みんなのシネマレビュー
すかあふえいすさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456

81.  ウエスト・サイド物語(1961) ロバート・ワイズのミュージカルはあんま好きじゃないんだよなー。 「罠」とか「地球が静止する日」とか普通の映画の方が面白いし。 それでも、ブロードウェイの狭い空間から飛び出し、のびのびと弾け飛ぶ若き俳優陣の熱気!踊る、踊る、踊る! 腹の底からエネルギーを放出する叫び。 生きる活力をガソリンにして注入されるようなパワーに溢れている。 ストーリーは小さな不良グループ同士の抗争という筋書きだが、 宗教争いや全ての戦争に対するメッセージも刻まれているのだ。 歌唱シーンの吹き替えはかなり残念だけど、それでも体を震わせる熱意をひしひしと感じられる。 ナタリー・ウッドの演技、マーニ・ニクソンの力強い歌声。 文字通り怒りに満ちたものがある。 リチャード・ベイマーの演技、 ジョージ・チャキリスの存在感も凄かった。トレードマークの赤のように燃え上がるダンス、 リタ・モレノの情熱的な踊りも見事。[DVD(字幕)] 8点(2014-03-13 00:09:45)《改行有》

82.  ミクロの決死圏 《ネタバレ》 リチャード・フライシャーの代表的な傑作の一つ。 スパイ・SF・ファンタジー等あらゆる要素が盛り沢山。 レーザー縫合や人体に縮小した人間を送り込んで治療するというアイデアも先見性が高い。 ミクロ技術はまだまだ研究段階だが、近い将来可能になるとしたら凄い事だ。アイデアも豊富だし、とにかく面白い。 人体を本当に巨大な「迷路」にして冒険しようだなんて誰が想像つく? 患者の治療を「軍事作戦」として行う展開、そして“裏切り者”が誰か疑心暗鬼が繰り広げられる二重構成。 ストーリー構成と技術の見事さ。これCGじゃ無いんだぜ?スゲエよ(でも流石に船はゴツゴツしすぎのような気が(ry)。 最後までスリリングで面白かった。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-12 15:59:19)(良:4票) 《改行有》

83.  ロミオとジュリエット(1968) 「タイタニック」とか、「ロミオとジュリエット」なんて超が付くほど典型的なアホロマンスなんだが、俺はそういうのがスゲー嫌い。 ただ、完成度って意味じゃ大いに評価するぜ。 フランコ・ゼフィレッリは見事な「ロミジュリ」を撮った。 中世ヨーロッパの美術はキレイだし、後半の決闘場面は中々迫力があったし、ハッセーのお●ぱいを見るだけでも大いに見る価値がある(何じゃそりゃ)。 いやさ、他の「ロミジュリ」映画が本当ロクでも無いというか。ディカプリオのなんてひでえもんだよ(絶句)[DVD(字幕)] 8点(2014-03-12 01:04:37)《改行有》

84.  スパルタカス(1960) 《ネタバレ》 ダルトン・トランボのシナリオ、脂が乗り切ったカーク・ダグラスの演技、そしてアンソニー・マンとスタンリー・キューブリック! 歴史映画というとどうしてもその長さゆえにダレてしまうが、キューブリックのスピーディーな映画作りによってダレをまったく感じさせない。 奴隷から剣闘士へ、訓練、決闘、反乱、終幕。実に目まぐるしく展開する。 前半の決闘場面はこれぞグラディエーター(剣闘士)と言わんばかりのスリリングな迫力だ。 奴隷たちは自由にを求めて運命に抗う。彼らが手にするのは生きる自由か、死ぬ自由か。あくなき戦いは続く。 たとえ最後の1人になろうとも。 スパルタカスが最後に得た自由は、奴隷を得るもの、奴隷から解放された者、そして“どちらでも無い”小さな命を救えたのかも知れない。 制作現場におけるカーク・ダグラスとマン、そしてキューブリックの衝突。このピリピリした空気はそのまま映画の激しさに結びついている。 キューブリックは最後までこの作品を自分のものだと認めなかったが、それでもこの作品が映画史に名を残す傑作である事に変わりはない。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-12 00:55:34)(良:3票) 《改行有》

85.  穴(1960) 《ネタバレ》 ジャック・ベッケルはフレンチ・ノワールで数々の傑作を手掛けた。 元々フィルム・ノワールはドイツのフリッツ・ラング「M」やジャン・ルノワールの「十字路の夜」が原型として広く知られているが(知らない?じゃあ今すぐググレ)、アメリカの「暗黒街の顔役」や「マルタの鷹」以来すっかりノワールのお株はアメリカに奪われてしまった。 そんなフィルム・ノワールをフレンンチ・ノワールとしてフランス・・・つまりヨーロッパに復活させた監督の一人がジャック・ベッケルだ。 宇宙刑事ジャン・ギャバンが売れたのもルノワールとベッケル様々です(ギャバンの本体はタバコ)。 そんなベッケルの傑作は「アラブの盗賊」「現金に手を出すな」「モンパルナスの灯」「幸福の設計」「肉体の冠」と豊富だが、最高傑作はやはり「穴」になるだろう。 戦後実際に起きた脱獄事件をモデルに、刑務所内における一大脱獄劇をスリル万点に描いていく。 見張りの目を盗んでのやり取りは終始ドキドキの連続で、何時警備員が飛び出して来るものかと緊張の糸が絶たれない。 土まみれになりながらも穴を掘り続ける男たちの力強さ、鉄格子よりも硬い囚人たちの絆。漢の映画だぜ。 女っ気の無い作品だが、“5人”に会いに来た「あの女」は囚人たちの絆にヒビを入れるファム・ファタールだったのかも。 ラストの壮絶な展開には唖然としてしまったが、最後まで見事な作品だった。もっとベッケルの作品が見たかった。惜しまれる。[DVD(字幕)] 10点(2014-03-11 23:57:55)(良:1票) 《改行有》

86.  聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ 実際に起きたアル・カポネによる「聖バレンタインデーの虐殺」をドキュメンタリータッチで映像化した傑作。 「機関銃ケリー」でも堪能できるコーマン得意のB級的かつスピーディーで緻密な演出の数々はモチロン、ド派手な銃撃戦は「暗黒街の顔役」へのオマージュも感じさせる。 というより、「暗黒街の顔役」は実際に繰り広げられた様々な抗争事件を一つの流れに収めてしまった所が凄い。 ベン・ヘクトの並外れた脚本がそれを可能にしているのだ。 一方で、コーマンはそれを一つ一つ丁寧に映像化している。 この「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」を見る事で、如何にハワード・ホークスやベン・ヘクト、ハワード・ヒューズの「暗黒街の顔役」が凄い映画だったのか更に理解を深める事が出来るだろう。 ジェイソン・ロバーツの演技がサイコーです。 「B級映画の帝王」はコーマンに与えられた最大級の賛辞だと俺は思う。 A級と呼ばれる映画人にはけして作れない娯楽、娯楽、娯楽。 黒人を描いた社会派ドラマでも「侵入者」という大傑作を残しているが、モチロン酷い(褒めてる)映画もいっぱいある。 そんなコーマンをコーマンたらしめるズバ抜けた傑作が「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」だ。 何?バレンタインデーにチョコが欲しい?ホワイトデーのお返しは何が良いかって? そんな時はトンプソンで鉛玉をたらふく食わせてやれ。ホラ、劇中の人間も口から(血が)溢れるほど美味しそうに食べて・・・嘘々、冗談ですよ。 ちゃんとチョコで返事しましょう。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:41:47)《改行有》

87.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 本作は「深夜の告白」と共にビリー・ワイルダーが苦手という人にもオススメな最高傑作の一つ。 窓の明りで始まる物語、保険会社に務めるさえない平社員のバド(バクスター)は回想形式で自己紹介を済ませると、毎晩“ラブホテル”と化した窓の明りが消えるまで会社で暇を潰したり家の外で待たなければならない様子を観客に見せる。 嫌な上司と鉢合わせするよりもレジスタとにらめっこしていた方がまだマシ、社員がバカなら他人の家で情事にふけるクソ上司。オマケに隣の医者に変な勘違いまでされる始末。残った酒で孤独な自分に乾杯。それを雨に濡れた冷たそうな舗道で孤独に耐えながら待ったり、キング・ヴィダーの「群衆」を思い出すオフィスと天井が拡がる空間で黙々と仕事をする姿が余計に寂しさを感じさせる。 ワイルダーの映画が面白いのは、こういう会話だけでなく細部まで造り込まれた空間が我々の眼を楽しませてくれるからであろう。 バドは不幸続きで何かと苦労を重ね、お人好しの面があり何時の間にかホテル代わりに自分の住むアパートの鍵を貸し放題。家に帰れば何時も「宿泊人」の後始末。友達への助け舟が何時の間にか上司(情事)の密会場だもんなあ。 そんなバドにも好意を寄せる女性。その彼女もまた秘密を隠している。 バドもまた生来のポジティブで前向きな性格で何時までもクヨクヨしない、殴られても殴り返さない、しかし汚名は全部返上する男に成長・・・いや戻ったのかもな。 紆余曲折を経て二人の男女の距離は縮まる。縮まったりまた離れたり。そして束の間のトランプ、ラケットで茹でたパスタをキョトンとしながらも美味しそうに食べる彼女の笑顔。 職は失ってもかけがえのない隣人を得たバド、成功は収めても大切な隣人を次々と失っていくシェルドレイクの対比。悲惨な奴だ。あ、トイレの鍵はゲットしたか。 どんなに良い仕事でも、惚れた女には敵わない。シェルドレイクの仕事を蹴りイキイキと去っていくバドの姿は何度見ても良い。 「彼女を待たせているんだ」の場面で終わっても良かったが、その後に素敵な“奇跡”を用意するワイルダーの二段構え、お見事。愛のないキスに表情は変わらず、愛のこもったトランプで微笑む彼女。 勘違いとはいえ、二人とも気付いた瞬間に全力疾走で相手の元に駆け寄るお似合い振り。 ラストなんかキャプラの「或る夜の出来事」を思い出した。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:21:37)(良:1票) 《改行有》

88.  絞殺魔 《ネタバレ》 フライシャーの緻密な演出とシンプルな面白さが光る。 フライシャーは「バイキング」や「ミクロの決死圏」等アクションものの監督と思っていたが、まさか「ミクロの決死圏」の後にこんなサスペンスを撮っていたとは。 他の作品に比べるとかなり地味な印象もあるが、それでもフライシャーらしい演出が光る作品だ。 「実在のボストン連続絞殺魔事件」をモデルにした作品。 複数のカットを同時に見せる実験的な仕掛け、淡々と殺しのドラマとそれに歯噛みしながら捜査を続ける警察たちの姿を映していく。 ただでさえ得体の知れない「絞殺魔」が襲いかかるってだけで恐怖だし、もっと怖いのが散々ニュースで注意しているにも関わらずドアを開けてしまう人間心理の怖さ。 開けなくても簡単にドアを突破してしまう「絞殺魔」。 後半の展開は衝撃的。延々とシーンが続く感じなのだが、不思議と飽きない。 “もう一人のアイツ”が出てくる瞬間といったらもう。[DVD(字幕)] 8点(2014-03-11 21:15:15)《改行有》

89.  大酔侠 キン・フーは大好きな監督だ。 メチャクチャ面白いし飛び抜けてる(俳優のブッ飛び具合が)。 「大酔侠」はそんなキン・フーの最初の傑作だと思うし、俺が一番好きな作品だ。 後年の「迎春閣之風波」や「忠烈図」「侠女」に比べるとまだまだ完成されていない部分も多いが、それでも個性豊かで魅力的な登場人物、ユーモア&ヴァイオレンス、迫力満点の大立ち回りと既にキン・フー映画の醍醐味が詰め込まれているぜ。 まあ、俺が一番好きだと言う理由はやはり“女剣士”の一言に限るね。 冒頭のド派手なスタートダッシュから一転、雷鳴と共に登場する旅の剣士。“最初”の主人公だ。 この後「取って置き」のキャラクターが出てくるが、ソイツのやり取りはもう最高。 寡黙で男勝り、気丈に振舞うもピンチの時は女らしい一面も覗かせる・・・強い女性は万国共通で美しい。 一見すると普通の顔立ちなんだが、女の一面を覗かせる時、そして戦っている時の彼女はカッコイイし美しい。 傷を負った時は不覚にもドキッとしてしまった(キン・フーなのに)。 キン・フー映画の女って愛嬌より度胸・華より青龍刀・色気皆無(褒め言葉)の女傑キャラしかいないのかと思っていたが、そういう意味でも彼女は大変貴重なキャラだ。 ペイペイに魅せられた野郎共は「侠女」も必見だ。あの作品の彼女はとにかく素晴らしい。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-07 02:31:24)(良:2票) 《改行有》

90.  勇気ある追跡 《ネタバレ》 チャールズ・ポーティスの原作を映画化した「True Grit」。 これは数ある保安官ものの中でも一番好きな西部劇かも。 ジョン・ウェインの事を「いつも同じような口調で野暮ったい役者だよね」と思う人は本作を観れば意識を改める事だろう。 本作のウェインは実に人間臭く味わいのある演技を見せてくれた。 あの眼帯が無くとも表情豊かでノリノリな感じが伝わって来る。 犯人を捕まえるのは賞金目当て、常にケンカ腰な不良保安官「ルースター・コグバーン」。 酒好き、ポーカー三昧、大昔は仕方無いとはいえ盗みもやっていた筋金入りのワル。 ワイアット・アープがグレたらこうなんだろうなぁ・・・。 肉屋の爺さんと「プライス将軍」と呼ばれる猫が唯一の家族という寂しさも覗かせる。 物語はそのコグバーンに父の仇を討って欲しいと「マティ・ロス」という少女が願いに来る。 そこから同じく犯人を追うテキサス・レンジャーの「ラ・ビーフ」と3人の奇妙な追跡が始まった。 この3人のキャラが実に良いんだよね。 老いを感じさせない超ワル親父のコグバーン、 父の仇を討たんと、法律や持ち前の度胸を武器に動くボーイッシュで男勝りなマティ、 憎まれ口を叩くコグバーンに何かと突っかかるラ・ビーフのユニークなやりとり。 敵も地味にデニス・ホッパーとロバート・デュバルという顔ぶれ。 通りで強烈な印象があったわけだ。 ストーリーは人間ドラマが占める作品だが、中盤の逮捕劇と尋問、ラストの決闘と帰還劇など見所も多く、何より人間ドラマが最高。 特に銃ではなく法律を武器に駆け引きをするストーリーが現代的で面白い。 終盤でヒロインが敵とバッタリ会って人質になるのはどうかと思ったけど、そこには「リオ・ブラボー」に通じる交渉術があった。 仲間の仇の一人と言える娘をあえて生かしたのは人質とするため=娘が死ねばコグバーンに血祭りにされる(まあ結局は「お約束」でしたけどね)。 ラストの疾走するコグバーンが最高にカッコ良いのでそんな事はどうでも良くなるね。 人質の件以外は文句なしの傑作! [DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 14:54:31)《改行有》

91.  プロフェッショナル(1966) アクション、戦争、ガンファイトが豊富なアクション大作。 「特攻野郎Aチーム」のような馬鹿馬鹿しさと清々しさに溢れた逸品。 満面の笑みで機関砲を回すシーンが忘れられない。 ブルックス監督は「最後の銃撃」も良いが、バート・ランカスターの素晴らしいアクションを撮り下ろした本作は一番の快作。 西部劇の枠に留めておくにはもったいない。 地味ながらクラウディア・カルディナーレが相変わらずエロかった。 オマケに人妻? 若妻? そそる。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 01:26:24)《改行有》

92.  ハタリ! 《ネタバレ》 再見。やっぱりメチャクチャ面白いぞこの映画は! ホークス入門にも打ってつけ、アフリカを舞台に西部劇さながらの“追跡”アクションが詰め込まれた面白い映画だ。 ジョン・ウェインとホークスのコンビは「エル・ドラド」や「リオ・ブラボー」、「リオ・ロボ」「赤い河」とあるが、俺が一番好きなのはコレ。ウェインが一番優しい映画かも知れない。 冒頭から広大なサバンナで何かを探すように双眼鏡であたりを見回す男たち、遠くに点在するもの、何かを見つけ、無線で合図を送り、一斉にジープを飛ばし獲物めがけて突っ走る! 水牛の群を切り裂くように、ハンターたちの視点で猛然と走るサイに並走し追い続けるスピード(尊敬する存在でありライバルでもあったジョン・フォードさながらの映像)、サイも捕まるものかと角を突き立て体当たりを繰り返すド迫力。キリンも凄いスピードで走ること。 男も、女も、動物もみんな活き活きしていてひたすら楽しい。そこに国も人種も動物もない、追われたら追いかけ返し、一つの仕事によって対等に渡り合い結ばれていく。だからホークスの映画は大好きだ。 下着姿で飛び出し乗り込み車の中でボトムス(ズボンは死後ですかそうですか)を履いてしまう写真家エルザ・マルティネッリの元気さと可憐さ、運転から治療までこなすブランディの色っぽさ、ロケットブッ飛ばして家を貫く動物嫌いのムードメーカーであるポケッツ、挨拶代わりに拳を浴びせる射撃の名手チップス、それを受け入れ良き相棒になってくれる古参の頼もしさハーディ・クリューガー、寡黙だがダンディな髭が印象的なヴァレンティン・デ・ヴァルガス、風呂場や寝室にもちょっかい出すキュートなネコ(科のチーター)ちゃん、拾われ水浴びしてくれた恩人のために市街地を駆け抜け缶詰の山を粉砕する可愛い子象たち(ヘンリー・マンシーニの「小象の行進」に合わせてピクニック気分で水浴びに出かける場面といったら!)、地元でウェインたちをサポートし続けてくれるマサイ族といったアフリカの人々。 そして父親のようにみんなをまとめるウェインの存在。 頼まれた仕事も大事だが怪我人最優先で引き返したり、寝室を不法占拠されても黙って譲り、わざと憎まれ役を買って新参たちがチームに溶け込むのに一役買ったり、子供の様に邪気な恋に挑む仲間にアドバイスしたり、飛び出していく仲間を見守るためにたった一人で後を追ったり。 みんなが楽しくピアノを弾いたりハーモニカを吹いて楽しくやっている時も、静かに見守り続ける。でも惚れちまったら粘り強く引き下がらないけどな。恋愛に年齢は関係ない。その精神は「リオ・ブラボー」の頃から変わらない。 ベッドの上の来訪者をめぐり酔っぱらった男たちが次々に訪れ同じセリフを繰り返したり、仕事のプロたちが動物や女性陣に振り回されたり、とっさのこととはいえ不慣れな荷台の上で倒れまくり受け止めた人がおっぱいを触ってしまったりギャグのキレも抜群。 動物たちとのやり取りも面白い。 小象に乳をやるのにヤギを大量に捕まえ、そこに小象が突っ込んできてパニックになりアチコチ走り回り(羊のミルクを被り黙って苦い顔をするウェインに爆笑)、猿の大群を木に登らせロケットでまるごとひっ捕まえ木を薙ぎ倒してしまう!鳥籠までヘルメットにして。 動物狩りも世話をしたり依頼人たちに送り届けるために絶対殺せない・生きて捕まえることを徹底する暗黙のルール。 撃つのは威嚇射撃で無駄な殺生を避けるため、新人試し&歓迎の射撃訓練のため、仲間の危機を救うために。ライフル握ってたその手で動物を生け捕るために奔走するのだから。仕事は違えど、住民を守るために殺ってしまった男にも気を遣うプロフェッショナル同士の思いやり。 段差だろうが河だろうが走り抜け、土煙をあげながらサイやキリンやシマウマを追いかけ、投げ縄で捕縛してもまた逃げられるかもしれない、檻に誘い鍵を閉めるまで気が抜けないスリル。河を渡る時でさえちょっとでも止まればワニが迫り来る。 ドアを開ければ象が雪崩れ込みベッドを潰してしまうのだ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-02 01:34:58)(良:1票) 《改行有》

93.  少女ムシェット 《ネタバレ》 再見。 何度見てもハートフルボッコの筈なんだがなあ…ヒロインの健気な姿を見るだけで元気になれるのは何故なんだろう。 「バルタザールどこへ行く」に並ぶ、少女の不幸を冷徹な眼差しで…いや見守ってやることしか出来ない無力さに打ちのめされるシネマトグラフ。 この映画を見て落ち込んだという方には同じブレッソン「スリ」「ブローニュの森の貴婦人たち」、ドタバタコメディ「公共の問題(公共問題)」、良い意味の“ハラハラ”を味わいたいんだよという人には「抵抗」を見て心を癒すことをオススメします。 薄暗い部屋で心配事を語る疲れ切った女性、森の中で茂みをかき分ける者、帽子から輪になった紐を取り出し、木の枝に括りつけて草木の上に置く者、“仕掛けた”者が待っていたもの、引っ掛かり悶える鳥、それを掴み取る手、一部始終を見届ける視線。 抜け穴、収獲、すれ違う帰還者と登校途中の少女。 授業でみんなが歌う中で口をつむぐ理由、だからって突き飛ばしピアノの前で首根っこ掴んでまで曝しものにするこたぁねえだろ。何度も歌わされ、嘲笑され、耐えきれなくなり顔を覆い泣き出してしまう。誰も助けちゃくれない。 男の子もわざわざ呼び止めてズボンを脱いで見せつける嫌がらせ。 家に帰れば父親たちは夜遅くまで酒に溺れ(警察にバレないように酒瓶を布で隠して)、冒頭で語っていた母親は病で寝込み、夜泣きする赤子の世話と忙しい。 だが彼女もただ黙って耐えるだけの少女じゃなかった。 ちょっと大人の男に視線を送っただけで平手打ちを浴びせるようなロクでなしの父親だ。教会にもわざと泥まみれの靴で入るのは、突き飛ばされるのが分かっていても暴力を振るう父親へのせめてもの抵抗。 それは散々な目に遭っているのにどうして宗教にまで縛られなきゃならないの。何もしちゃくれねえ宗教なんぞを信仰する馬鹿馬鹿しさ、冗談じゃないと彼女が…ブレッソンが叫びたかったことなのかもしれない。 下校時には道脇の茂みに伏せるように隠れ、女生徒たちに泥をブン投げまくる。例え振り返ったとしても隙あらば投げることを繰り返す。 幼い少女たちは下着が露になるのもお構いなしに鉄棒を回り、香水をかけ合い、男の子が乗るバイクにまたがり、早く大人になりたそうに振る舞う。 遊園地に行くのは憂さを晴らすため。ゴーカートのぶつけまくりぶつけられまくることが許された運転、回転飛行機で飛ぶように二人きりの男女を見つめる視線。 密猟の男たちが河原で拳を浴びせ揉みくちゃになるのは、仲直りし飲み合うため。 スカートからのぞく女の肢体、ストッキングを止めるバンド、泥に埋まり残される靴、雨に濡れた少女を“捕まえる”ための誘い、手の出血を焼けた枝で止める荒療治、蝋燭立てになった酒瓶、机の上に逆さまで並べられた椅子、カバンの中にしまわれる小銭?、ふら付き発作が起きようが泡を吹くまで飲んだくれブッ倒れる。虚空を見つめて目を開っきぱなし、そんな姿に思わず歌うのを嫌がっていたはずの少女が男を介抱するため、子守唄を聞かせるように歌声を響かせる。 豹変、酒瓶の山を落とし割り、机を薙ぎ倒し、燃え盛る火の前まで追い詰め襲い掛かる。どうして男ってこんな奴しかいないの?という絶望。 木の枝に紛れる逃亡、辛いことがあったら母親の手を掴み慰めてもらう。わずかに残った希望…。 森番に部屋の中まで連れられ夫婦揃って説教を喰らい、ミルクを買いに行った先で親切にスープとパンを振る舞いポケットに“ほどこし”を入れる女主人。ポケットに手を入れる「スリ」とは真逆の行動で彼女に幸せが訪れるのか…それを粉砕する様に割られてしまうカップ。机の上に投げ捨てられる“ほどこし”。 文句言いながら渡されるほどこしなんて御免だよと、絨毯を泥だらけの靴で踏みにじる。 ウサギ狩りで猟銃が刈り取る命、命、命。「バルタザールどこへ行く」の動物たちがそうだったように、この映画も容赦なく犠牲になっていくのだ。 もらった服も木の枝で引き裂き、寝転がり草まみれにし、それを纏いながら転がって、転がって、転がり続けた先…。[DVD(字幕)] 9点(2014-02-28 18:41:11)(良:2票) 《改行有》

94.  はなればなれに 《ネタバレ》 ゴダール嫌いにオススメする楽しい映画。 「女は女である」ほど強烈じゃないけど、反面毒気がないというか、とにかく楽しいことだけやりましょうという無邪気なコメディ。 ゴダールは典型的な「付いて来れる奴だけ付いて来な」ってタイプだから、時折の突拍子な行動を好きになれるかなれないかだな。 この映画もその系統の筈なんだが、ゴダールの映画で一番気楽に楽しめる「思いつきの寄せ集め」だ。 そもそも英語の授業なのにずっとフランス語というのが。 いきなり踊りだすわ、 ルーヴル美術館爆走するわ、 強盗するわで変てこりん。 ああ、コイツ何も考えてねえ(笑) でも何でだろうねえ・・・嫌いじゃないというか、愛らしいと言うか、無垢というか、不思議と頭を撫でたくなる映画だ。 まるで何をしたいか解らず周りをうろうろする仔犬のように・・・いやアンナ・カリーナがひたすら可愛ゆ・・・ゴホン 愛らしいというのもあるんですがね。 楽しいひと時を味わえた。[DVD(字幕)] 9点(2014-02-24 02:16:56)(良:1票) 《改行有》

95.  昼下りの決斗 「ワイルドバンチ」より断然コッチでしょう。 確かに暗い西部劇だけど、西部開拓時代の終わりをひしひしと感じられる。 「地獄への道」や「七人の無頼漢」を始めとする西部劇に多く出演したランドルフ・スコット、 「死の谷」などで活躍したジョエル・マクリー。 年老いた彼らの、日陰者になっていた自分たちの境遇が重なったかのようなシンクロ。 自転車と共にやってくる「一つの時代」の終わり・・・二人の男たちは何を成し、何を成せなかったのか・・・そんな映画だと思う。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:26:32)《改行有》

96.  大脱走 《ネタバレ》 第二次大戦末期。 「史上最大の作戦」と言われたノルマンディー上陸作戦。その裏で行われた「史上最大の大脱走劇」! 前半2時間の“大脱走”をするまでの工程を積み重ねていく楽しさ・個性豊かな面々が脱走の一瞬に命を賭ける熱さ・ノルマンディーで戦う何万という仲間のため・一人のために体を張って叫んで、走って、戦い抜く魂! それをもう1時間も追走劇の緊張と興奮を味あわせてくれるんだもんなー。お腹一杯ですよ。 人物の描写や脱走までの工程がとにかく丁寧。捕虜収容所の複雑な関係も面白い。みんな個性があってよく描けてる。 実際に戦争に言った強者どもがひしめく。みんな良い顔してるぜ。脱走のシーンも、少しずつ慎重にいって、そして一気に弾け飛ぶ。 特にヒルツの生き様はカッコイイ。 仲間のために何度でも逃げ、何度でも戻ってくる。かならず生きて。盗んだバイクでのチェイスも凄い。いつも浮かべる不敵な笑みが良いね。 ラストはとても悲しいけど、最後にヒルツが戻ってくるシーンを見るだけでも「また見たいな」と何回も思ってしまうのです。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:06:46)(良:1票) 《改行有》

97.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 セルジオ・レオーネやセルジオ・コルブッチのマカロニウエスタンが可愛く見えるほどの生々しさを誇るヴァイオレンス西部劇。 俺個人はペキンパーといえば「戦争のはらわた」や「昼下りの決斗」だが、この作品はペキンパーの最高傑作に相応しい“破壊力”に満ちている。 6台のカメラを使って極限まで磨かれた銃撃戦の迫力! 冒頭の襲撃への緊張を高める場面と凄惨な銃撃戦は今までの西部劇に無い、 中盤は西部劇の伝統に沿った追跡劇と橋を爆破するまでのスリル、 そしてクライマックスを飾る4人対軍隊によるガン・ファイト!!! ファーストシーン、ガンファイト、人間ドラマ、ラストシーンと揃った作品だ。 しかしこの映画が「俺たちに明日はない」といった作品同様の批判を受ける理由が解らない。 そりゃあ執拗なクローズ・アップや過剰なスローモーション演出には反吐が出るが、そんな事は問題じゃあない。 西部劇を血の海にした事が許せないのか? それとも単に残酷な描写が許せないのか。 お門違いも甚だしい。 残酷描写というだけなら「戦艦ポチョムキン」や「椿三十郎」だって血の海だ。 血の海になって終わる映画ならエイゼン・シュテインの「ストライキ」だってそうである。 「アンダルシアの犬」なんか眼球チョンパだぜ? そんなこっちゃあ無いんだよ。 大体、西部劇を神格化しすぎなんだよ。 この作品の西部劇は「爽やかな風と巨悪を撃つ正義のアウトロー」を描いわけでも、 「過酷な西部に生きる力強い民衆」でも無い。 エドウィン・S・ポーターの「大列車強盗」のような「暴力によって滅ぶ暴力者」の映画なんだ。 蠍がなぶり殺しにされる弱肉強食の“暴力”に始まり、メキシコ革命を影で支えた人間たちを皆殺す“暴力”に終わる。 暴力によってしか生きられなくなった男たちの哀しき物語。 そこには正義も悪も無い。 ただ彼らがいかに笑い、いかに哀しみ、いかに戦い死んでいったか。それだけなのさ。 パイクたち、 パイクを裏切ったソーントン、 マパッチの軍隊、 そして押し寄せる時代の波・・・四つ巴の死闘。西部を駆けるアウトローたちが生きた最後の時代。 俺たちに明日はない。だが、今日がある。 そう願ってがむしゃらに引き金を引いて死んでいく・・・それは、最後の最後に血ではなく、満面の笑みで観客に別れの“挨拶”をする男たちの姿からもそう思えてしょうがないんだ。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:00:50)(良:1票) 《改行有》

98.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 アーサー・C・クラークとタッグを組んで作り上げた超迷作。 「迷える名作」を撮らせたらアメリカ無双のキューブリック渾身の作品。 これは子供にこそ見せたい映画だね。 子供は何の抵抗もなく、取り敢えずありのままを受け入れようとする。 感受性の豊かな子供は何を思うのか。 そして大人になって再び見る・・・この映画はそれだけ難解でもあり、至極単純な映画でもある。 何者かが知識を得て何かに目覚め、それを繰り返して心理に迫る。ただそれだけ。 その過程が問題だ。 類人猿が「モノリス」に触れて知識に目覚めるファーストシーン。 動きだけで伝えるその世界観は流石。 アフリカの荒涼とした大地と類人猿を「創造」したその美術。 これ役者が演じてんだぜ? メイクと俳優たちは人間国宝になっていいよ。 猿が放った「武器」は、近未来では宇宙を駆ける「武器」となった。 現代の宇宙時代の描写も中々。 宇宙船が音もなく飛び交う宇宙。 この頃は既に「宇宙は暗黒」って認識があっただろうけど、やっぱり絵的に見栄えが悪いよな。 実際こんなに光ってたら怖いわ。 超巨大恒星がどんだけ密集してんだってくらい。 宇宙空間における描写も、今見ると科学的交渉が食い違った部分も多いが、上下の無い宇宙空間、何処までも見渡せる広大な空間、無音の世界観の表現は今観ても凄い。 月の裏側の描写がほぼ完璧ってのが凄い。 だって公開当時は誰も月の裏側に行ってなかったんだぜ?やっぱキューブリックは宇宙人だわ。 月面のモノリスでの騒動、ちょっと長く感じた。 どうせなら「HAL」と木星星団の掘り下げに時間を割いて欲しかったなー。あるいわ上記の部分を削るか。 本作は何といっても「HAL」の反乱。 虚空の宇宙は言わば「密室」。 鬱憤が溜まるのは人間だけじゃない。 機械もいずれは「オーバーヒート」がやって来る。 まして人工知能の発達したコンピューターだ。 自分を排除する=船全体の危機と結びつけちゃうんだろうな。 プログラムに忠実だったのか、それとも本当に心が宿ったのか。 あの真っ赤なランプで、無言で語りかけるような感じが怖かった。 キューブリックは本当こういう「怖さ」を描かせたら天才。 ラストは多種多様な解釈が出来るだろう。[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 10:48:51)《改行有》

99.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 当時の冷戦に右往左往する人間を皮肉ったブラック・コメディの傑作。 原爆や水爆を狂信的に作る「博士の異常な愛情」が時代を後押しする。 物語はミサイル攻撃を巡ってそれを阻止する者、実行する者の対立をシリアスかつコミカルに描く。 生きるか死ぬかの瀬戸際にコカコーラからのクレームを気にするような人間ばっかりだ。 いざ戦争になれば秩序も道徳も崩壊する。 会議場に集まる高官どもに、外で戦う人間の苦しみなんざ解るわけがない。 気にかけるだけで労いの言葉一つ送れない。 隅々まで届かない命令に何の意味も無い。 そんな人間が人々の上に立てばどうなるか? 無意味な実験や虐殺だけが繰り返されていくだけなのさ。 ラストシーンもまた印象深い。 敵の本拠を目の前にして投下装置が故障。 それを命懸けで外しに行き、爆弾もろとも基地にダイブしていくパイロット。 その時のソイツの顔は、黒い笑みで歪んでいた。 戦争の狂気がとり憑いた結果だ。 それを人々はどう思うのか? 英雄として見るか? 戦争を引き起こした愚か者と見るか? 答えは戦争を勝ち抜いた勝者か、後世に生き残った民衆のみぞ知る所だ。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:34:30)(良:2票) 《改行有》

100.  リバティ・バランスを射った男 《ネタバレ》 ジョン・フォードとジョン・ウェインが組んだ最後の西部劇にして最高傑作。 冒頭14分間の「現代」、そしておよそ1時間46分にかけて「過去」の出来事を紐解いてゆく形式、ジョン・フォードの豊かな人間ドラマ、白黒だからこそ出せる映像の美しさ。 「捜索者」や「駅馬車」が広大な大地を馬で駆け抜け続ける激しさならば、本作は回想形式で中盤の決闘に至る経緯をサスペンスフルに紐解く。 しかし、最初この冒頭のシーンを見た者は少し退屈に感じるかも知れない。 それを最初から最後の幕切れまで通して見ると、もう一度冒頭の語りを見たくなる。そしてもう一度冒頭に触れれば、そこに退屈さは無い。 あるのは過ぎ去りし日への追憶と寂しさ。一角の大物議員が何故名も無き男の葬儀に訪れたのか・・・。 駅馬車強盗とともに始まる回想、法律とともにやって来た男がもたらす時代の終焉と始まり、街中で銃を乱射する無法者、ユニークな選挙活動、投げ縄、射撃訓練と怒りの鉄拳、抜き打ちには拳で返答、暗殺、燃え盛る家、サボテンの花。 保安官でもガンマンでもない普通の人間が、無謀と解っていても恩人の仇を討つべく決闘の場に向かっていく姿、立場や人種を超えた一撃! 白黒ウェインの風格とカッコ良さ。レストランにおけるガンマンたちと対峙するウェインの頼もしさ! ただの優等生では終わらない強さを持つジェームズ・ステュアート、調理場の元気な娘ヴェラ・マイルズ。ウェイン、ステュアート、ヴェラの奇妙な三角関係も注目だ。 太ったビビリの保安官アンディ・ディヴァインは「駅馬車」でもウェインと共演。ユーモア溢れるキャラを演じていた。他にもジョン・キャラダインといったウェインの相棒的俳優も脇を固める。 リー・マーヴィンの強烈な悪役振りも良い。 無法者だが牧場主の手先として暴力を振るう鉄砲玉。元々老け顔のウェインと堂々と渡り合える老け振り。一体どんな修羅場潜って来たんだ・・・。酒場でブッ飛ばされるリー・ヴァン・クリーフの存在も面白い。 州に昇格しようと躍起になっている町での政権争い。 食堂での軽妙なやりとり、派手な選挙戦や事務所の襲撃事件、酒場近くの決闘と見所も多い。何といってもその決闘こそ本作最大の山場!黒のコントラストが最高。 かくしてストーリーは再び現代へと戻ってくる。 棺桶に咲いたサボテンの花。 死者の鎮魂を祈る花をドア越しに見つめる一人の男、その後ろにたたずむ背を向けた女性。 列車が駅に入る瞬間から始まり、その疾走によってすべてが終わる光景はフォードを敬愛したセルジオ・レオーネ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(ウエスタン)」でも繰り返される。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 11:05:13)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS