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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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101.  若おかみは小学生! 《ネタバレ》 千と千尋を観て、そう言えば去年録画したこの作品、シチュエーションが似てるかもな?と、改めて観ることにした。 結構グッと詰め込まれた感。絵は丁寧で綺麗だし、アングルも工夫されていて人物も活き活きと描かれている。 もう何と言ってもピンふりの魅力に尽きる。衣装や存在の面白さが目を引くけど、同級生たちが煙たがりつつも認めざるをえない才能と、ひたむきな努力。彼女は小学生ながら、自分の高級ホテルだけでなく、花の湯温泉郷全体の今後を考えている。 ついついトゲのある言い方をするけど、それは自分の真剣さの裏返し。 花の湯に来て数ヶ月のおっこと春の屋旅館が、旅行通が好みそうな雑誌に取り上げられたけど、嫌味や妬みの一つも言わない大人なピンふり。 ピンふりはおっこよりもっと先に、じゃらん的な浮いた雑誌に取り上げられるべき名物女将になっても不思議じゃないと思う。でもきっと、派手な見た目に反して、裏方的な控えめな努力をしてきたんだろうな。最後の客のエスコートの仕方に、客と春の屋、そしておっこに対する最大級の気配りが感じられた。 両親を亡くしたおっこが、ピンふりやグローリーさんと触れ合いながら、小さな旅館の女将として成長していくドラマか。巻数の多い児童文学が原作だそうだから、きっと私のイメージ通りの作品なんだろう。 原作とかTV短編とか、きっと面白いんだと思う。ただこの映画の構成がどうも引っ掛かってしまう。 出だし、ほのぼのしたお祭りとおっこの家族団らん。神楽の最後、不気味さを見せる狐面…神様の舞なのになぜ不気味に?その直後、全てを奪い去る交通事故…予想外過ぎて心臓がパクパクしたわ。 グローリーさんとのドライブで急に事故のフラッシュバック。それもかなり細かい描写で…えぇ~このタイミングで入れてくるの? そして最後の客が事故の当事者。これは、小学生の女の子には、というか遺族には残酷すぎる。 最初と最後と中間に両親の死を挟む。これが万が一にも実話なら納得だけど、あくまで人が作った物語。長い作品(原作)の1エピソードだったら解らなくもないけど、90分くらいの短編映画の主題としてこのエピソードを選んだ訳で…なんか水曜日のダウンタウンのドッキリ企画並みに悪趣味に思えた。 事故から1年も経ってないのに、峰子女将は息子夫婦を死なせた相手の名前を忘れて予約を受けたのか。事故の加害者の妻は被害者の葬儀に行くだろうし、そのときの喪主はお父さんの母である関峰子になると思うけど、加害者のこと気にしてなかったのか? 加害者夫婦も、唯一の生き残り、小学生の女の子が、その後どこに行ったのか気にしなかったのか。花の湯温泉方面から家に帰る高速で事故が起きたのに、なぜ加害者夫婦は花の湯温泉を選んだのか? 雑誌にはフルネームでなく“おっこ”って出たとか、女将が宿帳で気がつくとかあったけど、もうこの映画のメインが“おっこを容赦ないトラウマに向き合わせてみた。”に思えて、他のほのぼのした魅力的なエピソードが吹っ飛んでしまった。 そうなるとまた、余計なものまでが色々目に付いて、例えばおっこが1人で、誰もいない家を出ていくシーン。親族とか近所の人とか誰も手伝わないの?友達は見送らないの?小学生が独りで花の湯温泉まで行くの? うり坊とかみよちゃんとか鈴鬼とか、精神的にショックを受けた子が創り出した、いわゆるイマジナリーフレンドなの?とか。 そうなっちゃうともう、子供向けにしてはグローリーさんの入浴セクシー・ショットが多すぎない?とかまで… う~ん…皆さんの高得点も納得なんだけど、この作品を好きな私と、この構成を嫌いな私が出てしまう。[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-08-12 02:40:22)《改行有》

102.  タクシー運転手 約束は海を越えて 《ネタバレ》 親ひとり子ひとり。タクシー運転手と乗客の、一期一会のほのぼのした映画…と思いきや韓国の黒歴史の映画でした。 光州事件。この映画を見るまで知らなかった。 1980年といえば割と最近の出来事、8年後にオリンピックをやる国で、同じ民族に銃を向ける事件があったなんて… 政治に無関心なキム。大金のために人の仕事を横取りとか、面倒に巻き込まれたくないからUターンとか結構酷い。 当時の10万ウォンは37万円くらいらしい。こりゃ大金だけど、命をかける金額かというと… 危険には目を瞑って光州に行くキム。ソウルから光州まで270kmくらいだって。結構な距離だな。 緑のコロコロしたタクシーが可愛い。小さいなぁ、Nワゴンの方がデカイんじゃないかな?60万kmも頑張ってるのが良いね。 でもあの車でソウル→光州270kmはキツイ。 光州の町並みは、荒廃して無人で不気味だけど、どこか懐かしさが感じられる。日本で'80の町並み再現の大変さを考えると、CGなのかな?よく出来ている。 光州の人が良い人ばっかり。おにぎりくれたり、タクシー直してくれたり、泊めてくれたり。こういう細かい描写から、キムとピーターが感じる事件の怖さと軍に対する怒り、同胞が傷つけられる悲しさが伝わってくる。 殴る蹴るの暴力が、人に銃口を向けるまでに発展。キムと光州のタクシー運転手たちが、自分に出来ることを命掛けで行うのは観ていて辛い。あんな緑のコロコロした小さい車で、軍のライフル銃を防げるとは思えない。ファンさんは無事だったんだろうか? でも無事帰れて、無事ウンジョンに会えてよかった。大家さんも娘に優しくしてくれてよかった。 最後にピーター本人が出てきて、この物語もある程度実話をベースにしていることが解った。 でもなんで、偽名使ったのかな。保身のため…かなぁ?信頼は海を超えられなかったか?(※解決済み) カーチェイスはともかく、東京のホテルで提供されるサッポロラガーのラベルが当時の楕円形のものなのが再現度高い。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-08-09 23:17:24)《改行有》

103.  ターミネーター:ニュー・フェイト 《ネタバレ》 ~Dark Fate~暗黒の宿命。何故か日本ではニューフェイト(新たな宿命)になってた。順番で言えばターミネーター6にあたる作品。 制作にキャメロンが入ったってことで、期待感が高まった。 冒頭、サラ・コナー若くないか?…そしてあれは、ジョンじゃないか!エドワード・ファーロング演じる、私たちのジョン・コナーじゃないかっ!! もうね、冒頭5分、28年ぶりに本物のジョンを観られただけで1800円払った価値があったね。 ジョンが殺されたことはショックだったけど、完璧なものの続きを作るっていうのは、こういう、観る側にも痛みを伴う事なのかもしれない。 かつてエイリアン3で、キャメロンは自分が作った(私たちが)愛すべきキャラクターを3人も殺された。自分が残した希望を、別な監督に抹殺された。 他人の手によりこねくり回され、無職の空き巣や、砂鉄のラスボスにされた不遇な英雄ジョン・コナーを、本作では生みの親の手によって美しい姿のままで殺した。『どうして2で終わってくれなかったんだ?』と言わんばかりに。 劇中サラが「ジョンの写真1枚持っていない」って、新作の度に顔が変わるジョンに対するキャメロンの皮肉に思えた。Dark Fate=暗黒の宿命か… 3を彷彿とさせる骨格とリキッドメタルの敵ターミネーター。半分人で半分機械、サルベーションのマーカスを思わせるグレース。ジェニシスから加わった年とともに老ける設定のT-800。本作では過去の失敗を全否定するのではなく、過去の良いところを上手く取り入れて昇華していると思う。 新たなジョン・コナー≒ダニー。新たなスカイネット≒リージョン。次に続きそうだけど絶対次はないだろう。 輸送機でのアクションとか凄いんだけど、何が起きてるかよく解らないのが今風。可能なら市街地カーチェイスとか、年寄りにもわかるベタなアクションにしてほしかったかな。 リンダ・ハミルトンって、ターミネーター以外に大きな当たり役がないし、出演本数も多くはないんだけど、本当にすごい女優だ。あの年齢であの筋肉、あの風格。1本のシリーズで全部出しきってる、大女優。 しかし、シュワもリンダも歳をとったなぁ。 劇場で、シュワたち一行が山小屋を出る辺りから、ポツポツと席を立つ人が…映画が詰まらない訳じゃない、トイレが我慢できないんだ。 私たちファンも、歳をとったなぁ…[映画館(字幕)] 8点(2021-08-06 00:40:13)《改行有》

104.  ターミネーター:新起動/ジェニシス 《ネタバレ》 ~Genisys~Genesis(創世記)をモジッた造語。架空のコンピューター・システム名。 この作品は日本でも英題でも“ターミネーター5”とは呼ばれない。 シュワルツェネッガー本人が久々にT-800を演じるとのことで楽しみにしていたけど、リアルタイムには観られず。 初見はテレビでやってたのを録画して観たんだと思う。今回DVDで見直したけど、内容殆ど忘れてた。 「誰だお前?そして、お前は誰なんだ??」スタートレックTNGのオブライエン似のジョン・コナー。せっかくクリスチャン・ベールで納得していたのに、これは無いだろう。しかもちょい役ではなく敵側のボス・キャラとか、これはあんまりだ。 カイル・リース。『ハイスクールではクォーターバック。週末はジム通い。昼食代わりにプロテイン飲んでるぜ』みたいなマッチョ・ゴリラがカイルだって?カイルと言えば生傷だらけで、細いけど無駄のない締まった身体、影のある疲れた表情だろう。こんな、どう考えても色っぽい作業(合体)に不向きなゴリ…カイルに、1984年の草食系なサラが惚れるとは思えない。 タイムスリップ直前まで、焼失したはずのサラの写真を持っているカイル。あぁ…この作品は3や4の続きとか以前に、1とも繋がってないんだ。って解釈。これはもう、5とは言えないわ。 タイムトラベルしてからは間違え探し的な再現度の高さで、とても見応えがある。フォークリフト付きのトラックの黒人おじさんお久しぶり。ゴロツキ3人組も出てきた。4よりリアルさを増したシュワのCG。もう1人老けたシュワが出てきて…おぉ!面白い! サラもかなり変わっちゃったけど、9歳から鍛えられてたら顔も引き締まるってことで、納得しておこう。 T-1000も『銃では倒せないけど、当てることで動きを止められる』表現が良く出来てたと思う。このT-1000を倒すまでは合格点。 ここから未来へタイムトラベルが訳がわからない。このタイミングで未来に行ったら、まだカイルと“合体”してない訳だからジョンは産まれないよな…。2017年でジョンが産まれても意味ないよな… それとT-800を一体捕まえてチップ奪えば、タイムマシンがチョチョイと出来るわけ??本作まで少なくとも3体も奪われてるんだから、抵抗軍もタイムマシン使い放題じゃん。 それ使ってか、突然現れるジョン(推定45歳)。サラはまだ子供を生んでないから、未来の子供(歳上)が出てきても、どんな感情で迎えるんだか…2017年に行って、更に老けたT-800は面白かったけど…う~ん。 ジョンとダイソンの息子が出てきたけど、2が存在しない時間軸だから、ジョンとダイソンの子は、子供の頃会ってないんだよな… 今度はジョンがターミネーターに!…って、こんなことしたらもう末期だ。 この砂鉄のジョン・ターミネーター、なんで2017年に来てカイルやサラの命を狙うのかイマイチ解らない。なんで?今二人を殺したら、何かあるの? 最後はT-800がT-1000のリキッドメタル機能を手に入れて終わり…何だこれ?どの辺の層にニーズがあったんだ? T-800をアップデートしたり、英雄ジョンを悪人にして殺したり、サラを肉食系美女にしたり、カイルを役立たずにしたり…迷走極まれり。って感じ。 1を観た当時はカイルとサラの逃避行が成功するよう、心のなかで何度も祈ったけど、今作の生存ルートは、別な人たちの別なお話だ。[地上波(吹替)] 3点(2021-08-05 23:46:41)《改行有》

105.  IT イット “それ”が見えたら、終わり。 《ネタバレ》 スタンドバイミーをグーニーズで味付けしたような“少年少女のひと夏の冒険もの”としてよく出来ている。 いじめられっ子達が何となく集まって、それはそれで楽しそうに夏休みを過ごす。下水道に入っていくのも冒険だけど、薬局から万引するのも冒険だ。湖の場面は特に良かった。あの高さから飛び込む勇気ないわ…目の前に下着姿の女の子が寝てたら、見るよなぁ。少年少女の夏だなぁ。 いじめっ子がナイフで傷付けるのは、ちょっとシャレにならないレベルだけど、そのやり過ぎ感があったために、マイクを助けるのにみんなで石で撃退する時はカタルシスがあった。 いきなりジョージーの腕を食い千切るとか、マイクの観る火事で扉が開かない悪夢とか、うわっ…て思えて期待感が高まった。 ペニーワイズやその他の怪現象は、凄いんだけど、怖いかと言われると…美麗なCGのせいかもしれないけど、生っぽさと言うか、自分もその場に居る。怖い。逃げたい!というライブ感が感じられなかった。 何というか、少年達に起きた怪奇現象を、安全な場所で、モニター越しに観ている感じが付きまとってしまった。つまり映画に入り込めなかったのか。歪んだ人物画が動いたら怖いだろうなって思うけど、CG映像で見ると怖さ半減。ペニーワイズが巨大化したり、大口を開けるシーンなど、映画に入り込めていたら、目を背けたくなるシーンだと思うけど、むしろ『へぇ~、口の奥の方こうなってるんだ…』みたく、恐怖の体験者ではなく視聴者(≒安全にじっくり観察する立場)に引き戻される。映画館の大画面で観ていたら違ったかもしれないけど… ビルとベンの間で揺れ動くベバリー。リッチーの下ネタジョーク。エディとママの関係。こっちのドラマパートを延々と観ていたかった。[DVD(字幕)] 6点(2021-07-17 11:14:01)《改行有》

106.  アンダー・ユア・ベッド 《ネタバレ》 大学の授業中、千尋に名前を呼ばれたときから、期間を開けて交番で千尋に名前を呼ばれるときまでが、三井が存在できた期間。 それ以前もそれ以降も三井は忘れられた存在になる。 大学時代、彼女のアパートに水槽を置く時、腕に胸が当たって驚く(シチュエーションそのまんま)。千尋を暴力的な彼氏から守るため、サーモスタットで電気ショックを充てる(スタンガンを旦那に充てる)。夕焼けの部屋で千尋を抱く(風呂場から救出して温めた事がモトだろうか?)…これら思い出は、自首して以降、千尋との接触をモトに三井が創り出した妄想なんだけど、千尋と(例えば出所後の)自分の未来を想像するとかでなく、あくまで幸せだった過去の瞬間を徐々に盛って美化していく作業しか出来ないのが、この主人公の闇の深さ。 ベッドの下に潜り込む変態なんだけど、ドン引きするような突き抜けた変態さより、香水の香りとか引き伸ばした千尋の顔写真のコピーの美しさとか、哀愁と純愛も感じさせるところで、この主人公の行く末を最後まで見守る価値のあるものにしている。 風呂上りの千尋の裸はけっこう綺麗で、ここ最近、痣が出来るほどの身体的なDVが激しくなっていったんじゃないかな?って思う。 突然リビングに置かれたグッピー水槽に文句を言わないDV旦那の謎。ああ言うのは許せる人なのか? ちょっと残念なのは最初の盗聴の、アレしてる時の生々しい音。喘ぎ声は構わないけど、何というか、アダルトビデオじゃないんだから。これは映画なんだから、安直に生々しい音を垂れ流すのではなく、何かもっと別の表現方法を思いつかなかったものだろうか。[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-06-22 22:47:46)《改行有》

107.  ダイ・ハード/ラスト・デイ ~A Good Day to Die Hard~『頑強に抵抗するには良い日だ。』インディアンの死生観を表すことわざをもじったもの。ちょっと陽気でハッピーな原題を、なぜわざわざラスト・デイという邦題にしたのかは疑問。作品の出来のイマイチさから、最終作を印象付けて観客動員を稼ごうとしたのか… 5年くらい前にTVでやってるのを観ました。せっかく1~4まで見直したのに、5は手元にないし、借りたり買ったりするほど面白かった記憶もないので、なにか余程の機会に改めて見ることがあれば、きちんとネタバレでレビューしたいと思います。 3でスピードやリーサル・ウェポンっぽさを取り入れ、4で-24-っぽさを取り入れ、今作では007やミッション・インポッシブル、ボーン・シリーズっぽさを取り入れようとしたのかな?って思いました。そのせいでダイハードっぽさが相当薄まった印象です。 1と5だけ観ると、同じ設定上のキャラクターとは思えません。[地上波(吹替)] 4点(2021-06-20 22:39:38)《改行有》

108.  聖の青春 《ネタバレ》 将棋素人の私が村山聖という人物を何となく知っていたのは、羽生の効果だろう超有名・大人気だったもんな。 村山は少女漫画が好きで、爪や髪を切らない。少女漫画の主人公のようなサラサラヘアになりたかったのかな? 上京の時、女子向きマンションを選ぶけど、似合わないと言われムッとする。内面は女性的で繊細なのかもしれない。 羽生と村山の食堂のエピソード。店主の反応がまさに私のような一般人のそれだろう。 この食堂は竜王戦の会場から歩いていける距離にあるから、将棋関係者もよく来ると思う。 “よしのや”。牛丼の前フリもあるから、村山は前日、適当に店の名前で選んでたんだな。 全然趣味の話が合わない二人。会話が積んだとき、食堂のおばちゃんのお尻をぼんやり見てから結婚の話に流れるくだりはとても上手いな。 畠田理恵との結婚が話題になった羽生に、その話ではなく『結婚して死ぬまでに一度で良いから女を抱いてみたい。』と自分の本音を話す村山。 お金はあるんだろうが、風俗とかでなく大好きな少女漫画のような恋愛をしたかったんだろう。そしてゴールは結婚。 古本屋の店員さんとのエピソード。金はあるだろう彼が、ちょくちょく古本屋に通った理由。残念ながらもう一歩先には進めなかった奥手の村山。 いや現実はもっと、それ以前の関係でしか無かったかもしれない。 手術を拒んで(ゴネて?)いたのも、彼の気持ちを表していたように思う。 将棋は出来ても男性機能は失う怖さ。結婚したいから手術は嫌だって言えない繊細さ。 食堂で本音を話す村山に「あなたに負けて死ぬほど悔しい」と本音で応える羽生。…羽生さんこんな事、人に言うんだな。 手術を受け、結婚・女を抱く事を諦める。二つの夢の一つ、彼の青春への思いを捨て、爪と髪を切り、名人を目指す決心。 羽生との対局。破れてからの最後の5局。どれほど凄かったことだろうか。 丁寧に作られた映画だから、対局の優劣が将棋盤を見て分かる人と、当時の棋士に明るい人なら、より楽しめる映画だと思う。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-06-11 09:53:30)《改行有》

109.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 ~Bohemian Rhapsody~伝統や習慣に囚われない狂詩曲。クイーンという独創的なバンドと、フレディ・マーキュリーの生涯を表すに相応しい曲名にして、映画タイトルだと思う。 ロックが世界の音楽の最先端だった60年代。クイーンが活躍した70年代は、アルバムと世界ツアーが成功の証だった。パンクやテクノが馴染んできた80年代、売れるロック(産業ロック)とポップスが音楽の中心となり、映像と歌が両方楽しめるMTVが登場。 日本ではヘビメタ、ハードロックが大ヒットし、90年代グランジとブリットポップが登場し、音楽の好みが細分化。 世界中誰でも知っているロックバンド・シンガーは消えた2000年代以降。レディー・ガガがポップアイコンとして登場。現在、EDMがそこそこ流行。EDMとか最近の音楽はパソコンで作るものもあるそうで、楽器が弾ける人が流行りのPCの音楽を聞くと、腕がもう一本無いと弾けない音が出てたりと、なんかちょっと、気持ち悪いらしい。 でも、クイーンが今もバリバリ現役で活躍していたら、ラップやPCの音楽も積極的に取り入れたんだろうなって思う。 前置きが長くなったけど、この映画はクイーンのデビューから最盛期(末期)まで、ロックが社会現象になった最後(?)のイベント、世界同時中継のライブ・エイドまでを描いている。 ロックシンガーが社会的影響力を持ち、カリスマ化され、演奏と歌の良し悪しで評価されていた時代。音楽がアナログな手法で作られ、全てに人の手が入り、人が演奏し、人が操作するライブの生々しさと手作り感、当時の熱気、観客のロックへの情熱がよく伝わる。 クイーンとフレディの実話を、ノンフィクションではなく、整理・ディフォルメして描かれた作品で、実際の出来事の順番が前後してたりするそうで、違いを探すのも面白いかもしれない。特にポールがかなりの悪人として描かれていて、実際はどうだったのか?とか。 当時はエイズに関する知識も広まっていなくて、まだ“変態行為の代償”くらいの間違った認識も強い時代。フレディが仲間にエイズを公表したあと、映画みたいに頬にキスやハグが出来たのかなと、気になったりした。 だけどこの映画は、クイーンのロック映画として、スカッと楽しむのが一番正解だと思う。 『Bohemian Rhapsody』『We Will Rock You』『Another One Bites the Dust』名曲誕生の秘話。手作り感。 何よりぽかんと口を開けたブライアン・メイのブライアン・メイらしさ。良い意味でジョン・ディーコンの普通の人っぽさ。 当時ハイランダー観て感動して、アルバムまで買ってしまった『Who Wants to Live Forever』が結構長く掛かって嬉しかった。 大好きな『Killer Queen』は制作秘話とか一曲垂れ流しで30分くらい流してほしかった。 足が長く長髪で、少女漫画の王子様みたいなクイーンは、当時の日本で人気が爆発。特に女の子に人気だったそう。映画ではヒットするまでが短く、フレディもすぐ短髪ヒゲ顔になるけど、ビッグ・イン・ジャパンの先駆けとして、やはり日本は入れてほしかったな。 …そんな事言ってたら映画一本に収まらないか。良いなぁ。やっぱりロックは良い。[映画館(字幕)] 8点(2021-06-05 17:31:10)《改行有》

110.  岸辺の旅 《ネタバレ》 ピアノ講師として生活していた瑞希。突然3年前に失踪した夫が死人となって現れる。 失踪中、優介が世話になった思い出の地に旅立つ瑞希。 死後も新聞配達を続ける島影。廃墟となった彼の事務所に、瑞希はどう思ったのか。…この辺で“瑞希も実は死人なのでは?”と思った人もいるのでは? 教え子の母親にダメ出しされ、孤独な死を迎えた彼女に、死んだ優介が会いに来る。旅の途中、優介が話しかける駅員も、電車の親子も死人。 死を受け入れていない瑞希は、島影の事務所が廃墟になっているのが見えて驚く。だけどそれを優介に問いただしたりしない。 …それだと、何となく辻褄が合うかな?と思ったら、次の中華料理屋は「俺と違って瑞希と同じだ」という。生きている人? 死者と生者が共に暮らす世界だとしたら、どうして優介は3年も戻らなかったのか? 瑞希の寝起きから始まる帰宅、どれだけ家を留守にしたのか、貯まった手紙に枯れた植物。なぜ、手紙も見ずに寝たのか? 朋子に「優介は生きている」と嘘を言う瑞希。「想像通りの奥さんで拍子抜け」朋子の憎たらしさ。 農村で突然、光だビッグバンだの科学の話。…面白いかもしれないけど、あんな多くの老若男女が興味を持つ話題だろうか? 滝で父親が言う「アイツがお前にしたことと言ったら…」「あの男の事は忘れろ」???? これは、やはり瑞希も死んでいるんじゃないだろうか?死者と生者の話ではなく、すべて死者なのでは? 死を受け入れていない地縛霊と、優介のように受け入れても成仏できていない霊たちの話だとしたら… そして行き先が、簡単に言えば天国と地獄があって、中華料理屋の夫婦は、瑞希と一緒で天国に行ける地縛霊。 優介や朋子、農家の息子はきっと、地獄に行く地縛霊。中華料理屋の妹や瑞希の父は、もう成仏した霊。 瑞希が死なないと優介は現れる事ができなかった。瑞希の帰宅が寝起きから始まる=霊の移動はバスとかでなくても出来る。 優介は、農家の息子が妻にしたように、瑞希を自分の行く地獄(?)に連れて行こうとした。 だけど心変わりをする。あれ程拒んでいた性行為は、別れの儀式的なものとか。 …と考えれば、このモヤモヤした話はストンと落ちないだろうか?生と死の別れの話でなく、死後の天国と地獄の別れの話。 …こんな時間にお酒飲みながら書いてるから、自信は無いけど、“岸辺の旅”の岸辺って、三途の川の川岸の事とか。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-05-30 02:36:48)《改行有》

111.  海街diary 《ネタバレ》 原作未読。4姉妹もの。 みんなタイプの違う美人で、あまり顔が似てないから、実はみんな異母姉妹とか裏設定があるのかと思ったけど、そういうのは無いみたい。 3人座るとき、長女・幸は正座。次女・佳乃は女の子座り。三女・千佳はあぐらときた。 絶対末っ子すずも座り方変えてくるなと思ったら、食卓を囲むときは正座だけど、普段は体育座りしてるようだ。 千佳は(夏帆自身がそうだけど)左利き。きっとズボラな母親は利き手を直す気がなかったんだろう。 電話が来たとき、幸は佳乃に出ろと。佳乃は千佳に出ろと。で、すずには振らず自分で出る。細かいけど末っ子と一人っ子の差が描けてるかなと思った。 家では一番しっかりしてそうな幸が、不倫という一番世間に顔向けできない事をしてるのがリアルだし、普段はだらしない佳乃が、上司と外回りで食堂に行った際、私情を出さずにきちんと敬語で話す姿もリアル。 札幌に住む母親(大竹しのぶ)の三姉妹のお土産が、包み紙から札幌三越デパートかな。 すずには、六花亭セットとマルセイ・バターサンド。北海道のものだけど、案外どこでも手に入るので、急遽空港で用意したと思われる。 そんなに高いものじゃないし、そもそもすずのために買ったのかも怪しい。三姉妹と値段の差を埋めるために2つにしたのかな?とか、そんなところもリアル。 あと広瀬すずは本当にサッカーが上手いんだな。素人の動きじゃない。 イベントと言えば葬式と法事ばっかりの映画だけど、極端に暗くならず、大喧嘩とか大事件も起こらず、案外ずっと見ていられる映画だった。 ~Our Little Sister~という洋題?サブタイ?が付けられている。若草物語(Little Women)を連想させつつ、意味は“私たちの末っ子”。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-05-21 15:01:34)《改行有》

112.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 ~Black Swan~黒い白鳥。現実には存在しないもの。日本の白いカラスみたいなの。『そんなの、黒い白鳥を探すようなもの(=無駄な努力)だよ』ってことわざ。 痛いシーンが多い。つま先痛い!爪割れ痛い!逆剥け剥がすの痛い!他人に爪切られるの痛い!くっついた足の指剥がすの痛い!背中からなんか生えてるのズルズル抜くの痛い!ガラスの破片痛い!観てて指さきがギューってなる。 真新しいトウシューズの中敷きを引きずり出し、厚い部分を切り落とし、縫い合わせ、叩きつけ、靴底に傷をつける。 清らかな少女ニナが一流のダンサーとして周りから変えられ、そして自ら変わっていく様は、まるでこのトウシューズのようだ。 ほぼ全ての場面で、鏡やガラスに映ったショットを多用しているのは、自分が常に観られている、他人にどう観られているか気になるという彼女の気持ちの現われで、彼女自身もまた、現実逃避的に自分を客観的に見ているんだろう。 鏡のないトイレの個室で、プリマに選ばれた喜びを携帯で母に伝えるシーンは、この映画で数少ない彼女の心からの喜びのシーンだったと思う。 鏡が多いのにカメラが映らないのは、当然なんだけど技術的に凄い。鏡張りの練習シーンでトマの後ろから鏡越しにニナを写すシーン。トマも映ってる。でも当然カメラは写ってないんだけど“じゃあコレは誰の視点?”って考えると、気持ち悪くなってきた。常にユラユラしてるカメラも気持ち悪い。 でも電車のオヤジが一番キモい。『口でイヤらしい音を出すセクハラオヤジの映画を観た』記憶だけあったけど…この映画だったか。[映画館(字幕)] 7点(2021-05-15 09:45:15)《改行有》

113.  東京家族 《ネタバレ》 私はまだ東京物語を見ていないのだ。だけどある程度のイメージは持っている状態での視聴。キャストがセリフを言うたびに切り替わるカメラ。置かれるセリフ。うん、うん、こんなイメージだと思う。 サザンの名曲を星野源が歌ったら、きっと想像も付かない味わいが出るんじゃないか?…なんて思ったのに、星野による桑田のモノマネだったらきっとガッカリするだろう。それも素人がカラオケで誇張して歌うレベルの、上っ面だけのモノマネだったら。 東京物語を観てない私にさえも伝わる小津監督のモノマネレベルの撮り方。…なのかな?何でこうしたこうなった。 その、観ていて疲れる前半を乗り切れば、充分に引き込まれる内容だと思います。 観光先は東京タワーでなくスカイツリー。(たぶん)当時最新のラジコンヘリのおもちゃで遊ぶ孫。3.11で町を飲み込んだ津波。そして復興ボランティアに参加した昌次と紀子。 家族の間でたらい回しにされる老夫婦。旧友の服部さんのアパートで廃品回収に運ばれていく、まだ使えるテレビや自転車。粗大ゴミ扱いされる昌次の愛車チンク。とみこの形見として渡される古い腕時計。 都会と田舎。古いものと新しいもの。スクラップ&ビルドを、広島から出てきた老夫婦と若い昌次と紀子の視点から、いろんな形で観せるが、それが単純に、懐古主義に偏重させない気配りは感じられた。 さっきまで話していた母親が、階段で倒れて、それっきり死んでしまう。母の最後と同じ日に紹介される未来の家族。 生前の母親の家族への振る舞い、無愛想な父が私の両親とカブってしまい、色々と思ってしまうところがあった。こういうのは反則だ。母の日が近いし、短時間でも顔見てこようか。 紀子を上っ面だけの理想のフィアンセにしなかったのが良い。昌次の実家で愚痴る演技が特に良かった。 本屋でお客が探してた絵本が“ちいさいおうち”とか、そういうのは要らないと思う。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-07 02:12:08)《改行有》

114.  映画 聲の形 《ネタバレ》 原作未読。将也の同級生=主な登場人物がみんな美男美女だ。 これには違和感を感じたが、唯一、永束くんだけはコミカルなカタチをしている。 イジメは複雑な問題で、解決の糸口を見つけるのは大変だから、ついつい『イジメは良くない!!』って簡単なワードに飛びついて、漠然と流してしまう。 実際のイジメ問題で面倒くさいのはグループの存在だ。植野と川井みたいのがもう何人かでグループを組んで、西宮をイジメたり佐原をハブったりが現実に起きていると思う。グループ行動だから、多少の良心の呵責が生まれても流されてしまう、負のスパイラル、悪意の連鎖が起きる。 そしてこの映画の高校編のような、当時のみんなで集まってイジメ問題を振り返る機会なんて、現実には無いだろう。 クラス会があっても、そもそもの西宮が来なかったり、佐原が帰ってから植野の愚痴を川井が聞かされるとか、そんなじゃないかな? 大事なのはイジメを各自が考えること。 この作品では、複雑なイジメをシンプルに考えられるよう、西宮(女子)のイジメに絞り、タイプ別に登場人物をスリム化したんだと思った。 ①イジメを受けていた子。②生理的に嫌いなことを隠さない子。③八方美人でピンチの時は自己保身に走る子。④イジメから助け続ける勇気がなかった子。 この4カテゴリでイジメ問題は成立しそうだ。 容姿による優劣や贔屓目を無くすために、みんな美少女に描かれたんだと思う。極端な言い方をすれば4つの記号。 高校編から将也への具体的なイジメ描写は無い。将也をイジメる側だった島田と広瀬は高校編ではフェードアウトし、真柴くんは(映画では)単なる一般男子代表だろうか?男子のイジメがテーマなら、きっと永束くんも美男子に描かれていただろう。 イジメという大きな問題を、シンプルに解りやすく、コンパクトにスリム化(=タイトルのshapeに結びつけて良いものか?)したのが本作じゃないだろうか? 自分の周りでイジメが起きたとき、この映画を参考に、自分は4人のどのタイプかを考えると、その時どうすれば良いか?が見えてくると思う。 硝子が将也に送ったメールがあまりに普通の子の書くメールだった。耳の不自由な硝子と健常者の将也が同じ条件になるメールって、ある意味魔法のアイテムだなって思った。 たまたま先日『Love Letter(1995)』を観て「メールやスマホって無かったほうが良かったんじゃないか?」なんて思ったばかりなのに。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-25 16:58:43)(良:1票) 《改行有》

115.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 ~Les Misérables~なんと哀れな人々。高校の時『あぁ無情』って習った。 この作品に全く触れる機会がなく、ミュージカルのポスターの子供(少女?)が、パンを盗んだジャン・バルジャンか?と思ってたが、この子は娘のコゼットだったんだな。 さて、この映画もミュージカルとのことで、突然歌いだしたりするんだろうなと思っていたら、まさかの全編ほぼ歌ってる状態、セリフ=歌とは驚いた。 へぇ~、こういうミュージカルもあるのか。でも、観ていて疲れるな。 鼻歌レベルでなく全編ほぼ熱唱だ。158分。当然、すべてのセリフに感情が乗っかっている。無理せず2回に分けてみることにした。 それでもストーリーは大変面白く、次の展開が気になる作りは、ミュージカルの古典でありながら王道の貫禄と普遍の面白さがある。 濃厚な歌声と重厚な世界観の中、テナルディエ夫婦が一服の清涼剤になっていた。 そしてエポニーヌ。不幸な幼少期を過ごしながらも、ジャン・バルジャンという頼れる父を手に入れたコゼットに比べ、過去も今も救いの少ないエポニーヌに感情移入してしまう。 学生運動で中心的な活動をしていたマリユス。多くの命が失われたのち、コゼットと共にブルジョア生活に戻るのはどうなのか?と思うけど、現実的な落とし所として正しい選択だと思う。もしこの二人も不幸に終わるなら、ジャン・バルジャンが救われないので、これで良かったんだろう。 レ・ミゼラブルという古典を手軽に、脚色少なく観られたのと、皆さん歌が上手い。特にラッセル・クロウの声の伸び具合が凄まじい。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-04-24 23:21:06)《改行有》

116.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 ~La La Land~ちょっと狂ったタイトルで、造語だとしたら歴史に残る名タイトルなんだけど、既存の言葉らしい。 『現実的でない陶酔状態』とか『夢の国=LA(ロサンゼルス)≠ハリウッド』 底抜けに楽しいオープニングのハイウェイのダンスから、カラッとしたミュージカル・コメディかと思ったら、意外にも切ない物語だった。 これはもしや、後半の走馬灯のような~if~のシーンが現実で、映画の本筋が妄想なのでは? 売れない女優のタマゴが、たった一回限りの、しかも大失敗した一人芝居で注目されて主演に抜擢、5年後は大女優に… 本格ジャズが売れない時代に、片手間で参加したバンドが大ヒットして、夢だったハリウッドのジャズ・バーを買い取って繁盛させる… う~ん…そんなに上手くいくか?って思ったけど、本筋が妄想だと辻褄が合わない事が多く発生するので、そのうち再検証したい。 なので、あの~if~のシーンは、セバスチャンからミアへ『有名女優になる君の夢は、きっと僕と付き合い続けても、別れても、どんな道を辿っても絶対実現できたよ。でもハリウッドのジャズ・バーのオーナーになる僕の夢は、君と別れないと実現できなかったんだ。これで良かったんだよ、君は後悔しないで良いんだよ』って意味に捉えよう。 店の名前が“チキン・オン・ザ・スティック”じゃなく“セブズ”なのは、セブのミアへの未練だろうか?感謝かな。 男優、女優、ミュージシャン、シンガー、ダンサー。自分の夢を実現すべくハリウッドに向かう希望に溢れたタマゴたちで、ハイウェイは大渋滞だ。 心の中で笑顔で踊る夢を抱きながら、現実は我先に目的地(地位と名声)に行こうとクラクション(競争)の応酬。成功者はほんの一握り… そう思うと底抜けに楽しく見えたオープニングも切ないな。 渋滞する夜のハイウェイから降りることで二人が再会するのも、競争から抜けるって意味だろう。 なんか無性に『マルホランド・ドライブ』を観たくなったぞ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-04-17 13:12:25)(良:2票) 《改行有》

117.  小さいおうち 《ネタバレ》 世間を何も知らない田舎娘が、東京の丘の上の小さいおうちで女中をする。自分が初めて好きになった人が、そのお宅の奥様だった。 こんな同性愛だジェンダーだが無い時代。恋愛の延長が結婚ではなかった時代。どうしたら良いかわからないタキちゃんの気持ちがよく描けていたと思う。 宝塚歌劇団から飛び出してきたような睦子なら、きっと自分を理解してくれるという直感。そして理解してくれた。 その時のタキちゃんの声を押し殺した泣き声が、見ていてコッチの心まで締め付けられそうになる。この映画イチの名場面。 『一生この部屋に暮らして、奥様や坊ちゃんの世話をしたいと思っています』狂おしいほど好きになったにもかかわらず、なんてささやかな告白だろう。 人妻の身でありながら、そこまで人を好きになれて行動できてしまう時子と、目の前に好きな人が居ながら、気持ちを伝えることすら出来ない自分。 嫉妬心からだろう、板倉に届けなかった手紙。そんな事でしか時子への愛情を表現できなかったタキちゃん。墓場まで持っていく秘密。 『街中の噂になっている奥様の不倫事件』の影に隠れた、タキちゃんしか知らない『坂の上の小さいおうちの恋愛事件』。 時子を裏切ることで、タキちゃんの恋もここで終わる。手紙に書いてある内容は解っている。でもその手紙の封を切ることは生涯出来なかった。 「私ね、永く生きすぎたの」背中を丸めて泣くタキお婆ちゃん。好きな人を裏切った事実は、何年経っても辛かったんだろう。 空襲でおうちが焼け、夫婦は亡くなった。タキちゃんにはもう、板倉の行方とかはどうでも良いのだ。 手紙を隠した意味がイマイチ解っていない健史。恭一の「そんなに苦しまなくて良いんだよ」は、時子の代弁なんだろう。 今回2度目の鑑賞で↑のような感想になりました。こんなに良い映画だったか?と再評価。 「床がベタベタするわ」時子は体が火照ると足に汗かくんだな。何も言わずに床を拭くタキちゃん。 仕事から開放されて女中部屋で雑誌見ながらくつろぐタキちゃん可愛い。 南京陥落で大喜びはわかる。江戸末期からずっと戦争してたんだし。でも戦中のトンカツとか、ちょっとビックリするけど実際あったんだろうな。 おうちを焼く焼夷弾。『母と暮せば』でも思ったけど、山田監督の描く爆撃は、短時間で大事なものを破壊される恐怖が見事に描けている。[地上波(邦画)] 8点(2021-04-17 02:21:38)《改行有》

118.  127時間 《ネタバレ》 127時間…後に助かったんだな。実話ベースだそう。 アーロンは、なんか家の古いルンバ君みたいだ。 通常なら自分たちが外出中、家の中を自由に動き回り、疲れたら充電器に戻ってくる。 時々、頼んでもいない風呂場を見に行って廊下を水浸しにしたり、玄関マットを食べて力尽きていたりする。 一人で岩場に行って自由を満喫するアーロンだが、その手には常にビデオカメラがあり、自撮りをしている。 やはり、帰ってからそれを見る(誰かに見せる)為に撮っているんだろう。結局他人と関わらなければ生きていけない。 岩に挟まったアーロンは人間社会から孤立してしまうが、彼の孤独な生き方がテーマになっている。 考え事で別れた元カノのことが多く出てくる。別れた理由も束縛感とか自由が減ったとか、自分勝手な理由だったんだろう。 毎日決まった時間に上空を飛ぶ一羽のカラスを見て、孤独を紛らわせるアーロン。 でも最後、実はそのカラスはツガイだった。 当たり前だけど、独りだけで生きていけないのは、人間だけじゃなかった。 痛いからもう見ない。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-04-16 00:34:13)《改行有》

119.  天気の子 《ネタバレ》 大好きな女の子一人のために国家権力や自然の神秘と戦う事を全肯定。新海監督版、天空の城ラピュタかな。 ラピュタが観てる自分をワクワクさせる冒険活劇だったのに対し、この作品はパズーみたいな行動力が無かった過去の自分を思い出させる。 バカみたいなオカルト話が信じられて、また会いたい気持ちだけで、常識的に万に一つの可能性もないことに突っ走れる帆高。 ファンタジックな現象は大抵科学的に説明がつくし、そもそもそんな話に真面目に耳を貸さず、ハナから信じない自分。 この映画を見る自分はもう若くなく、帆高ではなく圭介の気分。老刑事が言う「大丈夫ですか、あなた今、泣いてますよ」が刺さる。 女の子一人の為に東京が水没したのには驚いた。バルス!自己犠牲の真逆。でもこれが悪いとは思えない。 おととしまで、今の日本のほぼ全ての人が、24時間マスクをしないと外出できない世の中が来るなんて、誰が想像したろうか? こんなとんでもない世の中になっても、アッケラカンと映画見てるんだから、きっと東京が水没しても何とかなってるんだよきっと。 スマホで何でも解る時代、世界情勢とかリアルタイムに分かるようになってきたけど、 そんな世の中のこと心配するより、自分が大切に思う人をもっと大事にしよう。と思えたりしました。 はい、自分で書いていて全然作品レビューじゃないなと思います。[地上波(邦画)] 8点(2021-03-27 01:59:34)(良:1票) 《改行有》

120.  万引き家族 《ネタバレ》 掃除されてない汚い古民家を見て猫屋敷を連想した。無計画に何匹でも拾うだけ拾って、去勢も予防注射もせず放置のやつ。 貧しいながらも幸せな家族…のごっこ遊びをしているが、義務教育は受けさせない、食料や生活用品は半分自給自足(万引き)、最低限の生活の糧ではなく、高額の釣竿を盗んだり、車上荒らしまでする。 わざと捕まって家族ごっこを終わらせた祥太は、今の自堕落な生活に疑問を持ち、マトモな人間社会で生きることを決めた。その引き金になった駄菓子屋の店主の行動、観てるこちらまで何ともやりきれない気持ちになった。 追いかける治、振り向かない祥太。バスの別れは捨てられた猫と飼い主のようだ。 リンは猫屋敷から保護された飼い猫。一度自由を知ってからの檻の中。鉄柵の上から遠くを見つめる瞳から、子供だから何も出来ないもどかしさが伝わる。 信代のだらしない(ように映る撮り方の)裸体が自然でエロい。それに比べて信代の妹役の亜紀は、一時的に野良猫をしているだけの血統書付きだけに、肌ツヤも綺麗だ。 無計画な猫屋敷の猫は、家族のない野良猫や、世話されていない飼い猫より幸せだろうか? 世の中の多くの人は、辛くても社会生活を頑張っている。猫屋敷の猫みたくならないように。 樹木希林の初枝婆さんがとても役に馴染んでいて、本当にあの家に住んでそうだ。パチンコ玉を横取りした後の笑顔がお茶目で、砂浜で家族を見つめる姿は、近年の邦画史に残してほしい素敵な画だった。[CS・衛星(邦画)] 7点(2021-03-15 22:48:38)《改行有》

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