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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 初見、淡々と映画を見て「ふぅぅん。大林監督の、当時の角川アイドル映画だね」と、それ以上広がらない感想を持った。 角川春樹が原田知世に“この映画をプレゼントして芸能界を引退させたい”という想い。大林宣彦の“プライベート・フィルムとして好きにやりたい”という想いが、筒井康隆の原作(未読だからどれだけ弄ったか解らないけど)と、上手い具合にマリアージュしていた…って事は、後から調べて解ったこと。 …こういう話がパンフレットを買わなくても、検索すれば誰でも見られるんだから、便利な世の中だわ。 そのへんを踏まえて再視聴。土曜日の実験室。深町くんが芳山和子の記憶を消して、未来に帰る話をしている。 引退するアイドルのプライベートフィルムとしてみると、芳山くんを角川春樹(&原田知世のファン)。深町くんを引退する原田知世。そこには出てこない吾郎ちゃんを渡辺典子辺り(本来、事務所としてプッシュしなきゃいけないアイドル)として観ると、二人の会話からして、まぁ面白い。 芳山(角川)と吾郎(角川アイドル)が積み重ねてきた記憶(映画の主演ワク)を、訳あって深町(原田)がちょっとお借りして、お互いに好きになってしまった。 時をかける少女は、原田知世主演だから出来た映画。彼女でなければ、このワクは他のアイドルの違う原作の映画になっていただろう。 数年後のある日、偶然に再会する二人。深町(原田=一般人)は相手が芳山(角川=業界人)だと気づくが、芳山は気が付かない。あれ?どこかで…ってなるけど、別々の方向に歩き出す。引退から数年後、角川は原田とこんな再会が出来れば幸せかな?と思ったんだろう。 そこからあの楽しいエンディング。 「あなた わたしのもとから♪」主題歌(の歌詞)もベストマッチ。この映画と原田知世への愛が溢れた素晴らしいエンディング。 こんな映画が撮れるのは、大林監督だけだと思う。 モノクロとカラーの合成、アニメーションと実写の融合、コマ撮り、興味がある斬新な技術はどんどん入れてくる姿勢。大学の映研が楽しんで作った、とても出来の良い自主制作映画みたい。 ハリウッドのSF大作なんてお金無いから作れないけど、大林監督の技法なら頑張れば出来そうだ。 「あれシクラメンぽいけど、ラベンダーって言えばラベンダーに見えるんだ!(※調べたら造花でした)」 どう撮るかは工夫次第。そう思って映画制作を諦めなかった、未来の映画監督のタマゴも多かったんじゃないかな? でも数年後の老夫婦の会話に、そこそこの時間を割いているところとかが、やっぱり素人とプロの違い、本物の監督のハードルの高さを魅せてくれている。素晴らしい監督だ。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-06-05 12:33:08)(良:1票) 《改行有》

82.  ウォー・ゲーム(1983) 《ネタバレ》 ~WarGames~最後“s”がつく。ジョシュアにとって、チェスも三目並べも全面核戦争も、たくさんあるゲームの一つに過ぎない。 オープニングからいきなり始まる全面核戦争のシミュレーション。ミサイル基地の扉の分厚さが核の恐ろしさを物語る。 デビッド、Fの子をAにするのはマズいだろう。まだコンピューターが普及してない時代だから、先生たちも成績を手書きで控えてる可能性大だぞ。 でもこんな当時から、マイコンオタクの仲間がデブとガリなのが面白い。あと“ユーザーアカウント”って言葉、こんな昔からあったんだ。 核司令基地の見学ツアー。本当にありそうな“そのボタンじゃない!”ジョーク。突然の核攻撃の緊張感と、あくまでゲームなデビッドの対比が面白くて怖い。 一般の人には馴染みのない地味なマイコン画面を垂れ流すのでなく、ブラウン管モニターには操作するデビッドが映り込む。これ特撮だと思うけど、どうだろう?画面上で起きていることと、デビッドの感情も伝わる上手な演出。 あとジョシュアの声。デビッドの部屋のスピーカーからしか聞えないハズだけど、基地でも同じ声で話す。これも、見る人にわかり易くする上手な演出。 三目並べから核戦争に勝敗が着かないことを学ぶジョシュア。モニターに映される核戦争の映像が無機質で怖い。あぁ日本にも落ちてきた。 「奇妙なゲームです。唯一の勝つ手段が、ゲームをしないことです。もっと面白いゲーム、チェスをやりませんか?」 これが今の時代だったら、遥かに進化したコンピュータが人間に余計な気を使って、適度に盛り上がる演出を加えて、核戦争を始めるかもしれない。[地上波(吹替)] 7点(2021-05-27 16:28:53)《改行有》

83.  続名探偵ホームズ1/ミセス・ハドソン人質事件 《ネタバレ》 ラピュタの同時上映で鑑賞。TV版はそれより前に放送していたんだな。忘れてる。 こちらのレビューも併映された『ドーバーの白い崖』とは別作品扱い。今回はモリアーティ教授一味とハドソン夫人が主役。 モリアーティが空気穴を気にする台詞を入れるとか「私の殺人は成功したことがないんだ」とか、銀行襲撃の妄想とか、キャラクターの魅力を引き出すのが上手いなぁ。 レストレード警部、犬らしく手紙の匂いから犯人を割り出すけど、美術館でホームズやモリアーティの雑な変装を見破れないとか、「原作読んでないのか!」なんてセリフも優秀なんだか無能なんだか、上手にいい加減で笑える。 前2作に続いて高いクオリティなので、出来ればエリソン夫人、モロアッチ教授バージョンで観たかった。 ~『ドーバーの白い崖』につづく~[映画館(邦画)] 7点(2021-05-27 11:55:23)《改行有》

84.  居酒屋兆治 《ネタバレ》 何が面白いかって聞かれると、居酒屋周辺の人達の生活模様というか、ちょっとしたエピソードを集めたお話で、盛り上がりとかそういうのでなく、全体の空気感とかが合うか合わないか?かも知らん。結構好き。 旧友の岩下との絡みがとても良い。1万円貯金のシーンで英治の頭をポカリ。もうその辺からの自然な演技というかアドリブと言うか、こんな楽しそうな健さんが観られるのが嬉しい。こういうのが田中邦衛の人柄だったり、ベテラン俳優さんの力なんだろうな。と思う。 釣りのシーンでも岩下との絡みが出てくるが、酒飲んで「コレ飲んで寝るぞ~!!」って、ふだん寡黙でペコペコしてる英治が大声になるのが良い。田中邦衛凄い。きっと小林稔侍は鉄道員で、こういう健さんの友達役をやりたかったんだろうな。 相場先生を囲んでのシーンも好き。目玉焼きが3つの話。ご褒美らしいから、次の日の朝なんだろう。夫と私と子供の分で3つ?大変だなぁ…大滝秀治、高倉健、小松政夫…きっと向こうの世界で同じように楽しくやってんだろうなぁ。 造船所の社長が趣味に金を使っての独りリサイタル。シュールだな。 秋本が奥さんの代わりに金属バット抱いて寝る話は泣ける。 それを話の一部だけ聴いて扇風機のことを悪く言う河原も、良い具合に悪いやつで良い。実際にこういう人いるし。 河原に殴られて事件にしなかった英治、河原を殴って警察に捕まる英治。なんか不条理だけど、こういうことも結構あるかも。 英治の年齢がかなり高齢(50歳くらい)に見えるけど、高校野球のエースだった話をちょくちょく持ち出すなら、もう少し若い設定(30代なかば)なのかもしれない。子供も小さいし。 20年くらい前に始めて観たっけか?あの時より今回のほうが楽しめた。10年後観たらもっと楽しめるかもしれない。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-03-07 19:42:59)《改行有》

85.  機動戦士ガンダムII 哀・戦士編 《ネタバレ》 一作目の同時上映で観賞…Ⅲ公開直前のリバイバル上映だったようだ。ガンダム工場で子供達を捕まえる工作兵が怖かった。 今作はモビルスーツも登場人物も沢山出てくる。ミハルのエピソードは重要だけどアムロが脇役になるなど、単体の映画としては散らかってる印象。地域もあっちこっちに移動して忙しいが、地上編のダイジェストとしては上手にまとまっている。 アムロはモビルスーツ戦の経験と能力を積極的に役立てようと努める。ガンダムの操縦能力が自分の価値と考えての行動だが、ブライトとの考え方の違いから、脱走してしまう。15歳でバイク盗んでも歌になるくらいなのに、ガンダム盗むとか… 戦場以外の場所で敵と会い、何のために彼らと戦うのか考えるアムロ。グフは倒したが、ラルに自分の能力で勝てたのではないと言われる。人としてラルに勝ちたいと願うが、戦場ではそれは叶わなかった。 自分を好きだと言った敵の女性、良き先輩、憧れの人を失ったアムロの前に、かつての強敵シャアが現れる… 社会人で言うと、がむしゃらに経験を積んだ新卒が独り立ちし、自・考・動する辺りが本作。会社や社会を見る余裕が出てくると、努力を認めない上司とか、会社への不満とか、気になる異性とか、ライバルの力量なんかも見えてくるもの。 オデッサ作戦辺りまでを丁寧に描いて一作とした方が良かったように思う。シャアを出さないと女性客が入らないと考えたのかも? 主題歌『哀戦士』のタイミングは素晴らしいけど、『風にひとりで』はちょっと何度も掛かりすぎかな。[映画館(邦画)] 7点(2021-01-06 23:55:39)《改行有》

86.  死霊のはらわたII 《ネタバレ》 “EVIL DEAD 2-DEAD BY DAWN”『夜明けまでに死んでた』。前作より面白いです。でもそういう意味じゃねぇ。 どうしよう?監督は笑わせる気マンマンよ?死者の書の謎とか悪霊の正体とか残ってるから、考古学者ファミリーを登場させたのは良かったと思います。13金みたく同じような若者のパーティだとマンネリに感じてしまうからね。前作のエンディングの続きが観られると思ったら、微妙に別な話なのね。なんかどうしてあの5人で山荘に来たのかが気になってたのに、そこは語られず終い。でも本作の意図はブルース・キャンベルの顔芸を堪能する作品だろうから、あんまり深堀りしても仕方ないんだろうな… スプラッターホラー映画真っ盛りの'80年代。私は13金とエルム街、ハロウィンくらいしか観たこと無かったんです。本作はタイトルもパッケージも怖そうじゃないですか。ネットとかのない時代、本作に笑い要素が入ってるなんて思わなかったんですよ。どうせならバタリアンくらい解りやすくしてほしかったなぁ。意思を持った右手とアッシュの戦いは、本作がホラーだってことを忘れさせます。 サイコガンよろしく右腕チェーンソー(人体+機械式の武器)は、後の遊び好きな映画監督に多大なる影響を与えたと思います。 こういう映画は家で一人で深夜に電気消してみる作品ですねぇ。これリアルタイムに劇場で、特にデートとかで観てたら、どう反応したら良いか、困ったんじゃないかな。盛り上げ目的で怖い映画観ようとしたのに、監督の意図が解っちゃって、笑いそうになったら。女なら血を観て怖がらないと悪いかな?って。映画のあとの喫茶店で「映画どうだった?」なんて投げっぱなしで感想振られたら、なんて答えたらいい?「怖かったぁ~」ってタテマエ?「笑えたんだけど」ってホンネ?答え次第では、終わるよ? 予想の斜め上を行ったラストは、某有名シリーズを連想させました。展開が唐突で「…え?」って、なっちゃいますよね。でも思い入れのあるだろう自分の作品を、こんな風にまとめられるライミ監督は、素敵です。[DVD(字幕)] 6点(2024-06-16 12:10:41)《改行有》

87.  死霊のはらわた(1981) 《ネタバレ》 “The Evil Dead”『邪悪な死者』。若干21歳のサム・ライミくんが、映画好きな仲間たちとワイワイ…というか結構真剣に創った自主制作ホラー映画です。ストーリーはあってないようなものだし、お金も掛かってないのもご覧の通り。知恵を絞った特殊メイクとグロ表現。美女の裸体に絡む木の枝の動きや、霧深い森の奥で地を這うような滑らかなカメラワークを堪能しましょう。 画面外から急に飛び出してきたりはビックリするし、足首に鉛筆を刺す特撮は痛そうでした。子供の頃にリアルタイムに観ていたらきっと怖かったでしょうけど、怖がるよりも、特殊メイクの労力を想像し、手作りの温かさを感じてしまいます。この時代のホラーには、本気の怖さを求めるものじゃないんですよね。ガチで怖い映画が総合格闘技だとすると、このタイプのホラーはプロレスでしょうか。 プロレスだけに、本棚に挟まれて動けないアッシュにハラハラするとか、地下室からちょくちょく顔を出してるシェリルを怖がったりとか、観る側も正しい楽しみ方で臨みましょう。 人間関係の殆ど語られないこの映画、なんでアッシュはお姉ちゃん連れてきたんでしょうね?2組のカップルなら解るんですが…謎。 この死霊とやら、ゾンビではなく憑依した悪霊なんでしょう。リンダが一瞬マトモになったことから、あの場所から逃げることができれば、みんな元に戻った可能性があります。 死霊に取り憑かれて地下室に閉じ込められるシェリル。ずっと扉をバタバタしてるのは、きっと仲間(死霊)を助けようとしてたんでしょうね。悪霊シェリーをバラバラにしたスコット。普通なら警察を呼ぶ事態ですが、アッシュは埋めるのを手伝います。兄弟揃って仲間思いですね。小屋から引きずり出したリンダの、めくれ上がったスカートを直してやるアッシュの紳士っぷりも見逃せないポイントです。小屋の前にお墓を作るの、小屋のオーナーはいい迷惑だわ。 しかし死霊に取り憑かれた彼女ら、爪の攻撃力はちょっと上がってるっぽいけど、知能が下がってるから、相対的に人間の時と戦闘力が大して変わらないのは如何なものか。 恐怖の夜が明けたら無事生還のサイン…というお約束をブチ破るバッドエンド(というお約束)。殺されたのか?取り憑かれたのか…?でもみんな死んだあとに取り憑かれても、手持ち無沙汰感ハンパない。[DVD(字幕)] 6点(2024-06-01 17:51:05)《改行有》

88.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 “Le Grand bleu”『雄大な青』。日本では公開当時“Great ”とし、アメリカでは“BIG”にしてます。グレート・ブルー当時大流行しましたね。それが数年後グラン・ブルーに名を変えてリバイバル上映。私はどちらもきちんと観ること無く現在に至りましたが、ジャック・マイヨールとかエンゾとかって名前は知ってるくらい、知名度の高い映画です。 父親の事故のシリアスさから生真面目な映画かと思いきや、コメディ要素も入っていて、リュック・ベッソンらしいなって思いました。 振り返ると『あ、この子ジャン・レノの子供時代だな』って一発で分るのも面白い。ジャン・レノってどの映画でもジャン・レノですね。 ジャイアンとのび太の友情スポ根ものかとも思いましたが、それ以上に海への愛が異常なほど強いですね。登山家とかもそうですが、命を懸けてまで未踏の領域を目指す気持ちって、どこから産まれるのか? イルカへの愛も強く感じます。イルカと心を通わせられるジャック。イルカを家族として写真を持ち歩き、イルカに似た女性(言われてみれば似てるかって思いました)を好きになる。ジョアンナとの初めての夜、寝てる彼女放っぽって一晩中イルカと遊ぶなんて『そこまで・・・』って思ってしまいます。余談だけど日本チームが滑稽に描かれてるのは、やっぱクジラとか食べるからかなぁ? ジャックの海愛・イルカ愛は、人魚姫の逆バージョンのようにも思えますが、父親が危機たときに、いち早く状況を察知したのも、彼にはソナーのような能力があるんでしょうか。安直な言い方をすると『丘で産まれたイルカの物語』ですかね。 子供の頃の海の夢は、命懸けで浮上する怖い夢に見えましたが、エンゾを見送った後は夢の中のほうが居心地が良さそうです。何時からか(最初からか)、「海底は怖い、上がってくる理由が見つからないから」と。そんな感覚は私の理解を超えますが、この映画を観ていると、何となくですがその気持が(私には理解できないってことが)わかるような、そんな気がします。最後ジョアンナの話も聞こえてるのかどうか…イルカに誘われて向かう深海は、私には真っ暗闇に観えましたが、ジャックにはきっと雄大な青に映っているんでしょう。[DVD(字幕)] 6点(2024-02-24 11:00:08)《改行有》

89.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン 《ネタバレ》 “Year of the Dragon”『辰年』おぉ、偶然にも今年ですね。干支って考えは中国が発祥のようです。昔の中国は“眠れる獅子”なんて言われてましたが、'70年代くらいから中国=龍ってイメージが定着してきたようです。ブルース・リーの影響もあるのかな。ただ、映画公開年(米)は丑年。原作の小説は酉年でした。 当時の若者には、なんか結構、知名度の高い映画です。セクシーでハンサムなミッキー・ロークと、東洋人でありながら負けないくらい男前なジョン・ローンの共演で、中身は男臭いカリッカリのマフィアものときた。お洒落で、オトナな雰囲気がたまらなくカッコよかったです。 ミッキー・ロークは本作以外にヒット作が数作あるけど、ジョン・ローンはほぼコレ一本のみ。コレの次がラストエンペラー、以上。なので、これだけ(世代的に)有名人だったのに、意外と言えば意外でした。 この当時のハリウッド映画は、どこかしらアジアン(ジャパン)・テイストを入れてくることが多かったと思う。スシとかホンダとか。でも本作は、国外からやって来るジャパンと違い、西部開拓時代から国内に浸透して、自分たちの街を形成していたチャイナが、我々アメリカ(ってか白人)にとって、見過ごせない脅威になってきているって映画に思えました。 スタンリーはろくでもない男です。彼の中国人敵視は、ベトナム戦争が影響しているようだけど、敵にも味方にも威圧的な態度です。特に中国人への扱いはどうなんだろう?って思います。レストランが襲われて、トレイシーが怖がってるからってキスするか?普通。いくらミッキー・ロークでもあの展開は変だわ。トレイシーに拒否られても強引に抱くし、彼女の家を勝手に捜査本部にするし。新人ハーバートを無理っくり訓練終わらせて潜入捜査させて、挙げ句殺されて。中国人はヤり捨ての使い捨てって感じ。 でも奥さんに対しても公平に酷い。仕事に没頭して妊活オザナリにするし、敵視するマフィアの中華料理屋で奥さんと待ち合わせするし。マフィアに奥さんを殺されたのが、スタンリーの怒りの引き金なんだろうけど、追い出されて即トレイシーに手を出してる時点で、怒りの度合いが弱く感じるんですよね。奥さんの死は怒りの口実に使われただけみたいな。 『毒を以て毒を制す』とでも言いたいのか?『スタンリーは酷い刑事だけど、中国人がデカい顔するよりマシだろ?』とでも言いたかったかのごとく、スタンリーはロクデナシでした。 エンディングの中国歌謡曲がホンワカしていて、映画の内容にそぐわない気がする。そしてアメリカでモヤシがどう作られてるか、この映画で知りました。[地上波(吹替)] 6点(2024-02-05 22:19:19)《改行有》

90.  危険な情事 《ネタバレ》 “Fatal ATTRACTION”細いこと言うと、ATTRACTIONの上にFatalが筆記体になって乗っかってます。『~死が不可避なのに~人を引き付けるもの』みたいな感じでしょうか? 当時かなりブームになってました。不倫して、エロいことして、怖い目に合う映画だと思っていたら、本当にそういう映画でした。でももっとエロの比重が重いと勝手に想像してましたが、怖いほうが強いですね。 夜中に家に電話かけてくる…怖い。勝手に家に来て奥さんと話してる…怖い。抱きついてきたと思ったら手首切ってる…怖い。電気スタンドのスイッチ・カチカチ…怖い。うさg…ひゃぁあ~~!娘が…ふわぁあ~~!! 当時は単純にアレックスが怖いって感想でしたが、元々彼女の精神が不安定だった事を考えると、今の世の中だと純粋に怖がって良いのか、悩ましいところです。でも怖いものは怖いと素直に表現できる、あの時代が素敵。 さて、グレン・クローズの怖さと、マイケル・ダグラスの薄っぺらさが際立った映画でしたが、私が注目したいのは子役エレンを演じたエレン・ハミルトン・ラッツェンです。コロコロしてて可愛いですね。 自然な演技をさせるように、役名=本名にする配慮も素敵です。それでも喜怒哀楽、ずば抜けた演技を観せてくれてます。でも映画の内容が内容だけに、彼女は大人になるまで自分の主演作を観ることはなかったんでしょうね、きっと。 DVD特典にニュー・バージョン・エンディングが入ってました。あの笑顔に「え?ベス?」って思ったけど、そうじゃなかったのね。ってかこっちバージョンだと、アレックスがあまりに可愛そうです。今の世の中的に、ダンが自分のやったことに対し、救われ過ぎに思えました。制裁が甘いんでないかい?って。 でも、賛否はともかく怖いものを怖いと表現できた、あの時代が素敵。[ビデオ(字幕)] 6点(2024-02-03 18:12:34)《改行有》

91.  男はつらいよ 寅次郎物語 《ネタバレ》 シリーズ39作目。同年公開された『次郎物語』から付けられたタイトルなんだって。冒頭の夢が、中学時代に寅が家を飛び出した、回想と呼べるものでした。 秀吉みたいな小さい子が出てくると、満男が大きくなったなぁって実感が湧きます。寅のことを「俺買ってるんだ、割と」なんて、年上に対すると言うより同格な言い方。ヘタしたら母親のさくらのほうが寅のことを敬ってるかも? マドンナはてっきり秀吉の母のふでかと思いきや、たまたま旅館の隣に泊まった客。ひょんな事から「母さん」「父さん」と呼び合う自然な流れが微笑ましい。告白とかの恋愛のステップを飛び越えて、突然夫婦役として2人を着地させるのは、また面白いアイデア。 外堀は埋まって、寅と隆子も居心地良く夫婦ごっこをしてるけど、どうも寅が一歩引いた立ち位置で、冷めた気持ちで夫婦ごっこしてる雰囲気がつきまとう。あぁ、もう寅は燃えるような恋は出来ない歳なのかなぁ… 秀吉がまた、子役子役した演技派でなく、自己主張しないリアルな子供なのもいい塩梅。ただ別れ際が「おじちゃ~~ん!!」と泣き叫んで船を追い掛けるなんて、ちょっとベタかな。 でも最後、家を出る寅とさくらの会話「働くってことは」に、悩む満男が寅に問いかける「人間は何のために生きてるのか」と名言が続く。 二見ヶ浦でふでと秀吉を見つけて、とっさに隠れる寅。「俺達のような人間が、声をかけたら迷惑なんだよ」と。これが寅の、カタギになった人との付き合い方なんだな。33作目で登との別れが随分素っ気ない印象だったけど、あの時はついつい嬉しくて、自分を曲げて登の家まで行ってしまったんだな。って思えるようになったわ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-01-24 22:21:18)《改行有》

92.  男はつらいよ 柴又より愛をこめて 《ネタバレ》 シリーズ36作目。タイトルはまぁ、雰囲気で付けたのかな?酒井がロシア語関連の仕事してるのと、ロシア料理が出てくるくらい? 登場から一気にレギュラー化した個性派キャラ・あけみ。4作目で準マドンナ枠の大活躍の裏には何があったのか?歳を重ねた寅の代わりに満男の恋を描く流れは、何となく知ってたけど、高齢化していくとらや一家に対し、まだ子供な満男。あけみは満男が成長するまでの中継ぎリリーフとして、登場したのかなぁ? それと今さらだけど、1作目で結婚してしまい、まるで寅の姉のように落ち着いてしまったさくらに対し、寅の妹分の役割を持たせたかったのかな。マンネリ打破には良い方向性だけど、それなら、あけみとポンシュウの好いとこ取りの、テキ屋の弟分・登をもっと活かせばよかったのになぁ。とも思う。 まぁでも登だと、今回みたいな露天風呂のお色気シーンは撮れないか。ってか、寅さんでヌードが観られるとは思わなかったから、驚いたわ。ロマンポルノ出身の美保純にどれほどの集客効果があるか解らないけど、長寿シリーズの苦労の跡に思えた。 子供の頃から寅を知っている女から見ると、今の寅はどう映るのかが、よく描かれていたと思う。登場する度にずっと結婚の愚痴ばかりだったあけみが、遂に家を飛び出してしまう。旅先でのほのかな恋模様。あけみに一切その気がなかった描写、悪気なく人妻だと伝えてなかったから起きた失恋に、マドンナ目線から見た寅の失恋を見たような気になった。そう、告白した茂は知らなかったけど、私たちはあけみが人妻だと知っている。過去のマドンナも、想い人が迎えに来て寅の恋が終わったりしたけど、マドンナにも自分で歩んできた過去があるんだよなぁって。 オープニングのNASAは可笑しかった。『ロシアより愛をこめて』が、アメリカのロケット打ち上げをスペクターが妨害するのをボンドが止めたのが話の発端(観たのが昔過ぎて内容覚えてない)だそうで、今回は寅が打ち上げを邪魔するのが類似点と言えるのかも? 久々に寅自身が恋をするのと、貧弱装備で海釣りに行こうとする姿が、『馬鹿だねぇ』って言われてた寅さんっぽくて良かったな。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-01-08 12:28:22)《改行有》

93.  男はつらいよ 寅次郎真実一路 《ネタバレ》 シリーズ34作目。怪獣だぁ。そのうち出るだろうって思ってたけど、ギララっていうのか。コレ当時の特撮の使い回しかなぁ?撮り直しだとしたら、お金掛かってるなぁ。 マドンナは大原麗子が再登場。だけど同一人物で別人のマドンナ役ってのは“シリーズ初”? 今回やたらと東京の風景が多い。今まで柴又と地方が舞台だったせいか、随分と時代が進んだ印象を受けてしまった。第一作から15年も経っていて、寅もとらや一家も柴又も当時と全然変わらないのが馴染んでしまっていて、急に東京が近代化してたような、そんな印象を。大都会の証券会社で働く富永にスポットが当たったのもあって『あれ?これ“男はつらいよ”だったよな?』なんて思ってしまった。差し入れのバナナのシーンは寅さんっぽくなかったけど面白かった。 マドンナが失踪した夫を心配する人妻。しかも夫は一緒に飲んだ仲ということもあり、寅でなくても全力で恋が出来ない、居心地の悪さを感じる。二人っきりの枕崎旅行も、どこか後ろめたさが先立って、観てる側としても純粋に応援できない状況。寅の恋愛成就を応援できない回って、初めてかもしれない。 冨永が家庭に戻り、寅がそのまま旅に出ることを察したさくらとの電話「良かったねお兄ちゃん」『あぁ、良かったよ』「ホッとした?」『あぁ…ホッとした』。自分の幸せのために、冨永の不幸を望むような男にならなかったことを、さくらは喜び、寅の心の底の気持ちを引き出してあげる兄妹愛が美しい。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-24 00:22:32)《改行有》

94.  男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ33作目。本サイトでは寅さんシリーズ・ワースト3に入るくらい低い点に警戒する反面、私の好きな登が久々に登場する回(※事前に調べてた)ともあって、複雑な思いで観始めました。 当時私は中原理恵さんが大好きでした。欽ドン!毎週観てました。綺麗で可愛くて面白くて、こんな人が私のママンだったらなぁ…なんて思ったこともありましたよ。欽ちゃんブームが下火になった辺りから、彼女もあまり観なくなりましたね。今回久しぶりに彼女を観られて、そしてやっぱり綺麗な人で、なんかすごく当時を思い出せて嬉しかったです。 更に釧路(うわっ都会だ!)に根室(…田舎だ)に霧多布に中標津と道東てんこ盛りな回で、それもまた嬉しかった。あの樽の中をぐるぐる回るオートバイ・サーカス。札幌はじめ北海道の夏祭りの花形イベントでしたが、最後の一座もコロナの最中に人知れずひっそりと閉業されたそうです。 登の再登場は良かったけど、あの別れ方は悲しかったなぁ。だけど、カタギになった登と、時代に取り残された寅のフーテンぶりを敢えて観せる演出と思えば納得です。悲しいけどね。タコ社長の娘のあけみ。むか~し社長一家が出た時に、わらわら居た子供の一人なのかな?なんかぶっ飛んだキャラクターで好きです。美保純かぁ。味があるなぁ。トニー。名前からして住む世界が違う人です。ハーフ役かな?あだ名かな?思わせぶりなセリフを最後に出なくなるのは、確かにモヤモヤする。栄作。欽ドン…じゃないか、でも欽ちゃんファミリーの懐かしい顔。こちらも退場のしかたがちょっとだけど、面倒くさい旅の仲間っぷりが良いアクセントになってたわ。 マドンナ・フーテンの風子。中原理恵が好きなせいもあるけど、この後先考えずに憎まれ口叩いてしまう性格なのは、作中自分で言ってる通り。とらや&寅連合VSマドンナって図は初めてかも?最後のとらやでの言い方に怒りを覚える気持ちも解ります。みんなで優しくしたのに掌を返すようなやり方でって。その気持も解るけど、弾かれ者だった風子が、同じ境遇のトニーを嫌いになれない気持ちも解るなぁ。 最後の熊。モロぬいぐるみのニセモノ熊には失笑だけど、前作でレオナルド熊がニセモノ寅を演じた繋がりってことで、最低マドンナの烙印押されてる風子共々、許してやっちゃ、くれないだろうか? ちなみに私の中の最低マドンナは高見歌子(吉永小百合)です。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-17 23:00:15)(良:1票) 《改行有》

95.  男はつらいよ 寅次郎紙風船 《ネタバレ》 シリーズ28作目。きちんと出るには出たけど、あまりに本作に絡まない紙風船の小道具っぷりよ。 寅の夢にマドンナ2人が出てくるのは、シリーズ初かな? ガードが硬そうで、いったん心を許すとノーガードな愛子が可愛い。そんな愛子に、相部屋なのに変な気を起こす気配も感じさせない寅の落ち着き具合。この2人はそれはそれでイイコンビ。マグロを抱えた兄の登場が、これまた勢いがあって好き。 一方でマドンナの光枝は可愛らしい大人の女。それでいてどこか影があって。どうして歳の差もあるテキ屋の常三郎と一緒になったんだろう?って女性。だけどなんか、この夫婦に説得力を感じてしまった。 旅館で働き出した光枝。寅と話してる最中、ガラッと窓を開けて掃除する、同僚の視線に背を向ける光枝。察した寅が「何か辛ぇ事ないのか?」に「大丈夫、仲居みたいな仕事は前にやったことあるから」って。あぁ、この人同僚なんかと上手くやれないタイプなんだ。だから夫の仕事仲間の愚痴も出るんだ。 駅前の別れのシーン。光枝の方から話を振ったくらいだから、寅の回答次第だったんだよな、ここは。病人相手だから適当に相槌打ってた事にする奥手の寅と、それ聞いて安心した事にする人付き合い下手な光枝。なんでか常三郎を悪者にして話をまとめる二人。常三郎はこの不器用な二人が大好きだったんだね。 失恋に追い打ちを掛けるように、不採用になった寅の乾いた笑いが忘れられない。 何より全編通して流れる笛の音のテーマが物悲しい。でも嫌いじゃない一作だなぁ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-11-21 01:00:13)《改行有》

96.  男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ27作目。オープニングの夢は、過去一番の脱力系の夢でした。タコ社長のタコの着ぐるみ、よく着る気になったなぁ。 タイトルの河川敷ではサイクリング仲間が女の子の取り合い。今までなら寅が引き金になってドタバタが起きるんだけど、今回寅は単なる傍観者。おぉ前作同様、寅は一歩引いたスタンスで若者を見守る話かな?と思いきや、結構スタンダードな一目惚れ回でした。 満男が吉岡秀隆になってた。さくらのノーヘルスクーターにビックリ。そういう時代だったの?気にしたことのなかった源ちゃんの意外な過去。 この作品も以前テレビで観ていた記憶があって、マドンナふみの弟の死が印象深かったです。本作では特に、とらやでの子供みたいに馬鹿でワガママな寅と、旅先での大人としてしっかりした一面を見せる寅の両面が観られます。 神社の絵馬にさくら一家の幸せを祈願する寅。一方で弟のみを案じるふみ。たった一人の姉弟がために、寅も自分に重ねてふみに協力したんでしょう。心のこもった葬儀をあげてくれた会社の人々への、寅が発した感謝の言葉がもう、こんな事言える大人って格好良いなって思ってしまいます。 一方のふみ。「何で一言言ってくれなかったんです!?」と弟の上司に怒りをぶつけます。幼い頃別れてから、一度も会ってない弟。父方と母方に別れてそれっきりと思いきや、務め先は知ってる(どこでそれを?)。お骨は若狭の叔母さんが持って行ったのに、その叔母からふみには一言もない(※その叔母さんがふみのことを知らない可能性も少々)。ふみに怒る資格はないように思えるけど、まぁけっこう表裏が激しい、自己中な女です。 絵馬のところで「寅さんに、ええお嫁さんが…(はぁと)」と言いつつ、弟のことを書いてる。まぁ照れ隠しって感じだけど、芸者さんの職業病らしく、寅が喜ぶ事を言っただけに思えました。 旅館で一晩共にしたあとの置き手紙についても「“1人で”考えてゆきます」なんてあたり、男の気を引いてナンボの芸者さんらしいなって思いました。 とらやに来て、いきなり接客始めるのも、日常と仕事の境界線が曖昧だからかなぁ?って。ある意味アイドルタレントと似ていて、仕事(撮影中)と、日常生活(インスタとか)と、その裏に人に見せない私生活があって、だから結婚っていちばん重要なキーワードを、あんな残酷なカタチで言えてしまうんだなって思いました。「こっちの気持ちにもなってくれっていうんだよ。」寅がさくらにマドンナの愚痴(というか恨み節)を言うのは初めてかも?いつもと同じようなフラレ方に観えて、今回ばかりは寅が可哀想。[地上波(邦画)] 6点(2023-11-16 01:14:19)《改行有》

97.  男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 《ネタバレ》 シリーズ26作目。たまたま『学校』を観た直後。『黄色いハンカチ』以前から構想があったという夜間学校映画の、まさに試作品のような本作を観られたのは、なかなかなめぐり合わせ。 諏訪家がやっと手に入れたマイホーム。タタミ1畳分くらいの狭い庭、窓を開けると手が届きそうな隣の家、言葉を選んで褒める寅が素敵。そして「お兄ちゃんの部屋」は泣けるわ。いつまでも叔父叔母夫婦の家に頼ってないで、兄妹で独立したかまどを持とうとするさくらの考えと、義理の兄と妻の絆の強さに協力を惜しまない博。寅が悩んだ末に2万円も包んだ、嬉しい気持ちが伝わってくる。それに対しお釣りって…それは寅が怒っても仕方ない。 セブンイレブン。私も近所にセブンが出来たときのことを覚えてます。スプライトとかがデザインされたアメリカンヨーヨーが売ってましたね。店内に流れる長渕の順子。ついに寅さんが私の記憶にある時代に追いついたわ。 ちなみにキャンディーズは私が物心つく頃には解散してました。マドンナすみれは、寅のテキ屋仲間の娘。年齢の差もさることながら、仲間の娘ということもあって、最初から恋愛対象ではなく、親子のような構図です。うっかりお風呂を覗いてしまうところなんて、まさに娘と父親のあるあるネタ。 すみれの突然の朝帰り。「だって私、結婚するのその人と」まっすぐ寅の目を見るすみれに、それ以上怒れなくなって二階に上がってしまう寅。あぁ、娘を男に取られる父親の気分。今まで若いマドンナと青年の恋愛を応援する回はあっても、父親の立場でマドンナを見守る回は無かったと思います。 最後の入学願書もホロリと来ました。さくらと博はマイホームを持ち、満男は10歳になり、テキ屋仲間は死んで、その娘は結婚を考えている。'80年代に入り、寅なりに“俺もどこかからやり直さなきゃ”って思ったからなのかもしれません。 そうはいっても、あの2万円が源から借りただけってオチは、何歳になっても子供のままな寅をよく表現していました。 私は、前作が最終回でも良いと思ったくらいだから、本作はまさに『男はつらいよ・後編』のスタートです。 寅と同年代のマドンナばかりでは客層も固定されることを考えると、この路線変更はアリだと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-11-07 20:39:51)《改行有》

98.  海と毒薬 《ネタバレ》 先日の終戦記念日。春に某動画配信サービスが終了して、気がつけば未レビューの太平洋戦争映画ストックが無くなっていました。 そこでこの映画の出番となったんですが、太平洋戦争の映画というより、医学界の縮図、日本の社会構造、自分で考えて行動をしない集団心理に焦点が置かれていましたね。 オープニングから古い映画かと思ったけど'86年制作。あぁ、世代的に当時観た顔がいっぱい出てくる。そしてモノクロにした意味はすぐに理解できた。これ、カラーだと多分最後まで観てられない。 戦時中の日本の公的な組織、西部軍と九州帝国大学が、人道的に超えてはいけない一線を越えた実際の事件。私がこの事件を知ったのはここ10数年くらいのことで、戦中に日本軍が行ったと言われる蛮行(南京大虐殺とか)が、ホントかウソか疑問を持った頃だったように思う。で、この事件はホント。 田部夫人のように、出世のために治す目的の患者と、おばはんのように実験のために入院している、治る見込みのない患者。両者に目に見えない線引がされている、病院の裏側を観せられる。 ヒルダが上田看護婦に言った「死ぬことが決まっていても、殺す権利は誰にもない」という考え方。この考え方があまりに欠如しているのが恐ろしい。 上のヒルダの言葉はドイツ語。そのあと日本語で「神様が怖くないのですか?あなたは神様の罰を信じないのですか?」と。上田は休職させられるが、彼女が実験に参加したのはヒルダへの当てつけ。安楽死を命令した浅井にではなく、止めたヒルダに向けられる歪み具合。上司の命令より神の教えが鬱陶しいと思える社会。当時も今も変わらない日本人って気がする。 勝呂にせよ戸田にせよ、捕虜の解剖に対し罪悪感が麻痺していたのは戦争のせいだろうか?大学病院という社会の構図がそうさせていたのか?この映画を観る限り、戦争は環境要素のひとつに過ぎないんだろう。田部夫人の死の隠蔽などは、平時でも行われていたんだろう。 本作のような、大ヒットはしないだろうけど、真面目な題材の見応えのある映画を、もっと創ってほしいと思ってしまう。 ただ100%真面目に作られた社会派映画…ってわけじゃないと思える理由の一つが岡田眞澄の日系アメリカ人通訳。…まぁでも、ファンファン大佐はこの映画の後に産まれてるしなぁ。じゃなくて、この題材で、相当作り込まれた手術シーン。 この映画が制作された当時は、かなり残酷描写が過激になった時代で、ギニーピッグとか悪趣味なグロい映像も創られてた。今の目で観ると必要以上に直接描写されている手術シーンも、この時代の作品と考えると納得できる。 捕虜から切り取ったレーヴル。この話はホントかどうか。でもこの時代(大戦中)だからやってそうだし、この時代('80年代)だから、この場面入れたんだろう。 先日、道東で恐れられた忍者熊“OSO18”が駆除されたニュースをやってて、その肉がジビエ素材として人気急増したそう。その肉食べたい!って感覚が、解る人には解るのかなぁ?[インターネット(邦画)] 6点(2023-08-19 15:33:38)《改行有》

99.  スーパーマンII/冒険篇 《ネタバレ》 Ⅰでヒーローの強さを散々見せ、知能派のライバルとの対決。ヒーローのピンチ。オマケにお色気と、ヒーロー物に不可欠な要素をかなり突っ込んできました。でもⅠに欠けていて、一番盛り上がる展開は、やはり強いライバルの登場でしょう。 前作で顔出し程度に出ていたゾッド将軍一味が地球にやってくる。しかも各々スーパーマンと同じ能力。これは盛り上がりますね。初めて地球に降り立った時の、将軍たちが自分の能力に驚く描写は見事。この時の水面を歩くシーンやホワイトハウス襲撃の時「オー・ゴッド!」「ゾッドだ」まさに神降臨な演出。サイヤ人襲来以降のドラゴンボールに良くリスペクトされている。 一方スーパーマンは、ロイスにアッサリ正体がバレて、アッサリ付き合って、アッサリ超能力を捨てる。これまたヒーロー物の定番展開。前作のライバルのレックス・ルーサーの登場もイイ。 ただ惜しいというかちょっと残念なのは、ゾッド達とスーパーマンの戦いがあまりにヌルいこと。ドラゴンボールを引き合いに出すと、まるでカタルシスが無い戦闘シーン。時代といえば時代なんだけどね。3人の倒し方がとてもアッサリしていて、スーパーマンの機転で大逆転は良いんだけど、あれれ??って感じ。ルーサーもついでみたく退場。多分死んじゃいないだろうけど、こんなインパクトのある悪役をここで終わらせるなんて、もったいないなぁ。 ⅢとⅣは昔観て、さっぱりだった印象があったけど、ⅠとⅡは前後編として作品としてのクオリティを維持している。このⅡは途中降板したリチャード・ドナー監督版が、後年に創られたそうで、なんかそちらを観て正しい評価をしたいかな。[地上波(邦画)] 6点(2023-08-04 23:12:18)《改行有》

100.  いまを生きる 《ネタバレ》 “Dead Poets Society”『死んだ詩人たち結社=死せる詩人の会』。劇中に出てくる古典的な詩人の作品を朗読するサークルの名称。邦題はキーティングのセリフで、詩人ホラティウスの句“カルペ・ディエム=その日を摘め=いまを生きろ”から。ほおぉ~~。感動的な邦題を適当に付けたわけじゃないんですねぇ。 本作が'89年公開で、舞台は'59年だから30年前。アメリカの話だけど、全寮制の学校には行ってないけど、どこか学生時代を懐かしむことが出来ました。当時の私はきっともっと、流行りものや恋愛、趣味の世界に興味津々だったハズだし、実際そうだったんだけど、学校の生活やクラスメートから受けた影響、心の奥に残る教師の教えなんかもあって。そういった、今じゃ普段考えることも少なくなっていることが、ワサワサっと呼び起こされた気分でした。呼び起こすトリガーが、映画の合間合間に出てくる学校の風景、学生時代に観える風景の美しさでしょうね。 息子の将来の安泰のために、進むべき道をすべて決める。息子を医師にする。結論から入るその考え方こそ『完成度と重要性から導かれる面積の大きさ=その作品の評価』というプリチャード博士の考えを逆算したものと言えるでしょう。父にとってはニールの個の人格より、息子とは自分の所有物であり将来の自分のステータスである。という考えを変える事ができなかった。 キーティングは「プリチャードを破り捨てろ」と。「カルペ・ディエム」と。「父親を説得しろ」と。 だけどニールはまだ子供で、父にもキーティングにも嘘をついて演劇を続けるしか無かった。その結果の悲劇。 最後に父親がニールの演劇の才能を認めたりなんて無いし、キーティングを見送る際は全員が立ち上がる訳では無い。 この映画は、観るものにそんな共感の強制や、新鮮な感動を押し売りしたいのではなく、学校を出て社会に入っていった大人たちが、改めて学生時代を振り返り、当時の自分だったらどうだったかを考える。そんな作品なんだろうなと、思いました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2023-07-20 22:34:34)《改行有》

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