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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  海と毒薬 《ネタバレ》 先日の終戦記念日。春に某動画配信サービスが終了して、気がつけば未レビューの太平洋戦争映画ストックが無くなっていました。 そこでこの映画の出番となったんですが、太平洋戦争の映画というより、医学界の縮図、日本の社会構造、自分で考えて行動をしない集団心理に焦点が置かれていましたね。 オープニングから古い映画かと思ったけど'86年制作。あぁ、世代的に当時観た顔がいっぱい出てくる。そしてモノクロにした意味はすぐに理解できた。これ、カラーだと多分最後まで観てられない。 戦時中の日本の公的な組織、西部軍と九州帝国大学が、人道的に超えてはいけない一線を越えた実際の事件。私がこの事件を知ったのはここ10数年くらいのことで、戦中に日本軍が行ったと言われる蛮行(南京大虐殺とか)が、ホントかウソか疑問を持った頃だったように思う。で、この事件はホント。 田部夫人のように、出世のために治す目的の患者と、おばはんのように実験のために入院している、治る見込みのない患者。両者に目に見えない線引がされている、病院の裏側を観せられる。 ヒルダが上田看護婦に言った「死ぬことが決まっていても、殺す権利は誰にもない」という考え方。この考え方があまりに欠如しているのが恐ろしい。 上のヒルダの言葉はドイツ語。そのあと日本語で「神様が怖くないのですか?あなたは神様の罰を信じないのですか?」と。上田は休職させられるが、彼女が実験に参加したのはヒルダへの当てつけ。安楽死を命令した浅井にではなく、止めたヒルダに向けられる歪み具合。上司の命令より神の教えが鬱陶しいと思える社会。当時も今も変わらない日本人って気がする。 勝呂にせよ戸田にせよ、捕虜の解剖に対し罪悪感が麻痺していたのは戦争のせいだろうか?大学病院という社会の構図がそうさせていたのか?この映画を観る限り、戦争は環境要素のひとつに過ぎないんだろう。田部夫人の死の隠蔽などは、平時でも行われていたんだろう。 本作のような、大ヒットはしないだろうけど、真面目な題材の見応えのある映画を、もっと創ってほしいと思ってしまう。 ただ100%真面目に作られた社会派映画…ってわけじゃないと思える理由の一つが岡田眞澄の日系アメリカ人通訳。…まぁでも、ファンファン大佐はこの映画の後に産まれてるしなぁ。じゃなくて、この題材で、相当作り込まれた手術シーン。 この映画が制作された当時は、かなり残酷描写が過激になった時代で、ギニーピッグとか悪趣味なグロい映像も創られてた。今の目で観ると必要以上に直接描写されている手術シーンも、この時代の作品と考えると納得できる。 捕虜から切り取ったレーヴル。この話はホントかどうか。でもこの時代(大戦中)だからやってそうだし、この時代('80年代)だから、この場面入れたんだろう。 先日、道東で恐れられた忍者熊“OSO18”が駆除されたニュースをやってて、その肉がジビエ素材として人気急増したそう。その肉食べたい!って感覚が、解る人には解るのかなぁ?[インターネット(邦画)] 6点(2023-08-19 15:33:38)《改行有》

42.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 Ⅰでヒーローの強さを散々見せ、知能派のライバルとの対決。ヒーローのピンチ。オマケにお色気と、ヒーロー物に不可欠な要素をかなり突っ込んできました。でもⅠに欠けていて、一番盛り上がる展開は、やはり強いライバルの登場でしょう。 前作で顔出し程度に出ていたゾッド将軍一味が地球にやってくる。しかも各々スーパーマンと同じ能力。これは盛り上がりますね。初めて地球に降り立った時の、将軍たちが自分の能力に驚く描写は見事。この時の水面を歩くシーンやホワイトハウス襲撃の時「オー・ゴッド!」「ゾッドだ」まさに神降臨な演出。サイヤ人襲来以降のドラゴンボールに良くリスペクトされている。 一方スーパーマンは、ロイスにアッサリ正体がバレて、アッサリ付き合って、アッサリ超能力を捨てる。これまたヒーロー物の定番展開。前作のライバルのレックス・ルーサーの登場もイイ。 ただ惜しいというかちょっと残念なのは、ゾッド達とスーパーマンの戦いがあまりにヌルいこと。ドラゴンボールを引き合いに出すと、まるでカタルシスが無い戦闘シーン。時代といえば時代なんだけどね。3人の倒し方がとてもアッサリしていて、スーパーマンの機転で大逆転は良いんだけど、あれれ??って感じ。ルーサーもついでみたく退場。多分死んじゃいないだろうけど、こんなインパクトのある悪役をここで終わらせるなんて、もったいないなぁ。 ⅢとⅣは昔観て、さっぱりだった印象があったけど、ⅠとⅡは前後編として作品としてのクオリティを維持している。このⅡは途中降板したリチャード・ドナー監督版が、後年に創られたそうで、なんかそちらを観て正しい評価をしたいかな。[地上波(邦画)] 6点(2023-08-04 23:12:18)《改行有》

43.  プレデター 《ネタバレ》 “PREDATOR”『捕食者』これは良いタイトル。地球上の食物連鎖の頂点と言える人間。ただし道具(武器)を使うことが前提なんだけど、それを上回る地球外の知的生命体との戦い。 そして最後は人類最強の男(シュワルツェネッガー)と生身でぶつかり合う。アツい。夏向きのアクション映画ですね。 学生当時、友達の家の映画鑑賞会で観ました。みんなでワイワイ「シュワにアポロに安岡力也に宍戸錠。マルシアも出てくるぞ」なんて楽しんでましたよ。ただ対ゲリラ・パートは結構グロいんですよね。まだホラー耐性の弱い私は、最後まで観られるか、正直自信が無かったです。 で、最初にあのモザイク宇宙人を観た感想は『ショボ…』でした。でも今思うと、凄く良く出来てました。まだ攻殻の熱光学迷彩が世に出る前。しかもCG全盛になる前の時代。特撮であの光学迷彩を表現してたって思うと、時代を先取りしててスゴいの一言。 そして河童のようなアーマー姿に『・・・弱そう』。う~ん…当時のSFだから、こんなモンかって思ってました。で、マスクを取った姿に『ウゲッ!グロ!キモッ!!』って。 あのグロい顔の造形も素晴らしく、映画の宇宙人キャラの中でも、かなり知名度高いんじゃないかしら?エイリアンに匹敵する造形だと思います。 凄くシンプルなストーリーも好感度高いです。シンプルなんだけど、実は最初要人の救助のハズが、ゲリラ殲滅&機密情報の奪取になり、何故か謎の襲撃者からの脱出劇と2転3転してます。いま同じ内容で映画を作ると、回りくどい説明とか伏線とかが入ったりして上映時間が長くなりそうですね。 特殊部隊員はキン肉マンばっかり。ジャングルを行軍するにはカロリー消費量とスタミナ面が心配になるけど、冒頭のダッチとディロンのアツい握手でリアリティなんてアッサリ吹き飛びます。 「血が流れるなら殺せる」「銃を持ったものから先に殺す!」「(泥で)見えないんだ」こんなセリフからもシンプルに観せる工夫が感じられます。 ヘリでジャングルを後にするダッチのエンディング。アンナその後どうなった?とかプレデターの正体とか全無視のとってもシンプルな終わり方。これはオープニングで宇宙船からジャングルに射出されるプレデターと対になってます(※ダッチ達もOPで、ヘリでジャングルに来ますね)。ジャングルというリングで、勝者のみがリングを後にする。みたいな。 ほんとね、こういうので良いんだよって言いたくなるアクション映画。[ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-02 23:18:39)《改行有》

44.  遠い夜明け 《ネタバレ》 “Cry Freedom”『自由を叫ぶ』。邦題も良いタイトルです。 社会科の授業で、アパルトヘイト政策なんてものが、この世の中にまだ存在していることに驚いたっけ。大学時代、ピーター・ガブリエルにハマり、ビコの存在を知ったんだわ。そしてこの映画の7年後に政策が撤廃されたのにも驚いたっけ。ただこの映画、私は相当怖い映画だと思っていました。実話系の人種差別モノ=人を人と思わない殺人描写がいっぱい。そんな先入観から、鑑賞したのは今回初です。 私はこの映画の、前段に興味が湧きました。貧しい家庭に産まれたビコが、如何にして反アパルトヘイトに目覚め、活動の中心人物になっていったのか。それとアパルトヘイト真っ只中の南アフリカ生まれのウッズが、如何にして黒人に対し中立なスタンスを取ることが出来たのか。人間は弱いもので、自分が優位な立場でいる以上、自分を貶めてまで他者を救う行動は取りにくい。まして差別対象の黒人に対し、白人のウッズはどうしてあそこまで戦えたのか。 前半のドキュメント映画な展開から、ビコが殺され、今度はウッズがビコと同じ監視される立場になります。後半は家族の脱出劇に変わります。原作の著者自身の物語だけに、映画的にスリリングな展開です。 時系列的に最初の方に出てくるべきソウェト蜂起は、映画の最後の方、ウッズの回想として出てきます。蜂起の映像にはビコもウッズも出てこないけど、映画的にはそれぞれの当時の感情や動きなどを描いてもらえると、2人の人物像がより解りやすかったかと思います。 この映画で妙に印象に残ったのがクルーガー長官の歴史の話。「1652年にこの地に白人が来て、荒れ地を耕し町を作った。この地を植民地にしたのではなく築き上げたんだ。それをビコは手放せという。」確かに、300年以上掛けて、白人が住みやすい街に作り上げたのが、今の南アフリカ。白人が1994年まで、時代錯誤なアパルトヘイト政策を続けた根深い理由が、そこにあるんだなぁ。 この映画を観て平等の大切さ、差別される側から観た人種差別の理不尽さを学ぶとともに、昨今の過剰なポリコレ風潮には嫌悪感を抱いてしまう私って、根底ではこの映画の時代の白人と大差無いのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-26 23:42:36)《改行有》

45.  サイコ2 《ネタバレ》 この当時の名作の続編というと、直球過ぎて期待通りだけどマンネリであったり、変化球過ぎて前作の良さが全く活かせてなかったりだったように思います。なぜなら前作が、一つの作品として完成されているため、その路線上に面白い続編の入り込む余地が無かったんでしょう。 またネームバリューでそこそこお客が入る安心感からか、1つの作品として創り込みが足りなかったり、前作にあった新鮮さや新たな驚きが無いものが多く、それこそエイリアン2が誕生するまで、続編の名作と呼べるものは、数えるほどしか無かったと思います。本作はそんな数少ない続編の名作の一つだと思います。 あの巨匠ヒッチコックの、1・2を争う代表作の続編、しかも公開から22年も経っているとなると、正直安易には手を付けにくい作品だったと思います。それなのにタイトルを撚ること無く“Psycho II”にしているのは、なかなか強気な判断だったと思います。前作から引き続きアンソニー・パーキンス本人が出ているのはもちろんとして、ヴェラ・マイルズ(当時あまり劇場映画に出ていない)までも引っ張り出してくるあたり、続編映画のお手本と言えます。 前作の、あの超有名なシャワーシーンから始まります。ベイツの屋敷がモノクロからカラーへ。前作からの引用はここまで。大金の話や母親の登場シーンは出しません。本作を観てからでも充分に前作を楽しめます。 屋敷同様、歳を重ねたノーマン。社会復帰を目指すノーマンと、それを許さない、かつて姉を殺されたライラ。真っ当に生きようとするけど、過去を忘れさせまいと現れる母の影に怯え、苦悩するノーマン。映画を観る人はバイト先の同僚メアリーの視点で観るから、ノーマンの葛藤が伝わる。そして起こる新たな殺人。メアリーの秘密…2回目観ると、ノーマンがサンドウィッチを切るシーンのメアリーの表情が凄く良い。シャワーシーンの時の彼女の表情も素晴らしいけど、狂っていくノーマンが電話で命令を受けた時の、屋敷に押しつぶされそうなメアリーを映すカメラの秀逸さは必見。 私は前作より先に本作を観ました。メグ・テイリーの“となりのお姉さん感”が良かったです。黒髪で東洋系の顔つきで、中学時代の私の友だちにそっくり。そしてあの音楽。ジェリー・ゴールドスミスの悲しげな曲が素晴らしいですね。全体を流れる幽霊ものっぽさ。銃を極力使わない脚本。アメリカ映画というより、日本的な作品に思えました。 ライラもノーマンもメアリーも、とにかくみんな可哀想。あんな怖い体験をしたから無理もないけど、22年前から時が止まっているライラ。あれだけ忌み嫌っていた精神病院に22年も入れられ、再出発しようにも過去に引きずり戻されていくノーマン。裏目に出てしまったメアリーの判断。 事件が解決してからのまさかの展開は、正直蛇足感も感じましたが、それをブチ破るスコップの一撃。え?紅茶を飲ませたのに。 今まではノーマンの中の母・ノーマが殺人を犯していました。だけど本作ではノーマンもノーマも誰も殺していません。そしてノーマンが自分の意志で殺人を犯すのって、母に対してだけなんです。[地上波(吹替)] 9点(2023-07-24 23:57:46)《改行有》

46.  いまを生きる 《ネタバレ》 “Dead Poets Society”『死んだ詩人たち結社=死せる詩人の会』。劇中に出てくる古典的な詩人の作品を朗読するサークルの名称。邦題はキーティングのセリフで、詩人ホラティウスの句“カルペ・ディエム=その日を摘め=いまを生きろ”から。ほおぉ~~。感動的な邦題を適当に付けたわけじゃないんですねぇ。 本作が'89年公開で、舞台は'59年だから30年前。アメリカの話だけど、全寮制の学校には行ってないけど、どこか学生時代を懐かしむことが出来ました。当時の私はきっともっと、流行りものや恋愛、趣味の世界に興味津々だったハズだし、実際そうだったんだけど、学校の生活やクラスメートから受けた影響、心の奥に残る教師の教えなんかもあって。そういった、今じゃ普段考えることも少なくなっていることが、ワサワサっと呼び起こされた気分でした。呼び起こすトリガーが、映画の合間合間に出てくる学校の風景、学生時代に観える風景の美しさでしょうね。 息子の将来の安泰のために、進むべき道をすべて決める。息子を医師にする。結論から入るその考え方こそ『完成度と重要性から導かれる面積の大きさ=その作品の評価』というプリチャード博士の考えを逆算したものと言えるでしょう。父にとってはニールの個の人格より、息子とは自分の所有物であり将来の自分のステータスである。という考えを変える事ができなかった。 キーティングは「プリチャードを破り捨てろ」と。「カルペ・ディエム」と。「父親を説得しろ」と。 だけどニールはまだ子供で、父にもキーティングにも嘘をついて演劇を続けるしか無かった。その結果の悲劇。 最後に父親がニールの演劇の才能を認めたりなんて無いし、キーティングを見送る際は全員が立ち上がる訳では無い。 この映画は、観るものにそんな共感の強制や、新鮮な感動を押し売りしたいのではなく、学校を出て社会に入っていった大人たちが、改めて学生時代を振り返り、当時の自分だったらどうだったかを考える。そんな作品なんだろうなと、思いました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-07-20 22:34:34)《改行有》

47.  インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 《ネタバレ》 “Last Crusade”『最後の十字軍』。もちろんインディ最後の冒険として“聖戦”訳もアリですが、聖杯の兄弟最後の生き残り。もしくは十字架兄弟団を指したものと思われます。 公開当時は2作目が最高傑作で、本作はイマイチ。なんて言われていたと思います。私の評価は逆で、1作目の雰囲気を回復させ、シリーズ最終作として詰め込めるものを全部詰め込んだ傑作だと思っています。やっぱナチとの追い駆けっこがテンション上がります。 私にとってインディは、大学教授の静の面と、冒険家としての動の面。神話や伝説といった過去ファンタジーと、ナチズムの台頭という現代の脅威が、うまい具合に織り混ざってこそ産まれた傑作だと思っています。 冒頭、リバー・フェニックスが若きインディを演じるサービス満点のプロローグ。冒険家インディがどのように誕生したかが詰め込まれた、ショートムービーのような満足感があります。ヘビ嫌い、ムチ、アゴの傷、帽子。このたった10分ほどの最初の冒険で、インディのアイデンティティを全部詰め込んできました。そして“最初に手にした宝物は悪者に奪われる”のも3作共通。この十字架の奪い合いから現代に戻る繋がりも“インディ、あの日から今日まで、ず~~っとこんな冒険をしてたんだな”って、観るものに伝えるやり方がメチャクチャ上手い。 同じくハリソンの出世作の前日譚で、似たようなことをやってたけど、私はあっちは駄目でしたね。 お父さんはショーン・コネリー。無敵のインディが苦手とする人物を出すのも上手いと思います。特定の動物が苦手、女好きという、親子らしい共通点…インディそんなに女好きだったっけ?って思ったけど、まぁ楽しめました。ジェームズ・ボンドばりに傘やペンで敵をやっつけるのも期待を裏切りません。 ナチとの追い駆けっ子。第二次大戦映画が廃れていた当時、キビキビ動くバイクや飛行機はとても見応えがありました。あと飛行船にヘンテコな戦車。戦車はドイツ軍のものではなく、第一次大戦中のイギリス軍のマークⅧって車体の、トルコ軍が長年改造して使用した版らしいです。へえぇ~。ナチの秘密兵器じゃないけれど、インディらしさ満点。 今回ヒトラーまで出てきます。祭壇にはヒムラー、ゲーリング、ゲッベルス(左端はカイテルか?)も居ますね。式典の豪華さと本を焼く市民の熱狂が伝わります。細かい話ですが、十字架兄弟団とナチの戦闘シーン。手榴弾を投げて落ちてきた敵に追い銃撃でとどめを刺すなど、スピルバーグ、こういうトコでコツコツと戦争映画の練習をしてたんだなって思えました。 700年以上生きている騎士と聖杯の秘密。境界の中だけ効力があるなんて、不死伝説の落とし所としてとても綺麗です。聖杯を博物館に収めるために持ち帰りたいインディに対し、生涯を掛けて聖杯を研究してきたヘンリーが「諦めて手を掴め」と諭すところ。この場面、いっつもホロっと来てしまいます。 インディ「(今回の冒険で)父さんは何を見つけたんだ?」ヘンリー「私か?illumination(解明)だよ。」宝物を私利私欲に使う悪党と、人類の宝として残したいインディ。そして聖杯の存在と、その奇跡を見ただけで満足なヘンリー。深いです。 サラーとブロディ、ジョーンズ親子の4人が夕日に向かって馬で駆けていく終わり方。絵的に安直に思えるけど、「他に夕日に向かって走る終わり方の映画ある?」って言われるとパッと出てこないので、これはこれで素晴らしい大団円でした。 そういえば本シリーズは、スピルバーグ初の続編監督作品でしたね。[ビデオ(字幕)] 9点(2023-07-02 14:32:09)《改行有》

48.  メジャーリーグ 《ネタバレ》 スポーツ物の映画って当たり外れが大きく、特に野球モノというと、突出した作品が生まれにくいのかもしれません…なんでだろ?野球を題材にした漫画は名作もたくさんあるのに、映画やドラマとなると極端に数が少なくなる。考えたら1試合3時間近いのに、それを約2時間の映画に収めるのは、やっぱ難しいのかな? そんな映画には不向きっぽい野球映画のなかでも、このメジャーリーグは、スポーツコメディとして王道と言える面白い作品だと思います。 インディアンズは本当に弱いチームだったみたいですね。当時常に最下位争いしてるようなチームで、そんなチームを取り上げて、本拠地移転という危機を創り出し、クセのある選手たちが集まって、さぁどうなるか?って映画です。 チームのグズグズ感。新オーナーの悪女っぷり。どんどん劣悪になるホスピタリティ。チームのダメダメ感がよく出ています。 日本のスポ根モノと違って、別にハードなトレーニングで強くなるわけではなく、能力のある選手たちが自分の力を存分に発揮して、勝利を掴んでいく展開。選手たちの歯車が噛み合って、スーパープレイがジャンジャン出てくる後半の展開。オーナーのボード作って試合に勝つたびに、1枚づつ衣装を剥がしていく悪ノリ具合。嫌いじゃないです。 今でもスポーツニュースの定番曲『WILD THING』、インスト曲『Pennant Fever』は観ていて&聞いていてテンションアゲアゲ。リッキーに気合を入れるロジャー。徐々に球が走るリッキー。塁に出たウィリーの「9フィート先さ」は鳥肌モノの名セリフ。そしてジェイクの予告ホームラン。最後の1試合に、野球の醍醐味を全部詰め込んできた。 もうね、この一作で全力投球。この題材のオイシイ所は全部出し切ったと思います。[地上波(吹替)] 7点(2023-06-26 10:02:21)《改行有》

49.  インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 《ネタバレ》 “Indiana Jones and the Temple of Doom”『インディアナ・ジョーンズと悲運の宮殿』。シリーズ2作目。本作から『インディ・ジョーンズ』がタイトルに出てきます。なぜかレイダースより1年前が舞台です。真ん中から上映し、前日譚、後日譚って流れはスター・ウォーズみたい。 幼い頃、レイダースがあまりに面白かったので、インディの名を冠した本作は、きっともっと面白いに違いない!!…って思ったんだけど、まず時代設定がとても古く感じました。前作の近代的な時代設定から、時代の良く解らない上海、そしてもっと良く解らないインド。出てくる兵隊(ブランバート大尉のイギリス軍)も、ちょっと昔な感じに観えてしまって。前作のVS軍隊のリアリティと打って変わって、何でもアリなファンタジー世界に思えてしまいました。 ショート・ラウンド。自分と同じくらいの歳の子供が大活躍するのが、当時のマセガキの私はシラケてしまいました。ハッキリ行って、ウザい。だってあの子の蹴りで大の大人が倒せるとは思えないんだもん。この辺り、SWのイウォークと同じ匂いを感じてしまった。ルーカス発案なのかなぁ? 子供が活躍する一方で、ダークな世界観が不釣り合いに思えます。カブト虫や猿の脳みそ食べたりとか、かなり悪趣味。そして私はこの映画で虫が駄目になりました。小さい頃はトノサマバッタとか掴めたのに。デパートの世界の昆虫博とかも見に行けたのに。それまで意識していなかった“踏むと潰れる”“身体を這い上ってくる”ってのが気持ち悪く思えてしまって、虫もう駄目!!って。 一番違和感が大きかったのは、世界中を駆け回った前作と違い、中国からインドの宮殿に入って、そこを出たら映画が終わるところから、行動範囲の狭さに物足りなさを感じました。またロケよりセット内の撮影が多く感じられるのと、まだ技術的に未発達な特撮に頼りすぎているのも、前作との大きな違いに感じました。トロッコとか、水攻めから崖に逃げるとことか、当時のテレビだと特撮がしょぼく観えてしまって… なんかメチャクチャに書いてますが、今は結構気に入ってます。上海のダンスシーンは賑やかだし、グロい晩餐会も虫だらけの洞窟も味があってイイ。洗脳されたインディが、どうして火を当てると正気に戻ったか謎だけど、そこからのマッチョな大活躍はスカッとします。特撮も当時ほどチャチに観えなくなってます(脳内補完?)。吊り橋で敵に囲まれて刀を振りかざすインディの格好良さったら無いね。これぞハリウッドの生み出したヒーローって感じです。[地上波(吹替)] 7点(2023-06-26 00:05:29)《改行有》

50.  汚れた英雄(1982) 《ネタバレ》 あまり良い映画じゃない…とは聞いていたけど、バイクレースのシーンは思いっきり合格点な格好良さです。ローズマリー・バトラーの主題歌がまた映画に合ってて、懐かしくて格好いいんだわ。 ストレートを3台並んで並走するシーンなんて、どうやって撮ったんだろう?って思ったら命がけで撮っていてビックリ。車載カメラと思わしき映像や、コーナーを攻めるバイクを正面からアップで捉えた映像なんて、素晴らしいじゃないですか。レースシーンのこだわりは、まさに和製2輪版グラン・プリ。 ハリウッド俳優並みの二枚目・草刈正雄のおケツをたっぷり堪能できるこの映画、彼の脇を固めるのか、奥田瑛二と浅野温子が演じる緒方夫婦。見せ場は少ないけど、まだ売出し中の2人が観られたのは、ちょっと嬉しい。 木の実ナナ。この当時もう彼女の存在は知ってましたよ。子供の私から観て、クワッとした髪型の、性格が強そうな大人の…女性。まさか脱いでるとは思わなんだ。ウチのママンよりは数歳若いけど、この映画の彼女のあの使い方が正しいのかどうか、どうにもこうにも良く解らない。うぅ~~ん… え、レベッカ・ホールデン?ナイトライダーのエイプリルだよ凄い!!これは嬉しくも懐かしかったわ。あと黒部進(ウルトラマン)と団時朗(帰ってきたウルトラマン)がどこかに出てたんだ?どこだよ見逃した。 さて、バイクの映像は凄い格好いいんだけど、冒頭から15分以上も淡々とレースシーンが続くから、正直飽きてしまう。 北野はすでに巨万の富を手に入れていて、プール付きの豪邸に住んで、優雅な日常を送っている。いくら国内最高峰の2輪レーサーとはいえ、あそこまでの暮らしを手に入れるのは難しいだろうに、金持ち女にくっついて援助してもらって、今の北野があるんだろう。 こんな、ハングリーさを向けるべき方向を間違ってる人が、最終レースでもあんな結果になってしまう。あんな序盤飛ばしすぎても、あんなアクシデントがあっても、結果はあぁなるんだよ。人生ってなんだろうね? そして最後のテロップ。え?あ、あぁそうなんだ…って感想にしかならないよ。[インターネット(邦画)] 4点(2023-06-22 23:37:09)《改行有》

51.  オールウェイズ 《ネタバレ》 “ALWAYS”『いつまでも』。ピートとドリンダがシャンパングラスにビールを入れて乾杯するときの、ドリンダのセリフです。 リチャード・ドレイファスと“煙が目にしみる”と言えば『アメリカン・グラフィティ』を連想するけど、使われたのはロン・ハワードとシンディ・ウィリアムズのダンスシーンでした。 まだCGが普及していない時代、飛行機の映像は遠景の実機か模型で、コックピットは別撮りのパイロットのバストアップ映像が多かったと思います。トップガンでもそう。でもスピルバーグ映画の飛行機は、中に人が乗ってる感が良く出ていますね。本作も例に漏れずで、飛行機越しに中のパイロットを観せたりと工夫が見られます。 あと、とにかくホリー・ハンターがちっちゃくて可愛い。ベッドで小さく丸まって寝てるトコなんて子供のようだし、アルに抱っこされるドリンダの画はまるで少女と特大テディベアみたい。 さて、ドリンダとテッドの恋を見守るピート。さぁここからどうなる?死者がかつての恋人のもとに現れるファンタジーものとして、どうも後半がバタバタしています。ピートとドリンダが惹かれ合う理由付けがイマイチ弱い気がします。レイチェルなんてその後が無いから噛ませ犬扱い。そしてドリンダが独断で飛んだのも突飛に感じました。あとハップはもう一度くらいピートのもとに出ても良かったかと思いました。だってピートの気持ちをわかってあげられるのってハップだけだし。 本作の目玉は、映画に出なくなって久しいオードリーの、最後の作品ということ。永遠に若いスクリーンの王女・オードリー・ヘップバーンが、今現在の年齢を重ねた姿を残したこと。 スピルバーグは本作で“歳を重ねても可愛い女性”を撮りたかったんじゃないだろうか?ケバケバしい厚塗り化粧の若造りしてるオバサンではなく、ナチュラルで可愛い大人の女性。それが当時60歳のオードリー・ヘップバーンであり、31歳のホリー・ハンターだったんじゃないだろうか? …こう書いてみて、当時の2人が案外若いことに驚いてしまう。今の60歳とか31歳とか、スゴい若いよね。でも平成元年の頃31歳はオバサン呼ばわりだし、60歳は思いっきりお婆さん扱いだったように思う。 いつまでも可愛い大人の女性。美魔女とは違う魅力。阿川佐和子や安達祐実の事を、一部ネットで“ロリババア”と言うらしい。もちろん褒め言葉として。 オールウェイズはスピルバーグが時代を先取りして創った、ロリババア映画のさきがけだったのかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-06-06 22:24:19)《改行有》

52.  九龍の眼/クーロンズ・アイ 《ネタバレ》 “警察故事 續集”『警察物語 続編』。え待って九龍は?九龍城が舞台でないの?これ?最後まで九龍城砦いつ出てくるんだろう?って期待してしまったよ。前作の『国際警察』ってタイトルのいい加減さはwikiで見たけど、これもかい。エンディングの歌が『英雄故事』だったので、今回観たのは日本公開版だった模様。 出る車出る車ほぼ三菱の自動車。警察も悪党も一般人も、トラックもワゴンもセダンもハッチバックも三菱とことん感謝祭。メインスポンサーだからだけど、当時の香港にきらめくシチズン、富士フィルムのネオン。キヤノンのカメラ、ソニーのオーディオ。日本企業が元気で、良いものをどんどん取り入れる香港の元気さが溢れてます。いまのスマホの時代に、地球の裏側のニュースを即時に知ることよりも、日本製品があふれる当時の映像の方が、世界との距離が近くに感じられる気がします。 前作の直後から始まるストーリーで、チェン(チャン?)と警部と署長のやり取りが面白く、それぞれの立場で部下や上司を動かす工夫とかが、上手いなぁって思う。警部の「私が居なければ署長はあまり怒らない」とか、実際会社でもそういう場面ありますもんね。『私は死んでも市民を守る覚悟です』の3連打なんて最高です。この警察署の物語をず~~っと見ていたい気持ちになりました。あ、みんなで一面ピンクの文字だけ新聞読んでるの、なんか変。 ストーリーは、中盤からの路線変更の大手術の影響がモロに出ていて消化不良。もともと、この頃のジャッキー映画にストーリーを期待してはいけないんだけど、やっぱり“撮りたいスタントシーンありき”で、それらを繋げ合わせた感を強く感じます。ポリス・ストーリーなのに。ジャッキーが特別班(一見ゴロツキだけど…?)のリーダーになるけど、彼らの目立った活躍は取り調べで女性3人が大暴れするところくらいで、あれだけ人数出したのに活かしきれてないかな。 前作に引き続き、出るたびに痛めつけられるメイ。爆竹投げられたりバイクで車に突っ込んだりと、今回も酷い目にあってるけど、映画的に一番酷いのは水鉄砲をチェンが避けて自分に掛かるシーン。あれ銃だったらチェンのかわりにメイ死んでるし。 ジャッキー映画ではNGシーンはお約束だけど、マギー・チャンの流血はドン引きしてしまう。う~ん…彼女が無事生きてたってだけで、ビックモローの事故並みにショッキングな映像でした~~~ホンチ!![インターネット(字幕)] 6点(2023-06-03 14:05:10)《改行有》

53.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》 《ネタバレ》 “Raiders of the Lost Ark”『失われた聖なる櫃の略奪者たち』かな?古風に表現すれば『聖櫃泥棒』とかになるかと。私のDVDセットでは『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われた…』とシリーズ化を前面に出していました。 兄「来週金曜ロードショーでレイダースやるぞ」私「なにそれ?面白いの?」兄「面白いぞ」姉「ふぅ~ん、レイダースやるんだ~」私だけ知らない映画らしい。映画に興味の薄い姉さえ知っているのがなんか悔しい。悔しいからそれ以上食いつくのを止めたっけ。'85年秋のことでした。 いよいよ金曜日。この音楽。この主人公…え?これって去年すごい流行ってた“インディ・ジョーンズ”じゃないの??新春かくし芸の“インディ・ジューンズ”の元ネタの映画じゃないの?まさかレイダースとやらがインディ・ジョーンズとは思ってなかったから、凄い得した気分♪ 背中にびっしりの蜘蛛に驚き、ミイラ化した死体に驚き、トラップにイチイチ驚き、黄金像と砂袋にガイドの男と同じ気持ちになり…飛行機で脱出するまでで、もう映画一本分の満足感。噂に違わない名作でした。 凄く頼りになるのに蛇が怖い。二枚目なのにマリオンに思いっきり殴られる。剣を振り回す悪党を銃で倒す。こんな主人公観たこと無い。こりゃ人気出るわ。 更に敵が謎の組織とかでなくナチス。当時はナバロンの嵐とか第二次大戦の戦争映画が割とテレビで流れてたから、ナチス・ドイツって身近な存在で、しかも歴史上実在した悪の組織だったのね。初めて観る全翼の輸送機(オリジナルらしい)。よく現存してるなって関心したUボート。空に海にとナチスの謎だらけの秘密装備がどんどん出てきて素晴らしい。 ジャングルや砂漠を舞台とした冒険映画の中に、戦争映画の悪者が出てくるんだから、ジャンルの違う映画2本一緒に楽しめてる感覚になってました。 世界を股にかけたインディの冒険。まだ終わらない、まだまだ終わらないクライマックスの連続。最後は悪党まとめてドーン!!…悪党の最後とは言え、まだお子ちゃまの私にはショックだったわ。「絶対目を開けるな!」うんインディの言う通りだったわ。 あれだけ奪い奪われしたアークのその後も洒落が効いてて、本当に本当に素晴らしい映画でした。 もう“映画”というより“体験”でしたね。翌日の学校で、友だちにレイダースの素晴らしさを延々と喋ってました。まだウチにはビデオなんてなかったから、近所のスーパーのレコード店で、レイダースのビデオ予告をエンドレスで流してたので、急いで友だち連れてきてず~~~っと観てました。友だちが帰っても私だけず~~~っと観てたから、店主に時代劇物に変えられました。 当時映画に革命を起こしたスピルバーグとルーカスの夢のタッグ。一番驚くのは、これだけの密度の映画が、たった115分の上映時間に収まってる事ですね。[地上波(吹替)] 10点(2023-05-28 22:57:04)《改行有》

54.  ブレードランナー 《ネタバレ》 “Blade Runner”レプリカントを処分する職業の名称なんだけど、なんか『非合法な医療器具(メスとか)の運び屋』って意味の小説タイトルから拝借したそうな。医者(警官)じゃないけどガン細胞(レプリ)を見つけて切り取る(処分する)仕事。ってニュアンスだろうか? 初見はサイバーパンク目覚ましい'80年代後半。近未来リアルSFの金字塔として超有名な本作。ターミネーターみたいな派手なSFだと思っていたのが、思いのほか静かな映画で驚いた。近未来が舞台のハードボイルド映画なんて想像してたのとあまりに違った。 火を吹き上げる工場の煙突。薄暗いモヤモヤの空(光化学スモッグ?)。身体に悪そうな雨(酸性雨?)。空飛ぶパトカー。動く写真。奥行きのある写真。ウロコに書かれた製造番号。大画面で映される芸者風の女性。強力ワカモトがコカコーラと同等に映される。ゴルフ用品?怪しい日本語表記。中国っぽい自転車の行列。ネオンの「ジッジッ」って音。傘の柄にもネオン。箸で器用にうどんを食べるハリソン・フォード…これこそ私達の近未来。 和洋中ごちゃ混ぜな世界観。'70年代まで主流だった便利で明るい未来とは別な、退廃的な未来像。漠然とした不安を感じさせる世紀末以降の世界として、どこか説得力と力強さがあった。あの時代によくこんなワケ解んない世界を映像化したよ。凄いよリドリー・スコット。 そうそうレイチェルの凄い髪型。あれってきっと芸者の日本髪から着想したんだろうな。物凄い肩パットとともにレトロ感を感じさせるようになってしまった。もちろんあの凄い髪型から、どうやったか謎だけどウェービーな下ろし髪にした際の可愛さアップにホッとしてしまう。 舞台は2019年11月。いつの間にか現実が近未来を追い越してしまった。サイバーパンク世界の時代はついに来ること無く、ブレードランナーですら過去の物語になってしまっていたわ。 色々なバージョンが有るこの作品だけど、私が当時何回も繰り返し観ていたのは、レイチェルの寿命について説明のあるバージョン。ビデオには“完全版”って書いてあった気がしたけど、多分こっち。 いわゆる“完全版”も、どこかで観た気がするんだけどなぁ。 ~『ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版> 』へ~[ビデオ(字幕)] 9点(2023-05-06 14:34:00)《改行有》

55.  ニューヨーク東8番街の奇跡 《ネタバレ》 “*batteries not included”『※(この商品に)電池は含まれていません』。死産だったUFOの末っ子を見て、無口なハリーが放ったセリフです。どの辺りが東8番街なのかセリフをよく確認しませんでしたが、たぶん適当に付けたんでしょう。だけどなんか古典的名作っぽさは出てます。 公開当時、やたらとスティーブン・スピルバーグ製作総指揮って映画が多かったです。提供だったり製作総指揮だったり。ハートフルで、コメディで、家族で楽しめそうなライトSFファンタジー作品。CMに『スピルバーグ○○』って書いてあるだけで、ハズレが無いんだろうなって印象を持っていましたね。このスピルバーグ印のファンタジー作品って、当時は年に何作も作られていたので、実際どれほど彼が制作に関わっていたんだか、謎といえば謎でしたね。 善良な主人公たちとフレンドリーな宇宙生命体。過激な描写は控えめで、途中ホロリとさせられ、最後はハッピーエンド。本作も例に漏れず、私達がイメージするスピルバーグ印“っぽい”作品でした。 当時の大抵のスピルバーグ印は子供(せいぜい高校生の年代)が活躍するんだけど、本作はメインがお年寄り夫婦なのがちょっと異質だったかな。そのおかげで、グーニーズみたく子供が大活躍するのにリアリティを感じなくて入り込めない人には、丁度いいやって。 あのUFO夫婦が砕けたガラスから破れた写真まで直してしまうのは、ちょっとチート能力過ぎる気がするけど、可愛いから許せます。子供たちに飛び方を教えるとことかも、ほのぼのしてて良いですね。 最後は“絵に書いたようなハッピーエンド”なんだけど、それを実際映像で見ると『これで、本当に良いの?』って思えてしまうのは、当時も今も同じ感想。[ビデオ(字幕)] 5点(2023-04-24 01:17:41)《改行有》

56.  レイジング・ブル 《ネタバレ》 “Raging Bull”『激怒した雄牛』。実在のボクサー、ジェイク・ラモッタのあだ名。 リベンジ・マッチを観て、ロッキーと比べてあまり覚えてなかった本作を再視聴。ボクシングの映画と言うよりはジェイク・ラモッタという人の自伝。見どころはデ・ニーロの極端な体型変化。役者だからダイエットと筋トレは何とか出来るとして、バー経営者時代のあの不健康な太り方は凄い。あそこからどうやって標準体重に戻したんだろう? 自伝なんだけどラモッタがどうにもこうにも好きになれない。奥さんいるのに15歳の小娘と付き合って結婚。ビッキーの些細な言葉尻を掴んで責め立てる姿は不快感しか沸かない。ほんの一言ジャニロを「二枚目」って言っただけであそこまでクドクド・ネチネチと…夜寝てるとこにまで来て「なんで二枚目って…」おいおい病んでるよあんた。この展開が不快で不快で仕方ない。 適当に勧められた食べ物を頼んだだけで、男とちょっと長話しただけで、権力者のキスを拒まなかっただけで、いちいち絡んでくるラモッタ。最後は暴力まで使うんだから、ビッキーは引っ込むしか無いよな。あぁ救いのない物語。 あ、一方的に浮気を疑われたベッキーが観た映画がたまたま『花嫁の父』って偶然におぉ~ってなった。 なんかボクシング映画というよりはマフィア映画っぽい。表舞台である試合やトレーニングはサラッと描いて、そのウラの八百長の誘いとか、ラモッタの暴力的な感情を包み隠さず描写している。プールサイドでの取材と家族写真の白々しさ。遅すぎた離婚。 この映画のラモッタが“皆が知る彼の素顔”なのか“想像はしていたがあまりに酷い裏の顔”だったのか?う~ん、輝かしいラモッタのオモテの顔をテレビとかで観ていたら、この作品により深みを感じられたかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-20 23:05:40)《改行有》

57.  ブルース・ブラザース 《ネタバレ》 “The Blues Brothers”『ザ』を抜いてます。邦題ではジェイクとエルウッド兄弟を。原題では架空のバンド名を表しているんでしょう。 テレビ番組のバンドが人気になって映画になって…って、ポケビやピコ太郎が映画になったようなイメージだったのかなぁ?この映画以外でザ・ブルース・ブラザーズ・バンドを観る機会って無かったから。でもUSAフォーアフリカでダン・エイクロイドが参加してるのが不思議だったけど、このバンドがあったから。なんだろうなぁ。でもエルウッドでなくダン・エイクロイドだし、格好も黒ずくめでなく普通なのは、飢餓救済の真面目な取り組みだったからかな。 私が映画に興味を持った頃、E.T.なんかと並んでビデオ化されていない人気作品の一つとして知名度が高く、そんな本作がいよいよビデオ化、レンタル化しますよって時は、すごくワクワクしたのを思い出します。 ただテレビで放送していたのを先に観た記憶も有って、確かネオナチのエピソードがばっさりカットされていて、最後の大ジャンプのシーンだけ急にナチが出てきて、???この人達だれ?ってなった思い出もあるから…初見の記憶はちょっと曖昧です。 期待したほど盛り上がれなかった。というのが当時の感想です。ロック、アクションの合間にストーリーって感じの構成。洋楽は好きだったけど、出てくるミュージシャンが私が聞く洋楽より一つふたつ前の世代の大物なので馴染みが薄く、1曲しっかり歌い切る間に飽きてしまったのかも?う~ん。カーアクションは目を見張る物があったし、2人のキャラも面白い。けどお子ちゃまにはウケないのかも? 今回結構久しぶりに観たんだけど、展開知っていると面白かったわ。そしてJベルーシはもちろん、レイ、J・ブラウン、アレサら既に亡くなった方々が、コメディ映画で楽しそうに演じているのを観るのもほっこりする。あぁキャリーもJ・キャンディも出ている。 こんな書き方すると私(よりちょい上)世代にとっては懐古映画としての価値が高いのかもしれないけど、パトカーがガッチャンガッチャン壊れるのも大掛かりだし、エルウッド本人がシートベルト無しで(たぶん)ガチ運転してるところなんか、当時のアクション映画すげーって思えました。[地上波(吹替)] 7点(2023-04-16 15:41:52)《改行有》

58.  ブロンコ・ビリー 《ネタバレ》 “Bronco Billy”『荒々しいビリー』。東海地方のレストランチェーンの名前は、この映画と無関係ではないだろう。たぶん。 イーストウッドがソンドラ・ロックとイチャイチャしたいがために創った映画なんでしょうね。ほかの共演作同様、最初から恋人とか夫婦とかでなく、恋の始まりから描いていくあたり、現実の恋を盛り上げる調味料として機能したんじゃないでしょうか? コメディだからいい加減な点はあっても不思議じゃないけど、コレはどうだろう?って点も目についたかな。アントワネットもジョンも世間からは行方知れずになっただけだろうに、どうして殺人事件にまで発展したんだか?アントワネットも新聞見たなら、生きていることを伝えれば解決しただろうに。そもそも30歳までに結婚して遺産を相続?とかって話はどこに吹っ飛んだのかな? 主人公のビリーもすぐ怒る性格。「半年も無給だから…」ってビリーに気を使いながら言うリンチに対し、全員を雨の中整列させて恫喝。いや半年は厳しいだろうに、それを金の亡者呼ばわりって… 浮気した妻を銃で撃ってしまったり、浮気相手は親友だから撃たなかったり。テント火災で起死回生の案が列車強盗って…孤児院を無料で慰問する人物なのに。その場その場で起きることを観ている分には楽しめるけど、ふと経緯を振り返ると、あれれ??ってなる。だけどテレビでぼんやり観るのには最適な作品だったと思う。 '80年の作品と考えると完全に下火になっていたカウボーイ映画を、旅一座の物語として現代劇に組み込む手法は、なかなか面白いアプローチ。確かに、私も本作がテレビのロードショーで流れていたのを観たときは、西部劇だとは思わずに観ていたからなぁ。[地上波(邦画)] 5点(2023-04-10 00:21:27)《改行有》

59.  ドライビング Miss デイジー 《ネタバレ》 “Driving Miss Daisy”『人使いの荒いデイジーさん』。アカデミー作品賞受賞作。 当時映画に興味を持ったばかりの私は、アカデミー作品賞とは『その年の数ある(アメリカ)映画の中で優勝を勝ち取った映画』が受賞するモンだってイメージを持っていました。優勝って、つまり一番すごい作品が勝ち取るモンだと。すごい問題作。すごい壮大な作品。すごい話題作… なのに、俳優もテーマも地味なこの作品が、大きな大事件が起きるわけでもないこの映画が、しかも前年のレインマンとちょっぴりイメージが被るロードムービーが、何で優勝したんだ??何だろ?アカデミー作品賞って?って、謎が膨らむきっかけとなった作品です。 この映画、歳を重ねる度に好きになっていきます。たった99分の作品なのに、デイジーとホークの半生が、ゆったりとした心地よい時間とともに流れていきます。のちのち笑い話になったであろうサケの缶詰事件。デイジーのツンデレっぷりが可愛らしいクリスマスの贈り物。恐怖、アラバマの路上で一人ぼっち。安らかな日常生活のまま穏やかに迎えたアデイラの死。老後のドラマとしてこのくらいのハプニング、事件が丁度いい、これくらいが良い。 デイジーは食卓で食事をし、ホークはキッチンで食事をする。それが主従関係。アラバマの道中もデイジーは車内、ホークは外。それが彼らの立場。人種の壁が生んだ立場。明らかな差別を受ける黒人と、目に見えぬ差別を受けるユダヤ人。二人の間に徐々に生まれる友情。ホークがデイジーと同じテーブルに座り、パイを食べさせるのに要した時間は30年。 このゆっくり、ゆったりした映画、人種間の見えない壁。生まれた時から知らずに出来ていた壁。それが壊れていくのに必要な時間を解りやすく観せてくれる。30年だって。 SDGs?2030年までに実現可能?ハァ?だよね。 あ、私にとってアカデミー作品賞の基準って、今でも謎です。多くの受賞作品を観るたび、むしろ謎が深まってます。[ビデオ(字幕)] 8点(2023-03-28 22:17:29)《改行有》

60.  ホワイトナイツ/白夜 《ネタバレ》 “White Nights”『白夜(が続く)』。この映画に限らずだけど、'80年代中盤のハリウッドってソ連に対しメチャクチャ敵意を持っていたのが伝わる。ソ連に不満を持つ人がいい人に描かれているというか… ニコライの圧巻のダンスから飛行機の緊急着陸の緊張感の展開は、物語にグイッと引き込まれて素晴らしい。だけどソ連(と言うかチャイコ大佐)がニコライをどうしたいのか、脱走兵のレイモンドと組ませてどういう効果を狙ったのか、イマイチ解らない。グレゴリー・ハインズのタップダンスも素晴らしいけど、畑違いの2人を組み合わせるなら、何かしらのステージで成功して終わる姿も観てみたかった。 ただ最後の脱走劇と、レイモンドの最後、緊張感と安堵感があって、この終わり方でも良いのかって思ってしまった。 本当にソ連から亡命したミハイル・バリシニコフの起用。日本では当時エディ・マーフィに次ぐ人気(だったと思う)の黒人俳優グレゴリー・ハインズ。主題歌"Say You, Say Me"も懐かしくて良いけど、力強いビソツキーの歌がソ連らしくて良い。 フイザベラ・ロッセリーニをロシア人として起用したのは、お母さんが演じた『追想』のアナスタシアを意識してのことだろう。きっと劇中のニコライやレイモンド以上に、フィザベラはリアルな重圧を感じていたに違いない。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-03-26 00:01:05)《改行有》

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