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1101. 呪怨 白い老女 《ネタバレ》 驚きに感情が付帯するメカニズムを考えた場合、「笑い」と「恐怖」は実は近い関係にあることが分かります。ご指摘のレビュワー様もおられるように、物語の体裁はギャグ・コメディと酷似しています。例えば老女が手にするアイテムが“包丁”“蝋燭”“日本人形”であれば、判り易く「恐怖」サイドに寄りますし、“へちま”“カツ丼”“週刊大衆”ならば「笑い」で問題ないでしょう。匙加減一つで、ホラーにもコメディにも化ける。そういう意味では、“バスケットボール”を選択したセンスは悪く無いと感じました。とりあえず観客は戸惑います。純粋に意図が分からない。いわゆる、不条理です。『呪怨』は、この不条理を恐怖に転化することを基本様式とした作品だったと考えます。第1エピソード、「は~い。今手が放せないの。すぐ行きますから」は、条理が次第に不条理へと変化していくパターン。上手いし、怖い。ただし不条理描写に特化した結果、奥行きの無い恐怖しか生まなくなったのが『呪怨』の弱点でもありました。本作では“白い老女”の役割についてあまり考慮されていないのが難点です。単なる驚かし要員に見えてしまう。本当は違うのに。老女は孫を気に掛けていました。一度ロリコン男から少女を救っています。その思いをちゃんと観客に届けられれば、老女の登場場面に付加価値が出ます。痴呆による徘徊と見紛うのは、あまりに不憫な話。バスケットボールにしても、ロリコン男の所有物、切断した頭部のメタファー以外に、もう一つ観客の心動かす意味づけが欲しいところ。ワンランク上のホラー目指すなら、物語で観客を魅了する必要があると考えます。[DVD(邦画)] 6点(2011-11-27 19:25:02)(良:3票) 1102. ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON 《ネタバレ》 三谷幸喜といえば、やはり脚本。ストーリーの面白さを期待したワケですが、少々あてが外れました。幽霊のハーモニカ答弁、シナモンの使い方、心温まるラスト。良いシーンは随所にあります。でも一本の物語としてみると、間延びしているような。お話の密度が薄いのです。ただし、つまらなかったワケではありません。豪華俳優陣の見事な演技は堪能できました。喜劇俳優、西田の面白さは鉄板。深津のハツラツさは高感度抜群。中井は文句なく上手かった。端役に至るまで有名俳優をそろえ、お得感は満点です。劇場スクリーンを前にした2時間半、楽しい時間を過ごせました。どんな手法、かたちであれ、楽しめればそれでOK。自分的にはアリです。ただし、新作映画とはいえ本作を「三谷幸喜最高傑作」と呼ぶのはちょっと寂しい気がします。次回作は本物の傑作を、脚本家三谷幸喜の本領発揮を期待します。[映画館(邦画)] 6点(2011-11-24 21:51:49) 1103. スマグラー おまえの未来を運べ 《ネタバレ》 シネコンにて。2時間待って『ミッション:8ミニッツ』か、すぐに観られる本作かで迷いました。決め手となったのは、『闇金ウシジマくん』と同じ原作者であると知ったから。本原作は未読ですが真鍋氏の描く裏社会なら面白いだろうなと。事実面白かったのですが、予想とは少し違いました。『ウシジマくん』が物語のリアリティで勝負する作品なら、本作はバイオレンス描写の迫力がウリ。刺激的な暴力シーンの数々に面食らいました。『カイジ』と同じようなノリで、予備知識なく劇場へ足を運んだ方はお気の毒です。特に主人公を拷問する場面。直接的な暴力描写は回避しているものの、拷問の手法が具体的なので想像だけで十分にキツい。思わず目を背けました。地上波ゴールデン枠での放送はまず無理でしょう。破天荒な設定と展開、ハードでリアルな描写に終始惹きつけられましたが、ラストが頂けません。今までの妻夫木の熱演が茶番になってしまう適当さ。せめて足くらい引きずらなくては。後味の良さを考慮したものと思われますが、いらぬ気遣いです。妻夫木、永瀬、安藤、満島ら優秀な俳優を数多く集めた本作。真に迫る演技を皆披露してくれましたが、一番印象に残ったのはやはり高島兄。もうノリノリで“イっちゃて”くれました。役者として一皮も二皮も剥けたというか、剥け過ぎて骨まで見えてる大怪我というか、とにかく凄かったです。見直したよ、ブラザー。芸能界の良心「高嶋ファミリー」的に大丈夫なのか、ちょっと心配ですが。[映画館(邦画)] 7点(2011-11-21 18:23:07) 1104. アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事! 《ネタバレ》 ド派手なカーチェイスとポリス映画お馴染みの“イカした台詞(言い回し)”で、まずツカミはOK。“主役”刑事の見事な死に様に大爆笑し、これは自分好みのコメディだと確信しました。(ちなみに、イケてる刑事の最期は個人的に大変ツボでして、コメディタッチの刑事ドラマの最終回は、すべからくこれを採用して欲しいとさえ思いました。宙に舞うタカとユウジ。最高じゃん…)バカ過ぎる展開としょーもない小ネタの数々、これぞアメリカンコメディ。爆発炎上シーンも欠かせません。主役の脇役2人が、最後まで脇役(アザー・ガイズ)であり続けた一貫性も良かったと思いました。ただし、エンドロールには疑問符が付きます。意図は理解できるものの、ここに来てのインテリ臭は不要です。バカ映画の価値が下がってしまいます。バカはとことんバカであってこそ輝く。このあたりは『みんな~やってるか!』の精神を見習って欲しいと思いました。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-18 18:54:46) 1105. 神様ヘルプ! 《ネタバレ》 今更なのですが、自分はジロリアンです。ラーメンじゃなく俳優の方の。佐藤二朗。アクが強すぎてキャスティングバランスを崩してしまう劇薬俳優ですが、ハマったときの爆発力は他に類を見ません。本作ではプチ爆発といったところですが、これくらいで十分面白い。基本設定はシリアスなので、ジローでコメディテイストを付加するのは戦略としてアリだと思いました。トリックのネタはミステリー映画好きなら、もはやお馴染みと言っていい例のヤツ。1回目の鑑賞よりも2回目の検証の方が面白いかもしれません。ちゃんと整合性が取れていて良かったと思います。タイトルは『神様ヘルプ!』というよりは『学園天国!』かも。[DVD(邦画)] 6点(2011-11-15 18:48:47) 1106. 矢島美容室 THE MOVIE ~夢をつかまネバダ~ 《ネタバレ》 『とんねるずのみなさんのおかげでした』発音楽ユニット『矢島美容室』は、蒸発した父を探しに母娘が米ネバダ州から日本にやって来たという設定。本作はその前日談となる、言わばエピソードゼロです。もっとも、そんな設定など知らなくても鑑賞に何ら問題ありません。自分も最後まで観て、そういえばそんな設定だったと思い出した程度。久しぶりに目にしたとんねるずのコントが懐かしく、ミュージカルが意外なほど真面目に作られていた事に驚きました。完成度は妙に高い。観て損は無いと思いますが、得も無いのはご愛嬌。驚くべきは、世界観に完全マッチしていた黒木メイサと、水谷豊の無駄遣い。[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-11-12 21:42:41)(良:1票) 1107. 七瀬ふたたび 《ネタバレ》 原作小説は昭和50年刊行。NHKドラマ版の主演は多岐川裕美。超能力の概念及び作品世界観は、不惑手前の自分にとっては懐かしいと感じられるものでした。少年少女向け小説の香り。好きです。物語のポイントは、藤子の能力であるタイムトラベル。“やり直し”の是非です。藤子は言います。過去に戻ったとしても、起きた悲劇が無くなる訳じゃない。パラレルワールドが生まれるだけだと。七瀬もその事に同意します。だからこそラスト、困難に立ち向かうために再び北海道の地へ赴くことを決めるのです。でもこの決意に感動はありません。何故なら、今後もあの中の誰かが死ねば、彼女たちは過去へ飛ぶ選択をするはずだからです。きっと何度でも。リセットは禁断の果実。一度口にしたら止められない。七瀬たちは不幸を回避する魔法を手にした代わりに、時空を彷徨う罰を与えられました。彼女たちは“もう何処にも辿り着けない”。虚しさだけが残ります。これは逆説的に言えば、やり直しが効かない人生に対する賛歌でもあると考えます。原作未読ゆえ配役に対する注文は特にありませんが、芦名のテレパスは雰囲気が出ていて良かったと思います。サトエリはちょっと見ない間に随分上手くなりました。もうちゃんと女優さんですね。『キューティーハニー』の頃が懐かしいです。[DVD(邦画)] 6点(2011-11-09 20:53:27)(良:1票) 1108. ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 《ネタバレ》 もはやゼブラクイーンのための映画。ただし仲里依紗では申し訳ないけど物足りないです。もちろんエロかったし、十分頑張っていたとも思いますが、彩度の低い画の中では視覚的に埋もれてしまいます。顔立ち、バディともに、田中直樹の台詞を借りるならもっと“エゲつない”個性が欲しい。例えば小向美奈子あたりはどうか。話題性十分。エロさ十二分。ボンレス度百二十分。どうです?小向ZQ。いや、そういうのが観たいのなら『花と蛇3』を観ればいいのか。自分は観ませんが。嘘ですが。ギャグというよりは悪ふざけが目立った本作。ストップエイズの件は遣り過ぎでした。というより、融合ならばスキンは使わないでしょうに、と真面目に思います。田中の役どころは、1作目の主人公そのもの。でもあまりに扱いが悪すぎて、ちょっと可哀想でした。[CS・衛星(邦画)] 4点(2011-11-06 20:18:46) 1109. 悪魔の棲む家(1979) 《ネタバレ》 雑音で通話を妨害したり、受話器を持つ手に火傷を負わせたりする件は納得出来ます。一応電話線であの家と繋がっているので。でも遠く離れた教会の神父への攻撃や、家に向かう車に対する妨害は、いくらなんでもやり過ぎだと思いました。それがOKだと際限が無くなってしまいます。厄災は家屋敷地内に限定した方が、「家」に問題があることを印象付けられたと思いますし、“家から逃げれば大丈夫”という希望を残すことが重要だったと考えます。敵が強大過ぎると諦めが生まれます。諦めてしまえば、恐怖は消えてしまうのですから。諸悪の根源は地下の隠し井戸にありました。ですから、井戸発見後は時間を置かずに畳み掛けた方が、物語としてスマートだったと思います。先住人の殺人鬼と夫の顔がウリ二つであった事実だけでは、オチとしては弱いです。ディテールは、王道のオカルトホラー。雰囲気は悪くないと思いますが、如何せん物語に核がなく散漫な印象を受けました。[DVD(字幕)] 4点(2011-11-03 21:26:32)(良:1票) 1110. ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 《ネタバレ》 ハメを外し過ぎたラスベガスでのバチェラーパーティー。消えたのは花婿と昨夜の記憶。小さな手掛かりから次の手掛かりを見つけ、次第に明らかになっていく失われた12時間の謎。体裁は完全なミステリーです。それも結構良く出来ています。伏線の張り方は丁寧ですし、トラブルとその解決のテンポが小気味よく、退屈しません。8万ドルを工面するエピソードと花婿の居所の処理がやや雑な気がしましたが、物語の整合性を問題にする映画では無いので気にしなくてOKでしょう。爆笑タイプのコメディではありませんが、ジャブ的な笑いを絶え間なく入れてくる感じです(エレベーターでイチャついてた親父がヅラっぽいとか、どうでもいいよ!)前述の物語の進行のテンポと相まって、実に観易いと感じました。そして何より、キャラクター造形が気に入りました。イケメン風、歯もげ医者、髭デブ。まずルックス面でキャラを際立たせます。コレは意外と重要なポイント。特に洋画では人物の描き分けが弱いと判別に手間取り、物語に集中できません。もちろん人柄もいい。憎めない奴ばかりだから、素直に笑えます。ストリッパーちゃんも良い娘でしたが、個人的にツボだったのは仮名カルロスくん。基本「笑う」「泣く」「凝視する」だけですが、釘付けでした。病院で聞き込みをしている時の顔が超キュート。なお劇中で語られなかった部分は、エンドロールで謎解き。最後の最後まで観客を楽しませてくれます。このフォーマットは使いまわしが効く(いい意味でマンネリが通用すると思う)ので、続編も期待出来そうです。いや~楽しかった![CS・衛星(字幕)] 8点(2011-10-31 19:57:09)(良:1票) 1111. 教祖誕生 《ネタバレ》 原作ビートたけし。出演ビートたけし。強烈な“たけし色”を放つ作品ではあるものの、北野武監督作品とはまた赴きが異なるのが面白いです。準主役というオイシイ役どころの芸人たけしが、小悪党を嬉々として演じています。世間で言うところの“チョイワル”とは違う意味の“ちょっと悪い奴”がたけしは好きなのでしょう。下手を打ち教団を追われ、素寒貧で腐れ縁の偽教祖と出直し。そんな情けなさが、愛おしいのでは。たけしが小悪党だとすれば、岸部は中悪党。でもそれを上回るのが教祖様。この世の中で最強なのは、勘違いした馬鹿ということです。納得。世に数多実在する新興宗教団体の実態のほどは知りませんが、このような教団も存在するのではないかと思わせるリアリティが素敵です。[DVD(邦画)] 7点(2011-10-28 19:50:51)(良:1票) 1112. ラブファイト 《ネタバレ》 稔×亜紀のラブファイト。まず男の気持ちを考えてみます。女性に守ってもらうという有様は、男としては立つ瀬が無い。それも子供の頃からずっと。相当のコンプレックスと推測します。ですから彼には強くなる必要性があった。コンプレックス克服のために。そして彼女と対等に向き合うために。一方女の方はどうでしょう。彼女は稔を助けるために男どもを殴るのが快感だと言いました。重要なのは、稔を助けること?それとも男を殴ること?多分、彼女は区別をしていません。稔を助けること=男を殴ることだから。でもこの関係を壊したい稔の反抗によって、彼女は自分自身の気持ちと向き合う事を余儀なくされました。本作は稔の視点で考えると、大変シンプルです。でも亜紀目線で考えると少しばかりややこしい。彼女はもともと格闘技の素養を持っていました。稔に対する好意と同じくらい、男を殴ることも好きでした。いや、もしかしたら“逆”かもしれない。そんな彼女が自分の好意(行為)を拒否されたのですから、戸惑って当然です。ワケ判らなくなって、スカートまで捲くる始末。今の関係を能動的に変えようとした男と、受身に回った女とでは、意気込みからして違います。2人の恋の戦いは、男の完勝でありました。大木×順子のラブファイトについては、手枷、足枷、余計なお肉が付いた分、すんなり決着が付かないあたりが大人らしい。こちらは女性の方が数枚上手でした。自分と年齢的に近いのは大人カップルですが、若者カップルの方が見ていて面白かったです。迷走具合が青春っぽくて、痛いけど微笑ましい。人物造詣がピュア過ぎる気もしますが、それは自分の心が汚れているからでしょう(あの巨乳ちゃんに陥落しないなんて考えられない!)。なお、本作最大のマイナスポイントは亜紀のパンツを中途半端なモノにしたこと。制服スカートでハイキックをかますのですから、サポーター着用でも不自然ではありません。でもボーリング場でのあのシーン。彼女の戸惑い、切なさ、決意を最大限表現するためには、普通の白パンツじゃなきゃいけなかった。リアリティを度外視しても、です。小娘のパンツ一つでムキになって申し訳ありません。[DVD(邦画)] 7点(2011-10-25 18:29:19) 1113. 死霊のはらわたII 《ネタバレ》 『死霊のはらわた』のセルフリメイクだと思うのですが、続編の『キャプテンスーパーマーケット』と併せた新規2部作と捉えるほうがしっくり来ます。それなりに纏まりのあった前作と比較すると、本作はしっちゃかめっちゃか。ほとんど物語の体裁を成していません。でもその分ディテールは凝りに凝ってます。切り落とした自分の手との戦いとか、チェーンソー装着とか、監督ノリノリです。嬉しそうな顔が見えるよう。[DVD(字幕)] 6点(2011-10-22 19:57:44) 1114. ガール・ネクスト・ドア 《ネタバレ》 ラブストーリーを面白くするのは“障害”です。原因は大きく2つに分類できると考えます。優柔不断や消極的等、キャラクターの性格に起因するもの(内的要因)と、恋敵や遠距離といった2人を取り巻く環境に起因するもの(外的要因)。障害の匙加減ひとつで、恋物語の良し悪しが決まります。本作の場合はどうでしょう。主人公の恋愛経験値は低めながら、困るほどではないレベル。流石アメリカの高校生。キスまでが早いです。それに彼は大学進学決定済み。学業面での足枷はありません。内的要因、外的要因、共にクリア。唯一障害と呼べそうなのが、2人の“ステイタスの違い”。将来有望な学生とポルノ女優とでは、確かに釣り合わないかもしれません。でも恋愛で一番大事なのは2人の気持ち。それに結婚云々って話じゃない。この障害は問題になりません。物語終盤のピンチについても、恋愛とは直接関係ない話(このエピソードで彼も男優デビューすれば、彼女と同じステージに立てたのに!)。つまり本作では、メインとなる恋の障害が存在しないのです。コメディですから“試練”なんて必要ありませんが、程よい“ハードル”は欲しいと思います。「ああ、もどかしい!」とか「ライバルは手強いなあ」とか、ヤキモキするのがラブストーリーの醍醐味でしょう。ちょっと物足りなかったです。以下余談。ちなみに自分も『24』から流れてきたクチ。あえて日本語吹替えで鑑賞したのですが、ダニエルの声がキムバリー・バウアーと同じで嬉しかったです。吹替え声優が定着すると、洋画の楽しみ方が増えます。エリシャの可愛さに+1点。[DVD(吹替)] 6点(2011-10-19 20:28:26)(良:2票) 1115. 案山子男(OV) 《ネタバレ》 さて質問です。本作は、本当にジ・アルバトロス品質の“トホホ映画”という認識で問題ないのでしょうか…? 「不気味な案山子」「トウモロコシ畑」「深刻なイジメ」「役名ジュディの豊満過ぎるエロバディ」「親子不和」「役名ジュディの豊満過ぎるエロバディ」と、数多くのキーワードが浮かんでくる本作。物語を読み解く上での鍵は、「役「トウモロコシ畑」であると考えます。劇中最多の(数えていないが)1069シーン(トウモロコシーン)に登場した玉蜀黍。「とんがりコーン」と「ブラザーコーン」以外のトウモロコシを知らない自分は、まずウィキでトウモロコシを調べてみました。みんな大好き甘味種(スイートコーン)に、ポップコーンに使う爆裂種。家畜用飼料の馬歯種、硬粒種。ワックスのような糯種(何って読むんだ)。子実が軟質澱粉により形成されている(何のこっちゃ)軟粒種。その他ポッドコーンやジャイアントコーン。沢山あります。勉強になりますね。ところが、本作で案山子男が手にする“殺人凶器種”は何処にも載っていないのです!念のため広辞○、現代用語の基礎知○、生活笑百○も調べたのですが、やはり無い!!これはもう遺伝子操作の新品種としか考えられません。おそらく軍事目的に開発されたのでしょう。アメージング!制作年当時であれば最新のテクノロジー。ズバリ本作は、軍事マーケット用の兵器プロモーションビデオであると推測します。なるほどトウモロコシを手にした案山子男が無敵なわけだ。こんなレアなブツを買い付けてくるなんて、アルバトロス恐るべし! ちなみに冒頭の質問の答えは「問題ない」で問題ないです。[DVD(吹替)] 3点(2011-10-16 16:19:40) 1116. シーサイドモーテル 《ネタバレ》 良い演者を揃えているため、それなりに観られる作品に仕上がってはいますが、この脚本は戴けません。全くと言っていいほど仕事をしていません。コメディにそぐわない痛々しい描写や、アクシデント(交通事故)という作話上の“禁じ手”を2回も使うセンスを疑います。雰囲気は悪くありませんが、雰囲気だけではダメです。このような邦画が増えると本当に困ります。[DVD(邦画)] 3点(2011-10-13 19:48:31)(良:1票) 1117. カラフル(2010) 《ネタバレ》 『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』等の演出、監督で高い評価を得てきた原恵一監督。完成されたパッケージを離れて挑んだオリジナル作品『河童のクゥと夏休み』は、“原恵一とは何者か”が垣間見える映画ではありましたが、一作品としての完成度は十分なものではなかったと考えます。そこで本作。原作本はあるそうですが、冒頭に上げたシリーズ作品と比べれば制約は無いに等しい。“原恵一色”がどれほど出せるものか、興味を持って拝見しました。まず気付いたのは、作画部分が改善されたこと。アクの薄いキャラクターデザインという点では変わらないものの、洗練された印象を受けました。また、『クゥ』ではある種の苦味として認知されたリアルな描写(例:血飛沫など)が、本作では物語と遊離することなく表現出来ていたように思います。感心したのは真がひろかをラブホから連れ去る場面。2人が息つくまで、実に20回近くカットを割ります。それは長い。しつこい程に。でも、この長さは主人公が現実から逃げた距離。ちゃんと意味があります。そしてこれが原映画のリズム。“原恵一アニメのかたち”を本作でしっかりと打ち出せたことは、素晴らしいと思います。メインキャストに非声優を起用しながらも、違和感なく仕上げたキャスティングセンスも評価させてください。みんなオカシクて当たり前。いろんな自分が居ていいんだ。自身を肯定することが、生きる力になる。良い映画でした。[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-10-10 21:22:09)(良:2票) 1118. パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 空撮を多用し、ハワイの素晴らしいロケーションを存分に披露してくれます。忘れ物を届けてくれる島民の善良さ、電話一本でポリスが飛んでくる防犯面の素晴らしさ。まるで観光プロモーションビデオ。実際「行ってみたい!」と思えたので、この面では成功していると思われます。人生最良の時、ハネムーン。旅の開放感と幸福感の中、忍び寄る黒い影。コンセプトが明確なので観客もノリ易いです。ただミステリーとして出来はイマイチでした。容疑者の数が少ないオマケに、如何にも怪しげなキャラクター設定。サスペンス慣れした観客にとって、このどんでん返しは想定の範囲内。むしろ主役交代劇の方が面白いと感じました。善悪、敵味方、主役脇役が裏返る爽快さ。指輪のエピソード一つ挟むだけで、一気に観客とカップルの距離が縮まります。人物の背景を描くことの重要性がよく分かる。折角掴んだアドバンテージを安易に放棄して、窮地に陥るサスペンス映画の“あるある”は頂けませんが、きっちりハッピーエンドに纏めたので良しとしましょう。死なない男と肉屋のお姉ちゃん、お幸せに。[DVD(吹替)] 5点(2011-10-07 18:47:17) 1119. 人魚伝説 《ネタバレ》 漁師夫婦の仲睦まじい日常が綴られる穏やかな序盤から一転、夫殺しの濡れ衣を着せられた妻の復讐劇は、クライマックスにかけて怒涛の如く狂気を加速させていきます。ジェットコースター。もう止まらない。止められない。虐殺者数は八つ墓村以上か。女の細腕で、あの武器で、あれほどの大量殺人など不可能です。つまり彼女は、もう“人”ではなかったのだと思います。だから網に巻かれて海に投げ込まれても死ななかったし、窮地に嵐をも呼んだ。我が髪を抹香に見立て、亡き夫に焼香したとき、彼女が人間を辞める準備は整いました。信じていた男に裏切られ、遂に彼女は修羅となります。結末は、不死の人魚への転生とみる事も出来ますし、あるいは事象全てが、主人公が今際の際にみた夢との解釈も可能かと思います。にっかつロマンポルノの流れを汲む濡れ場は一般映画とは一線を画すハードなもの。シチュエーション的には“切なさ”や“痛ましさ”といった感情が呼び起こされる場面でも、彼女の強いキャラクターがそれを打ち消しています。悲惨な物語に向き合い易いとも言えますが、個人的には“切なさ全開の日本人的ドロドロ復讐劇”の方が好み。ATGならではの不思議な味わいの作品でありました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-10-04 17:55:59) 1120. [リミット] 《ネタバレ》 「黒先黒生き」という形式の詰め碁問題があります。これは「指し手は先手(黒番)で、この局面で生き残ってください」というもの。本作もそういう趣向の映画かと思っていました。が、違いました。本作は「黒先白死」。それも主人公は先手番ではなく後手の白番。死ぬ事が前提なのです。通常の対局であれば、負けを自覚した時点で投了するのが潔いのですが、本当に命が懸かっているのなら、そうはいかない。命が取られるその瞬間まで足掻きます。相手がミスするかも知れませんし。しかし残念ながら“持ち時間”も“手筋”も、少な過ぎでした。あの結末で仕方が無い。主人公は頑張った方です。ただ、自分はやっぱり「黒先黒生き」の問題を解いてみたいです。そうじゃなきゃ、虚しい。[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-10-01 19:28:56)(良:1票)
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