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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  悪魔のような女(1955) 《ネタバレ》 「恐怖の報酬」「情婦マノン」と傑作が多いクルーゾーだが、中でも強烈な“どんでん返し”を味わえるのが今作「悪魔のような女」。俺はこの作品が一番好き。 澱んだ水面が拡がるプールの不気味さ。 男を男の愛人とその妻が共謀して殺してしまうのだから恐ろしい。 「恐怖の報酬」が一種ホモセクシャルな部分があるとすれば、本作はレズビアンの匂いがしてくる。どちらも願い下げだ。 しかし「恐怖の報酬」は野郎共の競争と友情という物語で、ホモの匂いなんて微塵も感じなかった。淀川長治さんに言わせれば「太陽がいっぱい」もホモ的な何かがあるらしい。 俺は願い下げだ。 一方、「悪魔のような女」は男の暴力で妻は心が離れ、皮肉にも男の愛人と心が通う。 本来憎み合う筈の女二人がだ。 さて、そんなウフフン状態の二人だが待ち受ける結末が何とも・・・ネタバレと書いたが、ネタバレするのが嫌になる、忘れてしまいたくなるような怖すぎるラスト。 ヒッチコックはクルーゾーのこの作品に嫉妬したらしく、ホラー映画「シェラ・デ・コブレの幽霊」を手掛けたジョセフ・ステファノの協力を得て「サイコ」を撮ったらしい。 ヒッチコックの一瞬背筋が寒くなる巧みさ、そしてクルーゾーのねっとりとした恐怖を徐々に肌に塗られていくような戦慄。 見比べて見るのも面白い。 シャロン・ストーンには悪いが、ジェレマイア・チェチェックの「悪魔のような女」もポール・バーホーベンの「氷の微笑」も、クルーゾー映画の怖い女性たちを知ってしまうと霞んで見えてしまう。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-14 17:23:27)(良:1票) 《改行有》

62.  大砂塵 ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗」やフィルム・ノワールの大傑作「夜の人々」で知られるレイの異色作。 レオーネが「ウエスタン」を作る際に参考にした傑作の一つ・・・らしい。 本作は歌の西部劇。 とにかく五月蠅い。 ギターと酒場が大惨事。 主題歌の「ジャニー・ギター」の戦慄は美しい。 ラストの意外な決闘にはビックリしたよ。 それにしてもこれほどヒロインがうっとおしいと思った映画は無いわ(泣) 「ミルドレット・ピアース」や「ユーモレスク」「雨(ルイス・マイルストン)」で美しかったジョーン・クロフォードも、本作はカラーの色合いもあってか年増でケバい。 「オール・ザ・キングス・メン」や「去年の夏突然に」で印象的だったマーセデス・マッケンブリッジも今作は顔が怖い。 鑑賞の際は是非ともクライテリオン版のDVDで。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-12 18:44:50)《改行有》

63.  若き獅子たち 「地上より永遠に」と似たようで違う3時間の大作。 戦争を複数の若者の視点で見る映画はウンベルト・レンツィの「戦争と友情」等幾つかあったが、ドミトリクのこの作品は屈指の完成度がある。 怪我をする前のモンゴメリー・クリフトが「地上より永遠に」で柔らかい演技を見せたのに対し、この作品は負傷後の硬直した不器用な人間像が描かれる。後遺症で彼の持ち味が殺されてしまった事は悔やんでも悔やみきれないが、死の手前まで役者として葛藤を続けた彼の生き様がこの作品にも刻まれている。 風前の灯となりかけたクリフト、そして増々燃え盛る炎となろうとしていたマーロン・ブランドの共演。二人が会話する場面を少しでも見たかっただけに残念。 それにブランドはあくまで良心であり、ドイツ軍はやはりユダヤ人を迫害する悪として描かれてしまう。だが、アメリカも必ずしも肯定的に描かれていない部分に注目。 ブランドはドイツだけを一方的に悪として描くハリウッドに抗議したそうだ。「史上最大の作戦」のエルヴィン・ロンメルですら、果たして善悪を超えた存在として描かれたのだろうか。 憎めないドイツ人将校マクシミリアン・シェル、器用に生き抜くディーン・マーティンやリー・ヴァン・クリーフの存在感も凄い。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-12 15:49:18)《改行有》

64.  SOSタイタニック 忘れえぬ夜 ジェームズ・キャメロンは好きな監督だが・・・何故か「タイタニック」だけは惹かれなかった。 その理由がジャン・ヴィゴの「アタラント号」やロナルド・ニームの「ポセイドン・アドベンチャー」、そしてこのロイ・ウォード・ベイカーの「タイタニック」にある。 1958年に公開されたこの作品は、あくまでドキュメンタリー風のタッチでタイタニック号が沈みゆく姿を描いていく。 登場人物の描写は「タイタニック」よりも希薄だし、キャメロンの映像に比べるとこの作品は見劣りしてしまうかも知れない。 けれども、この作品は無駄なものが無く、船が沈むまでの人々の動静を克明に映像化した作品だ。 登場する船もセットも総て本物ではないのかという危機迫る映像、白黒画面の黒い映像がより沈みゆく船の恐怖を倍増させている。 死を前に人は何をすべきか? 最後まで船に残り最善を尽くそうとする人々の生きる姿。 善悪のあるドラマではなく、人間味のあるドキュメンタリーだからこそ極限状態の緊張感と凄惨な絶望感を肌で感じられると思う。 この作品の持つメッセージやドラマ性の方が、キャメロン版より圧倒的に上だ。 かつてキャメロンの「タイタニック」を酷評した淀川長治さんも、恐らくこの作品を見ていた事だろう。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-08 20:56:41)(良:2票) 《改行有》

65.  友情ある説得 《ネタバレ》 南北戦争を舞台にした大作。ワイラーの西部劇はこれが一番好きだ。 「西部の男」はゲイリー・クーパーとウォルター・ブレナンの演技以外見所が無いと言っても良いパッとしない作品だったし、 「大いなる西部」は「丘の一本松」の二番煎じだし何より主人公の正義面が鼻に付いた。 大根ペックに絵に描いたような善人なんかやらせるな。ペックは「アラバマ物語」や「無頼の群」みたいに少しひねた男や熱血漢の方がずっと魅力的だしカッコイイ。 「友情ある説得」は、そういった説教臭さや博愛主義的な正義面が無いのが良い。 レッド・パージ(赤狩り)への批判は元より、“本当の勇気とは何か”を考えさせてくれる。 暴力を否定するクェーカー家教の一家は、暴力のぶつかり合いで全てを片そうとする南北戦争について疑問を持つ。 本作のクーパーは、一家の長として温厚で落ち着きのある父親だ。妻の言いなりかと思いきや、負けず嫌いだったりいざという時には頼りになる男でもある。 アンソニー・パーキンスの青臭い正義感を抱いた優しくおっとりした様子は、若きクーパーの風格(「オペラ・ハット」等)を感じさせる。 ストーリーは基本ユーモアがあるが、抱える問題はフランク・キャプラのように「笑いの中の重さ」を持っている。 「或る夜の出来事」がコメディのフリをした恋愛映画だったように、この作品は心暖まるほのぼのとした情景の裏に、戦争という理不尽な暴力と辛い現実を映し出した映画でもある。 パーキンスが兵士として人を殺めてしまった場面は、彼の主義と現実との心の葛藤が伝わってくる。 一番暴力を否定していたあの母親ですら、家族を守るために南軍兵をほうきで殴ったりしていた。 戦争とは、何かを奪うために始まるのだろうか。 それとも、何かを守ろうとしていつの間にか大切な何かを奪ってしまうものではないのだろうか。 祈るだけで現実から逃避する宗教とは違い、クェーカー教は行動によって集団に訴えかける考えがあるそうだ。 あの母親も、パーキンスも、クーパーも「誰かを守るため」に自ら行動を起して行く・・・。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-02 19:21:04)《改行有》

66.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 俺は「アメリカの夜」の方が好きだが、彼の最高傑作はやはりこの作品になるのだろう。 トリュフォーの自伝的内容のこの映画は、「野性の少年」で描かれた内面的な自伝要素とはかなり違う。生々しい、外に向かって放たれる痛々しさ。 彼の師であるアンドレ・バザンに捧げられた言葉と共に映画は始まる。教室でテストを受ける生徒たち。彼等は教師の目を盗んでポスターを回し、不運にも先生に見つかった生徒は人身御供として差し出される。 アントワーヌは日頃からチョークを投げつける教師に目を付けられ問題児扱いされ、家に帰っても母親に「成績が悪いのも当然ね」などと平然と言い放つ厳しさ、片身の狭さ。父親と同級生が心の支えになっていたが、そんな父も母親の顔色を伺い、母も共働きで不仲。アントワーヌも無理に家事を手伝わされ宿題も手につかないという有様。 寝る場所も裏口という寒い場所。アントワーヌはタバコやワインまで飲んでしまう不良小学生となっていく。教師が彼を目の敵にすればするほど、アントワーヌの心は益々荒んでいく。円筒形のアトラクションで遊ぶアントワーヌ。遠心力で動きがままならなく様子は、人々に振り回され閉所に押し込められていくアントワーヌのその後を暗示するよう。 アントワーヌが見てしまった母の情事。アントワーヌの怒りと失望に満ちた表情。アントワーヌは父を気遣いその事を中々言い出せない。彼にとっても信じがたい、嘘であってくれという現実。 勢いで飛び出す家、路上で人に見つからぬように牛乳を盗んで飲む、証拠隠滅まで図る。それでも一応心配して彼を抱きしめ母親、体を洗ってくれる愛情の欠片。 ヒビの入った家族をどうにか繋ぎ止める映画。疲れた父親すらハッスル(嫁の胸を乳揉み)させるエネルギー、母の言葉、本との出合い。せっかくやる気になってがむしゃらに頑張っても報われない虚しさ。だからといって丸写しで停学とはいくら何でも酷い。 一度付いた嘘は延々と足を引っ張る鎖になっていく。 売れなかったとはいえ盗み出したタイプライターを一人で戻しにいく健気さ。だが子供でも罪は罪、親友すら赤の他人という素振り、親にすら半ば見捨てられ彼の心は死んでいく。子も子なら親も親。夜の市街を見つめる眼差し。 脱走し走って走って走っても見えない出口。ようやく辿り付いた浜辺で、彼は何を思うのだろうか。[DVD(字幕)] 9点(2014-05-01 21:11:46)《改行有》

67.  ベリッシマ 感動のあまり泣いたかと思えば、次の瞬間には大あくびをしてみせる。 そんな彼女の「泣き顔」が最高すぎる。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:45:03)《改行有》

68.  神の道化師、フランチェスコ 「お尻ペンペン」があんなに微笑ましい映画は他にない。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:43:47)

69.  大いなる西部 《ネタバレ》 ドナルド・ハミルトンの小説を原作とする人間ドラマに富んだ西部劇。 ジェローム・モロスのテーマ曲に合わせて広大な大地を駆け抜ける馬車の疾走感。 後の「ベン・ハー」で見せた躍動感が、この映画には詰まっている。 チャールトン・ヘストンとグレゴリー・ペックの共演、バール・アイヴスの演技が光る。 「ビッグマディ」の水源地を巡って対立するテリル家とヘネシー家。 ヘンリー・ハサウェイ「丘の一本松」を彷彿とさせる構造だ。個人的には「丘の一本松」の方が凄い作品だと思うし、ワイラーにしても「友情ある説得」や「砂漠の生霊」の方が好きだ。 しかし本作最大の見所はやはり「水の乏しい西部においていかに水が貴重であるか」というテーマだ。 ジョセフ・H・ルイスの「テキサスの死闘」が石油を巡る対立を描いたように、本作は水を中心に対立を深めていく。人間を撃つよりも、貴重な水を保存する貯水タンクに穴を開けられる方が大打撃だ。一滴の水が村人数百人の命を左右する重み。 セシル・B・デミルの「大平原」は、その水圧で列車を破壊する「爆弾」代わりに使われてしまう。 東部出身のジム・マッケイは博愛主義の塊という感じでイライラする。俺は善良一本筋のペックが嫌いだ(大根だし(ry)。 「白昼の決闘」みたいに無理に悪ぶってみせるペックや、「ローマの休日」のように徐々に本音を打ち明けるペックの方が演技者としても深みがあるし大好きだ。「レッド・ムーン」の老将ガンマンや「アラバマ物語」の父親役も素晴らしいが、ジョン・ フランケンハイマーの「I Walk the Line」みたいなペックは滅多に見られない。 が、本作の諦めない根性や覚悟のある男気は認めざる負えない。 二人のヒロインの存在と演技もグッド。 キャロル・ベイカーの髪を結んだ時の色っぽさ、 ジーン・シモンズの服を着ていても解る腰元のエロさとふくよかな胸ゲフンッゲフッ 恋人の居ない間に人妻に接吻するような男かと思ったヘストンも、いざ戦いとなれば恩人のために共に死を覚悟する戦士としての表情を見せてくれる。危険と解って岩場に歩み寄る男たちの何と頼もしき事。ロングショットで撮られたヘストンとペックの殴り合い、ラストの決闘も中々。 アクションとして見るにはやや不足だが、西部劇の人間ドラマと馬車のスピード感を堪能できる1作。[DVD(字幕)] 8点(2014-04-09 21:36:13)(良:1票) 《改行有》

70.  シャロンの屠殺者 ヴィクター・マチュアが放つ野性的な雰囲気は、西部開拓者の“異文化”を拒むようなオーラに包まれている。 この作品のはインディアンたちの「野生」と西部開拓者たちの「近代」の衝突を戦争を通して描いた骨太の西部劇。 常にピリピリした空気が保たれる傑作だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:17:35)《改行有》

71.  孤独な場所で 《ネタバレ》 「夜の人々」か「孤独な場所で」か。 ニコラス・レイの最高傑作として名高いフィルム・ノワール。 レイの描く人間は、常に内側で暴力を爆発させ痛々しいまでに自分を追いつめる人物描写が多い。 ジェームズ・ディーンを主役にした「理由なき反抗」が良い例で、主人公は元より、主人公の親友までもが内側に向かう暴力によって自分を傷つけてしまう。 「孤独な場所で」は、一度怒りだすと己を抑えられない暴力的な脚本家を主人公にしている。 一度は主人公を愛した女も、やがて彼の暴力性に怯え始める。 愛が恐怖や怒りに変わる時、殺人容疑の真相が明らかにされ、新たな事件が生まれてしまう。 終始何かに突き動かされて苛立つ様子は、何かに怯えるように不安定でじっとしていられない。 まるでルイス・ブニュエルの「エル」のように、精神を病んでいるような様子さえある。恐ろしい映画だった。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-06 18:32:40)《改行有》

72.  暴力団(1955) ジョン・アルトン&ルイスの最高傑作の一つ。 人によっては「拳銃魔」よりも好きと言う人もいるだろう。 フィルム・ノワールの魅力は「闇」が司るが、この作品の夜霧のシーンは神秘的であり、様々な人間の欲望が見え隠れする「闇」でもある。 ボスの手下のギャングたちもまた、闇が司る暗喩的な性の匂いを感じさせる。 ルイスの手掛けた傑作西部劇「テキサスの死闘」もまた、黒衣の殺し屋等フィルム・ノワール的なものを何処か感じさせる。「テキサスの死闘」は夜も煙草の煙もファム・ファタールと言える女性も登場しないが、殺し屋として自分の存在意義に悩みネドリック・ヤングの存在は何とも言えない。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-06 18:15:27)《改行有》

73.  アパッチ(1954) バート・ランカスターが役者として演技開眼した時期に撮られた作品。 アルドリッチとは鮮烈なデビューを飾った「ヴェラクルス」や晩年は「ワイルド・アパッチ」といずれも傑作揃い。 特に本作はアパッチ族の野生の中で生きてきた主人公がマサイが、生きるために農耕技術を取得したり、妻を守り抜くため徐々に変化していく姿に注目。 アルドリッチ得意の豪快でスピーディーな演出が隅々まで輝る傑作。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 01:23:00)《改行有》

74.  エル(1952) 《ネタバレ》 最も狂っておらず、最も狂った作品。 同時にもっともエロくなく、もっとも官能的なブニュエル作品。 精神を病み、自分が正義だと信じ続け身を滅ぼしていく男の悲しきドラマ。「昇天峠」より強烈だ。 精神病の症例記録を映画化しようと思うのは、ブニュエルくらいか。それをスリリングなサスペンスのように魅せるブニュエル。 男は、礼拝堂で聖母のように美しい女性(脚)と出会ってしまった。歪んだ正義は独占欲となって彼女を束縛する。 他人への憎悪。嫉妬で荒れては、愛する女に許しを請う。教会の上から「俺がてっぺんで、下を歩く連中はクズだ!」と言わんばかりに軽蔑する。 遂には「俺の思い取りにならんなら、いっそ!」と愛する女にまで憎悪を向ける。階段の手すりをガンガンガンガンと叩き続けるシーンの狂気と怖さ。あらゆる事が思い通りにならない苛立ちと恐怖。 男の様子を見て怯える女よりも、男は何かに怯えているのだ。 女はそんな男から逃げる。こんなもん逃げたくもなるわ。 男は「俺のものにならんなら、ブチ殺してやる!」と街に飛び出す。礼拝堂で周りから嘲笑される幻覚に襲われる主人公。自分の何もかもが否定される絶望感、怒りは神父の首に向かう。 女が向かった新天地の不気味なくらいの平和が、後を引きずる。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-30 20:04:17)(良:1票) 《改行有》

75.  黒い罠 《ネタバレ》 市民ケーン」なんぞより遥かに面白いしワクワクする。 爆弾が爆発までをワンショットに収めてしまった見事なシークエンス。 ウェルズのバロック様式は大袈裟であり、壮大であり、大胆であり、見事だ。 闇が拡がるようにぶくぶく膨れ上がるウェルズの巨体は、警察組織そのものの“闇”を表現しているのだろうか。 それに挑もうとするチャールトン・ヘストンの小ささ、頼もしさ、危うさ。 服を引き剥がされ、背中を向けて冷たくなった女の惨たらしさ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-29 20:48:40)《改行有》

76.  静かなる男 この映画はね、「脂ぎったオッサンたちが延々と殴り合う」という図式が好き(?)という人間のためにある映画です。 アイルランドの美しさとか、ギシアンでベッドがひしゃげているとか、そんな些細な事はどうでもええんです。 個人的には「鉄腕ジム」とか「赤い河」みたいなハードなド突き合いの方が好きだし、フォードにしても「果てなき航路」とか「我が谷は緑なりき」の方が好きだ。 ウェインにしたって脂ぎったワンマン中年より、若気の至りで拉致されて仲間に助け出される人間臭いウェインの方が好きだ。人間らしい弱みを見せる男気の方が惹かれるしさ。 だが、このお祭り騒ぎみたいなエネルギーの塊!こういう映画が好きな俺にはたまらん。 御託はいい、乾いた殴り合いもいいが、たまには湿り気のあるウェットな殴り合いも悪くない。 確かにノリはアイドル映画だな(笑) と言っても「狂った果実」じゃなくなり「黒部の太陽」になった石原裕次郎と三船敏郎が殴り合うような(違うか~)[DVD(字幕)] 8点(2014-03-27 15:44:43)《改行有》

77.  アリバイなき男 ジョン・ヒューストンの「アスファルト・ジャングル」に引けを取らない強盗映画の傑作。 フィル・カールソンは余り評価されて来なかった人物だが、このフィルム・ノワール作品は中々良く出来た映画だと思う。 常にマスクを被せられた三人の男。 それぞれの顔を知っているのはボスだけであり、三人は互いの顔すら知らない。 恐るべき速さで銀行を襲い、映画はここから物語を始める。 車を使われたというだけで職も名誉も失われてしまった主人公。絶望は怒りへと変わる。 ボスの顔も解らず不安に苛まれる強盗団の男達は、彼らを執拗に追う主人公に追い詰められ板挟み状態だ。 「アスファルト・ジャングル」やキューブリックの「現金に体を張れ」に比べると少し物足りないかも知れないが、それでもジリジリと追い詰められる三人の姿は中々のもの。 完全犯罪を目論むボスの存在がとにかく不気味だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 23:28:13)《改行有》

78.  怒りの河 この作品の原題は「河の曲がり角」。 強盗だったジェームズ・ステュアートが改心していく様子、そして更に悪に堕ちて行くアーサー・ケネディの対比。 善人顔のステュアートが強盗というのは「決断の3時10分」並に窃盗力に欠けるが、そんな男が以前は犯罪に手を染めていた・・・「人間見かけじゃ判断できない」という演出なら上手くいっていると思う。 ラスト付近の狭い幌馬車における格闘は、互いが息切れしながら争うなど生々しい。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 21:54:38)《改行有》

79.  決断の3時10分 エルモア・レナードの短編を原作とする「ユマ行き3時10分発」。 ストーリーの完成度は未だリメイク版に引けを取らない。 人間ドラマが主体の西部劇だが、ファーストシーンにおける居並ぶアウトローと取り囲まれる駅馬車の様相はワクワクするなという方が無理だ。 本作は強盗団の首領を捕縛し護送するというシンプルなもの。 首領を抑える事で強盗団そのものを押さえつけ、強力な盾であり敵に次々と襲われる餌でもある。 そんな命懸けの任務に集う仲間たち。 駅馬車を利用した隠蔽劇、 立場を超えた絆、 ラスト20分に渡る駆け引きは見応えあり。 走り去ろうとする列車における一瞬の戦いは面白い。 ただ奥さんが駆けつける必要はあったのか? アレで敵に襲われた人質なんてなってたら洒落にならない。 ラストの雨の場面がキレイだった事。美しい。 強盗団のボスを演じるグレン・フォードの顔は、一見に善人に見える「極悪人」だ。 見た目はニコニコ面でとても悪党には見えないが、不敵な笑みで主人公を嘲笑う時の表情は不気味である。 怖い顔のヴァン・ヘフリンは正義漢の塊だが、焦りと苛立ちが内に潜む凶暴性を見せる。 元々は家族を食わせるために参加した普通の人間。覚悟はしてきたがいざ妻と再会するとなると家族への愛情を覗かせる。このヴァン・ヘフリンは「シェーン」よりも好きな父親だね。 たった一人で戦い抜く姿は「真昼の決闘」よりもハラハラドキドキしてしまう。ゲイリー・クーパーが愛妻なら、ヴァン・ヘフリンは本来敵である筈のグレン・フォードに助けられる。孤独だと思う人間ほど誰かの支えで助けられている。人の支えの大きさを思い出させる。 あとフェリシア・ファーが可愛かった。特に胸が(ry[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 20:43:02)《改行有》

80.  成功の甘き香り ショービジネス界の内幕を暴く傑作フィルム・ノワール。 秘密を暴く事が生業のコラムニストも、裏では妹と肉体関係を匂わすような疑惑に満ちた存在というのが皮肉だ。 ニューヨークの夜間撮影の美しさは素晴らしい。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:15:08)《改行有》

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