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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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81.  八つ墓村(1977) 《ネタバレ》 「祟りじゃ~~」幼少期、犬神家と共に“日本の映画=怖い”と刷り込まれた原因の一作。こんなののCMが夕方のテレビで頻繁に流れてたんだから、油断も隙もない時代だったわ。 石坂金田一を散々観てからの鑑賞だったので、時代設定が現代なのに違和感を感じる。だけどジャンボジェットや当時の都会の町並みを見せてから、延々と時間を掛けて辺境の八つ墓村に行く過程を見せることで、まるでタイムスリップしたような感じを味わえた。もっとも、'77年の大阪や岡山の街の風景、村の商店や墓地、東屋の家屋も雰囲気アリアリで、美しいメインテーマと相まって懐かしく魅入ってしまった。 本作はショッキングな殺人シーンが多い。毒殺するだけで良いだろうに、徹底的に痛めつけられる落ち武者…これは呪われても仕方がない。この映画のメイン、要蔵による32人殺しも目を覆いたくなる惨状。真っ赤な血と人形丸出しな村人なんか、今の目で見るとリアリティが弱いかもだけど、行われてる内容が恐い。特に32人殺しは、後々モトになった事件の存在を知って更に怖くなった。ハラハラと不安を煽る曲と、夜の桜の下を走る要蔵の美しさは、今どんな技術を駆使しても撮れない画じゃないかなぁ。 鍾乳洞で辰弥を追いかける美也子の怖さ。あの声が頭にこびりつく。要蔵と美也子に追い掛けられる夢を2日連続見たわ… 村娘を座敷牢に監禁して手篭めにするなんて、戦後なのに人権や常識が通用しない田舎の怖さを感じた。双子お婆さんとか、祟りのお婆さんとか、128人の村であんな個性的な老婆が居ると、恐いなぁ。 大虐殺の恐ろしい回想シーンに対し、現代の殺人は毒殺ばかり。そして主役のハズの渥美金田一が物語の中心でないことも予想外。犯人を特定するのは見事だけど、実際、具体的にはどのように殺人が行われたのか、最後の謎解きを見てもピンとこなかった。最初の殺人はどのタイミングで毒を?とか、祟りのお婆さんとかどうやって?って思うし、小竹婆さんは「小梅さんが、鎧武者に捕まえられ…」と言っていたけど、誰が鎧武者だったんだろう? 後半は鍾乳洞の中ばかりで、もっと風景が見たいと思ってしまったのと、春代にしても美也子にしても辰弥に会おうとしたら会いに行ける鍾乳洞の構造。回収も検死もされない小梅と久野の遺体。そこに隠れる辰弥。 何年も見つかってない要蔵の死体の謎。そもそも劇中の32人殺しって、犯人行方不明の未解決事件なのかな。 本作は推理モノではなく“祟りを悪用した財産目的の犯行…と見えるように仕組まれてるけど、実は尼子の祟り”という怪談モノ。祟られた要蔵も美也子も顔が真っ白だけど、あれは顔が真っ白になって死んだ尼子義孝の祟り・憑依みたいなものなんだろう。 ちょっと気になったのは、最初の祟りの村の長・庄左衛門は、村人7人を殺してから自殺して8人。 今回も祟りなら、最後の美也子とその後の小竹お婆さんで9人になるのでは…あ、32人殺しも要蔵入れたら33人か?[DVD(邦画)] 7点(2021-10-11 01:31:25)《改行有》

82.  病院坂の首縊りの家 《ネタバレ》 オープニングのジャズ、スタッフ紹介の文字の大きさから、今までのシリーズらしさ(悪く言えばマンネリさ)を払拭しようとしたんだろうか?統一感は薄い。そして黒いマントを纏った金田一が、今までの事件に振り回される感じでなく、一歩引いた落ち着いた感じで、何とも格好いいのだ。それら脱マンネリ策に、最初見た時は違和感を感じたけど、2回目視聴の時には、これも良いなって思ってしまった。お約束のセリフ、仕草はしっかり健在で、等々力警部は粉薬の大サービス。 家系図がとっても複雑で、劇中まんま家系図メモを見せるくらいだけど、それでも充分に理解できたとは思えない。弥生の娘と孫が…という解釈で良かったろうか?もう人間関係が女の髪のように複雑に絡み合っててドロドロだよ。千鶴がなんで天井裏に隠れて暮らしてたのか、劇中聞いてたのに忘れたんだか… 夜中の廃屋で挙げる結婚はミステリアスで、視線の定まらない由佳利の演技はなかなかのモノ。その後の生首事件に繋がる下りは、戦後の怪談としても不気味で興味を惹かれる。謎解きのキッカケ、意外な人物の意外な裏の顔も、ミステリーとしてしっかりした作りに思えた。電話を使っての“誰が誰と話してるのか?”を混乱させる撮り方も上手い。 弥生がもう不憫で不憫で…15の頃から猛蔵に写真で縛られ、写真乾板をネタに脅迫され続け、結婚写真を使った敏男の法眼家への復讐は、法眼家に人生を狂わされた弥生に向けられる事になるハズだった。結果的に娘を2人も失い、そしてあの結末。原作と違い弥生を殺害に関与させたのは、あまりに一方的に不幸過ぎる生涯だったからだろうか。弥生の由佳利に対する想いが今ひとつ掴みきれなかったと思うけど、襖を挟んで小雪と話す弥生の姿に、由佳利への思いも込められていたのかもしれない。 これで石坂金田一を5作品+1を製作年順に続けて観た。前作から1年3ヶ月ほど経っての公開。舞台は昭和26年。んん?年代的に5作品のちょうど真ん中だ。真ん中だけど金田一が渡米(?)を前にして起きた最後の事件ということ。う~ん、作品ごとの関連性が見えるかと思ったんだけど、キャラクター設定は一緒でも、他作品との繋がりらしいワードは一切出てこなかった。 作品ごとに完成度にムラがあるけど、犬2006を除く5作品(女王蜂も除いて4作品でも良い)を、年代ごと(獄→犬→病→(女)→悪)に、脳内で補完しながら観ると、テンポよく観られるかも?[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-10-06 22:33:07)《改行有》

83.  女王蜂(1978) 《ネタバレ》 石坂金田一第4作。昭和27年の秋が舞台だから、悪魔の手毬唄と同じ年、同じ季節の話ってことになるか? まずこの4作品の上映スパン。犬神('76/10)→悪魔('77/04)→獄門('77/08)→女王('78/02)。いくら当時の映画界が元気だったとは言え、このペースで名作を作り続けられたらバケモノだわ。 満を持して作られた犬神家と、構想が膨らんで作られた悪魔の~と、ブームだからと作られた獄門島以降の作品では、完成度が落ちるのは必然。 本作は前の3作にあった、ドロドロした田舎の跡目争いといった、戦後のバタバタした空気が浮き彫りにした気味悪さ、私が勝手に言ってる戦後の怪談映画の雰囲気はなく、探偵が推理で事件を解決するサスペンスに落ち着いている。唐の間や時計塔で行われる殺人は血まみれで、綺麗な死体が多かった獄門島で消化不良だった、惨殺死体は出しているけど、どうも表面上の怖さに終止している。古びた和洋折衷の建物、複雑な人間関係は過去作と同様におどろおどろしい雰囲気はあるけど、月琴の里と京都を行ったり来たりするので、その土地に根付いた風土、習慣の怖さが感じられない。怪談面ではイマイチだけど、加藤武、坂口良子ほかシリーズおなじみの面々に過去の3女優共演と、キャラクターは満喫出来るので、割り切って楽しんだほうが良ささそうだ。 『唇にミステリー』ネットで調べたら、劇中のお母さんの形見の口紅が、まんまカネボウから売られてたみたいで、なんか思いっきりでスッキリしたわ。 あの場だけの秘密としていた真犯人を、なぜ等々力警部が知っていたのか謎だけど、4作目にして金田一と仲が良さそうな等々力警部を観られて、こっちもスッキリ出来た。これがシリーズ最後というか、3部作+オマケの1作って感じで作られたんだろうか? でも'79/5にもう1作公開されるんだよな…[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-10-04 14:32:48)《改行有》

84.  獄門島(1977) 《ネタバレ》 戦後を舞台にしたシリーズだから、軍に徴用された釣り鐘のエピソードとか、復員兵詐欺とか、戦後特有の空気がいい雰囲気だ。 “獄門島”という名前、その由来、そして本家・分家の争いと、犬神家同様に怨念渦巻くドロドロした内容が想像できる。オマケに海賊の生き残りまで上陸している。小さな島で犯人が解らない殺人事件が起きてる割に、思いのほかのんびりした雰囲気で話は進んでいく。 床屋に現れる鵜飼、黙っていると不気味なのに、しゃべるとナヨっとして不気味さぶち壊し。3人娘が揃ってキチガイの役だって、いまいち解ってなくて、単に(当時の)今風な、大人の話の通じないギャルなんだなって観てしまった。花子が殺されても、残る2人とも雰囲気があのまんまだったから、なんか拍子抜けしてしまったというか、観てて緊張感が無かったというか… お小夜が一番不気味。草笛さん綺麗。与三松の弟を念じ殺したとか、恐い。本鬼頭に居座るお小夜を座敷牢に入れて狂い死なせるなんて、こんな怖い話をなぜ映像化しなかったのか。同じ座敷牢で飼い殺されてた与三松。鍵を開けられてから行方不明だったと思うけど、どこで何してるんだろう?見逃したかな? 俳句をモトにした殺人(というか死体の残し方)は、過去2作同様印象的なんだけど、金田一シリーズを現代の怪談映画然としているのは、殺人や死体の内容と言うより、その舞台となる家や村から漂うおどろおどろしい空気が大事なんだな。って思った。絵面がカラッと爽やかになったために、精一杯おどろおどろしさを演出するための、あのオープニングの不気味な絵だったのかもしれない。あと島に掛かる夕陽の上に、上手い具合に雲が掛かって、まるで鬼の目のように見えるシーンは恐くて美しい。よくあんな画が撮れたよ。 犬神家の大ヒットから、当時横溝作品の実写化が盛んだったとは聞いていたけど、まさか公開直前に獄門島がテレビドラマ化されるなんて。それで犯人を変えざるを得なかったんだろうか? 石坂金田一のシリーズ3作目にして、昭和21年の事件との事だから、犬神家の前の年が舞台。この辺り、今だったら“○○ビギニング”とか“○○エピソード0”とかってやりそうだけど、特段シリーズとしての関連性も、説明もなく物語は進む。でも最後お七に、これからどこに行くかわからないと言っているから、東京で探偵をやる以前の話ってことになる。ウィキであらすじ読んだら、金田一はこの事件をキッカケに探偵事務所を開いたらしい。けどわざわざ「探偵の経費で落とせる」ネタを入れるためだけに、この辺の筋を曖昧にしたのかな。 たぶん映像で一番印象に残るのは電線のスズメだと思う。あれは可愛い。小林昭二のフンドシ姿も素晴らしい。それ以上に公開前の“特報(トレーラー)”の短い動画の、坂口良子がトンデモなく可愛い。出番は4秒くらいだけど、You Tubeにあると思うので、興味があれば是非。[DVD(邦画)] 5点(2021-10-03 21:46:34)《改行有》

85.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 犬神家の舞台が昭和22年で、本作は昭和27年の物語。 犬神家の続きものと言ってよいのか、同じ俳優が別な名前と役柄で出てくるから、慣れないと結構ややこしく感じる。橘署長は別人の立花刑事の役だから、金田一と初めて会った時の首を傾げるのが可笑しくて。 今回は山あいの村が舞台。自然の美しさと静けさ、夕方から日が落ちるのが早く、とても寂しげで怖さも感じる。 登場人物が多く、4世帯に女4人、娘4人、息子が3人?最初の方、名前が出る時に細かく顔がカット・インするの、便利で解かりやすいと思ったけど、覚え続けるのが大変で…鑑賞3回目にして金田一みたく家系図を作ってみたので、今回は何となく関係が解ったかな。 他人の話をべらべら喋る女中がザル屋なのを聞いて「ピッタリじゃ」には吹き出した。他にも金田一と磯川警部のやり取りが絶妙で面白く、自転車の二人乗りなんて何とも微笑ましい。 このシリーズの影のヒロイン草笛光子。殺人を問い詰める方言がなんか可愛い。 総社の宿でおはんが去年死んだと知らされる時とか、大瓶の中の大きなサンショウウオとか、恩田の写真を見る女3人とか、見ていてゾッとする演出が上手い。 極め付きが村娘を表した手毬をする日本人形。あんなの、子供の時見ていたらギャー!!だよね。 葡萄酒作りとか、田舎のモール詐欺とか、弁士の失業とか、あの時代ながらの問題・話題がなんかリアル。 同い年の仲良し村娘4人組に、これまた闇深い事実が隠されていたけど、子を思っての犯行って考えたとしても、あまりに突飛な動機。そんなの感情論で妨害するなり、口で上手く説明すればって思う。手毬唄にちなんだ殺人は、ご隠居以外に知っている人が居ないマイナーな唄なのに、どうしてその唄に合わせる必要があったのか?…まぁそういうの全部、犯人の心が病んでいたって思うとスッキリか。 でも源治郎と恩田の、村人との関係がどうもシックリこない。20年経った今なら過去のことだけど、当時はリアルタイムの人間関係があった筈で、それなのに、あんな小さな村で夫婦生活するなんて、当時の彼は何でそんなリスキーな事をしたのか。…もう一回くらい観れば何か掴めるかな? 犬神家同様に、戦後の怪談話として、観てる間“ヒエぇ~~…”ってなれる、とっても趣のある懐かしさと怖さ。[DVD(邦画)] 7点(2021-09-27 02:19:22)《改行有》

86.  ロッキー・ホラー・ショー 《ネタバレ》 ~The Rocky Horror Picture Show~ミュージカル“ロッキー・ホラー・ショー”の映画化で、ピクチャー・ショーとは映画の昔の言い方らしい。日本だと活劇とかシネマ、キネマだろうか? ホラー・ショーではなく、フランクン博士が作った人造人間の名前がロッキー・ホラー。ロックとホラーから名付けたんだと思う。『活劇!人造人間ロッキー・ホラー!!』とか、そんな感じかなぁ? 画面いっぱいの唇。“深夜の2本立てSF怪奇映画の2本立て”って変な歌から始まる。往年の映画と俳優の名前とともに紹介されるこの映画のあらすじ。ブラッドとジャネットも出るよって、知らんわ。この映画ともう一本は禁断の惑星か?とにかく、ひと昔前のSF映画と怪奇映画への愛は伝わる。 目のクリクリした女の子がスーザン・サランドンなのが驚いた。ストーリーを理解しようと頑張ったけど館に入ったところで無理だって諦めた。こっそり帰ろうとするブラッドとジャネット同様、私もDVDの停止ボタンを押したくなったけど、フランクン博士登場で目が冷めた。うわっカッコイイ!トランスセクシュアル星。今で言うトランスジェンダーか。最初以外マトモに服を着てないブラッドとジャネット。ここで見せられる実験が、タイトルのロッキー・ホラー・ショーなのかな?いやいや電話借りに来ただけなのに… ジャネットだけでなくブラッドも襲われるとこ、関係を持ったことのバレ方、タバコ吸ってくつろいでるブラッドに吹き出した。“タッチ・ミー”の可愛さ。ジャネットの尻の軽さ。スコット博士と顔合わせのテンドンは笑うしかない。こんな盛り沢山な夜の、深夜に始まる晩餐会。配膳の雑さ。一方的に初めて一方的に終わるハッピーバースデーソング。この辺のセンスかなり好き。 石膏像にされて、みんなセクシー衣装で踊りだして、ホント何がしたいんだ?? スゴいけどカッコイイけど楽しいけど、大好きか?って言われると、そう言うのでもないんだな。不思議な魅力は満載。[DVD(字幕)] 6点(2021-09-24 17:26:46)《改行有》

87.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 推理物としてみると伏線とかヒントもなく、かと言って意外性もなく“あぁそうだろうな”って結末。ホラーとしてみるとペンキのような真っ赤な血のりと人形丸出しの死体でショボい。でも、恐い。幼少期の記憶が、この映画を“恐いもの”としてインプットしているんだろうけど、私はこの映画をサスペンスでもホラーでもミステリーでもなく“怪談話”として観ていたんだと思う。 幼少期の夏まつり会場。公園に掛かる橋のたもと。しだれ柳の下に片足のない軍服を着た兵隊が居た。夜だからロウソクを灯して、軍帽を被って下を向き続ける日本兵。足元に小銭の入った空き缶…オバケを見たとかでなくホントの話。'70年代後半に傷痍軍人…の偽物だったらしいけど、怖かったなぁ。そんな時代の子供だから、終戦直後を舞台としたこの映画の出す空気は、四谷怪談とか武士が出てくる大昔の怪談話でなく、いまの私の時代に繋がる身近な怪談話に感じらて、恐くて恐くてマトモに観てはいられなかったっけ。 そんな記憶から、ビビリの私が再視聴したのはごく最近。キッカケはYou Tubeで短い動画を見たんだけど、テーマソングが私の古い記憶をグルングルンと呼び覚ました。そしてデカデカと映される明朝体。あぁ、エヴァはここから…。これは、買うしか無いとDVDを購入。黒い床、重たい壁、綺麗だけど年季の入った襖。寂しい廊下の電気。重苦しい空気を醸し出す和洋折衷の犬神家の屋敷。街の風景と併せて映像の美しさが際立つ。石坂=金田一のフケ、探偵の経費。加藤=警部の粉薬、よし解った!。金田一の乗る車の運転の荒さといったお約束。そして女中役の坂口良子はいちいち可愛くて一服の清涼剤。佐清のあまりに立ったキャラクター。ゴムマスク恐い、焼け焦げた顔も恐い。マスクを被ったあとの口をモゴモゴ動かすのも恐い。湖から伸びる両足のインパクト。これほどの映像美を感じさせる死体の画は右に並ぶものがない。 製薬会社の裏でケシの栽培をして、軍と結びついて一代で財を築いた佐兵衛。これが最大の秘密でなく、地元の知ってる人は知っている暗黙の事実だったこと。犬神家の佐清、佐武、佐智、小夜子。愛人の子・静馬。そして珠世。犬神の屋敷の中で繰り広げられる男女関係。みんな犬神佐兵衛の血を引く子と孫なこと…なんて気持ち悪い内情だろう。 今まで表沙汰にならなかった財閥の内側が、相続で起こった醜い争いとともに、次々と白日のもとに曝されていく。出征が巻き起こした混乱と、今までの閉鎖的な習慣をぶち壊した敗戦。戦争が暴き出したドロドロした系譜の内側と、そこに繰り広げられる人間模様が、オバケなんかよりずっと恐ろしい。[地上波(邦画)] 9点(2021-09-20 15:20:12)《改行有》

88.  栄光のル・マン 《ネタバレ》 ~Le Mans~ル・マン。やはりフランスの地名でした。年数回行われる6~24時間の耐久レース世界選手権の1戦で、F-1で言えばモナコGPみたいな“耐久レースの花形”みたいな扱いだろうか? 最初の40分弱、主演俳優のセリフなし。映像を盛り上げる音楽もほとんど無し。一番セリフが多いのがサーキットのアナウンスってインパクトの強い映画。 登場人物の心情に焦点を当てるのを最小限にして、24時間耐久レースというイベントの空気感を伝えることに時間を割いていて、レース直前の街の様子、観客の動き、ピット裏の様子、併設された遊園地なんかを、時間の流れともに映されているので、まるで自分も一緒に参加しているような雰囲気を味わえる。 ポルシェ21号車のリッターが奥さんに「引退して新しい仕事を…」なんて言うから、いわゆる死亡フラグかと思ってしまった。消えかけていたレーサーの火を、選手交代の不完全燃焼からの再燃、引退撤回は、かなりアツいシーン。 さてこのリッターと、リタイアした20号車デレイニーの、車両を替えての選手交代って、同じポルシェ・チームだけど、ルール的に良いの?アナウンスでは、運転は2人が交代で、1人14時間まで、4時間以上走っちゃ駄目…とか、最初に言ってたけど? デレイニーと宿敵フェラーリの8号車スターラーの2-3位争いは熱い…ハズなのに、ポルシェ22号車ウィルソンを優勝させるための、ポルシェ・チームが勝つための“スターラーを妨害しろ”ってチームオーダーだと思うと、なんか、どうなんだろ? 余談だけど私はF-1ドライバーのR.パトレーゼという選手が好きで、'92年のあからさまなチームオーダー(チームメイトのマンセルを先に行かせろ)に腹を立てていたのを思い出した。このポルシェ・チームのリッターの扱い方が、パトレーゼに対するウィリアムズ・チームの扱い方と被ってしまう。ル・マンのルールは知らないけど、ドライバー同士の戦いより、ワークス同士の勝敗が大事なのか?と。 同類のサーキット映画『グラン・プリ』に比べたら、レースシーンは常識の範囲内かもしれない。もちろんアッチが異常、変態カメラワークなのであって、車載カメラ映像は充分に迫力があり、音響も素晴らしい。特にタイヤが徐々に歪んでパンクするシーンなんて観いて為になった。時間とともに煤汚れていく車体が耐久レースの過酷さを表現している。シーンによっては車体が綺麗になってることもあるけど、そのツッコミは野暮だろう。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-09-17 14:43:13)《改行有》

89.  スター・ウォーズ 《ネタバレ》 ~STAR WARS~星!戦争!。 わざわざ訳す必要がないくらいシンプルなタイトル。世界中誰でも理解できる、絵文字やピクトグラムに匹敵する単純な組み合わせ。 “遊園地の代わりに家族みんなで観に行く劇場映画”。 ストーリーは子供でもわかる勧善懲悪のシンプルなもので、大人も満足できるジェットコースターに匹敵するアトラクションとして、家庭用の小さなカラーテレビでは体験できない、迫力の映像と音響を満足できる劇場映画の誕生。当時体験した人は大興奮しただろうな。 私のSWデビューは、水曜ロードショーのテレビ初放送だった。名前と存在だけは知っていた話題の映画。 それがいよいよ放映される。ただ我が家では“次の日学校がある時は、子供は22時に寝る”というルールがあった。けどその日は20時から前倒し放送だったから、最後までは無理でも、かなり後半まで観られるぞ!とワクワクしてTVの前に座ってたっけ。 C-3POとR2-D2がテレビ局をウロウロして芸能人と話をするという、どうでも良い内容がダラダラと続き、いつまで経っても始まらない本編にだんだんイライラ。結局本編が始まったのは21時くらい。せっかくのアドバンテージも台無し。大人って酷いことするわ。 それでもワクワクしながら視聴。OPのオーケストラとともに流れ行くでっかいタイトル。宇宙、星…そして画面上部を覆い尽くすスター・デストロイヤー!!「ぅわあーーーーー!!」って叫んでた。いま、目の前で凄い事が始まった。今まで生きてきた中で考えた事もないことが起こった。 あとはもう流されるまま…圧倒的な数の敵兵。砂漠を歩くロボット。用途の解らないロボットいっぱい。双子の夕日の美しさ。ホバーカー浮いてる。サンドピープル怖い見た目怖い。ライトサーベルの音カッコイイ。ガンダムのビームサーベルと全然違って熱そうでカッコイイ。お父さんたち(叔父叔母)が骨に。変な宇宙人いっぱいの酒場。ワープで星が流れていく。さぁ、お姫様を救いに宇宙へ! 「ちょっと、何時間見てるの?いい加減寝なさい!」これからって時にタイムアウト。 え?ちょっ!待ってママン!ってかお母さん。いま、大変なんだから!宇宙が!お姫様がっ!! 抵抗虚しく私のSWデビューはここまで。22時以降も起きていて良い兄は続きを観てる。悔しい… 次の日兄に『あの後どうだった?』って聞くと「う~ん…お前が寝る辺りまでが一番面白かったよ」と、いま思うと気遣いある回答を貰ったっけ。 この時は最後まで観てないけど、映画ってこんな凄い事が出来るんだって思った。このSWがキッカケで、私はマニアックな映画の見方をするようになったのかもしれない。最初のSWのストーリーなんてオマケもいいトコ。頭を空っぽにして映像と音と世界観を楽しむ映画。 今回SWシリーズを観直すに当たって、旧3部作を観てから新3部作、ローグ・ワンを挟んで旧3部作の特別篇を観ている。劇場版と特別篇がセットになった、昔のお得なDVDだけど、収録されている劇場版は“Episode IV - A New Hope”が付けられる以前のものだった。[地上波(吹替)] 10点(2021-09-13 00:50:58)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》

90.  スティング 《ネタバレ》 ~The Sting~ぼったくる。 去年DVDを買って観て、何故かオチが予測出来て『あれれ?こういう終わり方か?もしかして、前に観たっけな?』と思った作品。いやその時が初見だと思うから、きっと他のオマージュ作品か、TVの映画特集とかでオチを観ていたのか。良い映画だけど新鮮味は無い。って残念に思ったっけ。 今回、内容をほぼ覚えてる状態で再見したけど、まぁ~面白い。 前回と違い、オチを知っているということがマイナス要因にならなかったため、一つ一つのトリックがどうあのオチにつながるのかを楽しめた。前回気に留めずに見流していたシーンが、結構意味のあるシーンに見えてきたりして、古い映画でもこれだけ純粋に楽しめるのかと驚いた。 フッカーがルーレットで3000ドルをスる場面。最初ディーラーは高額勝負に驚いて、リミットがあるからとか断ろうとする心遣い。断っちゃいけない立場だけど、知り合いからイカサマで金を巻き上げるのは忍びないから、元締めに気づかれる前にフッカーが金をしまうよう願うこの間。「ホッとしたよ、負けてたら俺が大変だった」とフッカーを見ながら自分に言い聞かせるディーラー。こういうの、見流してた。 ゴンドーフのカード捌き。ポール・ニューマンだから本当に出来てもおかしくないな、とは思いつつ、あまりにも華麗なカード捌きはマジシャンがやってるそうな。でも、どこで入れ替わったのか?・・・あ!もしかしてここ?って。編集が上手い。映画で見る手品だわ。 サリーノの使い方。前回観たとき予想もしていなかったから、一番驚いた。前に食堂で働いてたジューン。ロレッタは辞めたって言ったけど、消されたのか? 最後の「複勝って言ったろ」からの、畳みかけるような展開、オチに向けての爽快感は見事としか言えない。 去年レビューしていたら、この点数じゃなかったろうな。次に観たときにレビューしてたら、やはりこの点数でもないだろう。[DVD(字幕)] 9点(2021-09-03 18:08:43)《改行有》

91.  追憶(1973) 《ネタバレ》 ~The Way We Were~私達それぞれの選んだ生き方。 バーの外の、花に囲まれた席でビールを飲むハベル。もうどっからどう見ても王子様ではないか。色気とは無縁の学生生活をしてきたケイティが、ついつい見とれてしまうのが痛いほどわかる。ダンスのシーン、どう見てもモテそうにないフランキーから、あっさりケイティを奪い去り、用が済んだら返すハベル。ブルジョアでプレイボーイで、もう住む世界が違うのだ。 そんなハベルがたまたま酔いつぶれてたら、お持ち帰りしたくなる気持ちもわかる。部屋に帰ってからのケイティがテキパキお茶を入れる姿とか、ハベルの寝るベッドに裸になって身体を滑り込ませるとか、ある意味可愛らしい。そしてあとはオートマティック。…でも実際あったら怖い。ケイティは後々、この時の話をハベルにしたんだろうか? 自分のライフスタイルにケイティを合わせようとするハベル。というか、自分流に過ごすだけで、全然ケイティに合わせようとしないハベルに、それで良いのか?って思った。そういう時代だったかもしれないけど。喧嘩して、別れて、折れて、また付き合う。根本的にこの二人は合わないと思うけど、それでも惹かれ合う二人の描き方がとても丁寧。マルクス兄妹の仮装をするパーティで、ハーポとグルーチョに扮した二人が可愛い。 二人が再開した時、ハベルの奥さんが“いかにも”って感じの、綺麗で物分りの良さそうな人だった。ケイティと出会わずに生きていても、そのうちどこかで(どこでも)出会う女性の1人と結婚したハベル。夫婦で家に遊びに来る誘い。本気の恋愛だったから断るハベル。辛いことばかりだったかもしれないけど、それ以上にお互いに良い恋愛だったんだな。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-02 22:31:05)(良:1票) 《改行有》

92.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 ~The Poseidon Adventure~ポセイドン号の思いがけない出来事。でどうだろう? 船の転覆という異常事態から、命の掛かった選択と結果が連続する展開は、とてもハラハラするし、私がその場に居たらどうするか?を考えさせられる。 大晦日のパーティから、不気味なサイレン。さっきまでパーティを楽しんでいた人たちが死んでいく地獄絵図。 逆さまになった世界。ここに残るか、自力脱出を目指すか。判断材料の一つが“責任者や信頼できる人の判断に従う”だと思う。 そもそもの転覆自体、無理に速度を上げるよう指示したオーナーの命令からだった。もちろんあの中では一番権力ある人物。 会場内の最高責任者パーサーが『ここで救助を待つのが最善だ』と。一番船に詳しい人がそう言うのだから。多くの人は従うと思う。 船医と共に船首に向かう乗客。船の詳しさとか責任とか関係なく、単に誰かに頼りたい心理、自分の命さえ他人に委ねてしまったんだろう。 “責任者や信頼できる人の判断に従う”は、今回残念ながら全部が裏目に出てしまった。 ジョン牧師『残ったら助からないかもしれないが、全員を置いていけない』スコット牧師の考えを認めつつ、弱い人のため、怪我をして動けない人のために残る。考えの違う2人の牧師が、お互いを尊重して別れる演出が見事。 何かとスコット牧師と衝突するロゴ。エイカーズが落ちた時、真っ先に海水に飛び込んで探すし、船尾ルートを探すスコットを17分も待つ。愛情からリンダを6回も逮捕したように、周りに誤解されるけど彼なりの人への思いが感じられた。 見た目から足手まといになると思われていたローゼン婦人の活躍。映画観ながら一緒に息を止めてみたけど、私は助からなかったわ… 「最後に愛してるって言ったのは、いつ?」『さぁ20年前かな?昨日かも?』名セリフ、こんな老夫婦になりたい。 目的地は船底、薄いとは言え1インチの鉄板。そこから先どうするんだろう?と思ったが、彼らが助かったのは、波の影響で転覆すると読んで、早い段階でメーデーを出した船長の判断だった。そのため救助隊も早く到着していたんだろう。 パニック映画は数々あるけど、これほど、みんな助かってもらいたい映画も少ない。短い時間だけど人物描写が的確で、魅力を引き出せているからだと思う。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-08-28 20:37:55)(良:2票) 《改行有》

93.  パンダ・コパンダ 雨ふりサーカスの巻 《ネタバレ》 前作の数カ月後に上映された続編。こちらもあくまで児童向け作品。このシリーズに比べたら、トトロなんてアダルト向け映画だ。 …長崎に行ったお婆ちゃん、まだ帰らないんだ。って気になるけど、もう歯ブラシも食器もベッドも3人生活仕様になってる。 パンダの次は虎の子が逃げてきた。珍しい動物がいる場所として、動物園の次に思いつくのって、やっぱりサーカスかな? ベッドを舟にするとか、やっぱり子供らしい発想の解決策。小さい頃レゴブロックで遊んだことを思い出した。板状のパーツに小さい三角くっつけて飛行機とか、それに近いベッドの活用法。 トラちゃんのお母さんとか、他の動物は人語を話さない。そう言えば前作の犬も話さない。前作は中国のパンダ外交・パンダブームで作られたそうだから、もしかしてこの当時、パンダに続いて赤ちゃんトラが話題になったとか、あったのかな?世間で話題の動物だけ話せるようにしたとか。 トラ、ゴリラ、ライオン、象と強い動物がわんさと出てくるけど、活躍するのはパパンダ。暴走列車の途中からゴリラとライオンが見えなくなった。ちゃんと居るから探してみよう。 ミミちゃんの開脚倒立、真似する子多かったろうな。 というか、ミミちゃんの真似するほど、この作品当時ヒットしたのかな?ハイジやルパンと違って、この作品はナウシカやラピュタの本で存在を知ったくらいで、周りから聞いたこと無かったなぁ。 調べたら「東宝チャンピオンまつり」ってワクで公開されてた。…知らない。 ヒットしてたら、今度は水族館辺りを舞台に出来たと思う。いや今からでもどうだろう? 今はこの作品もジブリ・ブランドに組み込まれて、ぬいぐるみとかグッズとか売ってるのにビックリした。この作品からもお金の匂いがするなんて。 …って言っちゃいけないか、おかげで私もこの作品を観られたんだから。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-08-17 11:41:39)《改行有》

94.  パンダ・コパンダ 《ネタバレ》 完全児童向け作品だけど、作画、動画のクオリティは高く、子供だまし作品ではない。 序盤で町の住民から、ミミちゃんがお婆ちゃんと二人暮らしな理由を手短に状況説明されるので、かろうじて大人も付いていける。 お巡りさんがルパンの声で泥棒を心配するとか、今だったらもっと、これ見よがしなネタにしそうなところをグッと抑えてる感じが良い。 この世界のパンダはしゃべる。パパンダは人間の大人として、パンちゃんは幼児として。はい大人はここまで。ってところだけど、竹やぶに執着を見せるパパンダとか、会社に行くのに困るパパンダと空気読むミミちゃんとか、まだ楽しめるんだよね。 犬との喧嘩で見せるパンちゃんの強さ。「パンちゃん犬に噛まれます、どうしますか?」『パンちゃん、カタイからかまれない』パンダが硬い、強いなんて突飛な設定、大人向け作品で言うところの“反則”だけど、子供が考えた解決策としてアリで、それを説得力のある(あるか?)映像にした技術力の高さ。 同様に動物園に帰る事になったパンダたちと、ママになったミミちゃんの解決策『ウチからかよえば、いいんだよ』も、大人では思いつかない発想。檻の付いたトラックで運ばれるのでなく、タイムカード押して電車で通うユーモラスさ。 大人も最後まで楽しめる作品とかじゃ決してないんだけど、幼稚園くらいまでに観ていたら、ハマったろうなぁ。 OPの声優の名前の隣に、演じたキャラクターの絵が並ぶの。すごく解りやすくて良い。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-08-17 11:02:11)《改行有》

95.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 ~American Graffiti~アメリカの落書き。 舞台となる'62年、ルーカスは18歳で主人公たちと同じ年齢だった。当時の自分たちがどれだけ行き当りばったりで、輝かしくも前向きに、その場その時を大事に生きてきたことか。 いつまでも続く終わらない夜。異性と車のことで頭がいっぱいの若者たち。愛だのキッスだのいちいち甘ったるい歌詞のオールディーズ。ピカピカしたメッキグリル、丸みを帯びたボディのセクシーなアメ車。 単に懐古主義ではなく、未完成だけど当時のアレくらいが正解だったんじゃないだろうか?というアンサーと言うか、ハッキリと何が良い?とも言えない、まさに“落書き”と呼ぶに相応しい、素晴らしい青春映画だと思う。 精一杯背伸びしたキャロルの話題。夜中の中古車屋のセールスマンの大きな椅子。モテモテのウルフ先生とタバコ。デビーのクリクリした目。23:45の酒屋。湖の鈴虫の音色。壊れた冷蔵庫に溶けかけのアイスキャンディ。5時前のウルフマンのラジオ… そして最後に現実に引き戻される青空に浮かぶ写真とテロップ。最後の曲は'64年のオール・サマー・ロング。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争と、暗い時代に突入していくアメリカの最後の輝かしい日々。まだまだ行く末が見えない'73年に作られた映画。 毎年夏になると観る映画の一つ。この時代(産まれてないけど)、この年代の情熱と行動力が詰まったこの映画が、夏の暑さに負けそうな私に、一度きりの夜を楽しむ活力を与えてくれるのさっ[ビデオ(字幕)] 10点(2021-07-27 22:35:32)《改行有》

96.  ファンタスティック・プラネット 《ネタバレ》 ~La Planete sauvage~野性の惑星。ソヴァージュって野性って意味だったんだ、へえぇ~~。 「うん、大丈夫。」最初の10分くらい観ての感想。 面白いとか以前に、この独特な絵と不気味な登場人物を受け入れられるかどうかが大事。 青い肌と瞬きしない赤い目。魚の宇宙人だろうか?10分もあればこのビジュアルにも慣れる。 けどダメな人は無理すること無いし、大丈夫な人は、あと60分くらいだから観てみると良い。 瞑想が怖い。特に4人の男が並んで、体のカタチが溶け合うのがグッと来た。ベァ~~ン!!って独特の効果音、ピヨォ~~ン…ピヨォ~~ン…ペポパポ♪怖わ!!怖っっっっわ!!! 赤い目の瞳が無くなり、青くなるのも怖い。 でもこの音楽が癖になる。というかずっと聞いていられる。70年代の懐かしさが漂っていて、全く不快感がない。サントラほしい(※個人の感想です) この世界はドラーグ族の1週間が人間(オム族)の1年だそうだから、人間は年に52歳年を取るのかな?コッチで言うハムスターやネズミみたいな?リアル・ハム太郎。知能に差があって、野性のオム族はドブネズミみたいな生活をしている。 学習器が言っていたクリスタル季だろうか?ピキピキとダイヤモンドのような物質ができる。歩いていくテールを無言で見るティバ。チラチラ見返すテール『良いの?このまま行って良いの?』「・・・」足がダイヤモンド化、不安なテール『え?動けない!怖いんだけど…』「・・・」『全身が覆われてきた!怖い死んじゃう!!』「・・・(助けてやるか)ぴゆう~~ぴい~~」なんか、こういうノリ。ペットがトラップにハマるのを敢えて黙って見る感覚。理解できる気がする。 ティバのその後も気になるけど、世界観や人間の文化もきっちり作られていて、闘獣の闘いとか最後勝った方も殺すのとか、なんかリアル。性交の時に儀式をするの、ドラーグ族の頭蓋骨?ナウシカの巨神兵の化石みたい。 人間絶滅計画の、カルミンみたいな毒ガス弾を飛ばす機械の見た目と音が印象的。その後の原始的な害獣駆除兵器(ボール、掃除機、怪光線)も、非効率で残酷で不思議。 72分でこの密度。なんか癖になる。暫くしたらまた観てみよう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-25 20:09:51)(良:1票) 《改行有》

97.  夜の訪問者 《ネタバレ》 ~De La Pert De Copains~仲間から。…で良いのかな?なんか間違ってそうだけど、英題は~Cold Sweat~冷や汗。 去年BSで観たのを忘れて録画、ついまた観てしまった。 夜の攻防から死体処理。船上や空港のアクション。美人のモイラに可愛いコンパクトなオープンカー。後のコマンドーみたいで結構面白い。 けど何でジョーが、悪党2人を殺さなかったか疑問。最初の奴(坊や)はアッサリ殺してるのに。 流れ弾でファウストが死ぬ辺りからストーリーが変になってくる。設定上ロスの部下をもう2人くらい増やせば、簡単に解決したんじゃないか?いやきっと、1台の車に乗り切れる5人で、過去の犯罪メンバーをまとめたかったんだろうか。 その流れ弾でロスが怪我をする。ジョーが車で往復して医者を連れてくると言い出す。…いやどう考えても車で片道病院まで連れて行ったほうが早いのに。 でもこの小屋にいるのが①ジョー・マーティン②その妻ファビエンヌ③その娘④怪我人ロス⑤悪いカタンガ⑥ロスの愛人モイラで6人。 1台の車には乗り切れない。いやいや、カタンガを縛って物置にでも閉じ込めて、みんなで病院行けば良いんでない? それかファビエンヌに小屋で待ってもらって、5人で行っても良いんでない?なんか、モイラさえいなければ… 最初監督の考えてた話と、何か色々と違ってきたんだろうな。誰かがカーチェイスやりたいとか、もっと格闘アクション入れたいとか、ジル(嫁)出したいとか、ジル(嫁)殺したくないとか、なんか色々。 町に馴染んでるジョー。医者のツテでもあるのかと思ったら、普通に銃で脅して連れてくる。もう絶対ロスを病院連れてきたほうが早かったって。 無駄に格好良い白バイとのヒルクライム・カーチェイス。悲鳴一つ挙げない先生に注目。さすがジョー、良い先生知ってるわ。 一方、意地でもファビエンヌには銃を渡さないロス。出血で真っ白な顔が乱の仲代達矢みたいだ。その後出血死。 ライター1つで山火事発生。仲良くカタンガに捕まるマーティン一家。 ジルじゃなくてモイラは山小屋でフェードアウト。先生も小屋に置いてけぼり。あの後どうやって帰ったんだろう?先生のハイウエストなズボンに注目。 山火事で火だるまは避けたカタンガだけど、結局照明弾で火だるまに。この時、照明弾を拾うジョーのパントマイムみたいなアクションが滑稽なのと、家族のいる方向に躊躇なく照明弾を撃てるジョー怖い。 最後は白バイ警官がヒルクライムの車を確保して逮捕もされず、マーティン一家が笑っておしまい。 …これだけ書いておけば、間違ってこの映画を観ることはもう無いだろう。[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-05-30 21:48:12)《改行有》

98.  スケアクロウ 《ネタバレ》 ~Scarecrow~カカシ。カラス(crow)を怖がらせる(scare)からスケアクロウ。あと、みすぼらしい人って意味も。 姉が学校からLDを借りて来て観たのが最初。淡々としたロードムービーだけど、気持ちの描写が深い。 フランシスの過去に何があったのか判らない。陽気で人を楽しませる才のあるフランシス。 彼はマックスと友だちになり、ライオンと呼ばれるようになる。 フランシスは生まれ変わって、人生をやり直そうとしていたのかもしれない。 ライオンが大事に抱える赤いリボンの白い箱。性別もわからない子供へのプレゼントのランプ。 デトロイトまで行って、散髪して正装して、アニーに電話。 アニーが会わないのは解るが、なぜ子供は死んだと言ったのか?それも生まれる前に流産。天国にも行けないなんて。 意味も解らず泣く母を見上げる子供。ライオンそっくり。 マックスにバンザイして「男の子だった!」と喜ぶライオン。車の上に置きっぱなしのプレゼント。 何も言わないけど、ライオンが倒れたとき「アニーに何を言われた?」と気がついてるマックス。 枕の下に隠すくらい大事なマックスの靴。カカトにはちょっとした隠し財産。 10ドルだろうか?何かワケがって、使ってはいけないお金だったんだと思う。 それを使ってまでピッツバーグの往復チケットを買う。片道なら靴のお金がなくても行けた。 ピッツバーグの銀行には大金があるはずだから、向こうでもう片道を買っても良い。 そうしなかったのは、友達のために大事な財産を使って、いつか帰ってくるという決意。 最後のマッチ一本を惜しげもなくくれた友達。 このデトロイトまでの片道チケットが、これからのマックスの大事なお守りになるんだろう。[レーザーディスク(字幕)] 8点(2021-05-20 14:19:13)《改行有》

99.  日本沈没(1973) 《ネタバレ》 小さい頃、ウルトラマンの感覚でこの映画観て、怖かったなぁ。 今でも小さな地震さえ怖いのは、私の根底にこの映画の記憶があるからかもしれない。 OPの地殻変動の地球と、映画のセリフっぽくない先生のマントル説明を見ると、本当に日本が沈没しても不思議じゃないなって思える。 関東大震災から50年目「火さえ出さなければ大丈夫だ!」という、お爺さんの教訓を覆す予想外の大津波。 建物倒壊で小路に逃げ込む人たち。そこに逃げてくる服に火の付いた人たち。逃げ道が無くなり炎に包まれる人たち…あぁ、火災に巻き込まれる人って、こうやって死んでいくのか。あそこに自分が居たらと思うと、怖くって仕方なかった。 着水する飛行艇(US-1?)や自衛隊のUH-1ヘリの大群が飛び立つ様は迫力満点だ。 …だけどお腹がパカッと開いて消火カプセルを落とす特撮は、今見るとちょっと可愛い。 生放送で大暴れする田所先生。表舞台に出しちゃ駄目なタイプの人なのに、政府の責任回避の生贄に使われるなんて、腹黒い。 小野寺の「逃げるんだ!」も、群衆の中で唯一、日本の行く末を知っている身として苦しい気持ちが伝わる。その後災害救助に当たる藤岡弘の眼力がスゴイ。 3つの案を聞き「何もせん方がいい」と言われ涙を流す山本総理。疎開先が思うように決まらず「1億人でなく10万人なら」も充分わかる。個人の想いと総理大臣の立場の苦しみが良く出ていた。オーストラリアめ。 姪っ子の花江。木村文乃ソックリ。角ゆり子というのか、綺麗な人だけど一言も喋らない。 国の統制を映画では非常措置要綱と言ったか。いま緊急事態宣言が各地に出ているが、映画ほど重たく捉えられないけど、これが正常化バイアス? 最後の方のテロップ“地球のどこかで”という文字は、きっと“いい日旅立ち”の歌詞に影響を与えたに違いない。[地上波(邦画)] 6点(2021-05-09 15:11:27)《改行有》

100.  新幹線大爆破(1975) 《ネタバレ》 これは凄い。今なら『スカイツリー大倒壊』みたいな感覚か。 東京オリンピックから約10年。 世の中の役目を終えた工場の社長。目的を無くした活動家。集団就職で上京した失業者が、高度経済成長の象徴、新幹線に爆弾を仕掛ける。 とてもテンポが良く、故障車の回避や妊婦の出産、徐々に不安が広がる乗客のパニックと、現実に起きそうなトラブルが、観ていて手に汗握る。 爆弾を探すための写真撮影を2回やるのがリアル。 新幹線のミニチュアもよく出来ていて、東京から来た汚れたひかり109号と、ピカピカの救援車の並走なんて胸熱だ。…そのあと運転士の青木君がバーナー使うのはどうかと思ったけど。 指令室で提案された『後続車両に乗客を移して』…は出来ないにしても面白いアイディア。 並走させて乗客を移す作戦だったら上手く行くかも?と思った。実際この作品の影響を受けたといわれる『スピード』でやったんだよな。 引っ掛かったのは現金受け渡し、最初から高速道路で良かったんじゃないかな。 川からロープで引き上げるのはかなり体力使うし、そのあとバイクの運転は腕が辛いし。 警察の描き方がかなり雑。 大学の柔道部の件は冗談みたいなシナリオだし、逃げるだけの犯人をやたらと銃で撃つのは何故だ?…まぁ撃たれた健さんがカッコいいけど。 あの太鼓叩く宗教団体が頭から離れない。彼らが無事停車した時に喜ぶ姿が、なんか可愛くて良い。[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-04-08 20:12:47)(良:1票) 《改行有》

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