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プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678
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81.  イヴ・サンローラン(2010) イヴ・サンローランについては、ブランドのロゴ以外全く知識が無いまま鑑賞。ドキュメンタリーなので、派手な脚本があるわけではないが、膨大な写真や動画で在りし日の彼の姿を存分に楽しむことが出来た。映画のつくりとしては、イヴ・サンローランが亡くなり、パートナーであるピエール・ベルジェがその遺品(同時にヴェルジェの持ち物でもあるが)をオークションにかけるまでの日々をベースにイヴ・サンローランの歩んだ栄光の日々を振り返る構成になっている。オークションが一種のクライマックスとして最後に位置づけられており、全く筋が無いわけではないので、退屈することは無かった。 でも、この映画で観るべきところはそこではなく、彼とベルジェの集めた芸術品のコレクションやマラケシュの宝石のように美しい別荘の映像である。特に二人が蒐集した大量の芸術作品(別荘も含む)一つ一つに関して、ベルジェが購入場面を回想する一連のシーンが強く印象に残った。彼らの「美しいもの」に対する偏愛が露骨に感じられるシーンで、「芸術家というのはこういうものか、いや、こうあらねばならない!」と思った。そして何よりもイヴ・サンローランの魅力に痺れた。彼が写っている写真はいちいち「絵」になっているのである。天才というのは滲み出るものだと感じた。さりげないポーズを取っていても、その佇まいはどれも美しく繊細で妖しい。自分はゲイではないが、ベルジェが夢中になるのももっともだと思った。そのポーズやスタイルを真似すると大火傷は確実なので決して真似は出来ないが、彼のセンス溢れるポーズ取りや服の着こなし方にはため息が出た。彼のほうがモデルよりもモデルっぽかった。 余談だが、同性の後輩と鑑賞に行ったのだが、服の柄がかぶっていたため、これ、確実にゲイと思われるだろうなあと思い、なんだか可笑しかった。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-03 17:18:42)《改行有》

82.  カウボーイ&エイリアン 徹底的にアクションの爽快感を追求するのか、それとも観客に「考えさせる」社会派を気取るのか。UFOに飛び移るような痛快なシーンを撮りたいのか、それとも人間が協力して宇宙人をやっつける頭脳戦を描きたいのか。全部やりたくて、どれも中途半端に終わっている。西部劇の舞台に宇宙人が突然来襲するというその破天荒さを生かしたストーリー展開があってよかった。ダニエル・クレイグとハリソン・フォードというキャストにも期待したし、2人とも力演したが、この脚本の前では刀折れ矢尽きた。最後に致命的なのが宇宙人のしょぼい造形とその無能さ。どっかで観たことのある何か。こんなのじゃ全然ドキドキできないぞ![映画館(字幕)] 5点(2011-10-30 10:42:17)

83.  キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー 2Dで鑑賞。事前情報が無い状態で鑑賞したが、主人公に共感できないままあれよあれよという間に映画が終わってしまった。まあ、原作がコミックだから少々設定に難があっても許すべきだとは思うが、アースキン博士の機械が作りなおせないというのはどうしても納得がいかない。あの機械、膨大な電力を使うらしいが、その納得感も無い。そしてプシューってドアが開いて、ムキムキのキャプテン・アメリカが出てきた瞬間のイタさ。まさに失笑ものである。散々手垢をつけられてきたネタだからこそもう少し見せ方に工夫があっても良かったのではないか。 主人公の強くなりたいという願望があっさり叶うのも物足りない。強くなって国に貢献したい⇒人体実験⇒ムキムキという単純すぎる話の流れには乗りきれない。ふうん良かったねくらいの感想しか出ない。スティーブが何となくいい奴だということは分かったが、これだけでは好きにはなれない。キャプテン・アメリカに変身後、実際の戦闘に加われないジレンマに悩む姿は良かったが、加わってからはただのアクションの羅列に終始してしまう。 駄目なパターンのヒーロー映画だった。[映画館(字幕)] 4点(2011-10-21 13:18:37)《改行有》

84.  抱きたいカンケイ 《ネタバレ》 むしゃくしゃした。[DVD(字幕)] 3点(2011-10-15 21:25:34)

85.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 流れるようなカメラワークや猿達の表情を巧みに映し出したCGの素晴らしさという切り口だけでも十分に評価されるべき作品ではあるが、私はこの映画の「人間に対する徹底した幻滅感」が最も面白いと感じた。 この映画のヒーローはシーザーという猿であり、人類は脇役に過ぎない。どうやって猿が人間に対立する種に育つのかを追った作品であり、一種の建国伝説と言うこともできる。そのため、観客はシーザーの成長やその他の猿達の覚醒を見守り、それが達成されるはずのラストに向けて彼らを応援することになる。結果的に人間と猿の両種が相争うことになるのだから、その相手方を応援するというのは何とも不思議なことであり、一見、興行的にうまく行かなさそうな演出である。しかし、これがうまく行ったのだ。アメリカでは、この作品は製作費の倍近くを稼ぐスマッシュヒットとなった。 「キングコング」は人類が異種族に対する寛容さを持つべきと問題提起した。「アバター」は人類と異種族でお互いの理解が進むことが重要と説いた。しかし、この映画はそこからもう一歩先に進んでいる。異種族である猿の側を全面的に肯定し、人類の醜さや独善性を浮き彫りにしている。この映画の中では、猿のほうが人間よりも賢いし「人道的」なのである。 この映画がヒットした理由もそこにあるのではないだろうか。この作品はテロリズムの跋扈や環境破壊の進行など、人類に対する信頼感が揺らいでいる時代をうまく捉えた。人類が人類らしさを失っていると感じている人が増えているのではないか。そういう意味で、この作品は現在の人類世界(マクロからミクロまであらゆる意味で)に満足していない多くの人に受け入れられた。 自分も猿側に立って快哉を叫んだクチだ。まあ、元祖「猿の惑星」の猿のモデルは日本人であり、日本人の僕が猿の勝利を祝っているのはアメリカ人から見たら当然かもしれないが。[映画館(字幕)] 8点(2011-10-09 22:15:41)《改行有》

86.  モテキ 《ネタバレ》 もう全然駄目なやつなんですよ、こいつ。普通に出会っても絶対に友達にならないし、職場で一緒だったら数日でありとあらゆる匙を投げ尽くし、完全に放置して飲みにも誘わないような奴。外見だけはなんだかうまいこと取り繕ってるけど、一皮剥けば現実との付き合い方が全く分かっていない引きこもりオタクと同等。いや、潔く現実世界から身を引いて、細々とネットだけで活動している毒にも薬にもならないようなオタクのほうがまだマシかもしれない。こいつの場合は下手に他人とコミュニケーションを取るものだから、更に周囲の人たちにとっての厄介者と化しているわけです。コミュニケーションはほぼ完全に受身なので、ネタにされなきゃ生きていけない。その癖、やたらと自意識はデカくて、いじられることに耐えられない。勝手に悶々としやがっては、ツイッターとやらに余計なことを書き散らす。 ほとんど童貞で恋愛のことなんかまるで分かってない。本命に対する思いをもち続けるのは上等だが、思いが強ければいつかかなうなんていう呑気な考えから抜け出せない。結局、自分が大好きだから、「純愛を貫く俺、どうよ」という気持ちの悪い自己満足で恋愛を完結させようとする。相手を幸せにして(そして自分も幸せになって)、初めて恋愛の意味があるというもの。更に悪いのは、性欲だけは人一倍なので好きでもなんでもない女とやっちゃう。更にはそれを本命に言っちゃう。おまえはばかか?トチ狂ってんじゃねえか?好きな人を傷つけてどうすんだよ?もう、本当に最悪。愛想も尽き果てる。そして、お定まりの自己嫌悪。落ち込むなら言うな! と書いていると、こういうダラダラした文章も含め、自分が彼と似たもの同士であることにはっと気づく、というオチ。 でもラストは甘い。甘すぎる。これだけは譲れない。長澤まさみに張り倒されて、刺されて以降が全て夢だったことに気づくくらいのブラックさがほしかった。こんな奴(=自分)を肯定しては駄目なんだ。こういう奴に甘くすると付け上がることを俺は良く知っている。[映画館(邦画)] 7点(2011-10-09 20:42:45)(良:3票) 《改行有》

87.  くまのプーさん(2011) 《ネタバレ》 くまのプーさんの世界というのは恐ろしくて魅力的だと感じた。 まずは、この作品のキャラクターたち。非常に親しみを持てるキャラクター達であるが、その誰もが著しく過剰な一面を持っている。カンガとルーは比較的まともだが、プーさん、イーヨー、ピグレット、アウル、ラビット、ティガーはいずれも妙にリアルな恐さを持っている。これを実写かつ人間でやられたら、少し精神を病んでいるのではないかと心配になってしまう人物のオンパレードだろう。こういう濁った目で無邪気なディズニーアニメを見てはいけないと思いつつも、ついついこう感じてしまう。イーヨーはうつ気質、ピグレットは異常なほどの怖がり、アウルは傍若無人な知ったかぶり、ラビットは神経質なしきりたがり、そしてティガーは常に躁状態である。実際、クリストファーのモデルであるミルンの子クリストファーは、この物語のキャラクターのイメージと自分自身の比較に生涯苦しめられたという。何とも後味の悪い話ではあるが、この異様なほどに「身近」に感じられるキャラクターこそがこの作品の魅力ではないか。人間の特性を細かに分割し、無邪気なビジュアルを持つぬいぐるみ由来のキャラクターに付与するという行為のアンバランスさ、不自然さ。デカダンスすら感じるのは私だけだろうか? また、この作品でのハチミツという物質のもつ強烈な存在感も印象的である。ハチミツに飢えたプーさんは恐ろしい幻覚に苛まれながらも、ハチミツを手に入れるためにデスパレートな努力をささげ続ける。カエルがハチミツ入りのポットに見えるシーンやハチミツを手に入れたと錯覚したプーさんが泥の中を転げ回るシーンは異様な迫力に満ちていた。最終的にハチミツよりも友人を取ったことをクリストファーに褒められるプーさんを見て、思わず薬物の更生施設でのワンシーンを連想した私のほうが病んでいるのだろうか? 奇抜な不思議の国のアリスよりも、親子連れが客席の大半を占めるこの映画のほうがよっぽどヤバい作品を観た気持ちになった。「時計じかけのオレンジ」の「雨に唄えば」のような狂気を感じた。[映画館(吹替)] 7点(2011-10-07 00:03:38)(良:1票) 《改行有》

88.  光のほうへ 《ネタバレ》 デンマークを舞台に、どん底を生きる兄弟を描く。兄は傷害罪で監獄に入った犯罪者で弟はヤク中。北国の白く乾いた色調を背景に、カメラは生きるため(生きる意味を見つけるため)の彼らの苦闘を見つめる。 昔、彼らには年が離れた弟がいた。アル中の母親に代わり、彼らは彼らなりに一生懸命その弟の世話をした。しかし、その赤ん坊は死んでしまった。彼らはずっとその思い出を胸に生きている。「心の傷」と言い切るには、もっと複雑なしこりのような物が彼らの胸の中には残っている。親子の関係、ひいては弱者と強者の関係がこの映画の底流にある。 兄は恋人にふられ、自暴自棄となって人を殴り、ようやく出所したところだ。その背景には恋人の中絶があった。弟は交通事故で妻を亡くして、息子と二人暮らしなのだが、クスリにおぼれる日々を送っていた。彼らが母親の葬儀で出会い、物語は動き始める。 守るべき者を見つけることで人は強くなる。守るべき者を守れなかったことで人は絶望する。兄弟の生活上のエピソードを通じて、「守る」という意識や行動がその人間のその後に与える影響の大きさが描かれる。後悔や怒りや口惜しさで、彼らの精神は傷つけられ鍛え上げられていく。 主人公の兄弟が私と同性だったこともあるのかもしれないが、とても考えさせられる作品だった。僕は見境無く人を殴りつけたり、クスリをやったりはしない。しかし、僕は彼らに自分自身を投影することができた。彼らの苦しさやつらさに心を抉られた。 終盤まで苦しく切ない物語が続くが、一条の光が射し込むようなラストに救われた。口当たりは辛いが、最後に不思議な酩酊感が残る作品。珍しく邦題が良い。[映画館(字幕)] 8点(2011-09-25 18:19:22)《改行有》

89.  アジョシ 《ネタバレ》 「レオン」の激甘ストーリーを忠実に踏襲しつつも韓国映画お得意の残虐バイオレンスを加味することで、何とか救われた印象。ウォンビンの「母なる証明」もキム・セロンの「冬の小鳥」も大好きなので、キャストの演技に集中し、ストーリーにはある程度目をつぶろうと思って鑑賞したが、あまりにも「レオン」の轍を踏みまくるのでちょっと食傷した。主演2人の演技も前作の方がよかった気がする。特にキム・セロンはクサい台詞が多くて、ちょっとかわいそうだった。あの台詞なら自然に言う方が難しい。素性を隠すキャラということで、ウォンビンも大半が鬼太郎風の髪型なので、ちょっとぱっとしない。肉体美は凄いが。 一方で、めっけものだったのは脇役陣のキャラ。マンシク兄弟をはじめとして、なかなか見応えのあるワルどもが勢ぞろいである。「レオン」でもゲイリー・オールドマンはド変態だったが、それがいっぱい出てきたらさぞ面白かろう。そんな感じ。特にマンシク兄の不気味さは出色。一見、普通のヤクザなのにあの異常者ぶりは好みだ。三枚目担当の麻薬課の刑事の役者も良かった。韓国映画は、いつもきちんと脇を固めていて、俳優の層の厚さに感心する。 一方で、本編は韓流好きのおば様たちには受け入れがたかろうと心配になる出血量を誇っていたが、劇場ではすすり泣きも漏れていた。けっこう一般ウケもするのかもしれない。少し意外だったが、さすがあれだけ「レオン」がヒットするお国柄だけのことはある。こういう作品は日本人の琴線に触れやすいのだろう。[映画館(字幕)] 6点(2011-09-20 23:26:27)(良:1票) 《改行有》

90.  未来を生きる君たちへ 《ネタバレ》 母性的な優しさで登場人物を見守るビア監督の眼差しは健在だが、この作品は彼女の作品にしては珍しい「社会派」映画だった。政治的なスタンスや道徳のあり方といった問題は比較的少なく、家族や愛をテーマにした物語に重点を置いてきたこれまでの作品と異なり、この作品は「復讐」(流行の言葉で言えば「暴力の連鎖」)という倫理的に難しいテーマに多方面からアプローチした意欲作だ。デンマークのとある町での出来事とアフリカの難民キャンプでの出来事をうまく対比させながら、コミュニティの力学(公)と個人の感情(私)の二つのレベルで「復讐」というテーマを取り扱っており、これだけでは難しく聞こえるかもしれないが、結論から言うとよく出来ている。 まず、この複雑なテーマとあらすじの絡め方が絶妙で、押し付けがましくないので、いつの間にか作品の中に引き込まれてしまう。きちんとストーリーを通じて、観客に訴えかけているから、途中で飽きることもない。高度に観念的な映画になると観客を選ぶが、この作品はそんなことは無く、一般人の視点に立つことを忘れない優しい映画である。シリアスなテーマだけに、かなり監督が気を使った様子が見て取れる。 また、登場人物の造形も確かで非常に丁寧である。純粋(=世間知らず)な子供という存在を効果的に活用し、抽象的なテーマをわかりやすく提示できている。この監督の登場人物の心情描写には以前から感心していたが、今回はそれを目的ではなく、手段として上手に使ったという印象を受けた。 打ちのめされるような感動は無いかもしれないが、手際の良い職人芸を見るような映画で、こういう映画がもっと広く映画ファンの目に触れるようになることを願って止まない。[映画館(字幕)] 8点(2011-09-19 20:53:13)《改行有》

91.  ハンナ ケミカル・ブラザーズが音楽を担当するアクション映画ということで、興味津々で観に行った。確かに音楽は映画の内容とうまく調和していたと思うのだが、脚本が一本調子なので、観ていてそれほどワクワクしなかったのが正直なところ。シアーシャ・ローナンもケイト・ブランシェットも好きだし演技も良かったので、この点数をつけるが、ラストに至るまで何も捻りが無いのは困ったものだ。 さらには、エリックのキャラクターややっていることがそもそもよく分からない。娘を復讐マシーンに仕立て上げるなら、せめて仇敵の顔ぐらいは事前に教えておくべきではないか。本ばっかり読ませて音楽をはじめとする現代文化に全く触れさせないというのも、ちょっと解せない。挙句の果てに、サバイバル術やら殺人術を散々教授しておいて、最後はやるかやらないかはお前次第という放置プレイにも戸惑いを覚える。いくらなんでも色々と説明不足過ぎやしないか。[映画館(字幕)] 5点(2011-09-11 19:42:30)《改行有》

92.  インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実 《ネタバレ》 何が悪くて何が良いのか。人によって所得に目の玉が飛び出るほどの格差があるのは当然なのか。 マイケル・サンデルの正義本を読んで、「いや、別に投資銀行とか証券会社は私企業なんだからトップがいくらもらおうが勝手だろう」と冷めた意見をつぶやいていた私ですが、この映画を観て、本当にそれで良いのか?と少し疑問に思いました。いや、結局彼らがいくらもらおうが勝手なのですが、彼らの仕事(金の儲け方)はやはり邪道なのではないか、と。そして、サブプライムローンというよく訳の分からないいかがわしい商品を使って大儲けする彼らの手法は外道なのではないか、と。 この映画は一貫して金融業界批判の立場ですが、かなり「論理的」なアプローチでその強欲さや残酷さ、拝金主義、権力との結びつきそして腐敗を浮き彫りにするので、最初は彼らに同情的だった私も次第に説得されてしまいました。生命保険会社やら銀行やらの倒産はどうでも良いんです。まあ自業自得だもの。でも、私の心にぐっと来たのはこの金融危機のせいで、世界中で多くの人々が職を失い、路頭に迷ったということ。この不動産バブルによって、全く利益を得られなかった(得る機会も与えられなかった!)人々の元にツケが回るという構図はどう考えても不健全だ。貧乏人たちの命をチップに変えて金持ち達がギャンブルを行うのは道徳的に問題がある。 ただし、何度も言うようにこの映画の視点は一方的なのだ。だから、この件に関する金融業界からの逆襲も見たい。金融業界はこんなに世界のみんなを幸せにしてる!っていう。だが、この業界は金持ちの業界だから、みんなを幸せにはしえないし、きっとしようとも思っていないのではないだろうか。金持ちしか得ができない仕組みになっているのなら、それは公平ではない(=悪い)仕組みではないかと私は直感する。[映画館(字幕)] 8点(2011-09-07 00:03:48)《改行有》

93.  スーパー! 《ネタバレ》 暴力に関する善悪判断を完全に放置するのはそれほど気にならなかったが、性的なネタが多いのには閉口した。個人的に嫌いなジャンルではないが、この作品にはそれほど必要ないと思う。確信犯的に気色悪い「覚醒」シーンや過激すぎるバイオレンスシーンにはそれほどの嫌悪感は抱かなかったが、この作品のテーマとかけ離れたところにあるはずのセックス系のネタで攻められると不快に感じてしまった。 まあ、エレン・ペイジでなければ我慢できたかもしれないが、よりにもよって大好きなエレン・ペイジなので特に許せなかった。俺だけのエレンちゃんに!よくもこんな役やらせやがって!しかも嬉々として演じるエレンもエレンだ!でも大好きだ! コマとコマの間で起きてることなんて、俺は見たくない。[映画館(字幕)] 6点(2011-08-29 21:23:40)《改行有》

94.  ツリー・オブ・ライフ 僕はどちらかというと映画に明確な「ストーリー」とその中で繰り広げられる「人間ドラマ」を求めるタイプで、「映像美」とか「精神性」とかに日ごろ興味は薄いのですが、この映画に限ってはどちらかというと擁護派です。監督の生まれや育ち方については、何も分からないので、主人公≒監督なのかどうかは分かりませんが、主人公ジャック・オブライエン(ショーン・ペン)の心の旅をただそのまま映像化するというこの映画作りへの取り組み方には清新な驚きを感じました。はっきり言って彼の半生は特にドラマチックでもないし取り立てて面白いエピソードがあるわけでもないんですが、そのひたすらパーソナルな思い出の羅列と無駄に壮大な自然風景とを単純にミックスすることで、映画の中に名状しがたい独特の融合感が生まれていることは否定できません。 ありふれた思い出は人間みんなが持っているもので、何も特別なものではありません。でも、その一つ一つの思い出は一人ひとりにとってかけがえのないものであり、それを作り出してくれたのは、太古から続く連綿とした生き物の連なりです。そして、木が枝分かれして多くの葉をつけるようなその「連なり」の背後には「神」がいます。僕は残念ながら、この一神教における「神の存在」という感覚が自分にはどうしても理解できない(世界を考える上で重要とは思えない)のですが、この映画が言いたいことは何となく理解できました。この映画は、かなり汎神論に近い考え方に基づいて作られている気がしますし、自然と神の融和ならば、神を信じていない僕の心にも比較的すっと入ってくるのです。 この映画の中には、確かに色々と訳の分からない箇所もあります。そもそも次男が死ぬという設定も必要ないと思いますし、恐竜を使って安直に生命の歴史を概観するに至っては失笑も禁じえませんでした。なぜカンブリア爆発を映さなかったのかは理解に苦しみます。それでも、この映画は今までに観たことがない優れて映画的な映画だったと思うのです。こんな作品は映画以外の媒体では生み出されえないと思いますし、今までに観たどの映画とも似ていない映画で、それはそれで凄いことだと思います。この映画のことをきちんと理解できていないとお叱りを受けるかもしれませんが、「自分史を地球誕生から書き始めるというあまりにも壮大かつ稚気溢れる試み」には少なくとも拍手をもって報いるべきではないでしょうか。[映画館(字幕)] 7点(2011-08-19 00:02:38)(良:2票) 《改行有》

95.  モールス 《ネタバレ》 原作は未読。映画版の「ぼくのエリ」は鑑賞済み。どうしても「ぼくのエリ」との比較になる。 「ぼくのエリ」は良くも悪くも荒削りな映画だった。CGや特殊効果はほとんど使わず、ただ役者の演技力だけで勝負していた。この作品は効果的にそれらの技術を使用することで、オリジナルに現実味を与え、観やすい作品に仕上がっている。さらに監督は、舞台をアメリカに移し、意欲的に当時の時代背景(共和党レーガン政権における二極思考の強まり)を作品に付加して、どちらかというとはっきりとした「テーマ」を持たなかった原作にバックボーンを与えようとしている。そのチャレンジ精神は評価したい。しかしながら、この作品が原作に比べて優れていたかというと私の答えはノーである。 私はこのお話の魅力は子供の人格が孕む不安定さや二面性にあると思う。その点についても、本作品は明確に意識しており、オーウェンは「弱虫!」ではなく「この女の子野郎め!」と言いながら、立ち木をナイフで傷つける。つまり、彼は自分をいじめるケニーたちに復讐したいと思いながらも、女の子のように見える自分自身をも傷つけているのである。この映画は、善悪二元論的な世界観が支配的である時代背景との対比で、自分を全面的に肯定することができない主人公の意識を浮き彫りにしようとしており、そのテーマ自体はオリジナルに対して分かりやすくなっている。 しかしながら、この作品はこのテーマをはっきりさせようという点に腐心しすぎたがために、子供の持つ魅力を映しそこねてしまっている。マクフィーとモレッツ、主役二人の演技力は確かであり、その堂々とした演技はこの作品のテーマをしっかり伝えられた上での演技だろうなと安心感を持って観ていられるものだ。だが、その代償として、オリジナル作品の二人がもつ儚さや頼りなさは損なわれた。そこにあった頼りなさは本人達が意図したものではなかったのかもしれないが、結果的に、オリジナルでは彼らの演技の頼りなさが役柄上の頼りなさと見事にシンクロしていたのである。その巧まざる一致が原作を傑作にしたと私は感じている。それゆえに、ハリウッド的に上手にまとめたこの作品も私は好きだが、やはりオリジナルには及ばないと感じるのである。 ところで、オーウェンが生きていれば、現在は40代。どこでどのように血液を確保しているのだろうか。観終わって、ふっとそんなことを考えた。[映画館(字幕)] 7点(2011-08-07 13:47:30)(良:1票) 《改行有》

96.  トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン 何のためにこの映画を観るのか?オートボットたちの変身シーンがかっこいいからである。彼らが使う多様な兵器が魅力的だからである。ビルが倒れたり町並みがぶっ壊されるのが快感だからである。この映画はその全てを満たしていた。ミーガン・フォックスが出なくなったこととやけに長い点を減点しても十分に面白い映画だった。アメリカという国についても理解が深まった。[映画館(字幕)] 7点(2011-07-28 22:26:48)

97.  歓待 《ネタバレ》 見知らぬ男がとある家族の中に入り込んで巻き起こる騒動を描く。そのシュールな設定に惹かれて鑑賞した。 加川が小林家に入り込んでいく一連のシーンは不気味なものを感じた。面と向かっての争いを好まない日本の家族ならでは起こりうる設定でスリリングである。遠慮と遠慮の隙間の中に安住する彼は少しずつ家族の絆に楔を打ち込んでいく。そもそもこの家族は、少し複雑な関係性を持っていた。小さな印刷屋を営む幹夫は小さな娘がおり、前妻と離婚した後、後妻としてかなり年下の夏希を娶っている。そしてそこに幹夫の姉である清子も出戻りで同居している。夏希にしても清子にしても、どこかこの家に住んでいることに違和感がある。ここにこの映画の肝がある。「家族とは何だろう。他人とは何だろう」ということをこの映画は問い直してくるのである。 どこまでが家族でどこからが家族ではないのか。更に言えば、日本ではたらいている外国人は日本人ではないのか。その閾はそもそも存在するのか。等々のテーマが混沌と入り混じっている映画だった。キャスト(特に古舘寛治の鵺のような存在感は出色)は好演しており、もう少し脚本を整理すればもっと面白かったと思う。どこに着地させるのか楽しみにしていたが、終盤はやりっぱなしの感が拭えなかった。どうせならもっと激しくぶっ壊して欲しかった。[映画館(邦画)] 4点(2011-07-24 17:54:04)《改行有》

98.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える わざわざ六本木でR-18バージョンを鑑賞。確かに前作に比べて細かい伏線を回収する面白さは減っているものの、下ネタ全開でバンコクを暴れまわる凸凹トリオに表情は緩みっぱなしだった。下ネタが無理な人は絶対に観てはいけないが、あいにく僕は大好物なのでめちゃくちゃ楽しかった。というか、自分も友達と男三人集まったら五十歩百歩の会話を繰り広げているような気もする。 今回は、前回にも増してパワーアップしたガリフィナーキスの演技が特にやばい。最も扱いにくいタイプのニートをここまでリアルかつコミカルに再現できる彼の才能には脱帽だ。こいつが出てくると何をやっても笑えてしまうほど、僕のストイラクゾーンど真ん中のキャラクターだった。ステュの真面目人間ぶり(その反動としての壊れっぷり)、フィルの色男ぶり(その反面のリーダーぶり)も相変わらずはまり役で観ていて安心感がある。フィルがいないとこの映画はもたない(笑)。ケン・チョンの変ちくりんな声や動きも良いアクセントになっている。更にはラストのあほらしさに爆笑。まさかこいつが出るとはなあ。 3作目が早くも楽しみだ。今度は友達と観たいものだ。ただし男限定で。[映画館(字幕)] 8点(2011-07-23 15:04:55)(良:1票) 《改行有》

99.  イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ 《ネタバレ》 この映画の初レビューを書けることを光栄に感じております。それほど良い映画でした。今までに観たことのあるドキュメンタリー映画の中ではピカイチでした。 私はあまりグラフィティのお仕事には詳しくないのですが、割と寛容な気持ちで受け止めております。東京でよく見かけるあの変な字体のアルファベット(読めない上に色使いにセンスを感じられない)には、一抹の不快感を覚えるものの、ウィットに富んだ壁画や同じ図案(顔とか)を繰り返し描くミニマリズム溢れるデザインには感心していました。コントで同じネタを何度もかぶせられると面白いと感じる感覚と同じでしょうか。 さて、この映画はバンクシーが監督している映画です。バンクシーは著名なグラフィティアーティストで皮肉っぽい絵を街中に落書きしたり、皮肉っぽい作品を街中に展示したりします。両方違法です。この映画の中でもカリフォルニアのディズニーランド内である仕掛けを試みており、爆笑してしまいました。この映画ではナレーションも担当しており、いちいち面白いことを仰います。この映画の公式サイトのインタビューもオススメです。一方で、ここにはティエリー・グエッタという男もいます。彼はアメリカの古着店のオーナーでビデオ気違いです。朝起きてから寝るまでいつでもどこでもビデオを撮っています。ひょんなことから彼はグラフィティアートの楽しさに気づきます。様々なアーティストと会い、深夜の街角で彼らの制作現場を撮影します。しかしそのうち次第に自分でも作品を作りたいと思うようになります。 これ以上言うとネタバレになりますので、ここで止めますが、この映画はドキュメンタリー映画でありながら、この後の展開が実に興味深いのです。ここまでの話ではビデオ気違いのグエッタが監督でも良い感じがするでしょう?しかし、そうはならなかったのです。なってはならない事情があったのです。それが明らかになる過程で、アート界の内幕が暴露されます。バンクシーが言うように頭がおかしい世界です。同時にそれは非常に興味深いです。 しかし、泥水からでも美しい花が咲けばよいのです。この映画はアート界に対する痛烈な皮肉でありながら、アートそれ自身の未来に対してはとても楽観的です。芸術を信じています。僕も全く同感なので、心地よい清涼感に満たされて映画館を後にしました。[映画館(字幕)] 8点(2011-07-22 22:13:46)《改行有》

100.  X-MEN:ファースト・ジェネレーション 《ネタバレ》 このサイトでかなり高評価のため、このシリーズは未見にもかかわらず、劇場に足を運びました。日ごろアメコミものは敬遠しがちなのですが、期待に違わぬ重厚なつくりの作品で、素直に面白いと感じられました。とにかく予備知識が全く無く、予告編を観て、プロフェッサーXとマグニートーというキャラクターが犬猿の仲になる前の話ということ情報のみをインプットして鑑賞に臨みましたが、全く問題はありませんでした。ただし、ケヴィン・ベーコン演じる悪役ショウ博士の存在感が大きいだけに、予告編で全く取り上げられないのには少し違和感が残ります。 さて、ストーリーは米ソ間に戦争を起こして、それをきっかけに世界征服を企むショウ博士軍団(ヘルファイヤクラブ)に人類を守るべくプロフェッサーX軍団が挑むという内容です。後でXの宿敵になるらしいマグニートーもまだプロフェッサーX側です。果たして人間は守るべき存在なのか?という問いかけ自体はアメコミに多く観られるパターンであり、若干陳腐ですが、若いミュータントたちが真剣に悩み、決断し、それぞれの信じる道に足を踏み出すシーンは美しさを感じました。自分も若者の若さに感動できるようになってしまったかと思うとちょっぴり複雑な気持ちですが。 「キック・アス」でも感じましたが、マシュー・ヴォーン監督はかっこいい映像を撮ることにかけてセンスがあります。CGは全般的にあまりできが良くなかったのですが、その分を十分補える「いい絵」が撮れている映画だなと感じました。最後に。ビースト役の男優は「アバウト・ア・ボーイ」のマーカス君だそうで、月日の移り変わりが身に沁みました。まとめると自分の「老い」を自覚させられる映画だったということになりましょうか。[映画館(字幕)] 7点(2011-07-22 21:28:40)《改行有》

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