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761.  影武者 《ネタバレ》 学生時代に借りて観て、事前に聞いていた評価の割に面白くなく思えた。乱は怖くて重くて楽しめたのに、この影武者は軽くて退屈だった。自分には合わないのかなぁ、と思って、以降黒澤作品を借りることはなくなった。 今回久しぶりの鑑賞。昭和55年当時、一般的に考えられていた史実と、諸説・異説。そこに創作の融合。信玄に重症を負わせた狙撃手の解説なんかとても面白く、実際どうかはともかく、暗闇で狙撃を遣り遂げた工夫に説得力があった。 間者を騙し、孫を騙し、女を騙し、刺客を騙しと、次々と降りかかる無理難題。そこに輪をかけて勝頼の嫌がらせ。影武者と重臣たちがどう乗り越えるかは、影武者の醍醐味として堪能できた。特に側室たちに対する暴露は緊張感と笑いの見事な演出。 ただどうにも、全体的に盛り上がりに欠けていたように思う。例えば重臣たちの会話などが所々台詞・台詞していて、活き活きとした会話とは言いにくい場面があちこちに観られた。また乱同様、あまり役者の顔に寄らない撮影方法から、まるで舞台演劇を観ているようで、映画としての役者の躍動感が感じられなかった。名だたる俳優が揃っている(山崎、室田、根津、倍賞、観ているあいだ気が付かなかったわ)のに、大滝秀治と隆大介くらいしか、印象に残らない撮り方というのは如何なものだろう。 信玄討たれるの報を聞き、馬を走らせる信長の場面。馬の疾走→信長の顔→城。を二回半も繰り返すクドさ。誰かが入れたいもの、誰かの要求されたものを全部突っ込んだら、結果こうなった感が半端ない。 高天神城の戦いの夜襲は本当に真っ暗で、せっかく騎馬武者を走らせているのも関わらず、何が起きているのかよく見えない。 佳境の長篠の戦いも、まるで策もなく特攻し、一方的に撃たれるを三度も繰り返す冗長さ。また撃たれた人馬の死屍累々、三重臣の死体を、ほぼ均等な長さで延々と映す長さ。削るべきを削り、活かすものを活かす潔さが必要と思われるのに、それを削ること無く全部入れてしまうから、結果こんなに長く、盛り上がりにかける作品になったんじゃないだろうか。 また全滅した武田軍の死体、うごめく重症者、倒れた馬。当時の定説はどうだったのか、射程の短い火縄銃の被害にしては、戦線が伸びすぎではないだろうか。ガトリング砲やライフル銃が出てきた時代の戦場に見える。そう西部劇の時代、南北戦争の戦場のようだ。 同様に高天神城の攻城戦の、家康軍の銃の撃ち方も、まるで南北戦争。当時はまだ、射手が自分の判断で動く敵を撃つのではなく、指揮官の指示で決まった方向に銃を向けて撃つだけの時代だと思う。また火縄銃の構造上、下向きには撃てないんじゃないかな。どうだろう?(※撃てるみたい) 音楽も違和感を感じさせる。お館様のご帰還に合わせて鳴るファンファーレの場違いなこと。言われるがまま創ったものを組み合わせたら、こうなった感が…。「ちょっと合わないよなぁ」と言う人が居なかったのか、言えなかったのか。 信玄の死を聞いて自然に敦盛を舞う信長。入れたかったんだろうけど、実際入れると不自然さ、違和感を感じる。 『風と共に去りぬ』のような戦争大作を、日本の戦国時代を舞台に創る。という目論見だったのか。 芸術性はともかく、娯楽作品としては盛り上がらないこの映画。世界進出を狙って制作され、見事パルムドールを受賞したものだから、後年の黒澤映画の代表作、傑作の一つとして鎮座してしまい、結果として(当時の)若い人が、本当に面白い過去の黒澤映画に触れる機会を逸してしまったのかと思うと、少々勿体ないように思う。[ビデオ(邦画)] 4点(2022-05-29 17:11:21)(良:2票) 《改行有》

762.  北斗の拳(1995) 《ネタバレ》 -Fist of the North Star- “北極星の拳(こぶし)” こちらでワースト四天王(?)に挙がるくらいなので、余程酷いものを期待していたけど、案外観られる作品だったと思う。 東映Vシネマのアメリカ版とのことで、安かろう事は想像できたけど、制作費2億円は、Vシネマにしては凄い金額なのかな? 制作された'94年当時、1$=100円として2億円≒200万$。同年代の大作ダイ・ハード3が9000万$、デスペラードで700万$、あのストリートファイターで3500万$だそうだから、どのような規模の映画か想像できる。 その少ない予算で片手間にフザケて創ったのかといえば、案外真面目に制作されたんじゃないだろうか。 ベースはシンのサザンクロス編。ランデル監督らは限られた構想期間で、原作コミックではなく、TVアニメと'86年の劇場版アニメをベースに選んだんだと思われる。当時は英語版のコミックが手に入らなかったのかも。TVアニメではサザンクロス編は結構長く、カーネルもジャッカルもシンの部下で登場。そしてシン配下の怪しい南斗聖拳の使い手がいっぱい出てくる。南斗列車砲とか。 劇中処刑される南斗のマスターは、どことなくTV版のジョーカーっぽい(髪型なんかが)。 で、制作までの時間も無いから、ビデオの早送りを駆使して長いアニメを視聴して、作品に詳しい人に解説してもらって「あ、ここアニメオリジナルね、原作だとこの子(バットの弟分タキ)死んじゃうのね、そんでね…(早口)」所々勘違い(バット死んじゃうのかぁ。とか)しつつも、巨人デビルリバースは予算の関係で無理だなぁとか考えながら、更に短くまとめられた'86年劇場版も観て、コッチをベースにしたほうが良いのになぁ、このジャギってキャラ、カッコいいなぁ…なんて思いつつ、劇場版でもジャギはシンとの絡みがあるからコッソリ出して、中堅どころのクリス・ペン使っちゃって。って具合に。 シンがリュウケンを銃殺(!!)するのはショッキング。映画の序盤だったし、さすがにココは吹き出した。うん、さすがワースト映画って思ったわ。 だけどジャギだって銃は使うから、原作をよく知らない人が創ったと思えば、そんなに無理設定ではないかもしれない。 ゲイリー・ダニエルズは元キックボクサーだそうで、本当にケンシロウのように素晴らしい肉体。後半のザコ相手のケンシロウ無双は素直にカッコいい。 少ない予算でVFXも限られたシーンにしか使えなかったんだろう。やはりインパクトのある顔面破裂は使いたいし、ライバルのシンの強さを強調したいから、南斗聖拳の切れ具合も入れたいと。 あのペチペチ百裂拳は、制作陣も悩みに悩んだ末の決断だろう。実際に拳の連打を出せるゲイリーの技術を取るか、低予算の特撮でそれっぽく見せるか。結果は多くの失笑を買ってしまったけど、今のCG技術でもない限り、百裂拳を格好良く撮るのは難しいと思う。 不遇なB級肉体派俳優ゲイリー。エクスペンダブルズではジェット・リー相手に華麗なマーシャルアーツを観せる。 ゲイリーが自分の子供に“ケンシロウ”と名付けたって知り、不覚にもジーンと来てしまった。 あの素晴らしい原作と比べたら、こちらでの低評価も納得だけど、モトがTVアニメだと思うと、案外頑張った低予算映画かなって。 1点付けるつもりで観たけど、出来の悪さに怒りを覚える2点でもないし、3点でも良いんだけど、ゲイリーに愛着湧いてしまって… 平均点上げてしまってすみません。[インターネット(吹替)] 4点(2022-05-15 17:51:14)《改行有》

763.  カクテル 《ネタバレ》 当時はトップガン→ハスラー2と、飛ぶ鳥を落とす勢いのトム・クルーズ人気。その勢いで、このカクテルも結構流行っていた。少なくとも知名度はあって、堺正章が新春かくし芸でフレアバーテンディングをやると知ると“あぁ、トム・クルーズのアレね”ってみんな解ってたくらい。トムがあの甘いマスクでアルコールのボトルをクルクル回す姿は、本当に格好良かった。 でも映画自体を見る機会がなく、今回ようやく初視聴。アイドル映画だとは理解していたけど、あまりに中身が薄っぺらい。 金持ちになるのが目的で、日中は学業、夜はバイトの2足のわらじ。眠い目を擦って成功に向かって頑張るかと思いきや、早々に学業をリタイア。一方バイトは活き活きと楽しんでて、ロクに練習シーンもなくボトルをクルクル回してる。単にブライアンに才能があったってことだろうか?自分の店を持ちたいのは解るけど、リゾート地ジャマイカで楽しくバーテンダーやってるなら、それはもう、その時点で成功者なんじゃないか? ジャマイカで金を稼ぐブライアン(NYでバーテンのバイト辞めた)。ジャマイカに新婚旅行に来るダグ(NYの金持ち女のヒモ)。ジャマイカに遊びに来てるジョーダン(NYのレストランのウェイトレス)。NYにとってジャマイカって何なんだろう? ブライアンにとってのダグの存在がよく解らず、ブライアンの彼女を寝取り、数年ぶりの再開でブライアンをからかいながら、金持ちの女を落とせとけしかける。このダグとブライアンが、フレアバーテンディングの大会とかに出て成功を収める映画だと思っていた。放り投げたオリーブを口に咥えた楊枝でキャッチするシーンが出てくると勝手に思ってたから、後半ほとんど“カクテル”関係なくなってくるこの映画の着地点、ゴールはいったいどこなんだ? 失敗はしても挫折することも教訓を得ることもなく、ただただブライアンが欲しい物を手に入れていく映画。トム・クルーズの格好良さ、エリザベス・シューの可愛さを観るぶんには文句なし。前の方も書いているけど、トム自身の歴代ワースト4に挙がる作品らしい。じゃ他の3本は何だろう?ちょっと調べたけど出てこないところを見ると、トムはこの作品だけ突出してワーストの評価をしていたのかもしれない。[インターネット(字幕)] 4点(2022-04-17 22:54:48)《改行有》

764.  悪霊島 《ネタバレ》 '80年、ジョンレノンの死から始まる。三津木五郎の青春時代、ビートルズとヒッピームーブメントに溢れた'60年代後半の回顧録…として始まる。今までのシリーズとはちょっと変わった出だしだけど、金田一さん、磯川警部とお馴染みの顔が揃ってからは、どんどん五郎の出番が減っていき、普通に金田一モノになってしまう。あれれ… 金田一モノといえば、昭和20年代、戦後のいざこざで浮き彫りになる田舎の風習、ドロドロした一族の内情なんかを暴き出す印象が強いけど、本作は昭和44年が舞台。過去作との関連性を考えると鹿賀金田一は若く思える。渥美金田一のように現代劇バージョンもあるから、独立した作品と考えたほうが良さそう。 ブライアン・メイみたいな髪型の鹿賀金田一も、60年代後半という時代を考えるとオシャレで面白い。刑部島の風景とか良い雰囲気だし、根岸季衣のグイグイ来る女中さんもいい味出している。グロ場面にはかなり力が入っていて、損壊した死体は生々しいし、腕を咥えて走る犬の演技は素晴らしい。そして何より岩下志麻。キツい表情の多い印象の彼女が、この映画では優しい表情をしている。守衛を殺した直後、振り返って五郎に微笑む顔は、イタズラをした後の上品な猫のように可愛い。 岸本加世子が「片帆」って言うの、名前だったのね。双子だからてっきり「片方」って呼んでるのかと… この映画、観どころは結構あると思うんだけど、どうにもお話に集中できず。本物の金田一モノなのに“金田一っぽい作品”感、いわゆる既視感がつきまとうのは、映画も原作もマンネリ化してきたためだろうか?先に書いた五郎と事件の関わりの薄さ。ビートルズと事件の関係なさ。最後金田一が歩き去るシーンはどう観ても'80年代。どうしてもっと、頑張らなかったの? 横溝正史の死。金田一シリーズ最後の原作小説。金田一映画ブーム最後の作品。色々なものが終わる区切りの作品。最後の曲がレット・イット・ビーっぽい曲(あ、カバーでしたか)なのも、ホンモノでなく“…ぽさ”を増す要素になっていると思う。 ニコニコ動画で当時のCM観たら、ホンモノのレット・イット・ビーが流れてやんの。 '60年代の青春映画な味付けの金田一って感じで、メッッッッッチャ面白そうなのな~このCM。[インターネット(邦画)] 4点(2022-04-03 16:20:07)《改行有》

765.  戦国自衛隊 《ネタバレ》 とっととタイムスリップするスピーディさ。止まる時計、奇妙な星の位置。最新兵器にはしゃぐ戦国武将。騎馬武者と戦闘車両の混成部隊の妙は素晴らしい。ヘリのカットインのしかた、飛び去りかた、低空ホバリング。とにかくヘリの動かし方が格好良いのだ。パイロットの技量だろうか、あんな鈍臭そうな輸送ヘリが格好良く観える。ただ今回久しぶりに観たけど、こんな幼稚な内容だったっけ? タイムスリップという題材は、沢山の“-if-もしも?”を書ける優れた題材であり、観るものの期待する(or期待を裏切る)妙を楽しめる好材料。戦国時代に自衛隊が行くなんて、ワクワクする美味しいネタだ。未来に与える影響、活かされる歴史の知識、思ってたのと違う新事実。そんなのを一切排除して“現代兵器で襲い来る戦国武士と戦う”だけだったなんて、やってる内容はアクション・ゲームと変わらない。 『他の時代だから何をしても良い』と、暴走した仲間を殺し、村人を殺害し女を誘拐・強姦する矢野一派。当時の自衛隊ってこんなにも脆い組織に思われていたんだろうか?厳しい訓練をして、肉体も精神も鍛えられているだろうに。 『戦って天下を取れば昭和に戻れる』なんて、思いつきにしても適当過ぎる理論に命を賭ける自衛隊員達。まさか何の作戦も立てずに、長尾軍と共闘もせず、突撃・乱戦するなんて、まるで武器を持ったアルバイト自衛官だ。 武田信玄との一騎打ちも、まさかの拳銃を使うなんて拍子抜け。あんなに大損害を受けても、大将首を獲ったら戦闘に勝利できるなら、ヘリから敵本陣に飛んで掃射するとか、三村に狙撃させるとか、一般人の私でも思いつく。 天下を取りたい伊庭三尉に対し「あの平和な時代が大好きです」と本音を言う部下たち。ここに自衛隊に対する製作者の考えが見える気がする。何だかんだ戦争をしたい伊庭みたいなのが上官に居て、矢野のような乱暴な思考の者がリーダーシップを取る組織・自衛隊。そんな組織でマトモな意見が通りますか?「補給基地に戻りましょう」なんてマトモな意見も、上官の力で握りつぶされます。タガが外れたら人殺しの集まり。結局は軍隊なんですよアイツ等。…って言いたいのかな?と。 フンドシと海。三点倒立して戯れるオッサン二人。ヘリに吊るされてクルクル回ってる伊庭三尉(もっと格好良い画になると思ったんだろうけど、あんなんなって。お金掛けて撮っちゃったし、仕方なく使ったんだろうな)。小野みゆきの眼力。やたらと横文字の多い挿入歌(アメグラ?どこがどう??)。 タイムスリップ考証、自衛隊の理念をしっかり描いたって、こんなパワフルな映画は出来なかっただろう。きっとつまらなくなるのは想像できる。色々詰め込んだ結果が評価の低い戦国自衛隊1549(未見)かもしれない。 目くじら立てず、深く考えず。…何だこの映画?って、笑って観るのが丁度いいのかもしれない。[地上波(邦画)] 4点(2022-03-20 13:36:53)《改行有》

766.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 -Fury- “怒り”主人公の戦車に付けられた名前。 戦闘シーンは迫力があり生々しい。戦場で戦車がどう使われたか、どんな戦い方があるのかがよく分かる。大砲を撃つ、機関銃を撃つ、踏む(痛い!)。 戦車の弾も①厚い装甲を貫く弾②炸裂して鉄片を撒き散らす弾③人体にこびりついて燃える弾(怖い!)。 本物のティーガーⅠ戦車が出るのも凄いことのようで、シャーマン戦車をバッタバッタと倒していく。 前半部分で戦場の悲惨さ、不条理さをキツめに描写しているため、多少の変な描写にも目を瞑って観られたけど、後半から素人目にも嘘くささが目立ってしまったのが残念。 合唱行進するほど士気の高い武装SS大隊300人を発見してから、戦闘に入るまでの長~~~い準備時間。ノーマンが走れる距離のちょい先に大隊が居たんだよな?戦車を包囲されてから反撃するフューリーの面々と、一箇所の敵に単純な反撃を繰り返すゾンビ並みの知能のSSの方々。 コレ、戦闘が終わってみたら敵は訓練上がりの少年兵ばかりってオチか?って思ったけど、そうでもなく。そもそも序盤に少年兵が、パンツァーファウスト1発で味方戦車を丸焼きにしてるし。少年兵のより威力の弱いパンツァーファウストしか持ってないSS大隊の謎。 戦闘が終わり、若い兵士に見逃されるノーマン。私コレ、ドイツ兵から見えなかったんだと思ったんだけど、見逃したんだとしたら意味不明。さっきまで歌を歌ってた仲間がコイツ等にたくさん殺されたのに、見逃す意味って何?そりゃ序盤に捕虜の射殺シーンがあるけど、ノーマンもそうなるとは限らないし…こんな後半から逆算すると、いろいろ変な映画だなぁって思える。 ドイツもアメリカもどっちも悪いことをしてるけど、射殺された捕虜はアメリカ兵の上着を着ていた事を強調していたから、どこかでアメリカ兵を殺した悪い奴って印象付けしているし、下品な戦車兵たちもドイツ人女性をレイプまではしないで、同意の上で抱く。そんな所がアメリカが酷いことをした理由の言い訳に思える。だけどどうにも、兵士というより海賊や山賊みたいな登場人物たちに、魅力を感じにくかったな。[インターネット(字幕)] 4点(2022-03-13 15:15:44)《改行有》

767.  蘇える金狼(1979) 《ネタバレ》 恐らく、松田優作が亡くなった時に、追悼番組で観たのが最初だと思う。 で、今回改めてこの映画を観て解ったこと。『私は“ハードボイルド”というジャンルを、純粋に楽しめないんだな』ってこと。 生活感のない、死と隣り合わせの生き方。金、女、暴力。銃の手入れ、ウイスキーのロック、煙草の紫煙、男のロマン。ハードボイルドの雰囲気は大好きだ。だけど、観ていると“??”っとツッコミを入れたくなってしまう。 過去にこちらでレビューした“ハードボイルド”作品も同様。作品を好きな人には失礼にも思えるツッコミレビューを書いてると思う。もうこの時点で“ハードボイルド”の楽しみ方が違う、明らかに私の方が間違っているのだ。 当時も気になって仕方なかった「弾が貫通してあんたに当たる」って話。その絵面の、どうにも説得力の無さ。銃の知識なんてどうでも良くて、せっかく教えてくれたんだから、磯川が座り位置をズレるか、狙撃手が3方に分かれれば良いだけの話。どうして朝倉はあんな自信たっぷりにハッタリ咬ませてるのか?磯川たちも誰も突っ込まないのが不思議で不思議で。 取引の島(?)も、そもそもまっ昼間に手こぎボートで上陸からの不意打ちなんて無理。遮蔽物がないから確実に見つかる。ナイフで敵を仕留めた時に発砲されてるのに集まってこない磯川軍団。5人以上が銃で武装してて、機関銃まであるのに、余裕で勝つ朝倉。伏兵が全滅してるのに無線連絡とかもしないで上陸してくる迂闊な磯川。朝倉に都合よく物事が進みすぎ。映画なんだから嘘があって当然だけど、もっと上手に騙してほしかったよ。 松田優作のスタイルは格好良い。上司を恫喝するところとか迫力もある。当時リアルタイムに観ていたら印象も違ったのかな。 だけど人生の大半を過ごす“表の顔”サラリーマンの方でカツラを被るのはいかがだろう? 週5日8時間+残業もあったろう。当時だったら土曜半ドンもあったろうに、そっちでカツラ被るか?普通。[地上波(邦画)] 4点(2022-03-10 22:38:22)《改行有》

768.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 -Dancer in the Dark- “暗闇で踊る人”。 また-in the Dark- には“見当がつかない”“何も知らずに”“秘密に”って意味があるようで、単純にセルマの視力のことだけでなく、アメリカ社会、息子のジーン、ビルとの関係とも関連してるような感じにも思えます。 劇場予告を見て、汽車のミュージカルシーンに圧倒されて“おぉ!コレは観なくてはっ!”って思って、速攻サントラ買って聞きまくってたんだけど、当時よっぽど忙しかったのかな?結局レンタルビデオで金曜深夜に観たんだよ。思ってたのと違う方向に向かう映画で、叩くことも、称賛することも出来ず、ただ口をへの字にして寝込んだっけ。ちなみに兄は、日曜の朝に茶の間のテレビで観ていたわ… ハンディカメラで撮ったような色褪せたセピア調の映像は、ドキュメンタリーのようにリアル。ビルを殺すシーン。死刑執行のシーンは「もうやめて…」って思うくらい長く感じられて、目を背けたくなるくらい生々しい。 一方でセルマの妄想、ミュージカルシーンは色鮮やか。面白いのは妄想のセルマがどんどん美しく、女らしくなっていく。工場のミュージカルシーンでは、ほぼ普段どおりの地味なセルマのまま、メガネも掛けたまま。それがジェフとの仲が良い感じに進み、メガネを取り、髪を振り解いて踊る。憧れのノヴィとのダンスでは彼の膝に乗り、107歩では囚人を魅了して回る。 “子供の目の治療に人生のすべてを捧げる母”という彼女が自分で敷いた人生のレール。それがビルの手で狂わされ、リアルに死が迫るにつれ、彼女の中の生きたい気持ち、やりたかったこと、女としての願望が強く出てきたように思えて、こちらもまた生々しく感じた。 トリアー監督。子を思う母親の気持ちを描いた映画なんだけど、監督の意図がイマイチわからない。ビルを殺した場面のミュージカルを最後に登場しなくなるジーン。後半ジーンの気持ちには一切触れず、セルマの描写のみで進むのも意図的。 セルマの一人称表現で撮られてるからか?と思えば、セルマが知らないジェフが診療所を探し当てるシーンは入れる。 ジーンの目は治ったのか?母親の犯罪をどう飲み込んだのか?私たちは事件後のジーンについて、キャシーの行動や言動をもとに想像するしか出来ない。 時代設定がハッキリわからないけど、マッカーシズム・冷戦真っ盛りの時代。共産圏のチェコ移民で白人警官を殺したセルマに、アメリカ社会は冷たい。劇中の設定はわからないけど、キャシーはフランス系、ジェフはスウェーデン系、医師はドイツ系、看守女性はアイルランド系(?)と、セルマに味方するのはアメリカでは力の弱い移民たち。…と、デンマーク人の監督は考えたのかもしれない。 ビョーク。一般人の理解を超えた行動、独特な作風、政治的な言動が目立つアーティスト。でもメジャーで売り出した当時は“可愛らしいビジュアルの実力派シンガー”という印象で、この映画の頃が一番脂が乗っていたかもしれない。真偽はともかく監督からセクハラを受けたというのも理解できる。 プレス機、機関車、足音。聞き慣れた日常の音をキッカケにセルマの妄想世界・鮮やかなミュージカルシーンに繋がるのは素晴らしいけど、最後の音はセルマの首の骨が折れる音と、ジーンのメガネが落ちる音。 この映画の好きな部分はビョークの歌唱力や演技力で、監督の表現したかった映像や社会の生々しさは、私には合わないみたい。[ビデオ(字幕)] 4点(2022-03-06 13:31:02)《改行有》

769.  フラッシュ・ゴードン 《ネタバレ》 -Flash Gordon- スーパーヒーローの名前かと思ったら、普通に人名でした、ビックリ。フラッシュも超人的な力を手に入れるのかと思ったら、ずっと普通のアメリカ人だもんな。 当時としても懐かしさを感じるアメコミのコマと、印象的なQUEENの歌を融合したオープニングは、今の目で見ても格好良い。 1934年から続く歴史ある漫画だそうだから、それが如何にして現代に蘇るか、とても興味深かったことだろう。 まさかね、こんな映画になるなんてね… スターウォーズを意識して制作されたらしいから、オーラ姫のセクシーな衣装は、EPⅥのレイア姫の先を行っていたとも言える。 惑星モンゴ住民の、きらびやかな民族衣装も素晴らしい。タカ族とバリン以外の民族はほとんど出番が無いのに。あ、チャリ・チョコのウンパルンパの人発見。キラキラ衣装の中に“FLASH”Tシャツのフラッシュだけが浮いている。フォーマルなパーティにカジュアルな格好できた人みたいだ。 ミン皇帝への貢物の式典。アルデンティアのサン王子に自死を強要とか怖すぎる。シリアス路線でも行けただろうに、フラッシュが大暴れで、この映画の方向性がよく解らなくなる。「ゴー!フラッシュ!ゴー!!」ゆるーい大乱闘と、ゆるーい結末。真面目なスペースオペラにする気はないようだ。そもそも天変地異のボタンが英語表記な時点でアレだったけど。 サン王子とは対象的に仰々しいフラッシュの処刑。墓石も立派すぎる。棺の裏が鏡張り。なんだろう?このこだわり? ザーコフ博士の洗脳シーン。動物と人の顔の融合、ナチスドイツの攻撃のサブリミナル映像はハッキリ言って怖い。レベル6でも耐え切る謎の強靭さ。 やたらとチュッチュ、イチャイチャするシーンが多い。だけどデイルとオーラ姫のキャット・ファイトは、良かったよ。 でも父の“営み前”に精力剤を飲むのを知ってる娘ってのも、どうかなぁ… 死んだと思ったら生きていた。が2回も。あの建物にロケットサイクルがあるならさぁ、フラッシュが操縦できるならさぁ…って思ってしまう。 タカ族軍団と戦艦の闘いがメインなんだろうけど、迫力もなければ緊張感もない。 地球滅亡と戦艦の特攻。このスケール感のチグハグなクライマックス。カウントダウンに間に合うのか?ってハラハラ感も希薄なゆっくり具合。 でもまさか、ミン皇帝の最後がZガンダムの最後と被ってるとは思わなかった。 THE END ? いや、それは無理っしょ。[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-02-23 17:40:03)《改行有》

770.  TAXi3 《ネタバレ》 軽快な自転車アクションから、いきなりスタローン。あの軽快な身のこなしで、中の人がスタローンなのを連想する人はまず居ないだろう。ちょっと予想外で笑ってしまったけど。更に007風のオープニング。自転車、スタローン、007とチグハグで、何を目指したのか解らない。 高速警備隊のランエボ、TGV追い抜きなど派手なカーアクション映画に回帰したかな?って思ったけど、どうもノリは2のままらしく…妊娠検査薬の薬局コントは面白かった。 1は無難で硬派な感じに、ドイツ人の強盗団でメルセデス乗り。「ニンジャ~~!!」が連呼された2は、日本人ヤクザにランエボ乗り。こう続いたら、フランス+プジョーと対戦するライバル国と名車って流れを期待してしまうけど、今回は中国人で何故かサンタクロース強盗団。この辺もチグハグ。どうしてアメリカやイギリスにしなかったのか。 更に残念ながら中国には、国を代表するような世界的に有名な車がない。=プジョーとのカーチェイスも期待できない。 速さすら放棄して雪山を登る雪上車モードのタクシー。「そうそう、こう言うのをね、見たかったのよね。」って人はまず居ないと思うけど。 カーチェイスはおまけ程度に期待せず、コメディとして観るなら、そこそこ面白く、シリーズ物ならではのキャラへの愛着もあるから、最後まで観ることも問題ないけど、この方向性は好きか?続編として期待通りか?って言われると、う~ん… 1だけたまたま、私の好みに近い路線だったのかもしれない。[インターネット(字幕)] 4点(2022-02-21 00:08:52)《改行有》

771.  TAXi2 《ネタバレ》 2ってどんなだっけな?って観てみたら「ニンジャ~~!!」のやつでした。私の中で「ニンジャ~~!!」のやつは、3作目か4作目の印象だったので、2作目で「ニンジャ~~!!」だったのは、ちょっと残念な気持ちになった。 というのも、「ニンジャ~~!!」以外、内容を殆ど覚えてない=印象に残らない映画。ってポジションだったから。まだ2なのに。 序盤のラリーカーぶち抜き、妊婦さんのコテコテのコント、ネズミ捕りネタ2連チャンなんて、シリーズの良い所、私が好きな空気が出てて良かったと思う。あと後半シラク大統領が出てくるなんて、この続編は相当期待されて作られたんだと思う。 けどねぇ、この映画の魅力、迫力のカースタントが前菜となり(黒いランエボ3台はトリプル・ドムみたいで格好良かったよ)、車に翼が生えて飛ぶCGがメインディッシュとなると、どうも期待していた方向と違うなって、思った。 コメディ面は前作以上に強化されていて、ペトラやジベール署長の見どころ・笑いどころが増えたし、前作の急いでる客とか自動車学校の教官とか出てきて楽しい。ベルティノー将軍や、「う~チクショウ!最悪だっ!」のユリも面白いキャラ。だけど笑いの相性が悪いと、ひたすらダダ滑りの連続に。 “迫力のカースタントの合間にコメディが入る映画”だったのが“面白キャラクターのコメディを前面に出して、合間にカースタントが入る映画”になってた。シリーズ2作目で早くも。3観るの、どうしようかな…[地上波(吹替)] 4点(2022-02-12 11:32:39)《改行有》

772.  キリング・ミー・ソフトリー 《ネタバレ》 -Killing Me Softly- “ゆっくりじわじわ殺して”。日本では真綿で首を絞めるように。なんて言うけど、確かに首絞めてたね。その映像のインパクトは結構大きくて、美しい雪山登山の映像とともに、どんな映画かずっと気になっていた。 官能的なエロスを扱った映画で、ナイン・ハーフとか氷の微笑とか、そっち系の映画だったんだ。 平凡な彼氏との生活。影のある男との唐突な出会いと情熱的なセックス。愛情が高まるほど過激に、危険になっていく二人の関係… そりゃ道歩いてたら気になる異性と出会うことはあるけど、会議もうわの空になるほど、その人が気になることって、あるのかな。いや羨ましいことだけど。 これがアダムが最初からストーカーや探偵や詐欺師で、アリスの気を引くよう誘導してたりなら解るんだけど、ホントお互いに交通事故みたいな出会いで、すぐに再会、すぐにセックスって…アダムはそういう性癖だって解るけど、アリスは平凡な彼氏と暮らしてるんだから、それにしてはトリガー軽くない? そう、禁煙してる人が急にタバコ吸いたくなって衝動的に吸う(アダム)のはわかる。でも今までタバコ吸わなかった人が、いきなり衝動的に吸う(アリス)のって、あるのかな?ジョセフ・ファインズにそこまで強烈な第一印象って、あるかな?そう思うと全盛期のミッキー・ロークって凄かったんだな。 アダムは変態気質があるとして、映画的にはアリスに問題があるように思えて。出会う。追いかける。彼と別れる。トドメは真紅のチャイナドレス。そこまで“秒”だったよね。アダムにやらされてるんじゃなくて、潜在的にやりたかったことが出来てるんだろうな。 警察に駆け込んだ時、既にアリスの気持ちはアダムから離れていたし、放っておけば自然消滅しただろうに。その後のデボラとアリスの死体探し~からの真犯人暴露なんて、ギャラリー(映画を観てる人)が居ないと意味のない行動に思える。 アダムの裏の一面を散々観せてきて、最後全部の罪をデボラにおっ被せるようなラストも、どうだろう? モトはと言えば自分からアプローチ仕掛けておいて、スキあらば被害者ポジションに居ようとするアリスの立ち位置が、どうにもモヤモヤする。 アリスがアダムを助けたラスト。アダムはデボラの動きを見てないし、どうせならスコップ持ったデボラを映さずに、アリスが一方的に撃ってたら、“本当にデボラはアダムを襲おうとしたの?”って、藪の中的に出来たかもしれない。[インターネット(字幕)] 4点(2022-01-30 14:04:01)《改行有》

773.  花宵道中 《ネタバレ》 吉原の遊女を主役とした短編集の一話。だそうで、八津や霧里も他の話の主人公。こりゃ単発の映画としてより、どうせなら連続ドラマかオムニバス形式で映像化したほうが面白かったんじゃないか?と思った。 その、短編を映画化したゆえのしわ寄せが、朝霧の長~い“濡れ場”に現れていたのかな。いやいやそうでなく、この映画の一番の魅せ場が安達祐実の“濡れ場”なんだから、私の解釈が間違っているんだろう。 時代劇でよく見るセットと、当時は無かった強烈な光を放つライトが、テレビの2時間ドラマを連想させてしまう。 小さな大女優・安達祐実。この映画の撮影当時、彼女は三十三歳だろうか?…三十三歳で遊女役って結構無茶な気がする(しかも子を持つ母親だ)けど、彼女の身体はたしかに美しかった。だけど八津に「朝霧姐さん」と呼ばれていても、どうも姉さんらしく思えない。童顔で周りの遊女役の女優たちより背が低い為で、どう考えても安達祐実の朝霧はミスキャストとも思える。 そして何より、多くの人が彼女の幼少期を知っている。「具が大きい」のCMの子が「同情するなら金をくれ!」って叫んだ時は驚いたっけ。でも今回の“濡れ場”には、個人的にそれほどの衝撃を感じなかった。当時の面影を残した幼い顔立ちの彼女の、あの長~い“濡れ場”に、どれほどの需要があったんだろう? 高岡早紀を姐役で出す事からも『忠臣蔵外伝』を相当意識しての事だろうけど、今の安達祐実と当時の高岡早紀では、世間が求めるものが違うような気がする。朝霧が八津の客相手に啖呵を切る場面は格好良い。半次郎だけに見せた花魁道中も美しかった。私としては、安達祐実のそっちの一面、女優としての成長具合をもっと堪能したかった。[インターネット(邦画)] 4点(2022-01-29 18:19:51)《改行有》

774.  わたしは生きていける 《ネタバレ》 -How I Live Now-“今の私の生き方”。 他人とのコミュニケーションを拒絶する少女が、自然と隣り合わせの環境で暮らす従兄弟たちとの交流で心を開く。そこに第三次世界大戦が勃発し…って感じだけど、背景の戦争の状況がよくわからない。 最初の空港シーンからライフル持った兵隊がガヤガヤ居たり、家までの道のりに軍用車がたくさん出てきたりと、開戦直前の不穏な空気はよく出来ていたと思う。核の表現(強い風とズンッという重い音、死の灰、その後の雨。)は、アレはアレで怖かった。けど、その後は人体にも街や森にも核の影響がなく、世界規模の核戦争なのか、ロンドンだけたまたまテロに遭ったのかも解らない。水が飲めないのは放射能ではなくテロリストが汚染したって。検問でのユルい銃撃戦、旅客機の墜落現場、訓練基地?で袋詰めの死体。一貫性のないチグハグな戦争描写から、どこのどんな組織を相手に戦争しているのかが全く見えてこない。戦争から連想されるインパクトのある映像(ただし低予算)を詰め込んだだけに思える。いくら子どもたちだけが主役のドラマだからって、ニュース映像を増やすとか、新聞記事を差し込むとか、大人同士の会話から連想させるとかして、世界観の骨格・背景はしっかり作ってほしかった。 だけど幼いパイパーが可哀想で。エディーに会いたい気持ちから、パッパカパッパカ先に行くデイジーに頑張ってついていく。休みたいといえば怒られ、汚染のせいで水も飲めず。靴擦れで血まみれの足を黙って拭いて、泣き言を言わずに歩きだす姿がなんとも健気。 シアーシャ・ローナンの表情の変化が素晴らしい。冒頭のロック好きな少女の時は、全ての事が退屈そうで不機嫌さを隠さない表情を。従兄弟たちと打ち解け、エディーを好きになってからは、年齢相応な喜怒哀楽がはっきり伝わる表情を。収容施設のような強制労働(…と言うには自由度は高い)の最中は感情を抑えて、まるで空気みたいな表情を。サバイバル生活では“家に帰る”という強い意志を感じさせる表情を。家に帰ってからはエディとパイパーを守って生活を再建させる、母親のような表情を見せてくれる。それぞれでメイクが違うのもあるけど、状況に合わせた彼女の演技力を堪能する、イメージムービーのような気がしないでもない。 恋愛描写は古典的というか、ラノベ的と言うかアニメっぽいと言うか。お互いに怪我をした指を舐めることで、相手への感情が戻る表現は世代を問わずわかり易いと思う一方、頭の声とか土に埋められたエディーの夢とか、この超能力みたいな表現は最後まで説明がなく、どういう意味だったのか判らなかった。 この作品はティーン・エイジャー向けな映画なので、肝心の若い人がこの映画を見て、戦争は怖いなとか、人を好きになるって良いなとか、そう思ってもらえたら成功だろうから、いい年した大人がモチャモチャ言うモンじゃないって気もする。[インターネット(字幕)] 4点(2022-01-08 19:10:47)《改行有》

775.  DOOR 《ネタバレ》 家族構成に詳しい保険のセールス。怪しい当選話の電話。読むに値しないダイレクトメール・・・家族構成、電話番号、住所。今では自己責任で守るべき個人情報が、まだまだ簡単に手に入った時代。ストーカーという言葉は一般的ではなかったけど、事件といたずらの境界線が判断しにくい時代の映画。 見てるけど助けない隣人、ドアの落書きもだけど、目に入っても見て見ぬ振り。それでいてゴミ出しの曜日を間違えると戻す嫌がらせに近い正義感。住人同士の触れ合いはないけど、住人用の共用プールがあるのも、それを住人以外も眺められるのも、なんか時代を感じる。 タイトルにもなっているドア。セールスマンが無言でガンガン蹴り続けるシーンが、この映画の中で一番リアルで恐ろしい。だけど新聞の引っ張り合いは、怖いような可笑しいような。 セールスマンが部屋に入り込んでからは、日常的な怖さが半減してしまったけど、自分のことを棚に上げて、イタズラ電話を撃退するところは、犯人の異常さが出ていてけっこう良い。あとビール瓶で突然頭を叩くところは、不意を付かれて驚いた。けど『しゃぼん玉』フルで歌うのは長すぎ。セールスマンの異常さを感じるより退屈してしまった。 大昔、地上波で見たとき、最後子供がバットでとどめを刺したように記憶していたけど、バットのあとにチェーンソー攻撃があったんだな。後半に行くにつれ、直接的な暴力描写になっていったのが残念。母親を助けて、バットを肩に担いで去っていくタクト君(幼稚園児)のシーンが鮮明に記憶に残っている。 マンション内をワンカットで見せるシーンが数箇所あるけど、まぁ広いマンションだわ。床に丸いインテリア・ライト。玄関に透明な頭の帽子掛け。透明なフライパン!なんてバブリー。極めつけはソファーの横の電話台にミロのヴィーナス。凄いセンスだ。 主人公の本田靖子は、毎日、どう見てもくつろげそうにないオシャレな普段着で専業主婦。だったらゴミの日くらい守れよと言いたくなるわ。プールで真っ赤な水着姿、お風呂上がりのバスタオル姿(ご丁寧にミロのヴィーナスとツーショット)から、よっっっぽど高橋惠子が好きな人が監督したんだなって事が伝わる。あぁ、監督がご主人さんなんだ。奥さんが好きすぎてこんな映画撮っちゃったんだな。[地上波(邦画)] 4点(2022-01-02 18:33:29)《改行有》

776.  僕の彼女はサイボーグ 《ネタバレ》 ドラマ“JIN-仁-”のキャストが多く出ているから、なにかそんな流れ的なものがあったのかもしれないけど、どうなんだろ? 第一印象は良く言えば元気な邦画。言い換えると、あちこちに違和感を感じる展開が。監督が韓国の人だそうで、なるほど日本を舞台にした韓国映画って考えると、そうオカシなコトでもないかもしれない。 だけどペットのイグアナを食べる(言葉の説明だけで良いのに生々しい生首映す)。カレー食べてる時に大声でカピパラのフンを食べる話をクドクド。子供のフライドチキンを盗み食い。2008年にロボットダンス。こういうの、どう解釈すれば良いんだ?文化が違うと笑えるのかな? ジロー(ひとりっ子なのにジロー)の子供時代にしてはレトロ過ぎたり、実の母が高齢だからと祖母を装うとかって設定、ちょっと聞いたことないし、そもそもあの長い帰省シーンの意味がわからない。主人公の部屋(あんな物件学生は住めないだろう)のキッチンの窓から見える、怖い男の看板も、何か意味があるのかと思ってたけど、特に意味はなかったのかな。 イグアナのラウルが後半猫になって帰ってきたの、ここの意味もわからなかった…(猫が昔飼ってた初代ラウル、イグアナが2代目ラウルってのは、wiki観てわかりました。)ターミネーターのオマージュが多いから、サラ・コナーのペットのパグちゃん(イグアナ)にしたのかな? 突然の大地震。CGは当時の日本映画にしては迫力あるなと思ったけど、ストーリー上何の伏線もなかったと思うし、唐突に思えた。 違和感はたくさん感じるけど、誕生日に突然現れる名も知らない彼女との交流は面白く(ここの無銭飲食は目を瞑ろう)、1年後のちょっと違う彼女との生活もロマンチック。アラレちゃんみたいな強すぎる彼女(結局名前、付けないんだな)も、当時の“何でもやってみせる”綾瀬はるかが見事に演じてたと思う。演技も頑張ってたけど、マバタキしないのが一番頑張ってた。 だけど、停止したサイボーグ(しばらく一緒に過ごした)と入れ替わりに、未来人の彼女が現れても、容姿は一緒かもしれないけど、違う存在だよなぁ…って思ってしまうなぁ、どうなんだろ? でも、私が批判っぽく書いたことを、日本人の口に合うように直したって、せいぜい素人のラノベ作品程度。この映画より面白くなるとも思えない…[インターネット(邦画)] 4点(2021-12-06 01:29:25)《改行有》

777.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 -El Laberinto del Fauno-“ファウヌスの迷宮”パン=森の神ファウヌス 主人公が少女。引っ越しから始まる。森の中の石像。森の奥の異世界。カエルの番人。黒くて丸いススワタリ…でなくダンゴムシ。口に異物を入れて吐き出させる。カオナシ…でなく顔に目のない化け物。手を付けてはいけない料理を口にしてしまう両親…でなく少女。釜爺の貴重な薬湯…でなく町医者フェレイロの睡眠薬。味方になってくれる女中…でなく家政婦のお姉さん。千と千尋を観たデル・トロが自分流のファンタジーを創ってみたら、こんな作品になってしまったんだろうか?そんなイメージで鑑賞。甘さを抑えた大人向けのサイダーだと思ったのが、どっこい実はストロングゼロだったような衝撃。 猟師親子の殺害や捕虜の尋問など、義父のビダル大尉による非人道的な行為が描かれているが、同じ建物に居ながら、オフィリアがそれを目撃するとか直接絡む描写は無い。父を失い、故郷を離れ、母親は新しい夫の顔色を伺うばかり。確かにオフィリアは可哀想な立場だけど、衣食住には不自由がなくて、メルセデスや町医者ら村人が可哀想どころか、あまりに悲惨な境遇なので、どうも少女の可哀想加減に集中出来なかった。 ピカピカの鍵や特殊なナイフ(結果論、銃で流れる血で良かったんだから必要なかった?)は架空のアイテム。チョークは実在するただのチョーク。マンドラゴラの根は大きな生姜か何かかな? 最後の試練でパンと話すオフィリアが、大尉には彼女の独り言に見えてるシーンが、私には一番ショックでした。アレ全部妄想だったのか!って。 映画の意外な結末の中では、全部妄想パターンは割と定番なのかもしれないけど、現実があまりに救いようが無いのに、少女の拠り所のファンタジー世界にすら救いが無い絶望感。 あの場面、大尉にオフィリアを殺す必要性は無いのに、ついカッとなったのと、鬱陶しいし今後同じことがあったら面倒だから殺した。オフィリアも戦うでも抵抗するでもなく、弟を大尉に渡して、ただ殺された。主人公の幼い少女の最後が、こんなので良いのかな。 フランコ独裁政権の悲劇を描くのが主目的だろうし、そこは無知な私には大変勉強になった。独特の不気味なクリーチャー。地下王国のファンタジー世界。 たしかに不思議な魅力は感じるから高評価も納得だけど、救いある王国エンディングを打ち消す、現実世界のオフィリアの死で終わる本当の最後。 創作だからどんな物語かは作者次第だけど、こういう結末を選ぶことに、私はあまり共感できません。[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-05 01:27:46)《改行有》

778.  女子ーズ 《ネタバレ》 テレ東とかの30分の深夜ドラマ枠でやってそうな番組を、3~4本繋げて映画にしたような作品。 コントなので最後まで見るのは苦じゃないけど、スーッと始まってあと味なくスーッと終わった感じ。だけどテレビドラマやお笑い番組の1コーナーじゃないんだから、もう少し映画なら映画らしく面白く出来たんじゃないか? みんなデッカいヘルメット被ってるけど、顔小さいし脚も長くてシュッとしてカッコイイ。 桐谷美玲、レッド対メタルゴードンの部下戦、顔が出てるぶん、アクション頑張ってるな~。あと高畑充希と並んで走るところ、延々と走ってるな~。みんなでウンコと叫んだり、有村架純はヤスケン相手にキレたり、みんな頑張ってるわ~。演者がこれだけ頑張ってるけど監督の設定したハードルが低いから、なんかモッタイナイ使い方な気がしてしまう。佐藤二朗のいつものネタ。なっがい歩道橋ネタ。全体の雰囲気がユルユルなために活きてない。 主人公だからか、他のメンバーより赤木のプライベートを細かく描いている。同期との恋愛要素、設計担当の同僚との人間関係なんかだけど、97分の短い映画にソレを入れた効果がイマイチ解らない。 5人それぞれのプライベート、それぞれのヒーローとしての個性・技。シリアスな戦闘や命に関わるピンチ。感動。お色気要素。そういったものを敢えて排除したんだろうから、それに変わる映画らしい満足感を用意したほうが良かったんじゃないかなぁ。 でも、この作品がテレビシリーズだったら、毎回喜んで観てたと思う。[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-23 23:10:37)(良:1票) 《改行有》

779.  ハプニング 《ネタバレ》 ~The Happening~出来事。事件。 オープニング、ベンチの女性のセリフからヤバいことが起きてる感、躊躇なく自分の喉に突き立てるかんざし。無言でビルから降ってくる人々…突然起こるギョッとする事件。すぐにニュースになり、まずはテロと判断されるところとか、訳も解らず映画の世界に放り投げられる感が素晴らしい。その後も次々と自殺する人々。立ち止まりと逆歩き。変な言葉の繰り返しの共通項。他人に暴力を振るわず、無言で自死を選ぶ気味悪さ。ミステリーとしても面白いと思う。どんな理由と驚きの結末が待っているのか、期待してたんだけど… エリオット達を乗せてくれた人が「原因は植物だ」ってズバリ。麻薬もトリカブトも植物だし、花粉症の私は植物の怖さは充分に知っているから、植物が犯人説でも良い。でもいろんな説の一つではなく、最初からほぼ、植物と断定しての一本道過ぎるストーリー。対してシャマラン監督の定番『コレコレだと思っていたら、アラ以外、実はソレソレだった』に期待してしまうのもあって、物足りなく感じてしまう。 植物説を採ったのに、車を捨てて徒歩で草原に入っていく謎行動。観てる私は世界の動きが気になるのに、どんどん社会から離れていくエリオットたち。情報収集しない、人の話を聞かない独居老婆のジョーンズ夫人。離れの小屋の会話が筒抜けの部屋とか、これはこれで面白いかもだけど、この映画の後半としてはどうだろう? 命からがら逃げてきたのに、早朝エリオットに何も伝えず、アルマとジェスは呑気に離れの小屋でカエルと遊んでるとか、謎な行動取るし。ゾンビ映画みたいな集団自殺事件と、ミザリーみたいな怖い老婆の話。構想途中の2つの話を、無理やりくっつけて一本の映画にしたような印象を受けた。 最後にエリオット達が生きることを諦めた時、彼らはたまたま助かる事になった。もしかしたら“自ら死を選んだんだから、殺す必要がなくなった”のかもしれない。って思ったけど、3ヶ月後のテレビによると、事件は同時に終焉したらしいから、やっぱエリオット達はたまたま助かったってことか。 その3ヶ月後の、何事もなかったかのような町並み。テレビでもまだ学者の仮説に半信半疑な状況。あのペースだと相当の人数が犠牲になったと思うのに、死者数とか被害状況とか、私ら映画鑑賞者にも教えてくれ。途中まではすごく良かったのにな。[DVD(字幕)] 4点(2021-10-15 01:44:23)《改行有》

780.  女王蜂(1978) 《ネタバレ》 石坂金田一第4作。昭和27年の秋が舞台だから、悪魔の手毬唄と同じ年、同じ季節の話ってことになるか? まずこの4作品の上映スパン。犬神('76/10)→悪魔('77/04)→獄門('77/08)→女王('78/02)。いくら当時の映画界が元気だったとは言え、このペースで名作を作り続けられたらバケモノだわ。 満を持して作られた犬神家と、構想が膨らんで作られた悪魔の~と、ブームだからと作られた獄門島以降の作品では、完成度が落ちるのは必然。 本作は前の3作にあった、ドロドロした田舎の跡目争いといった、戦後のバタバタした空気が浮き彫りにした気味悪さ、私が勝手に言ってる戦後の怪談映画の雰囲気はなく、探偵が推理で事件を解決するサスペンスに落ち着いている。唐の間や時計塔で行われる殺人は血まみれで、綺麗な死体が多かった獄門島で消化不良だった、惨殺死体は出しているけど、どうも表面上の怖さに終止している。古びた和洋折衷の建物、複雑な人間関係は過去作と同様におどろおどろしい雰囲気はあるけど、月琴の里と京都を行ったり来たりするので、その土地に根付いた風土、習慣の怖さが感じられない。怪談面ではイマイチだけど、加藤武、坂口良子ほかシリーズおなじみの面々に過去の3女優共演と、キャラクターは満喫出来るので、割り切って楽しんだほうが良ささそうだ。 『唇にミステリー』ネットで調べたら、劇中のお母さんの形見の口紅が、まんまカネボウから売られてたみたいで、なんか思いっきりでスッキリしたわ。 あの場だけの秘密としていた真犯人を、なぜ等々力警部が知っていたのか謎だけど、4作目にして金田一と仲が良さそうな等々力警部を観られて、こっちもスッキリ出来た。これがシリーズ最後というか、3部作+オマケの1作って感じで作られたんだろうか? でも'79/5にもう1作公開されるんだよな…[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-04 14:32:48)《改行有》

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