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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  猟奇的な彼女 《ネタバレ》 -My Sassy Girl- “生意気なカノジョ”とかかな? “猟奇的”は-bizarre-みたいです。 じゃあハングルだとどうでしょう『엽기적인 그녀』…邦題ままですね。 冬ソナに代表される韓流ブームのちょい前、ブーム前の斥候とも言える本作。タイトルのインパクトから日本でも知名度は高く、私も興味はありましたが、今回初視聴です。もっと包丁振り回すとか危ない人物を想像していたけど、そうではなかった。 彼女が追いかけたくなるほど可愛く見えたり、『アレは無いな』って思ったりと、同じ彼女に多面性を感じたように、あぁ見えてキョヌも多面性があるんだろう。幼少まで自分を女だと思ってたそうだし。男らしく生きよう、女の子を追いかけよう。という一面の他に、意外とキョヌの女性的な面が、彼女のDV男のような乱暴な部分に惚れたのかもしれない。 西野カナのトリセツを彷彿とさせる彼女のマニュアル。キョヌを向かいの山に登らせての聞かせたくないホンネ。韓国映画だからホロリと来る系のエンディングかと思った所で、延長戦。序盤の伏線回収を絡めて、とにかく綺麗にまとまってた。 延長戦は原作にはないとのことだけど、多少力技っぽくても観た人がハッピーになれる終わりを選ぶあたり、いいセンスだと思う。 ちょっと長めの劇中劇2連発。韓国では受けるのかもしれないけどねぇ…って部分。この辺がまだ韓流ブーム一歩手前、海外進出を狙った作品っぽくなく、国内向けの映画っぽさが感じられた。ここ残しておく洗練されてなさが、却って掘り出し物感が感じられてよかった。[インターネット(字幕)] 8点(2022-10-01 16:37:57)《改行有》

62.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 -Billy Elliot- 主人公の少年の名前。イギリスの炭鉱町を舞台にした映画って数本あるけど、結構みんな出来が良い印象。 才能のある人が必ずしも才能を伸ばせる環境に居るとは限らない。ビリーもそうで、如何にも頭の硬そうな父親と、話の通じ無さそうな兄。徘徊する祖母。毎日の組合のストライキと、働くものへのバッシング。どう見たって将来に向かって希望を見出だせない環境で、突如ビリーに開花したのは“バレエ”という特殊な才能。もともとビリーにボクシングを習わせていたのは、単に男らしさを身に付けさせるためでしか無かったんだろう。 父親として、息子の将来にレールを敷いてやれない現状。 そんな父の決断、覚悟が凄い。自分の信念、置かれている環境、それを全部捨ててでもビリーのバレエの才能に全部賭け、炭坑行きのバスに乗る覚悟の重さ。 『息子がバレエが好きだから』とか、そんなレベルでする覚悟じゃない。炭坑の仕事は遅かれ早かれ無くなる。自分もトニー(兄)も失業して別な仕事を探さなきゃいけない。だけどビリーだけは将来バレエで食べていける。息子に自分と違う人生を歩ませる為、偏見を捨て、自分の価値観を捨て、父親として出来る限りの、なりふり構わない手助け。この姿勢こそが本当の男らしさ。父親らしさじゃないだろうか。 女の子との関係。親友との関係と、男女の性に対するビリーの苦悩とかがもっと描かれるかとも思ったけど、ビリーは一本筋の通った男らしい少年だったかな。それでいて親友の性に対する悩みにも理解を示せるあたり、あの父親の子供なんだなぁって、微笑ましくも思えた。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-25 18:21:14)(良:1票) 《改行有》

63.  博士の愛した数式 《ネタバレ》 人生初の国際線の機内で観ました。まだ劇場公開中の映画が観られるなんて、すごいなぁって思いました。そんな思い出補正もあるんだけど、結構好きな映画です。 邦画ってお色気シーンがあるものと思っていたから、ちょっと敬遠していたんだけど、この映画はそういうのが無くてスッキリ楽しめました。それこそ、劇中のルートくらいの子に観てほしい映画。 絵に書いたような素直な学生たち。悪意なくからかわれて人気者の先生=最初の授業っぽいけど既に√ってあだ名が浸透してるとか、まず無い。 理解ある家政婦紹介所とお義姉さん=派遣に子供連れて行って一緒に御飯とか、現実問題無理だろう。 博士を受け入れる少年野球チーム&背番号の変更=背番号は杏子が事故のことで監督と取引したのかも? なんて、私みたく斜に構えた観方ではなく、子供だったらこの映画がすぅ~~っとまっすぐに入ってくるんじゃないかな? 階数、素数、完全数、π、i、e。算数の段階から数字が苦手だった私でも、数学の面白さや神秘性が伝わった。なんかこんな話を学生の頃に聞いていれば、もしかしたら苦手意識無く楽しく学べたかもしれないな。この映画をキッカケに、数学の楽しさを探究したくなる若い子が出てくると思う。 そして記憶を持ち続けられない博士との交流は、人を思い遣る気持ち、人を悲しませない付き合い方を知る、とても良い学びの機会になっていると思う。 ルートが怪我をした時の母親の一言。博士におぶさって、母の被せたキャップをはたき落として気持ちを示す一連のシーン。謝る母親をちゃんと許すところとか、10歳にしては大人すぎてるとは思うけど、やっぱりジーンと来てしまう。…しかし、ほんと吉岡秀隆ソックリな子役を見つけてきたモンだわ。 せっかく主人公を杏子からルートに変更したんだし、純粋に子供向けに創っても良かったのに。 お義姉さんの話は子供には難しいんじゃないかな。それこそ自分たちの曾祖父母(?)の年代の恋愛話だから、子供はどう観るんだろう? 17年前の事故から時間が止まっている博士だけでなく、未亡人もまた、時が止まっているように思えた。1986年の話のようだけど、その年代から観ても古いお屋敷に、和服を着てキッチリ化粧をした未亡人。彼女には老いていく自分を博士に見られたくない気持ちがありながら、博士ひとりを17年前に置いていくことも出来ない優しさ、そして罪の意識から自分からは何もしてやれない悲しさが感じられる。 杏子に対する博士の思いも気になった。事故にあった時、博士は47歳だったそうだ。 杏子は28歳。明るくて屈託なく、グイグイ来る性格。ん?ルートは杏子が18歳のときの子か。で、18歳から家政婦やってるのか。 熱中症から目覚めて、自分の記憶が保たないことを知って悲しむ博士。杏子の手を握り、女の手の暖かさを知る。 そしてこのあときっと鏡を見て、自分が既に64歳の老人になっていることに気がつく。 気持ちは47歳なのに、目覚めたら64歳になってる博士は、28歳の杏子に対し、恋愛とはまた違う何かの感情を感じていたんだと思う。 220と284は友愛数と教えた博士。友愛数は親和数とも言うそうだ(※もちろん知ってたんでなく、調べました)。 だけど敢えて“友愛”の方を伝えるあたり、恥ずかしがり屋の博士の気持ちが込められていたのかもしれない。[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-09-12 22:52:39)《改行有》

64.  父と暮せば 《ネタバレ》 『母と暮せば』は観ていたが、正直あまり良い印象が残ってなくて。本作は3部作の1作めって事なので、どうかなぁ?って思ったけど、予想外にガツンと来た。どこか幼さが残る娘と、頼りになる面白いお父ったん。テンポの良い親子の会話が心地よく、重たい原爆の話だけどスルスルと抵抗なく観られた。親子で押入れに入るのカワイイ。 お茶もまんじゅうも口にしないお父ったんに『あっちの映画同様、亡くなってるのかなぁ?それがこの映画のオチかなぁ』なんて思ったけど、案外早くに亡くなっていたことが解る。そこが観どころじゃないんだ。 ストレートに、当時原爆の下に居た人たちの恐怖を語ってくれる。まるで読み聞かせのようだ。浴衣姿のおっとりした美津江の昔話から、エプロン劇場と陽気に始まったお父ったんの広島の一寸法師。広島の人が鬼に対し、原爆瓦でどうしてやりたいか。忘れることの出来ない内に秘めた怒り。美津江じゃなくても怖くなった。原田芳雄の語りの、息が止まるような迫力。 美津江の話。感情を抑えきれなくなったアキコさんのお母さんから出た言葉。父を助けられず見捨てて逃げたこと。あの時生き残った者が幸せになることを阻む。3年前の記憶がいつまでも美津江を苦しめる。宮沢りえの語りも、まるで生存者の体験談のように生々しく聞かせてもらった。主演2人の聞かせる力。 最後のは何だったんだろう?あの不安を煽る音楽と原爆ドームから、美津江ももしかして?って思ったりもしたけど、きっとたぶん、料理してる美津江のカットと、家の天井から続くドームのカットは、続いてるように観えて、別カット、別の建物なんだろう。 ドームの外に咲く2輪の花は、原爆の後を生きる生命で、たぶん美津江と木下さん。観る側に木下さんの具体的なイメージを持たせるために、敢えて浅野忠信を登場させたんだろうか。モヤモヤさせる終わりにした監督の意図は掴めなかった。 モトは舞台の戯曲として創られて、ほぼ舞台そのままのスタイルで映画化されていると思う。だから伝えたいテーマがシンプルに伝わる。死者が会話するファンタジー要素を入れて、死者と生存者の両方の体験者の話を聞かせる。 「前の世代から伝わる話を、いじったりせずに、あとの世代に忠実に伝える」この映画のテーマは、美津江の所属する昔話研究会の方針と通ずるものがあるんだろう。この話を映画にすることで、より多くの人が目にする機会が増えるだろう。私も映画だからこの作品を観る事が出来た。恐ろしく心にガツンと響く映画だけど、観て良かったと思ってる。被爆者の気持ちを“いじったりせず、忠実に”表現したこの映画を、一生に一度で良いので観てもらいたい。[インターネット(邦画)] 8点(2022-08-31 21:42:45)《改行有》

65.  男たちの大和 YAMATO 《ネタバレ》 戦艦大和。当時世界最大・最強の戦艦で、日本連合艦隊の象徴のような存在で、結局は大きな戦果を挙げられず、アメリカの航空戦力に惨敗してアッサリ沈んだ。とはいえ、日本人としてとても心揺さぶられる名前です。 『大和は沖縄を救うために出向したが…』って、ずっと思っていたけど、あれはもとから水上特攻、沈む前提の作戦だったって、映画を観て始めて知った。救援目的と特攻目的。私にとっては大きな違いだ。乗組員も特攻だって知っていたんだな。本当かな? 主人公は艦長とかそれに近い戦況全体を俯瞰できる立場の人物にするところ、本作では機銃担当と食堂係という下々の者にした着目点はとても面白い。硫黄島からの手紙の影響かな。近年の邦画ではとても頑張った戦闘シーン。戦闘の壮絶さを伝える血まみれの甲板。だけどここの観せ方がちょっと残念で、どうせなら神尾から見える範囲だけで、戦闘の恐怖の演出は出来たはず。 となりの機銃座が撃たれて吹っ飛び、手足が飛び散り燃え転がる戦友。止まらない絶叫。助けたいけど助けられない。近づくグラマンのエンジン音。次は自分の機銃が狙われるかもしれない恐怖… 主人公は固定機銃なのに戦闘シーンは俯瞰ってチグハグなことに。それも攻撃を受けて爆発する箇所に、いちいちカメラが移って観せてくれるので、派手さは増しているけど、どこのどんな部分がやられてるのか把握できない。 大和にどの時点でどれほどの被害が出ていて、どれが致命傷になったのか、映画を観ても解らない。 本作の前哨戦に当たるレイテ沖海戦をサラッと流したのもどうだろう?デカい以外大きな戦果のない大和に、嘘でもいいから主砲で米駆逐艦を粉微塵にするとか活躍させて「大和すげぇ!」って思わせてほしかった。 そして同型艦の武蔵が沈むことに、大和乗員が信じていた不沈艦伝説の終焉、絶望も見せてほしかった。 大和は1億総特攻の魁。国や家族、もちろん沖縄を守るためでもなく、ただ先に死ぬのが彼らの任務。その多くが前途ある若者たちなのが、もう全部間違ってるとしか思えない。大和を港に係留したまま、ただ沈没させるわけにもいかないと、2740名も道連れに沈んだ。 「海軍にはもう軍艦はないのか」という昭和天皇の言葉は出てきた。けど豊田連合艦隊長官(大和特攻を決めた人)は名前だけ。神大佐(大和特攻を無理やり決めさせた人)は名前も出てこない。(※映画見てから調べて知ったことです。)彼らは大和が沈んでその先に、どんな敗戦の画を描いていたんだろうか。 映画としてそこは触れずに西の母には冷たい一言を言わせる。いくら一兵卒(神尾)目線とは言え、バランスの取り方が間違ってる気がする。 「広島で働くの」=原爆死フラグというのも、もうどうかなと思う。全て原爆に結び付けてしまうのは安直な気がする。 そして主題歌のタイトルとサビが「CLOSE YOUR EYES」英語なのは、それ以上にどうかなと思う。[インターネット(邦画)] 5点(2022-08-29 21:10:34)《改行有》

66.  ランボー/最後の戦場 《ネタバレ》 1作目にランボーって邦題を付けた日本では- John Rambo - が原題だけど、アメリカとかでは本作が -Rambo- だったそうな。 オープニングから(たぶん)本物の死体映像とかが出て、映画が始まっても地雷を撒いた田んぼを捕虜に走らせて爆散させるとか、ちょっと重たい感じ。 ランボーといえば孤独な戦争アクションヒーローってイメージ。それは2と3で根付いてしまったイメージかもしれない。2→3の流れ、マンネリ感からシリーズの続編は作られてなかったけど、ここに来て急に“人の手足がちぎれて血煙になって吹き飛ぶ”目を背けたくなるリアルな戦場を再現されたのでびっくりした。ランボーなのに。 ランボーが戦う理由。1では自分を守るための戦い。2では自分の過去と向き合う戦い。3は…すみません覚えてない(大佐を救うためだったけど、それだけだったかどうか…)。 3は飛ばして本作のランボーはサラ(他人)のために戦う。ミャンマーの軍事政権が許せないんでなく、たまたま出会って共感できた人を救うために戦った。 そう考えると、1はベトナム帰還兵の身に起きていること。2は娯楽作寄りとは言え、戦場の行方不明者の現状を。3は…すみません覚えてない(アフガンに展開中のソ連軍の何か)。 3は飛ばして本作はランボーの活躍を観せる映画というより、ミャンマーで現実に起きていることを、世界に広く伝えることが目的の映画みたいだ。 今回のランボーは、ミャンマーの問題解決のキッカケを作るでもなく、自分の目的を達成すると、メッセージ的な事を何も言わずに帰って行った。オープニングからの残酷な映像が、ランボーに語らせるまでもなく、何が必要かを語っていた。 正直言って、ランボーでなくても成立するストーリーなんだけど、マンネリ化して立ち消えたシリーズの心残り。戦場でしか生きられない悲しい男の話で終わっていたところに、長年ファンが観たかった映像を、最後のアメリカのシーンで観せてもらえた。長かったランボーの戦いが、ようやく終わった。[DVD(字幕)] 6点(2022-08-26 20:44:49)《改行有》

67.  私の頭の中の消しゴム 《ネタバレ》 -내 머리속의 지우개(Eraser in my head)- 邦題まま。 また -A Moment to Remember- “この瞬間を忘れない” 若年性アルツハイマーって、記憶力の低下みたいなものだと思っていたけど、医者の言う『肉体的な死よりも精神的な死が先に訪れます』がガツンと効いた。・・・そうなのか。それじゃ“脳トレ”とかイワシとか、無駄な抵抗じゃないか。 創作の映画に対する『実際はもっと・・・』は付きもので、この映画はアルツハイマーのイメージを解りやすく表現出来ていたと思う。観た人に病気に対する恐怖を与え、ズンと重たい気持ちで観終わるのではなく、希望を残すカタチで、悲しいラブストーリーに特化して描いているので、多くの人に抵抗少なく受け容れられたんじゃないかな。 帰り道がわからなくなる。メモの付箋だらけの室内。不倫相手を今の恋人と錯覚。失禁。こんな悲しい描写と、「一生恋ができるぞ」みたく病気と前向きに戦うチョルスの言葉が、スジンだけでなく見ている私にも希望を与えてくれる。 記憶が蘇ったときに書いた手紙の、溢れんばかりの気持ちの込め具合に、スジンの愛情の深さが感じられる。 だけどどうしてか、登場人物みんな、極端に第一印象が悪い。スジンは不倫、チョルスは暴力。まぁ主役2人は時間を掛けて描かれるから良いとして、医者はズケズケと本人に病気を突き付けるし、師匠はチョルスの仕事に冷たく、母親は問答無用で食ってかかる。 後に印象リカバーする機会があるから、みんな根っから悪い人じゃないんだな。ってなるけど、映画が2人の恋愛に特化したためか“最後に突然良い人になってた感”を感じてしまい、コンビニのシーンに、何で?って驚いたのが先行して、スッと心に入ってこなかった。 「ゴチャゴチャ考えないで、そこは素直に泣けよ」と私自身に言い聞かせる。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-13 09:14:03)《改行有》

68.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 リビルド・エヴァンゲリヲンが動き出す第2作。TV版とはだいぶん話が変わってます。カットされるところはバッサリとカットされ、変えるところはガラッと変える。新キャラ・マリも登場。この作品は劇場で観たので、賛否はともかく『なんか変えてきたなぁ』って印象を強く持った。 短い上映時間の関係か、なんかアスカがいっつも怒っている印象。あんなにプリプリ怒ってたっけ?「あんたバカぁ?」ってあんなに言ってたっけ?アスカは優秀なエヴァパイロットだけでなく、勉強もスポーツも優秀で、男子たちの盗撮のターゲットにされるくらいの美少女って設定で、シンジやレイと比べてウワベの生き方が器用だったのに。そんな子が実は内面ドロドロしてたのが徐々に暴かれてって、エヴァの大事な要素だったと思う。 トウジの役をアスカに変えたのも、なぁ…1人で使徒を倒せなくて落ち込んでる所に、追い打ちを掛けるように使徒に侵食させるなんて、アスカを虐め過ぎじゃないかな。 庵野監督が本当にウルトラマンの映画を撮ったいま、この作品のウルトラマン好き好きアピールが鼻につく。科特隊の着信音。MATのマツダ・コスモ。4人の使徒≒ウルトラマン。当時はシャレのつもりで観られたけど、今思うとちょっと気持ち悪い。 評判の悪い「今日の日はさようなら」と「翼をください」。懐かしい穏やかな歌とドロドロの残酷シーンのコラボ。オリジナルでなくアニメ声なのが嫌。林原さんが歌ってたのか。劇中のBGMで流れてるならともかく、エヴァでこの2曲を聞きたかったとは思ってなかったし、それぞれ「カノン」「甘き死よ、来たれ」を脳内再生してたわ。 シンジとゲンドウを近付けようと頑張るレイ。レイのために起動実験のパイロットを変わるアスカ。アスカとレイの“良くなっていく予感”。「それって好きってことじゃない!」分かり易い説明セリフ。レイのお食事会にトヨタ・センチュリーで向かうゲンドウ。美味いか不味いか解らないレイの料理の後、どういう展開になるか解らないから、とりあえずみんなが乗れる大きい車を出したと思うと、ちょっと微笑ましくも思える。 レイを助けるために、ここに来てやっと主人公らしい格好良さを観せたシンジ。TVの版放送時、第16使徒の辺りでこういう展開を期待してたんだよな。「たぶん3人目だから」ではなく。このリビルド、良くも思うし悪くも思う。正直言って観たかった内容ではなかったけど、新しいことを入れてきたってことは伝わって、次を期待させるに充分な作品だったと思う。[映画館(邦画)] 6点(2022-05-22 17:22:06)《改行有》

69.  JSA 《ネタバレ》 -JSA- =Joint Security Area “共同警備区域”南北朝鮮の境界線ですね。 血生臭い事件から始まり、何故そんな事件が起きたのか、過去に遡って徐々に紐解かれる真実。何でそうなってしまったのか。先に結末を知っているだけに、話が進むにつれ悲しい気持ちになる。 南と北の兵士たちの交流。突飛に見えないように、地雷除去からタバコの交換と、最前線の兵士の意外な暮らしが描かれていて、“平時の敵国兵士との付き合い方って、案外こんな感じかもな”なんて思わせてくれる。 南北に分断されたばかりの'40年代とかならともかく、ごく最近の1999年10月の事件と考えると、さすがに監視カメラだってあった時代だろうし、無線の定期報告も入っただろう。北と南があんな徒歩で渡れる橋で結ばれた距離なのに、警備兵2人に任せっぱなしなんて、リアリティ面から考えにくい。大の男が4人集まって遊ぶとしたら、ギャンブルさせとくのが一番リアルだろう。 それがこの4人、無邪気に子どもの遊びばかりやってる。あぁそうか、これは現代版のおとぎ話なんだ。 同じ言葉を話す民族が、戦争の勝者の事情で南と北に分けられ、大人になると徴兵され、憎くもない相手に向かって銃を向け合う。その真相究明を、北にも南にも行く事を拒んだ者の子ソフィーが担う。戦争の爪痕、現代の朝鮮半島の縮図。 「双方が望んでいることは、この事件が曖昧になることだ」ソフィーの上官が言うように、事実を突き付ける事は新たな悲劇を生んでしまう。 ソンシクの死の真相。曖昧にしていた真実が、北でも南でもないソフィーの何気ない一言で暴かれる。友人を殺した事実と向き合い、自殺を選ぶスヒョク。 過去に同じ民族で殺し合った事実、今後再開するかもしれない南北戦争。双方が立ち入らない最前線の共同警備区域がクッションとなり、同胞同士、直接殺し合った過去の事実を曖昧にしているんだろう。 平時においては、曖昧にしておかなければ成り立たない現実。せめておとぎ話の中だけでも、無邪気に遊んでいてほしい。 そんな気持ちで映像化されたのかな。良い映画です。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-17 23:48:30)《改行有》

70.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 -DAWN OF THE DEAD- “死人の夜明け” 大好きなゾンビのリメイク。ピーター、ロジャーにトム・サヴィーニも出てくるファンサービスに思わず『おぉ!』となってしまった。 ロメロ版との大きな違いはやはり“走る”事でしょう。走るゾンビはバタリアンの頃からあるので、それほど抵抗はなかったかな。ノロノロ歩くゾンビと違い、やっぱり走ると強そうに見えるし、怖い。銃がないと勝てる気がしない。 アナが襲われるまでの前置きが短く、外に出たら近所は地獄絵図。逃走中に事故に巻き込まれる車の不運。バスの中で襲われる人をただ見るだけの悲しさ。正常な人間にレイプされたのか裸の女性…森で車を壊すまでで、世の中の状況がだいたい解る創りが上手い。 話逸れるけどサラ・ポーリーがバスタブに飛び込むところ、小窓から地面に落ちるところなんて、体張ってるよなぁ。 ゾンビといえばショッピングモール。デパートとスーパーのイイトコ取りで、娯楽から何から生活に必要なものが一通り揃っている。設定次第でどんな商品も置けるショッピングモールは、ロメロ版の当時も今も、最も生存率の高そうな籠城施設だと思う。今回ガンショップをモールの外に設定したお陰で、ケネスとアンディの奇妙な友情も描けた。メッセージボードに血で何かを書くシーンは悲しくなった。 だけど何でも揃ってるモールを放棄してまで、未知の無人島に武装バスで向かう必要性は弱い。ロメロ版との違いを出すためかもしれないけど、もっと『コレは仕方ない』って状況を演出してほしかった。銃は沢山手に入ったんだから、私だったらモールを死守するな。 …とまぁ、そうやって『私ならこうするのに』を想像させてる時点で、この映画もゾンビ映画の名作だと思う。 スティーブンの死体から船の鍵を探すアナ。そういえば家で旦那に襲われる時も、真っ先に車の鍵を取ってたっけ。冷静で頭の回転が速い子なんだね。 エンディングで“その後”が描かれているのも良い。プロローグ同様、短い時間で何が起きたのかが伝わる。生存ルートは考えにくいけど…[DVD(字幕)] 8点(2022-05-04 19:39:28)《改行有》

71.  レスラー 《ネタバレ》 -The Wrestler- これは“レスラー”という職業であり、生き方でもあるんでしょう。 小さい頃プロレスは結構流行っていて、猪木VSマサ斉藤の巌流島の戦いとかあったっけ。だけどプロレス=八百長という先入観があって、あんまり見てなかったな。当時まだお子ちゃまだったから、“相手の技を(敢えて)受ける”美学を理解できなかったんだ。 グランジの登場した'90年代をディスるシーンは物凄く共感できるし、子供とファミコン(?)するシーンも良かった。エンディングに掛かるスプリングスティーン('80年代のスーパーヒーロー)の曲も素晴らしい。輝かしい'80年代の栄光と、時代と年齢の変化に対応できなかった男の悲しさ。演じたのがミッキー・ロークだから、より心に響く作品に仕上がったと思う。 '90年代に入りパッタリ出番の減った人気俳優ミッキー・ローク。甘いマスクがいつのまにかゴツゴツのお顔になり、時々映画内のキーパーソンとして出てくる“名前だけは知られている過去の人”だった彼が、まさかプロレスラー役で映画の主役を演るなんて、世の中不思議なものですね。 「もう充分だ、俺を抑え込め」心臓に爆弾を抱えたランディを気遣うボブ(アヤトッラー)の優しさ、20年ぶりに闘う友への気遣い。観方を変えると思いっきり八百長だけど、今の私にはこのプロレスの美学も理解できる。 ランディの目線の先にパム(キャシディ)は居ない。必殺技『ラム・ジャム』を出す決心をした瞬間の、運命を受け入れた表情。もしあの場でパムの姿が見えたら、ランディは違う結末を選んでいたかもしれない。 レスラー人生の最後。そして恐らく自身の最後を、ファンの期待に応えることで自分を納得させる不器用な生き様。 ストリッパーのパムもランディ同様、歳を重ねると厳しい仕事をしている。他の生き方を選べなかった不器用さに、お互い共感できることも多かったろうに。 ボクサーの第二の人生のスタートを観せてくれた“ロッキー”のエンディングとはまた違う、だけど同じくらい熱いものがこみ上げてくるエンディングでした。[インターネット(字幕)] 8点(2022-04-26 21:01:39)(良:1票) 《改行有》

72.  最高の人生の見つけ方(2007) 《ネタバレ》 -The Bucket List- アメリカでは『死ぬ前にやっておきたいリスト』の事を“バケツリスト”って言うんだそうです。 二人があれだけ思い切ったことが出来た理由は2つ。間近に迫った自分の死を受け入れたことと、それが一人じゃなかったこと。 リストの項目は、本当に前々から夢見ていたことや、どうせ死ぬなら…と思い切ったことも含まれていた。あと実現不可能に思えることも。 私もいつ死ぬかが解っていれば、ぜひ、やっておきたいリストを作りたいけど、どこまで実現できるかは定かではない。一人だったら半分も実現できないかも。もう死ぬのに。そんな引っ込み思案な気持ちを、老後の不安と迫る死を、明るく乗り越える活力に変えてくれそうな映画。 リストの中身は、コールが大金持ちだったから実現できた事が多いのも事実だけど、これが庶民二人のコンビで、目的地到着までに体調崩して現地の病院にお世話になって…なんてのを延々見せられても夢がない。自家用ジェットでビュンとひとっ飛びして、夢の実現をサクサク消化するテンポの良さを優先したんだろう。97分という短めの上映時間にまとめたのも上手いなと思う。 後半に行くほど実現が難しい項目が残っていくけど、決して妥協しない消化方法は見事で、特に“世界一の美女とキス”は目頭が熱くなってしまった。そして世界を駆け巡った挙げ句、身近な場所へ、家族のもとへと帰納していく展開は、誰でも共感できるような気がする。 そして自分たちのやった事、二人の足跡を、誰かに残すことも大事なことかもしれない。序盤のミスリードにまんまとやられ、最後に登場する人物がトマスなのが良かった。コールの思いは娘が、チェンバーズの思いは家族が引き継ぐけど、二人が共に過ごした時間はトマスに残されたんだな。[地上波(吹替)] 7点(2022-04-20 20:33:51)《改行有》

73.  M:i:III 《ネタバレ》 シリーズの中で平均点は低いほうみたいだけど、2があんまりな出来だったことを考えると、上手に方向転換した作品。タイトルにⅢが入っているけど、2を飛ばしても全く問題がない創りが嬉しい。それでいて4以降の作品を観るのに、このⅢは飛ばせない創りがニクい。 いきなり拘束されて涙を流してるイーサン(なんであんなに目がキラキラしてるんだ?)。殺される女性。よくわからないけどピンチから始まる掴み方は旨い。だけど救出劇でリンジーも死んで、死が続いてしまうのは、娯楽映画としては重たかったか。小型爆弾の死に顔はあまりにリアルで無慈悲。 ちょっと特殊部隊映画っぽい出だしから、バチカン侵入はスパイ映画らしくワクワク出来る。地面スレスレのお約束シーンも、あんなスパイグッズ本当にありそうで格好良い。変装マスク制作、声真似フィルムの録音なんて見応え充分。チーム活動もそれぞれの分担が解りやすく、トム様のワンマン映画から脱却しようとしているのが伝わる。 橋の上の無人攻撃機との攻防。爆風で車のリアウインドウを割るシーンは地味だけど特徴的で、何というか“口で説明しても良さが伝わらない”シーンを見せ場に持ってくるのは、J.Jのセンスの良さかもしれない。センスといえば上海のビル侵入中を一切描かないのも面白い。ここを丁寧に描いてしまうと、スパイ色が薄まるからって判断だろうか。ゼーンのおまじないも人間味があって好き。映画の序盤に湖の名前と、唇を読む特技を観せて、その両方のフラグを回収する手腕も評価したい。 OPの拘束シーンに戻り、別人だったとホッとしたのも束の間。ここからが結構駆け足だった。久しぶりに観たら電気ショック意外殆ど忘れてた。あのタイミングでマスグレイブが顔を出す必要性がない。ヘリや無人機まで出せる組織なのに最後のボディガードショボすぎ。デイヴィアンの最後があまり印象に残らない。ジュリア銃の扱い上手すぎ。マスグレイブ生きとったんかワレ!あ死んだ。 ラビットフットって何?マクガフィンだって。映画的にはソレで良いんだけど、劇中のあの物体は何?って思ったんでこう考えた。アメリカが掴んだ中国の化学兵器で、中身はよく解らないんだけど、そこそこ厳重に管理されている。そこでデイヴィアンが欲しがりそうな性能をアメリカが勝手に盛って、ラビットフットってソレらしい名前を付けて情報を流したんでないかと。中国では別な名前が付けられてるから、アレをラビットフットって呼んでるなんて思ってない。イーサン使って手にしてみたら、掴んだ情報と性能が全然違うモンだから(そりゃそうだ)ディヴィアン激怒。って流れじゃないか?と。[映画館(字幕)] 7点(2022-04-18 00:11:01)《改行有》

74.  M:I-2 《ネタバレ》 今回M:Iシリーズを一気観しようと思ったけど、どうしてもこの2は観る気が起きなくて。これほど、私が望んだものと、出来上がった作品に乖離があった作品も珍しいかも。 そもそも当時の多くの映画は、売れたら続編を制作するもので、今ほど続編制作やシリーズ化を前提にした作品は少なかったと思う。だけど“その作品が何故売れたか?”“どこがウケてヒットしたか?”はしっかり検証した上で、続編は制作されるものだと思う。 映画公開直前、トムとジョン・ウーが来日して、特にトムがハイテンションで、この作品の満足感を全身で表現していたのが記憶に残っている。あの名作の続編なんだし、きっと面白いに違いない。そう思って劇場に行きましたよ。 飛行機墜落からロック・クライミングまでは期待通りのものを観せてもらえたけど、大袈裟な指令内容の受け渡し、サングラス投げてから爆発のタイミングの格好良さで、ちょっと嫌な予感。こんな映画だったっけ? 普段は冗談も言うけど腕は確か。冷静な判断力で逆境を乗り越えるイーサン・ハント。だけど今作では余裕がありすぎて緊張感が感じられない。ヤバい状況でもヘラヘラしてる感じで緊張感なし。ロン毛になったのも影響して、前作で追い詰められた表情をしていたイーサンと同じ人物に思えない。 車が有り得ない軌道でクルクル回ったり、白い鳩が主人公を横切って飛んだり、宙を舞うほどの勢いのバイクから空中衝突したり、ジョン・ウー監督のカラーが出すぎてて受け付けなかった。前作に満足した人は、今作のような超人アクションが観たかったわけではないハズだ。 前作のどういう所がウケて大ヒットしたのか、リサーチした結果がコレなのか? トム様「カッコいい俺を観て!」ウー様「ど派手な俺のアクション映画を観て!」わかった、わかった。 わかったからこういうのは、ミッション・インポッシブルではなく、他の作品でやってほしかったわ。[映画館(字幕)] 3点(2022-04-10 21:57:39)(良:1票) 《改行有》

75.  着信アリ 《ネタバレ》 初っ端の居酒屋で柴咲コウの肩に白い腕が乗っかってるのを観た時に『うわあぁぁ!!』って思えたので、掴みはオッケーでした。 携帯電話という世の中を変えた新しいコミュニケーション・ツールと、古来から伝わる呪い、怨念、幽霊の結合は着眼点も良く、一時期ヒットしたジャパニーズ・ホラーの有名作品の一つとして、興味津々で観続けました。 トントン拍子にテレビ局の生放送まで行って…そっから急に、散らかっちゃった。どうしたんだろ?ネタが尽きたか面倒くさくなったのか。 中盤からお化け屋敷映画になったのは残念。夜の廃病院なんてそのままで怖いものを出してしまうなんて。みんなが使う携帯を如何に怖く演出するかが、こういう映画の醍醐味だと思うんだけど。 ホルマリン漬けの瓶を押し出す手とか、お化けが怖がらせようと工夫してるように観えて笑ってしまうし、『おまえの命 あと56秒』なんてのも、お化けが残り時間を気にしながら、タイミング合わせて携帯に打ち込んでる姿を想像すると、どう考えても滑稽だ。 意外な真実を被害者が録画してた。なんてネタは、数年前に公開された“死人が見える少年の映画”そのまんま。 リングや仄暗い水の底からが海外で評価され、場合によってはハリウッド・リメイクされる時代。今から振り返ると『携帯+呪い』ってアイデアに、早めに唾を付ける為に、完成度の低いままに、急いで制作された映画のようにも思える。 続編も作られてるようだけど、未見だから皆さんの評価だけで判断すると『日本ではこの『着信アリ』シリーズが流行ってるんですよ』って、海外向けのアピール、先行投資に見える。…なんかお金の匂いがしてきた。[インターネット(邦画)] 3点(2022-04-06 21:38:54)《改行有》

76.  アルティメット 《ネタバレ》 -(Banlieue)District13-“(郊外の)13区域”。 犯罪者が沢山居る区域があるなら、その辺一帯を壁で囲い込んで閉じ込めてしまえ!…何とも乱暴だけど、映画や漫画で結構観たことある設定。 オープニングからスピーディに飛び回るレイトのパルクールは、何度も見返してしまう華麗さ。もう18年も前の作品だけど、特撮無しのマトリックスを観てるような、カンフー映画の直系進化型アクションを観ているような、そんな楽しさだった。 タハを人質に警察署の結末まで僅か22分。展開も早くて飽きさせない。ローラが悪党の口に自分のパンツをねじ込むところ、オシャレで格好良くて、強烈な個性。後半目立った活躍がないのが残念。 ここからが本編。今度は華麗で力強いダミアン大暴れ。任務はレイトを味方に付けて24時間以内に弾頭の解除。とこっちもスピーディ。ぶっつけ本番の潜入作戦は手に汗握る面白さ。ラスボスがタハでなく…ってところは、これも漫画なんかでよくある展開だけど、主人公同士の戦いも観られて盛り上がる。 レイトとダミアンの引き締まった身体同様、アクション映画として無駄な贅肉を削ぎ落として、86分にギュッと凝縮した創りに、素直に感心してしまう。[インターネット(字幕)] 6点(2022-03-18 00:28:47)《改行有》

77.  きっと、うまくいく 《ネタバレ》 -3 Idiots- “三バカ”。 3馬鹿って言い回しが日本独自のものらしいね。洋画ショート・サーキットとかで三ばか大将って出てきたけど、-The Three Stooges-で、どっちかって言うと“三ボケ”。 ルームメイトといたずら。憎たらしい学長。イヤミな同級生。ヒロインとの恋愛。試験、就職。決めセリフ「うまーく いーく」学園コメディとしてホントよく出来ている。上級生とのトラブル、アタマの硬い先生との口論なんかを、ランチョーがスカッと解決する展開は万国共通の面白さ。 それでもやっぱり日本とインド。文化の違いは当然だけど、いちばん違和感を感じるのは、チャトルのからかい方。ウガンダ育ちで共通語が不自由なのをからかうところ。学ぶことより成績優遇なインドの教育現場の問題提起をしているけど、言葉が不自由で学年2位の成績は、単純に凄いんじゃないかな? “ゴーカン”については、う~ん…だけど、日本もついこの前の'90年代、ギャグ漫画でエイズを笑いのネタにしてた事を考えると、目くじら立てるところでもないって気もして…ブラックユーモアって難しい。 自殺の多さも気になるところで、ロボの死の衝撃。ラージュは助かるの解ってたけど、それでも1本の映画にあれだけ自殺が出てくるのって、やっぱりインドならではの社会問題なんだろうな。後半ウイルス校長が良い人になる所、無重力ボールペンと鉛筆の話はとても好き。だけどこの、自殺に追い込んだ張本人ということが引っ掛かってしまうのが残念。 ヒンドゥー語の不自由な学生と、イヤミな同級生。憎たらしい校長と、自殺に追い込んだ張本人。は、登場人物を分けてほしかったかも? ランチョーが別人で第2部に続くのは、とっても良かったし期待した。単なるコメディだった学生時代から、後半は手の混んだミステリーになるのか?って。でも思ったのと違って、あ、そういうことかって結末だったけど。トラブル→解決→次のトラブル…の連続で約3時間は、そのまんまコメディ映画2本ぶんのボリュームで、どうしても長く感じてしまう。2本の映画というより、二夜連続のドラマ総集編をいっぺんに観るような感覚。 ランチョーの秘密はわかったけど、どうしても“何も言わずに姿を消した理由”は引っ掛かるところ。彼女も親友も放り出して姿を消すなんて、愛着や未練はなかったのかな?って。ドラマの引っ張り方としてはアリだけど、1本の映画としてなら、もうひと説明欲しかったところ。 まぁ再会したときの袋叩き。ランチョーの今の生活は、万国共通のスッキリ具合。高評価も納得です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-03-06 15:43:53)(良:1票) 《改行有》

78.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 -Dancer in the Dark- “暗闇で踊る人”。 また-in the Dark- には“見当がつかない”“何も知らずに”“秘密に”って意味があるようで、単純にセルマの視力のことだけでなく、アメリカ社会、息子のジーン、ビルとの関係とも関連してるような感じにも思えます。 劇場予告を見て、汽車のミュージカルシーンに圧倒されて“おぉ!コレは観なくてはっ!”って思って、速攻サントラ買って聞きまくってたんだけど、当時よっぽど忙しかったのかな?結局レンタルビデオで金曜深夜に観たんだよ。思ってたのと違う方向に向かう映画で、叩くことも、称賛することも出来ず、ただ口をへの字にして寝込んだっけ。ちなみに兄は、日曜の朝に茶の間のテレビで観ていたわ… ハンディカメラで撮ったような色褪せたセピア調の映像は、ドキュメンタリーのようにリアル。ビルを殺すシーン。死刑執行のシーンは「もうやめて…」って思うくらい長く感じられて、目を背けたくなるくらい生々しい。 一方でセルマの妄想、ミュージカルシーンは色鮮やか。面白いのは妄想のセルマがどんどん美しく、女らしくなっていく。工場のミュージカルシーンでは、ほぼ普段どおりの地味なセルマのまま、メガネも掛けたまま。それがジェフとの仲が良い感じに進み、メガネを取り、髪を振り解いて踊る。憧れのノヴィとのダンスでは彼の膝に乗り、107歩では囚人を魅了して回る。 “子供の目の治療に人生のすべてを捧げる母”という彼女が自分で敷いた人生のレール。それがビルの手で狂わされ、リアルに死が迫るにつれ、彼女の中の生きたい気持ち、やりたかったこと、女としての願望が強く出てきたように思えて、こちらもまた生々しく感じた。 トリアー監督。子を思う母親の気持ちを描いた映画なんだけど、監督の意図がイマイチわからない。ビルを殺した場面のミュージカルを最後に登場しなくなるジーン。後半ジーンの気持ちには一切触れず、セルマの描写のみで進むのも意図的。 セルマの一人称表現で撮られてるからか?と思えば、セルマが知らないジェフが診療所を探し当てるシーンは入れる。 ジーンの目は治ったのか?母親の犯罪をどう飲み込んだのか?私たちは事件後のジーンについて、キャシーの行動や言動をもとに想像するしか出来ない。 時代設定がハッキリわからないけど、マッカーシズム・冷戦真っ盛りの時代。共産圏のチェコ移民で白人警官を殺したセルマに、アメリカ社会は冷たい。劇中の設定はわからないけど、キャシーはフランス系、ジェフはスウェーデン系、医師はドイツ系、看守女性はアイルランド系(?)と、セルマに味方するのはアメリカでは力の弱い移民たち。…と、デンマーク人の監督は考えたのかもしれない。 ビョーク。一般人の理解を超えた行動、独特な作風、政治的な言動が目立つアーティスト。でもメジャーで売り出した当時は“可愛らしいビジュアルの実力派シンガー”という印象で、この映画の頃が一番脂が乗っていたかもしれない。真偽はともかく監督からセクハラを受けたというのも理解できる。 プレス機、機関車、足音。聞き慣れた日常の音をキッカケにセルマの妄想世界・鮮やかなミュージカルシーンに繋がるのは素晴らしいけど、最後の音はセルマの首の骨が折れる音と、ジーンのメガネが落ちる音。 この映画の好きな部分はビョークの歌唱力や演技力で、監督の表現したかった映像や社会の生々しさは、私には合わないみたい。[ビデオ(字幕)] 4点(2022-03-06 13:31:02)《改行有》

79.  バベル 《ネタバレ》 -babel- “言葉の混乱”。 ベルベル語、英語、スペイン語、日本語、そして聾者。言語や言葉の違いに混乱する映画にも取れるけど、劇中そこまで言葉のコミュニケーションで困ってる様子はない。旧約聖書の時代とは異なり、バスには英語を話すガイドが乗っていて、移民の家政婦は二ヶ国語を話せて、聾者は筆談や唇を読んでコミュニケーションを図る。 -babelize-で“混乱を引き起こす”となるようだ。子どものたった一発の“試し撃ち”がテロ行為と誤解され、外交問題にまで発展し、世界中のニュースになる。 飲酒運転を誤魔化そうとした結果、子供を誘拐したと誤解され、不法入国の逃亡者になり、幼い兄妹の命に関わる事件を引き起こす。 警察が父を訪ねてきた事を、母の自殺を疑っていると誤解した娘。…でも何故日本?=銃による犯罪が少ない平和な国だから。かもしれない。 菊地凛子の聾者演技は素晴らしい。けど、今ひとつ事件(この映画のテーマ)との関わりが見えてこない。チエコはまだ処女なことに劣等感を抱いている。「あんたの親父とヤッて機嫌直す」。歯医者、刑事と年上との関係を求めるところから、父親への近親愛があるんだろうか?近親愛はお姉ちゃんの裸を覗くユセフにも観られたし…なんて書いたけど、どうも違うような気もする。 勇気を出して裸になっても誰も自分を抱いてくれない孤独。異性と上手くやってる親友と違い、バカは出来ても一歩踏み出せない自分。父親の家族愛しか知らない寂しさ。って感じだろうか? 日本人所有の銃で、モロッコの遊牧民の子に妻を撃たれ、アメリカに置いてきた幼い子供たちはメキシコの国境で死にかける。 ジョーンズ一家のワールド・ワイドな災難とも言えるけど、異国の登場人物のなかに、故意に人を傷付けようとする人は一人も居なかった。 スーザンを献身的に看病するガイドと老婆。一方で何も協力せず自分の身の安全ばかり考えるアメリカ人観光客。 必死になって救助を探すアメリア。妹のレイチェルが子守を引き受けさえすれば、アメリアも子供たちをメキシコに連れて行くことはなかった。 観光客もレイチェルも、同じ英語を話すアメリカ人同士なのに、言葉は通じるのに助け合わない。 別れ際、ガイドに現金を渡すリチャードと受け取らないガイド。心に対する感謝の気持が現金。 綿谷がハッサンに感謝の気持で渡したウィンチェスターM70。アメリカ製のライフルが、巡り巡ってアメリカ人を傷付ける。 現金と銃。世界に混乱を引き起こすのは言葉の違いではない。[インターネット(字幕)] 6点(2022-03-02 01:19:39)《改行有》

80.  TAXi3 《ネタバレ》 軽快な自転車アクションから、いきなりスタローン。あの軽快な身のこなしで、中の人がスタローンなのを連想する人はまず居ないだろう。ちょっと予想外で笑ってしまったけど。更に007風のオープニング。自転車、スタローン、007とチグハグで、何を目指したのか解らない。 高速警備隊のランエボ、TGV追い抜きなど派手なカーアクション映画に回帰したかな?って思ったけど、どうもノリは2のままらしく…妊娠検査薬の薬局コントは面白かった。 1は無難で硬派な感じに、ドイツ人の強盗団でメルセデス乗り。「ニンジャ~~!!」が連呼された2は、日本人ヤクザにランエボ乗り。こう続いたら、フランス+プジョーと対戦するライバル国と名車って流れを期待してしまうけど、今回は中国人で何故かサンタクロース強盗団。この辺もチグハグ。どうしてアメリカやイギリスにしなかったのか。 更に残念ながら中国には、国を代表するような世界的に有名な車がない。=プジョーとのカーチェイスも期待できない。 速さすら放棄して雪山を登る雪上車モードのタクシー。「そうそう、こう言うのをね、見たかったのよね。」って人はまず居ないと思うけど。 カーチェイスはおまけ程度に期待せず、コメディとして観るなら、そこそこ面白く、シリーズ物ならではのキャラへの愛着もあるから、最後まで観ることも問題ないけど、この方向性は好きか?続編として期待通りか?って言われると、う~ん… 1だけたまたま、私の好みに近い路線だったのかもしれない。[インターネット(字幕)] 4点(2022-02-21 00:08:52)《改行有》

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