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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567
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101.  裸の拍車 《ネタバレ》 マン西部劇の傑作の一つになるのだろうが、やはりラストの展開だけはどうも気に入らない。 今まで積み上げた疑心暗鬼と巧みなドラマは何だったのか。 「死んでいった仲間たちは何のために戦ったんだ!!」と思ってしまった。せめてその大金で立派な墓でも建ててやれや・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2014-03-17 07:40:33)《改行有》

102.  最前線 マンの最高傑作の1つになるであろうリアルな戦争映画。 如何にアンソニー・マンが凄い監督かと言うことは本作と「グレン・ミラー物語」「雷鳴の湾」「流血の谷」を始めとする西部劇群を見れば一目瞭然だろう。 戦場における緊迫が常に空気を支配する。ジェームズ・ステュアートの「伏せる」動きも相変わらず絶好調。 伏せて伏せて伏せまくって勝機を見出すマン西部劇のリズムが、ここでも光る。 後にサミュエル・フラーが「最前線物語」という本作に匹敵あるいわ凌駕するほどの傑作を撮っているが、やはり俺は主人公をこれでもか、これでもかと追い詰めるマンの突き詰めたドラマに軍配を挙げたい。 マンの作品は常にアメリカ社会の“歪み”を登場人物の行動によって描こうとしているようだ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:37:41)《改行有》

103.  雷鳴の湾 《ネタバレ》 アンソニー・マンは西部劇でも傑作が多いが、それ以外でも「グレン・ミラー物語」の音楽伝記、「最前線」の戦争、「国境事件」のようなフィルム・ノワール、そして油田を巡る群像劇的様相を見せる「雷鳴の湾」! 石油を巡って海底まで突き進むジェームズ・ステュアートの頭脳と野心が展開されるこの映画。 石油に並々ならぬ拘りを見せる男の痛々しいまでの神経質さ。邪魔する奴は殴り飛ばして海に落とすは、火を投げ込んで爆発もする始末。情熱を燃やす余り狂気地味たものも感じさせる。 海の海老を守ろうとステュアートと対立する海の男たち。海老は彼らにとって、石油よりも掛け替えの無い宝だ。彼らが実際に獲ってきた海老は現実に存在しているが、ステュワートが石油を掘り当てられるという確証は何処にもない。検討はついているが、彼にとっては巨大なギャンブルでもあるワケだ。 そこに出資者やステュワートの行動に反対するジョーン・ドルーと複数の人間が絡み合う。雷鳴の如く轟音を立てて海底を掘り続けるドリル。石油という“雨”を掘り当てるまで止まらない。 その前に押し寄せる海水や人々の襲撃がステュワートたちに襲い掛かる。 ステュワートの行動に「海老」を引き合いに出して反対していた猟師たちが、その「海老」をステュワートの見せられて行動を止めさせられる皮肉。 その刹那、待望の石油が噴出するシーンには鳥肌がたった。思わず「ばんざーいっ!」と叫びたくなったぜ。 最後の最後まで人々の絡み合いを描ききり、ハッピー・エンドもちょっと強引かなと思ったが、たった102分でよくぞここまでまとめたもんだ。 「怒りの河」といった西部劇で敵として立ちはだかる事が多いダン・デュリエが、今回はステュアートを助ける心強い仲間。マンの他作品を見ているだけに「昨日の敵は今日の友」という感じてちょっと感動。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:36:16)《改行有》

104.  胸に輝く星 マン西部劇で最も心打たれる傑作。 この映画のヘンリー・フォンダは「荒野の決闘」より好きだ。リボルバーを抜く瞬間に撃鉄(ハンマー)を起こす指導。マンの西部劇はいつも凝ったリアリズムが描かれる。 何より本作は保安官と子供たちのやり取りがたまらない。 明かりを消した事務所での緊張が凄い。保安官ものでも「法律なき町」や「ラスト・シューティスト」に並ぶ指折りの西部劇。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 07:33:48)《改行有》

105.  ウンベルトD あの犬はズルい。黒澤明の「生きる」と何となく似ている作品だけど、俺はコッチの方が好きかな。ヴィットリオ・デ・シーカ最高傑作の一つ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:23:27)

106.  禁じられた遊び(1952) 戦争と小さな恋。いや、恋と言うよりは女(の子)に振舞わされる男(の子)の悲劇があるのかも。 「太陽がいっぱい」が苦手と言う方も、この作品はオススメですよ。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:18:08)《改行有》

107.  復讐は俺に任せろ 「L.A.コンフィデンシャル」が赤子に思えるほどの傑作中の傑作。 グレン・フォードが魅せるギャングvs警察のフィルム・ノワール。 「ゴッドファーザー」や「L.A.コンフィデンシャル」に多大な影響を与えたのはホークス、黒澤明、そしてフリッツ・ラング。 前半の丁寧なドラマ展開から一定に保たれた緊張の糸。 その糸が弾け飛ぶ時、主人公の壮絶な復讐劇は最高潮のままクライマックスを迎える。 “自殺”の場面から始まるファースト・シーンの強烈な導入、 最初30分はグレン・フォード演じる刑事が地道な聞き込み調査。 平和な家庭での日常、その裏では凶悪な事件を追う刑事だ。だが、まだ罪人を“徹底的に”潰す狂気は無い。優しすぎる一面を持っている。 用心棒をブチのめす場面も何処か優しすぎる甘さを感じさせる。その甘さが後半の狂気をより引き立てるワケでもあるのだが。 ま、アレですよ。とにかくバーの雰囲気とか、色々素晴らしい。 主人公の家庭に響く無言電話、ジリジリと迫る恐怖、積み木が崩れ去る暗示とかとにかく良い。 突然の死が重なる時、車が吹き飛ばされる時、警察バッヂを捨てる時、直接的な描写はなくとも沸騰したコーヒーを浴びせかけるシーンの恐怖、一生消えない火傷を負っても死ぬに死ねない女、外見は無傷でも爆発の衝撃で・・・男は復讐の鬼と化す! ラスト1時間の緊張感に満ちた展開。 主人公が探る一味も顔を出してくる。 リー・マーヴィンの悪党ぶりも良いが、何と言ってもグロリア・グレアムの存在!! こんな魅力的でエロティックで“女”を見せ付けてくれるファム・ファタールは中々お目にかかれない。別にヌードになるワケじゃない、脱がなくともそのセリフ、しぐさで勃起するくらい最高の悪女だ。 特に終盤の彼女は最高だったぜ。 今回のラングは女に容赦なさすぎる。 案外、少女の連続殺人を描いた「M」よりえげつないかも。 モチロン、我等がグレンも最高潮だ。 バーで一味と主人公が邂逅し“ゾッ”とする瞬間。 尋問される男は気の毒だ。 コンド●ムなんか机の上に置いておくから(関係ねえだろ)・・・。 首を締め上げてでも吐かせてやる! 終盤の銃撃戦までの流れも凄かった。 文句なしの傑作です。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 17:08:37)(良:1票) 《改行有》

108.  愛する時と死する時 戦争に揺れる男女の恋を描いた傑作。 本物のメロドラマとは、ダグラス・サークのような映画の事を言うのです。 「ロミオとジュリエット」に浸っている女性も、たまにはこういう本格的なメロドラマを見て欲しいものです。 男が見ても面白いんだから仕方ない(理由になってねえよ)。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-14 16:55:02)《改行有》

109.  荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻 《ネタバレ》 あんなにも疲労感を味わう決闘場面は中々御目にかかれない。 あの疲労感は伊藤大輔の「下郎の首」や小林正樹の「切腹」とは違う。 前者がストーリー面における疲労感だとすると、この映画は戦闘描写を徹底的に“みじめたらしく”見応えのあるものにしている。 冒頭に描かれるド派手な仇討劇場の“虚像”。あまりに白すぎるメイクと勇ましすぎる男たち、バッタバッタと何十人も斬り、二刀流、槍・・・その後に語られる“忠実な”記録。 まるで黒澤の「羅生門」における多襄丸の件を思い出す。多襄丸も役人の前では戦闘経験豊富な強者を“装って”いた。 この映画は現在の伊賀は上野を映し、舞台は寛永十一年に遡る。 決闘までの1時間をリアルタイムに描く。薄暗い空、旅の休みに茶屋に入る精悍な表情の武士たち。落ち着いた演技の三船。 桶からこぼれた水が、さらに過去の血痕に繋がる。語られるそれぞれの過去。桜を見ながらの三船と志村の会話の雰囲気。弓を引くだけで撃つ場面は映されない。それは決闘間近で三船が銭を数える時も手が映されなかった。 戦いが曝け出されるのは、クライマックスを待たなければならない。 リアルタイム進行は確かに緊張感があるが、それまで何も起らないと解ると恐ろしく退屈なものになる。同様の理由で「真昼の決闘」も俺はダメなのだ。 観客「待つのは辛いのう」 だが、この映画はそのラスト20分で今までの緊張が弾ける様子に圧倒される。着飾った男たちの“化けの皮”が剥がれていく瞬間のな。 左ト全の舞が面白い。この卜全と三船が「七人の侍」の二人とは思えない(良い意味で)。 上着を亭主に投げ渡して死の覚悟を伝え、決闘の準備を進める。 橋の上で見張る男の回想・掲げられる“槍”を黙って見送る。水の中の小石、森の中の木。 ロングショットで偵察、ハッキリ一人一人映される敵の姿、地図。 伝えに行こうとするが、恐怖と脚が動揺してなかなか前に行けない。それを勇気を奮って“歌”によって敵の接近を伝える。 ラスト20分の緊張、手ぬぐいで隠される防具、物見に出される箒を持った亭主、寒さ、敵の動静を見守る。 「七人の侍」は人を斬るのに慣れたプロフェッショナル同士の戦闘(百姓ですら落ち武者狩りで殺人を経験済み)だったが、この映画は人を初めて斬る人間が味わう恐怖がたっぷり描かれている。 怖がって逃げる人々、震える手で鞘から刀を抜く人々、睨みにビクッとして手を覆って引っ込む者、騒ぎで集まる群衆、血の匂いで吐き気を起こす者、初めての殺人で震える者、殺してしまった後に来る後悔の震え、痛みで狂ったように叫ぶ者、一瞬の光り、折れる刀。 この映画の真逆・・・即ち従来の荒木又右衛門が池田富保による「伊賀の水月」なのだ。竹をしならせて崖下に飛び降りるとか、この映画を見た後だと色んな意味でビックリすると思います。 黒澤はこの作品の後に「七人の侍」でより戦闘描写を追及していく。 三船敏郎、志村喬、加東大介、千秋実、左ト全、高堂國典、堺佐千夫、小川虎之助といった面々が共通している。[ビデオ(邦画)] 8点(2014-03-11 21:45:40)《改行有》

110.  十二人の怒れる男(1957) 《ネタバレ》 「ヒズ・ガール・フライデー」「イヴの総て」に並ぶセリフ劇の傑作。 フランクリン・J・シャフナーが演出を手掛けたドラマが原作だが、映画版となったシドニー・ルメットのこの作品もモチロン面白いし、リメイクとなるウィリアム・フリードキン版やニキータ・ミハルコフ版もまた面白いんだよなコレが。 同時に、ハリウッドのアカデミー賞ってシステムがクソッたれだという事もよーく解る作品だ。 あの雨上がりのシーンを撮影した名カメラマンのボリス・カウフマン! ソ連出身、「これがロシアだ!(カメラを持った男)」を手掛けたジガ・ヴェルトフの弟、 「アタラント号」「波止場」「ベビイ・ドール」を撮ったカウフマンに撮影賞を与えないなんてアホなのか? そりゃあ、受賞した「波止場」に比べたらシーン数は少ないだろうよ。 だが、ラストシーンにおけるカウフマンの撮影が無かったら作品の評価そのものが割れるほどだと俺は断言したい。 何と言ってもヘンリー・フォンダが闘いを終えて外に出るシーン。 今まで降っていた雨が止み、法を巡る論戦からの、密室からの解放感。濡れたアスファルトから漂う蒸気の涼しげな様子。その場所でフォンダと御老公が互いの健闘を讃えてそれぞれの名前を聞くシーン。 このシーンの何ともいえない空気感というか、一仕事終えた後のあの達成感。 それがラストシーンに刻まれているのよ。 密室において繰り拡げられる12人の男たちの言葉をぶつけ、言葉による殴り合い。たった1人の少年の命のために。 無罪なら(人生を)延長、有罪なら即座に・・・無駄と解ったらブッ殺して(死刑)楽にしてやればいいのだから。 異を唱える1人の男がイカれているのか、 それとも何の疑問も抱かず問答無用で少年に死刑を下せる11人の男たちがイカれているのか。 セリフだけかと思いきや、証言を思い返す内に出てくるナイフ、現場再現、子供の写真、そして眼鏡。 フォンダの言葉だけが11人の男たちを動かすワケじゃない。 過ぎる時間、暑さ、降りしきる雨、雨、雨。心も身体も消耗、誰が最後まで粘り、誰が最後に折れるのか。 12人の、そして傍観者・伝達者として部屋に出入りする13人目の男。 欲を言えば例の女性や例の御老人の姿も一瞬でいいから見せて欲しかった。 ま、そこは小説のように想像に任せるとしましょう。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 02:19:02)《改行有》

111.  ウィンチェスター銃'73(1950) 西部劇においてリアリズムを追求した監督は誰か? もちろん「真昼の決闘」なんてつまんねえ西部劇を撮ったフレッド・ジンネマン何ぞではない。 オールラウンダーな職人アンソニー・マンだ。 リアルタッチの演出はもちろん、独特な人間ドラマや風景の美しさ。失敗作も少なくないマンだが、反面全盛期の傑作群は今の時代にこそ再評価されるべき作品ばかりだ。 ヒューマンドラマ「グレン・ミラー物語」はもちろん、突出した戦争映画「最前線」や「雷鳴の湾」等優れた傑作が多い。 あの「スパルタカス」だって最初はマンが撮ってた。アレを全部マンが撮っていたらどうなっていたのだろうか。キューブリックに及ばないのか、それともそれに並ぶかそれ以上の作品になっていたのか。気になるぜ。 そんなマンが最も多く手掛けたのが西部劇。 本作「ウィンチェスター銃'73」はそんなマンの傑作の1つだし、保安官もの「胸に輝く星」やインディアンを友好的に描いた「流血の谷」といった諸作と共にもっと知られるべき代表作でもある。 この作品を見て“古臭い”なんて思う奴はこの映画の何を見たんだろうか。いや何も見てないね。 ストーリーは千丁に一丁と言われる名銃「ウィンチェスターM1873」を巡って様々な人間ドラマが交錯する。まるで山中貞雄の「丹下左膳 百萬両の壺」だ。 だがストーリーはシリアス一色、名銃探しはやがて奪い合い、殺し合い、そして壮絶な事件へと膨張していく。 たった一つの優れた“道具”が万の人間の命を奪える“人殺しの道具”になる過程。西部を征服した銃が今度は人の心を狂わせていく。怖い話だぜ。 どうでもいいけど、マンの映画って大抵主人公が“伏せる”よな。ステュアートどんだけ伏せんだよ。 馬上で睨みを効かせるステュアートも印象的。面白い作品でした。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-02 00:33:44)《改行有》

112.  勝手にしやがれ 《ネタバレ》 個人的にゴダールは「はなればなれに」や「女は女である」、「男の子の名前はみんなパトリックっていうの」といった小品の方が好きだし、未だに「勝手にしやがれ」や「女と男のいる舗道」「気狂いピエロ」なんて退屈な映画の衝撃が延々と語られ続ける現状に違和感を覚える。 ジャン=ピエール・メルヴィルが長々とインタビュー受けるわ、「大人は判ってくれない」で助監やってたフィリップ・ド・ブロカがカメオ出演しくさるわ、この映画の監督本人が主人公を“殺す”キッカケを生むフザケ振り(短編でもジャン=ポール・ベルモンドの吹き替えを敢行した男)。ヒッチコックでもここまでやらんわ。観客をナメ腐った腹立たしいほど遊んでやがる。その遊び心にハマる奴はハマる中毒性。 ストーリーはシンプルかつ面白い。盗んだ車で走って逃げて殺して逃げて盗んで女ひっかけて逃げて盗んで逃げて盗んで逃げてを延々と繰り返す。盗みやっといてあーだーこーだ言い訳ごねる映画です(多分)。 帽子を被った主人公のミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)が颯爽と登場、様子を伺う顔・顔・顔、配線を繋いで盗んだ車で走り出す。 手に入れた得物を乗り回してはしゃぎ、我が物顔で独り言をほざき散らす。 タランティーノといいホークスのマシンガン・トークといい、この手の映画は字幕を追うなどという退屈な作業は避けた方がいい。たとえ山田宏一や蓮實重彦といった面々がこさえた最高の字幕だったとしても、原語で聞き映像だけを追った方が楽しいし面白い。 フランスの田園風景を疾走するのどかさ、主人公も半分浮かれながら見えざる追っ手の存在に不安を抱き始める。ブツ切りの音楽、変な飛び方をするカットが気になる。最初はイライラするが、何時の間にか慣れてしまう不思議。 白バイとのジリジリした追いかけっこ。 ショートのパトリシア(ジーン・セバーグ)も良いが、途中出てくるセミロングの黒髪の女性の方がそそられる。男の誘いに服を一枚一枚脱ぐように折れてしまう女心。この一連のシーンは物凄く退屈だが、物凄く心地良い退屈さでもある。 ところどころで警察と入れ違うスリル、トイレでの盗み、妙に暗いエレベーターにおける緊張。 ラストシーンの何とも言えない切なさ。 徐々に弱々しくなり、力なく地べたに倒れる姿。最期の言葉はそのままの意味か、それとも自分に対しての言葉だったのか。それはミシェルにしか解らない。[DVD(字幕)] 8点(2014-02-28 19:12:36)《改行有》

113.  男の子の名前はみんなパトリックっていうの 「はなればなれに」に並ぶ愛らしさに溢れた逸品。「おまえ本当にゴダールか?」ってくらい毒が無い。 ゴダールが「勝手にしやがれ」を撮る前にエリック・ロメールらと組んで制作した短編。 ゴダールらしいシャレた音楽と若者たちの他愛の無い会話で構成されているが、後の作品における難解さといった観客を突き放すような演出はまだ完成されていない。 や、かえってその取っ付きづらさが無くて良かったと言うべきか。実に初々しい若さを堪能できるだろう。たった21分の中ににシンプルなストーリーとシャレたセリフの応酬を詰め込む密度。 時間が無いのでスピーディーな展開だ。 ゴダール初心者・苦手という方には「はなればなれに」や「女は女である」を今まで勧めてきたが、その前に「男の子の名前はみんなパトリックっていうの」から見てみてはどうだろうか。 それにしてもパトリックは酷え野郎だなあ~。[DVD(字幕)] 9点(2014-02-28 18:51:01)《改行有》

114.  オーソン・ウェルズのオセロ 《ネタバレ》 「マクベス」「黒い罠」「審判」に並ぶウェルズの傑作。 「オセロ」はオーソン・ウェルズのシェイクスピアに対する尊敬と愛情を感じられる無骨な造り込み。 1952年に造られカンヌ・グランプリを飾った作品であったが、不幸が重なりフィルムは消息を断つ。 1993年に眠っていたフィルムが見つかるまで、数十年もその存在と価値が知られなかった。 「市民ケーン」以上の不幸、それを乗り越えて現在に復活した本作。 アメリカを追われたウェルズが、モロッコで4年かけて造った魂の結晶であり、ウェルズの「エンターテイナー」としてではなく、元来の「舞台俳優」としての自身と誇りを堪能できる。 ファーストシーンに満ちた「死」の空気。 イングマール・ベルイマンの死の雰囲気にも似ているが、細部へのこだわりの違い。 シェイクスピアの、ウェルズの重厚な「死」の空気が漂う印象的な幕開けである。 そしてその「死」は如何にして訪れたか。 それを90分間まざまざと魅せ、語っていく。 主人公オセロの「黒」、 妻デズデモーナの「白」、この対比の鮮烈さはモノクロだからこそより印象強い。 イアーゴ演じるマイケル・マクラマーも素晴らしい。 イアーゴの言葉で疑心暗鬼になっていくオセロ。 コンプレックスに悩んできたオセロの心の脆さ。 オセロにかかる黒き影は、オセロ自身の疑念に満ちた心を表現している。 自分の心の黒き闇に喰われていくオセロの哀しみ、デズデモーナの哀しみ。 ウェルズはシェイクスピアになりたかった。 誰からも愛され、誰からも妬まれ、誰からも意識される・・・そんな偉大な作家になりたかった。 「嘘」を「本物」にする男になりたかったのだ。 野心と情熱をたぎらせながら。 「市民ケーン」はそういう男の野心と破滅を描いた。 実在の人物を笑いものにする喜劇性、 そんな男が辿る末路を予想した悲劇性、 正にシェイクスピアの喜びと悲しみを帯びた物語だった。 今回のオセロはもっと凄みがあって面白い。 この作品は「よくあるシェイクスピアものの映画」などという一言で片付けてはならない。 ウェルズがいかに役者として演技に魂を賭けているか、こだわっているか。それをひたすら感じてもらいたい。 人種差別にも踏み込んだ骨太の作品。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:12:22)(良:1票) 《改行有》

115.  忘れられた人々 《ネタバレ》 ルイス・ブニュエル最高傑作の一つ。 ブニュエルといえば何を考えているのかわからない変な映画(それが面白いのだけど)が多いが、本作は明確な社会的テーマを生々しく捉えた作品だ。 リズムやストーリーの密度は確かに凄いし面白い。たった1時間15分とは思えないほど話が詰まっている。 ブニュエル映画特有の音、悪夢、女への欲情もそろい踏み。 この「忘れられた人々」はメキシコの歴史から「忘れられた」名も無き人々の生き様を描いていく暗いストーリーだそうだ。 生活のために必死に金を稼ぐ少年、それをことあるごとに邪魔する不良グループ。 特にそこのガキ大将のハイボ。 盲目の楽士や足のない紳士から金を巻き上げ、さらには少女や子持ちの母親にまで手を出そうと(劇中ではちょっかいを出す程度)する筋金入りのクズだ。 余りにクズすぎるので妙な愛着すら出てきてしまう恐るべきクズ野郎である。「時計じかけのオレンジ」よりも愛すべきド畜生と言える(きっと褒めてる)。 ハイボの妨害に負けるものかと孤独な戦いを続ける少年。 カメラに向って卵を投げつけるほど苛立ちはつのる。 1対1のケンカに挑む少年、落ちたナイフでハイボを敗走させた。それにしても引き際を知るいじめっ子だ。 障害者への差別、躊躇なく動物を殺すシーンなど倫理に訴えかけるような生々しい描写、ラストの後味の悪さも手伝って賛否が分かれる作品だろう。 それでも見て損はしない、ブニュエルの傑作として歴史に残る作品だと俺は思う。他人は忘れても、観客は一生忘れない。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:40:49)(良:1票) 《改行有》

116.  奇跡(1955) 《ネタバレ》 「奇跡(御言葉)」の題でも知られる作品。 俺個人は宗教を否定する「怒りの日」の方が好きだが、この作品が「裁かるゝジャンヌ(裁かるるジャンヌ )」に並ぶドライヤーの最高傑作である事は確かなのだろう。 「裁かるゝジャンヌ」は神格化されたジャンヌ=ダルクを一人の人間として描き抜いたが、この映画に起こる奇跡は神の仕業か、あるいわ人の言葉が起こした奇跡なのか。それは見る者に委ねられ、その瞬間を貴方はワクワクしながら待てるのか、あるいわ苦痛を伴いながらも待てるのか。少なくとも、劇中の人間たちの神に対する信仰は何処か薄い。 丘を登り神のお告げか何かを待つもの、それを諦めてくれる事を待つもの、家族の帰りを待つもの、希望と焦りを抱えながら医者を待つもの、荷物を運ぶためにその時を待つ漆黒の馬車、椅子に座って最後の別れあるいわ奇跡を待つものたち。時計の針も誰かが再び動かしてくれる事を待っている。 のどかな農村風景、動物の鳴き声でいつものように起きる人々。青年が窓を開けると、小高い丘に階段で登っていく男の後ろ姿。 青年たちは丘を登った男の後を追い、それを窓から見守る家族。風でなびく丘、そこから見下ろすように何かを語り始める男。男は部屋の中でも火の灯された蝋燭を持ち、同じような語りを続ける。それを優しくそっと消し、家族にコーヒーを振る舞う。どうやらこの光景は家族にとって日常風景になってきているらしい。 彼はこの後も何度も何度も同じような語りを繰り返す。その積み重ねが奇跡へと繋がる。 蝋燭は室内を照らすため、死者を弔うため。 凶事を知らせる馬車の疾走。 哀しみが満ちた空間、馬の嘶きが時間の経過を伝える。薄いカーテンが窓から注ぎ込む強い光を和らげる。 重く結ばれた指がある“言葉”によって開かれる瞬間・・・!少女の唇も微笑を浮かべ、重く沈んでいた眼に光が蘇る。 冒頭でも神か人間の奇跡かは観客に委ねられると書いた。 ただ、俺個人は人間が起こした奇跡だと信じたい。たとえ本当に神様がいたとしても、その言葉を伝えられるのは人間だけなんだから。時計の針を動かし生命を与えられるのは・・・。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:27:34)(良:1票) 《改行有》

117.  泥棒成金 ヒッチコックファンには不評な本作ですが、「ヒッチコックの作品」として見なければ普通に面白い作品だと思うのですけど。「シャレード」が好きな私にはヒッチコックのコメディタッチや「めまい」を思い出す凄いカーチェイス等かなり楽しめました。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 12:57:46)

118.  情婦 《ネタバレ》 アガサ・クリスティーよりもパトリシア・ハイスミスの方が面白いと思う俺は正直クリスティーの映画化作品はどれもハズレばかりという印象。 だが、ワイルダーのこの「検察側の証人」はクリスティーの傑作短編群にも引けを取らない、数ある映像化(ドラマは除く)の中で唯一と言っていい傑作! 俺個人はワイルダーといえば「深夜の告白」や「アパートの鍵貸します」だけど、この作品も一気に引き込まれるし何よりチャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターといった面々のやり取りがとにかく楽しくて面白い。 ワイルダーの映画って狙いすぎててイマイチ笑えないのだけど、この作品は冒頭から笑いっ放しだった。 裁判の幕が上がるようなオープニング、そこに向う役者を揃える様に一人ずつ登場人物が姿を現す。 老練な弁護士ウィルフリッド、それを何かと心配する看護婦のミス・プリムソル、ウィルフリッドを助けるブローガンムーア、殺人の疑いをかけられるレナード、そして謎の女であるクリスチーネ。 ウィルフリッドとプリムソルが夫婦喧嘩(チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターは何度も共演するガチの夫婦)をしながら車で事務所に向う場面。二人が喋るだけで楽しくなってくる。階段のリフトを見て子供のような表情を見せるロートンが面白い。このリフトのやり取りだけでも見ていて飽きない。 ところどころ伏線としか思えないセリフばかり。 何?マッチがない?君は悪い奴だ、え?ライターはある?君は良い奴だよ・・・都合良いなあ本当。 やっと退院しかたかと思えば山ほど来る依頼に口うるさい看護婦。葉巻もロクに吸えない、杖に仕込んでまで吸おうとするヘビースモーカー。 そんな彼を動かしたのはその葉巻だった。ポケットの葉巻を見て飛びつくウィルフリッド。葉巻目当ての依頼承諾がとんでもない事件に発展していく。その葉巻を「あ、そうだった」と思い出したかのように返すウィルフリッド。嫁にバレたらマズい。 モノクルの“光”で心理分析、法廷でもウィルフリッドの薬で経過時間を表現したりと単なるセリフ劇に終わらせず一切退屈させてもらえない面白さ。 レナードとクリスチーネの過去も面白い。コ-ヒー1杯飲むためにキスを繰り返す“楽しい取引”、タバコとガム、ベッドにダイブで天井崩壊、ディートリッヒの生脚。 ダメ男を助けるための大芝居、そんな尽くす女を裏切るかのような二重三重の大どんでん返し。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:26:30)(良:1票) 《改行有》

119.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 個人的にヒッチコックで一番好き&最高傑作。 人によっては「サイコ」や「北北西に進路を取れ」といったアクションに比べると退屈する人もいるかも知れないが、俺はジェームズ・スチュワートが覗く窓で様々な“事件”が起こってくれるので一切退屈しなかった。 地味に様々な窓のドラマが進んでいくのが面白い。冒頭の写真と壊れたカメラだけでスチュワートが何者なのか“語る”演出も素晴らしい。 観客にとってはいきなりジミーと口づけを交わすグレース・ケリーの存在も事件です。 「君は誰だ」という一言はジミーにとっては冗談のつもり、観客にとっては一瞬ドキリとさせるセリフ。 あれだけ開放的という事はそれだけあの界隈で事件がなく平和だったという事だろう。ベランダで夫婦仲良く寝ている人間までいますし。 そこで後半に“事件”が人知れず、いや唯一目撃してしまう恐怖。 ヒッチコック映画で人や動物が死ぬのは最早お約束です。 劇中で窓を覗くスチュワートは、退屈を紛らわすように音に耳を傾け、窓を覗きまくる。住民もそれを“許容”するように窓を開け続ける。 コレが「北北西に進路を取れ」だとあのヘリがスチュワートに襲い掛かります(嘘) 後半の窓におけるやり取り。最愛の人が独りで犯人の下に潜り込むスリル、犯人が戻ってくるまでの緊張、それに怪我で何もしてやれないもどかしさ、穏やかな演奏に掻き消される悲痛な叫び。 それを見て逃げようと思えば逃げられたスチュワートもあえて逃げず、犯人との“一騎打ち”を選ぶ!記者として、男としての意地。犯人も警察が来たにも関わらず臆せずに目と目が合ったジミーの元に向う。 音、光、影が織り成す緊張、窓際での攻防、住民の動きをあえて早回しにする事でより緊張を高める。 片脚と引き換えに掛け替えの無いものをより深めたラストも良い。[DVD(字幕)] 10点(2014-01-22 00:24:04)(良:1票) 《改行有》

120.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 展開が早く緊張の連続でまったく飽きさせない、「三十九夜」のアメリカ版とも言うべきスパイ映画の傑作。 今見ても面白いヒッチコックの高いアクション性は見れば見るほどその面白さにハマる。 カッコイイOP、交差する線、ビルに映る車、人の群、バスに乗り損ねるヒッチコック、エレベーターから降りてくる人々、仕事の話、タクシーによる移動は「めまい」のジリジリとした追跡のスリルを思い出す。 5分を過ぎたところでケイリーを睨み付ける謎の男たちの登場、勘違い野郎ども、早回しによるスリルの倍増は「裏窓」のクライマックスから受け継がれる、当然ドアは開かない、謎の屋敷、見張り、身に覚えのない「罪状」が襲い掛かる恐怖、油断したところに恐怖が襲い掛かるスリルがヒッチコック映画の魅力。 眠らされて起きたら車が猛スピードで走ってて死にかけるとか(スクリーン・プロセスによる見え見えの合成なのが残念)、ふと横を向いたら飛行機がつっこんで来て殺されかけるとか、勝手に殺人犯にされたり、スパイにされたり、列車で謎のワケあり美女に出会ったり行く先々でトラブルが待ち受ける。 暗闇、崖、波しぶき、うつろな眼で暗闇を走り続ける、追突事故、撮られてしまった写真、警察、殺し、スパイ、二重三重に追われる、寝台、サングラスはかけててもあまり効果がないので砕け散る。 何もない平地、通り過ぎる車、砂埃、画面に奔る緊張、いつ何処から何が来るのか解らない恐怖が不気味な唸り声をあげて襲い掛かる! 安全地帯を探して走る走る走る、頭を抱えてやり過ごさねばならない、もうもうと吐き出される煙、トラックのオッサン涙目、野次馬は男の逃走手段を路上に止めに来る。 暗闇に映るかすかな明かり、たった一人で乗り込む緊張、音、銃、像、登る、血、ハンカチ、マッチに託すメッセージ、影、思わぬ「鏡」、出来る家政婦、銃撃! 閉所の緊張から断崖におけるスリルへ、巨大な像の群、小さな閃光の揺らめき、叫び、踏みにじられる手、人の命、断崖から“旅立ち”への生還! 最後まで気が抜けなかったぜ。[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:18:59)《改行有》

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