みんなのシネマレビュー |
|
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
121. シリコンバレーを抜け駆けろ! 《ネタバレ》 ドラマ性の強いコメディで、サクセスストーリー。 夢を追う主人公が、落ちこぼれ3人とチームを組み、逆境に次ぐ逆境から最後は栄光をつかみます。まさに私にとって、どストライクの映画です。 大企業の第一線で活躍する主人公。しかし誇りを持つ仕事をしたいと、技術系の会社へ転職。そこで、人間的には落ちこぼれだけど、技術者としては超一流の3人と、1台99ドルの格安PCを作り上げます。 このPC、格安なだけではありません。まさに『あったら良いな』を体現した夢のようなPCで、超クールなんです。 いいですねー。夢があって凄く面白いです。 いろいろ人間的な欠点を抱えていたメンバー。チームの夢をかなえるために四苦八苦。少しずつ自分の短所を乗り越えていきます。それはもう見ていて気持ちが良いもんです。頑張る4人にずっと感情移入できます。 次から次へと妨害があり、逆風が凄いので、ラストの緊張感とカタルシスは半端ないです。 ですが、正義の鉄槌がくだるのが、アイデアを横取るフランシスだけってのが、何とも物足りないです。 99ドルのパソコンを完成させるなと圧力をかけてきた大企業の社長。負け犬呼ばわりした元カノ。この辺りにも何らかの『罰』や『後悔』を与えてくれたらもっともっとスカッとしたんですけどね。 とは言え、この作品は、笑いあり感動ありで、かなりの掘り出し物。 主人公アンディは騒いでばかりで何も作っていない気はしますが、そんな細かいことが気にならないくらいスカッとする気分爽快でご機嫌な映画です。[DVD(字幕)] 8点(2016-05-27 12:46:54)《改行有》 122. コーリング 《ネタバレ》 このストーリーだったら、余計なホラー演出は全体のバランスを崩してしまうのでは・・・。『シックス・センス』のように、ホラーとドラマの調和がとれたものもありますが、本来は両極端な別ジャンル。何でもかんでもミックスさせれば良いってものでも無いみたいですね。 また、どーしても夫に子供のことを伝えたいのはわかりますが、そのために夫を臨死体験に導いちゃうっていうのはどうでしょう。ガイドの人が助けてくれなかったら夫は死んでいたかもしれません。子供は天涯孤独の身になります。それが、本当に『愛』だと言えるのでしょうか。 とは言え、ラストのオチはまったく予想していないものだけに、『驚き&感動』で、鑑賞後の評価は高くならざるを得ません。 伏線はいろいろ張ってあったのに、その伏線に後から気付く脚本・演出は、極めてレベルが高いと思います。 いろんな意味で、ラストに救われた作品だと言えそうです。 ラストがなければ、流行にのっただけの、主題不在の失敗作に終わったことでしょう。このラストで、一気に観る価値のあるドラマへと進化しています。最期に、娘と遊ぶシーンを入れてくれたのも、嬉しい心配りです。どこから見つけてきたか知りませんが、お母さんにそっくりな娘さんです。 すごく良い映画だっただけに、せめて音楽だけでも違うのにしてくれたら良かったのに。 最愛の人をなくし、悲しみに暮れるケビン・コスナーに深く共感していたわけです。 それなのに、『子供が目ぇ見開いて起き上がる。』『窓の外に奥さんが立っている。』『死体に腕をつかまれる。』『片付けたものが全部もとの場所に戻される。』 何かあるたびに、ハラハラドキドキ。いったいどういうスタンスで見れば正解だったのか、いまだつかめず。 ホラー演出が邪魔だというたくさんのご意見に、深く同意です。[DVD(字幕)] 8点(2016-05-21 15:11:05)《改行有》 123. オーシャンズ11 《ネタバレ》 騙されないぞと思いながら見ていたのに、結局騙されてしまう。そーゆー映画って本当に面白いです。 騙されてしまう理由があります。視点が途中で入れ替わるんです。ずっとオーシャンズ11の視点でストーリーが進んでいるのに、終盤、いつの間にか視点がベネディクト側にシフトしています。気付けば、観客もベネディクトと一緒に騙されてしまう妙味。この視点の切り替えは上手いですよねー。警察なんて完全に騙されました。 この作品は自分と大変相性が良いみたいです。 『悪名高いカジノグループから、現金をかっさらう』このたった一つの仕事を1本の映画にしてしまう。ストーリーは単純化され、プロットは明確になります。わかりやすくて、でも工夫や仕掛けもたくさんあって、のめり込みます。ディテールが丁寧で、ちょっとした伏線もしっかり回収してくれるのが気持ちいいです。 まさに、『極端に奇をてらわなくても、作りこめばここまで面白い映画ができる』というお手本のような作品です。 キャストが豪華すぎるくらい豪華なのも、映画ファンにはたまらないです。 一人一人がそれぞれの専門分野で活躍するノリは大好きです。鑑賞中、まるで自分も一緒に仕事に参加させてもらっているかのような錯覚を味わえるのが本当に楽しい。スピード、テンポ、バランス、キャスト、演出、どれをとっても文句のつけようがありません。 個人的にはかなり好きな作品です。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-05-09 09:20:47)《改行有》 124. ドメスティック・フィアー 《ネタバレ》 『定番もの』って嫌いじゃないです。安心して楽しめる良さがあります。 小粒ながらもしっかりと地に足をつけたサスペンスで面白いと思います。 『両親の離婚、母親の再婚などが原因で問題行動ばかり起こすダニー』⇒『ダニーの殺人事件の目撃証言を誰も信じない。』因果関係のひとつひとつがわかりやすいですね。いわゆる『オオカミ少年』的なストーリーですが、こーゆーちょっとした丁寧さが好きです。 『身近な人が犯罪者』なんてのは、もう使い古された題材ではあります。似たような映画やドラマはあっちこっちで作られています。だからこそ、こーゆー正統派サスペンスって下手な小細工が出来ない分、脚本や演出、役者の力量といったものが非常に重要になってくると思われます。その点において、この作品はとても力の入った緊張感あるサスペンスに仕上がっているのではないでしょーか。 キャストの人選、配置にもセンスを感じます。適材適所だと思います。まあ、ヴィンス・ヴォーン演じるリック・バーンズだけは、最初からサイコっぽい顔しているので全然良い人そうには見えませんでしたが。そこは脚本の力で無理矢理良い人扱い。本当はこの人が凄い善人であれば、実はサイコ野郎ってわかったときに大きな衝撃を受けるのでしょうが、登場したときからすでに目つきがサイコっぽいんだもんなー。 懐古主義って言うとおおげさですが、ベタな映画大好きな人には、問題なく楽しめる良作だと思います。[DVD(字幕)] 8点(2016-05-07 12:59:09)(良:1票) 《改行有》 125. 公共の敵 《ネタバレ》 これは面白い。思わぬ拾いもの。 冒頭の刑事はなぜ自殺したのか。捜査令状も無しに、あんな好き勝手やれるものなのか。口の中から簡単に見つかる証拠が、なぜ今まで見つからなかったのか。あまりにディテールが雑なので、気になるところはちょいちょいあります。 ですが、そんなことが些細なことに思えるくらいの、パワーと勢いがこの作品にはあります。 『小さい悪は見逃すが、大きい悪は見逃さない。』なんて、そんなかっこいいものではないけれど、ソル・ギョング演じる主役のカン刑事に男のかっこよさを感じます。 そしてこの作品は、イ・ソンジェ演じるギュファンのサイコっぷりがあまりに見事。 そのサイコパスを、暴力でねじ伏せていくストーリーテリングは爽快ですらあります。 ヤクの売人や、ナイフ使いのチンピラ、果物売りの青年に、上司に後輩と、脇を固める人たちが良い味出してますね~。みんな良い人。 『アニキって言うな。刑事と言え。』というラストのセリフに、カン刑事が自分の未来にどんな決断をくだしたのか見えた気がして、気分がほっこり。 ですがラストのラストでは、街の悪党相手に大立ち回りを演じてフィニッシュ。そう、これってまんま『こち亀』の両さんのノリですね。 少々グロイ描写があるので、その辺は注意が必要です。ですが、ストーリー、テイスト、どれをとっても万人向けの娯楽作品に仕上がっていると思います。[DVD(吹替)] 8点(2016-05-05 03:15:49)《改行有》 126. サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS 《ネタバレ》 『サトラレ』という設定以前に、一人の若き医師のドラマとして見応えがあり、わかりやすく面白いです。 『サトラレ』という特異性に焦点を当てているため、その設定が活きるようなストーリー構成。つまりは、恋愛、家族、そして医療と政治、青春など複数の要素が絡み合っています。 この作品は、『サトラレのコース料理』みたいな映画。一度にいろんな味を楽しめる反面、一つ一つのエピソードはどうしても薄味になってしまうというデメリットがあります。それぞれのエピソードの関連性がもう少し強ければ、一つのストーリーとしての完成度はより高くなり、共感度も強くなったかもしれません。 また、ただでさえ多いエピソードに、『無人島でもう一人のサトラレと出会う』というエピソードの追加。個人的には、このエピソードはまるまる無くても良かったです。映画が冗長に感じてしまう一因を作ってしまっているだけではありません。そのまま放置してしまったことで、鑑賞後にしこりを残す原因にもなっています。 テレビドラマは未見ですので、映画のみの評価になりますが、最後は泣きました。 何回も同じフレーズばかり言うので、少々クドく感じましたが、それでも感動したことには変わりありません。 一本の映画を見て、笑って、泣くことができた。 つまりは、人の感情の琴線にふれる良い映画だったということです。[DVD(邦画)] 8点(2016-04-16 15:24:21)《改行有》 127. インシデント 《ネタバレ》 『面白い。』『笑える』というご意見が多いなか、私にとってはしっかり『怖い』作品です。 スラッシャーものの宿命で、殺人鬼が出てきちゃうと怖さが半減します。ですが、殺人鬼が出てくるまで、『いつ、どこに、何が潜んでいるのか』、見る者の恐怖心を煽る演出はなかなか巧みです。 つまりは、定番のスラッシャーものとして、完成度が高く、大変面白いです。 また、ミステリー要素もあり、物語終盤まで謎をひっぱっているのが、更に物語を面白くしています。 シチュエーションの作り方も上手いです。 例えば、階下では大勢の人間が集会に集まっているのに、その裏側では主人公のジョディと友人ティミーが殺人鬼に襲われるというシチュエーション。死角で行われる殺人鬼の凶行にこの作品のオリジナリティを感じます。 『バージン・キラー』という情報により、学生達が乱交パーティに走ってしまうというアイデアも斬新。 そしてブリタニー・マーフィ。 なかなか魅力的な女優さんです。 他にどんな映画に出演してるのだろうと検索してみたら、既にお亡くなりに・・・。ちょっとびっくりです。そして惜しい。 終盤、『若者達が集っているところに殺人鬼がつっこんでくれたら面白くなるのに』と思っていたら本当にその通りに。 変な爽快感まで味わってしまいました。 怖いし、ハラハラできるし、逃げ回る緊張感も体験できて、謎もある。個人的に、超オススメの傑作です。[DVD(字幕)] 8点(2016-04-10 16:29:04)《改行有》 128. ロスト・キッズ 《ネタバレ》 バスケが大好きな孤児院の少年が、魔法の靴を手に入れてプロバスケプレイヤーとして活躍するファンタジー。 形式はサクセス・ストーリー。テイストはコメディ。ギミックはバスケ。ですがここに映し出されるのは人と人との信頼関係。コミュニケーションの在り方です。 エンタメ作品として楽しい気分になれる一方で、ライトなヒューマンドラマとしても趣きのある仕上がりになっています。 トレイシー(黒人プロバスケプレイヤー)と少年カルビンがメインの二人。 ただ忘れてはならないのが、カルビンの親友マーフ。 カルビンがプロバスケプレイヤーとして活躍するのを応援する一方で、羨望や嫉妬の気持ちも少しはある。カルビンの養子縁組を祝福する一方で、カルビンと別れることを寂しく思う。その繊細な感情の機微を、ジョナサン・リップニッキーが完璧に演じきってくれます。お母さんの写真が焼かれようとするシーンは本当に切ないです。 メインはバスケなんですが、ヒューマンストーリーとして大変温かみのある作品になっていて、見終わった後は幸せな気持ちに浸されます。[DVD(字幕)] 8点(2016-04-06 11:06:42)《改行有》 129. 真実ゲーム 《ネタバレ》 ミステリー要素がかなり強い作品です。ホラーではありませんね。 この作品の真相は同性愛。この頃の韓国映画って、こーゆーの多い気がします。 ここからは壮絶なネタバレします。 女子高生のハン・タヘとヨンジュは相思相愛。しかしヨンジュは自殺。タヘはヨンジュが好きだった歌手、チョ・ハロクのファンクラブの会員になり、利用できるものは何でも利用して、会長にまでのぼり詰めます。 ところがチョ・ハロクは盗作疑惑と麻薬によって破滅寸前。タヘは今は亡き愛するヨンジュのため、チョ・ハロクを人気絶頂のうちに殺害したのがすべての真相。 まずこの『真実ゲーム』が面白いのは、ミスリードが非常に多くあることです。冒頭のレイプシーンですらミスリードという徹底ぶり。タヘにとっては、ヨンジュのためというのがすべてであって、それ以外のことはどれも取るに足りないことだったのでしょう。 ですからストーリーは二転三転します。興味が尽きることはありません。とにかく、『真実』がどうしても知りたくなってしまうのがこの『真実ゲーム』という映画の醍醐味なのです。 逆に弱かったのは動機の描写でしょう。特に、タヘのヨンジュへの想いというのが、全く描ききれていません。タヘのヨンジュへの歪んだ恋愛感情が、より深く、鮮明に描かれていれば、タヘの異常性や猟奇性というものをより強く感じ取れたかもしれません。それはイコール、ラストのオチへの説得力にもつながると思うのです。丁寧に描かれるべきはその『動機』でしょう。 ついでに言えば、ヨンジュの死もかなり唐突です。更に、彼女の死因、自殺なのか他殺なのか、それすらもはっきりとは示されません。つまりは、ストーリーの鍵を握るタヘとヨンジュの行動原理に不可解な点を残したまま、ラストのネタ晴らしへといってしまうのが、この作品の一番の減点ポイントです。 『問題』は大変面白かったのに、その『解答』を教えてもらってもなんかピンとこない、といった感じでしょうか。 それでもこの作品のもつパワー、えげつなさは凄まじいものがあります。 私個人としては、傑作の部類に入ります。[DVD(字幕)] 8点(2016-04-05 13:52:58)《改行有》 130. ハリー・ポッターと謎のプリンス 《ネタバレ》 冒頭で、学校に行くことをハーマイオニーの両親とロンの母親が心配していると聞いて、ハリーの一言。 『ホグワーツは安全さ。ダンブルドアがいる。』 ・・・1作目から今作まで、安全だったことなんか一度もない。毎年命の危険に晒されている。ハリーは完全に感覚が麻痺していますね。慣れって怖いと思った次第です。 さて、物語もいよいよ佳境。もう学校なんてほとんど関係なくなるのかと思いきや、ここにきて授業にクディッチ、恋愛イベントと、再び学園生活中心に。ですがそれも束の間。やはり終盤は学校とは関係の無い世界でひたすらバトル。 今作はシリーズ中一番辛いストーリーかもしれません。ドラコ・マルフォイ、スネイプ、ダンブルドア、みんな辛そう。 『オリバンダーの杖』の店や、ハリーたちの隠れ家が襲われたりと、終始辛いイベントが続きます。 それでも、魔法は派手になるし、ホラー要素は強くなるし、これはこれでかなり面白いです。 もちろんこれがシリーズ最後であるならば、こんな後味悪いラストもないので3点くらいですが、これはラストへの布石の章。そう考えるならば、完成度は非常に高いと思われるわけです。 なぜなら今すぐにでも続きを見たくなるからだ。 それにしても、ダンブルドアの炎の魔法から海開きまではすごい迫力の映像です。モーゼかと思いました。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-03-21 13:47:14)《改行有》 131. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 《ネタバレ》 冒頭からサスペンス&ホラー路線で、最初の頃のらんらんファンタジーの雰囲気は一切無くなりましたね。 魔法の羽根ペンを使っての虐待指導なんて、夢のあるファンタジー作品にはあってはならないシーンですからね(笑) ハリーポッターシリーズ1~3くらいまでが好きな人には、合わない可能性が高いんじゃないでしょーか。 個人的には、『炎のゴブレット』といい、『不死鳥の騎士団』といい、シリーズ後半は原作より映画のほうが面白く感じます。 原作でも映画でもわくわくするのは、やはりみんなで集まって『ダンブルドア軍団』という正義の秘密結社を結成するくだり。ひじょ~に好きな展開です。 そんなわくわくするくだりもありながら、ハリポタシリーズ後半がつまらないと感じてしまう最大の理由は、『魔法学校』という舞台ならではの良さがどんどん感じられなくなってしまうことです。様々な『授業』や『学校イベント』に『魔法』がミックスされることで生み出される現実感のあるファンタジー世界。その仮想空間を楽しめるのが、私にとってこのシリーズの最大の魅力。 それが後半、メインの出来事はほとんど『学校の外』で起きてしまう。これがシリーズ前半と後半の決定的な違いでしょう。 この作品も、ハリー・ポッターシリーズとしては、あまり好きな作品ではありません。 ですが、一本の映画としてみると、とても面白いです。 もともと緊張感のある映画は総じて好きです。 ですから、なんだかんだ言って最後までドキドキしながら鑑賞したわけですから、映画として面白いんだと思います。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-03-20 21:15:57)《改行有》 132. ハリー・ポッターと炎のゴブレット 《ネタバレ》 個人的には前作と同じ、あるいは前作を凌ぐ出来栄えで満足です。 すっかり忘れていましたが、当時よくCMで見かけた有名なシーンが出ると、既視感のためか懐かしささえ感じます。 この作品では、初めてヴォルデモートの犠牲者が出ます。記憶が正しければ、これ以降ファンタジー路線からサスペンス、ホラー、アクションの要素が強くなり、魔法合戦もパワーゲーム化していったような気がします。 小説では、『炎のゴブレット偏』くらいまでは楽しく読んでいた気がするのですが、これ以降はあまりに犠牲が増え続けるのが、読んでいて辛かった記憶しかないです。まあ映画ではどのようなストーリーになっていくのかわかりませんが・・・。 実を言うと、この作品くらいから、ハリーポッターシリーズを読んでいて、自分の中でうまく映像化できていない部分がありました。 それが原作のせいなのか、自分のせいなのかはよくわかりませんが、この作品を観たことで自分の中の『炎のゴブレット偏』が補完され、完成された気がします。つまり、私にとっては『小説』+『映画』でようやく『炎のゴブレット』が完結したと言えるでしょう。 一本の映画として見ても、最後まで緊張感が途切れることなくあっという間の2時間半でした。 難を言うならば、これは仕方がないことでもありますが、登場人物の心境の変化が唐突すぎることでしょう。 特にロンの心境の変化は違和感ありあり。また、四面楚歌状態だったはずのハリーが、いつの間にか皆から応援されている状況も、映画で見るとかなり不自然。ついでに言うと、ハリーが陰でロンやネビルを小バカにするようなシーンはあまり見たくなかったですね。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-03-17 15:38:17)《改行有》 133. ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 《ネタバレ》 シリーズ中最高傑作との噂に違わぬ素晴らしい出来。『ディメンター』というハリーにとっての天敵の出現。その天敵を倒すために特訓。そして急成長。この3作目はハリーが魔法使いとして大きな成長を遂げるターニングポイントです。やはり主人公ですから。最初のうちは弱々しくて周りの人から助けられていても、どこかで強くなってほしいものです。そのタイミングが、全7作中3作目というのは、ベストなんじゃないでしょーか。 更に、今作ではリーマス・ルーピン、シリウス・ブラック、ピーター・ペティグリュー、ハーマイオニーと謎を抱える人物が4人いて、その謎の見せかた、解明の仕方が面白いです。特にピーター・ペティグリュー。彼に関しては『人の居場所がわかる地図』がかなり重要なキーアイテムとして抜群の効果を発揮していますね。 唯一この作品で不満を言うとしたら、シリウス・ブラックのイメージが原作とだいぶ違ったことです。シリウス・ブラックはもっとクールで落ち着いたイメージなんです。原作がある作品ならではですが、シリウス・ブラックやリーマス・ルーピン、マッドアイ・ムーディなど、好きなキャラクターほど自分の中でイメージができあがってしまうのが痛いところです。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-03-15 03:39:13)《改行有》 134. ハード・トゥ・ダイ 《ネタバレ》 かなり大真面目で骨太なサスペンスアクション。 冒頭すぐに始まる銃撃戦。撃ち殺される同僚。目の前で丸腰の犯人を撃ち殺す先輩警察官。『これが嫌なら警察を辞めるんだな。』の一言。これだけでこの作品は只者ではない予感が。 ストーリーは完全に巻き込まれ型サスペンス。この巻き込まれ具合が尋常ではありません。 車泥棒に殴られ、倒れていたところを拾ってくれた探偵と陰謀に巻き込まれ、人違いで命を狙われ続けます。最悪の偶然を重ね着したような理不尽な展開。これがずーと続くわけです。 その理不尽さの中で、主人公がただ恋人に会い、プロポーズをし、二人で生きていくことだけを願っている姿が切ない。 アクションとしては抜群の面白さで、とにかく緊迫した展開が続きます。 恋人と再会してから、ブランチやブドウ畑に行く話をするようなゆったりとした時間の流れの中にも、なんとも言えないひりつくような緊張感が消えません。これはもう映画の雰囲気の作り方が上手いのでしょう。 ただ、本来全く関係のない人間が、ひたすら痛い目に会い、辛い運命を辿ってしまうのは見るに耐えないものがあります。 映画としての完成度、面白さは満点ですが、救われない主人公が気の毒すぎて、自分の好みには会わない結末でした。 アクション映画なのに爽快感に欠けるのは、その大真面目すぎるプロットが原因でしょう。 はまる人にはめちゃめちゃはまる面白さだと思います。[DVD(字幕)] 8点(2016-02-15 02:35:03)《改行有》 135. フラッシュバック(2000) 《ネタバレ》 子供のときに両親を殺された子供が、トラウマを抱えたまま10年経った後の物語。 ほどほどに怖く、ほどほどにスリリングで、グロ表現はなかなかのものがあります。 ドイツ映画ですが、ハリウッド定番のスラッシャーものと内容はさほど変わりません。もの凄く性格の悪い若者たちが、次々と殺されていくという、しっかり定石を踏んだ手堅い作りになっています。 ただ、『犯人は誰?』というミステリ要素を含んでいるため、犯人が誰かわかってしまうとやはりトーンダウンしてしまうのは否めません。 この作品は、出だしと終わり方にセンスを感じます。個人的にはかなり好きな演出です。 こうして歴史は繰り返してゆくのだなーと、しみじみ感じてしまいますね。[DVD(字幕)] 8点(2016-02-07 16:12:27)《改行有》 136. ガン&トークス 《ネタバレ》 まったりとした雰囲気の殺し屋4人が織り成すサスペンス+コメディドラマ。 これがサスペンスとしても見ごたえがあるし、ストーリータイプのコメディとしても面白い。スタイリッシュなヒットマンストーリーに仕上がっています。 飄々としたリーダー、射撃の天才ミスターパーフェクト、爆弾のスペシャリスト、パソコン担当の弟、チームとしてのキャラ分けも完璧でしょう。4人が4人とも凄腕の殺し屋なのに、やたら人情味溢れる人柄で、そのギャップがたまりません。シリアスなシーンでは完璧に仕事をこなし、めちゃめちゃカッコよく決めてくれます。 特に終盤はかなり盛り上がりますね。オペラ劇場での大仕事でクライマックスでも良かったくらいなのに、そこから更に激動のラストへ。 4人を追う刑事、ついにリーダーを追い詰める!そこでリーダーを逮捕せずに撃ってしまうとんでも刑事。ところがこのアクションがラストへの大事な伏線になっているわけですね。 結局刑事の思惑通り、リーダーのために初めて依頼以外の殺しを遂行する3人。警察署に単身乗り込むリーダー。このラストの一連のシークエンスがもうたまらなくかっこよくてしびれます。 そしてオチは痛快なコメディタッチで締めくくってくれるノリの良さ。 水と油のように相反するコメディとサスペンスという別ジャンルを、完璧なバランスで仕上げた作品。 唯一残念な点を挙げるとすれば、女子高生のエピソードがつまらないうえに、くどい、長い。ここだけが本当に惜しいですが、かなりオススメ度の高い作品です。[DVD(吹替)] 8点(2016-02-03 02:33:04)《改行有》 137. ギフト(2000) 《ネタバレ》 ホラーとミステリーが融合した、『シックス・センス』や『アザーズ』に近いテイストのサスペンスドラマ。 精神不安定な修理工、DV夫婦、弁護士、曲者揃いのキャストのなかで、最も無害で協力的な人物が実は犯人ってのは、この頃ではお約束になりつつあるのでばればれ。ただ、犯人の予想はついても、確信は持てないわけで、最後まで引き込まれるストーリー展開になっていて目が離せません。 殺人鬼ミステリーものとしても十分面白いこの作品。そこに、オカルト要素を加える徹底ぶり。 しかしオカルトをゴリ押しするわけではありません。 あくまでストーリーの中で、必要最低限に、ここぞというところで効果的に挿入されています。この辺りのバランス感覚はさすがサム・ライミ監督というところでしょうか。 犯人が捕まったあと、更にもう一段オチを用意しているところなんか、さすがとしか言いようがありません。 そしてこの切なくも、何故か心温かくなるオチが、この作品の締めくくりとしてはベストな気がします。 『幽霊はあくまで幽霊で、実体化しちゃだめでしょ。』なんて、ちょっと残念なつっこみポイントもなくはないのですが、そんな粗をつつく気にもなれないほどの迫力がある作品。主人公のもっている『ギフト』が、自由自在に使えるようなそんな便利な代物ではないってところも、重要なポイントですね。 プロットだけを見れば、決して後味が良い作品とは言えないかもしれませんが、個人的には文句のつけようのない面白さでした。[DVD(字幕)] 8点(2016-01-28 13:20:56)(良:1票) 《改行有》 138. ファイナル・デッドコースター このシリーズだけはいつまでたっても飽きないですねー。 数々の伏線。伏線がつながった瞬間に起きる惨劇。はしる戦慄。心無い人から『殺人ピタゴラスイッチ』なんてゆわれちゃいますが、正にその通りなので、何も言えません。 ゾンビも殺人鬼もモンスターも出ないのに、これだけハラハラできるシリーズが他にあるでしょうか。 死に方も偶発的なものに人為的なミスを絶妙な匙加減でからめ、大変自然に、でも大惨事に仕上げているこの手腕が素晴らしい。 必死に写真からヒントを探し、それを次の犠牲者になんとか伝えようとする、わかりやすくも引き込まれてしまうストーリー。 このシリーズでしか感じることのできないドキドキが、確かにあります![DVD(字幕)] 8点(2016-01-18 02:08:24)(良:1票) 《改行有》 139. ダブルタップ 《ネタバレ》 予想以上に骨太で完成度の高いアクション。一般的な娯楽アクションとは一線を画す強烈な人間ドラマ。 血の匂いが、痛みが、こちらにも伝わってきそうなほど臨場感を感じる演出。 初めのうちはぬるい射撃スポーツのストーリーだったのに、その中でも不穏な空気を作り出す伏線はちゃんと張ってあったのですね。 決して楽しんで見られるような作品ではないのに、リックが射撃場で警官を次々と撃ちぬいていくシークエンスは、不謹慎ながらも熱くなるものを感じてしまいます。少なくとも、人を撃ってしまう事で、リックのようになってしまう人は少なからずいるでしょう。そう考えると、日本は銃社会でなくて本当に良かったと感じさせてくれる1本です。 警察のほうにも、多少の非があるだけで、なんとなくリックの行為に正当性を感じてしまう、この気持ちが恐ろしいものですね。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2016-01-02 15:44:04)《改行有》 140. 隣のヒットマン 《ネタバレ》 前半は誰が本当のことを言っているのか、誰が味方で誰が敵なのか全くわからなくて面白い。 後半、ある程度真相がわかってくると、オズ(マシュー・ペリー)がつっこみ役となり、コメディとして笑えるやりとりが増えてきます。今作のコメディ感覚は、日本のコントや漫才に通じるものがあると思います。それはずばり『ボケ』と『つっこみ』の温度差でしょう。 唯一まともな感覚のオズがマイノリティーで、裏社会に生きる人たちがマジョリティを占めているため、なぜかオズが浮いている感じになっているのが面白おかしい。なのになぜか、普通の人で一番本件と無関係で、唯一殺人願望がないオズが、気付けばマフィアからもジミーからも重要なポジションをおおせつかっているこのシュールさ。 『いったいこのストーリーでいったら、ラストはどーなんのさ?どーもなんなくね?もう無理じゃね?』と思っていたら、無理のない形でなぜか丸くおさまってしまってもうびっくり。とても上手い脚本でした。[DVD(字幕)] 8点(2015-11-22 15:24:03)(良:1票) 《改行有》
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS