みんなのシネマレビュー |
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1021. KG カラテガール 《ネタバレ》 本作と同じく武田梨奈主演の『ハイキック・ガール』から継承されている“魅せる実戦空手”というコンセプトは本作でも健在でした。スローモーションによるリプレイを多用した『ハイキック~』と比べると、演出面では洗練された印象を受けます。両手を交差し頭上に掲げてから構える紅空手独特の動きも、けれんみたっぷりで良し(実戦で使えるかどうかは、この際問題ではありません)。セカンドチルドレン・飛松陽菜の実力も十分でした。となると、あとは脚本の問題だけ。復讐という要素を入れるのであれば、カタルシスを得られなかったらウソだと思います。具体的には物語に“溜め”が必要ということ。挫折からの復活。あるいは秘めたる力の解放。主人公が紅空手の継承者であることを直隠しにする設定は、作話上の肝でした。いとも簡単に正体を明かす展開は頂けません。また、ラスボス(父の敵)についても難アリ。堀部にアクションをさせないための苦肉の策でしょうが、敵が車椅子では勝ってもスッキリしません。お手本とすべきは、ジャッキー・チェン主演の初期カンフー作品。『少林寺木人拳』や『酔拳』など。脚本に小細工は要りません。ベタで結構。このアクションであれば普通の脚本で十分観客を魅了できるのですから。[DVD(邦画)] 6点(2012-07-26 18:57:29)(良:1票) 1022. 七つまでは神のうち 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください。)出来事を時系列に並べると以下のとおりです。①小学生の子供が失踪。②懸命の捜索の甲斐も無く発見できず。③子供の日記から両親はイジメの事実を知る。④約10年後、両親は練炭自殺⑤ミイラ化した両親は、霊となってイジメ加害者の娘同級生たちを惨殺。復讐を果たす…。大変痛ましく、やるせない物語でした。ジャンルとしてはオカルトホラー。だだし④と⑤の順番が入れ替われば“オカルト”の文字が消せ、通常の復讐劇となります。個人的にはその方が好ましいと思うのですが(霊の仕業なら何でもアリになってしまうから)、不快指数は大幅にアップしてしまうので、このお話ならばオカルトに逃げるのもアリだと思いました。頻繁に切り替わる時間軸や視点、劇中劇の要素もあってか、物語は若干分り難い構造となっています。しかしコレは監督の計略。終盤まで全容が見えぬ展開は疑念や疑惑といった感情を喚起させ、容易に恐怖と結びつきました。いつものジャパニーズホラーなら、一笑に付すであろう市松人形に鳥肌が立つのも道理というワケです。完成度はなかなかのもの。どうせB級ホラーとタカを括ると痛いめに合う可能性大です。(以下余談)自分は『呪怨』の清水崇も『リング』の中田秀夫もあまり評価していませんが、三宅隆太監督はひょっとすると、ひょっとするかもしれないと思っています。『呪怨 白い老女』も悪くありませんでした。監督の次作品に期待。[DVD(邦画)] 7点(2012-07-23 21:26:58)(良:1票) 1023. シロメ 《ネタバレ》 フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー)とは、ドキュメンタリーの撮影技法を演出に取り込んだもの。体裁はドキュメンタリーでも、内容は完全フィクションのツクリモノ。当然キャストも演技をしているワケです。しかし本作では、ももクロがその事を承知していません。画面に映し出されるのは、素で怖がるアイドルたち。種明かしがあったように、単なるドッキリでした。自分は“面白ければ何でもアリ”だと思っているので、「こんなの映画じゃない」とは言いません。しかし単純に面白くないのです。ももクロファンが観てそう思うのですから、一般人なら言わずもがな。怖がらせるなら、座り○ょんべん漏らすくらい徹底的にやらなければ意味がありませんし、それが無理なら(まあムリでしょうな)もっとももクロのいろんな表情を見たかったと思います。怯えた表情だけじゃなく、普段見られない喜怒哀楽に属さない顔を引き出す仕掛けが欲しいと思いました。[DVD(邦画)] 3点(2012-07-20 21:54:34) 1024. ぼくのエリ/200歳の少女 《ネタバレ》 オスカーがいじめっ子を打ちのめした赤い棒は、エリの守護者を継承するバトン。結末はこの時点で確定しています。あとは少年がどう“人外の道へ”踏み出すことを決意するか。ここが物語の焦点でした。具体的には、愛する者のために自らの手を汚すという儀式が必要だったと考えます。しかしオスカーには出来なかった。いじめっ子に見立てた木にナイフを突き刺すことは出来ても、生きている人間には無理だった。オスカーはまだ“こちら側”の人間でした。少年を“向こう側”へ引っ張ったのは、ラストのプール事件。大きな借りが出来た。いや生まれて初めて愛を実感したのか。守られることの喜び。少年は決して成就することのない愛のために、自らの人生を捨てました。今度は彼がエリを守る番。オスカーの辿る道は、エリの“パパ”と名乗る男と寸分違わぬはずです。切ない恋物語というよりも、少年の転落人生の始まりとの趣が強いのは、オスカーのがこの先背負うリスクの方がエリを圧倒しているからです。もっとも、それこそが真実の愛に違いありませんが。“こちら側”の人間としては、この結末に拍手が出来ないのがもどかしいです。[DVD(字幕)] 7点(2012-07-17 22:05:06)(良:2票) 1025. アンノウン(2011) 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください)物語を味わう上でポイントとなる部分。それは、“何故主人公は危険を冒してまで、暗殺計画を止めようとしたのか?”だと考えます。そもそも自分が携わっていたミッション。阻止する必然性はありません。それに未だ口封じされる危険性が残る中、余計な事はせず速やかに雲隠れするが得策のはず。しかし、彼はそうしませんでした。其処に意味があると考えます。ジーナは言いました。「大事なのは、今何をするかよ」と。過去を捨てるため、新たなアイデンティティを獲得するため、マーティン・ハリスという名の男(=かつての自分自身)と決着をつける必要があった。果たして結果は爆発炎上。彼の過去も綺麗に吹き飛んだ様子。生まれ変わりを望む人間にとっては、これ以上ない結末でした。アイデンティティを失った男と、IDの無い女は、新たな人生を手に入れました。『96時間』のリーアム・ニーソン主演。“頼れる男”が本作では散々な目に合います。彼の枯れた風貌は、所謂アクション俳優に比べ親しみ易い。感情移入が必須となるサスペンスでは大切な要素です。オチに新鮮味はありませんが、よく練られた脚本が心地よい作品でした。シュワルツェネッガー主演の某SF映画と類似点が多くありますので、比較してみるのも面白そうです。[DVD(吹替)] 8点(2012-07-14 09:08:26) 1026. ストーン 《ネタバレ》 「人生に首根っこ押さえられたか」ジャックに放たれたストーンの言葉が胸を抉ります。チンピラに見透かされる屈辱。でもジャックにはどうする事も出来ません。図星だから。自分でも薄々分かっていた事だから。自分の中に生きるための“基準”が無いこと。そんな空虚な人間が、偉そうに罪人に指導する滑稽さ。気付いてしまったら、もう元には戻れません。彼は絶望したに違い有りません。終着点が見えてきた残りの人生、このまま逃げ遂せたかもしれないのに。ところが最終18番ホールにきて、アドレスにさえ入れぬ大醜態。そんな時、彼の耳に聞こえてきた神の音叉は、ハエの羽音。ジャックはこれから自身の“基準”を手に入れるつもりでしょうか。これは痛い物語でした。ジャックが陥った“熟年男性の危機”は、他人事とは思えぬリアリティを持って自分の心を捉えました。仕事と家庭。積重ねてきた“真実”の価値に自信が持てるかどうか。そういう意味では、紛い物だろうとペテンだろうと、基準を手に入れたストーンは間違いなく強い。羨ましいとは思いませんが。実際に人生の土壇場で躓くとしたら、きっとこんな“小石”なのだろうと思います。今のうちから、足腰をしなやかに鍛えておかねば。くわばらくわばら。宗教色が強いため、自分にとっては少々敷居が高い作品ではありましたが、本筋は実にオーソドックスなヒューマンドラマであったと思います。ミラが予想外に上手くてビックリ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-07-10 20:14:16)(良:1票) 1027. アリス・クリードの失踪 《ネタバレ》 物語開始約5分間、台詞無し。上映時間101分のうち、登場人物はたった3人のみ。このコダワリは凄いと思いました。印象に残ります。明らかに不自然ですから。この違和感は、所謂“つり橋効果”と同様に、緊張感にすり替わるという効用をもたらした反面、リアリティを削ぐという反作用もあったように思います。一長一短といったところ。作品のキャッチコピーは「嘘が散らばっている」。内田けんじの映画のようなテクニカルな脚本を期待しましたが、主に人間関係における嘘と裏切りを焦点としたヒューマンドラマの様相に。悪くはありませんが、クライムサスペンスとしては、やや物足りないと感じてしまいます。[DVD(字幕)] 6点(2012-07-07 21:51:27)(良:1票) 1028. ももドラ m o m o + d r a 《ネタバレ》 これから書く事は映画の感想というより、ももクロファン(モノノフ)の独り言です。映画として観るべき部分はとくに見当たらない作品ですので、ファン以外の方はスルーで問題ありません。採点は、正常な判断がムリなので、放棄という意味の5点です。以下ちょっと長めの独り言…。ももクロ5人がそれぞれ主演を努めたエピソードのうち、有安主演の『コトダマ』だけが異色でした。恋愛青春ドラマ祭りの中で際立つホラーテイスト。それがそのまま、ももクロにおける有安のポジションを表しているようで興味深い。無邪気にじゃれ合う4人に対し、ちょっとだけ距離のある有安。いつもマイペース。そして誰より努力家。彼女の担当カラーは緑。“集団ヒーローモノ”における緑といえば、ご承知の通り脇キャラです。ゴレンジャーならミドレンジャー、ガッチャマンならみみずくの竜、プリキュア5なら(キリが無いので以下略)。『もっと事務所に推され隊』なる楽曲も存在するくらい、彼女は5人の中でもサブキャラクターとして認定されています。一般的には。ところが、歌唱力とダンスの実力は彼女がダントツなのです。歌手ももいろクローバーZの品質は、有安が維持していると言っても過言ではありません。そんな彼女は本作でただ一人“女優”でありました。上手いかどうかば別にしても、彼女の叫びは心に“刺さり”ました。これは表現者として一番大切なスキル。目立たぬ緑に秘められた可能性は、もしかしたらメンバーの誰よりも大きいのかもしれません。ちなみに自分は赤イチ推しの箱推しです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-07-04 19:42:42)(良:1票) 1029. ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》 飲酒系記憶喪失型謎解きミステリー的バカコメディ。今回は舞台をバンコクに移し、いつものトリオが例の如く“やらかして”くれます。前作が気に入った方なら、手堅く楽しめる定番スタイルの続編でした。個人的にはスチュのお相手が前作で既に結婚した(?笑?)彼女じゃなくて、ちょっとショックでしたが。他作品の感想でも繰り返し主張してきたところですが、コメディで重要なのは笑えるかどうか。これが全て。そういう意味では、少々行き過ぎた表現が散見されました。観客に引かれたらアウト。例えば指切断。本来はシャレでは済まない大惨事です。ところが、当人が後悔していないこと、真相写真のバカ加減で、腑に落ちてしまうのが素晴らしい。絶妙な匙加減でした。次は残された独身男、アランの番でしょうか。スチュに離婚をさせて、もう一回ってパターンもアリだと思います。次回も期待してますよ。[DVD(字幕)] 6点(2012-07-01 21:04:37)(良:2票) 1030. ファイナル・デッドブリッジ 《ネタバレ》 シリーズ完結の体裁ですので(とは言いつつ続編がありそうな気もしますが苦笑)、シリーズ全体を含めた感想を述べたいと思います。基本コンセプトは“死に様博覧会”。悲壮感やリアリティを排除し、エンターテイメントに特化しています。痛いの、グロいの、仕掛けのアイデアに感心するもの等様々。悪趣味な趣向ではありますが、あくまで“不可抗力な事故”であるため、不快指数は低めに抑えられているのが特徴です。2作目に続き、本作では生還要件が示されていますが、真剣に捉えていたのは一人のみ。登場人物からは、「どうしても助かりたい!」という必死さが伝わってきません。それもそのはず。人は未確定なものに対して鈍感になれる生き物だから。寿命を縮めると分かっていても、飲酒やタバコを止められないのと同じ。姿を見せぬ死神の余命宣告は、医者のそれより効果が薄いのか。なかなか興味深いと思います。1作目に繋がるエンディングは確かに技ありだとは思いますが、無理矢理全員殺さなくてもいいんじゃないかと思いました。戦争モノ以外で、これほど命を軽く扱った映画も珍しいかと。[DVD(字幕)] 6点(2012-06-28 19:29:43)(良:3票) 1031. ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 (以下は私個人の解釈です。誤読ご容赦ください。)結末に戸惑いました。何が起きた?どういうこと?キスシーンで終幕ならば、すんなりと腑に落ちたのに。このような感想を持つのは、監督の仕掛けたミスリードにガッチリ嵌っている証拠。“これはタイムマシーンではない。過去は変えられない。”博士の説明には説得力がありました。米軍開発のプログラム。複雑な機械の数々。小難しい理論。オカルトよりサイエンスの方が受け入れ易い。“死者の記憶って何処に存在するの?”という至極当たり前の疑問が『権威』や『固定観念』の前に掻き消されてしまいます(これが水晶玉を持った老婆の説明だったら、観客は頷けたでしょうか)。そんな中、真実に気付いた者が一人だけいました。それが主人公。いや、正確には半信半疑といったところでしょうか。漠然とした違和感。それでも彼は目の前の大切な人を助けたかった。人生の残りが8分だから諦める?なら、いずれ死ぬ人の一生なんて最初から意味がない。彼精一杯の足掻きが、誰かの意思に従っていては辿り着けない真実を手繰り寄せます。爆破の起きなかった8分経過後の未来は、パラレルワールドではありません。現実世界における過去の上書き。生命維持を切るスイッチは、変更データのセーブボタンでした。死者の記憶干渉プログラムは、紛れもないタイムマシーンだったのです。それが証拠に、主人公は過去に飛ぶ最中、印象的なモニュメント(このフォルムにもメッセージが込められている!)を何度も目にしています。列車が無事到着した場合、2人が訪れるはずだった場所。主人公は能動的に、IFの未来をREALに変えたのです。素晴らしい感動がありました。さて此処で問題。スティーブンス大尉の魂は一体どうなるのでしょうか。ショーン教師の体を何時までも借りてはいられないでしょう。借り物は、持ち主に返さなくてはいけない。そう遠くない未来、彼女との別れが待っているはずです。モニュメントの前で「しばらくここに」。主人公の思いが切なく胸を締め付けます。本作はSFである以上に、人生賛歌の物語。チャレンジが道を切り開きます。「きっと上手くいく」憂鬱な月曜日をハッピーな1日に変えるのも、自分次第です。[DVD(字幕)] 9点(2012-06-25 19:59:08)(良:3票) 1032. ゴメンナサイ 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください)読んだら死に至る恐怖の文章。呪術的なアプローチではなく、心理学的な説明を試みている部分には好感がもてました。感受性の豊かな子供には効くが、大人には効果が薄い。なるほど、なるほど。ところが後半は単なる呪いに変化。霊が殺しにやってくる。助かりたかったら他人を生贄にするしかないって、まんま『リング』じゃないですか。本作そのものが“呪いの映画”というオチは悪くないと思いますが、個人的にはオカルト方向へ逃げずに頑張って欲しいと思いました。主演はアイドルグループ『Buono!』の3人。TVバラエティで目にする“ももち”さんしか名前を知りませんが、彼女は嫌われ役を好演していたと思います。いや、別に演技は上手くないのかな。タレントとしてのキャラクターを、そのまま活かしていただけかもしれません。[DVD(邦画)] 5点(2012-06-22 21:23:28) 1033. エイリアン・ビキニの侵略 《ネタバレ》 また“ふざけた邦題を付けたもんだ”と思いきや、英語原題にもBIKINIの文字が。誰も水着になっていないんですが、というツッコミはさて置き感想を。『スピーシーズ・種の起源』からインスパイアされた作品であろうことは疑う余地が無さそうですが、DVD特典の監督インタビューからは“完全オリジナル”とのスタンスが読み取れました。流石『リザレクション』を『マトリックス』とは無関係と言い切るお国柄。でもそんな事はどうでもいいです。面白ければ。実際本家のお色気エイリアンよりも、本作のモニカ嬢の方が好みでした。アジアンビューティーな大人の色香にメロメロでした。VS童貞くんというアイデアも素晴らしい。最後にホロリのSFコメディとして十分通用する設定だったと思います。ところが物語が進むにつれて、折角のコメディテイストが崩れてきます。少年誌の青春コメディを読んでいたつもりが、いつの間にやら『天使のはらわた』みたいな展開に。バイオレンスシーンのエゲつなさにドン引きでした。韓国映画はそのアクの強さが魅力と考えます。しかし本作は、それが裏目に出た気がしました。ホント、前半は凄く楽しめたのですが…。[DVD(字幕)] 5点(2012-06-19 19:23:17) 1034. コンテイジョン 《ネタバレ》 リアルシミュレーション型ウィルスパニック映画。その性質上、いわゆる映画的な、劇的な展開は極力抑えた仕上がりとなっているのが特徴です。虚報に振り回され混乱する市民。悪化する治安。抗ウィルス薬が開発されてハッピーエンドではなく、むしろその先が本題でありました。ワクチンをいち早く手に入れるため、実力行使に出る者。情報操作で富を得ようとする者。人間の本性が暴かれます。例えばドクター・チーヴァー。彼は恋人を救うために機密情報を洩らしました。非難されるのは仕方がないこと。でも彼と同じ立場で、彼と同じ行動を取らぬ者がどれほどいるのか。生き延びたい。いや、大切な人を守りたい。その思いは誰も否定できないでしょう。チーヴァーが自らのワクチンを友人の子に譲ったのは、せめてもの罪滅ぼしでした。レオノーラ博士は、自らを拉致した中国人に情が移った様子。一体彼女は何をしたいのか。でも、良くも悪くも人間らしいと感じました。素晴らしい人物造型でした。研究者、市民、ジャーナリスト、各分野に主役級を配した豪華なキャスティングは、全ての人間が“当事者”である事を意味しています。何時起こるとも知れぬパンデミック。それぞれの立場で、各々の人間力を駆使し、人はウィルスの恐怖と立ち向かわざるを得ないのです。[DVD(字幕)] 7点(2012-06-16 18:53:26)(良:3票) 1035. テネイシャスD/運命のピックをさがせ! 《ネタバレ》 やっぱりジャック・ブラックにはロックがよく似合う。『鬼に金棒』(又は子どもに棒きれ)あるいは、『猫にまたたび』(又は吉田類にホッピー)というべきか。JBがギターを持つと、しっくり来ます。カイル・ガスとのコンビネーションは流石だし、おバカ加減もイイ感じ。そして何より音楽が良かった。ミュージカルかと見紛う程、ふんだんに盛り込まれたロックンロールシーンは、どれもレベルが高く楽しめました。自分はリアルバンドの方の“テネイシャスD”の存在を知らずに映画を観ましたが、ノープロブレムでした。悪魔とのロック対決への持って行き方や、オチの付け方も上手いと思います。活き活きとしたJBを観られて満足しました。ただ劇中での大麻の扱い方だけは、どうにも受け入れ難い。カリフォルニア州は米国の中でも大麻に寛容な地区とのこと。現実に大麻は生活に入り込んでいるのかもしれないけど、アングラなものはひっそり扱って欲しいと思います。自分が監督だったら、マリファナの代わりに“緩衝材のエアクッション”を使うかな。あれでも結構トリップできますよ。勿論、悪魔の角は「無限ぷちぷち」で。[映画館(字幕)] 6点(2012-06-13 19:39:19) 1036. リセット(2010) 《ネタバレ》 単なる破滅脚本の映画でない事は、物語のディテールをみれば分かります。緊張感が途切れぬ展開は一級サスペンスの証。それでもあのラストには愕然としました。最後に残ったジェームズ(黒人少年)とブリアナ(白人少女)がリセット後の世界のアダムとイブ?そんなバカな。自分の持ちうる教養で本作を読み解くことは不可能でした。そんなとき、頼りになるのが本サイトです。ワラをも縋る思いで先にご投稿されておりますレビュワー様の感想を拝読いたしましたが、中でも【海之松】様の慧眼には感服いたしました。ヒントも的確で素晴らしいです。もう一度見直してみたくなりました。[DVD(字幕)] 7点(2012-06-10 19:31:49) 1037. センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演) こういう映画を評価するのは大変難しい。「子供騙し」なのは間違いないのですが、傑作や名作だって「大人騙し」には違いない。ですから上手く子供を騙してくれるなら、それは子供にとって良い映画だと考えます。対象年齢はおそらく小学校低学年。多分イケる気がする。自分は大人なので採点は大人視点であることをお許しください。重苦しい作品を観た後の気分をリセットするには最適です。劇場3D鑑賞ならもう1~2点加算していると思います。[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-06-07 20:07:50) 1038. 抜け忍〈OV〉 千葉誠治監督といえば、忍者映画。自分は『女忍・KUNOICH』『AVN・エイリアンVSニンジャ』を鑑賞済みですが、良くも悪くも印象はほとんど変わりません。脇役の顔ぶれもほぼ同じです。ですから、主演女優の出来の良し悪し(というより好みかどうかかな?)が、重要になってきます。本作の主演は肘井美佳。ご覧の通り美人女優です。可愛い顔をしてそつなくアクションをこなしていますし、千葉監督も気に入ったのか、くノ一役で重用している様子。メジャー系では『ハッピーフライト』で端役ながらも印象に残る演技をしていました。基本的に器用な女優さんなのでしょう。ユーティリティ女優として、これからも期待できそうです。本作については、もう少しアクションシーンが欲しかったと思いますが、美人には弱いので甘めの採点ということで。[DVD(邦画)] 6点(2012-06-04 19:49:44) 1039. ケータイ刑事 THE MOVIE 3 モーニング娘。救出大作戦! パンドラの箱の秘密 ちょっと観ない間に、ケータイ刑事も9代目まで来ましたか。自分は劇場版しか観ていないのですが、前2作と比較すると随分とパワーダウンした印象を受けました。一応シリーズのお約束は踏襲しているものの、ギャグは大人しいですし、ノリもイマイチ。製作者が楽しんで作っていないのかなと思いました。よほど主演女優のファンでない限り、観る必要は無いと思います。ところでパンドラの箱の秘密って何だったのでしょうか?[DVD(邦画)] 3点(2012-05-31 19:56:10) 1040. ラースと、その彼女 《ネタバレ》 心を病んだ一人の男が、周りの人々のサポートを受け、徐々に回復していくまでを丁寧に描いたヒューマンドラマ。ラースの心の闇の正体。それは母親を亡くした事に対する自責の念でした。出産に対する恐怖。兄嫁の妊娠に、ラースの心は耐えられなかった。そこで彼が求めたのが、決して死ぬ事の無いラブドールでした。絶対的な“安心”がそこに在りました。ところが、周りの人々の優しさが、彼を気遣う思い遣りが、人形に命を吹き込んでいきます。ラースにとっては、ある意味想定外の出来事だったでしょう。洋服屋のショウウィンドウで働き、ボランティアに勤しむラブドール。操り人形は、いつしか彼の手を離れていきました。もはや人格を持った一人の女性。そんなビアンカの死は、彼女が人として生きてきた事の証です。そしてラースが人間の摂理を受け入れた事実を意味していました。彼女はラースの心を癒す使命を全うしたのです。寂しいけれど、希望に満ちたラストでありました。ラース役のライアン・ゴズリングはもとより、端役に至るまで上手い役者を揃えている本作ですが、MVPにはやはりビアンカちゃんを推したい。その画的なインパクトは絶大で、前半は彼女が映るたびに笑ってしまいました。ところが、物語が進むにつれて、本物のレディに見えてきたのが不思議。湖の辺で佇む2人。彼女の瞳から、その口元から、感情を読み取りました。それは観客(私自身)の想いが創り出した“彼女の心”だった気がします。ビアンカは人の心を映し出す“鏡”でした。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-28 19:23:58)(良:2票)
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