画らしいかな?って思いました。そんな久々のレビュワーが、私なんかでいいのかしら?とも。[ビデオ(字幕)] 7点(2024-02-12 11:49:19)(良:1票) 《改行有》

56.  マルサの女2 《ネタバレ》 前作から僅か11ヶ月で、このクオリティの続編を創ってくるところがもう化け物です。 巨大な蟹をムシャムシャ食う政治家たち。地上げと開発が進む都心。湯水のようにお金が湧いてくる新興宗教。このギラギラした空気がバブル真っ盛りの日本を象徴しています。 いきなりですが、伊丹作品の宮本信子の演じるヒロインのなかで、本作の板倉亮子が一番可愛いんじゃないでしょうか?前作よりずんぐりしてるように観えるのは、当時の流行りのワイドパンツだけでなく、髪の毛量が増えてるのと、やや胸が大きくなってるみたいです。気になる方はもう一度観比べてください。ヤクザ事務所の屋根に登って盗聴している亮子も可愛いけど、資料庫に向かうとき、誰も観てないところでバレエっぽいポーズ取る亮子がもう最高に可愛くて。 ただ、惜しいと思うところが、本作の亮子は常に公人=マルサの女の一面しか出ていないところです。前作にあった息子の大ちゃんとのやり取りや、権藤との仕事外のふれあい。そういった息抜きな一面がないため、常にピリピリした作品になってると思います。 愛車をマイティボーイからホンダZの改造車なんてマニアックな車にしたところから、マルサの亮子にプライベートの時間がない(遊べないから趣味の車に走る)ことを表してたのかもしれません。 また敵が巨大になりすぎたため、もう知恵と根気だけじゃ全てを解決できなくなってしまったのも、スッキリ出来ない部分かと思います。チビ政を襲う鉄砲玉はともかく、鬼沢の始末にスナイパーを使うのは、とかげの尻尾切りとしては解りやすいけど、リアリティが犠牲になった気がします。 流石は伊丹監督で、物語はキチンとまとまっています。でも地上げと新興宗教は一緒の回にしないで、それぞれをもう少し掘り下げて、別な作品にしても良かったかもしれません。地上げのあの手この手のイヤガラセは描かれていましたが、新興宗教部分は、お布施の名目で金品を搾り取られる信者などを描いても面白かったと思う。鬼沢一家や教団が、その後どうなったかも気になるところ。 あまりプラスの感想を書いてませんが、当時の伊丹監督のパワフルさを味わえる、クオリティの高い作品です。[地上波(邦画)] 7点(2024-01-31 20:32:07)《改行有》

57.  アウトサイダー(1983) 《ネタバレ》 “The Outsiders”部外者とかかな?って思いつつ、『非認可の組合』って意味もあるそうで、劇中の不良グループ『グリース』に『ソッシュ』を表してるんじゃないかなぁ?なんて、思いました。 子どもを脅す場面が印象的で、こうして小さな子供の頃から、グリースって組織が町の裏側を牛耳ってるんだって印象が浸透していくんだなって思いました。 現代劇なんだけど、公開当時からどこか懐かしさを感じさせる不思議な映画です。この時代の不良だとトゲトゲのパンク・ファッションとかだったろうに、出てくる不良が『理由なき反抗』や『ウエスト・サイド物語』の正常進化版のように素朴な不良って感じです。 (※訂正。あとから調べたら'60年代が舞台でした。そりゃ'80年代の子は『風と共に去りぬ』なんて読まないよな…) チェリーとの恋模様、ジョニーの家庭問題と悩みが多いポニーボーイ。相手チームの不良を刺し殺してしまう大事件が起きて、逃亡生活へ。この時のダラスの『頼れるアニキ感』がたまらなく痺れる。日常が一変してしまい、この先どうなるんだろう?と期待が高まります。食料買い込んで髪を切って染めて、少年2人の非日常生活が始まります。 ただ教会の火事から、殺人事件を含む諸々の問題が有耶無耶になってしまったように思えます。 グループの決闘『ランブル』に向けて盛り上がっていくところ。ポニーボーイとランディの車の中での本音トークはとても良かった。「今夜のランブルでも誰か死ぬかも」と、仲間にも言えない不安を共有する2人。 ランブルは思いのほか正々堂々とした乱闘でした。この物語の山場・見せ場として、殺人をキッカケとした闘いとしては、健全すぎるように感じました。仲間を殺された不満や鬱憤を、この一戦でチャラにしていいの?なんて思ってしまった。あとチェリーとのその後とか消化不良にも思えます。 でもステイ・ゴールドと夕焼けの映像の美しさが、若者のストーリーと言うよりポエムのようで、そう考えると起承転結とかどうでもよく感じます。 そして現代の不良としなかったことで、どの時代に観ても古臭さより懐かしさを感じさせる、タイムレスな映画になってますね。 ピンで映画の主役を張る若手俳優の揃い踏みは圧巻。今観るとみんな子供だなぁ。トム・クルーズは奇行が目立つようになった時と同じくらい落ち着きがなくて、この時からクスリを…じゃなくって、コレが彼の素なのかなぁなんて思いました。[ビデオ(字幕)] 7点(2024-01-27 10:47:44)《改行有》

58.  男はつらいよ 知床慕情 《ネタバレ》 シリーズ38作目。あれれ?夢オープニングじゃないぞ?寅の一人語りと桜が満開の江戸川の土手。そして語りの〆が「私の故郷と申しますのは、東京は葛飾柴又…」そう!東京って付いてるから、1作目の一番最初のナレーションを意識してのオープニング。 あぁ、本作が寅さんの最後って噂もあったのか。確かに、おいちゃんが肺炎で入院している。跡取りの寅は何してるんだって話をしてる。おばちゃんは「もう店辞めよう!」って騒いでる。そして三船敏郎がゲストで出てくるとなれば、最後の寅さんと言われても納得の布陣。 本作の本流は獣医の先生と、はまなすママの恋愛模様です。'80年代に入り、もう若くない寅は、若者の恋をサポートすることは多くなってきたけど、熟年の恋をサポートするというのは、意外性としても面白い試みだったと思います。 常に難しい顔をしてた先生が、その難しい顔のまま、勇気を振り絞ってママに告白するシーンは、とても手に汗握る展開で、ある意味微笑ましく、そして知床の風景に負けないくらい爽やかでした。 舞台はほとんど“This is知床”の斜里町。観光名所も多く、カラッと爽やかな斜里の風景がじゃんじゃん出てくる。ご存じの方もいるだろうけど、劇中何度か歌われる『知床旅情』って、斜里の裏側、観光地化があまり進んでない漁師町・羅臼町の歌です。 斜里の自然描写が多いぶん、割りを食ったのが、寅とマドンナりん子との恋愛模様だったのかもしれません。二人の関係が終わるところも、船長の語りで済まされてしまいました。 ところで、りん子はどうしてまた東京に出てきたんでしょうか?東京にはあまりいい思い出はなく、知床で暮らしたほうが幸せだったんじゃないかと思うところ。もし本作が最終回だったら、寅とりん子の今後を、もう少し匂わすカタチで終わっていたのかもしれません。だから、東京に出てきたのかな?って。 何せ竹下景子は3度も別人マドンナをしたくらいだから、リリー/浅丘ルリ子とは別な意味で山田監督のお気に入りだったんでしょう。 本作が最後でも納得の内容でした。でも一本の映画としては完成度が高く、寅という一人の男の物語の最後としては、少し消化不良だったんでしょうか?何より寅が大きな恋をしないで終わるというのは、ちょっぴり寂しかったのかもしれませんね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-18 22:41:53)《改行有》

59.  キャノンボール 《ネタバレ》 “The Cannonball Run”訳すなら砲弾レースでしょうか。'70年代にアメリカで実際に開催された、非合法の大陸横断レースの映画化です。公道を警察に捕まらないように工夫しつつ、ゆる~くゴールを目指すレースで、同様のレースは'80年代以降も開催されていたけど、回を重ねる毎に、スピードとテクニック重視の、いわゆる“しょっぱい内容”になっていったようです。 映画は同レース初期のコンセプトに沿っているため、正攻法のスーパーカーもあれば、忍者のようなハイテク四駆やボンドカー、警官が止めにくい救急車なんて各チーム工夫のあとが出てます。 子供の頃この映画が大好きで、ゴールデン洋画劇場で放送される度に観てました。ジャッキーがコミカルに活躍するのが嬉しいし、カッコいいムーア・ボンド本人が三枚目を演じるのもイイ。ドクターが顔は不気味だけどお茶目なところとか、キャプテン・ケイオスの登場シーンなんて、こういう明るいおじさん、子供は大好きなんです。 ピチピチ衣装の美女コンビ&黒いカウンタックの組み合わせが最高だけど、それ以上にノーブラ童顔のファラ・フォーセットがエロ可愛い。 スーパーカー、豪華俳優陣、セクシーな美女。オープニングからワクワクする要素が詰まりまくったこの映画。レンタルレコード(当時そういうのがあったのよ)で借りてもらったサントラをカセットにダビングして、あのオープニングをステレオ(ラジカセでしたが)で聞いたら、もうテンション爆上がり。 またエンディングののNG集が、撮影現場のゆる~い空気を感じさせてくれて、ホンワカしていい感じです。今回DVDを安く手に入れたところ、嬉しいことに吹替版が入っていて、懐かしい超豪華声優陣に感動してしまいました。アドリブ満載。意訳たっぷり。吹き替え現場もきっと、撮影現場並みにホンワカ・ゆる~く楽しく録ってたんでしょう。 あのカッコいい映画ポスターもゆるくて、何故か美女コンビのピンク(タラ・バックマン)の衣装を着たファラ・フォーセットが真ん中でババ~ンと…カウンタックも赤だし…もう見栄えが良ければ何でもアリです。 バート・レイノルズにはトランザムに乗ってほしかったけど、カッコいいJ.J.と明るいビクター、天然ボケのパメラと変態ドクター。レースより4人の珍道中がメインなので、この映画では救急車で正解でした。当時は気が付かなかったけど、J.J.ほとんど運転してないのね。9割ビクターが運転してたわ。 ジャッキーは「ニホンの~イチバンの~カーレーサー」です。ジャッキー&日本車と言えば三菱のイメージだけど、本作ではハイテク装備のスバルレオーネ。あんな小さい車体に四輪駆動って、当時はまだ珍しい先端技術だったんですね。 最後まで三枚目のボンド。画面に出る度に助手席のボンドガールがコロコロ変わってるのが芸が細かい。「すご~い!私がジョージ・ハミルトンの車に乗ったなんて!!」を吹替版では「ショーン・コネリー」に変えてるのがもう100点満点! 思い入れたっぷりだから映画は7点!サヨナラ~!バイバイ!![地上波(吹替)] 7点(2024-01-05 12:56:52)《改行有》

60.  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ32作目。夢の中のニセ寅を観て、この人知ってるけど、誰だっけ?ってなったわ。あぁレオナルド熊か、懐かしい。 博のお父さんの墓って話が出たとき全然ピンとこなくて。あぁ、“ん゛ん゛一郎”さん亡くなってたんだ。その作品のみの登場人物で亡くなった人はいたけど、過去に出た人で亡くなったのって、飃一郎さんが初かなぁ?でも三回忌の年のお話として、湿っぽくならない創り方が上手い。 坊主に扮する寅。どんなミスするかワクワクしてたら上手いこと乗り切ってしまうのが逆に面白い。お経をどう乗り切ったか不明だけど、その後の御法話に人相の啖呵売を混ぜるのがさすが。その後の飃一郎の法事は思い切った悪ノリっぷり。青い顔のさくらと困ってる博。「兄さん」「「ん~??」」に吹き出してしまったわ。 当時の杉田かおるは、ホントあどけなくて可愛い。ひろみが寅に相談した後、滑って落っこちそうになるシーンの、二人の動きの大きさが名人芸。精一杯のおしゃれをして東京に出てくる姿もまた可愛い。この当時の杉田かおるの作品をもっと観たかったけど、本作以降しばらく映画には出て無いそうで、後から知った芸能界の闇が怖い。キスシーンはあったけど、そこから先はおいちゃんにストップさせたのが、山田監督による彼女の使い方の良心に思えたわ。 竹下景子の“町で評判の美人”っぷりが良い。表向きの顔と、父との会話からチラチラ観える内面が彼女の魅力を引き出している。 とらやに来た朋子が積極的で、これだけ自分の気持ちを出してくれる中、柴又駅での延長戦は手に汗握った。距離を置くさくら。『頑張れ寅!ここは頑張れ!』って応援してしまった。佃煮だのと逃げ道を探す寅にヤキモキしながら、あぁ、冗談にしてしまうのか。と落胆。東京駅で更なる延長戦もあるのか?って思ったところの試合終了。さくらの横を素通りせず「ヘヘへ…と言うお粗末さ…」と言い出す寅の背中が切ない。 タコ社長と博の経営方針の違い。飃一郎の死。一道が持つひろみの写真はカラーで、寅が持つ朋子の写真はモノクロ。世代の違いと時代の流れを感じさせる一作でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-17 14:09:46)《改行有》

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