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プロフィール
コメント数 1408
性別 男性
自己紹介 投稿にあたっては
①製作者の映画愛を信じて基本的に0点は付けていません。
②レビュー作品の「あらすじ」は率先して書いています。

※「ぽこた」からニックネームを変えました。サブネームの「(ぺいぺい)」は継続です。(2024.2.28)

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  隔たる世界の2人 《ネタバレ》 タイムループで理不尽な死を繰り返すというアイディア自体は決して珍しいものではありませんが、未だ様々な事件を通じて明らかになっている人種差別という社会問題を、ショートフィルムという形態の中でストレートに纏め上げた製作者の手腕は素晴らしいと思います。 物語の中心となっている二人の登場人物のキャラは明確に解り易く描かれています。「黒人=善、白人=悪」ですね。ただし、キャラ設定は解り易いのですが、白人警官の立ち位置が少々わかりにくいです。この警官は状況を理解しているのか?タイムループに嵌ってしまったのは主人公だけなのか? そうではないようですね。二人とも自らの状況を理解しているようです。しかも、白人警官の方が先んじている。或いは制御している、何も知らずに嵌ってしまったのは黒人青年だけのように見えます。 タイムループは手段であってテーマではないのでしょうからそこに拘っても意味がないようにも思えますが、基本的にSF作品ということを考えるに、尺の不足があるにせよもう少し整理した方が良いのではないかと思えました。 とは言え、スリリングに楽しめた佳作に7点献上します。[インターネット(字幕)] 7点(2023-09-07 21:16:03)《改行有》

82.  トロール 《ネタバレ》 ノルウェー発、お子様向け怪獣映画とでも言うべき作品ですね。 怪物の登場は人間の自然に対する不敬に起因するもので、ゴジラを始めとする怪獣映画の王道的着想。怪獣は無闇矢鱈と暴虐の限りを尽くす訳ではなく優しさの一面も持ち合わせているというキングコングを始めとしたコレまた善玉的怪獣の王道的キャラ。 軍隊が登場して小型核爆弾的ミサイル発射にあたって首相は自国民の多大な死亡フラグに興味示さずあっさり意思決定しちゃうとか、無駄に狂暴な政府高官が首相を飛び越えてミサイル発射しようとした挙句、女性職員にぶん殴られて降参だとか、古生物学者が自らの役割立場乗り越えて活躍しちゃうとか、首相補佐官が小ネタ連発してスベリまくってるとか、早い話が主役の怪獣以上に全てが荒唐無稽。 つまりは、(ノルウェーの)子どもたちにとって、もしも童話でお馴染みの妖精が巨大化して怪獣になったら的なスゴさを良く出来たVFXで楽しめ、よくよく考えるとかなり悲しい物語なのに痛みや悲しさは殆ど表現されてなくてトラウマになったりすることもなく、親たちも殺し合いの惨さや戦争の悲惨さを感じ取ることもないだろうと子どもたちに安心して見せることが出来て等々、お子様向けとしては良いんじゃないですか?といった作品だと思いました。 そんな視点から、そりゃ―ないだろの連発の相当粗のある脚本と演出ではあるものの、それは脇に置いての5点献上とします。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-02 23:57:16)《改行有》

83.  さがす 《ネタバレ》 「岬の兄妹」は未見なので先入観ゼロでの片山慎三監督作品鑑賞でした。 父子の愛情と連続殺人の異常心理を巧みに組み合わせ、ミステリ―風味のサスペンスに仕上げた本作、見事です。 智の行動や言動は終始リアルで、佐藤二朗氏の不安定に揺れ動きつつも次第に確信的に行動するようになっていく演技は、恰もドキュメンタリーの如く感じさせられてしまう様な真に迫る名演ですね。 娘役の伊東蒼さんもまたしかり。父の姿を追う行動や言動は些か芝居じみた部分も感じられなくはないのですが、それは脚本や演出の問題であって、演じ切っている彼女自身は見事としか言いようがないところです。特にラストの卓球シーンは、一人の薄幸の中学生が地に足の着いた一人の人間に成長していく姿を感じさせてくれます。 山内役の清水尋也さんも存在感が強烈です。序盤のシーンで作業員のひとりが彼の眼から受ける危険なイメージについて話していますが、まさにその通りに感情の消え失せたガラス玉のような眼をした演技に、思わず本作のモチーフであろう座間市の事件の犯人を想起してしまいました。 脇を固める俳優さん一人ひとりの演技も含め、鬼気迫る優れた演技が本作のテーマを観る者に叩きつけて来るような緊迫した2時間でした。 ただ、父子の愛に関しては十分に語ってくれているものの、モチーフとなっているであろう事件と同様、主犯者の(非)人間性については特に深く掘り下げられることはなく、メインテーマではないのかも知れませんが、この狂気とは一体何であったのかをもう少し語って欲しかった、というのが正直なところです。 そのあたりに不完全燃焼感が残り、1点減点させていただきました。[インターネット(邦画)] 9点(2023-08-27 22:30:41)(良:1票) 《改行有》

84.  ブレット・トレイン 《ネタバレ》 原作は未読なのでシンプルに本作のみの感想です。 ひさびさに大いに笑えたアクションコメディ。と言っても大笑いではなく、全編通じてクスリとさせてくれるお洒落なコメディ。コテコテのアメリカン・コメディではないところがいいですね。 伏線回収だらけというのもまた愉快。なるほどと思わせてくれる過去の出来事とのリンクがあるかと思えば、小物を使って見え見えの無理やり感ある回収もあったり、矢鱈と多い回収ぶりですが回収の仕方も逐一工夫されてて飽きない。 一昔前の外国人目線による日本人のキャラや街の風景とかも、今更そりゃないだろというレベルで確信犯的に持ち込んでるところが楽しいです。挿入曲もまたしかり。 監督の日本愛なのか?それともブラピの日本愛なのか?ちょっと歪と言うか歪んだ愛かも知れませんが愛されるということは嬉しいものです。ラストの大事故を筆頭に只管荒唐無稽で非現実的な作品ですが、だからこそ手放しで楽しむべき作品でしょう。 作り手からの愛されてる感とラストを締める真田広之の存在感に+1点の8点献上します。 (蛇足)どう考えても「ブレット」じゃないでしょ「バレット」でしょ。映画とは関係ありませんがGibsonの「DOVE」を昔は「ドブ」と呼んでましたけれど、今では「ダブ」か「ダヴ」が普通だなぁということを思い出したりしました。邦題を命名した方が作品内の日本観を反映して懐古的にローマ字読みにしたのであれば、それはそれで深くて有りかも。[インターネット(字幕)] 8点(2023-08-25 00:11:34)《改行有》

85.  ファーザー 《ネタバレ》 認知症という疾病を身近に感じているか否かによって受け止め方が大きく異なる作品だとは思います。 確かに、認知症を発症していながら奇跡的に寛解した人でもない限り、本作に表現されている世界が認知症患者の見ている世界、感じている世界そのものであるとは確信も明言も出来ないでしょう。否、仮に寛解した人であっても罹患当時の記憶はないかも知れないですね。これは、あくまでも第三者が感じている認知症の世界を視覚化した作品だと思います。 しかし、その表現力が素晴らしいと思います。私自身、認知症患者が身近に居る経験をしていたし、現在進行形でもあります。患者と言っても一括りに出来ないことは言うまでもありませんが、まさに本作に表現されている世界が、主観的な推測に過ぎないにせよ現実にも感じ取れます。 また、アンソニーの一人称視点だけで構成せず絶妙に他の登場人物の一人称視点か絡み合うところも素晴らしい。原作の戯曲は未見なので、作品そのものの素晴らしさなのか、それを咀嚼し昇華させた本作のスタッフが素晴らしいのか判断できませんが、作品全体の構成に隙がなく、1時間半余りの作品にも関わらず重厚な大作を観終わった後のような充実感がありました。 自らの問題、家族の問題、友人の問題として観るのも良し、全く縁のない世界として観るもよし、優れた映像作品と思いました。とりわけアンソニー・ホプキンスさんのこの名演をもってすれば、満点献上は当然と思えた次第です。[インターネット(字幕)] 10点(2023-08-23 13:40:23)(良:1票) 《改行有》

86.  ビースト 《ネタバレ》 狂暴な野生動物と人間との闘いを描いたアクション系エンタメ作品として観れば、優れたCG、スリルとサスペンス、そして家族愛を描いた良作のように思えます。実際、ほぼノンストップで楽しめはしました。 けれども個人的には何とも後味の悪さが残りました。群れを非道な密猟者に殺され生き残った雄ライオンを「悪の意志を持った存在」のように描き過ぎのように思えてなりません。 確かに、トバッチリを食っていきなり皆殺しにされてしまった集落の人たちは気の毒としか言いようがありませんが、(現実問題としてライオンの思考に人間的な悲しみの感情があるかどうかは判りませんが)ライオンの方にも悲しみや悲壮感を込めて欲しかったところです。 集落での惨状を目撃した直後の混乱した状況だとしても、一丁のライフルのみ携えて単独でライオンを追う姿は、冷静なプロの保護官もしくは動物学者とは思えません。単に殺すためにライオンを追うハンターとしてしか映らないです。 全体を通じて危機管理の薄さが目立つ演出。主人公の父娘たちは素人だから仕方ないにしても、それでも常識的にその行動は違うだろ?みたいな場面が多過ぎました。思えば、父娘の会話にも今一つな台詞が多く、家族愛をテーマとしたドラマとしてもスッキリはしないところです。脚本の問題なのでしょうか? 一見お子様向け、ファミリー向けの1本のようでいて、実は違うなと思えてしまう1本でした。 (追記) 今日、数多くの放牧中の牛を襲い指名手配犯のように追われていた北海道の1頭のヒグマが、ついに殺処分されたことをニュースで知りました。密猟者に襲われたライオンとは全く違う状況であるにしても、人間と野生動物の共存・共生は難し過ぎるとつくづく思いました。そんな観点で観るべき作品ではないのかなぁ?[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-22 10:44:08)《改行有》

87.  アンチ・ライフ 《ネタバレ》 公開当時の「アルマゲドンから22年、ブルース・ウィリス再び宇宙へ」なんつうコピーが頭に残っていて、え?あのハリーが主役なの?などという疑問と混乱が脳内を巡ってしまいました。んな訳ないですよね?私が浅はかでした。 「地球」と「人類滅亡の危機」そしてブルースさん以外、「アルマゲドン」とは縁もユカリもない本作。何とも既視感に満ち溢れた作品でした。 未知のウィルスによる人類滅亡の危機、別天地となる惑星への選ばれし人々の移住計画、船内で乗員が冬眠中に起きる異常事態、謎の寄生生物による人体と精神の乗っ取り、寄生された人間は狂暴で死なない、そして英雄的殉職者によって主人公と恋人が脱出、辿り着いた安住の地には新たなる脅威と恐怖。などなど。 それぞれにコレはあの作品、アレはあの作品と、既視感の原因がアッサリ判明。つまり、オリジナリティが感じられないのです。 元ネタ的な類似作を知らなければ、否、知っていても、決して面白くない駄作とは断じられないと思います。結構楽しませていただきました。されど高評価していいものかどうか?やはりもう少しオリジナリティが欲しかった。金属さえも溶かしてしまう超強力洗剤とそれを原料とした密造酒だけでは何とも淋しい限りです。 如何にも続編ありみたいなエンディングですけれど、今のところ予定は聞きません。でも、あのエンディングで続編を作ったら、またしてもアノ作品みたくなりそうなのでシリーズ化は望みません。そんな感じの微妙な5点献上です。[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-21 10:50:00)《改行有》

88.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 1971年にTV放映された「仮面ライダー」をリアルタイムで夢中になって観ていた身としては、いきなりショッカーの戦闘員たちを返り血を浴びながら殺害していくライダーに一瞬引いてしまいました。この作品は、元祖TVシリーズにはなかった暴力的リアリティを追求していくのか?と。 しかし、観続けて行くと、特にリアリティの追求ということでもなく、カット割りや演出、登場人物の台詞回し等々、寧ろ元祖版を丁寧にトレースしているように思えて来て、当時を知る世代にとっては懐かしき昭和の時代を髣髴とさせてくれる作品でした。 併せて、子供向けとして制作された元祖版では少々抑え気味だった、ヒーローの背負った悲しみ・苦しみといった物語の重要な背景部分にも光を当て、今や中年を越え老齢の域に一歩踏み入ったリアルタイム世代にとっては、別の意味でも堪らなくノスタルジックな作品です。 それだけに、ショッカー戦闘員殺害シーンでの流血や、ラスボスとの最終決戦シーンでのライダー流血シーンが必要だったのかどうかは微妙に思えます。 また、次々に怪人が登場する前半~中盤は、スピード感はあるものの今ひとつ綺麗に流れていないように思え、一話完結モノを繋ぎ合わせたようなイメージでした。原作に忠実にするためには尺の都合もあって仕方なかったのかも知れませんが、ルリ子の遺言以降の流れが一気に加速し厚みを増すのに対して、何かもたつきのようなものを感じてしまいました。 仮面ライダー1号・2号はリアルタイムで観たものの、その後はすっかりご無沙汰してしまい、次に観たのは「仮面ノリダー」だったという浜辺美波ちゃんファンの自分にとっては大いに楽しめる作品でしたが、平成以降のファンを始め1号・2号の時代に何かしらの思い入れがない人にとっては全く楽しめない作品でしょう。観る人を選びますね。なので5点献上に留めます。[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-17 00:31:59)(良:1票) 《改行有》

89.  きさらぎ駅 《ネタバレ》 元ネタの都市伝説は、どちらかと言えばオリジナリティに欠けるもので、と言うかそもそも都市伝説と呼ばれる寓話の数々は古くからの怪談話や妖怪話を時代に合わせてアレンジしているものが殆どなので、都市伝説の実写化にオリジナリティを求めるとすればアレンジ部分ではないかと思う訳です。 本作は展開を2周させるというアレンジに、1回目はゲーム感覚のPOVとブルー基調の色彩設定で記憶の中の夢のような世界感を、2回目は昼間の明るいカットを多用しヒロインの実体験としてのリアルタイムなイメージを加え、シンプルな元ネタに厚みを持たせることに成功していると思います。 ただ、エンドロール後のエピソードで明かされる事件性は必要だったのかどうか?一人の教員が、自校の生徒であることさえも認識していなかった一人の女子高生の救出のため、初対面の女子大生を半ば生贄にするような所業に走れるものかどうか?てか、これが初めてではない?あるいはここが出発点?種明かし的な面白さになっていることは否定しませんが、なにかしっくりと来ないモヤモヤ感が残りました。[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-14 15:55:06)《改行有》

90.  グリーンランド -地球最後の2日間- 《ネタバレ》 問題を抱えた夫婦。愛くるしく賢く、しかし病弱な一人息子。突如襲い来る天変地異。必死に生き延びようとする家族に次々と襲い来る試練。そんな中、深まる家族愛。そして奇跡的に窮地を脱しハッピーエンドへ。デザスター作品の王道を行くような流れですね。 とは言え、一部の特権階級が生き延びようとし一般市民は置き去りにされる中、数々の苦難を奇跡的に乗り越え尊い犠牲を払いながらも主人公たちが生き延びる、みたいな単純に主人公ありき、何でもありの展開ではなく、本人が意図することなく政府に選抜された、いわば選ばれし人々である主人公家族が、思いもよらずふるい落とされ、それでも諦めず這い上がり生き延びるという展開に、地味ながら若干の目新しさを感じました。 ただし、基本はやはり王道の流れ。ハッピーエンドに持って行くには当然ですね。主人公は多少痛い目に遭おうと死んじゃあいけません。最悪でも妻子だけは助からなきゃ。こんな大災害を現実的に描き切ったら人類絶滅、地球壊滅、主人公家族どころか誰一人生き残れません。それじゃあエンタメ作品にはならないわけで、悲観的になるばかりで面白くも何ともないです。だから、これで良いのです。 敢えて不満を言わせていただければ、ラストシーンは不要な気がします。たった9ヶ月で太陽の恵みが大地に降り注ぎ、生き残った鳥たちが空で囀る?そりゃやり過ぎでしょう。だいたいからして、本当の苦難はこれから。復興には何世紀もかかるでしょうし、結局は復興ならず次の数ヶ月で人類絶滅、の可能性の方が大きいかも知れない。シェルターの扉が閉まり、地響きと轟音の中で場面が暗転し、静かなBGMを背景にエンドロールが流れる。後はご想像にお任せします。そんな終わり方の方が良かったような気がしてなりません。 全体的には見応え十分な作品だとは思いますが、ラストシーンで1点マイナスです。[インターネット(字幕)] 6点(2023-08-09 23:19:58)《改行有》

91.  君たちはどう生きるか(2023) タイトルは吉野源三郎による小説と同名ですが、原作でも原案でもなく、監督が同作によってインスパイアされたことから借り受けたタイトルなのですね。底流には共通のテーマ性があるようにも感じられますが、あくまでもオリジナル作品として鑑賞しました。 一言で言わせていただけば、宮崎作品の集大成といった感が強いです。物語の展開、精緻に描かれたアニメーション等々、良い意味での既視感が全編通じて続きます。 難解だとか説明が足りない、といった感想を耳にしますが、そもそも本作には明確な答えはないように思えます。投げかけられた問いにどう答えるか、将来答えていくかは、一人ひとり異なって然るべきであり、しかも同一人であっても、人としての成長過程・成熟過程によって答えは変わっていく、変わり続けていくのだと思います。 一見、恵まれた家庭環境に生まれながら、母親の突然の死によって自らを見失ってしまった少年が、不思議な体験をすることによって成長し自我を獲得していく姿を描いた物語、といった印象ですが、拙速に答えを導こうとすることなく、それぞれの人生の中で物語を紡いでいって欲しいという監督の願いが感じられるような作品でした。そして、それ故このタイトルなのかなと思います。 そういう意味で、過去の宮崎作品の集大成であると同時に、過去の宮崎作品とは一線を画す作品と言って良いのではないでしょうか? (追記) 蛇足ですが、トリ好きの私と致しましては、アオサギとインコの描き方(作画というよりキャラ設定)が不満でした。イメージ違います![映画館(邦画)] 7点(2023-07-31 23:24:20)《改行有》

92.  ロスト・ボディ~消失~(2020) 《ネタバレ》 大雨の中、ちょっと問題ありな感じの女の子がいきなりクルマに乗せろと言って来る。優しい主人公は逡巡の挙句乗せてしまう。その優しさがアダになり、主人公は彼女に苦しまされ続ける羽目に。 彼女の言動や行動がいちいちウザったい。なんで主人公は強い意志を持って関りを拒否しないのか?いや拒否はするんだけれど結局押し切られてしまう。それがまたウザったい。 見事にハメられてしまいました。ストーカーまがいの彼女に対する反感を煽られていたと思ったら、結局感情移入してしまっていた主人公こそが悪だったという展開。ラスト近くまで解らなかったです。 内なる敵の物語。否、本作の場合には生まれることを許されなかった子の亡霊のようにも描かれています。しかも、最後の最後には主人公が内なる敵に勝ったのかの如く描かれています。心の奥底の闇を払拭したのか?あるいはぬぐい切れない罪悪感や後悔の念を克服してしまったのか? ダークファンタジー風味のサイコサスペンスの佳作。上から下に流れるエンドロールが印象的でした。 ちなみに、タイトルは原題の方が秀逸だと思います。邦題はちょっと主題から外れているように感じてしまう。[インターネット(字幕)] 7点(2023-07-31 22:05:07)《改行有》

93.  この子は邪悪 《ネタバレ》 ホラー感の漂う良い雰囲気で始まるのですが、中盤で概ね読めてしまいました。 母親は別人。妹も別人。父親は児童虐待のない世界を目指し、持てる催眠療法の技術をフルに生かして精力的に活動してはいるものの、優しさに溢れているかのような態度とは裏腹に決して正義の行いを尽くしているのではないらしい。実際、彼を追う一人の少年は、彼に何らかの恨みのような感情を抱いている様子。 読めなかったとすれば、退行催眠によって出生以前に遡ることで魂を入れ替えられるという部分。被験者本人の人格を塗り替えるというのであれば理解出来ないこともないのですが、何故に他人と入れ替えたり、ましてやウサギと入れ替える?ウサギに退行催眠?ここに至って一気に超能力もしくはオカルトの世界に突入?だいたいからして、問題の解決のために他人やウサギと魂入れ替える必要ないし、意味ないし。 マッドサイエンティストの父親が自分が求める「家族」を失いたくないがために狂気の行動に走る。このシチュエーションは決してオリジナリティ豊かとは言えないものの、魅力あるテーマだと思うのです。しかし、ドクターであれセラピストであれ、サイエンスを放棄し超能力やオカルトの世界に走ってしまえば一気にトーンダウン。これが洋画の世界であれば、背後で暗躍する悪魔が登場してそれなりに定番のスタイルになるのですが、ここでは生身の父親がひとり暗躍しているに留まっています。 ちなみに、敢えて野暮なことを言わせて貰うならば、随所に現実感のない設定が目立ちます。死亡届が受理されていて除籍になっている妹に誘拐して来た子を成りすまさせるのは不可能、破綻します。奥さんの人工呼吸器外せばアラームも鳴るだろうし、鳴らなくたって装置が外れて死亡していれば大事件。もみ消せないし、その時点で奥さんに成りすました別人の存在が露呈してしまう。奥さんの死亡届を出さない訳にもいかないし。ハッピーエンドもどきのエンディングだって、死んだはずの奥さんと次女はどうやって生活出来る?社会制度は一切使えず、学校にも行けない。父親が死んで土地家屋財産の相続は誰が?概ね破綻してます。フィクションだから何でもありというのも宜しくないのではないでしょうか? そして最後にタイトル。邪悪なのは誰?赤ちゃん?父親の邪悪な能力を引き継いだ?ラストに持って来ておいてそれがタイトル?何だかどうにもしっくり来ません。 何だかんだツッコミ入れながらも結構楽しんで観ていた作品でしたが、最後の最後にタイトルでガッカリし、不満ばかりが残ってしまった作品でした。[インターネット(邦画)] 4点(2023-07-24 11:40:25)(良:1票) 《改行有》

94.  サメストーカー リターンズ(TVM) 《ネタバレ》 「サメストーカー」シリーズ第3弾。三作目にして漸くサメ映画的にサメが登場します。(量的に過ぎないかも知れませんが) とは言うものの、やはりサメは主役でも何でもなく、ストーカー男のペットに昇格といった感じです。ただ、最近ではサメが出ないサメ映画まで登場しているぐらいですから、これだけ登場頻度が上がれば十分サメ映画と言って良いのかも知れません。 さて、三作目ともなるとストーカー男の手口はマンネリ化して進歩しない、にも関わらず捕まらない、というのもどうかなとは思いますが、実際ここまで病んでいれば、と言うか元カノの幻影にとり憑かれていれば、同じパターンから抜け切れないということかも知れません。それに、考えてみれば前二作も含めてヒロインとの出会いは彼が用意周到に仕組んだものとは言えず、寧ろ偶然の産物、偶発的な事故ですし。 しかも、本作ではヒロインのコートニーが全ての始まりになっています。彼女が立入禁止の島に行きたがらなければ。彼女がデビッドを受け入れなければ。親友のキャットのことを信じていれば。等々。ヒロインは受け身的な被害者ではなく、自ら危機を背負いこんでいる訳です。 そして、一気に狂暴かつ極悪化するストーカー。決して死なないストーカー。罪を加速度的に重ねていくストーカー。でも、何かにつけて脇甘すぎ。流石にそろそろ捕まるかサメに食われるかしないと、惰性でシリーズが続いていきそうです。[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-24 00:13:08)《改行有》

95.  サメストーカー(TVM) 《ネタバレ》 「サメストーカー」シリーズ第二弾となる本作。タイトルに恥じない、とまではいきませんがサメの役割が少しグレードアップ。タイトルのみの「サメ映画」とは言わせない感が少しだけ感じられました。ストーカーのダニエルことブルースはちゃんと?サメを餌付けしていて、手懐けているとまではいかないまでも、そこそこ獲物を得るための「道具」として利用し始めています。ただし、あくまでも「道具」であって「パートナー」あるいは「分身」とまでは言えないレベルです。とは言え、これならば「サメ映画」に一歩踏み込んだかと。 で、肝心のストーリーは前作「ビギニング」をほぼ踏襲。どうやら、この流れがシリーズを通じたものになりそうな予感です。 イケメン青年がサメの襲撃からヒロインを助ける→母親までもが彼にゾッコン→サメ以上のスピードで一家に大接近→彼の中で元カノとヒロインが重なって来る→元カノはボクのモノ、なのでヒロインはボクのモノ→そしてストーカーパワー炸裂→ヒロイン絶体絶命→ヒロイン(ある意味)サメに助けられる(今回は弟にも助けられる) 決して退屈はしません。時間の無駄などとは言いません。クオリティもまずまず。寧ろそこそこ、いや結構楽しめます。けれども、折角単純にストーカーものではなくタイトルに「サメ」を冠した本作だからこそ、という見所に欠けるのです。サメも無念?残念なサメ映画です。[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-23 23:43:36)《改行有》

96.  君たちはまだ長いトンネルの中 《ネタバレ》 原作はネット上で話題だったとのことですが未読です。 内容的には、野党もしくは与党少数派が消費税や経済関連の政策にモノ申したい!とばかりに製作した若者向け教育映画といった雰囲気ですね。個人的に知らない出演者さんが殆どなので、自主制作映画的テイストを感じつつ鑑賞しました。 肝心のテーマである消費税等については少々極論のように思えますし、ヒロインの立ち振る舞いには少なからず疑問も感じてしまいますが、青春ドラマとしてのツボは押さえていると言うか、あまり深く考えず素直に物語の流れを受け入れていれば爽快さも味わえる作品かなと。 これを機に税や政治について勉強しましょうというキッカケづくりに意義のある作品とは思いますが、5点献上に留めたいと思います。[インターネット(字幕)] 5点(2023-07-16 11:05:55)《改行有》

97.  ザリガニの鳴くところ 《ネタバレ》 ミステリーあるいはサスペンスドラマという形を採っていますが、メインとなるのは謂れなき差別に苦しむひとりの女性の生き様を描いたヒューマンストーリー。 親に棄てられ、兄姉と生き別れながらも、この世に生を受けて以来彼女を優しく包み込んでくれて来たノースカロライナの湿地帯で独り逞しく生きるカイア。恋人との悲しい別れ、嘘で固めた顔で言い寄って来る傲慢な男による屈辱的な扱い、彼女を苦しめる更なる試練にも耐えながら、彼女の愛する湿地帯について独自の研究に没頭していた彼女は、或る日突然、彼女に言い寄っていた男の変死事件の容疑者として逮捕・勾留されてしまう。 彼女に手を差し伸べ続けて来た雑貨屋の優しい夫婦、幼少期から彼女を知り気にかけていながらも何も出来なかった老弁護士、そして若さ故彼女を愛し続けていながらも町を去ってしまっていた元交際相手。検察と町全体を敵にしながらも温かな人間関係が彼女を絶望から救い上げてくれます。法廷劇としては比較的ライトな雰囲気ですが、老弁護士の一言ひとことにはずっしりとした重みと胸をすくような鋭さがあります。 なぜ彼女自身は何も述べなかったのか?ラストシーンに至って驚くべき事実が判明するものの、真相が具体的に語られることはありません。真相はどうだったのか?含みを持たせるエンディングから、これで良かったんだ、という彼女の人生への賛辞が聞こえて来るようです。 単純なハッピーエンドではないし何が正義かという疑問を残しながらも、虐げられてきた一人の女性の人生にとって仄かな希望と救いのある物語。原作を読んでみたくなりました。[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-13 20:26:23)(良:1票) 《改行有》

98.  シャドウ・イン・クラウド 《ネタバレ》 グレムリン伝説をベースにしたホラーとして捉えるには、諸々の他の要素(サスペンス、アクション、ミリタリー、社会派、ヒューマン)が詰め込まれ過ぎていて評価が難しくなる作品。ただ、逆に言えば比較的短い尺の中に良くぞこれだけ詰め込んで大きな破綻もなく纏め上げたと湛えたい作品です。 怪物は途中から本来のグレムリン伝説から離れて悪役怪獣的になって行きますが、懐かしいTV版トワイライトゾーンとちょっと懐かしい劇場版トワイライトゾーンで描かれた登場シーンを想起させられ、あくまでもこの存在が本作にはなくてはならないのだと確信して観始めた次第です。(観終わってそれは間違いではなかったと思います) 前半の下部銃座内のヒロインの一人芝居的な展開は見応え十分。一見芯の強さを感じさせる彼女が垣間見せる何かをひた隠ししようとするが故の弱さ。機外の異音と未知の生物の姿という想定外の事態への戸惑い。更には機内に戻れなくなるアクシデントの最中に現れる日本軍の機影。息つく間もなく惹き込まれます。B17内部のセットも丁寧に作り込まれてますね。CGの合成もあるのでしょうか? 零戦との交戦が始まる後半は、皆さんのレビューにもあるように確かにヒロインは単に強い女性から超人と化します。爆風で機内に生還する場面には驚嘆。マジに考えたら全身打撲と火傷で重症間違いなし?いやいや強風と低温で大丈夫?んな訳ないです。でも、だからこそアクション映画は楽しい。マジにヒロインの身体を心配してたら見てられません。ここはアニメ的に割り切らないと。アニメのアクションだったら当たり前の不死身っぷりですから。ここはヒロインが無敵の母性に目覚めた表現なのだと受け入れます。 そして終盤。手強い怪物のラプトルばりの鉤爪を恐れることもなく素手で殴り殺す最強のお母さんの誕生。誰にも何も言わせない慈愛に満ちた授乳シーン。 エンドロールに差し込まれる女性の権利を勝ち取ろう的なカットは、脚本家のスキャンダルへの言い訳的に映らないこともないのですが、全編通して溢れんばかりに映し出されるクロエ・グレース・モレッツさんの魅力(単に変わらぬ可愛さというだけではなく、繊細な演技もキレのあるアクションも)が炸裂する本作は、優れたエンタメ作品として大いに気に入りました。クロエちゃん大好き!とばかりに+1点です。[インターネット(字幕)] 9点(2023-07-09 10:49:56)《改行有》

99.  サメデター 《ネタバレ》 原題のひとつ「頂点捕食者」というのが本作のテーマに通じるようです。捕食行動をサメ目線で表現したかったのじゃないかと。あくまでも海の頂点捕食者はサメ。人間はそれを理解していない、みたいな。(この後は批判的に書きますが、基本的に本作のような作品を支持していますので誤解なきようお願いします) けれども、観終わってみれば何とも意味不明な作品。冒頭の妙に長い、と言うか長すぎるダイビングシーンから嫌な予感が…。さりとて、続くビーチではいきなりのサービスカットでそれを忘れさせ、タイトルバックのヘビメタが「お、これは期待していいのか?」と思わせてくれたものの、そこまででした。 75分という短かめの尺なのに、つなぎ的なカットが長いことしきり。それで押されてしまったのか肝心のサメシーンはかなり少な目。登場しても泳ぐばかりで大口開けた捕食シーンは2カットぐらいかな、いやそのうち一つは魚を捕食してるし。 サイドストーリー的に進行するレジャー施設オープニングセレモニーは、机上論ばかりでパーティも施設も登場することなし。強気の腹黒そうな経営者はいきなりお亡くなり。男コンビと女コンビの二組の賑やかし出演者は只管滑り続ける。 極めつけはラストシーン。謎の爆発、大怪獣出現?そして出演者のお顔付きの長~いエンドロール。最後の最後に監督?の口元の大アップ。意味不明のまま忽然と終了してしまいました。ただただ唖然です。 この作品、クラファンで資金を募っていたということですが、もしかしたら資金の枯渇で終了?的なエンディングだったのかも。 ただその結果、よくよく考えてみればサメ映画の王道的な作品に落ち着いたのかも知れません。ある意味、オーソドックスな古典的サメ映画の雰囲気が感じられないこともありません。やっぱサメは海でしょ!みたいな。 ちなみに邦題は原題のダジャレアレンジ?それとも単純に「サメ出たー」というオヤジギャグ?ポスターのカタカナ文字に至っては最早私の理解を超えていて全く解りませんでした。 これぞサメ映画?だとしたら楽しみはまだまだ尽きない予感がします。[インターネット(字幕)] 3点(2023-07-05 22:40:08)《改行有》

100.  ヴィレッジ(2023) 《ネタバレ》 ひとことで言えば、恐れることなく社会の闇に光を当てた脚本、出演者の迫真の演技、優れたカメラワーク等々、ハイレベルな社会派サスペンスだと思います。120分、緊張感をもって鑑賞することが出来ました。 ただ、どうなんでしょう「ヴィレッジ」というタイトルは。先行する同タイトルの作品の記憶と、本作の予告編の構成、それらが相まって「これはホラー?」という先入観が生まれてしまうような?実際殆ど予備知識なしで観始めたので、途中までホラーテイストを期待してしまいました。 寒村の閉そく感、幽玄な薪能、能面を被り練り歩く人々、処分場の色彩の抜けたような光景等々、ホラー作品に繋がるようなファクターは多々ありながらもホラーには向かわないという展開に、勝手に肩透かし感を受けてしまった感じです。何だか種蒔きはしたものの伏線回収はしないままみたいな。 村長の息子の事件については、ある意味現実的と言うか脇の甘さが際立ってますね。処分場に遺棄という短絡的な行動、散々写メ撮りまくられてたケータイの放置など、行き当たりばったりの犯行故の致し方なしさではあるのでしょうけれど、尺の関係もあって一気に事件が収束する仕掛けのようにも思えてしまいました。 エンドロール後に描かれる弟の離村カット。この村に居ても未来はない。唯一の希望であった優は堕ちてしまった。優が断念し姉が失敗した離村という選択肢。最早ほかの選択肢はないのだという決心。解るのですが必要だったのでしょうか? 一方、犯罪者の親族に対するいわれなき誹謗中傷、職業差別とも解されかねない廃棄物処理業者の描き方、社会派作品としての鋭い視線を大いに感じました。 そして、優の心理に呼応するような能面の微妙な表情の変化や、全てを知っていて沈黙を守り自らの運命を受け入れる老婆の存在など、作品の魅力をしっかりと支えるなくてはならない映像表現も多々ありました。 改めてひとことで言うならば、チグハグさがあるがための残念な作品という印象でした。[インターネット(邦画)] 5点(2023-07-05 10:41:19)《改行有》

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