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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  インベージョン ニコール・キッドマンが見たかっただけで事前情報ゼロ、ドン・シーゲルのオリジナル版も未見の状態で鑑賞。・・・で率直に言いまして〝キッドマン見たい〟という欲望はそこそこ満たされたのですが、それ以外は作品としてかなり酷い出来かなと。確かに観客を退屈させない方法は心得ているようですが見るべき所は皆無に近かった印象です。レビューしようと思って本サイトで気付いたのですが、本作の監督さんは「es[エス]」や「ヒトラー 最期の12日間」などのドイツ映画を撮っている方ですね。どうやら環境により変化し得る人間の本質を描き出そうとしているみたいですが、今回などはラストでロシア外交官?の言葉をリフレインさせるなど取って付けた様な感じで少々滑稽な気がします。ということで奇麗なキッドマンがこれでもかとたくさん映っていたことを加点して5点で。[映画館(字幕)] 5点(2007-10-29 18:37:37)

82.  イカとクジラ 《ネタバレ》 珍妙で滑稽なセリフや人物造型に視点とあらゆる面でユニークな本作は、実は活字媒体の方がより面白かったのではないかと思うのですが、映像作品としてもどこか吸引力を持つ本当に奇妙な作品です。一家族を第三者が覗き見しているようなカメラの存在が強過ぎる気もしますが、役者も良くて他者と関わっているにもかかわらず漂う孤絶の匂いなど家族の表現が抜群ですし、性的な場面も多々あるのですがこれは文字化してしまうともっと下品な感じになってしまって絶妙な世界観が損なわれてしまうのではないかと思うのです。それにラストで青年がイカ対クジラの模型を見に向かうところなど肯定的に受けとれるイメージを提示してくれたことは答え欲しがりな〝俗物〟の私には嬉しい限りです。  ・・・それから〝イカとクジラ〟という妙な題名についてですが、これは特に何かのメタファーになっているわけではなく、ただその楽しかった思い出を指しているのだと思います。ジェフ・ダニエルスとローラ・リニーが最後の別れ際に交わす〝最低〟という言葉と同義語であり、修復不可能な亀裂がはいり崩壊した家族にしても確実に絆が存在しているのだという悲劇的に寂しくもハート・ウォーミングで率直なメッセージなのではないかと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2007-10-26 18:24:25)《改行有》

83.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 最初にトライポッドが現われ群衆が逃げまわるシーンから壮絶。その場にかがみこんでいるような臨場感に溢れ、あっという間にスクリーンに引き込まれてしまいます。親子三人の逃避行が始まれば、川を累々と流れていく死体の不気味さや何気なく顔を出す墜落した飛行機の残骸、火達磨の列車が目前を通過しようがもはや誰一人驚かない世界の異変を次々と描出し圧倒的に迫ってきます。さらに、まるで「ジュラシック・パーク」のティラノサウルスが咆哮するかの如くわざわざ奇怪な音を立てて登場を知らせるトライポッドが何ともにくい。しかしパニックに陥る人々の暴力的な、あるいは本能的な怖さはそのトライポッドと同等かそれ以上の恐怖があります。車を取り合うシーンの暴発寸前のバリバリの緊張感など凄いです。ですがトム・クルーズが手榴弾でトライポッドを撃破するシーンでは助け合う人々が登場し、その後は物語が急速に終結していきます。これは人類の攻撃性と愛を描いているのだと思いますが、そこに執着し妙に濃い人間ドラマにしたりせず、ただただ事の顛末を追って一連の宇宙人襲来劇を状況把握さえままならない一市民目線で見せているところが高ポイントなのです。・・・ただ欲を言えば一つ気になるのがティム・ロビンスを殺す重要なシーン。前出の車を取り合うシーンに比べ緊迫感に欠けている気がします。それはトムの立場が被害者から加害者へと変わったからかもしれないですし、もしくは途中から子どものダコタ視点に移るのであっさり処理されるのかもしれません。が、それにしてもティム・ロビンスの狂気もいまいち伝わってこず切羽詰った状況には見えないのです。[映画館(字幕)] 9点(2007-10-12 18:38:16)(良:3票)

84.  パーフェクト・ストレンジャー(2007) 〝秘密〟というのがキーワードになっているようですが…早い話、人間は、特に男は変態的エロさなのだということが一番言いたかったのかなと思います。というのも秘密がどれもこれも変態チック。人間が社会を営み、そこで適応者として何気なく暮らしていく限り変態ではマズい。だから秘密にして平然な顔をして生きている。つまり世の中に秘密が溢れかえっているというのは世の中に変態が溢れかえっているということの裏返しでしょう。それに、実際に情事シーンが映るのは2回だけでそれも濃厚ではなく短時間だったと記憶していますが、両方とも覗き見というオマケが付いているところがワンランク上のエロさなのです。もちろんエロエロな映画ではないのですが、それはやり過ぎると作り手も変態的に思われてしまうので「この辺りで止めておいて秘密の線でいこうじゃないか」という感じで押し止まったのではないかと思います(勝手な想像です)。  でもまぁそんなことより本作はハル・ベリーに尽きるでしょう。久しぶりに魅力的に撮られています。特に最初の潜入シーンの可愛い仕草は個人的にクリーンヒット!キレイな女性が大人っぽい仕草をすると様になりますが、それより可愛らしい仕草をする方がたまらない!ってこれは変態の域に侵入してますか?ぜんぜん大丈夫…ですよね?あんまり書き続けると私の変態っぷりのボロが出そうなのでこの辺で退散します。 ・・・と、その前にもう一つ気になったことを。何だかこの映画にはお遊びみたいなところがいくつか入っているのですが、例えばパキケファロサウルス?(頭突き恐竜の置物)と人物の動きがシンクロするシーン(ほんの一瞬)とか一体何なのでしょう? [映画館(字幕)] 7点(2007-10-01 18:40:48)《改行有》

85.  題名のない子守唄 《ネタバレ》 トルナトーレ監督、六年ぶりの新作なのですが今までの心温まる寓話的作風とは無縁のとにかく辛い辛い現実的な裏社会の映画。これまでの囚われが夢であるとしたら今回は悪夢。このブランクの間にトルナトーレは一体?と思うほど題材も異なれば撮り方も若干今風になっています。何と言いますか物語やメッセージを伝えようとするあまり繊細さの欠けたような作りになった印象です。記憶をたどるように回想シーンを挿入するフラッシュバックは少々乱暴で、どうしてわざわざサスペンスタッチにするのか疑問に思いますし、たびたび使われる覗きという行為や階段という装置は好ましいのですが、どちらも昇華し切れているとは思えません。さらに主人公イレーナ視点で進みますが、過不足無く等身大の女を描写しようとしたためか悪の部分も大きく、イレーナ目線では物語に付き合い難い作りになっています。 ・・・それでも心情のような冷めた画面や残酷な描写による暴力の普遍的支配力、過酷な状況下にある悲劇性、強烈過ぎる愛は徹底していますしモリコーネの音楽は言語並の力を有しているので、子どものいる女性の視点から観たらもっと違う印象になるのかもしれません。例えば、自由の喪失を意味するように縛り上げられた自身の体験をなぞらえテアを縛り何度も押し倒す場面など鬼気迫るもので、愛があるとはいえ男親は娘に対してこんなこと絶対出来ないと思います。 ・・・それからもう一つ、ラストになってロマンチスト・トルナトーレが顔を覗かせます。イレーナとテアの再会シーンは両者満足げな表情で幕を閉じます。しかし現実としては、いくら濃い時間を過ごしても幼い頃の短期間、まして刑務所の壁に隔たれればいつしか疎遠になるというのが世の常でしょう?私はてっきりあの後ベッドで夢見るイレーナの姿が映るのかと思いましたよ。彼女に救いを用意したあたりが夢追い人トルナトーレらしいですね。 ・・・で、結局のところトルナトーレならば〝もっともっと〟ということでちょっと辛目に6点で。 [映画館(字幕)] 6点(2007-09-28 18:27:47)《改行有》

86.  スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 《ネタバレ》 最後の決闘の折は雪が降っていますが積雪量からしてこれは〝突然降ってきた〟のではなく〝ずっと降っていた〟ことになるでしょう。そんなところからも本作は理屈でどうのという作品ではなく〝とにかくやりたいことしました〟という感じです。最初は怪しい英語に眉をひそめましたが、慣れてくると無国籍や無時代、時代劇と西部劇の融合の奇妙な世界も違和感がなくなったので、しっかり構築されていると思います。ちゃぶ台返しや豆腐の角に頭ぶつけて~みたいなタラちゃんと桃井さんの回想劇は笑えますし、義経にせまる粘着質の弁慶や、清盛がシェイクスピア劇をしているシーンなども可笑しいです。それに棺桶の使い方も面白い。・・・ただしかし、いくつか気になる大きな問題があります。まず一つに・・主人公が全く魅力的に見えないこと。これはヒーローとして致命的なのですが他のキャラクターがあまりにも濃いためか存在感が皆無です。同じくキャラを掘り下げていない義経や弁天はクールですし、清盛は豪快な魅力に満ち、保安官は気になる存在なのですから別に人物造型が浅いせいではなく何かが大きく欠落している感じです。次に・・セクシーなシーンがあまり扇情的に感じられません。桃井さんの弁天の彫り物が背中に露になるシーンや立ちションするシーン、または木村さんが踊り挑発するシーン、屋根裏から情事を覗き見するシーンなどもっともっとエロチックでも良かったと思います。これも別に露出度が低いからではなく根本的な何かが欠けている気がします。最後に・・アクションシーンが魅力的でない。義経があさっての方向に発砲するのに清盛に命中するところなど良いのですが、あとは特に印象的な場面はありません。・・・このヒッチャカメッチャカの着想自体は面白いのですけどね。[映画館(邦画)] 5点(2007-09-21 18:02:31)

87.  ジュラシック・パークIII 《ネタバレ》 本シリーズも三作目となり荒唐無稽な話になるのは至極当然であり誰も期待していないと思うのに、わざわざ白湯も同然の薄味な人間ドラマを盛りこむのは労力の無駄だと思うのだが・・・しかし、そんなことよりもこの恐竜映画の最大の問題点は、恐竜界のスーパースターにして最強の暴君・ティラノサウルスを早々退場させたことだ。3になって初めて大型恐竜同士のバトルを見せてくれたのは嬉しいのだが、あっさり終わる上に知名度三流のスピノサウルスを主役に据えるとは…映画ファンはさておいて恐竜ファンの気持ちは心得ていない。確かに三作目も再びティラノに追いまわされるのではマンネリだし芸がないかもしれない。でもスピノサウルスでは水辺のシーン以外はティラノとほぼ同型であり新鮮味はない。それにマンネリを言うならもはや下手な人類よりも賢いラプトルとの絡みの方こそ飽きがくる。・・・それでも一つ見所をあげればプテラノドンのシーンはなかなか面白い。濃霧に浮かぶ翼を畳んだその影はまるで刃物を持った殺人鬼のようであり、鳥小屋は恐怖の館さながらである。 ・・・ところで文句を付けつつも本シリーズが続く事を切に願うわけだが、次回があれば何故か未だに見せてくれないティラノとトリケラトプスの王道対決をぜひとも実現させて欲しい。[映画館(字幕)] 5点(2007-09-13 18:18:09)

88.  オーシャンズ13 《ネタバレ》 テンポが良いので飽きることなく最後まで見せてくれますが…では、良かったのか?と問われると疑問符がつきます。面白いと思えるシーンも良いと感じるシーンもあまりなく、ただただ計画のカラクリを羅列されるだけで記憶に残るようなものではないです。画面分割も効果的とは思えませんし。 そして1人でまとめて13人を握り潰せそうなパチーノ御大を敵役に配しておいて、バンクのキャラはあまりにも無抵抗過ぎます。それはマット・デイモンに一方的にたぶらかされるエレン・バーキンにも言えることで、二人を起用したのは作品に箔を付けたかっただけでは?と物足りなさを覚えます。もちろんこれは安心して主人公の活躍を楽しめる娯楽映画なのですが、これではいくらなんでも刺激不足なのでは? ・・・そう言えばキャストに曙とありますが出てなかったような、カットされちゃったのかな?[映画館(字幕)] 5点(2007-08-24 18:18:27)(良:1票)

89.  ビッグ・バウンス いかにも夏全快なパッケージと地味ながら強力な役者陣に惹かれレンタルしたのですが…いやなかなかどうしてこれが面白くない…。一転二転のスリリングなサスペンスのはずですがテンポが良くないですし、やはりコメディにしても開放的な常夏のハワイが犯罪劇の舞台では緊張感に欠けています。〝ただお姉ちゃんにビキニ着せたいだけなんじゃ〟とツッコミたくなります。いやもちろんビキニは大賛成なのですが…。それに役者陣をあまり活かしきれていません。モーガンは出番が多いのでまだ良いとして、シニーズはよく出演したなと。そう言えば最近はTVドラマの「CSI」などに出ているようですし、シニーズクラスの役者でも映画の仕事にあぶれるのでしょうか?さすがに厳しいんだなぁハリウッドッ!などとどうでも良いことを考えていました。まぁ見所はセックスアピール十分なビキニ美女と、チャーリー・シーンの愛すべき雑魚キャラぶりってところでしょうか。[DVD(字幕)] 4点(2007-08-15 18:29:09)

90.  アザーズ 《ネタバレ》 屋敷の外は霧がかかりボヤけているし、何より屋敷そのものの構造をしっかり把握させてくれない。何処にどの部屋があるのか正確には分からないのだ。この曖昧さが恐怖を煽っている。またピアノや鏡などクラシックながらホラー味あふれる道具の使い方も素晴らしい。その中でも特に鍵付きのドアが印象的である。別次元への空間移動の如くいちいちガチャガチャガチャガチャくどいまでにするのが何とも凄い。部屋ごとに隔てられ視界が限られる上に、一つ一つのドアが重要に思えドアの向こう側に恐怖を潜ませているあたりが本当に上手い。そしてニコール・キッドマンの透き通るような美しさも十分に活かし、この世界に力を与えておりとても良い。 ・・・ただ、惜しむらくは視点こそ違えど「シックス・センス」と同じオチになってしまっていることだ。あの映画とは全く別物だと思うのだが、これではどうしたって比較されてしまうし、免疫のできた観客には驚愕のラストというわけにはいかなくなってしまっている。「シックス・センス」に触発されてできたのではない、ただの後発の作品だったとしたら丁寧に作られているだけにそこが残念である。[映画館(字幕)] 8点(2007-08-01 18:40:02)(良:1票)

91.  ククーシュカ ラップランドの妖精 鎖を外すという地味過ぎる反復作業を永遠と映し出していたので、最初は無口な作品かと思っていたのですが、突然バラバラの言語でマシンガントークをしだすから可笑しい。実際は言葉が通じなかったらあんなに喋らないでしょけど、これはシチュエーションコメディみたいなものですね。国と国との縮図のように、先入観バリバリで理解しようとせずコミュニケーション不調におちいり喧嘩したりするのは戦争に対する皮肉であり、女性の冷めた視線をからめることによってバカバカしく映しています。まるで〝人間は生きているんだぞ、戦争なんてしてる場合か〟とでも言いたいようです。しかし、それよりも女性の強さをより強く感じさせてくれます。どこの国の男が何をしていようが〝生きる〟ことに懸命でたくましい。蜘蛛の巣状に張り巡らせた罠で魚をとったり、性欲をしっかり満たしたりと。そのセックスシーンも激しい声(笑)が聞こえるだけでユーモアがあり女性の強さを証明しているようです。ラストのオチも民話のようで洒落ています。[DVD(字幕)] 8点(2007-07-23 18:10:49)

92.  街のあかり 《ネタバレ》 「浮き雲」「過去のない男」に続く敗者三部作完結編らしいですが、どうも前二作とは趣が違います。物語自体なりテーマなりは似ているのですが、本作は前のような温かさはなく冷たい感じがするのです。冷たいと言ってもあくまでカウリスマキですから物語ほどは冷酷ではないのですけど。例えば裁判で刑が言い渡される極めて深刻で悲惨な場面など、全く重々しくなく淡々とサラッと流しています。他にも暗いシーンが決して暗くは撮られていないのです。でもやはり冷たい印象の方が圧倒的に強い。これまでの二作品による期待からいくと、ラストの手を握るシーンはもっと温かく力強くあって欲しいと思うのですが、私の心には響いてこなかったのです。それこそ「浮き雲」の夫婦が空を見上げる姿のような小さくとも確かな〝あかり〟を感じさせて欲しかったのですが。しかもさらに妙なのは主人公が幸せそうなのは刑務所にいる時で、壁際で務所仲間と話しているシーンが最も血が通っていると言えます。さらにさらにこのシーンときたらカウリスマキ作品の住人らしからず、なんとなんと皆で楽しそうに談話しているのです。何故なんだ?と頭を悩ませましたが、もちろんカウリスマキらしいユーモアのあるシーンや面白いセリフもありますし、コップの底でナイフを研ぐシーンなど身震いするほど凄いので、あれもこれも全部確信犯なんでしょうけどね。それでも結局どうも本作に乗れなかったのですが、一番のポイントはカウリスマキ作品らしからぬ男前が主人公であることだったのかもしれません。うんとイイ男ではないのですがマフィアの情婦の方があまり見場がかんばしくないので、何だかしっくりこないのです。これが情婦が美人で主人公はいつも通りの冴えない感じだったら全然違う印象になっていたんでしょうけどね。[映画館(字幕)] 6点(2007-07-20 18:01:40)

93.  女帝〔エンペラー〕 『ハムレット』と言えば優柔不断な王子を思い浮かべますが、これは不透明なハムレットの母、王妃ガートルードを主役に大胆なアレンジを加えた〝中国版〟であり、なかなかド派手で面白い視点だと思います。・・・が、騒々しい音楽をはじめ大部分が過剰に思えます。そして良くも悪くもチャン・ツィイーの起用が作品に多大な影響を及ぼしています。まず良い点として、やはり彼女が登場すると妙な化粧をしていようがしていまいが画面が華やぎます。さすが今アジアで最も勢いのある女優さんです。一方の悪い点としては、ツィイーは傾城傾国の美女としては満点なのですが、権謀術数の悪女にはまだ無理があります。もちろん熱演なのですが、どうしたって威圧感のようなものは欠けますし、サービスカットのつもりなのか必要性が感じられない吹替えヌード(おそらく)な入浴シーンもいただけないですし、官能的であろうシーンも扇情的ではなく、こんな悪女な役でもまだアイドル映画の香り漂います。例えばこれをコン・リーあたりが演じていればもっと違った趣になったのではないでしょうか。それにせっかくの豪華絢爛の美術もしっかり見せてくれません。ただ、ワンとウールアンの憎しみあいながらも心の通じ合いを思わせるような、戦いながらシンクロするアクションシーンはとても美しく一つの見せ場となっています。  ところで「女帝〔エンペラー〕」って跪きたくなるような妙な邦題はどうなんでしょう?そりゃ確かに女帝なんだけどさぁ。[映画館(字幕)] 5点(2007-06-22 18:38:28)(良:2票) 《改行有》

94.  300 <スリーハンドレッド> 〝ジッシィズッスパッルタッ!〟と咆哮し立てつけの悪いドアでも蹴破りたい気分にさせられるほど高揚感があり、とにかくスタイリッシュでスピーディでパワフル・・・ですが、これは映画(実写)なのでしょうか?ともすればハワイ出身の巨漢力士の突き押しでも食らうかの如く、その勢いに一気に土俵下へすっ飛ばされてしまいそうなのですが、土俵際でふんばってしっかり観てみると…これが案外パッとしていません。全く知らないのですが本作の原作はコミックらしいですね。そのためなのか色彩や質感、戦場での圧倒的な戦闘シーンなどのCG全開の映像は美しく見えるものの、これは〝カリカチュア的な〟というよりも漫画そのものであり、画面を切り取ってコマにおさめて吹き出しにセリフを入れても十分に成立するように見えます。例えば、ペルシアの大軍を象徴する〝日の光をも覆い隠してしまう大量の矢〟のシーン。雨あられどころか空に幕がかかるのかっ?!と聞いただけでもゾクゾクしてしまうこの場面はもっと壮絶なシーンにできたと思うのですが、意外なまでにあっさり処理されています。レオニダスの流れるような戦闘シーンはともかくとして、その他のほとんどの面、ほとんどのシーンにおいて私には非映画的に思えます。 ただ、大ヒットしたようですからおそらく後続作品も生み出されるでしょう。もちろん漫画を読むだけでは味わえない興奮を体感させてくれますし熱気ムンムンですので、こういうのも〝あり〟なのですが、映画というより新形態の映像作品という感じがします。[映画館(字幕)] 5点(2007-06-15 18:29:08)(良:2票)

95.  監督・ばんざい! 後半のズッコケ劇の連発は私の笑いのツボからいくと少々くどい感じがしましたが、これはなかなかユニークな作品です。自作自演ながら、あらゆる映画監督への皮肉であり苦言であり、同時に賛辞であり憧憬なのだと思います。そして映画作りがいかに面白くて大変なことなのか、という北野監督、一流のジョーク。個人的には小津作品のマネゴトをしているところが好きです。もし幾分か才能を持って生まれ変われるとしたら私も映画監督になってみたいなぁ。ほんと〝監督ばんざい!〟な作品です。[映画館(邦画)] 7点(2007-06-12 18:17:27)

96.  ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 《ネタバレ》 お下品なネタを連発しながら異文化を揶揄する形式で逆にアメリカ人こそが不徳であると皮肉っていく。裸、セックス、排泄物、乱闘、差別、侮辱などなどの簡単で低俗な笑いがもっとも大勢に共通してウケるということを作り手は熟知しているようだ。保守的と言われる米国南部でのボラットの奇行の数々、ユダヤ人協会を始めあちこちの機関から訴えられているらしいのでもっと過激な内容を想像していたのだが、ボラットのキャラクターが濃過ぎるため核心に迫るものではなく表面的な過激さという印象が強い。そして最後はあらゆる映画で幾度となく出されてきた〝ありふれた結論〟へと落ち着く。やりたい放題のボラットなのに守りに入り安全地帯へ着陸したのは正直ガッカリだ。しかし、可笑しいのはこれがアメリカでは大ヒットしたということ。アメリカ文化やアメリカ人精神をボラットと共に学んだ結果、思うにこんなのが大ウケするアメリカに世界の主導権を握らせているなんて大問題だ・・・・・・・・・・・・・・ナ~ンテネッ![映画館(字幕)] 5点(2007-06-05 18:18:51)(良:1票)

97.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 《ネタバレ》 簡単に言えば〝かたづける気もないのにとっ散らかして遊びました〟ってところでしょうか(興行の調子が良好なら延長して遊ぶつもりで散らかしまくったのかもしれませんが;)万人が楽しむものなのに複雑だし、そもそもディズニーがこんな殺伐としたもんを作っていいのか?(絞首刑のシーンから導入した時はビックリした)ってところです・・・でもまぁ、そんな事はどぉ~でもよくて、私にとって大問題なのはイカ(タコ?)の料理の仕方です。何もスルメや刺身にしろと言っているのではないのです。なぜ調理過程を見せてくれなかったのかと言いたいのです。もちろんグルメな話をしているわけではありません。クラーケンについて言及しているのです。他が天こ盛りで時間のかかる料理は避けたかったからかもしれませんし、好意的に見て2で度々出したので食べ飽きただろうと思ったからかもしれません。だけど、だけど私は楽しみにしていたのですよ、クラーケンを。「ペットを殺した」って何のこっちゃと思っていたらあんなかたちで登場とは…。まったくターナー親子並にビックリのご対面ですよ。でもそう言えば予告にクラーケンは出てなかったなぁ。退治シーンがあったら目玉でしょうからワンカットでも予告にはさみますね(泣)。ということで期待外れではあったんですけど、もちろん良いシーンもあるんですよ。巨大な渦での戦闘とか、そこでの結婚とか、ああいうのは面白いアイディアだし確かに凄いパワーを感じます。1と2を観た上で水しぶきがかかりそうな劇場で観たし何だかんだで楽しかったのでプラス1点。[映画館(字幕)] 7点(2007-05-29 18:30:55)(良:2票)

98.  インストール 物語の持つテーマだけではなく何から何まで作り物っぽさが漂うヴァーチャルな世界描写、現実味の無さが何とも楽しいです。要は〝現実的には見えない〟ところが面白い。天真爛漫そうな上戸彩ちゃんはとても不登校には見えない。彼女が涎もんのエロい発言をしても卑猥には見えない。純粋真面目そうな神木君はエロチャットをするようには見えない。彼の飼育する微生物は肉眼では見えない。押入れで女子高生と小学生が…という扇情的なシチュエーションがまるでイヤらしく見えない。缶ジュースがずらりと整列したコンビニのような冷蔵庫は日常生活が見えない。整い過ぎているマンションや同色の屋根の街並み、ゴミ捨て場はキレイ過ぎて現実世界には見えない。ポップに仕立て上げられた本作は陰湿でエロチックな世界に足を踏み入れているようには見えない。さらに上戸彩ちゃんのパンツも見えそうで見えない見えない見えない…。[DVD(邦画)] 7点(2007-05-08 18:12:54)(良:2票)

99.  明日、君がいない 《ネタバレ》 子どもと大人との隔たりを主張しているためか型にはまった大人たちの描写は希薄で、ドキュメンタリー調でインタビュー形式の告白を聞かせてしまうのは映画としてはどうかと思いますが…最後まで緊張感を保ち若者特有のヒリヒリを感じさせてくれます。学校を舞台に肩越しから覗くように撮られた日常風景、人物と時間の交錯はガス・ヴァン・サントの「エレファント」と似た手法ですが、本作はあれよりずっと劇的であり感情的です。サスペンスタッチで冒頭から誰かの死を予見させる命の重みで訴える構成は、その後始まる一人一人の声に真剣に耳を傾けざるを得なくさせます。そして大き過ぎる問題を抱えた生徒たちはドラマチックですし、それでいて唐突に核心を衝くあの結末はヘビーな問題ではなく無関心による孤独という日常的な悩みがいかに重いかを気づかせてくれます。さらに〝予想外の自殺者〟は観客にも無関心への荷担を強いているのです。衝撃的なリストカットのシーンは画面から目を背けたくなるほど鮮明で痛々しく〝生〟への証として描いているように思えます。  監督が自らの体験をもとに本作にとりかかったのは弱冠19歳の時というのですから驚きですが、言われてみればで良い意味でも悪い意味でも若さを感じますし、若者らしい心の叫びが伝わってきます。[映画館(字幕)] 7点(2007-05-07 18:03:09)

100.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 筋はあるものの観念的なストーリーはあってないようなもので感覚で味わうという印象が強いです。ですからセンスの一致如何で見る人を選ぶと思います。個人的にはアジア人がクルーの中心であったりする未来的さや、それとは反対に宇宙服などが非常にレトロなデザインなのにクスっとなりつつ、雰囲気の盛り上げに一役も二役も買っているサウンドにクルーらと共に宇宙空間に居るような気分にさせられましたし、冷めた演出、イカロスの神話をなぞった結末は好きです。・・・ただしかし、本作では太陽光に限らず〝光〟がかなり重要な要素を担っていると思うのですが、どうもそれがしっくりこないのです。光というのは、例えば船長やサールが望んだように気分を高揚させたり恍惚とさせるものとして捉えているのに、多用される暗闇に懐中電灯の光一つとってもあまり刺激的に感じられず心動かされません。そのせいか物語は極めて深刻な状況であるのにちょくちょく退屈なシーンがありました。さらにサブリミナルは効果的としても忙しなく切り替わる画面は観難いです。もちろんダニー・ボイルのことですから確信犯で心理的揺さぶりをかけてきているのでしょうが、それが過ぎているので疲れてしまいます。・・・・・ところで、この退屈さどこかで味わったことあるなぁと考えてみたら私の苦手な「2001年宇宙の旅」でした。そう言えば手緩いHALが登場しますし、ラストシーンに映る黒いあれってモノリスでしょ?[映画館(字幕)] 5点(2007-04-23 18:15:38)(良:2票)

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