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41.  男はつらいよ 寅次郎の告白 《ネタバレ》 シリーズ44作目。満男中心の物語に世代交代って印象の本シリーズですが、今回はきちんと、寅の物語に戻っていたと思います。“ 満男と泉の寅との触れ合い”とでも言うのか、寅を観たい層も満足出来る創りに思えました。 一人旅で心細い泉の、偶然立ち寄った駄菓子屋のお婆ちゃんとの触れ合いなんてホロリとさせるし、そこに偶然寅が現れて溜め込んだ気持ちが爆発するのは納得するし、その後三人で酒宴になるのも、場の和ませかたが、寅の本領発揮って感じでとても良かったです。 「ママを一人時の女性としてみることが出来ないのは、私の心に何かイヤらしい汚いものがあるから」この話は前々作の満男の語りと繋がってる。そして寅の告白、さくらとは腹違いの話。重たい話をこうもサラッと言える寅がカッコいい。 今回は満男が、寅の若い頃みたいな“バカ”をよくやります。階段から砂丘から、コロコロ転がってます。額を打った時は、やりすぎなくらい出血してます。寅が大人しくなったぶん、満男がバカをやるって役割分担なんでしょう。 マドンナの聖子がまたイイ女で、フワフワした雰囲気がとても可愛らしい。過去に結婚を考えたほどのマドンナが未亡人として出てくる。体調の悪い渥美さんが、一目惚れするクダリを省略するためかもしれないけど、寅の秘められた過去話として、とても面白かったです。「い!今更そんな事言われてもなぁ~」満男が居なかったらどうなっていたんだろう?? さて満男と泉。3年掛かってやっと手を握るなんて、平成の若者にあるまじき進展具合。満男は無鉄砲に泉を追いかけ、泉は毎度正月には諏訪家にアポ無し訪問。寅のマンネリは大歓迎だけど、こっちのマンネリは、これ以上続くのはシンドいかも? ここ最近、柴又界隈やくるまやの出番があまり無くなって、たまに出てきても、なんだか時間が止まっているかのよう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-03-11 23:54:38)《改行有》

42.  グッドフェローズ 《ネタバレ》 “GoodFellas”『気の置けない奴ら』。日本のヤクザ界の『兄弟』っぽい意味でしょうか?男同士の友達に使われるようです。 マフィアが日ごろ遊んで、好き放題やって暮らしている訳ではなく、きちんと仕事をする対価として、一つ格上の上質な暮らしをしていることがよく分かる。上下関係やルールはもちろんあるし、イタリア系かそうでないかで出世出来るかも決まる。ヘンリーの立場はマフィアの中でもチンピラの部類だと思うけど、人気のレストランで予約なしに席を作ってもらえる立場というのは相当優越感を感じられそう。 ファミリー内での付き合いが多くて、やれ結婚式だのお祝いだのとパーティの連続。これって夏のBBQとか冬のスキー泊とか強制参加させられる、時間外の付き合いを強要するブラックな会社みたいで私には無理。インドア派の私はお家帰ってボーッとしていたいって思ってしまいます。 そして家族同然の付き合いをしていながら、殺し殺されも日常に組み込まれている異常さ。警察の腐敗ぶりも、彼らが増長する原因になってましたね。 この映画といえばジョー・ペシ演じるトミー。この映画の印象がとても強くて、私の中ではジョー・ペシは、どこでキレるか解らない怖い男。トミーは仲間目線でも一般人目線でも、どの立場で鑑賞しても怖い。この映画の血生臭さはトミー絡みがほとんど。バッツ殺しが最後まで付きまとうのが、またマフィアの世界の怖いところに思えました。 だけどトミーのアクが強すぎて、ヘンリーは板挟み状態で右往左往するサラリーマンのようにも。これで真面目な性格なら(マフィアに真面目もクソもないが)良いけど、別宅に女囲ってるし、ボスに禁止されている麻薬に手を出すし、結局は自分が一番なところがクズらしい。で最後は証人保護プログラム。まるで借金して遊ぶだけ遊んで自己破産するダメ人間。エンディングのシド・ヴィシャス版マイウェイが印象深い。[ビデオ(字幕)] 6点(2024-03-11 23:02:06)《改行有》

43.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 “Crash”『衝突』。多数の登場人物が、さっきまで自分とは無関係だった人と衝突することで、様々な影響を受ける群像劇。 こういう、誰かの行いが、他の誰かに影響を与え、連鎖していく映画ってとても好きです。点と点がどんどん結びついていく快楽とでも言うんでしょうか?そして人間は誰しも多面性を持っていて、善と悪だけでは別け切らない部分も、うまく表現できていたと思います。 この一本の映画で、登場人物の連鎖が綺麗にまとまることはなく、劇中で全てが完結していないのも、たくさんの人物の中から一部を抜粋しただけな感じがよく出ていました。 この映画を観て思ったのは、アメリカでは他人を人種で区別することでしょうか。黒人、アラブ系、メキシコ人、アジア人。怒りをぶつける時は、本人には変えようのない人種の部分を攻撃する。まぁ、日本でも職業とか学歴とかでマウント取るような人、居ますものね。公開された時代の関係もあるけど、銃砲店でのファハドへの暴言は酷い。ダニエルの入れ墨を見たジーンの反応は、過剰ではあるけど気持ちはわかるかな。 魔法のマントは2回観て2回とも泣けました。ファハドには奇跡。奇跡には理由があるけど、それを言わないドリ。ドリが銃砲店のあの短い時間で、数ある弾丸の中から“あの”赤い箱を選んだのは、彼女の職業が深く関係していたことに、2回目で気が付きました。 トムがピーターを撃つ。普段善人なトムの裏の顔とも言えるけど、善人だからこそ、ああするしか無かったとも言えるなぁって。誰も見てないんだから正当防衛になるよう、ピーターを路上強盗に仕立てる小細工とかも出来たろうに。 次もう一度観たら、また新たな気付きがあるかもしれません。[DVD(字幕)] 8点(2024-03-11 20:31:42)《改行有》

44.  クレイマー、クレイマー 《ネタバレ》 “Kramer vs. Kramer”『原告クレイマー氏と被告クレイマー氏の裁判』。むかーし観た時は、夫婦の離婚ばかりに目が行っていたけど、その根底に女性の社会進出があったのね。夫サイドで話が進むから、いきなり離婚を切り出されたテッドが、今までやったことのなかったフレンチトースト作るのに悪戦苦闘する様子が、なんともコミカルに観えたっけ。自宅に連れ込んだ会社の同僚が素っ裸でビリーに挨拶するとこなんて、笑えるような、困ってしまうような…軽快なテーマソングも相まって、重いテーマだけどスルスル観られます。 今風に言うと、仕事と育児の両立がどれだけ大変かをシュミレートして観せる映画なんだけど、当時は“女の仕事(家事)を男がするのがどれだけ大変か”に重きを置いているように思えます。『女性が社会進出するっていうことは、男性が女性の仕事をすることですよ。』と。新規事業を任されるくらい、会社に期待されていたテッドが、育児が原因で結果を出せず、あっさりクビになるところも怖い。 映画を見る限り、ジョアンナが耐えられなかった部分、夫婦生活におけるテッドの落ち度が描かれません。突然、ビリーを置き去りに出ていって、ずっと音沙汰もなかったのに、今度は一方的にビリーの親権を取り戻そうと裁判を起こす。何とも身勝手に観えますが、テッド視点だからというのと、これほどの行動を起こさないと、女性からの離婚は難しい時代だったのかもしれません。 別居から離婚中の1年半ほどの間に、ジョアンナがどういう生活をしているかの描写はありませんが、彼氏が出来て、かなりの高収入で働いています。裁判の結果も『そうなるよな…』って思えます。 最後のフレンチトーストの手際の良さが印象的でした。私は本作を30年くらい前に観てたんですが、結末を思い違いしていました。判決通りジョアンナがビリーを引き取ったものとばかり… なので今回、ビリーの気持ちも理解できて『母親を失って、今度は父親と家を失うのか』と可哀想に思っていたところ、ジョアンナの選択。勝負に勝って試合に負ける。結末こうなってたんだと納得すると共に、自分の記憶のあやふやさに苦笑い。 この映画の主題は、離婚のゴタゴタより、当時の女性の社会進出が進んだ結果のシミュレートを、女性に観せるのが目的の映画なんじゃないか?と思いました。男の方が出て行き、残された女が子供を抱えて苦労する話は、いつの時代もあったと思います。今回は逆で、女が出て行きます。 結果的にジョアンナ・クレイマーは、自由を手にする代わり、クレイマー姓で積み重ねた数年間の全てを失います。突然育児を押し付けられたテッドは、最初は悪戦苦闘するものの、最後は手際よくフレンチトーストを焼きます。つまり『大変だけど男にも育児は出来るんだよ』と。乱暴な言い方をすると『離婚したら女は全部を失うよ?それでも良いの?』と。当時のフェミニストは、この映画をどう観たんでしょうか?[ビデオ(字幕)] 7点(2024-03-11 17:02:59)(良:1票) 《改行有》

45.  龍拳 《ネタバレ》 “Doragon's Fist(龍拳)”『龍のこぶし』。劇中主人公の拳法が『龍拳』と呼ばれる描写はないので、拳精に出ていた龍の拳と同類かどうかは解りません。どちらかと言うと中国=ブルース・リー=龍…のイメージをジャッキーに背負わせるよ。って、そういう意味での龍でしょう?おそらく。 アメリカのウェスタン、日本のチャンバラに並び『香港のカンフー映画のスタンダードって、こういうのだよ』って万人のイメージ通りに仕上げた、正当派カンフー映画といえる作品です。なのできっと、正統派ウェスタンが苦手な人なんかには、同様に苦手な作品かもしれません。道場同士の縄張り(覇権?)争いに用心棒として雇われて…なんて、けっこうウェスタンでありそうな展開です。 ジャッキーなのにコミカル要素を一切排除しているのは異例で、出だしも結末も重たいです。だけど主人公ホオウァンの性格は、ふざけないだけで他作品のジャッキーと同じく、温かみのある青年役で、『こんなのジャッキーじゃない!』なんて違和感はありません。 数年間溜めに溜まったホオウァンの怒りが、ジョンの今の姿を見ても収まりきらず、アイ一家の用心棒として、百忍道場の門下相手に暴力を振るうのを容認するのは、とても人間らしく思います。 あ、そうそう、ジョンが作った金ピカの『唐山道場』の看板の登場シーンだけは、唯一笑えました。 しかしこの時代の中国の道場って、いまの拳法道場なんかと同じとは思えない。今で例えるならどんな組織なんでしょうね?マフィア?警察?国?アイ一家、百忍道場の門下生を皆殺しだから…やっぱマフィアかなぁ?じゃあホオウァンの所属する唐山道場もマフィア?うぅ~ん…よくわからん。 最後、劇中あまり目立ってなかったトンファー使い(アイの弟らしい)との闘いがメインなのと、百忍道場全滅の一歩手前で種明かししちゃうのは、強引だなぁ…テクサ ドラゴンフィス トゥサーバーイ♪[地上波(邦画)] 5点(2024-03-02 13:35:55)《改行有》

46.  男はつらいよ 寅次郎の休日 《ネタバレ》 シリーズの43作目。寅さんは本作から年1回、お正月のみの上映になったそう。渥美さんの体調不良のためで、映像を観る限りでは、まだまだ元気そうに観えます。もう完全に満男と泉の恋物語で、寅は脇役になってます。シリーズ初の、前作からの明確な続き話となっていて、寅率を薄めて満男率を高めた結果が本作です。前作『ぼくの伯父さん』からは作品内の世代交代として、上手にバトンタッチが出来ていたと感じましたが、本作から感じたのは足止め感でした。 作品内の世代交代(寅→満男)を狙う反面、本作が、古いファン向けなのか、新しい客層向けなのか、どちらの層に向けた作品かが、中途半端に思えました。作品の中心は若者の恋だけど、いつもの寅さんを観に来た古いファンはあまり興味ないと思うし、新しい層はオープニングの夢に古臭さを感じたことでしょう。 前作から1年も経っていて、あの若さでどっち付かずの交際が続いていて、二人の仲は相変わらず表面上の付き合いに感じるし、以前満男が感じてた「汚さ」もどこかに消え去った感じがして、なんか引き伸ばされてる感じです。 引き伸ばしと言うと、車窓の景色とかお祭りの山車とか、風景映像が普段より多めに感じられたのも、ドラマが少なく感じた要因の一つかもしれません。 ダブルマドンナも前作と同じ顔というのも工夫が感じられません。せっかく宮崎美子が出ているのに、完全に脇役なのも残念。前作の戸川純と同じポジションだったのかな。体調的に寅の恋をじっくり描くのが厳しかったにせよ、礼子と寅の距離を縮める手段として、寝台車でも旅館でもお酒を入れて触れ合わせるのは、あまり褒められた筋書きとは思えません。礼子はスナックのママなので、仕事の延長にも観えてしまいます。 博とさくらが、たった1作で付き合って結婚して子供を産んだ事を考えると、全然進んでない満男の恋と、寅とスナックのママとの触れ合い。この時の制作陣は『男はつらいよ』というシリーズの延命を意識しすぎていたのかもしれません。 本シリーズは、渥美さんの人生そのものだと思うから、続けることはもちろんですが、一つの作品を大切に創ることも大事な事だと思います。[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-02-26 14:34:44)《改行有》

47.  エレファント・マン 《ネタバレ》 “The Elephant Man”『象男』。本作が日本でヒットした要因の一つとして、今と比べて、人権意識がまだまだ未熟だった当時の時代背景があると思います。 私が子供の頃、夏祭りのお化け屋敷の隣に見世物小屋がありました。小屋の入口の隣に、上半身裸のお姉さんが背中を向けて座っていて、マイクを持った興行主が、彼女が生きたニワトリを食べるとか何とかって、啖呵を流してました。小屋の中には牛と人のアイノコ『牛女』や、蛇を食べる『蛇女』なんかもいるそうです。興味はあったけど、正直怖いのと親と一緒なのとで、見せてはもらえませんでしたが… まだそんな時代に公開された本作。当時はホラー(恐怖)映画にジャンル分けされていたと思います。珍しいモノクロ映画。ポスターの不気味な布を被った人物。テレビでは倒されて悲鳴を上げる少女と迫りくるエレファントマンの映像(CM?)が流れ、頭巾の下にはどんな恐ろしい素顔が隠れているのか?って方向で宣伝されていたと思います。 また後年『マイケル・ジャクソンがエレファント・マンの骨を買おうとして断られた』なんてゴシップも独り歩きして、子供にも関心の高い映画でした。 初見はテレビのロードショー。思っていたのと違う内容に、下衆な好奇心は消え去り、彼の容姿の不気味さより、今まで置かれていた環境の悲惨さ、彼の豊かな感性と世間の残酷さから、「ジョン・メリック可哀そう」に変わっていきます。 彼の心の美しさと、トリーヴス先生や婦長さん、ケンドールさんの献身的な行いに暖かさを感じ、バイツや夜警の男に怒りを感じました。 当時、本作をホラーに分類するのは、メディアの悪ノリにも思えますが、ホラーだと思って観たからこそ、内容から受けるショックと感動が大きかったように思います。それは見世物小屋でトリーヴス先生が初めて彼を見て、一筋の涙を流すのに似た感覚を、私も味わえたのです。今振り返るとメディアのファインプレーじゃないでしょうか? 彼を取り返そうとするバイツにトリーヴスが言う「他の人間の不幸を利用して儲けてくれ」という台詞に、見世物小屋の小人が言う「俺たちみたいな人間には運も必要だ」という台詞が答えになっていて、とても現実的に感じました。 トリーヴスたちの行いは偽善なのか?見世物小屋に来る大衆と、病院に彼に面会に来る著名人、夜警に金を払って見に来る連中、劇場で彼に拍手を送る観客は同類なのか?世間という見えない存在が、彼をどう思うかでなく、彼自身がどう思うかが大事かも。 同じ見られる存在にしても、見世物小屋と舞台女優は違います。ジョン本人が会うこと・見られることを望むか望まないかが大きな違いです。 難しいテーマですが、彼はトリーヴスに助けられ、人間らしく生きる権利、自分で選ぶ権利を得たことが重要に思います。 でも彼は、夜警が自分を見世物にしても助けを求めない。彼が選ぶのは自分をどうするか?だけで、他人にどうしてほしいなどは望みませんでした。 そんな謙虚な彼が唯一他の人に望んだこと、駅で追い詰められた時「僕は人間だ」と叫ぶ姿が心に突き刺さります。 彼が最後に選んだのが横になって寝ることでした。聖書を愛読した彼が自死を選んだとは考えにくいですが、もし目を覚ますことがなくても後悔はない、そんな決意での就寝は、悲しくも幸せな結末でした。[地上波(吹替)] 8点(2024-02-26 14:12:13)(良:1票) 《改行有》

48.  クイック&デッド 《ネタバレ》 “The Quick and the Dead”即死…かと思いきや『生者と死者』って古い言葉の使い方でした。 西部劇の決闘を、1対1の生き残りトーナメント形式(正しくは何て言うんだろう?)にした本作。ちょうど世界的に格闘ゲームが流行ってた時代、決闘開始前にそれぞれの個性がしっかり紹介されてるから、どっちが勝つのかワクワクして観られました。 そして“女ガンマンが主役のウェスタンもの”というのも他に思いつく作品がなく、かなり印象深い映画です。 あんな砂だらけの荒野なのに、シャロン・ストーンがピシッと綺麗。どうしてドレスなんか持ってるんだ?なんで日焼けしないの?なんて細かい事は言いっこなしです 。 何より主演男優賞俳優3人は豪華。しかもクロウもディカプリオもまだ大ブレイク前。なのに作品のキーパーソンとして起用しているのは、サム・ライミ監督の先見の明かもしれません。 日曜洋画劇場か何かで観た時は、漫画チックな演出と、どっちが勝つのか?どうやって勝つのか?って、結構ワクワクして観た記憶があります。今回2度目で、筋書きがある程度記憶にあったため、安心して観ていられました。言い方を変えると初見時が一番楽しめる映画とも。 『対戦して生き残ったほうが勝ち』。いきなり第2試合からルール変更。結構美味しいコンテンツでシリーズ化も狙えたろうに、これじゃ続編を創れません。登場人物死んじゃうから。無理して創るとハイランダーみたいになったでしょう。逆に言えば、思い切りよく、この一作で出すモノ全部出し切ったとも言えます。 シャロン・ストーンの勇ましさとチラ見せの美学。脇を固める俳優陣の豪華さ。安直だけど他に思いつかない設定。スピーディーな展開。 やることのない休日に観ると、良い暇つぶしになると思います。こういう映画を創るのも才能ですよね。[地上波(吹替)] 6点(2024-02-24 12:05:58)《改行有》

49.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 “Le Grand bleu”『雄大な青』。日本では公開当時“Great ”とし、アメリカでは“BIG”にしてます。グレート・ブルー当時大流行しましたね。それが数年後グラン・ブルーに名を変えてリバイバル上映。私はどちらもきちんと観ること無く現在に至りましたが、ジャック・マイヨールとかエンゾとかって名前は知ってるくらい、知名度の高い映画です。 父親の事故のシリアスさから生真面目な映画かと思いきや、コメディ要素も入っていて、リュック・ベッソンらしいなって思いました。 振り返ると『あ、この子ジャン・レノの子供時代だな』って一発で分るのも面白い。ジャン・レノってどの映画でもジャン・レノですね。 ジャイアンとのび太の友情スポ根ものかとも思いましたが、それ以上に海への愛が異常なほど強いですね。登山家とかもそうですが、命を懸けてまで未踏の領域を目指す気持ちって、どこから産まれるのか? イルカへの愛も強く感じます。イルカと心を通わせられるジャック。イルカを家族として写真を持ち歩き、イルカに似た女性(言われてみれば似てるかって思いました)を好きになる。ジョアンナとの初めての夜、寝てる彼女放っぽって一晩中イルカと遊ぶなんて『そこまで・・・』って思ってしまいます。余談だけど日本チームが滑稽に描かれてるのは、やっぱクジラとか食べるからかなぁ? ジャックの海愛・イルカ愛は、人魚姫の逆バージョンのようにも思えますが、父親が危機たときに、いち早く状況を察知したのも、彼にはソナーのような能力があるんでしょうか。安直な言い方をすると『丘で産まれたイルカの物語』ですかね。 子供の頃の海の夢は、命懸けで浮上する怖い夢に見えましたが、エンゾを見送った後は夢の中のほうが居心地が良さそうです。何時からか(最初からか)、「海底は怖い、上がってくる理由が見つからないから」と。そんな感覚は私の理解を超えますが、この映画を観ていると、何となくですがその気持が(私には理解できないってことが)わかるような、そんな気がします。最後ジョアンナの話も聞こえてるのかどうか…イルカに誘われて向かう深海は、私には真っ暗闇に観えましたが、ジャックにはきっと雄大な青に映っているんでしょう。[DVD(字幕)] 6点(2024-02-24 11:21:21)《改行有》

50.  戦場のメリークリスマス 《ネタバレ》 “Merry Christmas, Mr. Lawrence”『ローレンスさん、あなたに祝福を。』 …思いっきり意訳ですが、今回改めて観て、こんなニュアンスじゃないかな?と感じました。 何だか不思議な映画ですよね。いろんな解釈ができそうで、名作なんだか駄作なんだか判断に迷います。ただ私は好きですこの映画。 そして音楽が良いですね。メインテーマはもちろん神曲ですが、“The Seed and the Sower”(1:30~)も負けじと名曲です。この映画が好きな理由に、神がかってるシーンが幾つかあって、そのシーンには必ず上の2曲が入ってます。 クリスマスとは縁遠そうな早朝のジャワ。ヤシの木の下を歩く軍服の男2人・ハラとローレンス。ここにメインテーマを被せる。このチョイスが素晴らしい。 脱走するセリアズの前にヨノイが現れ軍刀を抜く。『セリアズを斬りたくない』って表情に出てるのがもうたまらない。“The Seed~”の入り具合が完璧です。 酔ったハラ軍曹「ローレンスさん、ファーザルクリースマス。ご存知かな?」この時のハラさんの『合ってるのかな、意味通じてるかな』って表情が最高。俘虜なのに“さん付け”で呼ぶのが、平時のハラの人柄を感じさせて良い。「今夜!ワタシ!ファーザルクリースマス!」拙い英語に気持ちが感じられます。 ヨノイにキスするセリアズ。奇跡のスローモーション。あれ偶然撮れたそうで、そんな奇跡もあるものですね。そしてセリアズの髪を斬り敬礼するヨノイ。共に“The Seed~”が掛かります。 最後のハラのアップ「メリークリスマス!メリークリスマス!Mr.ローレンス」。 想像ですが、ハラとローレンスのシーンで掛かる“Merry Christmas~”は西洋(イギリス)の神を、セリアズとヨノイのシーンで掛かる“The Seed~”は東洋(日本)の神をイメージした曲じゃないでしょうか? 私はこの映画を、セリアズの中に神を見たヨノイ。ハラの中に神を見たローレンスという2つの話と解釈しました。 ヨノイは収容所の長。あの狭い世界では王のような存在です。2・26事件に参加できず、死に場所を失って今に至ります。神になり損ねたんですね。当時から話題のメイクは、ヨノイが『バッチリ化粧をした軍人さんだった。』という意味ではなく、美しい神でありたい、ヨノイの心の内側を視覚的に表現したのが、あのメイクだったんでしょう。なのできっと『メイクはオカシイ』なんて悪評が出るのも、大島監督は織り込み済みだったと考えます。 そんな収容所にセリアズが現れます。彼は処刑を恐れ、過去の弟との関係を後悔して生きる、普通の人間です。だけどヨノイから見て、(心に)メイクなどしなくても美しく、常に毅然とした態度のセリアズは、西洋の神そのものでした。 カネモトとデ・ヨンが死に、ヨノイは全ての俘虜に行(ギョウ)を強要。一方セリアズは花と盗んだまんじゅうを与えます。東西の文化の違いであり、神が民に与えるものの違いでもあります。 セリアズたちの脱走の際、ヨノイは遂に死に場所を見つけました。死んで軍神となりたい。そんなヨノイを見透かすように、セリアズはナイフを捨てます。ヨノイはここでも死ぬことが出来ませんでした。 遂にヨノイは俘虜全員を集合させ、重病人を死なせ、命令を聞かない俘虜長を斬り殺そうとします。セリアズっは身を挺して俘虜長を守り、ヨノイに博愛のキスをしました。ここでヨノイはセリアズの中に本物の神を見て、自分は神にはなれないのだと思い知らされました。 ハラはこの小さな世界では生殺与奪を与えられています。朝鮮人のカネモトを処刑しようとし、無線ラジオの件ではヨノイの判断を仰がず、独断で真犯人のチョウ?(と聞こえる)を処刑し、ローレンスたちを釈放しています。そんな勝手な事をして自室謹慎だけで済まされてます。そのためセリアズがヨノイにキスする場面は観ていません。 首から数珠を下げ、お経を唱える熱心な仏教徒のハラが、酒に酔って「ファーザークリスマス(イギリスのサンタの呼び方)」と、異教徒の神を名乗っておどけてみせます。立場は違えど友情を感じているローレンスへの好奇心から、彼らの信じる神がどんな存在か調べたのかもしれません。 処刑の前日、面会に来たローレンスに、ハラは流暢な英語で話します。好奇心の強いハラは、イギリスの文化と言葉を勉強していました。 そして別れ際、ローレンスの「Goodbyeハラさん、God bless you(あなたに神のご加護を)」に対し、ハラは「ローレンス!」と呼び止めます。『ローレンスさん、あなたに祝福を。祝福を。』ハラが思う最上級の贈る言葉。この時ローレンスはハラの中に本物の神を見ます。 …こんな解釈で、どうでしょう?[地上波(字幕)] 7点(2024-02-21 01:44:44)(良:1票) 《改行有》

51.  グラディエーター 《ネタバレ》 “Gladiator”『剣闘士』。ですね。 巨大な闘技場で剣闘士が殺し合う。これもう、少年ジャンプの格闘漫画ですよね。私の世代はみんな大好きだと思います。主人公が普通の奴隷でなく立派な過去があり、暴君に家族を殺された復讐劇という勧善懲悪もの。戦いの舞台も、地方の小闘技場から中央の巨大コロッセオへ。自分や仲間もどんどんキラキラ装飾が増えていく。敵の甲冑も不気味なのから強そうなのまで。そんで戦車だ、寅だ、伝説の剣闘士だとグレードアップしていくのも、まさにジャンプの王道展開。優れた娯楽性です。 CGで表現の自由度が大幅に上がった、今からおよそ四半世紀前。本作以降、古代ローマ時代(とその近辺)を舞台とした映画が幾つか制作されていますが、この映画こそが知名度・完成度共にいちばん優れていると思います。 この年代辺りを頂点に、以降、猫も杓子もCGで創られるようになっていきます。それはそれでお金が掛かるんだろうけど、どんなに凄い映像でも『あ、これCG表現だな』って解ると、途端に安っぽく感じてしまいます。 本作ではコロッセオやローマ都市の俯瞰図といった、実物で再現できないものをCGで補っているのが解ります。そして昔ながらの実際に作られたセットに、豪華な衣装。本物の馬車に戦車に装飾品やら小物やら。つまり、メチャクチャお金が掛かってるのが感じ取れます。映画観るのにどうせお金を払うなら、CGのアニメじゃなく、ゴージャスな本物を観たいもの。本作はそんな欲求を満たしてくれます。 マキシマス将軍が家族の復讐を果たし、悪のコモドゥスを倒して、ローマに一筋の平和が訪れ、仲間の奴隷は故郷へと帰っていく。シンプルで良いですねぇ。ストーリーは創作部分がたっぷりで、本作を史実と比べるのは無意味だと感じます。本作をキッカケにイメージを膨らませて、史実に興味を持つのが正しい見方でしょうね。でもこの時代の人の名前って、長くてみんな似てて、難しいなぁ。[DVD(字幕)] 8点(2024-02-18 19:19:48)《改行有》

52.  男はつらいよ ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 シリーズ42作目。タイトルが『寅次郎の◯◯』とかじゃない本作。男はつらいよのスピン・オフ感が強くなっています。主役は満男。浪人生として今後の人生に不安だらけで、バイクで現実逃避しながらも、好きな女の子を思って悶々としてる満男。タイトルがタイトルだけに、観る前は『満男が主役かぁ…』なんて思っていたけど、意外なことに見応えは充分にあって、かえって寅の魅力が引き出された一作だったと思います。 正直『カッコいい寅が観たければ本作』と言っても良いくらい格好良かったです。「なんだオイ、酒の飲み方から教えなきゃなんないのか、まったく…」どぜう屋で教える酒の呑み方。あぁこういう大人と呑める若者は幸せだわ。「イッキイッキイッキ!」寅とは真逆の無粋な飲み方をする若者たち。実際、一気飲みで亡くなった人も話題になった時代でした。 この後のくるまやのひと悶着は、前段で諏訪夫婦の気持ちもきちんと書いているため、どちらの気持ちも伝わって痛ましい。取っ組み合いで息子に手加減されたのが判った時の博の悲しさ。上手い表現を使うわ。 いつもの寅さんと違い、本作は満男のロードムービー。バイクにゴクミ、当時の若者の流行りはキチンと抑えているけど、平成に入って2作めだけど、でもやっぱり絵面はまだ昭和。寅さんらしくないけどホモネタは、私は大爆笑しました。笹野さん何でもやるんだなぁ。あとどぜう屋で出てきた戸川純が、懐かしくてとても可愛い。おばちゃんの「私の手料理じゃナウくないんだってさ」うん。この当時『ダサい』って言葉の方が死語だった記憶があります。 泉の伯父の満男に対する苦言。本人が居ないところだし、黙って聞き流しても良いものを、一瞬間を置いて、穏やかな口調で満男の汚名返上する寅の格好良さは、シリーズで一番かもしれない。 公衆電話でくるまやに連絡する満男と寅。方やテレホンカードでピピーッピピーッと。方や10円玉でチャリンチャリンと。昭和と平成の違いを感じさせつつ、寅の掛ける電話の先にみんなが揃ってる、この最終回のような、世代交代のような演出。うん、寅さんはこれで最後と言われても納得の綺麗さです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-02-17 23:28:47)《改行有》

53.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 これは戦国時代を舞台とした怪談(オカルト・ホラー)映画じゃないでしょうか。この映画から強く感じたのは“恐怖演出の巧みさ”でした。寂しい荒野に建つ『蜘蛛巣城跡』の木碑、野太い声の男性合唱が不気味。木碑が霧に覆われ、巨大な城に変わることで、観ている者を戦国時代に導きます。『乱』でも圧巻だった重さを感じさせる城。騎馬武者が駆ける力強さ。足軽の走る音。黒澤監督の描く戦国時代表現は、今観ても臨場感がありますね。 冒頭部分の合唱は、鷲津と三木が蜘蛛手の森で迷った際の、老婆の枯れた声の独唱と対になっています。予言を残し、忽然と姿を消す老婆と小屋から、不気味な怪談話へと誘導されていきます。藤巻が自害した“開かずの間”の、血の跡の生々しさ。時鳥の鳴き声。浅芽の歩く衣擦れの音。 この、映画館(私は部屋だけど)から戦国時代へ、更に怪談の世界へと誘導する演出が見事です。 物語を極力単純にする(それでいて飽きさせない)ことで、観るものに余計なことを考えさせない。=現実に引き戻させない。黒澤監督は映画を観るものを、自然とその世界に入り込ませる技術に秀でていると感じます。 終盤、戦に備える両陣営の豪華さと、鷲津の演説に盛り上がる戦演出。鳥の大群が場内に入る不吉な空気と、気が狂った浅芽の怪演出。 最後は娯楽映画として、きちんと驚かせてくれました。有名な無数の矢衾の画は圧巻です。 鷲津の最後は、戦のいち場面でありながら、観るものに恐怖を感じさせ、蜘蛛手の森が動くのは、鷲津の目には怪(道理がない話)でありながら…。凄い。 本作では『“戯曲”に“能”を取り入れる』試みがされていて、開かずの間で密談する場面、鷲津と浅芽の、能面のような、まばたきをしない演出が映えます。 後年の黒澤映画では、役者の顔に寄らない、いわゆる“引き”の画が多くなるため、何か『芸術作品を観せられている』感が強くなってしまったように感じたけど、白黒映画時代の黒澤作品は“娯楽映画”として、単純に楽しめます。 今回DVDで鑑賞。字幕があることで台詞の理解が補強されました。[DVD(邦画)] 9点(2024-02-17 23:28:00)《改行有》

54.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 “American Hustle”『アメリカの詐欺師』。カンフーハッスルのハッスルですね。さぁ詐欺師の映画とくれば、最後どんでん返しで痛快に騙されるのが定番かと思いますが、私の集中力が足りなかったのか、どうにも波に乗れませんでした。 物語はプラザホテルのシークと市長の取引から始まります。取引を前に3人が揉めてます。でも理由はわかりません。 市長が出ていくとアーヴィンの回想、どうして彼は詐欺師になったかを振り返ります。そして愛人シドニーとの出会い、回想。奥さんロザリン登場。ディマーソ登場…市長の取引に戻るのは、始まってから48分辺り。おいおい、どうしてここから映画を初めたんだい? 最初の方しっかり観ていなかった私が一番悪いんだけど、最初に出ていたアーヴィン、シドニー、ディマーソの間にも騙し、騙されがあるものと思って観ていたから、シドニーが留置所で監禁されて、マジックミラーの後ろでディマーソとアーヴィンが話してるのを観て、2人でシドニーを騙してるのか?なんて思ってしまった。あぁちゃんと観れてないなぁ。 アブスキャム事件本題以降は、序盤で割と多く出ていたアーヴィンの“心の声(ナレーション)”が減ったため、このセリフが本心なのか相手を騙してるのかも解らなくなり、どれが本心だろう?って関心が薄れてしまいました。勝手に自滅してますねぇ。 でもテレジオ登場で映画はピリッと締まります。シークにアラブ語で質問するトコの『やべぇ』空気は最高。手に汗握ります。ここが一番のピンチで山場じゃないでしょうか?そしてアーヴィンは“失敗すると殺される”立場になります。さぁ、どう切り抜けるか?? でもその緊張感は長続きしないで、序盤のムードに逆戻り。いま誰が有利で、いま誰が不利なのか、チェス盤の駒の配置がイマイチ伝わってきません。私の集中力がなかったせいも大いにありますが、メインの3人がアレコレやってる事件より、奥さんの単独暴走のほうが面白くて目を引きます。 最後もどうにもスッキリしない。実話ベースにしても、もう少し解りやすい娯楽作品に振ったほうが良かったのかも?とか、観せ方変えればもっと面白くなったんじゃない?なんて思ったり。1回目の理解度はこの程度。もし集中力が続きそうなときにもう一度観たら、もうちょっと楽しめるかもしれない作品。[DVD(字幕)] 5点(2024-02-13 22:49:34)《改行有》

55.  ガープの世界 《ネタバレ》 “The World According to Garp”『ガープの目から見た世界』。ストーリーを文字で起こしてみると、かなり悲壮感漂う内容。にも関わらず、明るくて可笑しくて、不思議な映画です。 観せかたも斬新で、OPののんびりとした『ホエン・アイム・シックスティ・フォー』にのって、ゆっくり空を舞う赤ちゃん。のどかですね。幼いガープの空想で、父親がアニメーションで出てくるのもほのぼのしてます。交通事故のシーンは衝突音とと静止画。ウオルトにゆっくりズームするカメラで、何が起きたかを連想させるのも上手い手法です。 ガープの出生はかなり衝撃的で、ジェニーの話に驚くとともに、校長先生の「君は死にかけている男をレイプしたのか!?」にとても共感してしまう。こんな人がベストセラー作家になって女性解放運動の中心人物になるのは、世の中は物事の一面だけを見ているんだなって思えました。 エレン・ジェームズ運動。エレン本人が望まないのに運動を続け、自分の舌を自ら切り落とす抗議運動は、本人たちの自己満足でしか無い。女性の自立は望ましいことでも、その方法は間違ってるんじゃないの?って、そんなメッセージにも思えました。 ガープも自己中な男で、クッシーとの関係を続けながらヘレンを口説こうとします。結婚後も最初に浮気したのはガープなのに、疑われると逆ギレ。子供の寝顔を見て「最高に幸せだ」なんて、どの口が言うのか。一時停止を無視する乱暴運転の男にキレるくせに、自分は無灯火運転で事故を起こす。ベビーシッターとの一件がバレてないからって、いつまでもヘレンを許さないガープの人間性は褒められたものじゃありません。 クッシーとプーの姉妹。Poohはうんこで、Cushyは快適=快楽。音がPussyに似てるってのもある?一人はガープに快楽を与え、もう一人は死を与えた。 この映画の中では一番異彩を放つロバータが、一番マトモです。 …なんか全然まとまりが悪いですね。まとめられない所がこの映画のレビューっぽいかな?空を飛びたい少年が、人生の最後にヘリで運ばれて、何か上手くまとまった感じに思える。そういう、捉えどころのなさもこの映画の魅力かと…[地上波(吹替)] 8点(2024-02-12 18:22:04)《改行有》

56.  君がいた夏 《ネタバレ》 “Stealing Home”『ホームスチール』。このタイトル、観た人は「おぉ!?」ってなりますよね。ビリーには様々なドラマがあって、過去に呼びもどされて、家に戻っていくのです。 この映画、20代の頃に一度観てますが、もっと歳を重ねた今の方が心に滲みました。地元を出て、慣れない土地で頑張ってる人は、更に感じるものがあるかもしれませんね。今回の帰省の目的が従姉のケイティの死がきっかけ。ケイティーにも様々なドラマがあって、遺灰をビリーに託して生涯を閉じます。ずっと会っていなかったのに、もう会えないってなった時の寂しさって、何なんでしょうね? ロビン『私ももう38歳。普段と変わりない朝。初体験(たぶん)の男が、高校時代のユニフォーム着て立ってた。』こんな事が実際に起きたら、脳みそグルングルンなりますよね。でも本筋はビリーとロビンの恋じゃないので、娘が玄関開けて、ロビンはシャワー後のすっぴんで、恥ずかしいって思う間もなくあのペンダント返してって展開が見事です。 この時のロビンの言葉「立派になったわね」高校のユニフォーム着た38歳のオッサンにこの言葉。ビリーがプロ入りした時から、ずっと言いたかったんでしょうね。面と向かってやっと言えたこの感じが素敵じゃないですか。手渡しじゃなく首に掛けてあげるのもいい。 遺灰を撒くシーン。20代の頃の初見時は『あ~ぁ、せっかく感動のシーンなのに、風に戻されちゃってるよ…』って思いました。だってあのくらいのシーンなら、幾らでも撮り直しは出来たはず。そうしなかったのは、あれが正解だったからなんです。 38歳の大人なら、波打ち際で丁寧にサラサラと灰を撒いたでしょうが、遺灰持って桟橋を駆けるシーン見てください。ガキンチョみたいな満面の笑顔。ビリーが高校のガキに戻って遺灰をバラ撒くんです。大事なものの扱いが雑で当然なんです。 ガキの頃のビリーといえば、ケイティーにもらった一生のお守りをロビンにポイとあげちゃうヤツ。でもケイティーは許した。ビリーの満足そうな笑顔をみて、ケイティーはやっぱり許すでしょう。『どうして風向きとか考えないの!散らばっちゃったじゃない!…でも、やっとペンダントを取り戻したわね。』って。 ノスタルジー全開。ひと夏の思い出映画を、極寒の2月に観てしまいました。割と知名度は高い映画だと思うけど、2014年を最後に10年間レビューがないのも、過去を呼び覚ますこの映画らしいかな?って思いました。そんな久々のレビュワーが、私なんかでいいのかしら?とも。[ビデオ(字幕)] 7点(2024-02-12 13:54:13)(良:1票) 《改行有》

57.  クレージーモンキー/笑拳 《ネタバレ》 “The Fearless Hyena(笑拳怪招)”『恐れ知らずのハイエナ(笑う拳が不思議なことを招くよ)』。制作順で行けば、翌年のヤングマスターの一作まえ。ジャッキーのカンフーシリーズ後半の作品です。ジャッキーが配給会社やロー・ウェイと、作品の方向性の違いで揉めていた時期だと考えると、タイトルに『笑』は絶対入れたかったんでしょうね。 そして私にとってはジャッキー映画デビュー作。最後まで観せてもらえたことから、土曜日(次の日学校休み)のゴールデン洋画劇場だったんだと思います。コミカルなジャッキーの表情、仕草。カンフーの不思議な動きに、一発で魅了されました。私だけでなくクラスの殆どの人にとって初ジャッキーで、学校ではジャッキーの話題でもちきりでした。 初めて観た当時、まだ子供だった私は、八本足は作中の飴細工みたく本当に8本足がある妖怪か何かで、ジャッキーは鉄の爪率いる悪の組織から八本足を守る、正義のお兄ちゃんなんだと思ってました。 ジャッキー・ブームの立役者の本作ですが、拳法のゴッコ遊びでは、笑拳はイマイチ人気が無かったようです。動きにインパクトのある酔拳や蛇拳に比べ、どう闘って良いか解らない拳法だからでしょうか?そう言えばパッケージのあの笑った構えと、泣きながら抱きついてくるカッコ悪い技くらいしか覚えてません。そもそも笑拳って何?って話ですよ。爺ちゃんや八本足が、ニヤニヤ笑ったり拗ねて抱きついたりって、ちょっと気持ち悪い。 笑拳=ジャッキーが創ったデタラメな拳法…ではなくて、洪家鐵線拳がベースだそうです。鐵線拳は、カンフー・ハッスルの、腕に鉄輪をはめたおじさんの技です。実際、鐵線拳に、腰を落として両手を広げて「アババババァ」って声を出して笑う、あの構えがありました。 前作の酔拳がウケた大きな要因に“格闘技とは思えない珍妙な動き”があったと思います。なので、2匹目のドジョウじゃないけど、鐵線拳をコミカルに大幅アレンジして、喜怒哀楽の構えという、珍妙な拳法にしたんでしょう。設定的には対鉄の爪に特化した特殊拳法ってところでしょうか? 久しぶりに観たDVDはブロードウェイ版だそうで、石丸博也さんでなく山野井仁さんでした。 でも思ったよりしっくりしてたわ~~ ハーハッ!クレイジ-マーンキー♪[地上波(吹替)] 6点(2024-02-08 12:09:17)《改行有》

58.  男はつらいよ 寅次郎心の旅路 《ネタバレ》 シリーズ41作目。覚えてます。当時のウィーンの市長さんが男はつらいよを気に入って、映画が実現したって、ワイドショーか何かで観ましたよ。「寅さんとウィーン?合わないよなぁ~」なんて思ったっけ。 当時は内心『山田監督、市長のリップサービスを真に受けちゃったよ』なんて思ってしまいました。実際どうだったんでしょうね? 案外その逆で、ツィルク市長が外貨獲得、ウィーン観光に映画撮影のロケ誘致を日本に売り込むために、男はつらいよに目を付けたんじゃないでしょうか? ツィルク市長『日本の映画?あまり知らないね。ゴジラ?でもウィーン壊される良くないね。座頭市?時代が昔すぎるね。寅さん?寅さんって何?アーハン?面白い顔の男があちこち旅して、美人と恋してフラれるコメディ映画?ソレダ!!ちょっと機内で勉強しておくネ!』…ウィーン(オーストリア)にはバブル真っ盛りの日本は、金の卵だったんじゃないでしょうか?なんて勝手な憶測です。 意外なカタチで実現した寅さん初海外。もう少しスペシャル感を出しても良かったと思いますが、どうにも地味です。寅はバスで移動して、観光地をちょっぴり歩くくらいで、ほぼホテルやおばさんの家の中。気持ちも絵面もあまり動きがありません。 マドンナ枠はまた竹下景子。なんどめだ竹下景子。どうにも、山田監督の竹下景子推しが鼻に付いてしまう。海外ロケだからって、くるまやメンバーは置き去りにするのに、お気に入りの竹下景子を引っ張り出すのかって思うと、どうなんでしょう?今回のマドンナは、金髪で目がパチクリした、いかにもなオーストリア美人を期待してしまいました。 本作の舞台がウィーンである必要性が、あまりに希薄でした。以前の作品では、ブルドックソースとかスズキのスクーターとか、スポンサーには気を使って撮ってたのに。一番美味かったのが鮭茶漬けだったり、観光地で大した思い出がなかったり。全然オーストリアをヨイショしない。ウィーンに撮影に行ったら『あれ?ほんとに来たの?』みたいな塩対応だったのかなぁ?そもそも撮影期間がそう長くなかったのかなぁ?渥美さんの体調の問題もあったのかなぁ?だから、チャッチャ・パッパと撮っちゃったのかなぁ? 海外スペシャル感を出そうとして、力みすぎて空回りするくらいのほうが、良かったかもしれないなぁ…[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-02-08 12:08:05)《改行有》

59.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン 《ネタバレ》 “Year of the Dragon”『辰年』おぉ、偶然にも今年ですね。干支って考えは中国が発祥のようです。昔の中国は“眠れる獅子”なんて言われてましたが、'70年代くらいから中国=龍ってイメージが定着してきたようです。ブルース・リーの影響もあるのかな。ただ、映画公開年(米)は丑年。原作の小説は酉年でした。 当時の若者には、なんか結構、知名度の高い映画です。セクシーでハンサムなミッキー・ロークと、東洋人でありながら負けないくらい男前なジョン・ローンの共演で、中身は男臭いカリッカリのマフィアものときた。お洒落で、オトナな雰囲気がたまらなくカッコよかったです。 ミッキー・ロークは本作以外にヒット作が数作あるけど、ジョン・ローンはほぼコレ一本のみ。コレの次がラストエンペラー、以上。なので、これだけ(世代的に)有名人だったのに、意外と言えば意外でした。 この当時のハリウッド映画は、どこかしらアジアン(ジャパン)・テイストを入れてくることが多かったと思う。スシとかホンダとか。でも本作は、国外からやって来るジャパンと違い、西部開拓時代から国内に浸透して、自分たちの街を形成していたチャイナが、我々アメリカ(ってか白人)にとって、見過ごせない脅威になってきているって映画に思えました。 スタンリーはろくでもない男です。彼の中国人敵視は、ベトナム戦争が影響しているようだけど、敵にも味方にも威圧的な態度です。特に中国人への扱いはどうなんだろう?って思います。レストランが襲われて、トレイシーが怖がってるからってキスするか?普通。いくらミッキー・ロークでもあの展開は変だわ。トレイシーに拒否られても強引に抱くし、彼女の家を勝手に捜査本部にするし。新人ハーバートを無理っくり訓練終わらせて潜入捜査させて、挙げ句殺されて。中国人はヤり捨ての使い捨てって感じ。 でも奥さんに対しても公平に酷い。仕事に没頭して妊活オザナリにするし、敵視するマフィアの中華料理屋で奥さんと待ち合わせするし。マフィアに奥さんを殺されたのが、スタンリーの怒りの引き金なんだろうけど、追い出されて即トレイシーに手を出してる時点で、怒りの度合いが弱く感じるんですよね。奥さんの死は怒りの口実に使われただけみたいな。 『毒を以て毒を制す』とでも言いたいのか?『スタンリーは酷い刑事だけど、中国人がデカい顔するよりマシだろ?』とでも言いたかったかのごとく、スタンリーはロクデナシでした。 エンディングの中国歌謡曲がホンワカしていて、映画の内容にそぐわない気がする。そしてアメリカでモヤシがどう作られてるか、この映画で知りました。[地上波(吹替)] 6点(2024-02-05 22:19:19)《改行有》

60.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 タイトルがもう、気になって気になって。『桐島くんが出てこない映画』って情報は入ってたけど、他は何も知らない状態。やっぱ永年指名手配の桐島聡から名前持ってきたのかなぁ?なんて思っていたところ、先日聡の方が出てきたので鑑賞。 同じ時間を、違う人物の目線で、何度も何度も繰り返す。なんか面白い。さっき声掛けたのはこの子達だったのか。みたいな多面的な捉え方だけでなく、あの場面をどんな気持ちで観ていたのか?とか。他人の目線では分からなかった本人の気持ちがよく分かる。上手い。 スクール・カースト上位・下位という大きなククリだけでなく、グループ内にも上位・下位があり、その表現がまた妙に生々しくて。私とは世代は違うんだけど『当時そういう気持ちになったわぁ~』と学生時代が懐かしく思い出される。 カースト下位の者が、上位の者の気持ちを汲み取り、機嫌を損ねないように気を使うところ。実果が表向き沙奈に気を使い、かすみには本音を話す。沙奈はトップの梨紗の親友ポジションを自負してるから、それを維持するための下位への行動が、まるで中間管理職。 カースト最底辺の映画部部長が、吹奏楽部部長と戦うところ。カーストの上下が曖昧どうしの戦いは、ある意味異種格闘戦のよう。その場所じゃなきゃダメな亜矢の言い分は、まるでCGアニメのピーピング・ライフのような可笑しさを感じた。 ちょっと顔が怖いのに優しい野球部キャプテン。カーストの上下がひっくり返ってる宏樹との関係も、どこか可笑しい。 桐島がキャプテンだったバレー部。戦力ダウンの責任を同じリベロの風助に擦り付け、練習名目で鬱憤をぶつける。 桐島がもたらせた衝撃。彼が並ぶ者の居ないカーストの絶対的トップなのが伝わる。自分の彼女にも親友にも事情を伝えず、突然全てを決めた桐島。本人不在のカースト下位たちが、勝手に右往左往しだす。 そして、思っていたのと全然違うスケールの結末に、この映画が大好きになった。あ、この映画の主人公は宏樹でなく前田だったんだ。 野球部キャプテンが宏樹に掛けた最後の言葉。一番に屋上を後にする風助の言葉。映画を撮り続ける前田の言葉。出来るのにやってこなかった宏樹のこれからが始まる。主題歌もまた良いんだわこれが。[DVD(邦画)] 8点(2024-02-03 20:01:51)《改行有》

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