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1301. ダイ・ハード 『ダイ・ハード』を観ると、思い出す奴がいる。あいつとの最初の出会いは、確か雑誌の広告ページだった。“モノマネタレントの○○さんも愛用”みたいなキャプションが付いていた気がする。商品は何だったか忘れた。でもそいつの困った顔が心に焼き付いた。再会はテレビのバラエティ。モノマネ番組だ。色モノばかりの中でも、一際色モノばかりを集めたようなコーナーにあいつは出てきた。白のタンクトップに、おもちゃのマシンガン。在り得ないくらいに華奢な肉体からは、全盛期の春一番を髣髴とさせる「お前、大丈夫か?」感が漂っていた。冷静になれば、全く似ていないことは分かる。でも“激似”なのだ。奴が発した言葉は「ハーンス!」。その一言で、司会の今田は笑い転げていた。勿論テレビの前の自分ものた打ち回った。その後も何度かバラエティで見かけたが、あいつの台詞は決まって「ハーンス!」か「ホーリー!」。そしていつも困っちゃうんだ。あいつの名前は知らないし、知りたくも無い。でもあの困った顔だけは忘れられない。そこで気が付いた。本家ジョン・マクレーンの困った顔が『ダイ・ハード』の魅力だと。中年男の悲哀に、そしてどんな状況でも諦めない男の姿に共感するんだと。最高のアクション映画と愛すべき中年ヒーローに、そしてちゃんと食べられているか心配なあいつに乾杯だ。そして、日本版のマクレーン刑事に命を吹き込んだ野沢那智さんにも、心を込めて献杯を。(2010年10月30日)[地上波(吹替)] 9点(2010-10-30 20:09:10)(笑:3票) (良:2票) 1302. THE 4TH KIND フォース・カインド 《ネタバレ》 アビゲイル博士“本人役”の女優さんのインパクトが凄すぎます。彼女の病的な表情から目が離せない。役者さん本人の役作りは勿論のこと、色味を消した画作り等もお見事でした。彼女には個人的に“マジでDethする5秒前で賞”を差し上げたい。さて、それでは本題の物語の感想をば。実録映像とそれを元にした再現フィルムを併用したフェイクドキュメンタリーという手法は、なかなか手が込んでいます。この手法の長所は、“宇宙人拉致の現場を観客に見せない”という仕掛けをスムーズに実施できる事です。その結果、博士の妄想説の可能性を引き出せた。ただマズかったのは、見張りの警官が娘拉致の一部始終を目撃していたことです。アビゲイル側ではない人間の目撃証言は証拠として価値が高い。これで観客の中で、妄想説は99%打ち消されてしまった。あの場面は、“警官は意識を失い、ビデオカメラは砂嵐”という状況じゃなきゃいけない。もっとも、物語の本質は“事件の真相は何か?”という客観的事実の判断ではなく、“人は何を信じるか”という主観の方にあります。自分の経験を信じるというアビゲイル。目にしていない事は信じない保安官。経験してもなお、信じられるものしか信じない同僚博士。あなたはどのタイプに人間ですか?という問いかけです。ちなみに自分は、“許容範囲の余白はいつでも残しておきたい人間”ですかね。理想を言えば。面白かったですよ。自分が今まで観た同ジャンルの映画は『ブレアウィッチプロジェクト』『ノロイ』『クローバーフィールド』くらい。あ、あとダチョウの竜ちゃんシリーズ(笑)。その中では断然、実話っぽいです、コレ。純粋な人は間違って信じてしまう可能性があると思う。そういう意味ではタチの悪い映画です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-29 00:16:17) 1303. ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》 本作はファミリー向け映画。失礼ながら大した期待はしていませんでした。前作は自分基準で7点の採点ですから、続編となる本作は6点なら十分と考えていました。ところがどっこい、これが法外に面白かったのです。続編の強みを遺憾なく発揮した快作でした。前作は“博物館の展示物が動き出す”というアイデア一本で勝負した作品。もし本作が単なる2番煎じに終始したなら、予想どおり5~6点の代物だったでしょう。しかし違いました。設定の強化と友情ドラマという付加価値があった。何と言っても、2次元の芸術作品に命を吹き込み、中の世界へ出入り可能にしたのが値千金のナイスアイデア。一気に世界観が広がりました。古い写真の中で落とした携帯電話のエピソードは爽快の一言。石板の新たな活用法の発見に夢は広がるばかりです。前作では主人公と反目していた展示物たちが今度は最初から仲間。その繋がりが嬉しくて。主人公とのちょっとした会話から、気の置けない関係だという事が伝わってきます。喧嘩した友ほど仲が良い。そんな友情がベースにあるから、チープなドラマも特別に思えるのだと思います。前作の主要キャラをきちんとフォローした点も評価したい。ニューフェイス、カムン・ラーをはじめとする悪役たちも憎めないオトボケぶりを発揮してくれました。アドリブとしか思えない、しつこくてくだらない掛け合いを楽しみました。パロディも技ありの切れ味。コメディセンスは自分好みでした。消えたり壊れたりした展示物があっても心配ご無用な点も、続編の強みと言えるでしょう。細かいことは気にしない物語だって事は前作で学習済みですもん。ホント、大満足の続編でした。アメリカ史に詳しければ、もっともっと楽しめたでしょう。[DVD(吹替)] 8点(2010-10-25 20:59:57)(良:2票) 1304. 平凡ポンチ いやいや参りました。軽そうなタイトルとグラビアアイドル主演というパッケージに騙されました。羊の皮を被ったオオカミ。いや偽パイを入れた貧乳娘か。お気楽バカコメディとタカをくくっていたら痛い目に会います。しっかり観ないとストーリーを見失う可能性すらある、虚実入り混じった妄想ドリームラブコメディでありました。もっとも、各シーケンスの解釈は放棄しても大丈夫なつくりなのは有難い。「人生とは映画さ」というメッセージを受け取れれば問題ないと考えます。“難解”とは少し赴きの異なる、不思議な味わいの映画でした。自分は嫌いじゃないです。収穫は主演の秋山莉奈。美尻を誇る愛称「オシリーナ」として、グラビア等で大人気。でも誌面からそのパーソナリティを伺い知る事は出来ません。大勢の水着ギャルのうちの一人。そんな彼女がここまでやるとは、正直言って意外でした。表情の付け方や感情表現の勘が良いです。やや滑舌に難がある気がしますが、磨けば十分女優として通用すると思います。期待してます。[DVD(邦画)] 6点(2010-10-22 19:57:48)(良:2票) 1305. ドゥームズデイ 《ネタバレ》 無法地帯で女が拘束されました。目の前には上半身裸のモヒカン男。普通、このシチュエーションなら貞操の危機です。でも主人公からはそんな悲壮感が微塵も感じられない。それが観客にも伝わるから、彼女を心配しなくて済む。きっと襲われる前に相手を殺すだろうな、仮に犯されても傷つかないだろうな、そんなオーラを彼女は纏っています。彼女曰く“心を無くした”状態。無機質な操り人形です。多分人形に魂を吹き込んだのは中世の城主ケインでしょう。「生き残った者が強者なのだ」その言葉に従い、彼女は自分を試したのではないか。自分は何者なのか。生き残れる人間なのか。バスの横っ腹向かって、アクセルを踏み込めるのは、そういう事だと思う。結果、彼女は新たに生きるための指針を得ました。己が力で生きればいい。猿山のボスを倒した者が次のボスになるのが道理ということ。めでたし、めでたし。ご指摘の方もおられるように、確かに『ニューヨーク1997(又はエスケープ・フロム・LA)』と『マッドマックス2』を足して2で割った、パクリ映画です。主義主張もオリジナリティもありません。正直言って出来は良くない。でもね、自分は結構気に入ったんです。孤高の女エージェント、エデン・シンクレアが。あのツカミどころの無さにビンビンきます。目玉の親父機能もカッコイイしね。と言う訳で若干甘めの採点であることをご容赦ください。ちなみに、原題そのままの『ドゥームズデイ』では判りにくいので、邦題は『ゲゲゲの姉さん』を提案しておきます。[DVD(字幕)] 6点(2010-10-10 23:25:32)(笑:1票) 1306. ザ・フィースト 《ネタバレ》 ノリノリのキャラクター紹介、登場したと途端に食われるヒーロー、「もう離さない」と抱きしめた傍から引き裂かれていく子供。本作のスタイルは、物語開始早々に判明します。“B級・パニック・グロテスク・スプラッタ・アクション・ホラー・コメディ”(長い…)。同類亜種の作品が数多く存在するジャンル。自分も嫌いじゃありません。そのチープさゆえに、制作の間口が広いジャンルではありますが、この手の作品には“アタリ”が少ないのが現状だと思う。“遊び心”の取り入れ方、その匙加減が大変難しいのです。B級マニア受けを狙っているのが見えてしまうとイヤラシイし、下手だと単なる粗悪品。本作の場合、センスの押し売りが鼻につくのがマイナスです。上から目線で「どう、これイケてるでしょ。分かる人だけ分かればいいから」と言われているような。下ネタの挿入具合あたりから、ヒシヒシと伝わってきます。権威に弱い小市民にしてみれば、「はあ。そうッスね。イケてますよね。分かります。分かります。」としか言えませんもん。このノリはちょっと苦手かなと。真摯な姿勢でバカ、極悪人だけどのりたま大好き!、みたいな“憎めなさ”のあるB級映画が自分は好きです。[DVD(字幕)] 5点(2010-10-07 20:15:12) 1307. ノウイング 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください) 箱舟乗船の条件とは、何だったのでしょう。一つは“ささやき声”が聞こえる事。これは、ニコラスの息子を介し宇宙人が答えているので間違いない。問題はもう一つの要件、数字のメッセージの方です。「数字の意味を理解し、約束の日に約束の地へ来たまえ。」念入りにも宇宙人は、場所を示す小石まで該当者に手渡しています。少女の祖母(50年前にメッセージを受け取った少女)もその真意を理解していたから、かの地に住居していた。ですが、ニコラス息子と少女はこの要件を満たしていない事になります。2人は自力で約束の場所に辿り着けなかった。そう、そもそも設問が難し過ぎたのです。仮に意味を理解出来たとしても、指定場所に赴くにはそれ相当の知識と財力が必要です。子供にはハードルが高い。さぞや『アダムとイブ確保係(北米地区担当)』は焦ったことでしょう。自分の担当地区だけ合格者ゼロでは洒落にならない。宇宙人もノルマ達成に頭を悩ませているんです。そこで彼らは“拉致”という禁じ手に出たというワケ。ここが物語上の弱点でした。必死に問題を解き、かつ正解まで導きだしたのに、「合格者が出そうに無かったんで、クリアラインを下げちゃいました」では拍子抜けもいいところ。大詰めに来て、この基準変更はナシでしょうよ。頑張ったニコラス父ちゃんには、きっちり“使命”を果たさせてあげたかった。とはいえ、息子が人類代表に選ばれたのは喜ばしいこと。親父的には十分なハッピーエンドと言えそうです。個人的な好みを言えば、救いの間口は広く取って欲しかった。決定論も結構ですが、誤差や揺らぎも認めて欲しい。「約束の地に来た“聞こえる者”は無条件で乗船OK。その他も若干名なら乗せますよ」だったら良かったのに。[DVD(字幕)] 6点(2010-10-04 19:56:59)(良:3票) 1308. THE CODE/暗号 《ネタバレ》 『探偵事務所5』の他作品は未見ですが、同監督の『私立探偵濱マイク』シリーズは鑑賞済み。ですからこの作品の楽しみ方は、観始めてすぐに理解しました。世界観を受け入れられるかどうかが全て。そう頭では分かっていたのですが、イマイチ入り込めませんでした。レトロ感覚を活かしたハイセンス・オシャレドラマ。濱マイクも似たようなコンセプトですが、こちらは永瀬正敏の役者の色香と作風がマッチしていたのが功を奏した。本作の主役はご存知のとおり人気女形。色香は十分です。でも本作で尾上の魅力が引き出されていたとは言い難い。世界観とキャラクターが融合していないので、監督の狙いが上滑りしているような。単純に古臭いドラマに見えてしまいます。オールドタイプが好みなら当時のドラマを観ればいい訳で、新しいセンスが付加されてこそ本シリーズに価値が出ると考えます。どうやら日替わり定食風に主役が変わるシリーズのよう。役者がハマれば面白いのかなと。暗号解読については主役が一人で勝手に行ってしまうのがバツ。探偵とくれば、今はコナン君、昔は明智小五郎。謎を解き明かすワクワク感が命です。観客にもその楽しみを分けて欲しい。最後にアンタッチャブルかも知れませんが一言だけ。エースのジョーは、もしかしてラディッシュ役者か?そのメタファーで白いスーツなのだとしたら、この監督は侮れない。[DVD(邦画)] 5点(2010-10-01 21:20:01) 1309. テキサス・チェーンソー (オリジナルを鑑賞したため、本作を再鑑賞しました。感想を書き直します。)脚本だけを比較するなら本作の方が出来はいい。オリジナルの説明不足を補い、設定の不具合を修正し、強化しています。例えば親父。ガススタンドのオッサンより、警官の方がずっと厄介でしょう。レザーフェイスの家族の体裁を整えた事で、より狂気性が増しました。被害者の顔をお面にして被るアイデアも悪くないです。リメイクとして正しいアプローチだと思います。ただし、『悪魔のいけにえ』に限って言えば、この手法は間違っていたと考えます。例えば熱烈なファンを持つラーメン○郎。体に悪いからといって脂を減らしたらどうなるか。頑固で有名な○野ラーメンの親父が丸くなったらどうでしょう(コレはいいのか)。欠点がすなわち長所となっている場合の修正は至難の業です。リメイクで再現すべきは、オリジナルが持っていた不条理さを特化することだったと思います。ホラーは、優等生ではつまらない。[DVD(字幕)] 5点(2010-09-27 20:21:38)(良:2票) 1310. 上島ジェーン 《ネタバレ》 このロングコントの見所は、上島のグダグダ感タップリの言い訳です。ですから何だかんだで最後の最後まで上島には海に入らないで欲しかった。で、サーファーたちは荒れ狂う海に挑んでいって、最後は揃ってご臨終と。こんなオチで如何?[DVD(邦画)] 4点(2010-09-25 19:35:05) 1311. サヨナライツカ 妻投稿■画はキレイ。お話は原作の方がいい。『ミッドナイトイーグル』の方が面白かった。6点。(以上がカミさんの感想。【はち-ご=】さんスタイルを真似てみました。)興味の薄いこのジャンルを久々に観たのは、カミさんがDVDを借りてきたから。『ミッドナイト~』以来数年ぶり、夫婦揃っての映画鑑賞でした。「男女の性質の違いが良く表現されていたね。」「西島の体温の低い演技が良かったよ」などと、カミさんには利いた風な口を利いたものの、頭の中はこんな感じ→ ミポリン!パンツを脱いじゃうの!!うぉぉぉ~リビドーMAX!東ックス!『毎度お騒がせします』よろしくティロリロリーン♪乳首出るかな?何色出るかな?チャラチャチャンチャンチャチャチャチャン♪(サイコロトークの音楽で)え?ええッッ??見えなかったんですけど。シャラポワ、もとい、ポッツンさえ無かったんですけど。何?あれか、旦那がスタンド“エコーズ”を発動させたのか?「ヨメの乳首を死守しろ!」って。何を~ッ負けないぞぉ~!それなら、こっちはスタープラチナだ!精密な動きでコマ送りをしろ。オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラッ!!って、何書いてるだろオレ。無駄にスペースを使ってごめんなさい。いつにも増して感想に内容が無い…。[DVD(邦画)] 5点(2010-09-22 19:26:45)(笑:1票) 1312. 悪魔のいけにえ 《ネタバレ》 ホラー・スプラッターのジャンルで、名作の誉れ高い本作。それ故に鑑賞を躊躇してきたのですが(気分が沈むのが嫌だから)、ついに観てしまいました!監禁や追いかけられる恐怖は、類似作品とそんなに変わらないし、残酷描写のエグさは『SAW』シリーズの方が上だと思います。飛躍的に技術が向上した視覚効果の分野では、70年代作品に勝ち目はありません。にも関わらず、本作はこの先も名作であり続けるであろうことを確信しました。本作の何がスペシャルなのか。それは“理解出来ないモノ”で溢れているからです。例えば、印象的な瞳の接写。これだけ執拗だと確かに気色悪い。けれども、監督の意図は理解出来ます。理不尽な監禁と容赦ない虐殺。でも殺人鬼ならそれくらいやるでしょう。理解できるものは、克服できる。しかし、キーパーソンと思しき車椅子の男をアッサリ殺したり、ミイラ爺さんに無理やりトンカチを握らせたりするのは、意味が分かりません。親父が女性を捕えたときに“ほうき”を使ったのも。完全にツッコミ待ちのボケですもの。実際、ミイラ爺さんがタライにトンカチを落とす度に爆笑しました。笑いながら、気分が悪くなりました。怖かったはずなのに、笑うって何なのさ。隣り合わない2つの感情が同居した事が不快でした。監督のセンスが、自分の許容範囲を超えていたのだと思います。極めつけは、レザーフェイスのダンス。何それ。何だお前。これ、一歩間違えば、いや半歩間違えばクソ映画です。でもその半歩を外さない手堅さも感じます。クソ映画と傑作が紙一重とは。良い映画とは何なのでしょう。[DVD(字幕)] 8点(2010-09-19 21:27:21)(笑:1票) 1313. ホースメン 《ネタバレ》 (ネタバレあります。未見の方はご注意ください。)猟奇殺人を題材とした物語としては、犯人も、またその動機も明快な方だと思います。ただ伏線の張り方が正直すぎて、早い段階で犯人の目星が付いてしまうのは残念なところ。サスペンスとしては標準的な出来だと思いました。しかし、エピローグとなるラストシーケンスは秀逸でした。尺にして僅か1分ほど。刑事である父親とその息子(次男)の会話です。何気なく流してしまいがちですが、このシーンが意味するところ、2人の言葉の真意を測ることが重要と感じました。前提として押さえておきたいポイントは、①長男の部屋は3年ほど前から、異常を示す“白い部屋”であったこと。②長男は溺死の予定であったのに、実際は刺されており、致命傷に至っていなかったこと。③長男を吊り下げ、処刑のライブ中継をセッティングしたのは誰なのか?④刑事が連続殺人と黙示録の関係に気づいたキッカケは何だったか?これらの事項を踏まえて、父親と次男の会話を思い起こしてみたところ、ある可能性が脳裏を過ぎりました。父親が流していた涙の理由を想像しました。せっかく最悪の事態を回避して、穏やかな余韻に浸ろうとしていたのに。でも、この余韻は悪くない。苦いけど、悪くないです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-16 19:53:45)(良:1票) 1314. ラスト・ブラッド 《ネタバレ》 いきなりですが問題です。推定年齢400歳の“少女”と“老婆”、インパクトがあるのはどちらでしょう。もちろん答えは前者。「400歳の少女ってどんだけ?夢見る少女で~いられちゃったの?相川七瀬もビックリって、ね、オイッ!」とハライチ風のツッコミまで出来てしまう。後者は、「ババア粘ってるなあ」の一言で終わりますもの。冗談はさて置いても、主人公の見た目は若い方が好ましい。東洋人の少女がセーラー服を着て日本刀を振り回すという基本設定のうち、「少女」というファクターは意外と重要ではないかと考えます。無理してセーラー服を着せるから、コスプレか企画モノのAVに見えてしまう。ここはひとつ、日本の新進女優を推薦したい。キュートなルックスで見事な殺陣をこなす佃井皆美嬢はいかがでしょう。童顔だしセーラー服もイケますって。フレッシュですぜ、旦那。一方、敵役の小雪は適任でした。小雪は日本人女優の中でも1、2位を争う“物の怪顔”だと思う。もちろんイイ意味で(対抗は片桐はいりと浅野温子)。大ボスのわりに出番が少なかったのが残念でした。オリジナルのアニメ版は残念ながら未見ですが、ストーリーに中身は無いし、CGの質も芳しくなく、実写化の必然性を感じません。『プラネット・テラー』のような黄色味がかった映像は観辛いです。 [DVD(吹替)] 3点(2010-09-13 20:55:42)(笑:2票) 《改行有》 1315. キャタピラー 《ネタバレ》 手足と言葉を失った夫とその妻の介護生活。この構図自体は老親や乳児の世話とあまり変わりません。また戦争でなくとも、身体機能を失う事故は起こりうること。この夫婦の特殊性は、夫が軍神と崇められていること、彼が精神の拠り所を軍功に求めていることにあります。確かに介護する側は報われない。2人は心で繋がっていないのだから。問題の本質は、夫婦の人間関係が破綻している事にあります。戦争の罪を問いたいのならば、戦争が夫婦を引き裂いた、あるいは夫の心を変えてしまったという状況が必要です。しかし戦争が変えたのは彼の見た目。下劣な内面は出征前からのことでした。現地の女を暴行したトラウマも彼自身の責。問題の全てを戦争の責任に転嫁するのは筋違いです。戦争は憎むべきもの。その主張に異を唱える日本人は皆無でしょう。でも的外れな批判や論理のすり替えは、事の本質を見誤らせます。ラストも本筋とは直接関係のない原爆投下の映像と反戦歌でした。正直、反戦映画として質が良いとは思えません。ただ、大女優「寺島しのぶ」が汚れ役を演じ、国際映画祭で主演女優賞を受賞したという作品のネームバリューと付加価値は侮れません。大人は肩書きに弱いのです。成人向け反戦映画としてこれから有効利用されていくことでしょう。作品制作の経費等を考慮すれば、費用対効果は高いと言えそうです。結果的に監督の意図した効用のある映画になっているのかもしれない。でもね…。『おっぱいの出る映画に悪い映画はない』という個人的信条に照らし合わせ、今回は寺島しのぶの素敵なおしりに+1点進呈させていただきます。[映画館(邦画)] 6点(2010-09-10 21:14:46)(良:2票) 1316. 特攻野郎Aチーム THE MOVIE 《ネタバレ》 子供心が感じられるド派手なアクションと凝った仕掛けがオリジナルシリーズの魅力。その精神は受け継がれていたと判断しました。ただし、子供は子供でも時代が違えば趣向も異なる。手作り感溢れるオリジナルのギミックと比べると、本作は随分とスケールがでかい。空飛ぶ戦車のシューティング。貨物コンテナを使ったブロック崩し。主に車の改造に精を出していた印象のあるオリジナルとは随分違います。家内制手工業から工場制機械工業へ。元ネタを知る世代にとっては、手作りの味が懐かしいのは当たり前です。でも中途半端に似せた「ニセモノ」を作るくらいなら、イチから「本物」を創る方がいい。新世紀のAチームを創造しようとした本作の方向性を自分は支持します。ただ、リメイク作品である以上変えてほしくない部分もある。それはキャラクター設定です。作戦立案と指揮を取るハンニバル、資材調達役のフェイス、メカニックのコング、そして何だかよく分からないクレイジーモンキー。仲良く喧嘩しながら、でも絶妙なチームワークを発揮するAチームが好きでした。その部分で本作は物足りないと感じます。BAバラカスとマードックはもっと犬猿の仲じゃないとつまらないし、フェイスはその名に恥じぬプレイボーイぶりを発揮してくれなくちゃ。みんな大人しかった。TVスポットCMで使われていた印象的なフレーズ『連中はバカをやらせたらピカイチよ』にふさわしい、ブッ飛んだ4人組を観たいです。[映画館(字幕)] 6点(2010-09-07 18:18:07) 1317. ぼくたちと駐在さんの700日戦争 《ネタバレ》 “反目しつつも認め合うライバル関係”は、ルパンと銭形、トムとジェリーを例に出すまでもなく、ドラマ等でお馴染みの設定。根底にあるのは両者の信頼関係です。果たしてママチャリたちと駐在さんの間に絆は生まれたのでしょうか。ひたすら馬鹿なイタズラを繰り返す悪ガキ一味に対し、本気の反撃を見せる駐在さん。子供じみた仕返しは、ママチャリたちと同じ土俵に立っている証。本来なら褒められた対応ではありませんが、こんな大人が一人くらいいてもいい。まるで兄と弟のようです。社会人になる一歩手前のモラトリアム。今だけ、ちょっとだけ、彼らに甘えさせてもいいかなと。ただ、クライマックスのエピソードには異を唱えたい。あの花火は子供たちに打ち上げさせてはいけなかった。絶対に。取扱免許所持の有無や窃盗か否かの問題ではありません。生死に係わるから。ママチャリたちの心意気は買う。優しい男はカッコイイ。ただ、それと危険な行為を許してしまう事は違う。大人の厳しさを教えることが本当の友情だと思いました。ぜひとも駐在さんには彼らにバケツで水を浴びせて欲しかった。「目を覚ませ!ばかもん!」と。甘さの中に辛味が効いてこそ「イイ話」は際立つと思います。[DVD(邦画)] 6点(2010-09-04 21:38:48) 1318. トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 お子様向け優良CGアニメーションという看板を掲げているものの、その実、本当のターゲットは大人です。日本のアニメ映画でいえば『ドラえもん』ではなく原恵一監督作の『クレしん』。1作目からその傾向は窺えたものの、3作目にして政治的イデオロギーまで垣間見えるようになりました。支配された楽園と自治権のある小国、どちらが幸せですか。コレをアメリカ映画でやるのだから、もう何というか皮肉たっぷり。大枠となるエピソードも『大脱走』や『アルカトラズからの脱出』ばりの脱獄もの。完全に大人向けです。ただ、そうだとしても、本作の正しい楽しみ方はさにあらず。表層の子供向けアクションを素直に楽しむのが正解だと思う。それはもう極上です。メロンパンや北京ダッグを味わうように。こんなに美味い薄皮もない。3部作としてのケジメをつけつつ、未来へバトンを繋ぐラストの余韻も秀逸。全世代対応型のパーフェクトな娯楽作品です。そうそう、日本語吹替え声優陣もみな上手かった! お疲れ様でした。[映画館(吹替)] 9点(2010-08-29 21:11:17)(良:2票) 1319. イキガミ 《ネタバレ》 近年、邦画で大流行している「泣ける映画」とどう違うのか分り難いです。“ギターを弾きながら歌う魂の歌”も“愛する人に捧げる角膜”も、何処かでみたようなエピソード。確かに感動的なお話ではあるけれど、オムニバスの中の1篇では扱いが軽い。それよりも、監視社会や国家繁栄法といった本作のウリとなる奇抜な設定部分を掘り下げて欲しかったと思います。「時が来るのを待て」という意味深な台詞を吐いた上司、洗脳が完了していないであろう劇団ひとり。反管理国家の火種らしきものが見えたところで終わりでは、どうにも不完全燃焼です。主人公の派手なレジスタンス活動を期待する訳ではありませんが、彼の苦悩と葛藤そして“足掻き”をもっと観たかった。[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-08-26 04:26:15)(良:2票) 1320. ディセント2 《ネタバレ》 物語の基本構成(危機状況の作り方・話の組み立て)は前作の方が洗練されていると思います。ただ、前作は前半が上質なサバイバルサスペンスだったのに対し、後半はまるっきりB級モンスター映画。その落差に自分は落胆し、良い印象を持てませんでした。そこで続編となる本作。前作の余白「ぜんぶ主人公の妄想でした」という可能性を完全否定するデリカシーの無いアプローチに若干の反感を覚えたものの、結果この開き直りが吉と出た気がします。モンスターパニック映画として面白かった!それはひとえに徹底していたから。観客が生理的に嫌悪するであろう“痛い”“汚い”をとことん重ねました。精神は崩壊寸前、血と汗と糞が入り混じった臭気に意識は朦朧。観客を極限状態に追い込むことに成功しました。だからこそ、最後の最後で友情を取り戻したサラとジュノ、2人の心に共感できたのだと思います。絶望のサラが発した希望を繋ぐ雄叫びに震えました。前作と違い、作中で生還者が出たことも良ポイント。でも、あのオチはどうかと思います。後味の悪い映画は山ほどありますが、これほど脈略の無いのも珍しい。地底人の存在を隠しておくために、生還者を出す訳にはいかなかった。そんな続編製作への伏線が透けて見えるようです。そんなところに気が回るくらいなら、あのオッサンの素性について説明してくれよと言いたい。最後に味噌は付いたものの、後半の仕上がりは上々。後半失速した感のある前作よりも好印象でした。前作と本作、続けて観ると両方とも評価が上がるタイプの映画だと思います。[DVD(字幕)] 7点(2010-08-20 18:00:04)(良:1票)
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