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101.  CUBE 《ネタバレ》 “CUBE”『立方体』。この映画も私の中の『第二次映画鑑賞ブーム』の時に、衝撃を与えてくれた作品です。こんな低予算で、ここまで面白い映画が創れるんだ!って。 オープニングの前に、男が目覚め、周り(置かれた状況)を見回し、扉を開けてみてその先に何があるのかを観せ、残酷に殺して観せる。ここまで説明もセリフも一切なし。だけど、何が起きてるかが伝わる。『わかんない状況に置かれているぞ!?』って状況が伝わる。 オープニング後も自分がどうしてここに居るのか解らず、周りの人が誰かも解らず、ただ目的はシンプル(ここから出たい)で、限られた時間の縛り(食料がない)があって、移動するたびにワナがあって、まるで自分も一緒にキューブの中に入ってしまったような、そんな作品。 前置きなしに“この世界に放り投げられた感”は、同じ低予算なのもあってか、私には『激突!』以来の衝撃で、続けて4回くらい観たと思います。 主人公は頼れる男クェンティンか、ヒロイン・ポジションのレブンだと思って観たと思います。脱出の希望と思えたレンがアッサリ退場する絶望感。絶望の後に希望あり。数字に意味があることで前進できる。そして行き詰まる。 徐々に観えてくるクェンティンの裏の顔。レブンも自分が頼れる存在だと知ると、少し横柄になります。極限状態に置かれた人間がどれだけ変わっていくか。ルールのないコミュニティで、人はどんな対応をするのか。観ていてどんどん引き込まれたわ。自分だったらどうするか?どう変わっていくのか?そんな事考えながら。物語は『どうトラップを回避するか?』から『コイツ信用できるのか?』に変わっていく。人間の敵は人間。些細な言い合いから徐々に壊れていく人間関係。小さなコミュニティはエゴのぶつかり合いに。 最後の部屋(通路)を赤にしたのも上手い。色々ある部屋の色で、やっぱり赤が一番禍々しい。カザンが赤が嫌いなのも、観る人に赤=悪いものの印象を植え付けてる。赤が強調されてるから、その対比として出口の眩しい光が映える。 そして自分が助からないのを知った人が最後に選んだのは『誰を生かし、誰を殺すか』。それもまた人間社会に対するエゴなんだよな。 シンプル故に色々なことを考えさせられる映画。[ビデオ(字幕)] 10点(2023-12-02 12:06:36)《改行有》

102.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 シリーズ29作目。寅さんでスズメのアニメーション(白組作画!)が観られるとは。まるでメリー・ポピンズみたいになめらかな動き。 オープニングの歌の間に台詞のある本編ドラマが入っているのも新しい。 そして前作に引き続き、どこか哀愁のあるメロディ。う~ん、今回も悲しい終わり方するんだろうな。 片岡仁左衛門さんは歌舞伎役者か。映画主演作がほぼ無い中、劇中に馴染んだ演技を見せてくれる。貴重な茶碗をもらった寅の雑な扱いにワタワタする姿が面白い。寅が高齢になるにつれ、年齢の釣り合いの取れる(&お客さんの関心を集められる)マドンナとなると選択肢が減ってくるんだろうなって思う中、ゲストで豪華さを見せるのも上手いところ。 あといしだあゆみと吉岡秀隆の北の国から親子共演に思わずニヤニヤしてしまう。 そのマドンナいしだあゆみが、シリーズに異色な印象を見せる。顔より先にカメラが捉えるのは足。加納の家で寝込んで、朝方寅の寝室に入るかがりの足。丹後の実家で再会の時も、階段から降りてくるかがりの足から入る。寅とサシ飲みの俯瞰図もかがりの足がきれいに収まり、子供を寝かしつける時のふくらはぎは、寅でなくてもついドキッとしてしまう。そして階段を登る足。どうしちゃったんだろう?寅さんにこんなにエロ要素入れてくるなんて。 でもね、寅の寝室に入る時は意図的に足を映さないの。もう全身からフェロモン出てるから足は映さないの。寝たフリをしてやり過ごす寅。かがりが出ていく時にようやく足を映すのも上手い。徐々に盛り上がって、頂点迎えて取り逃して、クールダウン。ここで寅の恋は終わってます。 かがりから誘われたあじさい寺デートは、あまりに寅が可哀想な展開。そしてとらやの寅と旅先の寅の描き分けがハッキリしていて、一応旅先に含まれるあじさい寺に、とらやの満男を連れて行ったらどうなるかが初めて観られた。あぁ、こうなってしまうんだ。 そして、こうなることが解っていて、満男を連れて行ったのは、やっぱり丹後で燃え尽きていた自覚があったからなんだろうな。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-02 10:56:58)《改行有》

103.  カラー・オブ・ハート 《ネタバレ》 “Pleasantville”『プレザントヴィル』ってドラマのタイトル。地名で『愉快な町』とかって意味で、実際アメリカに幾つか同名の町があるので、きっとよくある田舎町の名前。 現実から異世界に行く&小さな町が主人公の影響で変わっていく映画というと、もう結構出尽くした感があったけど、こんなのも創れるんだって、かなりショックを受けました。私はケーブルテレビで遅れて観たけど、この作品、公開当時はどれくらい話題だったんだろう?もっと認知度高くても良いような、そんな印象です。 BTTFのように過去に行く物語の亜種として、視覚的にはカラーからモノクロの世界に行くんだけど、過去のドラマの“中の”世界。というのは面白い着目点です。紙は燃えないし、本は真っ白だし、メインストリートの先はメインストリートの始点。“本当の赤”みたく、お互いにモノクロなのも理解してます。カラーになったベティをファンデーションで助けるなんて、この世界観だからこそのアイデア。 デイビッドはバッドを演じ、ジェニファーはメアリー・スーを演じます。パターンとして、二人が時間が止まってる世界を壊さないように役を演じて、あれこれトラブルが有りつつも、最後は自分たちもモノクロ世界も壊さずに、無事現実に帰ってくるのが定石…だと思ってたところ、どんどんカラーが入ってきて、取り返しの付かない展開になっていきます。それも最初はカラーになっていくのがスカッと爽快で、だけどどんどん歪みが生まれていくのも上手いです。最初から最後まで『この先どうなっていくんだろう?』の連続でした。 最後も綺麗でした。古き良き'50年代から、世界が広がる'60年代へ。銀色の都市間高速バスが時代の変化を感じさせます。その後は退廃の'70年代に向かうのが想像できるけど、ドラマの世界の彼らはそんなこと知りません。一人残ったジェニファーも、たぶん詳しくは知りません(※今まで勉強してなかったのと、あの世界に未来の本は無いから)。だけど彼らの世界は私たちの世界とは違うので、同じ道を辿るとは限りません。プレザントヴィルがデイビッドが暗記するほど観てきたドラマの通りにならなかったように、彼らが向かう世界は素晴らしい'70年代かもしれない。 そして現実に戻ったデイビッドも成長しているのも嬉しいおまけで、あんな世界を体験しただけに、そこに説得力もあります。消えたジェニファーをどう説明するのか。あっちの世界もこっちの世界も、先のことはわかりません。だけどとても希望に溢れた終わり方でした。 結構完璧な作品です。完璧過ぎてアラが少ないのが、かえって“創りもの感”を感じます。エンディングのジョージがビルに変わるとことか、こういうのリメイク作でやるなら解るけど、ちょっと捻り過ぎかも。 あのテレビ修理の爺さんが何度か出てくるのは蛇足だった気がします。「おめーがリンゴ食ったからだー!」って言われても、いまいちピンときません。最初すぐ現実に戻ろうとしたけど戻れなくて、最後アッサリ戻ってしまうのは、リモコンの問題でなく爺さんの気分次第?1~2週間経ったから?う~ん… 『この先どうなるかわからない』映画なんだから。爺さんは最初と最後(帰っていくところ)だけで、あとは自分たちの選択した結果にしてほしかったかな。 ゲイリー・ロスの初監督作品。そのため力が入りすぎて、作品愛が溢れてしまったんだと思うところ。かなり好きな映画です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2023-12-02 09:50:10)《改行有》

104.  カンナさん大成功です!(2006) 《ネタバレ》 “미녀는 괴로워”『美人はつらいわ』。ちなみに200ポンドは90.7185kgなんだって。 デブでブス。どっちも整形で解決しちゃうんだな。脂肪吸引だけして痩せたらアラ私って綺麗…とか、美容整形だけして体型は根性で痩せるとか、どっちかでも良かったような。声だけはそのままなのね。 サンジュンが良い奴なのかが掴めず。なんでカンナのことを悪く言うシーン入れたのかな。あんな男、整形で綺麗になって見返す対象程度で良いんじゃない? 犬を捨てるシーン、カンナ身勝手だなぁって思ったけど、その後サンジュンが飼ってるのはナイス。嬉しそうなカンナが良い感じ。三ジュン、悪ぶってるけど根は良い奴ってことか? アミが意地悪で嫌なヤツなんだけど、地道に歌の練習してるのに感心したところの、鬼の首を取ったかのような嫌がらせ… ジョンミンが安定の良心キャラなんだけど、最後整形しちゃうんだぁ…韓国では美しいことが、いろんなモノを手に入れる条件の一つなのかなぁ? どうにも、表も裏もどっちも好きになれるキャラクターが居なかった。サンジュンのカンナのホンネ、秘密を知ったアミの嫌がらせは、もう少しキャラを許せてしまうようなフォローを入れてほしかったかな。それが無いから『あの件は置いといて』って感じで、もう一歩感情移入できないままだった。 最後の方FOするアミより、ピンク髪の娘がカンナを認めててほっこりしたわ。 一時期、韓流ブームの時って、向こうの美人はみんな同じ顔(整形顔)してて不思議だったわ。美に対するベクトルが一緒だから、目指す目標も一緒になってしまう結果、同じような顔になるらしい。そんな中カンナは自然な整形をしていたってことなのかも? あれだけ整形が浸透している韓国で、整形した女を悪く言う風習があるのも意外だったかな。お互い納得して整形を認める文化だと思ってた。 ブロンディのカバー曲が良かったわ。[インターネット(字幕)] 5点(2023-11-24 23:25:50)《改行有》

105.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 “功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。 少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。 漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。 ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)《改行有》

106.  男はつらいよ 寅次郎紙風船 《ネタバレ》 シリーズ28作目。きちんと出るには出たけど、あまりに本作に絡まない紙風船の小道具っぷりよ。 寅の夢にマドンナ2人が出てくるのは、シリーズ初かな? ガードが硬そうで、いったん心を許すとノーガードな愛子が可愛い。そんな愛子に、相部屋なのに変な気を起こす気配も感じさせない寅の落ち着き具合。この2人はそれはそれでイイコンビ。マグロを抱えた兄の登場が、これまた勢いがあって好き。 一方でマドンナの光枝は可愛らしい大人の女。それでいてどこか影があって。どうして歳の差もあるテキ屋の常三郎と一緒になったんだろう?って女性。だけどなんか、この夫婦に説得力を感じてしまった。 旅館で働き出した光枝。寅と話してる最中、ガラッと窓を開けて掃除する、同僚の視線に背を向ける光枝。察した寅が「何か辛ぇ事ないのか?」に「大丈夫、仲居みたいな仕事は前にやったことあるから」って。あぁ、この人同僚なんかと上手くやれないタイプなんだ。だから夫の仕事仲間の愚痴も出るんだ。 駅前の別れのシーン。光枝の方から話を振ったくらいだから、寅の回答次第だったんだよな、ここは。病人相手だから適当に相槌打ってた事にする奥手の寅と、それ聞いて安心した事にする人付き合い下手な光枝。なんでか常三郎を悪者にして話をまとめる二人。常三郎はこの不器用な二人が大好きだったんだね。 失恋に追い打ちを掛けるように、不採用になった寅の乾いた笑いが忘れられない。 何より全編通して流れる笛の音のテーマが物悲しい。でも嫌いじゃない一作だなぁ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-11-21 01:00:13)《改行有》

107.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 ゴジラは“日本を襲う破壊の象徴”です。初代ゴジラは原爆。シン・ゴジラは東日本大震災。そして本作のゴジラは太平洋戦争(※書き方として東京大空襲と迷いましたが)でしょうか。 圧倒的な物量を誇るアメリカ軍を相手にした戦争は、まさにゴジラを相手に戦うようなものだったことでしょう。 最初のゴジラは軍人だけの基地に出てきました。そしてより巨大になって本土に上陸し、街を壊して人を踏み潰します。 戦争は軍人同士が海の向こうで戦うものだと思っていたのに、空襲で自分の家が焼かれ、家族が殺される。アメリカ軍の無差別爆撃とゴジラの破壊行為。両者にどんな違いがあるだろうか。 三丁目の夕日の、少し前の日本が舞台。帝国海軍も警察予備隊も無い、自衛能力のない時代の日本とゴジラの戦い。役目を終えた軍艦が呼び起こされ、日の目を見ることのなかった戦闘機が空を舞う映像は、過去のゴジラ作品のどんな秘密兵器よりもアツい展開でした。 焼け野原から徐々に復興していく東京の町並みと、少しずつ生活も安定してきて、家族になっていく敷島と典子。ようやく前を向いて生きていこうとした矢先…自分が死ぬのが怖くて特攻出来なかった敷島。彼が特攻しなかったから家族が死んだわけではないけど、戦うべきときに戦わなかった報いが、後々重くのしかかる。因果応報。終わらない戦争。 人間ドラマに重点を置いた本作、後半涙腺緩みっぱなしでした。説明が丁寧だから、展開は読めるんです。それでも涙が出てきます。ありえない最後も全然受け入れられました。エンドロールが始まっても、ほっぺが涙でベチャベチャです。想像以上に良いものを観せてもらいました。 さて。彼女に何があったのか。彼を突き飛ばした後、あの勢いで吹っ飛んだんだから、五体満足なハズはない。 街に飛び散ったゴジラの肉片には、強い放射能だけでなく、強い再生能力も有している。首筋のアレは、飛び散ったコレなんだろう。 何か不吉な未来を暗示しているようにも思えるけど、私は“マイナスを乗り越えてきた日本人”を表しているんだと思った。 どんなに傷つき、どんなに破壊されても立ち直ってきた日本。過去の被害を隠すこと無く、むしろ吸収して乗り越えてきた日本人。戦争、原爆、大地震も乗り越えた日本人は、ゴジラによる未曾有の破壊を受けても、それさえも吸収して乗り越える力があるんだ。という意味だと解釈しました。 …ただもし今後『ゴジラ・ゼロ』とか続編があるなら、解釈変わるだろうけど。[映画館(邦画)] 8点(2023-11-21 00:00:20)《改行有》

108.  仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督) 《ネタバレ》 “The Man In The Iron Mask”『鉄仮面の男』おぉ、スケバン刑事2とかの元ネタで、実際にそういう人物が存在したんだ、へぇ~~。三銃士のその後、鉄仮面伝説、ルイ14世の秘密。複雑になりそうなお話なのに、とても分かり易い娯楽映画でした。 何度か映画化され、テレビアニメにもなっていた『三銃士』。私も基礎知識としてどこかで観ておくと、よりこの映画を楽しめたんだろうなぁ。よく知らないんだよなぁ…。時の人ディカプリオが、横柄な悪人ルイ14世と、心優しいフィリップの2役を演じますが、ホント顔つきを観ているだけで、どっちの役か解るくらい、見事に演じ分けています。この一本でディカプリオを2倍楽しめる構成になっています。 さて、三銃士の筋を知らない私は、この物語の主人公が誰だか解らないのです。この映画のウリ(主演俳優)は間違いなくディカプリオなんですが、ルイが主役というのは違う気がしますね。じゃあフィリップか?ってなりますが、彼は自分の意志で動くというより、両陣営の操り人形な感じです。なので三銃士(四銃士)が中心人物になるんでしょうけど、ダルタニアンが主役か?というと、どちらかというと悪に加担する側なので違うような…。 映画の中の悲劇としては、ラウルとクリスティーヌの悲恋なんだけど、どちらもアッサリと最後を迎えるため、印象が薄いです。クリスティーヌももっと抵抗してほしかったし、ルイももっと威圧的に悪党らしくがっついてほしかった。アトスが一時期フィリップの父親代わりになりそうですが、主役かというと、どうも違う。ポルトスは主役ってガラじゃないから、消去法でアラミスになるのかなぁ?うぅ~ん… 歴史モノにしてはライトな創りで、クソ真面目な作品でも無いんだけど、かといってコメディ要素が強調されるでもない。好き嫌いは結構ハッキリ出る作品かもしれません。見せ場とか演出とかが、近年のマーベル系ヒーロー映画に近い気がしました。 忠臣ダルタニアンの秘密。これはマズいでしょう。物語上、ダルタニアンが一番悪い人になってしまっている気がします。[DVD(字幕)] 5点(2023-11-16 23:09:50)《改行有》

109.  男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ27作目。オープニングの夢は、過去一番の脱力系の夢でした。タコ社長のタコの着ぐるみ、よく着る気になったなぁ。 タイトルの河川敷ではサイクリング仲間が女の子の取り合い。今までなら寅が引き金になってドタバタが起きるんだけど、今回寅は単なる傍観者。おぉ前作同様、寅は一歩引いたスタンスで若者を見守る話かな?と思いきや、結構スタンダードな一目惚れ回でした。 満男が吉岡秀隆になってた。さくらのノーヘルスクーターにビックリ。そういう時代だったの?気にしたことのなかった源ちゃんの意外な過去。 この作品も以前テレビで観ていた記憶があって、マドンナふみの弟の死が印象深かったです。本作では特に、とらやでの子供みたいに馬鹿でワガママな寅と、旅先での大人としてしっかりした一面を見せる寅の両面が観られます。 神社の絵馬にさくら一家の幸せを祈願する寅。一方で弟のみを案じるふみ。たった一人の姉弟がために、寅も自分に重ねてふみに協力したんでしょう。心のこもった葬儀をあげてくれた会社の人々への、寅が発した感謝の言葉がもう、こんな事言える大人って格好良いなって思ってしまいます。 一方のふみ。「何で一言言ってくれなかったんです!?」と弟の上司に怒りをぶつけます。幼い頃別れてから、一度も会ってない弟。父方と母方に別れてそれっきりと思いきや、務め先は知ってる(どこでそれを?)。お骨は若狭の叔母さんが持って行ったのに、その叔母からふみには一言もない(※その叔母さんがふみのことを知らない可能性も少々)。ふみに怒る資格はないように思えるけど、まぁけっこう表裏が激しい、自己中な女です。 絵馬のところで「寅さんに、ええお嫁さんが…(はぁと)」と言いつつ、弟のことを書いてる。まぁ照れ隠しって感じだけど、芸者さんの職業病らしく、寅が喜ぶ事を言っただけに思えました。 旅館で一晩共にしたあとの置き手紙についても「“1人で”考えてゆきます」なんてあたり、男の気を引いてナンボの芸者さんらしいなって思いました。 とらやに来て、いきなり接客始めるのも、日常と仕事の境界線が曖昧だからかなぁ?って。ある意味アイドルタレントと似ていて、仕事(撮影中)と、日常生活(インスタとか)と、その裏に人に見せない私生活があって、だから結婚っていちばん重要なキーワードを、あんな残酷なカタチで言えてしまうんだなって思いました。「こっちの気持ちにもなってくれっていうんだよ。」寅がさくらにマドンナの愚痴(というか恨み節)を言うのは初めてかも?いつもと同じようなフラレ方に観えて、今回ばかりは寅が可哀想。[地上波(邦画)] 6点(2023-11-16 01:14:19)《改行有》

110.  カッコーの巣の上で 《ネタバレ》 “One Flew Over the Cuckoo's Nest”どうやら『キチガイ病院から1人飛び出した』って意味のようです。 目がギョロギョロしたクリストファー・ロイドに常にニコニコしてるダニー・デビート。他の作品を観ていなければ、こういう人なんだと思えてしまうほどのリアルさ。決められたルーティーンで薬を飲んで、徘徊したりゲームをしたり。社会生活が困難な人たちを、一か所に集めてまとめて家畜のように管理する。そんな印象を受けてしまう。 意思疎通の難しい精神病患者たちと、患者を機械的に管理するラチェッド婦長ら看護側。患者相手にはフェアとは思えない多数決と連帯責任。詐病のマクマーフィ目線で、患者側から精神病院を観る。だけど強制入院と自由入院が混在していて、その中に刑務所から移送されたマクマーフィが居るのが不思議。自由入院のチェズウィックも電気ショック受けてるのもなんか不思議。 ワールドシリーズのテレビ観戦にバスを強奪しての釣り船ツアー。やってることはメチャクチャだけど、マクマーフィに影響されて患者たちが自分の意志でまとまっていく様子が何とも清々しい。喋れないフリをしていたチーフが、マクマーフィだけに対し喋ったときは「おぉ~~!!」ってなったわ。ってか、チーフの一挙手一投足に「おぉ~~!!」ってなってしまう。 このままマクマーフィと仲間たちで、何か凄いこと(?)を達成してしまうんじゃないか?って、方向性が解らないけど、彼らの中で何かが進展していく感じがとっても心地良い。クリスマスの翌朝の、まさに“祭りのあと”感。『あぁ、全部終わったんだな』って空気。ビリーの悲劇。ちょっとした歯車の狂いからすべてが終わってしまう重たさ。 2人で脱走しようと誘われるチーフ。かつて大きかったチーフの父親は、抑圧されて酒に溺れ、どんどん小さくなって殺された…チーフはそうは言わず、始末された。と。その話にピンときてないマクマーフィ。 かつてインディアンは広大な土地を追われ、狭い居留地に押し込められ過去がある。その後一転して、'50~'70年代には、都市移住計画という名の同化政策のもとに、居留地さえ追われることになる。移住した先は仕事もなく頼れるものもない、貧困と差別の世界。そんな時代にチーフは、見せ掛けの自由を手放し、精神病院に入ることを選んで、今に至る。 舞台は'63年とのことだけど“ロボトミー手術”なんて、あったんだなぁ。理論だけで実在しない施術だと思っていたわ。 手術によって物も言えず、体の自由を奪われたマクマーフィに、精神病院に自ら入ったチーフ自身を重ねたんだろう。病院のシステムに抗い続けたマクマーフィの精神を開放し、自分の力で自由を手に入れる。 『飛び出した』のは『1人』。だけどその1人はマクマーフィの精神であり、インディアンの精神でもある。[DVD(字幕)] 9点(2023-11-16 00:16:46)《改行有》

111.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 “男勝りなお姫様”の元祖だろうか。そもそもの初登場が崖の上での仁王立ちである。 ただそっちの画より、湧き水のところで太平と又七が初めて雪姫に会うところ、こっちの画の方が黒沢監督が観せたかったんだと思う。太腿を観せてからの振り向きの構図。脚から胸、顎にかけての女性独特の美しい線とキリッとした顔。この構図一枚こそが“男勝りなお姫様”を表現する画なんだと思えた。宮崎駿監督の“男勝りなお姫様”でよく観た構図のモトは、この映画だったんだと思う。 一国のお姫様だから、その辺の女とは違い、高く綺麗な声質…なのに、男勝りなことを言う雪姫。彼女の独特な話し方は、恐らくそういう演出でしょう。上原美佐は経験不足ではあるけれど、決して実力不足ではないと思う。 一つ不思議に思ったのが、最後に本来の姫の姿の戻ったときの、画面一杯に寄った画が無いこと。落ち延びている最中のキリッとした眉の時とは違い、姫らしく眉や髪を整えた美しいお姫様の顔なのに、何故か寄って撮らない。ここは恐らく、太平と又七側から見た目線のためで、お姫様の顔を間近に観るなんて恐れ多い。という演出かもしれない。劇場の大画面で観ていたら、印象も違ったかもしれないけれど。 戦に間に合わなかった二人の百姓目線で進んでいく序盤はとてもわかり易く、展開も早い。秋月、山名、早川。聞いてるだけではこんがらがりそうだけど、砂に書いた丁寧な領地の説明。そこに放られる金塊。『七人の侍』の野武士の人数同様、解り易く胸躍る演出にグイグイ惹き付けられる。 題名にもなっている隠し砦が燃やされ、最後の抵抗をする秋月の老将らの最後はバッサリ割愛するのも、取捨選択が絶妙と言える。文句なしの前半。 ただ良くも悪くも百姓娘のその後なんかもバッサリ。というのは、少々味気なさを感じてしまった。太平と又七それぞれに金一枚づつあげれば良いのに。なんて思ったりも。いや、そういう予定調和にしない所もまた、黒澤映画の味わい深さなのかもしれない。 後半、三船の馬術の素晴らしさ、火祭りの躍動感に目を奪われつつも、『隠し砦の三悪人』という題名に少々違和感を感じてしまうのも事実。三悪人って誰のことだったんだろう? 普通に考えて太平と又七と真壁なんだろうけど、最後の雪姫・真壁・田所がズズイと寄ってくる場面を観ると、もっと別な解釈もあるような気がしてしまう。[DVD(邦画)] 7点(2023-11-12 23:39:55)《改行有》

112.  男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 《ネタバレ》 シリーズ26作目。たまたま『学校』を観た直後。『黄色いハンカチ』以前から構想があったという夜間学校映画の、まさに試作品のような本作を観られたのは、なかなかなめぐり合わせ。 諏訪家がやっと手に入れたマイホーム。タタミ1畳分くらいの狭い庭、窓を開けると手が届きそうな隣の家、言葉を選んで褒める寅が素敵。そして「お兄ちゃんの部屋」は泣けるわ。いつまでも叔父叔母夫婦の家に頼ってないで、兄妹で独立したかまどを持とうとするさくらの考えと、義理の兄と妻の絆の強さに協力を惜しまない博。寅が悩んだ末に2万円も包んだ、嬉しい気持ちが伝わってくる。それに対しお釣りって…それは寅が怒っても仕方ない。 セブンイレブン。私も近所にセブンが出来たときのことを覚えてます。スプライトとかがデザインされたアメリカンヨーヨーが売ってましたね。店内に流れる長渕の順子。ついに寅さんが私の記憶にある時代に追いついたわ。 ちなみにキャンディーズは私が物心つく頃には解散してました。マドンナすみれは、寅のテキ屋仲間の娘。年齢の差もさることながら、仲間の娘ということもあって、最初から恋愛対象ではなく、親子のような構図です。うっかりお風呂を覗いてしまうところなんて、まさに娘と父親のあるあるネタ。 すみれの突然の朝帰り。「だって私、結婚するのその人と」まっすぐ寅の目を見るすみれに、それ以上怒れなくなって二階に上がってしまう寅。あぁ、娘を男に取られる父親の気分。今まで若いマドンナと青年の恋愛を応援する回はあっても、父親の立場でマドンナを見守る回は無かったと思います。 最後の入学願書もホロリと来ました。さくらと博はマイホームを持ち、満男は10歳になり、テキ屋仲間は死んで、その娘は結婚を考えている。'80年代に入り、寅なりに“俺もどこかからやり直さなきゃ”って思ったからなのかもしれません。 そうはいっても、あの2万円が源から借りただけってオチは、何歳になっても子供のままな寅をよく表現していました。 私は、前作が最終回でも良いと思ったくらいだから、本作はまさに『男はつらいよ・後編』のスタートです。 寅と同年代のマドンナばかりでは客層も固定されることを考えると、この路線変更はアリだと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-11-07 20:39:51)《改行有》

113.  ガタカ 《ネタバレ》 “Gattaca”劇中の宇宙局の名前。DNAの基本塩基の頭文字、G・A・T・Cを組み合わせた造語だそう。 核酸塩基には5番目の頭文字ウラシル (U)というのもあって、このUはDNAにはほとんど含まれず、RNAを構成(G・A・U・C)する基本塩基だそう。遺伝情報を永久保存するDNAと、一次保存するRNA…まぁあまり掘り下げてもだけど、不確定要素の話になっていきそうです。 '97年の映画だけど、登場する車が'60~'70年代くらいに作られた、当時考えられていた未来チックなデザインの車。ヘッドライトが何故か緑色。この映画公開時の時間軸の未来ではなく、'60年代くらいから観た未来の世界を、遡って表現したんだと思われる。 だから最後、リアリティある宇宙服でなく、空想科学SFの宇宙旅行らしくスーツで旅立つんでしょう。レトロフューチャー感が味わい深い。 アントンが遠泳で負けたのは、引き返すことを考えたから。そんな考えの「適正者」ばかりの世の中では、想像を超える世の中にはならないんだろうな。 エリートのヒューゴと、彼より年上の部下。彼は不適格者だろうな。だけどこの刑事の直感と執念で事件は解決する。 銀メダルで終わったジェロームの苦悩。適性者が買って当然の競技に、どうして順位を付ける必要があるのか。今思うと対戦相手は不適正者だったのかな。 生まれた瞬間にどんな病気の可能性があって、推定寿命まで伝えられる怖い未来。ビンセントにとって30歳が人生のゴール。 でも、だからこそ、どんな無茶をしても“土星のタイタンに行く”事をゴールに出来たんだろうね。帰ってくることを考える必要のない、片道切符の目標。 あまりお金掛かってないけど、ツッコミどころも探そうと思えばたくさんあるけど、人生が長いから忘れがちだけど、努力の瞬間の積み重ねが夢を叶えることを再認識させてくれる映画です。[DVD(字幕)] 7点(2023-11-05 16:12:48)《改行有》

114.  学校 《ネタバレ》 卒業間近を現在として、過去のエピソードを交えていく創り方が上手い。悪く言えばツギハギなんだけど、生徒一人ひとりを中心に時間を行き来することで、生徒と学校の関わりもきちんと観えてくる。それをもし時間軸に沿ってエピソードを紹介していったら、恐らくダラダラした展開になっていたと思う。 修(誰かのサブキャラとしてしか出てない)やチャン(ピンポンのチャイナのコーチの人だな。でも本作では悪いイメージしか持てない。)のエピソードが割愛されたようにも思うけど、生徒7人+黒井&田島先生を均等にするか、悩んだ結果のイノさんメインの映画だったんだろう。後半に向けてイノさんと仲間たち感が強く出ていた。 イノさんの田島先生への気持ちに対し、上辺だけのあまりに雑な方法で説得しようとする黒井先生に対し、酔っ払ったイノさんの、言葉一つ一つが説得力があった。『口じゃ上手く言えない気持ちを文章で伝えよう』凄い説得力のある手紙の授業。イノさんのラブレターへの返事を、言葉で説得しようとしちゃダメでしょう黒井先生。教師は絶対の存在ではなく、学校は教師が生徒に勉強を教え、教師も生徒から人生を教わる場なんだなぁって思ったわ。 イノさんの死について語り合うホームルームに、学校で過ごす時間の、何が大事だったかの多くが集約されていた気がする。社会に出たら目的のある会議とカタチだけのミーティング、あとは酒の席だからなぁ。懐かしいなぁホームルーム。答えがない時間の如何に大切な事だったか。あと給食美味しそうだった。 あ、でも奈良の起源がウリナラにはビックリしたけど、やっぱりデマでした。この時代、自虐史観とか君が代不起立とか、教育現場が可笑しな方向に舵取りしてた時代だったなぁ。[インターネット(邦画)] 6点(2023-11-04 02:06:20)《改行有》

115.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 シリーズ25作目。ここらで半分折り返しです。オープニング、華麗な身のこなしをするねずみ小僧。寅の役をスタントマン(だよね?)が演じるのは本作が初じゃないだろうか? 前作でひっそりと初の海外ロケをした寅さんシリーズ。本作はいよいよ沖縄。飛行機嫌いの虎さんも沖縄は初上陸。まだ戦争の名残りが感じられる米軍基地と、チンプンカンプンな琉球語。日本であっても異国情緒が色濃く出た作品です。 ここ最近(個人的に)低空飛行だった寅さん。もしかしたら、この辺でシリーズをお終いにする考えがあったんじゃないでしょうか?そうなるともう、寅に一番近いマドンナ・リリーに再登場願うしかなかったのかなぁ?って。本作を含めてリリー3部作と呼ばれているそうですが、前作“相合い傘 ”で、十分綺麗にまとまっていたと思えます。 リリーとは、最北の北海道で出会い、最南の沖縄県で再会するのは上手な〆方です。またTVシリーズの最終回も沖縄だったとのことで、益々最終回感を強く感じます。寅と一番相性のいいリリー。夫婦のような同棲生活をするふたり。リゾート感満載の沖縄での生活は、まさに夢のようなひと時。現実世界では消して結ばれることのない、でも相思相愛のふたりにとって、本作自体が夢物語のようなポジション、リリー前後編の番外編ポジションのように思えます。 悲しいのは、この同棲の中でも、寅は一人でふらりと遊び歩く毎日。終いには些細なことで大喧嘩してしまいます。夢の世界でさえ上手く行かないふたり。当然、現実世界で上手くいく筈もありません。 「リリー、俺と所帯持つか?」寅がこれほどしっかりと、言葉に責任を持って、真剣に告白するのって、本シリーズ初じゃないでしょうか?冗談として返すリリーが“相合い傘”のアンサーにもなってますが、このシリーズ全体の寅次郎の結末にも思えます。 旅先のバス停。爽やかでカラッとした心地よい再会が、寅とリリーにとって結ばれる以上に幸せな関係に思えてしまう。 こんなの観せられると、これでシリーズが終わりだとすると「あぁ、綺麗に終わったなぁ」って思えたことでしょう。 だけどシリーズはもう半分続きます。そして私も観続けます。 数え間違いじゃなければ、本作まで観続けてるレビュワーさん、私含め16名。さぁこれからも楽しもう![CS・衛星(邦画)] 7点(2023-11-04 00:22:32)《改行有》

116.  風と共に去りぬ 《ネタバレ》 “Gone with the Wind”『行ってしまう』を『去りぬ』とするところに、当時の人のセンスを感じます。 タイトルの『風』って何でしょうね?自然に発生するもの。人に変化をもたらすもの。恋愛。家族。結婚。離婚。死別。戦争。発展。時代…どの時代でも変わらないもの。あぁ『川の流れのように』の『川』と同じような使われ方かな?日本人にも根付いた考え方で、とても共感しやすい発想ですよね。 2:30もの序曲から始まる、雄大、壮大なタイトルと激動の時代。時代の流れに翻弄される登場人物たち。雑草のようにたくましく生き抜く主人公。世界大戦が始まる年に創られ、日本では戦後復興後に公開された本作は、戦中戦後を生き抜いた人たちに多くの共感を持って受け入れられたことでしょう。 そして美しく奥行きのあるカラー映像。今観ても美しさを損なわない完璧な構図。テレビCMなんて無い時代、ポスターと広告の数点の写真、せいぜい観た人の感想しか情報が無い中、まるで“動く絵画”のような映像を劇場の大画面で観せられるんだから、観るものの度肝を抜いたことは容易に想像出来ます。 激動の時代と一人の女性の半生。まるでNHKの大河ドラマと連続テレビ小説をミックスさせたような物語。大河も朝ドラも共に'60年代から始まっているけど、この映画の影響ってかなり大きかったんじゃないかな? 映像の美しさは文句なし。キング・オブ・カラー映画とも言える本作。私は公開から60年近く経って観た訳だけど、まず想像と全然違ったスカーレットの人物像に驚いた。何とまぁワガママで自分本意な女だろう?これじゃ朝ドラの主人公としては大不評だろう。 そして南北戦争を題材にしているのに、戦闘シーンはほぼ皆無。せっかくのスケールの大きさも、後方の負傷兵と焼けた街ばかりが目に入る。これじゃ大河としてパッとしない。今なら映像美だけの映画扱いされそうだけど、それでも、ウケた。 スカーレットの生き様に共感した、当時の女性の支持が大きかったんだと思われます。 ウーマン・リブが叫ばれるちょっと前の時代。映画の中ではもっとずっと昔の時代。誰と結婚しても好きな男のことだけを考え、子供が生まれても“オンナ”を捨てなかった女。このオンナ像は当時の女性たちに、センセーショナルに受け入れられたことでしょう。 天使のようなメラニーを男社会の世の理想とするなら、自由奔放なスカーレットは当時の声なきオンナたちの理想。 有名なポスター観てください。レットがスカーレットを抱いた構図。『美しい女を捻じ伏せるハンサムな男のラブロマンス』に見える。たくましいレットと、か細いスカーレットの肩幅の違いを強調しつつ、最後の最後まで振り回されるのはレットの方。 男社会の中『主人公には共感できないけど、映像は凄い大作映画』を隠れ蓑に、世の女性たちは、声を出さず、したたかにこの映画を支持し、自分の中のスカーレット(=オンナ)を育んでいったに違いない。[DVD(字幕)] 8点(2023-11-03 11:46:02)《改行有》

117.  男はつらいよ 寅次郎春の夢 《ネタバレ》 シリーズ24作目。オープニングが寅さんにしては珍しい、太ももムチムチの健康的なお色気路線。 公開時の決まっている長期シリーズなので、想像通り色々試行錯誤、マンネリ打破、五里霧中(?)な中で、日米対決を持ち込むのも頷ける。シリーズ初のガイジン絡みの作品…と言われたら、マドンナが青いお目々の金髪さん。ってのを思い浮かべそうだけど、茶色の一張羅スーツに大きなトランク。アメリカ版フーテンの寅みたいなオジさんが出てきた。 ぶどうの一件は良いとして、タイガーからの一悶着はちょっと強引だなぁ。マドンナは香川京子。50歳近い寅次郎にとって、娘の林寛子の年齢の女性は、ハナっからマドンナ候補から除外される様になったのかな。どちらにしても2人ともマドンナとしての印象は薄い。大工の棟梁との一悶着は面白かった。 本作は寅とマドンナの話はサブ扱いで『さくらに恋するマイコさん』の話…というか、『さくらに告白するマイコさん』の話。と言うべきかも。一作目以来のマドンナ=さくら回。 大空小百合、準レギュラー格では、もう登よりも多く出てるんんじゃないかな?(※岡本茉莉は登を超える回数出てるけど、小百合はまだそこまで)。蝶々夫人の倍賞千恵子“本気の熱唱”がとても凄い。伸びのある歌声は流石の一言。 言葉の通じない日本でつらい営業周りの毎日。とらやの面々に優しくされ、ついついさくらにそんな感情を抱いてしまったんじゃないかなぁ。マイケル、さくらへの気持ちはどこまで本心だったのか。 マイケルの「I Love You」の回答として、片言英語しか喋れないさくらが、突然の告白に驚きつつも、精一杯マイコさんの気持を考えて「This Is Impossible」と伝える気遣いが温かい。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-29 23:40:02)《改行有》

118.  風立ちぬ(1976) 《ネタバレ》 百恵ちゃんと三浦友和の共演4作目。前作『絶唱』と同じく、死に別れる運命の若い男女の物語。 原作小説からのアレンジとしては達郎も徴兵されて戦争に行くというところ。お互いに相手を思いながら、自分の死についても向き合うという環境だけど、この設定が上手に活かされたかどうか。 出征のとき、電話で節子の父に、周りに聞こえないよう受話器を抑えて、生きて帰ることを約束する達郎。一方で節子の訃報を聞き逃した達郎への優しい嘘。当時は戦場には死にに行くもの。たった今、娘を亡くし、婿になるはずの達郎も、帰るあてのない戦場に行く父の辛さ。 このタイトルから、どうしても宮崎駿の映画と比較したくなってしまうけど、観たの公開時だったから、忘れてること多いしなぁ。改めて観てからにしよう。でもどちらも太平洋戦争期に時代設定をアレンジしているね。 百恵ちゃんと言えば『赤いシリーズ』の印象が強く、本作も結核という病が2人を引き裂くところなんか、想像したまんまだ。 不治の病モノは当時の流行りだったかもしれないけど、日本の文学をアイドル主演で映画化し、若者にはとっつきにくい文化を、親しみやすく継承する試みとしてはアリだとも思う。[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-24 01:14:04)《改行有》

119.  男はつらいよ 翔んでる寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ23作目。マドンナが桃井かおりと来たら、どうしてもハンカチを連想してしまうし、2作前の武田鉄矢が出た『寅次郎わが道をゆく』を連想してしまう。もうね、1作挟んで武田→桃井ってキャストだけ決まってて創ったような、ゲスト人気でお客さん呼ぼうって、何とも安易な考えで創ったんじゃないか?って不安がよぎる。 当たらずとも遠からず。舞台は北海道。桃井演じるひとみが人生を見つめ直す一人旅。やすやすと男の車に乗ってしまい、襲われる始末。助けに入るのは健さんでなく寅さん。ここまでするなら、いっそ寅とひとみの北海道から柴又までのロードムービーで一本創ってしまうのも、セルフパロディで面白かったかも?そうするととらや一家がほとんど出てこなくなるけど。 ウエディングドレスで結婚式を飛び出して…画的なインパクトは凄いけど、それだけで終わってしまったような。 布施明もマドンナの相手役としてはどっちつかずな使い方で、何が良くてひとみと結婚したのか、何が良くなくてひとみは飛び出したのか、パンクな若者の行動を、浪花節な寅さんワールドがとりあえず相性は別にして包みこんでしまった感じ。 『布施明だし、歌でも歌うんだろうか?』と思ったら、思ったとおり歌ってたわ。観客の期待するものを観せるのも映画かもしれないけど、そのまんま過ぎる気がしたわ。 いつになく穏やかな寅の帰省は良かった。でもせっかく良い感じの家族団らんをぶち壊す満男の三重丸の作文は、なんか無理やりトラブルをねじ込んできた印象。源を折檻する御前様もちょっと違和感。 タコ社長のお見合い話は面白かったけど…あと当時の丸駒温泉は観られて良かったけど…シリーズ50作もあれば、こういう回もあるんでしょう。[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-24 00:23:27)《改行有》

120.  カサブランカ 《ネタバレ》 “Casablanca”邦題まま。モロッコの大都市。当時はフランス領で、戦時中は仏が独に占領されたため、ヴィシー政権下。 学生時代、ハンフリー・ボガート(ボギー)って名前だけは結構知られていて、映画観たこともないのに、渋くてかっこいい男の代表みたい扱いだったわ。 名台詞『そんな昔のこと覚えていない』『そんな先のことは分からない』、そして『君の瞳に乾杯』は、40年以上経った日本の高校生でも知ってました。もちろん映画から直接でなく、バラエティ番組や漫画からとかだけど、それでも凄い浸透具合。 初見は割と最近。バーグマンとボガードではかなり年齢差を感じてしまったけど、ボギー当時まだ42歳か、あの渋さで私より年下か… さて劇中4回も出てくる『君の瞳に乾杯』(※私が観たDVDでは1回めは『謎の美女に乾杯だ』だった)。“Here's looking at you, kid.”は「君のような可愛い子を見つめることが出来ることに(乾杯!)」みたいなセリフですね。つまり『君に逢えた(これから先の)俺は、なんて幸せなんだろう』って意味だと思いました。1度めは出会った時。2度めはパリを旅立ち結婚しようとした時。ともに回想シーンです。 3度めは現代のカサブランカで、ラズロとの間で揺れ動くイルザに言うセリフ。自分のもとに戻ってきたイルザに言うので、復縁の意味にとれますが、リックの表情を観ていると、前2回のように笑顔はありません。自分が今後どうするべきか、頭では解っていたんだと思います。 そして4度め、別れのシーン。パリの思い出を胸に生きていく事を決めたリック。イルザの居ないカサブランカで、ずっと時が止まっていたリックが、いよいよ、この狂った世界で自分がするべき事の為に立ち上がります。 “As Time Goes By”『時が経っても』イルザに逢えた幸せは失われない。という考えに至ったんでしょうね。 プロパガンダ映画として、自分の国土を守るためとか、直接的な利益が手に入らないながら、ヨーロッパでの戦争に参加するアメリカの立場として、正義という名の美学のための参戦というのが、イングリッドの次回作『誰がために鐘は鳴る』と被る部分だわ。 ドイツ軍人の合唱「ラインの守り」を打ち消すフランス人たちの「ラ・マルセイエーズ」の大合唱。シンプルながら自国を思う気持ちを高揚させる。[DVD(字幕)] 7点(2023-10-23 23:50:03)《改行有》

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