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プロフィール
コメント数 2258
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1181.  罪とか罰とか 《ネタバレ》 ケラといえば『有頂天』世代の自分。氏の笑いの感性に初めて触れたのが日テレ系深夜バラエティ『ギグギャグゲリラ』でした。確か総合演出か何かをしていたと思う。今なお大ファンの伊集院光のテレビ初レギュラーだったので、随分熱心に観た覚えがあるのですが、正直まったく面白くなかった。高校生の自分にはハイブロー過ぎました。時は流れて20年。『グミ・チョコ~』と本作を鑑賞してみて、やっと氏のセンスを理解出来るようになった事に気づきました。面白かった。ばっちりハマったって訳じゃないけど、シンクロ率は69%。Ohエロい。初号機の舌でさくらんぼの茎が結べちゃうレベル。十分でしょう。それにテーマも明確に伝わってきました。罪と罰。いや、責任と覚悟。元カレ、グラビアアイドル、コンビニ強盗、雑誌編集者、警察署員全員(!)。主人公は元より、みんな見事に責任を放棄しています。当然、ペナルティを受ける覚悟もない。確かに面倒なことは誰かに「お任せ」できれば楽でしょう。でも、それじゃ人生の醍醐味は味わえない。だって、やりたいことがやれないんだから。意趣返しでムカつく奴らをブタ箱に放り込んだアヤメ署長。自分の行動に責任を持つ覚悟があれば、世界は変えられる。私のページ以外が全部逆さまだと言い切れる。気分爽快です。これからは大変な事も多いだろうけど、辛さの中にこそ本当の喜びがあるって、団鬼六先生も言ってましたよ(嘘。知らない)。アヤメは“笑わされている”ポスターの世界から飛び出しました。これからは、自分が笑いたい時に笑えばいい。それが“正しく”がんばった成果と言えるかどうかは別ですが。一方トラック男も結婚という罰を受ける覚悟を決めた様子。ひき逃げの罪を贖うくらいの盛大な罰を、どうぞ受けてください。[DVD(邦画)] 8点(2010-12-09 18:27:30)

1182.  エスター 《ネタバレ》 怖い・気持ち悪い・腹立たしい、の3拍子揃ったA級ホラー。なんといってもエスター役のイザベル・ファーマンが素晴らしい。あの目つき、表情、口ぶりの忌々しいこと。そして恐ろしいこと。反社会性人格障害は、人格障害の中でも殊更タチが悪い。一般人が対処できるものではありません。でもそれ以上に悩ましいのは、彼女への攻撃が許されぬこと。子供は弱者です。社会的にも肉体的にも。どんなに憎くても、大人が手を出したら負け。悪者にされる。実際、母親はエスターに手を上げたことで貴重な時間を奪われ、大切なものを失った。この制約は大きなストレス。ですからエスターの正体には驚いたものの、同時に安堵もしました。心置きなく戦えるから。反撃の許されぬ自衛など無意味です。交戦力を持たぬ者は逃げるしかありません。でもエスターがこれほどのタマとは思いも寄らない訳で、逃げ遅れたことを責めるのも酷かなと。ただし、多分に自業自得な側面はあります。まるで猫の子でも貰ってくるような気軽さで、エスターを家族に招き入れてしまった。これは軽率を通り越して罪です。おそらくはエスターが指摘したように、今いる2人の子からは得られぬ喜びを彼女に求めたのでしょう。子を持つことは、その子の全てを受け入れること。利発さと芸術の才だけ望むことはかないません。人の親なら重々承知のはずなのに。この両親は、養子をもらう覚悟を理解していなかった。ですから、仮にエスターが良い子だったとしても上手く行かなかった気がします。それにしてもイザベル・ファーマン。本作では某デ○夫人みたいに見えますが、素の彼女は普通にチャーミングなんですよね。この化けっぷりには舌を巻きます。本物の女優でした。これからが楽しみ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-06 19:55:48)(良:3票)

1183.  フローズン 《ネタバレ》 印象としては、雪山版『オープン・ウォーター』。また、最近流行のソリッド・シチュエーション・スリラーにも該当すると思われます。プロデューサーも当ジャンルの代表格『ソウ』と同じ。この手の作品はある意味“出オチ”のようなものだと考えます。極限状態という設定は観客の興味を引くには打ってつけですが、極限がゆえにその後の展開に幅が無い。観客の期待値を上回るのは難しいと考えます。本作もやはり出オチの感は否めませんが、善戦している方だと感じました。まず伏線の張り方が丁寧でした。事前の会話に出てきた「パウダースノー」という単語は観客に“雪面は安全なもの”という先入観を植え付けましたし、ナンパ男がボーダーではなくスキーヤーであったことにも意味がありました。そして何より、彼らの行動に不自然さを感じなかったのが良かった。そう、自分も彼らと同じように考え、同じようにチャレンジしたと思います。ですから、真っ先に自分も死んでいる訳ですが(苦笑)。着衣を繋ぎ合わせて紐にするとか、火をおこすとか(最初タバコは持っていた!)、アイデアはいろいろありますが、所詮は結果論。あの状況では思いつかないだろうなと。彼らはしかるべき手順を踏んで、死ぬべくして死んだ。助かった人はラッキーといったところでしょう。そもそも、窮地に追い込まれた時点でアウトということ。納得の結末でした。東京では夏に封切られたようですが、うちの地域では11月下旬から上映開始。寒さが身にしみてきた時期ゆえ、身につまされました。コレを見てスキー場が怖くなるというよりは、マナーはきちんと守ろうと思う人の方が多いと思います。[映画館(字幕)] 7点(2010-12-03 20:11:32)(良:2票)

1184.  ザ・ロード(2009) 《ネタバレ》 終末世界の構築が見事でした。立ち枯れする木々。荒廃した街並み。人々は人肉を食らう。近作では『ドゥームズデイ』でも同様の描写がありますが、やけっぱちで喰らうのと、生きるために食すのとでは意味合いが違います。後者は、よりシリアスです。食料だから飼育する。衝撃でした。直接的な食肉シーンなど無くても、このリアリティは胸に刺さりました。明らかに私たちが知る道理が通じない。どう息子を育てたらいいのか。「人を食べたらいけないの?」そう子に問われたら、自分なら答えに窮したと思う。しかし、この父親は違いました。生きることが全てではなく、人として生きることに価値があると知っていた。尊厳の意味を忘れなかった。だから彼は息子に生きる術ではなく、死に方を教えたのです。普通では考えられない。でも世界がひっくり返ったのなら常識も覆る。その腹の括り方が、親の覚悟なのだと思います。戦うことはままならず、逃げることさえ容易ではない。子連れのストレスは尋常ではありません。こんなに苦しいのなら、最初から何も無いほうがマシ。そう考えるのも無理はないほど、子の命はかけがえが無いのです。自分の命より大切なものを得る代償に、それを失うかもしれない恐怖と不安を引き受ける。重圧に耐えられなかった母親は、自らの命を絶ちました。絶望しかない世界の歩き方。それは希望を見つけること。いや希望が無いなら作り出すこと。ウソでもクソでも構わなかった。南に進み、海を目指すこと。それがこの父親が“決めた”希望でした。立ち止まったら倒れてしまう。だから足を前に出す。自らの気力を奮い立たせるため、そして息子を生かすために。勝算など無い足掻きでした。でも足掻いたからこそ、本物の希望に出会えた。この父親は賭けに勝った。[映画館(字幕)] 8点(2010-11-30 18:15:02)(良:1票)

1185.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 《ネタバレ》 主役に小池徹平を配したところがミソ。これがリアルに冴えないニート面ならば、痛々しくて笑えなかったでしょう。イケメンが持つある種の余裕が、物語から程よくリアリティを殺ぐ役割を果たしていました。かといって同じジュノンボーイでも溝端淳平あたりだと整い過ぎていてダメ。小池の低身長は、観客の感情移入を助ける親しみ易さでもあります。リーダー役の品川はハマリ役。お笑い芸人の中でノンスタ井上に次ぐと言われるムカツキ度を遺憾なく発揮していました。でもそれって褒めたことにならないかな。ブラック会社とは法に抵触するほど劣悪な労働条件の企業のこと。生活のため仕方なく勤めているだけだから、向上心など無く、良好な人間関係など望めはしない。そういういう意味では、曲りなりにも達成感を味わえるこの会社は、マシな方なのだと思う。高度経済成長期の会社員物語が植木等の無責任男シリーズとするならば、本作は格差社会を象徴する物語とも言える。寂しいことだけれど、嘆いてばかりもいられない。まずは自分が変わること。自分が変われば、周りも変わる。それがこの会社に芽生えたチームワークという芽。それを育てられるかどうかは彼ら次第です。これはどんな組織にも当てはまること。今風の題材ながら、テーマそのものはオーソドックスなものだったと思います。[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-11-27 21:28:48)(良:3票)

1186.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 おばあちゃんは電話を使って関係機関に働きかけ、被害拡大を食い止めました。夏希のピンチにはネットを通じ全世界から救いの手が差し伸べられた。通信手段こそ違えど、人と人との繋がりが力を生むことに変わりはありません。一人では不可能な事でも、大勢が集まれは成し遂げられる。瞬時に全世界と情報を共有できる現代は、それだけ莫大な力を生む環境が整っていると言えます。しかし“情報”そのものが力を持っている訳ではありません。情報はただの記号。「助けて欲しい」という記号も、相手の心に届かなければ意味がありません。記号に意味を与えるのも、実行力を伴わせるのも人間です。おばあちゃんの「あんたなら出来るよ」という励ましの言葉に、夏希たちの必死な姿に、人々が動かされたのは何故か。其処には人の心を動かす“確かなもの”が在ったのだと思います。人脈であり、人柄であり、熱意であり、花札の強さであり。「夏希が美人だからだよ」という軽口も、あながち間違ってはいません。全てひっくるめて人間力。祈るだけではダメ。想いをかたちに変える力が必要なのです。おばあちゃんの人脈は、おばあちゃん一人の手柄ではなく陣内家が膨大な労力を費やして培ってきたもの。夏希が勝負の舞台に立てたのも親族の総力の結晶。大きな事を成し遂げるには多くの助力が必要で、多くの助力を得るためには、それ相当の実力が要るということ。時代や場所が変わっても、その原理原則は変わらない。このテーマは全ての人に通じます。胸を打たれました。ちなみに一番気に入ったシーンは、夏希の吉祥天でも、キング・カズマのバトルでもありません。おばあちゃんが主人公と花札をして笑った場面でした。あの素敵な笑顔。おばあちゃんが慕われている理由がすっと理解できました。実は細田アニメの凄いところはココじゃないかと思うのです。物語に命を吹き込むのはキャラクター。線が細くクセの無い作画は、一見すると迫力に欠ける印象を受けますが、とんでもない。デフォルメされた崩れた顔、ただじっと見つめる瞳、どの表情からもその人物の気持ちが伝わってきました。このセンスと技術は高く評価されて然るべきと考えます。『時をかける少女』の次ですから相当なプレッシャーがあったことでしょう。にもかかわらずこんな素晴らしい作品を創り出すとは。心から敬意を表します。次作は劇場まで足を運ぶことを約束します。次も傑作よ「こいこい!」[DVD(邦画)] 10点(2010-11-24 18:12:05)(良:1票)

1187.  鬼畜 《ネタバレ》 他人を殺すのは何故いけないのでしょう。それは、自分が殺されたくないからです。殺人を認めると、自分が殺されても文句が言えない。では、どうして親が子を殺すのはいけないのでしょう。それは不利益だからです。遺伝子を残す事を宿命付けられた生物にとって、その逆ベクトルの行為など論外です。他人を殺すのと、子を殺すのとでは、同じ殺人でも意味が違うと考えます。子を傷つけるのは、自らを傷つけるのと変わらない。親が子を愛するのは、自分自身を愛することと同じとも言える。ですから、血の繋がった息子を手にかけたとき、宗吉は自分自身を殺したのだと受け取りました。一命を取り留めた息子を前にして、土下座して詫びる父。その胸中に渦巻いたものは何か。泣いて詫びたとき、宗吉は初めて人の親になれた気がします。もっとも、もし本当に子供を殺す気ならば、あの状況で仕損じは在り得ない。やっぱり彼は息子を殺したくなかったのだと思います。いや、そう思いたい。先に述べたように、生き物は自らの遺伝子を残す事に貪欲です。その為になら何だってする。あまりに合理的。清々しささえ感じる厳格な規律。しかし人間だけはこのルールに縛られません。他人を殺さないのは、殺したくないから。血の繋がらぬ子だって我が子のように愛おしい。動物と人間に差があるとすれば、この部分だと思う。ほんの僅かの差です。善人だって皮を一枚剥けば鬼か畜生が隠れているのではないか。自分の中に宗吉やお梅は居ないか。この映画を観て自問します。わたしは人間だろうか。わたしは人間だろうか。自らを疑っていられるうちは、自分は人の皮を脱がないでいられる気がします。[DVD(邦画)] 8点(2010-11-21 20:46:05)

1188.  死霊のはらわた(1981) 《ネタバレ》 『キャプテン・スーパーマーケット』や『スペル』路線の源流であり、サム・ライミ監督のデビュー作となる本作。『キャプテン~』鑑賞以来ずっと興味があったのですが、この度やっと観ることが出来ました。映画史における位置付け、あるいは技術技法について評論する技量を持ち合わせませんので、いつものように脚本主体の素人感想となってしまうのですが…率直に言うと普通でした。何処にでもあるB級ホラー。そんな印象です。まず人物造詣が粗い。身内が、彼女が、親友が、次々と死霊に取り憑かれていくという状況。自分ならどうするかと考えた場合、主人公の行動が腑に落ちませんでした。敵がゾンビなら自衛のために殺せます。でも正気に戻る可能性がある人間ならそうは行かない。大切な人であれば尚更のこと。自分の身を守りつつ相手も傷つけず、そんな葛藤があっても良かったかなと。血みどろぐっちょりのグロテスク描写もいいですが、自分にとっては副菜です。やはりメインではキャラクターの感情を味わいたい。編集も総体的に大雑把だった気がします。もっとも、裏を返せばこれほどB級らしい作品も無い訳で、不出来な部分が愛おしいとも言えます。冒頭に挙げた2作品の盛大な“バカパク度”(注:ボキャブラ用語)と比べると、本作は控えめ。もっと遊び心があっていいと思いました。自分基準の採点では6点ですが、21歳の若者の処女作としては満点でしょう。[DVD(字幕)] 6点(2010-11-18 21:14:27)

1189.  スペル 《ネタバレ》 何故サム・ライミ監督が支持されるのか理解しました。娯楽性豊かなアクションにコメディ&グロテスクのエッセンスがベストマッチ。執拗に汚物を飲まされ、髪の毛を引きちぎられるヒロインに、歯無しババアの噛み付き攻撃。オモシロ気持ち悪い。これはクセになります。そして忘れてならないのは、カメラワークの巧みさ。奇抜なアングルを用いなくても、印象に残るシーンを随所に作り出していました。役者のイイ表情を逃さず捉えるのも上手いのでしょう。人物造詣もお見事です。とりわけヒロインのキャラクターが気に入りました。ババアを車外に蹴りだし勝ち誇る人間臭さ。霊媒師に払う大金を自力で工面しようとする責任感。イイですね。それに呪いのボタンの処分の時のこと。もし彼女が躊躇無く同僚を地獄に蹴落とせるタイプの人間ならば、共感出来なかったでしょう。かといって復讐を考えない程お人好しなら手に負えない。彼女の良心は、私たちが持てる標準的なもの。だからうんと肩入れして物語に望めました。ラストがまた秀逸です。このままの無事のハッピーエンドを望めない事くらいは、物語の流れを見れば分かります。でもここまで後味の悪い結末が待っていようとは。突き放した感じにピリピリ来ます。情状酌量、社会的制裁、本人の反省等々、量刑を手加減する言い訳に慣らされている自分に気づきました。この結末に慈悲はありません。でも道理には適っています。そこにある種の心地よさ感じるのは何故なのか。最悪と爽快さの同居。自分でも知らない感情を引き出されては、褒めない訳にはいきません。サム・ライミ監督、恐れ入りました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-15 18:27:13)(良:4票)

1190.  ボルト 《ネタバレ》 自分の力を過信してしまうのは、幼少期に陥りがちな事。ボルトの場合、意図的にそう仕向けられていたとはいえ、井の中の蛙であったことに違いはありません。小さな蛙は大海を知ることで、己が無力さを悟る。本作は、典型的な若者の成長物語の体裁を有していました。ここで注意したいのは、ボルトの冒険は気づきの過程に過ぎないということ。本当の成長はこれからの経験で決まります。スタジオ火災は、偽りのスーパーパワーを捨て去るケジメ。少女を助けた後、ボルトは再び旅立つべきだったと考えます。巣立ちのとき。ところが本作には、そう出来ない事情がありました。ボルトは犬だった。ペットや家畜は、人と共に生きるのが本分です。ボルトは少女の元に留まらざるを得なかった。天下のディズニーがペットの野犬化を推奨できるはずもありません。この不都合を補正するため、成長物語よりも少女とボルトの愛情物語の色合いを強める必要があったものと推測します。ボルト役の声優に成人男性を起用したのは苦肉の策。なお、ボルトが天才アクター犬から愛玩ペットに成り下がったように見えてしまうのは上手くないです。警察犬とか災害救助犬として新たな道を歩み始めた、なんてエンディングのほうが分かり易いと思いました。[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-11-12 18:21:35)(良:1票)

1191.  ファイナル・デッドサーキット 3D このシリーズも本作で4作目。結構な人気シリーズです。長続きの秘訣は、“工夫を凝らして殺しちゃおう!”という基本フォーマットを愚直に守り続けていることです。こう書くと職人気質を褒めているみたいですが、実際は単なる悪ふざけです。生還要件を付け加えようと試みた2作目が傑作に思えてしまうほど、他の3作品に代わり映えはありません。でも、それが結果的に功を奏した気がします。マンネリズムを大らかな気持ちで楽しむが吉。そういう映画だと観客に周知できたのではないかと。どうせタイトルなんて誰も覚えていないので、次回作は『ファイナルデスティネーション・柴又慕情』で問題ないです。マドンナ役にはパリス・ヒルトンをオススメしますが、某ホラーで既に脳天を貫かれているのでインパクトには欠けるかも。日本人なら某ゴージャス姉妹の姉と某人気占い師を推薦しておきましょう。この手の悪ノリはセレブにウケそうなので、キャスティングには困らないのでは。[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-11-09 18:59:15)(笑:4票)

1192.  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 《ネタバレ》 世間は死にゆく人間に対して寛容です。出来るだけ望みを叶えてあげたいと思う。ただし、無制限ではありません。当然ながら度を越した我侭や犯罪はダメ。本作はその設定上のウィークポイントを、コメディ色を強くする事で緩和しています。銃撃戦は派手なのに誰一人怪我さえしない。登場人物たちは、みな憎めないオトボケぶり。“笑って済ませられる”調整が施されています。この匙加減が上手かった。笑いの中から核となるヒューマンドラマが浮き立つ仕組み。ラストは涙涙のエンディングを予想していたのですが、それは軽やかに裏切られます。念願の海にたどり着いた2人の男。想像していたような幻想的な風景も無ければ、期待していた大らかさも感じられない。目の前に在るのは、荒れ狂う海。頬を刺す強風と波しぶき。優しさの欠片もありません。決して夢に描いた海ではなかった。でもそれが、“らしい”と思う。人生は思い通りに行かない。でもゴールにたどり着いただけで上等じゃん。喜びも感動も無く突っ伏す男。その姿に自分を重ねて胸を熱くするのです。[DVD(字幕)] 7点(2010-11-06 19:17:05)(良:2票)

1193.  黒い家(1999) 《ネタバレ》 ギャグと見紛う大袈裟な演出が目に付きます。首吊り死体を目にしてひっくり返る主人公、何処から投げたのか謎のガラスをぶち破るボーリング球、それに大竹の乳。明らかに変なんです。「乳しゃぶれ」自体は、女の狂気を表現するのに有効な手段かもしれませんが、ムチムチのええ乳である必要はありません。吹き替え用の偽乳と丸分かりですから。ツッコミ待ちのボケとしか思えない。そのほかにもリアリティを欠く描写を上げたらキリがありません。たぶん本作を「サスペンス」や「ホラー」というカテゴリー内で評することに無理があるのだと考えます。かと言って「コメディ」に分類するのも違う気がする。狙って笑いを取りに来ているとも思えないので。これは、監督のオリジナルジャンルと捉えるのが一番しっくりきます。実力派俳優の怪演に、監督の怪演出がミラクルブレンド。例えるなら、ドリンクバーで戯れにウーロン茶とカルピスを混ぜてみたら意外とイケた、みたいな(あるいはアイデアママのオリジナル料理)。当たり障りのない無味無臭な映画に比べれば、コレはコレで悪くない気がする。あの『模倣犯』も、もう一度新たな視点で見直す必要があるかもしれないと思いました。ただし自分は、カルピスは普通に飲みたいです。[DVD(邦画)] 6点(2010-11-03 00:29:53)(良:1票)

1194.  妖怪奇談 《ネタバレ》 彩度の低いざらついた画調が、物悲しい内容と合っていました。CGというより懐かしの“特撮”と呼びたいレベルの特殊効果は、時代遅れでもストーリーの雰囲気を壊すものではありません。実物と見分けのつかぬCGを提供できなくても、観客を物語の世界へ引き込む技術があれば、それで映画は成立します。脚本と監督次第でどうにでもなる。自分はコレ、気に入りましたよ。主人公は3人の女性。こなれてはいませんが、初々しく身の丈にあった演技を見せてくれます。みんな好印象(美人だし笑)。各人の願いや想いが、具現化したのが妖怪の姿だと感じました。例えば『のっぺら』。人の痛みを感じ取れないのは愛に飢えている証拠。寂しい心を隠すために付けた自己防衛の仮面。でもそれは本当の自分じゃありません。仮面を脱ぎたい。私でありたい。そう願う隠された気持ちが彼女を変えたのだと感じます。確かに望みは叶った。でも引き換えに失ったものは大きい…。3つの物語が交差する脚本は、異なる視点から事象を照らす仕組みで見応えがあります。独立した短編を集めたオムニバス作品より、手が込んでいて面白いと思いました。オチが弱いのが難点ですが、現実とは所詮こんなもの。解決策など見つかない。前向きでも後ろ向きでもなく、只あるがままに人は生きていかなきゃならない。リアリティのある結末でした。ファンタジーに使うホメ言葉ではないですが。[DVD(邦画)] 6点(2010-10-31 19:29:32)

1195.  THE 4TH KIND フォース・カインド 《ネタバレ》 アビゲイル博士“本人役”の女優さんのインパクトが凄すぎます。彼女の病的な表情から目が離せない。役者さん本人の役作りは勿論のこと、色味を消した画作り等もお見事でした。彼女には個人的に“マジでDethする5秒前で賞”を差し上げたい。さて、それでは本題の物語の感想をば。実録映像とそれを元にした再現フィルムを併用したフェイクドキュメンタリーという手法は、なかなか手が込んでいます。この手法の長所は、“宇宙人拉致の現場を観客に見せない”という仕掛けをスムーズに実施できる事です。その結果、博士の妄想説の可能性を引き出せた。ただマズかったのは、見張りの警官が娘拉致の一部始終を目撃していたことです。アビゲイル側ではない人間の目撃証言は証拠として価値が高い。これで観客の中で、妄想説は99%打ち消されてしまった。あの場面は、“警官は意識を失い、ビデオカメラは砂嵐”という状況じゃなきゃいけない。もっとも、物語の本質は“事件の真相は何か?”という客観的事実の判断ではなく、“人は何を信じるか”という主観の方にあります。自分の経験を信じるというアビゲイル。目にしていない事は信じない保安官。経験してもなお、信じられるものしか信じない同僚博士。あなたはどのタイプに人間ですか?という問いかけです。ちなみに自分は、“許容範囲の余白はいつでも残しておきたい人間”ですかね。理想を言えば。面白かったですよ。自分が今まで観た同ジャンルの映画は『ブレアウィッチプロジェクト』『ノロイ』『クローバーフィールド』くらい。あ、あとダチョウの竜ちゃんシリーズ(笑)。その中では断然、実話っぽいです、コレ。純粋な人は間違って信じてしまう可能性があると思う。そういう意味ではタチの悪い映画です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-28 19:26:05)

1196.  ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》 本作はファミリー向け映画。失礼ながら大した期待はしていませんでした。前作は自分基準で7点の採点ですから、続編となる本作は6点なら十分と考えていました。ところがどっこい、これが法外に面白かったのです。続編の強みを遺憾なく発揮した快作でした。前作は“博物館の展示物が動き出す”というアイデア一本で勝負した作品。もし本作が単なる2番煎じに終始したなら、予想どおり5~6点の代物だったでしょう。しかし違いました。設定の強化と友情ドラマという付加価値があった。何と言っても、2次元の芸術作品に命を吹き込み、中の世界へ出入り可能にしたのが値千金のナイスアイデア。一気に世界観が広がりました。古い写真の中で落とした携帯電話のエピソードは爽快の一言。石板の新たな活用法の発見に夢は広がるばかりです。前作では主人公と反目していた展示物たちが今度は最初から仲間。その繋がりが嬉しくて。主人公とのちょっとした会話から、気の置けない関係だという事が伝わってきます。喧嘩した友ほど仲が良い。そんな友情がベースにあるから、チープなドラマも特別に思えるのだと思います。前作の主要キャラをきちんとフォローした点も評価したい。ニューフェイス、カムン・ラーをはじめとする悪役たちも憎めないオトボケぶりを発揮してくれました。アドリブとしか思えない、しつこくてくだらない掛け合いを楽しみました。パロディも技ありの切れ味。コメディセンスは自分好みでした。消えたり壊れたりした展示物があっても心配ご無用な点も、続編の強みと言えるでしょう。細かいことは気にしない物語だって事は前作で学習済みですもん。ホント、大満足の続編でした。アメリカ史に詳しければ、もっともっと楽しめたでしょう。[DVD(吹替)] 8点(2010-10-25 20:52:01)(良:2票)

1197.  平凡ポンチ いやいや参りました。軽そうなタイトルとグラビアアイドル主演というパッケージに騙されました。羊の皮を被ったオオカミ。いや偽パイを入れた貧乳娘か。お気楽バカコメディとタカをくくっていたら痛い目に会います。しっかり観ないとストーリーを見失う可能性すらある、虚実入り混じった妄想ドリームラブコメディでありました。もっとも、各シーケンスの解釈は放棄しても大丈夫なつくりなのは有難い。「人生とは映画さ」というメッセージを受け取れれば問題ないと考えます。“難解”とは少し赴きの異なる、不思議な味わいの映画でした。自分は嫌いじゃないです。収穫は主演の秋山莉奈。美尻を誇る愛称「オシリーナ」として、グラビア等で大人気。でも誌面からそのパーソナリティを伺い知る事は出来ません。大勢の水着ギャルのうちの一人。そんな彼女がここまでやるとは、正直言って意外でした。表情の付け方や感情表現の勘が良いです。やや滑舌に難がある気がしますが、磨けば十分女優として通用すると思います。期待してます。[DVD(邦画)] 6点(2010-10-22 19:57:48)(良:2票)

1198.  カイジ 人生逆転ゲーム 《ネタバレ》 ご指摘の方も多々おられるように、最初のゲーム『限定じゃんけん』だけで映画が1本楽々作れます。本作はいわば長編映画3本分の素材を無理やり2時間に収めたようなもの。各ゲームの設定を簡略化し、ドラマをシンプルに作り直す。この方法しかなかったのは理解できますが、結果として原作の長所が失われてしまったのでは価値がありません。ホント、爪の垢ほども残っていなかった。ゲームからは戦略性が削ぎ落とされ、ドラマからは泥臭さと執念が消えた。出がらし。旨味無し。これで『カイジ』という看板を掲げるのは詐欺だと思う。特に腹が立ったのは、石田のおっさんの扱いです。嘘、裏切り、騙まし討ちが当たり前の戦場において、カイジが良心を持ち続けられたのは、おっさんがいたからに他ならない。おっさんは弱者です。搾取される側。でも他人を思い遣る心を失わなかった。その優しさにカイジの心は救われました。おっさんの最期には、この後のカイジの戦い方に影響を与える意味がありました。持たざる者、負け行く者が見せた精一杯の矜持。その感動を観客に十分に伝えるためには、エスポワールでの2人の関係をきちんと描かなくてはいけなかった。この省略は致命的です。本作は『カイジ』ではなかった。きっと『カイヅ』か何かの間違いでしょう。そう思うことにします。麻雀といえば透明牌、漢字1字で「みなごろし」が書ける、人間学園出身でアジフライには目がない原作ファンの愚痴でした。失礼しました。原作未読の皆様へ。もし原作漫画に少しでも興味を持たれたなら、原作本1巻~5巻(希望の船編)だけで構わないので読んでみてください。運否天賦にみえる『限定じゃんけん』のルールの裏に隠された驚愕の必勝法に触れてください。原作は映画の2,000倍は面白いです。(200倍じゃないです。二千倍です。)最後に、貶してばかりではアレなので、良かったところも指摘しておきます。金貸しの遠藤を演じた天海祐希。原作の遠藤は男性なのですが、天海が一番福本伸行キャラを再現していたのは意外。福本が描く女性って確かにあんな感じです。色気無いし、アゴ尖ってるし。[地上波(邦画)] 3点(2010-10-19 19:59:13)(良:3票)

1199.  THEM ゼム(2006) 《ネタバレ》 プロットは至極単純。オチも分かってしまえば、大したことありません。けれどこれだけ恐がらせてもらえるとは、ハッキリ言って驚きです。身を硬くして画面を見入りました。監督の手腕は確かだと思います。現代人の性質を熟知しています。暗闇、物音、気配…普段疎かにしている感覚を研ぎ澄ませました。恐怖の源が分からないのは確かに怖いことです。けれど本当に恐れるべきは、勇気を持たないことだと知りました。敵の正体を見極める勇気、立ち向かう勇気。もしこの夫婦が勝手知ったる我が家を砦に、地の利を活かし冷静に相手と対峙していたら、結末は全く違うものになっていたことでしょう。相手の正体判明後のこと。慈悲を乞う眼下の敵に、持ち上げた瓦礫を落とせない女。教師としては正しい。大人としては正しい。でも生き物としては間違っていたと言わざるを得ない。ここは修羅場。相手を殺さないまでも、一撃は加えなくては。逃げても構いません。しかし、戦う意思だけは最後まで捨ててはいけないのだと思いました。権利というよりは、もはや生を望む者の義務として。そういう意味では、2人が助からなかった結末は、摂理だと感じます。救いは無く、後味は最悪。ゆえに反発を覚える方も多いかと思いますが、そこはひとまず置いておいて、純粋に恐怖を味わっていただきたいと思います。自分が主人公ならどうするか、と自身に問いかけてみてください。ちなみに「実話」との触れ込みですが、物語冒頭でアナウンスするのは勿体無い。エンディングで明かす方が、より衝撃度は増したと思います。[DVD(字幕)] 8点(2010-10-16 19:21:55)

1200.  チョコレート・ファイター バレーやテニスは男子よりも女子の方が面白い!いやいや下世話な話じゃなくて、純粋に試合のこと。男子では球のスピードが早すぎて何が何だか分からない事があります。「今のイン?アウト?」なんて事ざら。それに男子だとラリーが続かない。“攻”だけより、“攻防”の方が観ていてドキドキしますもの。カンフー映画で例えるならば、ブルース・リーは男子の試合で、ジャッキー・チェンが女子の試合のイメージ。前者が玄人好み、後者が大衆的と言い換えてもいいです。『マッハ!!!!!!!!』のトニー・ジャーはジャッキータイプ。でも男子並みの力強さを持った女子選手。テニスで言えば、ビーナス・ウィリアムスかな。すみません。ここで一つ謝らせてください。真面目ぶったけど、やっぱり乙女が好きなんです。揺れるスカート、弾むオッパイに釘付けなんです。ビーナス・ウィリアムスよりシャラポワなんです。本音を言えば。男性をも凌ぐハードヒットに女性ならではの柔軟性、おまけに美少女ときた。それが主役のジージャー。トニー・ジャーも凄いと思いましたが、彼女の衝撃度はそれを凌ぎます。世界を獲れる逸材です。いやマジで。格闘技好き、格闘ゲーム好き、カンフー映画好き、美少女好き、これらに一つでも当てはまるなら是非。2つ以上当てはまるなら1食抜いてでも観るべき驚愕の格闘アクションでした。脚本の良し悪しなど、この際関係ないでしょう。久々に他人に薦められるアクション映画に出会えました。[DVD(字幕)] 9点(2010-10-13 19:10:13)(良:3票)

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