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プロフィール
コメント数 2395
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1261.  白いドレスの女(1981) 《ネタバレ》 『氷の微笑』と双璧をなす80~90年代悪女映画の金字塔、本作のマティ・ウォーカーのさらなる進化形が『氷の微笑』のキャサリン・トラメルということになるでしょう。この映画の同年には『郵便配達は二度ベルを鳴らす』もリメイクされていますけど、長い間途絶えていたファム・ファタール映画は80年代が始まるや否や復活したって感じです。 舞台がフロリダ近辺みたいですけど、それにしても登場人物がみんな汗かきすぎ。80年代のアメリカなんだから、室内にエアコンぐらい普及してそうですけどねえ。男性の汗じみが拡がったYシャツ姿が苦手なのは、自分だけでしょうかね。ストーリー自体は、今や四十年も経って似たような映画は山ほど撮られましたので新鮮味は薄くなってしまいましたが、当時としては卓抜なストーリーテリングと賞賛してもいいんじゃないでしょうか。でも粗というか、この映画には大きく絞っても難点と言えるところが二つあります。一つはマティとメリー・アンが実際に交流しているところを、弁護士ネッドが見てしまうという展開。これがラストのオチが観客に受け入れやすくなるというのが監督の意図だったのかもしれませんが、かえって深く考えてみるとウソ臭さが目立って逆効果だった感じです。そしてもっと大きい難点は、「なんでネッドは殺しを決意したんだろう?いくらなんでもアホ過ぎない?」ということに尽きます。少なくともマティは劇中では夫殺しを懇願するようなことはしていない、いくら床上手といっても二流とはいえ弁護士の男をあの技だけで操れるもんでしょうかね。でも、この映画の中ではマティの悪女的な行動を観客に一切見せない演出で、これは上手いストーリーテリング思います。舞台経験が豊富だったとはいえ、映画デビュー作でアラサーなのにバンバン脱ぎを見せてくれたキャスリーン・ターナーにも敬意を表しておきましょう。 それにしても、映画の中で完全犯罪に成功するのはなんで女性ばっかりなんでしょうかね?男ってやっぱアホなのかな?[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-10 22:55:52)

1262.  翼よ!あれが巴里の灯だ 《ネタバレ》 傑作揃いの50年代ビリー・ワイルダー映画の中で、もっとも影が薄いのが本作、たしかに言われなければワイルダー監督作と気が付かないほど他作品とは毛色が違う気がします。これはひとえにワイルダーがプロデューサーではなく、いわゆる雇われ監督だったからかもしれません。そして25歳だったリンドバーグを48歳のジェームズ・スチュワートが演じているというちょっと無理くりなキャスティングによるところも大でしょう。でも、実際に飛行機操縦技能を持ちB-24爆撃機を操縦して大戦に参戦して大佐にまで昇進したスチュワートぐらい、ハリウッドでリンドバーグを演じるのに相応しい俳優はいなかったんじゃないでしょうか(年齢には眼をつぶるとしてね)。ちゃんと“スピリット・オブ・セントルイス”の飛行可能なレプリカまで製造してるし、航空映画としては観るべきところが多いと思います。 ストーリーテリングは離陸してからは地上の関係者たちの反応はいっさい見せず、独り言をひっきりなしに呟いているリンドバーグと彼の過去の回想が続き、中年のリンドバーグを延々と見せられるところに評価が下げられる所以があるのかな(笑)。まあこれはスチュワートが主演なんだからしょうがないんですけどね。噂では本来はジェームズ・ディーンが主演する構想だったけど、彼の事故死で実現しなかったとのこと。たしかに興味深い話だけど、リンドバーグを演じるにはディーンの身長がちょっと足りないんじゃないかな、その点のっぽで有名なスチュワートはうってつけだったのかもしれませんね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-10-23 22:54:39)

1263.  十三人の刺客(1963) 《ネタバレ》 三池版リメイクを先に観ていますけど、やはりオリジナルは正統派時代劇という感じです。悪役殿様は明らかに三池版よりもまともというか迫力不足(リメイクの稲垣吾郎がぶっ飛びすぎとも言えるけど)、最期も単なるボンボン育ちらしい小物感が濃厚だったのが残念。こんなのが老中になっても大した影響なさそうな感もあるけど、逆に体面のためには妾腹といっても将軍の弟までも抹殺する幕府というか武家社会の非情さを強調する意図のストーリーテリングなのかもしれません、まあ考え過ぎでしょうけどね(笑)。十三人の刺客たちの半数は正直言って誰と特定できないような無個性なのがこの映画の欠点だけど、片岡千恵蔵・嵐寛寿郎・西村晃をキャラ立ちさせれば良いという脚本の割り切り方みたいですね。リメイクと違って里見浩太郎・山城新伍という若手キャラが目立たなかったのも残念、きっとまだ時代劇全盛時代のことですから、千恵蔵・アラカンといった大御所がメインで若手が活躍するような映画造りは難しい時代だったんじゃないでしょうか。出番はわずかでしたが月形龍之介=牧野靱負もさすがの存在感。リメイクでも松本幸四郎がキャスティングされていますが、「このチョイ役になんで幸四郎が起用されるんだろう?」という疑問がありましたが、オリジナル版へのリスペクトだったと納得しました。内田良平=鬼頭半兵衛も鬼気迫る演技、東宝製作だったら仲代達也が演じたんだろうなという感じもして、この二人の侍姿は雰囲気が似てますね。 クライマックスの大活劇はまさに“集団抗争”と呼ぶに相応しいごちゃごちゃぶり、これはこれでリアルなんでしょうけど好き嫌いは分かれるでしょうね。あんだけカッコよかった西村晃の無様な最期と逃げ延びてなぜか哄笑する明石藩士がラスト・カットというカタルシスのない幕の閉じ方、この辺りこそが工藤栄一らしいところなんでしょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-10-05 22:21:25)

1264.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち いかにもディズニー映画って感じですね。終始退屈はさせられないけど、とにかく長い、尺が長すぎるよ。「ジョニー・デップといえばジャック・スパロウ船長」といった一生ついて回りそうなトレードマークを勝ち取ったジョニデはこのキャラで新境地を拓いたけれど、彼のコメディ演技は二十年近く経ってもこのジャック・スパロウからあまり進化してないようなのは気のせいかな?たしかに上手いんだけどね。あまりCGに頼らず、帆船同士の合戦が実物を使って再現されているところなんかはさすがディズニー、カネかけてますね。オーランド・ブルームはすっかりジョニデに喰われてしまってますが、シリーズ化が前提なので舞台挨拶みたいなものでしょうかね。その後15年近くで四作も撮られていますが、言ってみれば二十一世紀版『インディ・ジョーンズ』と見るのが正解なのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-10-02 21:37:54)

1265.  ラストキング・オブ・スコットランド 《ネタバレ》 歴史に名を残す悪名高き独裁者アミン、彼に気に入られて主治医兼側近になったボンボン育ちのスコットランド人医師の恐るべき秘話。という体裁の映画なんですけど、実はこの医師は架空のキャラで事実をモチーフにしたフィクションということなんです。アミンが主人公の映画といえば、これまた悪名高き『食人大統領アミン』というモンド映画がありますけど、この映画で描かれたような食人したとか生首が冷蔵庫に…なんて逸話は最近の研究では誇張された与太噺だったとか。“実はアミンはベジタリアンだった”というのも事実らしくて、こうなると苦笑するしかありません。それでも一説では三十万人の自国民を殺害したというのは紛れもない事実で、やっぱとんでもない奴だったのは確かです。 そんなアミンを巨漢フォレスト・ウィテカーが熱演しています。元来心優しいキャラを演じることが多かっただけに、権力を握りたてで妙にテンションが高い頃のアミンは彼の持ち味だけど、中盤からの疑心暗鬼に捕らわれて周囲の人間を殺しまくる独裁者に変貌してゆく様を、彼にしかできない見事な演技で見せてくれます。特に後半は、もうアミンにしか見えないというのが正直な感想です。でもそのアミンが可愛く見えちゃうほど嫌悪感を呼ぶのが、ジェームズ・マカヴォイが演じる医師でしょう。英国籍のくせにやたら「俺はスコットランド人だ」を強調するし、現地で世話になった医師夫婦を平気で裏切るし、女にはだらしがなくてアミンの第三夫人と情事を重ねて妊娠させちゃうし、パスポートを没収されて英国外交官に泣きついても「アミンの白いサル」と蔑まれて拒絶されるところでは、思わず「ざまーみろ!」と心の中で快哉を上げてしまいました。まあここまで観る人を不快にさせるとはそれだけマカヴォイの演技が優れているからでもあり、多いに褒めてあげなくてはね。 ラストのエンテベ空港事件を絡ませた脱出シークエンスは、史実を上手く取り入れたハラハラ・ドキドキの盛り上がるサスペンスでした。思い出すだけで背筋がゾクゾクしちゃうのはマカヴォイが乳フックで吊るされる拷問シーンで、これとケリー・ワシントンの意味が判らん切断死体を見せられるところはほんとキツイ。でもこの映画でグロいシーンはこの二ヶ所だけだった感じで、『食人大統領アミン』とはえらい違いです。ていうか、そんなモンド映画と較べられちゃ迷惑ですよね。 ハッピーエンドだったのかどうか、微妙なストレスが残る映画でした。でも実際のアミンが夢のお告げ通りに天寿を全うしたのは、ほんと世の中は理不尽です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-06 21:39:02)

1266.  城取り 《ネタバレ》 時は戦国、関ヶ原合戦に向けて徳川家康が策動を始めたころ。上杉征伐の軍勢が会津に迫ってきたのに呼応して北隣の伊達政宗は上杉家領内に多聞山城という出城を構築して会津征服を狙ってきた。憂慮を深める直江山城守兼続にたまたま侍大将・俵左内を訪ねてきていた名うての兵法者・車藤三は左内と五百両の軍資金があれば自分が城を落としてみせると豪語した。しかし多聞山城の城代は切れ者で知られた赤座刑部、果たして藤三の作戦は首尾よく事が運ぶのだろうか? 司馬遼太郎の『城をとる話』の映画化ですが、この日経新聞で連載された小説自体が主演である石原裕次郎に依頼されたもので、完結を待って石原プロが製作した映画です。裕次郎の相棒・左内には千秋実、これまた百戦錬磨の戦上手だけど銭を貯めることが生きがいというキャラが面白い。堺の白粉行商人役で芦屋雁之助と伊賀の抜け忍として若き日の石立鉄男が城取りチームに加わりますが、口八丁の雁之助が傑作なキャラでした。作戦としては城の建造現場に潜り込んで銭を使って使役されている村人たちを決起させるという割とオーソドックスなものですが、ストーリー展開はどこか『七人の侍』を意識している感が強かったですね。『七人の侍』とは大きく相違するところは悪役で、赤座刑部=近衛十四郎がこれでもかという存在感とキャラ立ちで、完全に裕次郎を喰っていました。裕次郎と十四郎のチャンバラ対決は当然のごとくラストで用意されていますが、互いに長太刀を使って太刀がぶつかり合う瞬間に激しく火花が散る夜間を活かした演出が印象的でした。ちょっと気になったのは裕次郎のセリフ回しで、彼だけはほとんどのセリフが現代調なんです。藤三が村人を集めて作戦説明するシークエンスでは、「こんばんは、皆さん」って裕次郎が挨拶するのにはズッコケました(笑)。 城取りチームの四人は誰も死ななかったけど、ヒロインの中村玉緒など死者が村人衆だけというところが『七人の侍』と大きく違ったところですかね。テンポも良く個々の役者もいい芝居してるんだけど、なんか物足りない、要は裕次郎のチャンバラを見せるための映画だったということかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-07-30 23:12:26)

1267.  ディファイアンス 《ネタバレ》 監督のエドワード・ズウィックはこういう実話をもとに膨らませて脚色した映画を撮るのが上手くて、彼が以前に撮った『グローリー』とよく似た雰囲気の作品です。知る人ぞ知る1,200人が生きのびた“ビエルスキ・パルチザン”の実話を映画化したわけですが、トランプ前大統領の娘イヴァンカの婿でトランプ政権では補佐官を務めたジャレッド・クシュナーは、祖父母がこのパルチザンの生き残りだったそうです。 ビエルスキ三兄弟の長兄を演じるダニエル・クレイグは、リーダーシップがそこそこ有るのに困難な局面では内面の弱さをさらけ出す人物像を巧みに演じていたと思います。彼の弱い部分を補うような存在になるのがゴリラのような弟・リーヴ・シュライバーで、終わってみれば美味しいところはみんな彼が持って行ってしまった感はありますね。末弟で青春キャラを受け持ったようなジェイミー・ベルも良い味出していて、三兄弟のキャラが上手く出ている脚本だと思います。この物語ではドイツ軍はもちろんのこと、ユダヤ人狩りに協力したベラルーシの住人、赤軍の指揮下にあるパルチザン、そして住人から食料を略奪するユダヤ人たちと全面的に正義の立場にいるという勢力がいないというストーリーテリングになっています。とくにユダヤ人たちは、その小集団の中でも格差による反目や食料を巡る諍いなどがきっちり描かれており、綺麗ごとで済ませずにリアルな人間集団が必然的に抱えることになる問題から逃げていないのは好感が持てます。でも聖書のモーゼの故事をモチーフにした沼地を突破するシークエンスや、ラストのご都合主義丸出しのいかにもハリウッド映画らしい戦闘展開は、ちょっとやり過ぎの感がありました。詳しい史実は存じませんけど、1,200人もの集団が約三年も森の中で生き延びたってことは、多分派手な戦闘などは極力避けていたんじゃないかなと思います。スツーカに爆撃されて戦車を従えた部隊に攻撃されたら、普通に全滅しますよ(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-03 23:05:19)(良:1票)

1268.  パージ:アナーキー 《ネタバレ》 “PART2は群れで行け”のセオリーを守って、前作よりもいろんな意味でスケールアップしていたところは喜ばしいことです(出演俳優陣はかなりの格落ちでしたが)。やっぱ籠城戦よりも機動戦の方が見応えがありまよね。脚本も格差社会・アメリカ合衆国を前面に押し出してテーマ性が色濃くなってきました。でも、年に12時間だけのパージ開催だけで国民平均所得が上がって社会が平穏になるという理屈だけは、あいかわらずですけど理解不能です。「12時間だけ犯罪OK」と言われても、果たして人はあそこまで殺人に奔走するものなのか?ってのはこのシリーズの最大の疑問点であるのも確かです。パージが終われば残りの364日は普通の社会なんだろうから、身近だったり繋がりがある人を殺めたら通常の人間関係が成立しないんじゃないだろうか。また、どうせ何でもありなら窃盗や強盗など経済的に得する犯罪に走りそうな気もしますが、パージ中は企業も個人も現金や商品を物理的に奪うことができないようにするだろうし、そうなると大金を稼ぐにはハッキングするぐらいしか手段がない。だから殺人ぐらいしかすることがないってわけで、考えてみるとここまでアメリカ人の本性を貶めるプロットは類を見ない気がします。本作ではこの手のディストピア映画ではお約束の抵抗組織が登場しますけど、こういう「我々アメリカ人には悪と闘う権利と根性があるんだ」という単純なスローガンにはちょっと辟易させられるところがあります。マイケル・ベイが製作陣にいますけど、全体に流れる銃社会肯定感は気になるところです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-27 23:06:08)(良:1票)

1269.  白と黒のナイフ 《ネタバレ》 ハリウッド製法廷映画には“外れなし”とまでは言わないけど、水準以上の作品が多いのは確かです。その中でも本作はストーリーテリングや結末などはすでに古典の部類になるんじゃないでしょうか。 そうは言っても自分が先に観たというだけではなく、類似の結末のケヴィン・コスナーの『追いつめられて』と比較するとかなり落ちるというのが正直な感想です。脚本を書いたのは『氷の微笑』や『ショーガール』のジョー・エスターハスですから、ケレン味はともかくとしてけっこう粗っぽい展開のストーリーだなと思います。最大の「?」は、いくら妻と使用人が惨殺されたからといっても、あんな状況証拠だけでジェフ・ブリッジスが起訴できるのか?ってことでしょう。凶器すら発見されていないんですからねえ、でもそれを言っちゃあ物語が始まらないか(笑)。そんな状況で検察側も弁護側も、ブリッジス夫妻のダブル不倫を暴く証人を都合よく見つけてくるところはなんか出来過ぎなんだよな。まあ普通に観ていれば犯人はあの人だってのは判りますし、上映始まってから半分以上の時間が過ぎるまで他に犯人として疑われそうなキャラがいないんですから。グレン・クローズはまだわかい頃とはいえさすがの演技力ですが、簡単に依頼人と寝ちゃう女弁護士にはちょっと引きます、まあこれは彼女の演技のせいじゃないですけどね。本作の方が先に撮られてますけど、結末といい『危険な情事』とは真逆のキャラだったのが面白い。ジェフ・ブリッジスも、単に有能な好人物と見えるけどいろいろとウラがありそうなところを上手く演じています。でもいちばん好感が持てて美味しいところを持って行ったのは、ロバート・ロジアが演じた調査員だったのは間違いないでしょう。 ラストでクローズに返り討ちにあった男が黒覆面をはがされて素顔を見せるところ、前後の思わせぶりな撮り方から実は皆が予想するあの人じゃなくて意外な人物だったという展開、と思いきやごく平凡な結末、ヘンなところでもったいぶるな![CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-15 23:21:49)

1270.  深く静かに潜航せよ 《ネタバレ》 『Uボート』登場以前に製作された潜水艦映画の中ではかなりの良作、まるで『白鯨』のパロディのような荒唐無稽な展開ではあるが、ロバート・ワイズが職人の腕で見どころのある作品に仕上げています。 海軍全面協力でガトー級潜水艦の実物が使われて、意外と高速で海上を疾走する姿や内部の細かいメカなんかも丹念に見せてくれます。このクラスはとっくに米海軍では現役引退した骨とう品ですけど、他国では戦後に供与されたまだ第一線で配備されていたころですね。船員室や食堂などが狭いながらもきちんと整備されていて、さすがUSネイヴィー、同時期のUボートや伊号潜水艦とはえらい違いです。そして日本じゃどうあがいてもモノにできなかったレーダーを装備、波間に先っぽだけ出ている潜望鏡でも探知できたっていうから、そりゃ日本が勝てるわけありません。対する帝国海軍の駆逐艦アキカゼ、豊後水道で米潜を四隻屠ったという触れ込みですが、VFX用プロップなのに艦影がフレッチャー級駆逐艦と同一なのはお粗末。またソナーで米潜を追い詰めますけど、情けないことに帝国海軍には水中聴音機しかなく最後までソナーを開発できなかったというのが史実です。だいいち、直進してくる駆逐艦のような細い船体に真正面から魚雷を発射しても、相手が進路を変えない限りまず命中しないし、命中しても角度が浅すぎて魚雷が弾かれてしまう確率が高い。つまりクラーク・ゲイブルの必殺技は昔の少年漫画に出てくるようなレベルのお話しなんですが、それをここまで説得力あるというかもっともらしいお話しにできたのは、ひとえにロバート・ワイズの力量の賜物と言えるでしょう。人間ドラマとしては艦長と副長の対立という『ケイン号の叛乱』に通じる緊迫感があるテーマですけど、なんかゲイブルは意外とまともでランカスターもほとんど艦長に逆らわないし、拍子抜けさせられた次第です。そしてなんか物足りないなと感じてましたが、本作だけでなくハリウッド製の潜水艦映画には潜水艦特有の密室性や閉塞感が感じられないんですね。それもお国柄かな?[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-06 22:32:37)

1271.  憲兵と幽霊 《ネタバレ》 中川信夫と天知茂の初顔合わせ作。二人はこの後新東宝倒産までの三年で数々のプログラム・ピクチャーでタッグを組みますが、その中には『東海道四谷怪談』のような傑作もあります。 怪談映画のマエストロである中川信夫ですのでちょっと意外ですが、本来は憲兵隊を舞台にした硬派スパイミステリーとしてスタートした企画に、お約束の社長・大倉貢からの無理強いで怪談要素が詰め込まれることになったそうです。たしかになんか怪談風味が薄いなあと観てて感じましたので、「そういうことか」と納得した次第です。天知茂の悪徳漢ぶりは彼のフィルモグラフィ中でも屈指のレベルです。でも後半で霊に苦しめられるようになってからの演技は、これぞ『東海道四谷怪談』の伊右衛門の原型なのかと感じます。その天知にハメられて刑死するのが中山昭二なんですが、兄の無実を晴らすべく同じ憲兵隊に志願する弟役まで中山昭二が演じるというのがいかにも新東宝らしい、お前ら双子だったのかよ! とは言ってもローアングルに拘る映像や不安定な構図のカット割りなど中川信夫らしさは堪能できます。ラストの墓場のシークエンスも、やっと中川怪談らしくなったなという感じでした。でも、やはり天知の軍事スパイ・シークエンスと怪談噺とのまとまりがイマイチなのは否めないところです。まあ当時の新東宝・プログラム・ピクチャーとしては標準以上の出来だったかなと思います(これでも)。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-06-03 22:25:54)

1272.  ハウス・ジャック・ビルト 《ネタバレ》 「ラース・フォン・トリアーがサイコ・キラー映画を撮った」ということで身構えて鑑賞いたしましたが、正直言って今まで観た彼の作品の中では不快感は低めだった感じです。冒頭に「この映画はラース・フォン・トリアーの作品を彼の許諾のもとに編集したものです」というテロップが出るのでこれはソフィスティケートされたバージョンなのかと勘ぐってしまいましたが、思うに彼の作品の特徴は普通に見えるキャラの行動が観る者を不快にさせるのであって、本作の様に始めからおかしいと判っている人間の行動を見せられると意外とインパクトが弱いのかもしれません。それでもジャック=マット・ディロンの狂気の行動と語られる理屈というか自己分析はおぞましく、とくに自分の妻子を狩りの獲物にして撃ち落とした鳥と一緒に並べるところには嫌悪感が抑えられませんでした。ジャックとまるで精神分析医のように対話するブルーノ・ガンツが実はあっちの世界の存在でした、ってのは想像通りでしたが、エピローグの二十分での地獄めぐりの訳わからなさこそが監督の鬱の映像化なんでしょうが、こういう表現に関するセンスはデヴィッド・リンチの足元にも及ばないと感じます。けっきょく最もインパクトがあったのは凍結した死体をくみ上げて作った“ジャックが建てた家”というわけでしたが、こういうことを平気で撮っちゃうのがラース・フォン・トリアーたる所以なんでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-28 21:34:45)

1273.  go(1999) 《ネタバレ》 今までに山ほど撮られてきた『パルプ・フィクション』の亜流映画と言ってしまえば身も蓋もないけれど、若き日のダグ・リーマンが監督しただけあって才気の片鱗は見えました。そういや、主演のサラ・ポーリーはなんかユマ・サーマンに似てるなと感じたのは私だけかな? 出てくるキャラはみな半分アウトレイジの世界に足を突っ込んでいるような感情移入できそうもない若造たちですが、L.Aまでやって来るベガスの本物のアウトレイジ親子も含めて終わってみればみんな憎めないんですよ。なかでもいちばんの大バカ者はサイモンですが、こいつのバカっぷりはほとんどビョーキの域に達してました(笑)。というわけで、三つのエピソードの中ではこの“サイモン”のパートがいちばんぶっ飛んでますが、それぞれのエピソードはオチが弱いというのは残念なところです。それでも、夫婦でネットワーク・ビジネスに励むウィリアム・フィクトナー刑事には笑わされました。銃が撃たれてあんだけムチャクチャやっても、終わってみれば誰も死んでないというのが、ある意味最大のオチかもね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-19 23:35:45)

1274.  徳川女系図 《ネタバレ》 記念すべき(?)“東映ポルノ”シリーズ第一作にして、大手映画会社が製作した初の成人指定映画なんだそうです。実は日本で“ポルノ”と銘打った映画を初めて撮ったのは東映で、日活ロマンポルノより早かったんですよ。こんなことになったのは当時の東映社長がボウリング場経営などのレジャー分野進出に熱心で映画製作に興味を無くしてしまい、映画部門を制作本部長の岡田茂に丸投げしたからなんです。当時のピンク映画の隆盛を目の当たりにして「これからはポルノでゆくぞ!」の鶴の一声、ヒットが続いてとりあえず路線変更は軌道に乗りましたが、ふつう東大出の重役がこんなことしませんって。それまで散々時代劇を製作してきた東映ですから衣装やセットはストックがあり、ピンク映画じゃ真似できない豪華なエロ映画が誕生したわけです。 五代将軍綱吉時代の大奥が舞台ですから、とうぜん出演者はほとんど女優。エロの方は試写を観た岡田茂に「期待したよりもおとなしい」と言われちゃうぐらいですから、大したことない。でも凄いのはエキストラ的な役柄の大奥のその他大勢の女たちで、当時のピンク映画界隈の女優を大挙出演させています。その女優たちがオッパイ丸出しで繰り広げる乱痴気騒ぎが見もので、これほど大量のオッパイがスクリーンに映ったのは日本映画史上で初の快挙(?)だったそうです。でもそこそこ名が通った女優は肌や太ももを見せるぐらいでほとんど脱ぎがないというのは、女優格差があからさまで笑っちゃいます。 ドラマ自体は石井輝男が監督だけあって、綱吉の下々からすれば贅沢な苦悩をテーマにして割とカッチリ撮られています。荒唐無稽なストーリーながらも将軍綱吉の伝わっている故事がさりげなく散りばめられた脚本かと思います。ラストは御台所信子が綱吉を刺殺するトンデモ展開ですが、実は俗説のなかに“綱吉・信子、無理心中説”があるそうなので、良く調べてるなと感服いたしました。 「(二つの)丘を下れば林もございます、お疲れになったら川の水も飲ませて差し上げます」、この意味深なセリフは綱吉に愛撫される女中が発するものです、こういうセンス好きです(笑)。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-10 22:21:50)

1275.  動く標的 フィリップ・マーロウ、サム・スペードと並んでロス・マクドナルドが産み出したリュー・アーチャーはアメリカ・ハードボイルドにおける三大私立探偵の一人といって過言はないでしょう。実はスペードは、ハンフリー・ボガードが『三つ数えろ』で演じた以外はスクリーンに登場していないのですが、何故かハーパーと改名されちゃってるけどアーチャーもポール・ニューマンが演じただけなんです。でもこのニューマン演じるリュー・ハーパー(アーチャー)は、彼の全盛期の出演だけあって渋さとカッコよさではオールタイム・探偵映画の中でもベスト1なんじゃないでしょう。 名手ウィリアム・ゴールドマンの最初期の脚本であるわけですが、ロスマク特有の複雑なプロットと心理描写を上手く脚色できなかったのは痛いですね。どこかストーリーを追うだけで必死という脚本で、いくらニューマンのハーパーが魅力的といっても映画としては高い評価はできないですね。せっかく“ハードボイルド女優といえばこの人”となるローレン・バコールも出演してるんだから、もうちょっと彼女の見せ場を作って欲しかったところです。シェリー・ウィンタースも勿体なさを感じる使い方でした。 ハーパーが目覚ましに起こされて出がらしでコーヒーを淹れるまでのタイトルバックを観てなんかデジャヴ感がありました。そう、あの有名な『傷だらけの天使』のオープニングが、ショーケンの飲んだのが牛乳という違いはあるけど進行が同じなんです。きっとこの映画が元ネタだったんですね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-05-04 22:24:41)

1276.  新仁義なき戦い(1974) 《ネタバレ》 一応は新シリーズと銘打っているけど、一作目は完全に第一作のリメイクみたいなものだし、あとの二作は広島も広島戦争も関係ないないただの実録風フィクション。やっぱ何事にも引き際が肝心なのよ、未練がましいぞ!岡田茂。 というわけで似たような役者を揃えたリメイクを見せられるわけですが、なんと菅原文太の役名が広能昌三じゃなくて三好万亀夫に変わっている!あの聞きなれた「しょうぞう~」という呼び名が「まきちゃ~ん」となってしまっただけで違和感が満載。でもなぜか山守義雄と山守組だけはオリジナル通りというのは解せないところです。広能、もとい三好万亀夫キャラ自体は旧シリーズのムダにカッコよい感じが消えてがさつな普通のヤクザといった感じで、襲撃されたら情婦を盾にしようと画策するなどけっこう悪い奴です。話の流れは第一作とほぼ同じなんですが、どのキャラも実録的な凄みを前面に出した描き方かなとは思います。でも山守義雄=金子信雄と山守の腰ぎんちゃく坂上元=田中邦衛だけはオリジナル通りのゲスっぷり、やはりこの二人は『仁義なき戦い』には欠かせない定番キャラだってことです。 ストーリーは山守組若頭である青木尚武=若山富三郎がタマをとられてエンドですけど、結末は同じでもオリジナルとは事件での文太の係わり方が真逆なのが興味深いです。若山が演じた役はオリジナルでは松方弘樹だったわけですが、ホテルで文太と松方はしんみりしたやり取りをしたりしてどっか松方を助けたい風さえあったのに、本作では黒幕的な立ち位置ではあるけど青木殺しの推進役です。被弾してのたうち回る青木尚武=若山富三郎に止めを刺すのが松方弘樹だというのも、皮肉というかややこしい。オリジナルのラストは葬儀での有名なシーンですが、浮かない顔しているとはいえ青木殺しの成功に浮かれる山守組の乱痴気宴会に参加している文太が本作でのラストですから、その差は甚だしい。 とまあいろいろ考察してみましたが、やはり『仁義なき戦い』は四部作いや五部作で完結したと見做すのが正しいんじゃないでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 6点(2021-05-01 20:35:03)

1277.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 きっちり10年後にまさかの続編製作、劇中の時間も10年後という設定みたいですね。驚いちゃったのはウディ・ハレルソンとジェシー・アイゼンバーグの容姿の変化のなさ、メイクのパワーもあったろうけどこれは拘りが凄すぎます。そして、エマ・ストーンはともかくとしても最近お姿を拝見していなかったアビゲイル・ブレスリンの大変貌!まさに太ったキルスティン・ダンストとしか言いようがないですね。コロンバスとウィチタは10年経ってもヤルことはやっていてもまだ同棲始めたばかりのカップルみたいな感じ、やっぱ時間設定も10年後としたのは失敗だったかも。考えるに製作側としては前作からさして間がないストーリーにしたかったけど、アビゲイル・ブレスリンが他の三人と違ってあまりに変貌が激しくて、止む無く現実の時間経過を取り入れたって感じかもしれません。 ゾンビ殺しのグロ度はまた格段とアップしていますが、この映画ではゾンビの生態や存在の恐怖がもうどうでも良いレベルまで低くなっているので、アフリカの野生肉食獣の生活圏でロードムービーしてるって感じすらします。まあ猛獣狩りをしてるって感覚ですかね。今回はプレスリー・ネタでやってみましたって感じでまあそれはそれで悪くないんですけど、ヒッピー・コミュニティーみたいなものまで登場して“ファミリーの絆”みたいなものが前面に出ています。感じとしてはちょっと真面目に寄り過ぎる気がして、『テッド』と『テッド2』みたいなパターンになってしまったのはちょっと残念。唯一愉しめたのは前作を観てないと絶対に理解できないビル・マーレ―のネタ、前作でのあまりに酷い扱いを帳消しにするかのような暴れっぷり、でもこういうエンド・タイトルを最後の最後まで観ないと拝めないってのは一つのパターン化していますけどなんか迷惑だよね。「面白いものをお観せしますから、どうか最後まで席をお立ちにならないで下さい」とでもテロップを入れて欲しいもんです(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-27 23:07:19)

1278.  ハウンター 《ネタバレ》 たしかにこれは並みの監督ならある程度の評価が貰えそうですが、ヴィンチェンゾ・ナタリが撮ってますからハードルは高くて不評を貰うことはしょうがないと言えるでしょう。たった25日で撮影されたそうですから、ナタリ自身も深く考えずにサクサク撮ったって感じです。とはいえナタリですから、とくに前半はいかにも怪談という雰囲気は良く出ていたと思います。ループする日常と判りにくいストーリーテリングが、不条理感を強めているのかな。後半は謎とき要素が強まってくるのですが、西洋怪談に特有の“悪との闘い”が前面に押し出されてくるので観てる方のテンションは下がり気味です。だいたい、幽霊が首を絞められて苦しむなんて、製作者側は大真面目なのかもしれませんが、私は苦笑するしかなかったです。リサ達はいわば成仏できないキリスト教で言うところの煉獄を彷徨っている状態、オリビア一家を救ってけっきょく天国に行けましたとさ、って言われてもこれはハッピーエンドなんでしょうかね?東洋人のこちとらとすれば、死の無常観やもののあわれを感じさせてくれないと、歓談噺にのめり込めないんです。やっぱ西洋人にそんなことを求めるのは間違ってますかね?[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-21 23:04:40)

1279.  彼らは生きていた 《ネタバレ》 ピーター・ジャクソンは実はミリタリー・マニアで、第一次大戦の複葉機が専門の模型メーカーを自ら設立しちゃうほどです。そんな第一次大戦に拘りを持つピージャクが、西部戦線での英連邦軍兵士たちの入隊から塹壕生活・戦闘・そして死までを記録フィルムだけで綴るドキュメンタリー映画です。一説によれば、話題を呼んだ『1917 命をかけた伝令』がヒロイズムに走り過ぎて大戦の実相からかけ離れている、とピージャクが怒ったのが製作の動機だったとのこと。 大英帝国は当時の欧州列強では唯一徴兵制がなく、海軍はともかく陸軍は小規模でした。開戦すると陸軍大臣キッチナー卿の呼びかけに応じて志願者が殺到して、たちまち三百万人が入隊しました。職場や学校から仲間同士で入隊してきた新兵たちを英軍は分散せずにそのまま部隊編成したので、“パル(友達)大隊”などと呼ばれたそうです。その“キッチナー陸軍”と呼ばれた新兵たちは西部戦線で大量に戦死、若者世代がごっそり消えた英国社会に大ダメージを与えて100年経っても影響が残っていると言われています。 全編が記録フィルム映像ですけど、ナレーションは一切なくて映像に出てこない生存者たちの短い語りを繋ぐ構成になっています。驚くのは志願兵たちの若さで、最年少で15歳がいたってのには驚きです。まあこの頃は「戦争はクリスマスまでに終わる」というヨーロッパ特有の戦争パターンから抜け切れていない時代だったので、彼らにしては退屈な日常から逃れられるちょっとした冒険、というぐらいにしか考えてなかったんでしょう。 序盤からCG彩色された鮮やかな色合いになります。モノクロ記録映像では気づき様もなかった戦死者や負傷者の生々しい血の色には強烈なインパクトを受けました。そして特筆すべきところは、記録映像の兵士たちの発する声が聞こえるところでしょう。なんと唇の動きを解析して言葉を復元した吹き替えだそうで、これはリアルです。クライマックスは多分ソンム会戦と思われる攻撃のところですが、ここでは当時描かれた絵画やイラストが映像に置き換えられているのは、止むを得ないところでしょう。なんせ初日だけで二万人が戦死した悪戦でしたから、記録フィルムを撮る余裕なんてなかったと思いますよ。 全編英連邦軍からだけの視点で、第一次大戦や戦史に多少なりとも興味がないと退屈極まりない映画かもしれません。しょうじき私も塹壕生活が続く三十分ぐらいまでは眠気に襲われました。でも、カメラに屈託なく笑顔を見せる若い兵士たちの大部分が“彼らはもう歳をとらない(原題)”、つまり戦死してしまったのかと思うと胸が痛みます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-06 18:54:18)(良:2票)

1280.  ハッピーボイス・キラー 《ネタバレ》 これ真面目に撮ったら身も蓋もない凄惨なお話しなんだけど、ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリックスと言った若手のどちらかというと爽やかスターを起用しているので、ちょっとポップでオフ・ビートに寄せてみました、って感じです。でもネコやイヌや生首が喋るというプロットですから、それだけで誰をキャスティングしようがぶっ飛んでますけどね。レイノルズが勤務する工場がピンクを基調とした田舎の会社とは思えない妙にモダンな色使い、ピンクのフォークリフトがダンスを踊るように動くところなんか笑っちゃいます。でもなんといってもエンドロール、主要登場人物六人が鮮やかな色合いの衣装でバスビー・バークレー風のミュージカル、しかも例のピンクのフォークリフトを操るイエス・キリストまでも登場、このセンスは好きです。スラッシャー・シーンはさほど多くはなかったですけど、第一の殺人で解体した死体が肉片にされて百個近くのタッパーで積み上げられるところは、最近死刑が確定した座間の連続殺人の話しが思い出されて「おえっ」となりました。そういうポップな要素を取っちゃうと、実に正統的なキチ〇イ系サイコキラー映画という感じです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-03-27 22:32:38)

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