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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678
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101.  ロング・エンゲージメント 様々な伏線が張り巡らされており、ユーモラスで、なんともロマンチック。金色の草原の何と美しいこと、戦場のなんと凄惨で惨たらしいこと、更に音楽も映像も美しく、役者の演技も活きている。‥‥‥素晴らしい映画に成り得る要素をそろえているのに、しかし残念、頭の回転の鈍い私は、途中でいくつかのストーリーを見失ってしまった。この物語のすべてを、スクリーンの前で理解できる人がどれくらいいるのだろうか?フランス語がよほど堪能な人ならばともかく、戦場の同じ様な軍服姿に加え発音の難解なフランス語の名前の数々。過去と現在が交錯するため、話の前後もややもすると分からなくなりがちだ。まだ観ていない人は、冒頭から一人一人の登場人物を暗記する心構えで観られることをお勧めしたい。登場人物さえしっかりと理解できれば、ひょっとしたらかなり当たりの作品に成り得たかもしれない。いつかもう一度観て、全ての伏線を完全に理解して、感動したいと思わせる作品だった。5点(2005-03-13 03:49:59)

102.  ピエロの赤い鼻 《ネタバレ》 戦争が来るまでは普通に大人となり、普通に酒を飲み、普通に女を愛する平凡な一生を送っていた男たち。捕われ泥まみれの穴の中、エゴむき出しで罵り合った彼らも、やがて次に生まれ変わるものに思いを巡らす。そんな絶望の状況の中でひとりの兵士が与えた「笑い」という一筋の光は強さとなり、やがて彼らを生還へと導く。希望を持てと言うのは容易いが、希望を産み出すには、それだけの「強さ」が必要だ。映画の冒頭に「笑いは最強の兵器」という言葉が出ていたように、笑いとはその人間の「強さ」そのものであるということを教えられる。笑いとは人間だけが持っている行為だが、戦争という人間らしさを拒否される状況の中で、この人間らしさの象徴である行為を忘れないからこそ希望が生まれる。銃を下ろし、赤鼻をつけて上官に逆らったあの兵士は、銃以上に強さを持った人間らしい男であった。激しい戦争シーンも飛び散る血飛沫もないが、それ以上に人の強さ、戦争の哀しさ、笑う行為の尊さを、一市民や一平氏という一個人の立場から美しく人間臭く描いた秀作であると思う。9点(2005-02-14 17:04:43)(良:1票)

103.  シュレック2 《ネタバレ》 1を観た時は「結局人は見かけの美しさじゃないってこと??」と変に押し付けがましい不自然なハッピーエンドが釈然としなかった。2は真夜中の眠たい時間に観たのだが、1よりも断然良いと思う。たかが子供向きのでアニメあるかと思っていたが筋書きもシッカリしていて、見る側を笑わせるだけのパロディや仕掛けが詰め込み過ぎと思うくらいに随所にある。バー「毒リンゴ」や、都のシンデレラ邸など幼い頃に読んだ様々なお伽噺の登場人物達の「ありえない」大集合が凝って作られており実に面白い。クライマックスの盛り上がりもワクワクするし、観ていて安心して楽しめた。しかしアメリカと日本のアニメの美意識の違いなのか、ヒゲが濃くやたらアゴの角張ったアメコミ調のチャーミング王子や変身中のシュレックは、申し訳ないがどうしてもハンサムに見えない。どうせなら最後は王様も王女様のキスで人間に戻ってハッピーエンドにしてほしかった。7点(2005-02-12 13:35:27)

104.  真珠の耳飾りの少女 「心まで描くの?」絵を描いていく過程で、フェルメールとグリートが互いに持っている官能的な想像が、開いた唇からクライマックスの真珠の耳飾りに至るまで極めて的確に描かれている。エロスの表現を近頃流行りの安っぽいセックスシーンではなく、その「匂い」で、直接描くよりもよほど官能的に感じさせてゆくのが凄い。フェルメールがグリートに抱いていたのは単なる肉欲ではなく、それに限りなく近い「画家としての清純な美しさの探求」であった。「汚らわしい」「なぜ、私じゃないの」という妻の絶叫。彼女にとっては、夫に他の女と肉体的な関係を持たれるよりも、遥かに屈辱的な思いだったに違いない。画家としての夫に一番評価されるべき部分の矛先が、自分ではなく雇い人に向いたのは、自分の女性としての、妻としての存在意義を踏みにじられたものと同じだからだ。モデルになるという体験を通して、かつて純朴で清純なだけの少女であったグリートは、ひとりの強い大人の女性として物語を終える。キャンバスに描かれた彼女の姿は、少女から大人の女性へと変化を遂げた、儚い一瞬の姿だ。物語の最後、屋敷を後にした彼女は、もうあの作品の中の「真珠の耳飾りの少女」ではなくなっている。また映像も構図も大変美しい。当時の画家達を虜にし狂わせたラピスラズリの青を中心に、シーンの一つひとつが本物の油彩のようだ。多くの謎の残る画家と、今も人々を惹き付けてやまぬ一枚の絵。そしてその絵の裏に描かれ、絵を観た誰もが感じるであろうミステリアスな官能美。これに見事に描き、この絵を知る観る側の期待に応えきった作品だ。6点(2005-02-07 01:36:09)(良:3票)

105.  アレキサンダー 破竹の快進撃で大王になる過程ではなく、むしろ大王の破滅に重きをおいて描かれているのが大変印象的だった。孤独と寂しさに苦しみながら、ついに死ぬまで母親の手から逃れることができなかった世界の覇王。主役の顔はどうみたって英雄顔じゃないと思っていたが、眉が下がり気味のコリン・ファレルの表情で彼の弱々しい苦しみがよく表現できていたと思う。若干20歳で王となり、30にして数十万の大軍と共に世界の果てへ挑戦した偉大な夢想家の心境はいかばかりであったろうか。自分に納得のいく安住の地を目指し、気の遠くなるような年月と距離で未知の世界を行く遠征。不幸にも王に産まれついた男、逃れようにも自分の居場所は王座の他にあるはずもなく、一生強者を演じ続けねばならない。その唯一の居場所が脅かされると思えば、些細なことまで脅えなければならない生活、「故郷に帰ろう」傷を負い部下にそう言った彼だが、彼自身の故郷などどこにもなかったのだろう。歴史は一見、男による支配が大きいように思える。しかし、アレキサンダーの母オリンピアスのように、その男を産み出すのは女なのだ。歴史を支配しているのは常に子を産む力を持った女であり、その影響力には男は決して逆らいようがない。オリンピアスを演じたアンジェリーナの妖しい演技は評判ほど悪いとは思えなかった。あの切れ長のグレーの瞳、まだ若年の女優でありながら、狂気の母の貫禄をよく演じきっていたと思う。7点(2005-02-07 01:32:53)(良:1票)

106.  オペラ座の怪人(2004) この映画はミュージカル映画ではない。「オペラ映画」と呼ぶべきだ。サウンド・オブ・ミュージックに代表されるミュージカルの名作の数々は、台詞が筋書き(ストーリー)を辿り、次第に高まった登場人物の心象が、イメージの世界で歌として表現されて観る側の感動を呼ぶ。登場する人々の「心象」を歌で表現できるのがミュージカルの利点だが、この映画は心象だけでなく台詞まで歌にしてしまっているため、イメージの世界(心象)と現実の世界(台詞)のメリハリが全く効いていない。そのためだろうか、悲劇の天才であるファントムにも、哀しい才能の持ち主であるヒロインにも、今一歩感情移入できず感動も出来なかった。「映画の方がミュージカルよりもより世界観を表現できる」とこのテーマ音楽の作曲者が語っていたが、ミュージカルには台詞にすべき筋書き部分と、歌にすべき心象部分がある。この映画をミュージカル映画とするならば、折角の映像化という利点を活かしきれていない。ミュージカルを映像化することの利点は、歌によって表現される「イメージの世界観」を映像で効果的に表現できることである。映像という表現技法の特性上、この点は確かに舞台よりも優れているだろう。同じく舞台を映画化した「シカゴ」などは、この利点を極めて効果的に使っている。折角一流の俳優陣を揃えながら、オペラのように普通の台詞や筋書きまでも歌で表現してしまったこの映画は俳優の持ち味や演技力も半減させてしまっている。決してこの映画を否定している意味ではないが、映像化された「オペラ座の怪人」は従来のミュージカル映画とは違ったジャンルで評価されるべきであるように思う。(物語の舞台が「オペラ座」だから当たり前かもしれないが‥‥‥)あまりにも有名なテーマは迫力があり、ロック調にアレンジされるなど全編に渡る音楽は素晴らしい。特にヒロインの、まるでアマデウスの「夜の女王」のような歌声。あの高音の美しさは、久しぶりに鳥肌ものだった。5点(2005-01-30 14:01:05)

107.  ネバーランド 《ネタバレ》 観る前はこの映画のテーマを「少年の心をいつまでたっても忘れないことの大切さ」などという月並みなものだと予想していたが、いろんな意味でそんな薄っぺらなものではなかった。子供の頃に誰もが持っていた想像力。「現実じゃない」とただそれだけの理由でやがて誰もが諦め、それが「生きる力」の根源であることを気付かないままに封じ込めてしまう。想像力は創造力、信じることは人が現実の世界で生きて行くエネルギーと成り得るのだ。批評に溺れ演劇が「娯楽」であることを忘れていた社交界の観衆も、知らずにその根源に気付き喝采を送る。「こんなに楽しい舞台は初めてよ。夫が観たらどんなに喜んだか。最後まで少年のような人だったのよ」そう言った老婆の言葉が印象に残った。大人の現実の世界の中で(この映画の中では社交界に象徴されるが)、誰もが「忘れている」のではなく、分かっていながら大人らしくないと「封じ込めている」。それを分かっていながら表に出せず、しかし実は誰もが待ち望んでいる。世間体に左右されること無く、子供たちと関わることでその大切さに気付き、一途に体現したからこそ、ピーター・パンの物語は人々に受け入れられ、そして今でも語り継がれている。この部分は現代の映画を観る我々にも通じるものがあると思う。「大人の鑑賞の仕方」ぶるのではなく、批評家ぶって云々するのではなく、昔のように想像の世界を素直に受け入れ、純粋に楽しむこと。忘れていた本来の映画を観る姿勢をそっと諭された気持ちになった。子役もさることながら、ジョニー・デップの演技は秀逸。なんと表現したらいいのか、不器用ながらも純粋にまっすぐに子供と心を共有する演技が素晴らしいの一言に尽きる。 8点(2005-01-30 12:53:12)(良:4票) 《改行有》

108.  北の零年 《ネタバレ》 最初の船のシーンなど、端々に安っぽさがあるのは否めないが、物語は面白くスケールの大きい良い映画。それだけに、言葉や文化などはリアリズムが欲しかったのが惜しいところ。長く壮大な物語の中で、数々の魅せ場があるのだから、もっとドロくさく激しい演出がされていれば、更に感動できただろうと思う。年齢の部分はともかく、吉永小百合さんの役者っぷりはさすがベテラン。豊川悦司がとてもクールでカッコよかったし(どうせなら馬を逃がして華々しく散って欲しかった)、ラスト・サムライからダメサムライになってしまった渡辺謙こと小松原、どのツラ下げて帰ってきとんじゃ、腹かっさばいてお詫びせんかい!‥‥‥しかし当時の彼らからすれば、全て生きる為にしたことである。歴史の夜明けと共に激動の価値観や環境の中で、逞しく生きるしかなかった人、逃げるしかなかった人、子の為、生きる為に他の男に身を託すしかなかった人。各々の人生が肯定されており、未開の地北海道を舞台に実に大きなスケールで描かれた物語は素直に感情移入できた。薩摩長州を中心にドラマチックなイメージの強い幕末だが、その影には新しい価値観の中で苦しんだ彼らのような人々が沢山いたはずだ。まして環境も異なる北の地での苦労は、想像を絶するものがあっただろうと思う。人の手だけが頼りのあの時代、弱音を遺す事なく大自然との戦いに一生を捧げた人々には敬意を払いたい。6点(2005-01-23 14:30:31)

109.  たそがれ清兵衛 この映画にノーベル賞なんかを掛けて、騒いだ現代の日本人は、この主人公に何を思ったのだろう。質素堅実な暮らし振りか、清く貧しく美しくの精神か、能ある鷹はツメを隠す謙虚さか。まして小さな幸せに生きるなどと思うのは傲慢この上ない。この映画に象徴されているのは、日本人の古い考え方かもしれないが、人の幸せのあり方だと思う。「子供の成長を見るのは、草木の成長を見るのにも似て、なかなか楽しいものです」そう語った清兵衛は貧しくはあったが、彼の生活は最初から最後まで決して不幸で退屈ではない。周囲に哀れに思われようが見下されようが、自分なりの生活、自分なりの幸せを強くしっかりと心に築いている。「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものも こころなりけり」という辞世の句があるが、豊かな生活や感じる幸せの大小には基準などなく、要は本人の心の持ち方次第なんだなということを思った。発展途上の貧しい国の現地人を日本に招き、近代文明の豊かさを見せつけて彼らが驚く様を描いた某TVなんかがある。きっと幸せであろう貧しい国の彼らを、ふと気の毒に思ってしまう自分の偽善が嫌になる。 当時の家屋や貧しい武士の暮らし振りなどの再現が恐ろしく緻密。帰宅した清兵衛が足袋を脱ぐ、その足袋のオンボロ具合など細部に渡ってそのまま博物館行きとなってもいいようなセッティングぶりには感心した。あと、回想として終始語り続けるナレーションは興醒めに思う。6点(2005-01-19 13:13:07)

110.  マイ・ボディガード(2004) 《ネタバレ》 年の離れた二人の男女という設定のみが共通点で、主役のふたりに「危うさ」が無い点で「レオン」とは全く異質の作品だと思う。主人公が撃たれた時の「クリーシー!!」という絶叫、ダコタ・ファニング演じる子役の演技は良かった。なぜ主人公が酒浸りになったのかの説明は無くても、途中誘拐されるまでは話の盛り上がりは共感できたしなかなか良かった。しかし、この映画のテーマと思っていた「少女との交流によって荒んだ心を癒され人間らしさを取り戻す主人公」の過程が、少女が殺された(と思われた)あたりから突然途切れてしまい、あとは単なる殺戮復讐劇になってしまって少々ガッカリしてしまった。さらに結末が「実は生きていた」では本末転倒である。あと、要所にチラチラと揺れるイメージ映像を使い過ぎ、あれでは観ていて目が眩んでくる。話の流れは誰が裏切り者やらグルやらしまいに分からなくなった。あの誘拐は最後になっても良いから、クリーシーの荒んだ心の背景や、少女と心を通わせていく様子をもっと描いて欲しかったと思う。4点(2005-01-04 12:41:33)(良:1票)

111.  ターミナル 《ネタバレ》 物語の冒頭から、主人公が空港の中で自分の生活空間を創りあげて行く様子は大変面白い。カートの回収で金を稼ぎ、生活の糧を得て行くところがユーモラスに描かれており、観ていて楽しかった。しかし、後半に行くにつれて次第に感動も尻窄みとなり、ハートフルな映画ではあったが今一歩期待していたほどの感動は無かった。ヒロインとの結末も入国ビザが取れてそれっきり、心のよりどころが無い彼女には共感出来なくもないが、彼女の主人公に対しての思いも中途半端で煮え切れない。お爺さんが強制送還を覚悟で我が身を呈して飛行機を止めた部分は良かったが、もっと劇的な結末と感動にしてほしかった。4点(2004-12-19 23:58:05)

112.  千と千尋の神隠し 我欲を満たすため思うがままに飲み食い、限りなく増大する欲望を満たすごとにその姿は醜悪となり、自分以外の人間に嫉妬し巻き込もうとする。「カオナシ」は心の拠り所を失った(文字どおり「顔」がない)人間自身の暗い部分の姿のように感じた。大人はそんな伏線を思い、子供はまた美しい絵と幻想的な世界にどっぷりハマり、広くも深くも楽しめる。両親が豚に化けてしまうシーンは純粋な子供には本当にショッキングな場面のようで、泣き出してしまった子供もいたそうだ。日本固有のヤオヨロズの神々が訪れる銭湯という設定や、そこで働かされるという物語も斬新で凝っていて、分かりやすくも大変内容の濃い作品だったと思う。湯婆婆は当初完全なゴウツクバリの悪人かと思ったが、開放するという約束はキッチリ守り、良い仕事はそれなりに評価する点で、最後にはプロの「商売人」に見えてしまって可笑しかった。やはり宮崎氏の作品にはムスカを除いて完全な悪人は存在しない。「ハウル」をこの作品と比較してしまうと、個人的にはどうしてもこの作品に比べて薄っぺらなものに見えて仕方がない。7点(2004-12-16 13:13:49)

113.  トリプルX 《ネタバレ》 タバコは身体に悪いから吸わない、酒もホドホド、頭も良く反権力思想をもった、やたら健康的な不良(笑)‥‥‥主人公が(例えば「血と骨」の主人公金俊平のような)完全な非常識人ならともかく、殺人を嫌うような、正義のスジのビシッと一本通った「番長」なのが、この映画の万人受けする理由だろう。「悪」ではなく「ワル」なのだ。望遠鏡の透視モードで多くの人々が死ぬのを見た時、「なんてことを!」と呻くような憎めない男が主人公。「ワル」の主人公が本物の「悪」相手に大暴れ、ストーリーはそれほど珍しいともおもわないが、そんなヒーローらしからぬヒーローだからこそ、この映画の痛快さは増す。安心して見れる娯楽作である。5点(2004-12-03 13:10:07)

114.  座頭市(2003) 《ネタバレ》 勝新太郎とはまた違った、勧善懲悪だが冷徹非情な座頭市。北野氏監督または出演の作品には、物語の運びに奇妙な「間」がある。起承転結を過剰に演出せず、クライマックスになっても大袈裟なBGMなども使わず、俳優も台詞の言葉も、あっけないほど自然に淡々と筋書きが進んでゆく不思議な「間」だ。この座頭市も、何の為に登場したか判らなかったり、居なくても大して物語に影響が無かったような登場人物が存在する。この北野映画独特の「間」もやはり、表に出ずじまいで自害した武士の妻やサムライごっこの男のような登場人物があればこそなのだと思う。この「間」が個人的には大変好きだ。金髪も変に時代劇口調でない台詞も、話題になった下駄タップも、この映画の北野ワールドに自然に溶け込んでいて違和感がない。観る手の裏をかく悪役の正体、アッとおどろくドンデン返しなど、とても良いエンターテインメントに仕上がっていると思う。個人的には、最後の悪党の頭目達との対決の暗さ、凄みは、あの華やかな下駄タップをBGMに、シーンを交互に進めると良かったなどと思ったが、そんな「過剰演出」は、きっと北野監督の作品には必要ないのだろう。7点(2004-11-29 00:38:08)(良:1票)

115.  スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 《ネタバレ》 友を助けに行ったら脱走した当人に助けられ、ロケット見つけたと思ったらいきなり発射直前、爆発直前にすぐ近くに脱出艇、あまりに都合のいい単純な展開の数々、スターウォーズや宮崎映画を彷佛とさせる場面も多く、凝った物語は勿論無い映画。だが大変斬新な映像に、それらの薄ささえ計算されて作られたのではと思ってしまう。単純な内容だからこそ、このレトロチックな映像も活きているのだろう。まるで昔の夕方5時くらいからあってた特撮ヒーロー戦隊番組みたいに、観ているうちになんだか懐かしい気持ちになってくる。特撮ものに縁が深い日本人は、特に親近感を覚えるのではないだろうか。鉄人28号が実写でハリウッド映画化するそうだが、ぜひこんなフォーカス映像で作ってほしい。写真の知識が無いのだが、このテの画像の名称を、どなたかご存じないだろうか?この映画は、内容が薄いからこそ斬新でいい。だが、2番せんじのパクリ作品は作られて欲しくない。これきりにしてほしい。6点(2004-11-28 02:55:38)

116.  ビッグ・フィッシュ 最初は主人公同様、父親の過去の真実が知りたいと思ったが、最期にはどうでもよくなった。父の人生の何が嘘で、何が本当かを知る、それが父親を理解することだと信じた主人公が、最期に知ったもの。どれが嘘で、どれが本当かなんてどうでもいい。ただそこに父親が在り、その人生に多くの人々が交わり、そして共に幸せを分かち合った。精一杯に自分と人々の幸せを祈って生き、人々に惜しまれて去った充実した人生があっただけ、それこそが全てで、それで十分なのだ。人生というものの、なんと面白いことか、それを息子に伝えたい一心で、父親は誇張した思い出を語ったんだろう。自分そのまま、幸せで豊かな人生を息子に生きてほしい、心から純粋に、そう願ったに違いない。そうして創りあげた幻想的な思い出の数々も父親にとっては立派な自分の人生の一部。たとえ奇人と呼ばれたって、人の幸せを祈り、人に愛される一生は、素晴らしい。出来ることなら、こんな素敵な最期で一生を終われたなら。嫌味もなく、純粋にそう思える映画だった。8点(2004-11-09 00:24:01)(良:1票)

117.  デイ・アフター・トゥモロー 今まで観たパニック映画の中では一番規模が大きく、そして災害映画の中では一番リアルだった。フィクションであるとは言え実際に起こりうる可能性はゼロではなく、今この時も着々と進んでいる温暖化の事を考えるとゾッとする。筋書きは確かに都合の良いところは多いが、CGもそれほど気にならなかった。しかし人間は、きっと実際にこのように自分の身に降り掛かってこないと、何事も判らない生物なのだろうか。いくら言葉で環境問題を説いても所詮は他人事。ある環境研究家の話によると、地球環境の悪化というのは段階的にジワジワとくるものではなく、ある一点の悪化限度を超えると雪崩のようにドッと破綻し押し寄せてくるものだという。いつか人類にも、そんな破綻の恐怖を味わう日が来るのだろうか‥‥‥。5点(2004-11-09 00:20:31)

118.  血と骨 凶暴、強欲、そして精力絶倫、究極の「雄」を描いた映画。自分の気の趣くままに雌を力づくで自分のものとし、純粋に己の為だけに生きるその完璧なまでの傲慢さの前では、「人間として正しいか」などという薄っぺらな道徳観など有無を言わせず吹き飛んでしまう。そういった実在の男の存在感、恐怖がリアルに伝わってきた。この男が過去にどのような経緯でこんな人間になったか(きっと生まれながらにしてそうなのだ)、そして年を取ったその果てに惨めな目に遭って後悔したかなど、そんな些末な筋書きなど観ていて思い浮かばない。徹底した強さは孤独の寂しさなど凌駕し、金俊平は死ぬ時まで惨めな思いなど持たず、後悔など微塵も感じなかっただろう。彼はあれほどの傲慢不遜を極めながら、物語の中ではその生き方を肯定されている絶対的な存在であり決して「悪役」ではない。誰もがドロ臭く必死に生きていたかの時代、彼の生き方は現代の人間が失いつつある圧倒的な野性的な生命力に満ちており、動物としての視点で見れば誰よりも人間らしいのかもしれない。そんな主人公に共感できるかどうかはともかく、この映画は誰もが道徳観をたやすく無視した視点で観てしまうのではないか。倫理や道徳などという文明的なものよりももっと底深いところにある、彼の持つ人間として、動物としての根本的な生命力に惹かれてしまうのだろう。奇妙な棒読み口調と無表情さで、ぞっとする様な無気味さを感じさせる北野武の演技は圧巻。オダギリジョーを始め、脇を固める役者達の演技もド迫力である。なんとも重厚で、見応えのある映画だった。7点(2004-11-09 00:08:20)

119.  トリコロールに燃えて 《ネタバレ》 最初はヒロインがわがままな両刀使いの尻軽女、主人公が思い切りがないだけのヒモにしか見えず、さっぱり共感できなかった。人間の道徳的な視点からは、本当の孤独を感じるまでの彼女の生き方はお世辞にも褒められたものではなかっただろう。しかし最後の手紙に記してあったように、「今という現実のみをシビアに見つめ自分だけの損得を考え、自分にとって最良の道を選んで生きる」という考え方から見ると、当初の彼女の生き方も理解出来なくもない。しかし自分と今の為だけに生きるというのは、余りにも刹那的で悲しい生き方だ。二人が自分の元を去った時ヒロインが孤独を感じたのは、単に二人を愛していたからだけではなく、二人が彼女と相反する「公的な理想の為に目的を持って生きる」という道を選択したことに理由がある。それに気付き自らの生き方を変えても、あの尻切れとんぼな終わり方が彼女の余りに哀しい運命を象徴している。「失○園」や「イングリッシュ・○イシェント」のような三角関係や浮気系は本能的に受け付けないのだが、奔放な美女からみすぼらしい姿まで、ヒロインの生き方を納得させるシャーリーズ・セロンの演技が光っていた。7点(2004-10-31 03:13:39)

120.  コラテラル 銀髪のトムは格好よく、平凡なタクシー運転手と殺し屋という両極端が共に行動することになるというシナリオも、見る側を期待させるものがある。タクシー運転手マックスは良く設定されたキャラだと思うが、肝心のトム演じるヴィンセントが完全に冷酷非情な殺し屋とも感じられず中途半端で、マックスの対極となる存在になりきれていない。下の「六本木ソルジャー」さんの記しておられるとおり、マックスには妥協の生活から脱する一大転機となる様子を、ヴィンセントには徹底的な冷徹さや心の底に流れる人間への哀しみを、もっともっとダイナミックに、丁寧に、劇的に描いて欲しかったと思う。終わり方はあんなあっけないものでも良い。悪い出来とも思われないが、シナリオが良いだけに不完全燃焼に感じられて残念だった。4点(2004-10-25 00:06:38)

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