みんなのシネマレビュー
K&Kさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 833
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456

61.  荒野のストレンジャー 《ネタバレ》 -High Plains Drifter- “高原の放浪者”ハイプレーンは地名(地域名)かもしれません。 売られた喧嘩は買ってしまう凄腕のさすらいガンマン。これ最初のレイプがなければ案外普通の“偶然立ち寄った街を救うさすらいのガンマン”映画かも知れない。当時は『西部劇だし多少やり過ぎ感はあるけど…』って感じだったのかな。中盤以降特に関係ない話だし、あまりここに拘ると全体像を見失うのかも。 湖の畔のセットっぽい街に、3人の無法者が復讐にやってくる。銃が沢山あれば町の人達で何とか出来そうだけど、ただ凄腕ってだけで用心棒を殺したガンマン1人を雇う保安官。町のもの全部無料にするなら、金鉱という隠し財産があるなら、もっとちゃんとした人を雇えそうだけど。 街に雇われてやりたい放題のガンマン。インディアンに毛布やお菓子をごっそり与え、保安官と町長をモーデカイにして、納屋の壁をパーティのテーブルに作り変えさせ、ラーゴの街看板を地獄と書き換え、建物をペンキで真っ赤にする…これがまた明るい赤で、恐怖の演出というより、インスタ映えしそうな可愛い赤い街になってしまった。 さて3人の無法者はパーティ会場や赤い建物なんて気にもせず街を占拠。ガンマンもどこかに行ってしまい、町民は戦わず逃げるばかり…やられたい放題やられる町民。う~ん、あのトレーニングは何だったのか? 結局名乗ること無く街を立ち去るガンマン。無念にも殺された保安官ダンカンの・・・何かなんだろう。 しかし鞭で打ち殺すって、銃で撃ち殺すより残酷で、それを羊のような大人しい町民みんなが見ている目の前でやらせてたっていうのは、正義ってなんだろうって思わせる。[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-05-30 13:26:58)《改行有》

62.  サスペリアPART2 《ネタバレ》 -PROFONDO ROSSO- “深い赤=深紅”でしょうか? ホラーなんだけどサスペンス色が強く、同じ監督、同じゴブリン音楽だし、ヒット作サスペリアを名乗りたくなる気持ちは解る。サスペリアと無関係と知らずに観ていたら、オープニングの雰囲気から徐々に『・・・なんか違う』感が充満して、映画に没頭出来なくなるかもしれない。 サスペンスとしてはいまいち引き込まれなかったけど、鏡のトリックは秀逸で、最初見た時たしかに『いまなんか違和感感じた、もっかい観せて』って思った。巻き戻しはしなかったけど、その時感じた違和感に答えがあったのは、あの一瞬で私の記憶にトリックを上手く残せてたわけで、やっぱ上手い撮り方なんだろうな。 当時のイタリアの夜の街並みを、人の目線で観せてくれるから、その場に居るような雰囲気と空気感が感じられてとても良い。 異常に怖いに怖い歩く人形。あれ足がブラブラしてるから、部屋の端から端へ細いロープとかを張って、そこを頭のゼンマイで進むんだろうか? 喉に針刺された緑のトカゲが可哀想。謎の犬の喧嘩は、偶然撮れたから使った? ヒロイン・ジャンナがかなり可愛いく、キャラが立っている。愛車がポンコツのチンクエチェント。グローブボックスに酒の小瓶。腕相撲でインチキ。自分から家に誘っておいて逆ギレ。2人で車の屋根から降りるの、滑稽でとても良い。顔つきからは想像できないけど、'75年の映画でこんなアニメのキャラみたいなヒロインを出していたのに驚いた。 PART2ってタイトルがどうしても引っかかるけど、先入観無く観たら、サスペリアと甲乙付け難い作品かも?[インターネット(字幕)] 5点(2022-05-24 20:58:18)《改行有》

63.  サスペリア(1977) 《ネタバレ》 -Suspiria- 造語らしい。ラテン語の-SOSPIRI-“溜息・嘆き”から来てるとか。発音から日本語カタカナ表記はススピリアに近いと思うけど、サスペンスっぽいつづりのサスペリアに落ち着いたんじゃないだろうか?偶然の産物かも。 「決してひとりでは見ないでください」覚えてる覚えてる、もうCMが怖くって。タイトルといいCMといい、日本の配給会社が頭を捻って良い具合に相乗効果が生まれてたんだろう。 バックグラウンドミュージックのワクに収まらない音量のゴブリンのロック調の不気味な音楽は、一度聞いたら忘れられないインパクト。 そして映像の美しさ。赤、青、そして緑のスポットライト。光の三原色をあり得ないポイントで当ててくるセンス。 不気味というか趣味の悪い洋館。赤い壁と赤い内装。美しいかも?だけど住みたくないわ落ち着かないわ。 ジェシカ・ハーパー顔小っさ。目大っきい。バレエ教室の名門校というのも閉鎖空間っぽくて良い雰囲気。バレエ教室だけに若い女ばかりが襲われる…と言っても犠牲者は3人とダニエルか。 古いもの(洋館、オカルト、バレエ)に、新しもの(ロック、ライト、ホラー、若い女)をミキシング。特に音と色の思い切りの良さ、振り切れ具合が、この映画を当時のホラー映画の中でも飛び抜けた存在に押し上げていると思う。イタリアンホラーの代表作と思っていたけど、何故か舞台は西ドイツ・ベルリン。 ネットで当時のパンフレットを見たけど、映画から切り取った場面写真の美しいこと。漂う名画臭…でも内容は意味不明でチープだよ。 魔女が自分の正体に近づいた者たちを殺していくって内容っぽい。でも追い出したダニエルを殺す必要性はあったんだろうか?スージーに眠くなるワイン(睡眠薬?)飲ませる意味も不明。 発端は単なる好奇心。別に何もされてないけど怪しいからついつい詮索してしまう。謎の正体にたどり着いたら返り討ちにあってしまう。そもそもパットが殺されるまで特に殺人も起きてないなら、パットとサラが余計な詮索をしたために大人しく潜伏していた魔女組織を殺人に駆り立ててしまった訳で… 舞台が西ドイツということもあって、現代の魔女狩りとも言えたナチの残党狩りを連想させる。ってそんな難しいことを考えても意味がないから、映像の美しさとゴブリン音楽の調和を楽しむのが、この映画の正しい楽しみ方。 最後のスージーの微笑みも謎だけど、安堵?苦笑い?魔女に取り憑かれた?[地上波(邦画)] 5点(2022-05-04 11:16:57)(良:1票) 《改行有》

64.  悪魔のいけにえ 《ネタバレ》 -THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE- “テキサス・チェーンソー虐殺(事件)” 記録フィルムのような淡々としたナレーション。ストロボの光と浮かび上がる遺体。死者に対する敬意のカケラも無い遺体損壊オブジェ。アルマジロの死骸…最初っから生理的に受け付けない気色悪さ。 旅行中の若者が被害に遭うホラー映画って言うと、序盤はもっとこう、キャッキャウフフと盛り上がっているところを、徐々に不幸が忍び寄って…って印象だったけど、序盤からイヤな予感しかしない。 良くない運勢の占い話、牛の屠殺話。みんな若いんだから、もっと明るい話題はないのか?って思ってるうちに拾ってしまう最悪のヒッチハイカー。演じた役者さんには申し訳ないが、笑顔が行動が空気が全てが生理的に気持ち悪い。 突然出て来て突然殴り殺すレザーフェイス。ガァーッダンッと閉められる鉄の扉。恋人が切り刻まれて殺される様子を、吊るされながら見せられるパム。この交渉の余地のない絶望感。なんか落ち込んでるレザーフェイス。病んでる。 男は一撃でアッサリ殺されるけど、女は時間を掛けてじわじわ殺される。すみません私アッサリでお願いします。 ヒッチハイカーとガソリンスタンド親父とレザーフェイスがひとつ屋根の下に暮らす家族。よくこんな設定思いつくわ。サイコを彷彿とさせる祖父母のミイラ…と思いきやジイさん生きてる!血チュッパチュッパ吸ってる!!ヒィィッ~~! サリーの絶叫とエメラルドグリーンの瞳のアップ。力無く振り下ろされるハンマーでの処刑。いつまで続くのコレいつ終わるのぉ~~~!?? 急展開の脱出劇から、朝焼けの中踊り狂うレザーフェイスの映像の美しさ。不快感満点の映像美。 墓地を出て以降マトモな人が出てこないんだけど、会話が続くたびに仕事をめるガソリンスタンドの窓拭き係が可愛い。[ビデオ(字幕)] 7点(2022-04-10 20:58:46)《改行有》

65.  事件 《ネタバレ》 罪を認めている人の裁判と言うのは淡々と進むものだな 白いジャンバーに血が飛び散らないように気をつけながら。死体も後から埋めようと思ったけど怖くなって止める…ん?宏は犯人じゃないのか?なんて思ったけど、やっぱり犯人。 調書のいい加減さは、まるで“穴埋め問題”を作業的に埋めたような杜撰さ。目撃証人の供述もゴシップ記事の印象から来る思い込みが多く、証拠、証言としては説得力の無いものばかり。…だけどやっぱり宏が犯人。 宏は19歳という微妙な年齢。据え膳喰わねば。じゃないだろうに、彼女の姉とイイ感じになる機会が転がり込んだから、ホイホイ食っしまう。責任が重たくて面倒くさくなったら逃げようとする。一見不可抗力な殺人も、ナイフを刺しもせず、刺さらないよう引きもせず、ただハツ子が刺さったくるのを受けちゃっただけ、みたいな主体性の無さ。介抱もせず、死体を埋めもせず、適当に隠すだけで、ヨシ子との逃避行は予定通りするふわふわ加減。 あどけなさが残るヨシ子を大竹しのぶが熱演している。彼氏を実の姉に寝取られ、若くして妊娠し、姉を殺害した事を聞かされる事なく、逃避行も呆気なく頓挫。宏に自分の人生を委ねる決意、一大決心に対する、あまりに非情な掌返し。 ありきたりな痴情のもつれから起きた“事件”。原作小説の連載当初のタイトルは“若草物語”だったそうな。だから19歳のうちに判決が出るのか。若草物語として観た場合、主役の4人の若者とはヨシ子、宏、ハツ子、宮内だろうか。 普通の若者らしい青春を謳歌する事なく、大人の世界に飛び出したハツ子は、まだ中身が子供な宏に受け止めてもらえず、命を落とす。 宏の出所を待ちながら、子供を産む決意をするヨシ子。大人としての責任(労働)を果たさず、半端なヤクザ者として好きな事をして生きている宮内。 裁判後、宮内とヨシ子が橋で再会する。相変わらず女遊びをしていて大人にならない宮内と、大きなお腹を抱えて大人の世界に踏み出すヨシ子。大人と子供の微妙な境界線を、別方向に別れるふたりを対象的に観せることで表現しているように思えた。[インターネット(邦画)] 6点(2022-04-10 17:47:59)《改行有》

66.  激突!<TVM> 《ネタバレ》 -Duel- “(1対1の)決闘”。  確か初めて観たスピルバーグ監督作品だったと思う。日常よくある『路上での追い越し』から始まる、身も凍る恐怖。執拗な追跡。あまりにシンプルなストーリーに目が話せなくなった。どんな奴が運転しているんだろう?なんでここまでしつこく追いかけるんだろう?…どうなれば終わるんだろう? 決闘というタイトルだけど、主人公の車はあまりに非力だ。単純に大きさも馬力も違うし、ラジエーターに欠陥を抱えている。助けてくれる警察も呼べない。どう考えても勝ち目のない闘い。 結局、トレーラーの運転手の人相や目的を知ることなく映画は終わるが、幼いながらも不思議な満足感を得られた。この迫力ある映画が、ジョーズやE.T.を創った天才スピルバーグが、僅か25歳で初監督(厳密には違うかもだけど)した、しかもテレビ映画だというから、本当に天才っているモンだな…って感心してしまった。 この映画を観てスゴいって思う気持ちは今も変わらない。この映画の何が怖いって、トレーラーが怖かった。25歳の青年監督は自身の最初のオリジナル作品で、動物でも宇宙人でもロボットでも恐竜でもなく、トレーラーを恐怖の対象にした。'71年に。 最後まで姿を表さない運転手にでなく、人間の道具でしか無い貨物車両の方が怖い。幼い頃の私はどうして運転手の正体が気になったのか?それは『人間なら話せばわかる』とか『トレーラーには勝てないけど人間同士のケンカなら勝てるかも?』と思ったからかもしれない。 スクールバスを押すデイヴィッド。暗いトンネルの出口で静かに待つトレーラー。目があったかのように光るあの無機質な丸いヘッドライト。後のジョーズの目に感じたのと同じ恐怖。錆びついてレトロな車種のチョイスも秀逸だ。踏切でデイヴィッドの車を押す時の、絶望を感じる列車の長さ(助かる!)。上り坂でオーバーヒートしてぐんぐん落ちるスピードメーター(間に合う!)。観せ方が下手だと突っ込まれるところだけど、手に汗握ってソレどころじゃなかった。そして最後、運転手を出すことなくデイヴィッドが“トレーラーに”勝つのも秀逸。 トレーラーは映画開始5分で登場し、崖から落ちてすぐ映画は終わる。最初から最後までトレーラーに追いかけられる怖さで一本の映画にしてしまう才能。 初めてでコレ。 恐怖。[地上波(吹替)] 10点(2022-03-31 23:16:29)(良:1票) 《改行有》

67.  幸福の黄色いハンカチ 《ネタバレ》 映画の内容を知らなくても、結末は知ってるって人が多いであろう映画。それなのに何度観ても楽しめる大好きな映画です。 '77年の北海道が舞台のロードムービー。ちょうど映画が撮影された時代に道東に住んでいたのもあって、観る度に懐かしさを感じる。 札幌以外の市町村は、特にここ20年ちょっとで極端に過疎化が進んでしまったけど、当時の地方都市の人の多さ街の賑わいが懐かしい。 3人揃っての旅は3泊4日。網走で出会い、阿寒湖温泉に泊まる。その後足寄あたりの農家、砂川の旅館、そして終着点は夕張。美幌峠を最後に有名な観光地にはほとんど寄っていない。更に陸別でカニを食べた以外、北海道らしいご当地グルメもほとんど食べていないのも、本当の旅らしい。日本中どこでも食べられる“醤油ラーメンとカツ丼”がまた美味そうで… 誰も頼る者のいない土地で、何やかや3人が支え合って一緒に旅をする。鉄也は新しい出会いを求めて、朱実は傷心を癒やすあてのない旅だった。お互い嫌じゃないから一緒にいるのに、ついついがっついてしまう鉄也に、ラケット持って説教する勇作。かつて光枝の気持ちを考えられなかった勇作の説教は“もしやり直せるなら”と、過去の自分に言い聞かせていたのかもしれない。照れ隠しのように「ミットもない」で〆るのは、鉄也への優しさにも思えるし、光枝と会う決心が揺らいでいる不安な気持ちの現われにも思える。 ガタイの良い勇作が、ずっと狭い後部座席に座っているのも、終始勇作の気持ちを表現しているよう。旅が進むにつれ、徐々に明らかになる勇作の過去。妻と暮らした街に近付くほど自信を無くしていく姿。流産した光枝にとった当時の自分の態度。あれだけ腕っぷしが強く男らしい勇作だけど、過去の自分と向き合うのがどれだけ怖いことか。最終日にウジウジして行ったり来たりさせてしまう弱さ。これが勇作の一人旅だったら、あれこれ言い訳をして逃げてしまったかもしれない。そんな勇作を勇気付ける若い二人が微笑ましい。 当たり前のように風にたなびく黄色いハンカチ、それも大量のハンカチがホッとさせてくれる。ここは結末を知っていた初見の時も、また何回再視聴しても、やっぱりジーンと来てしまう。ゆっくりと光枝に歩み寄る勇作。 光枝の顔も見ず、別れの挨拶もしないで走り去る二人もまた良い。勇作はもう大丈夫だって確信して、道端で人目もはばからず熱い抱擁をする若い二人は、歳を重ねて再会出来た勇作と光枝の心の中を代弁しているんだろう。 生ビールより瓶ビールが好きで、居酒屋とかでサッポロ・ラガー(赤星)が出てくると、ついつい嬉しくなってしまうのは、間違いなくこの映画の影響。[地上波(邦画)] 10点(2022-03-21 13:05:31)(良:3票) 《改行有》

68.  戦国自衛隊 《ネタバレ》 とっととタイムスリップするスピーディさ。止まる時計、奇妙な星の位置。最新兵器にはしゃぐ戦国武将。騎馬武者と戦闘車両の混成部隊の妙は素晴らしい。ヘリのカットインのしかた、飛び去りかた、低空ホバリング。とにかくヘリの動かし方が格好良いのだ。パイロットの技量だろうか、あんな鈍臭そうな輸送ヘリが格好良く観える。ただ今回久しぶりに観たけど、こんな幼稚な内容だったっけ? タイムスリップという題材は、沢山の“-if-もしも?”を書ける優れた題材であり、観るものの期待する(or期待を裏切る)妙を楽しめる好材料。戦国時代に自衛隊が行くなんて、ワクワクする美味しいネタだ。未来に与える影響、活かされる歴史の知識、思ってたのと違う新事実。そんなのを一切排除して“現代兵器で襲い来る戦国武士と戦う”だけだったなんて、やってる内容はアクション・ゲームと変わらない。 『他の時代だから何をしても良い』と、暴走した仲間を殺し、村人を殺害し女を誘拐・強姦する矢野一派。当時の自衛隊ってこんなにも脆い組織に思われていたんだろうか?厳しい訓練をして、肉体も精神も鍛えられているだろうに。 『戦って天下を取れば昭和に戻れる』なんて、思いつきにしても適当過ぎる理論に命を賭ける自衛隊員達。まさか何の作戦も立てずに、長尾軍と共闘もせず、突撃・乱戦するなんて、まるで武器を持ったアルバイト自衛官だ。 武田信玄との一騎打ちも、まさかの拳銃を使うなんて拍子抜け。あんなに大損害を受けても、大将首を獲ったら戦闘に勝利できるなら、ヘリから敵本陣に飛んで掃射するとか、三村に狙撃させるとか、一般人の私でも思いつく。 天下を取りたい伊庭三尉に対し「あの平和な時代が大好きです」と本音を言う部下たち。ここに自衛隊に対する製作者の考えが見える気がする。何だかんだ戦争をしたい伊庭みたいなのが上官に居て、矢野のような乱暴な思考の者がリーダーシップを取る組織・自衛隊。そんな組織でマトモな意見が通りますか?「補給基地に戻りましょう」なんてマトモな意見も、上官の力で握りつぶされます。タガが外れたら人殺しの集まり。結局は軍隊なんですよアイツ等。…って言いたいのかな?と。 フンドシと海。三点倒立して戯れるオッサン二人。ヘリに吊るされてクルクル回ってる伊庭三尉(もっと格好良い画になると思ったんだろうけど、あんなんなって。お金掛けて撮っちゃったし、仕方なく使ったんだろうな)。小野みゆきの眼力。やたらと横文字の多い挿入歌(アメグラ?どこがどう??)。 タイムスリップ考証、自衛隊の理念をしっかり描いたって、こんなパワフルな映画は出来なかっただろう。きっとつまらなくなるのは想像できる。色々詰め込んだ結果が評価の低い戦国自衛隊1549(未見)かもしれない。 目くじら立てず、深く考えず。…何だこの映画?って、笑って観るのが丁度いいのかもしれない。[地上波(邦画)] 4点(2022-03-20 13:44:07)《改行有》

69.  君よ憤怒の河を渉れ 《ネタバレ》 -憤怒- 原作小説は“ふんぬ”、でも映画は“ふんど”・・・なんで?? 街中で女が叫ぶ「あの男が犯人よ!」無実の男の逃亡劇。顔見知りの刑事にも疑われ、手錠のまま靴を履かされる屈辱。展開はとってもスピーディで、グイグイ引き込まれる。葬儀会場で靴を変えるなど描写が細かく、サスペンスとして期待大。 アパートの管理人を筆頭に、逃亡先で出会う不自然なくらい優しい人々。早い段階で被害者の2人が怪しいことが解り、観てる側も杜丘の逃亡を応援出来るのは親切。偽名を使う必要がないくらい、みんなに正体がバレてる杜丘。 逃亡から真実の追求へ。だけどずいぶんと軽快で作風とミスマッチな音楽を挟んでくるのが気になって…テッテレッテレ~ン♪旅情あふれる場面だけでなく、加代の死体の場面でもこの音楽。ケキョッケキョッケキョ♪ 変なトラップで楽々ライフルをゲットした杜丘。女の悲鳴と襲うクマ。まさか健さんがクマちゃんと戦う映画だとは。だんだん味付けが大雑把になってきた。 杜丘「どうして俺を助けるんだ!」真由美「あなたが好きだから!」これまた突飛。だけど恋愛映画じゃないからその辺さらっと。音楽とかもぶつ切り。 初めて乗るセスナでF-104戦闘機の追跡を低空飛行でかわす杜丘。あ、結構何でもアリな映画なんだな。矢村の説明で不時着できるタイプのセスナだって解るし、安心だ。 新宿のど真ん中で簡単に連絡が取れる杜丘と真由美。夜の新宿でサラブレッドが走り回る映像は突然で開いた口が塞がらない。いや悪い意味でなく無茶苦茶で面白い。あんな映像、思いついても実際撮らないよ。 サスペンスかと思いきやアクション要素も多く、舞台が日本だけに現実離れしてるようにも思えるけど、後のハリウッド大作アクションでは、結構そのまんまなこと(初めて乗る飛行機で逃走、街中で乗馬)をやっている事を思うと、この時代の邦画で、凄い頑張ってると思う。誰でも思いつくカーチェイス、銃の撃ち合いを入れないのも、新しい映像を観せたい気持ちが感じられて好感が持てる。 執拗に杜丘を追う矢村警部が徐々に味方になる展開も良い。このあたりTVドラマ『逃亡者』のリチャード・キンブルとジェラード警部の関係みたいでアツい。先々で杜丘を助ける善意の人たちも同様。 キチガイ病院ってあんた…でもホント、キチガイ製造病院だった。田中邦衛の演技は慣れたモノだけど、薬飲まされる健さんの可愛いこと。 最後、悪の親玉長岡にバンバン銃撃ち込んで「正当防衛だ」この何でもアリな感じがカッコいい。 主人公に都合よく話が進みすぎるけど、一本の映画としてまとまりも良く、満足度も高い。でもあの音楽がなぁ…ちょっとイジればビバヒルの“アクセルF”くらいに豹変しそうな気がするんだけど…[インターネット(邦画)] 6点(2022-03-16 15:13:57)《改行有》

70.  蘇える金狼(1979) 《ネタバレ》 恐らく、松田優作が亡くなった時に、追悼番組で観たのが最初だと思う。 で、今回改めてこの映画を観て解ったこと。『私は“ハードボイルド”というジャンルを、純粋に楽しめないんだな』ってこと。 生活感のない、死と隣り合わせの生き方。金、女、暴力。銃の手入れ、ウイスキーのロック、煙草の紫煙、男のロマン。ハードボイルドの雰囲気は大好きだ。だけど、観ていると“??”っとツッコミを入れたくなってしまう。 過去にこちらでレビューした“ハードボイルド”作品も同様。作品を好きな人には失礼にも思えるツッコミレビューを書いてると思う。もうこの時点で“ハードボイルド”の楽しみ方が違う、明らかに私の方が間違っているのだ。 当時も気になって仕方なかった「弾が貫通してあんたに当たる」って話。その絵面の、どうにも説得力の無さ。銃の知識なんてどうでも良くて、せっかく教えてくれたんだから、磯川が座り位置をズレるか、狙撃手が3方に分かれれば良いだけの話。どうして朝倉はあんな自信たっぷりにハッタリ咬ませてるのか?磯川たちも誰も突っ込まないのが不思議で不思議で。 取引の島(?)も、そもそもまっ昼間に手こぎボートで上陸からの不意打ちなんて無理。遮蔽物がないから確実に見つかる。ナイフで敵を仕留めた時に発砲されてるのに集まってこない磯川軍団。5人以上が銃で武装してて、機関銃まであるのに、余裕で勝つ朝倉。伏兵が全滅してるのに無線連絡とかもしないで上陸してくる迂闊な磯川。朝倉に都合よく物事が進みすぎ。映画なんだから嘘があって当然だけど、もっと上手に騙してほしかったよ。 松田優作のスタイルは格好良い。上司を恫喝するところとか迫力もある。当時リアルタイムに観ていたら印象も違ったのかな。 だけど人生の大半を過ごす“表の顔”サラリーマンの方でカツラを被るのはいかがだろう? 週5日8時間+残業もあったろう。当時だったら土曜半ドンもあったろうに、そっちでカツラ被るか?普通。[地上波(邦画)] 4点(2022-03-11 07:45:22)《改行有》

71.  もっとしなやかに もっとしたたかに 《ネタバレ》 これがいわゆる“日活ロマンポルノ”かぁ。いきなり奥田瑛二の自慰行為から始まるからビックリする。確かに濡れ場が多く長いけど、今の目で見れば過激ってほどでもなく、きちんとした(?)ストーリーもあって、まだ若手だった有名俳優がちらほら出てきて、主人公の務める大和運輸のマークもそのまんま。ファミリー向けではないけど、普通に内容を楽しめる映画だった。 奥田瑛二を中心にしたストーリーだけど、出演者クレジットのトップは森下愛子な辺りも、ロマンポルノだからだろうか? ラジコン飛行機を見上げる幼い大介と、テニス部員の太ももを見つめる勇一。欲しいけど欲しいと言えない男たち。 妻の君枝に逃げられ、父は倒れ、子供は自分を父親と思ってない、どうにも上手く行ってない勇一。 そこに18歳の家出娘・彩子がピタッとハマり込む。本来の君枝のポジションを、どんどん侵食していく彩子。勇一と寝て、大介と3人で遊園地に行き、病院で父の看病をする姿は、理想の夫婦像、理想の家族像にも見える。 理想の家庭像の裏で、持て余された主婦を食い物にするホスト海野。親友の勇一に内緒で君枝を援助していたのも、解らないでもない。 「くたばれよ!ニューファミリー!」 君枝と彩子の火花がバチバチ。奇妙な3人生活が繰り広げられるかと思いきや、案外アッサリと身を引く彩子。 彩子との勝負に勝って手に入ったのは、かつて自分が捨てた生活。この“勝負に勝って試合に負けた感”ったら… 勇一の目の前で親元から走り去る彩子。大介の目の前で墜落するラジコン飛行機。どちらも自分のものじゃないけれど、手に入らなかった理想かな? 海野も実家に帰り、完全に自由を失い、退屈そうにタバコを吸う君枝。軽快なマーチと対象的に、誰も何も手に入れられない、虚しい結末。[インターネット(邦画)] 6点(2022-02-23 15:44:43)《改行有》

72.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 -Tora!Tora!Tora!- “ワレ奇襲ニ成功セリ”の意味だけど、タイガーの虎ではなく、トとラをくっつけた通信暗号で、意味は持たない。 真珠湾攻撃を真面目に映画化した作品。当時は第二次大戦の史実をもとに、ダイナミックに戦場を描くことが、戦争映画という娯楽映画のいちジャンルとして成立していた時代。空母の甲板に並ぶ水兵たち。真珠湾基地の風景、居並ぶ軍艦と航空機たち。日米両側の軍備に迫力を感じる。もちろん開戦からおよそ30年も経っているし、模型だったり現行兵器そのままだったり、当時のものを完全再現した訳じゃないだろうけど、やっぱ凄いわ本物。 見終わってから知ったけど日米合作とのことで、それで日本の描写も丁寧なんだなと感心。ハリウッド映画の日本人に有りがちな怪しい日本語ではなく、きちんとした日本語で、しかも関西弁まで出てきて驚いた。でも写真の『U.S.S.ARIZONA』はカタカナ表記が正解でないかな?極力公平に作ろうとしたためだろう、アメリカ人俳優と日本人俳優を1人づつ交互に流すエンドクレジットにも注目。 魚雷訓練で低空飛行をしている攻撃機に手を振る遊女。鳥居のそばで釣りをするおじさんなど、日本軍と民間人の身近さが感じられた。敵艦のシルエットクイズ風訓練風景なんか、とても日本人らしく和やかに描かれている。一方で大海原を走る空母赤城の勇姿。発艦する零戦の朝焼けに映える美しさ。いざ開戦というピリッとした空気が、日本は怒らせると怖い国だという事が、ビシビシ伝わってくる。アメリカ映画なのに、血が通った日本人が描かれている。 序盤中盤と政治的な駆け引きが多いが、後半に集中する真珠湾攻撃は迫力満点。 滑走路で一発撮りの爆破シーン、逃げ惑う兵員たちの命がけの撮影は、CGでは絶対に出せない臨場感。 容赦なく破壊されるP-40にカタリナ飛行艇。逃げ惑うB-17。基地内で働く日系人青年に向けられる敵意の目。 ハレイワ飛行場のケネスとジョージの活躍、機銃を撃つ黒人調理師が、辛うじてアメリカ・サイドの溜飲を下げる。 映画の大半は開戦に至る過程を丁寧に描写していて、特に日本側の、戦争を避ける為の努力が感じられる。 アメリカ側は、日本との開戦に危機感を感じている者と、あの場に及んで呑気にしているものの落差が大きい。 でも詳しくないけど、そもそも開戦前のアメリカが、日本と大使館の暗号電文を傍受して解読するのって、国際法的に犯罪じゃないの? 日系アメリカ人のゲリラ活動を恐れて滑走路に集められる航空機。もみ消された空襲前の潜水艦撃沈事件。たまたまB-17編隊の到着と重なったレーダー基地での未確認機影のキャッチ。 真珠湾で大打撃を被った失態。これは変えようのない事実で、この映画はあの時、何故そうなったか、些細な行違いと不運なミスの重なりに、真摯に向き合っている姿勢が見て取れる(…言い方を変えるとミスした士官に責任を擦り付けているようにも)。 一方の日本側は、開戦に前向きな士官に対し、実際にアメリカを見てきた山本長官の言葉に重みが感じられる。 戦争を回避できなかった野村・来栖両外交官。目的の空母を沈められず、艦隊を引き上げる南雲長官。開戦の最後通牒の前に攻撃をした事実を受け止める山本長官。みんな他人のせいにはせず、自分自身の責任として受け止める姿勢が、今も昔も変わらない日本人らしさに思えた。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-02-08 22:31:48)《改行有》

73.  ゴルゴ13(1973) 《ネタバレ》 イラン(革命前の最後の王朝時代)というのが良いですね、日本との合作だけど、イランの映画は始めて観た。この時代のテヘランは、けっこう発展した豊かな大都市に見える。 そして健さんの引き締まった上半身。鋭い眼光。そして健さんのベッドシーンは、短いとは言え初めて観た気がする。健さん意外みんなイラン人。本作は日本語吹き替えだけど、撮影現場では何語が飛び交っっていたんだろう?想像すると面白い。 また登場人物は現地の俳優さんを使っているらしく、wikiを辿ると、皆さんの活躍の記録(ペルシャ語?読めん)があった。 ただ作品内容は、原作者、映画製作者、原作ファン、健さんファンの、誰も得しないような創りに思える。 ゴルゴ13といえば、もっとゴッツい西洋人並みの体格なイメージがあって、見るからに細身の東洋人な健さんは、当時のヤクザ映画で活躍していた、いつもの健さんにしか見えなかった。 ゴルゴらしい狙撃のシーン。ターゲットの顔が解らない。“マックス・ボアは小鳥が好き”ヒントをモトに、鳥かごを撃つゴルゴ。小鳥が懐いた奴がターゲットだ!…って展開は、ゴルゴ13らしくて盛り上がった。ここでビシッと決めてたら、そこそこ楽しめる短編映画になっていたかもだけど、ゴルゴ仕留め損なうし。狙撃中に敵の返り討ちに合って負傷とは、なんともゴルゴらしくない。 その後、現地俳優(アマン夫婦とキャサリン)の活躍?と観光地巡り?も入れて、ちょっとテンポダラケたけど、最後の狙撃はビシッと決まってた。でも、なぜ小鳥まで殺したのかゴルゴ!?[インターネット(吹替)] 3点(2022-01-26 23:32:10)《改行有》

74.  青い体験(1973) 《ネタバレ》 -malizia- “意地悪”。 スカートから覗く太もも。スケスケのネグリジェ。自転車に乗るのを手伝ってサワサワ…エッチなあるあるネタのオンパレードは、ある意味清々しくもある。 だけど、う~~~ん・・・・これは、今の世の中では、いわゆる、セクハラだわ。 そして立場の弱いものに対して、立場を利用しての行いだから、いわゆる、パワハラだわ。 30前半の美人で気が利くアンジェラが、どうしてあの家で家政婦を続けることにこだわったのか、私にはわからない。お父さんは良い人だけど、そこまでの魅力があるか?お金はありそうだけど。 少なくとも、神父の前でアンジェラの手を握って、結婚の話をしてるお父さんの横で、アンジェラのパンツを脱がす変態中学生が居る家で、働き続ける必要性がわからない。家庭を築ける自信がない。 百歩譲ってアンジェラ自身がそういう性癖なのかもしれない。人に見られてとか、バレずにするスリルとか、あんな子に虐げられてとか、そういうのが好きな人は一定数居ると聞く。性癖は人それぞれだし、人に言えない癖があってもそれは自然なことだけど、仕事中はそういうの、ダメだろう。面倒くさい事になっちゃうだろう。 ニーノが無言で寝室をウロウロするとこと、ノートをちぎって投げるの、アレやられたら私は泣いてしまうわ。それか殴るわ。うん、殴る方にしよう。いい加減にしろこのガキ!って、殴ろう。 セクシーな格好で父親をからかわせるのを覗き見たり、アンジェラのストリップをポルチェロに見せたりって、何が楽しいんだ?ニーノ。アレで君の、何が満たされるんだ? 暗闇で怖がってるアンジェラを懐中電灯でチロチロ。ヤメロそれ陰険だな。って思ってたら、アンジェラが脱ぎながらキレながら笑って仕返し。ハハハ。ここ良いシーンだなァ。 コトを済ませたら執着が無くなったんだろう、相手は倍の年齢の女だし。最後は結婚式で行儀よく「お元気で ママ」と頬にキス。 ドキドキしながら最後まで観てしまった。うん。[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-14 01:12:58)《改行有》

75.  マラソン マン 《ネタバレ》 -Marathon Man-そのものズバリだろうか?“マラソンをする男”“長時間に渡る…男”。数年前にエルトン・ジョンの-Rocket Man-が流行ったから、なんかそれっぽい雰囲気のタイトルにしたのかもしれない。 マラソンして、大学の講義聞いて、恋をしてのベーブの日常生活。一方でドクの暗殺未遂。路上の事故など、序盤からどう結びつければよいのか方向性がわからない展開が続く。ドクが殺されてからの展開、ベーブが誘拐されるシークエンスが怖い。風呂場の蝶番がミシミシ壊され、大声で助けを呼んでも止めない相手に、どう対処したら良いのかわからない恐怖。 「安全か?」「・・・安全か?」なにそれ、どう答えたら正解なの?…ってか、どっちでも拷問される怖さ。意味がわからない怖さ。歯カリカリするの痛い。チュイーン痛い。助けられたと思ったら、またあの部屋に戻される絶望感。変な汗出てくる。 助けてくれない救急車を描いてからのタクシー、変人呼ばわりしていた隣人の助け。エルザの目的。このあたり、序盤にベーブの日常が丁寧に描かれたために生きてきていると思う。そう思う一方で、ドクとベーブの話がなかなか結びつかない序盤が、映画として良く出来ているとも思えないけど。 ジーンウェイ達の最後がアッサリしていて、ちょっと駆け足感あり。でもユダヤ人街でゼルの正体がバレてからのハラハラ感は手に汗握る良い展開。 最後の「ダイヤを飲み込め」。意外な仕返し方法だけど、このダイヤもともとはユダヤ人の金歯だったから、それをナチに飲み込ませるのは、歯の拷問の仕返しとして、妙な上手さを感じた。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-06 00:26:59)《改行有》

76.  殺人遊戯 《ネタバレ》 松田優作の遊戯シリーズ第2作…何てことは知らずに鑑賞。 松田優作といえば真面目で無口なハードボイルドな面と、探偵物語の工藤ちゃんみたいな饒舌でおちゃらけた面が思いつくけど、この作品ではその両面が楽しめて、ちょっとしたお得感があった。裸の大将みたいな格好しててもスラッとした松田優作はカッコイイなぁ。 「今日、野性の証明観に行かないと…」「ネバーギブアップ!」ラジオから『戦士の休息』と、同年のライバル映画ネタをジャンジャン出してくるのが笑える。たまたま先日観たばっかだし。こちらの音楽も大野さんなので、軽快でオシャレなルパンっぽさも味わえる。 鳴海という人物、照子が殺されて復讐のように花井組を壊滅させるとか、文太に殺人の報酬ぶんの金を全額置いていくような、情に厚い男の一面があるようだ。だけど人質にした美沙子にロシアンルーレット(もともと殺す気はないんだろうけど)をした後に「運が良い」と開放する。最後は自分を撃つ美沙子にキスをして撃ち殺す冷酷な一面もある。 最後の美沙子を殺す必要性がイマイチよく解らなかったけど、最初に殺された会長の秘書だった時は、美沙子はこの会長の愛人だったんだろう。その会長の利権を握ってクラブのママになってからは勝田の愛人だったから、5年前も今も、鳴海が暴れるたびに自分のパトロンを殺されてる。 最後鳴海に向かって撃つのは、きっとロシアンルーレットの仕返しなんだろう。もちろん鳴海に当てる気はなくて“もう運が尽きた”ことを伝えて、あの時に遡って殺してもらうことを望んだんじゃないかと。そう考えると美沙子を撃った鳴海は、一貫して情に厚い男と言えるかもしれない。美沙子の酒は涙でしょっぱかったのか。 寿会の銃撃戦は約3分に及ぶワンカット長回し。扉に穴が空いたりと、撮り直しが難しい中での一発撮りは、この時代結構スゴいことなんじゃないかな。 だけど確かに、殺されるヤクザのオーバーリアクションは、ふざけてるビートたけしみたいで笑えるかも。[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-22 12:50:43)《改行有》

77.  野性の証明 《ネタバレ》 -野性の証明- 野生(=自然に育つ)じゃなく“野性(=動物の本能)”です。 たぶん兄が、原作の表紙(味沢が頼子を背負う絵)の、新聞の切り抜きをテーブルに置いていて、なんかあの絵の、生気のない頼子が幽霊みたいで怖かったんだ。これは絶対恐い本だ。と。それから数年、テレビでやってるのを観てしまう。これ昔見た恐い表紙の映画だ!と。 怖かったなぁ。テロ鎮圧シーンは大丈夫なんだけど、何も悪くない村人が次々残忍に殺されるのって、とてもショッキングだった。それと朋子の家に暴走族が来て殺されるところ。「家の中(安全地帯)まで入ってきて殺すなんて…」と、あれは逃げ場のない恐怖体験で、夜中に暴走族のバイクの音が聞こえると、家に襲撃に来るんじゃないかと、しばらく心臓パクパクして固まってたわ。 でも何だかんだ最後まで観て、頼子ちゃんが撃たれるのに悲しくなり、味沢の「頼子、行くぞ」に、何か熱いものが込み上げました。音楽も印象的で、メインテーマ(歌じゃない方)が頭の中でリフレインしていました。 大人になって観てみると、東北の羽代市が舞台で、そこでは自衛隊も警察も大場一族が支配しているというマッドシティ設定。ネットの発達で日本が小さくなった今と比べ、中央の力が及ばない地方都市なんてのも、あっても不思議じゃないなって思えた時代だった。犬神家の都市版のような雰囲気がいい感じだ。 朋子の姉を殺したのは味沢か、なぜ味沢が朋子に近づいたのか。野心的な記者の朋子と、保険のセールスマンの元自衛官・味沢。羽代市を支配する大場一族の裏の顔と、防衛省昇格を前に非公認の特殊工作隊を隠したい自衛隊幹部の思惑が交差する。複雑だけど面白い。 「俺たちが助かる方法は3つ。演習中隠れているか、演習地から逃げ出すか、あの22名を倒すかだ」ここまでは凄く盛り上がるんだけど、特殊工作員が一般の自衛官をあっさり殺す意外、特に盛り上がりがない。ここから、今までの面白いドラマが安っぽいアクションに切り替わってしまうのが残念。 エンディングが記憶では『戦士の休息』だと思ってたけど、大野雄二氏の音楽(頭の中でリフレインしてたやつ)だった。大野さんの音楽最高。 そのエンディングで、頼子との回想とか自衛隊との戦闘とかと一緒に、戦車部隊と一緒に歩く味沢の画が、当時も今も謎。 印象的な頼子の最後。撃たれて瀕死だった頼子は、予知能力で父がヘリの隊長に撃ち殺されるのを察知して、それで飛び出したんだろう。トロッコでの別れ際、味沢が「頼子ちゃん」と、他人扱いするシーンからの繋がりで『お父さ~~~ん!』「頼子!」は名場面。 頼子の父が発狂した原因の軟腐病。もしかしたらあの部落だけでなく、このマッドシティ羽代市にじわじわと軟腐病が浸透していたのかもしれない。“演習にかこつけて味沢親子を殺してしまおう”なんて、マトモな人間の発想じゃない。劇中何度も出てくるセリフの通り「狂ってる」。 そして最後の味沢の特攻。戦車と歩兵の大部隊相手に拳銃で戦いを挑む味沢。でも相手は特殊工作員でなく一般の自衛隊員。元特殊工作員ながら人間性・理性を失わなかった味沢も、この時には既に、軟腐病(≒野性)に侵されていたのかもしれない。[地上波(邦画)] 6点(2021-11-20 12:52:28)《改行有》

78.  アタック・オブ・ザ・キラートマト 《ネタバレ》 -Attack of the Killer Tomatoes!-“殺人トマト達の襲撃” 学生時代に買って隅々まで読んだ『ぴあシネマクラブ』という分厚い映画辞典で“CULT作品”として紹介されていたこの作品。短い紹介文として10行くらいの簡単なストーリーが書いてあったけど、ほぼそのまんまの内容だったわ。 最初のヒッチコックの鳥の紹介(いや、アレ観て当時の人は嘲笑したのか?)から、実際の鳥の襲撃(ホントか?)は話の切り出しとして面白かった。そしてリアルなヘリの墜落(実際の事故らしい)。トマトが人を襲うという不条理さはともかく、狭い会議室とか日本人博士(フジ・ノキタファ博士)が戦艦アリゾナの写真を落とすとか、当時のコメディ映画として及第点なんじゃないか?って思って観てた。 ダサいヒット曲『思春期の恋』って歌がトマトの弱点とか、結構良く出来てる。架空のヒット曲みたいだけど、今の日本だと『パプリカ』みたいな歌だろう。 どうしてこれが、CULTな最低映画なのか?…まぁ早い話、退屈なんだな。 古い話だけど、吉田戦車の『伝染るんです。』って不条理4コマ漫画があって、アレたぶん、当時のリアルタイムの日本人じゃないと笑えない、基礎として日本の習慣や生活が染み込んでないと笑えない漫画だと思う。このキラートマトもたぶん、きちんと理解するには当時のアメリカ人としての生活習慣がないと難しくて、もし説明を受けて理解は出来ても、それを面白いこととして笑えないのかも?って思えた。 『名犬ラッシーと飼い主(ティミー)のように♪』とか、本来の意味を伝える字幕の努力は素晴らしい。テッドの翻訳家は見習ってほしいものだ。 …まぁ、どう褒めたところで退屈な映画なんだけど。[インターネット(字幕)] 1点(2021-11-14 19:06:41)(良:1票) 《改行有》

79.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 -The Towering Inferno-“そびえ立つ地獄絵図” カメラが捉えた決定的瞬間とか、そういうので見たビル火災。ジョエルマビル火災の映像は子供の頃のトラウマだ。炎や煙から逃げる為に、助からないと解っているのに飛び降りる心理状態。将来住むなら一軒家だなって思ったね。 そんなジョエルマビル火災と同じ年に、この映画が公開されたことを後から知って、とても驚いた。当時の人はどんな思いでこの映画を見たんだろう?とか、興行的にマイナス要因じゃないか?とか。そもそも、ビル火災を娯楽として観るのってどうなんだ?ってなってしまいそうだけど、いやいや、そこは映画なんだからどんどん観よう。 OPの空撮が結構長い。サンフランシスコのビル群が街の巨大さを実感させる。その中でも当グラスタワーの高さが別格で、未来の建物って感じがする。それと当時日本ではまだ30階建てのビルが数本あった程度だそうだから、あの映像だけで、ほえぇ~~ってなっただろう。 当時のパニック映画の中で、ポセイドン・アドベンチャーと双璧と言える本作だけど、乗客自ら移動して活路を見出すポセイドンと比べ、こちらのゲストはジッとして動かない。主役が消防士(救助する)側だから、あまりゲストに勝手に動かれると困るというのもあるだろう。また本作では、活路を見いだそうと最初の場所(パーティ会場や寝室)から移動したら、ことごとく被害に遭うというのも、作品比較として興味深い。そしてポセイドンと違い、女性陣がほぼ役立たず。ゴンドラ乗ってから感傷に浸ってないで、もっとテキパキ・黙々と逃げろ。あとエレベーターでパワーズ隊員が宙吊りになった時、足掴むとかしてくれよって思った。そんな役立たずな女性陣の中で、一番頑張ってたリサには助かってほしかった。だけどあの“普段なら絶対乗りたくないゴンドラ”に、一部の男どもが助かりたいがために我先に群がり、理性を持って止めに入った人たちを蹴落とす地獄絵図は、凄惨の極み。 チーフ・オハラハンの感情を抑えた静かな言葉。冷静で重く、頼りがいがあって、メッチャカッコイイ。エレベーター救助の後、避難所で休んでる姿はボロボロ。それでも呼び出しがあればスッと立ち上がる姿が、またカッコイイんだ。上司にしたい度高し。 貯水タンク爆破のメチャクチャな提案。これ命令じゃないんだ。隊員の安全・避難経路が確保できないから、上司も提案は出来ても命令は出来ない。だからオハラハンは単身、自己責任で行かなきゃいけないし、パーティ会場で消火活動をするスコット隊員(ロボコップのオムニ社のジョンソン)も連れていけない(=命令になるから)。ここは消防士の労働基準をタテに民間人のロバーツを活躍させる、映画として上手い運び方だと思う。 高層ビルなのに椅子を投げて簡単に割れるガラスとか、壁に沿ったエレベーターにヘリからオハラハンを降下させるには屋上より上からじゃないと無理とか、あのヘリで3トン以上あるエレベーターを持ち上げられるのか?とか、色々思う所はあるけど、当時はあんな高層ビルが燃えること自体が想像の産物だったろうから、少々脳内でリアリティの補完が必要。 流石に時代を感じるようになってきたけど、未だに災害の恐怖と様々な教訓を与えてくれる本作。2回目の視聴になると、あのOPの実在するビル群に、いつかグラスタワーのような火災が起きるんじゃないかと思えるようになり、恐ろしく思えるようになった。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-31 16:14:40)《改行有》

80.  拳精 《ネタバレ》 子供の頃、石丸さんの吹き替えをジャッキー自身が喋ってると思った人、手を挙げろ。 当時ジャッキーのカンフー映画は、ゴールデン洋画劇場でよく流れてた印象がある。次の日は学校がないので私も最後まで観せてもらえた。 見たことのないカンフーの動き、美しさ、風を切る効果音。解かりやすいコミカルな演出。子共たちはみんなジャッキーが好きだったよ。さてこの拳精は、変な精霊も出てきてコミカルさが突出した異色作。最後“俺の技で決めろ”“いやいや俺ので”って言い争うところなんて、子どもたち大爆笑でしたよ。 ~Spiritual Kung Fu~霊的なカンフー。“カンフーの精霊”的になるかと思ったけど、そういう訳を見付けられず… 久しぶりに鑑賞。字幕版。う~ん、精霊たち、当時は可愛らしいと思って観てたのに、あんな、ただの白塗りのオッサンだったっけ?高画質で顔の違いが解るぶん、残酷な現実を突きつけられた感じ… しかもチャイナ・ガール流れないのね。酔拳のカンフージョンとかは、日本語だし後付けの主題歌だって中学生くらいには気がついてたさ。でもチャイナ・ガールは英語だし、当然掛かると思ってたさ。アレ掛からないと、変な感じなのさ。 今の目で観ると、イーロンは自己中で反省とかしない悪ガキ。負けた女の子にリベンジとか、子供じみてる。まぁ女の子見たこと無いって設定だから、ブルマに初めて会った悟空みたいなものかも?根っこは悪い奴ではない。 カンフーの組手はとても綺麗で、ガードを外して正拳をブチ込む、ガチな空手系の七殺拳。対して動物をモチーフにした奇っ怪な動きの五獣拳。なんかタイトルの意味はこの辺に掛かってきそう。十八羅漢との棒術もトンファーも見事。コメディ映画なのに武器の使い方の教科書みたいだ。見えない精霊とのパントマイムもよく見ると結構上手。 可能なら石丸さんの吹き替え版を観てほしいなぁ。チャイナガーr チャイナガーr フンフンフンフ~フン…♪[地上波(吹替)] 6点(2021-10-22 12:04:42)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS