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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678910
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121.  台風クラブ 《ネタバレ》 初めて観たのは、私が登場人物と同年代のときだったから、自分の延長を見ているようで、なんか嫌だったんだな、きっと。 そもそも相米監督作品とは相性がイマイチだから、今回の再見も何の期待もしてなかったんだけど、それがまぁ、すごい映画だったんだわ。 台風、子供の頃は怖くて仕方がなかったけど、中学生くらいになるとワクワクして待ったっけ。ここ(家の中)は安全だけど、明日になったら外の世界や日常生活が吹き飛んでしまうのではないか?という淡い期待。 教室から見える台風直前の揺れる木々。極端に照明を落とした夕方の職員室の暗さ。学校に取り残される心細さ。壊れていく理性。大人の居ない世界。深夜のバカ騒ぎ。 主人公は三上くんだ。勉強が出来て、女の子にモテて、野球部で彼女も居て、優等生でもありバカも出来る。何不自由無い中学生活を送る三上くん。 そんな三上くんに、身近な大人の梅宮は「お前は15年も経てば今の俺になるんだよ」と言い放つ。「僕は貴方にはならない」と言い返す三上くんの出した結論。「死は生きることの前提」。死んだような大人になるより、今の自分のままの死を選ぶ。あぁいかにも中学生な結論。 翌月曜日の明の話から、三上くんは生きているんだと思う。けど、犬神家やっちゃって、社会的には死んだのかも。 中学生。まだ学力で分けられる前の、雑多な集団生活。まだ子供でもあり、身体は徐々に大人になりつつある。ヒョロヒョロの身体にブラジャーを付けた工藤夕貴ほか主演の子達、子供っぽさを残した彼らがとてもリアルに当時の中学生を演じている。清水の「おかえり」「おかえりなさい」「ただいま」。子供にもそれぞれの世界があることを思い出させてくれる。 思春期に起きる副作用。大人と子供の中間。今でこそ中二病という言葉でくくられているけど、この年代の難しさ、脆さ、危うさは、エヴァ辺りがしっかり描くまで、“そんな時期もあるから”と、適当に描かれていたと思う。 教室越しの揺れる木々は、彼らの内面のざわめきを表現し、職員室の暗さは彼らの将来に対する不安感を描いていたのかもしれない。 私の世代には直球ド・ストライクな、中学時代の“何も経験してないのに妙に悟りきった”こっ恥ずかしい過去を思い出させるトリップ映画。[地上波(邦画)] 9点(2022-03-13 17:29:51)《改行有》

122.  わるいやつら 《ネタバレ》 なるほど、タイトルの通り主要登場人物に善人が居ません。悪いやつばっかりです。 死亡診断書のトリック(?)は、原作が作られた1960年当時、どれだけ説得力があったか解らないけど、医師という立場が特権階級から、イチ職業でしかない今現在から観ると(たぶん公開された1980年も)、『死亡診断書って、やりたい放題なんだぁ』と納得するくらい。この物語のキモは犯罪の意外性ではなく、悪人の騙し合いの方だろう。 「あの先生かて、働くことありますの」「味のわかるような客やおまへん」2代目のボンボン院長。あっちこっちに女を作り、金の工面に奔走。医師という立場が無ければ何の魅力もない、つまらない男。こんな男を中心に話が進むから、どっかでボロが出るのは火を見るより明らか。 自分と繋がりのある人物を同じ方法で殺害ってだけでリスキーなのに、赤い包の処方箋をそのまま渡すなんて、犯罪に対する工夫の跡が見られない。看護婦長の殺害後の後始末も、自分の車で山奥に運んで、きちんと埋めもせず放置と、これまたすごく雑。どう考えても上手くいきっこない犯罪。 戸谷院長の救いようのない転落人生が描かれるけど、なんか意外性もなく“思うツボ”って感じ。証拠をバッチリ固められてからの事情聴取。逮捕まで一直線。戸谷院長に捜査の手が伸びてからは、テンポも良く豪華俳優がポツポツ出てきて楽しめる。 タイトルが『わるいやつら』だけに、警察(善人)側からは最小限にしか描かれないのかな? 何でもアリな死亡診断書偽装に対し、タイヤ痕からの割り出しは科学的で、なんかチグハグな感覚を覚える。一番ショッキングだったのが看護婦長が生きていたこと。医師なのに殺し損ねるって、戸谷院長どれだけヤブなのか。 黒幕の下見沢、あれだけ何でも任されてりゃ、詐欺し放題だよな。ファッションショーをする度に、騙された男が襲ってくる槙村。彼女が“悪人の中の悪人”って事だろうけど、アホな院長を中心に描いたために、その辺の掘り下げが足りない気がした。もっと下見沢と槙村の裏事情を書いてほしかったかな。[インターネット(邦画)] 5点(2022-02-27 17:33:56)《改行有》

123.  フラッシュ・ゴードン 《ネタバレ》 -Flash Gordon- スーパーヒーローの名前かと思ったら、普通に人名でした、ビックリ。フラッシュも超人的な力を手に入れるのかと思ったら、ずっと普通のアメリカ人だもんな。 当時としても懐かしさを感じるアメコミのコマと、印象的なQUEENの歌を融合したオープニングは、今の目で見ても格好良い。 1934年から続く歴史ある漫画だそうだから、それが如何にして現代に蘇るか、とても興味深かったことだろう。 まさかね、こんな映画になるなんてね… スターウォーズを意識して制作されたらしいから、オーラ姫のセクシーな衣装は、EPⅥのレイア姫の先を行っていたとも言える。 惑星モンゴ住民の、きらびやかな民族衣装も素晴らしい。タカ族とバリン以外の民族はほとんど出番が無いのに。あ、チャリ・チョコのウンパルンパの人発見。キラキラ衣装の中に“FLASH”Tシャツのフラッシュだけが浮いている。フォーマルなパーティにカジュアルな格好できた人みたいだ。 ミン皇帝への貢物の式典。アルデンティアのサン王子に自死を強要とか怖すぎる。シリアス路線でも行けただろうに、フラッシュが大暴れで、この映画の方向性がよく解らなくなる。「ゴー!フラッシュ!ゴー!!」ゆるーい大乱闘と、ゆるーい結末。真面目なスペースオペラにする気はないようだ。そもそも天変地異のボタンが英語表記な時点でアレだったけど。 サン王子とは対象的に仰々しいフラッシュの処刑。墓石も立派すぎる。棺の裏が鏡張り。なんだろう?このこだわり? ザーコフ博士の洗脳シーン。動物と人の顔の融合、ナチスドイツの攻撃のサブリミナル映像はハッキリ言って怖い。レベル6でも耐え切る謎の強靭さ。 やたらとチュッチュ、イチャイチャするシーンが多い。だけどデイルとオーラ姫のキャット・ファイトは、良かったよ。 でも父の“営み前”に精力剤を飲むのを知ってる娘ってのも、どうかなぁ… 死んだと思ったら生きていた。が2回も。あの建物にロケットサイクルがあるならさぁ、フラッシュが操縦できるならさぁ…って思ってしまう。 タカ族軍団と戦艦の闘いがメインなんだろうけど、迫力もなければ緊張感もない。 地球滅亡と戦艦の特攻。このスケール感のチグハグなクライマックス。カウントダウンに間に合うのか?ってハラハラ感も希薄なゆっくり具合。 でもまさか、ミン皇帝の最後がZガンダムの最後と被ってるとは思わなかった。 THE END ? いや、それは無理っしょ。[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-02-23 17:42:12)《改行有》

124.  疑惑(1982) 《ネタバレ》 よくもまぁこんな、ふてぶてしくも憎ったらしい女を創り出せたものだ。 もう死刑一直線、この女が殺したことは間違いない。最後はスカッと有罪判決を出してくれるのを期待して観てしまう。 犯人が意外な人物のドラマ、計画的な殺人トリックに見慣れたせいか、この自然体で直情的で、何がしたいのか解らない球磨子が新鮮に見える。裁判の席でも自分の感情を隠さない球磨子。憎たらしいけど、確かに、自分の無罪を主張するなら間違ったアピール方法。 観ていて球磨子が本当に犯人かどうか、解らなくなる。逮捕後の生存ルートに、どうにも計画性がなく、無罪が期待できない状況に自分を追い込むなんて、犯人だとしたら頭が悪すぎる。 絞首刑の夢で取り乱すシーン。豊崎が言うように「はずみで人を殺すかもしれないけど、計画的に殺すとなると…」こんなのを見ていると、球磨子が犯人じゃ無い可能性が、自分の中でも芽生えるから不思議。 映画の視聴者ではなく、裁判の傍聴人として、とても残念な判決。球磨子が保険金を手に入れられなかったのは、律子のせめてものファインプレーに見えたけど…そうだろうか? この裁判の重要アイテム、靴とスパナ。靴が脱げていたことを怪しむ律子の法廷発言を「そんなのどうでも良いのよ頭悪いわね」と遮る球磨子。 豊崎の証言に取り乱して退廷させられた時、律子に「名演技だ」と言われ、顔の見えない方で口角ニヤリ。 この事件が自殺だったら、豊崎はどこから『ケネディ事件』なんて情報を仕入れて持ち出したのか。(※今回はじめて知った。当時誰でも知ってるような、有名な事件だったのかは知らないけど。) やっぱり球磨子が「一人では生きていけない」とか何とか、福太郎に無理心中をしようと誘い、自殺の方法から手順なんかを指示したんじゃないかな。 目撃者の証言、福太郎の足の傷から、やっぱり球磨子が運転。怖くなってブレーキを踏まないようにと説明して、ブレーキの下に靴とスパナを入れた。目的は福太郎が急に怖気づいて助手席側からブレーキを踏まないように。 福太郎には2人の無理心中と思わせて、実際は自殺教唆。その実、世間からは事故に見えるように細工。だとしたら球磨子は相当したたかだ。 宗治君の証言で、球磨子の目論んだ『事故』でなく『自殺』にはなった。でも有罪まで持っていけなかったのは、律子の完敗に思える。 最後の打ち上げ。律子の腕にワインを浴びせるシーンは息を呑む迫力だった。 桃井かおりが悪女役をする作品が、他に何作品あるのか知らないけど、私の知っている桃井かおりの憎たらしさをストレートに出したのが、まさしくこの映画の鬼塚球磨子だと思う。それだけ自然で、私がイメージする桃井かおりそのまま。[インターネット(邦画)] 8点(2022-02-13 16:39:16)(良:1票) 《改行有》

125.  ブラック・レイン 《ネタバレ》 -Black Rain- “黒い雨”。原爆のことを表しているのかと思ったけど、親分の「3日間防空壕に入っていた」ってセリフから、恐らく本土大空襲全般のことを表現してたんだな。爆弾の熱は日本人を焼き殺し、生き残った日本人には黒い雨が降り注いだ。そして親分曰く“金を崇拝するアメリカ人のような日本人”佐藤が生まれた。 監督はアメリカ人が映画を観てイメージする、スキヤキ・ゲイシャのステレオタイプな日本人像ではなく、家電や車で世界を席巻した、生まれ変わった今の日本を表現しようとしたんだろうか? そういう意味では今までの日本表現に比べ、スタイリッシュな都市像が表現されている。リアル・ブレードランナーの世界。 新しい日本人・佐藤と対極なのが松本。松本のような実直で真面目な古い日本人が、如何にして戦後から現代を生きているか。英語を学び、チャーリーとカラオケを歌い、ニックから“時にはブチかます”ことを学ぶ。古い日本人はアメリカから学び、どんなものでも吸収して今に至っている。 若くて気さくなアメリカ人チャーリー。どんな相手でも仲良くなれる彼は、さしずめ新しいアメリカ人だろうか?何でも吸収する姿勢は松本に近い。 そしてニックだ。妻と別れ、雨の日に子供をバイクで迎えに来るダメな父親(ってか母親も窓から見送るなよ、風邪引くだろ。きっとニックに懐いてる自分の連れ子には愛情がないんだわ、この母親)。仕事でも仲間の汚職に加担して、自分も賄賂を受け、それをチャーリーに言えないでいる。 金を崇拝とまでは行かないが、汚い金で子供を養う彼は、本質では佐藤と似ているのかもしれない。 この映画、本当はニックという汚職警官のダメっぷりを、もっと丁寧に描くべきだったと思う。だから最後の空港のシーン、シャツの下の偽札原板の意味がイマイチ“??”な感じになった。 ニックは日本の警察に原板を渡さなかった。松本はニックが原板を隠していることに薄々気が付いていたと思う。でも原版の話はするけど、調べるつもりもなかった。原版の使いみち、オイシイ話をするニック。 ここでお別れだと言ってシャツを渡す。そもそも松本に、日本で買ったシャツを渡すのは変なのに。空港には警護の警官も来ていたと思うと、松本と2人きりで話せる場として、あの狭い立ち食い蕎麦は好都合だったんだろう。 「後ろに気をつけなカウボーイ」原版をバレずに上手く使えよ。と、松本は絶対そんなコトしないの解っていて原版を託すニック。 ちなみにこのセリフ、内務調査前の別れ際にチャーリーがニックに掛けた言葉。 あの時、チャーリーもニックの汚職に薄々気が付いていたけど、ニックの自発的な更生を望んでいたのかもしれない。 …とここまで、松本に影響されて汚職から足を洗う決意をしたニックの照れ隠し。ニューヨークに帰ったら内務調査で真実を話す戦いが待っている。 あの戦争で日本人が変わったように、ニックのようなアメリカ人も、きっと変われるハズだと。 はにかみ笑顔のマサと、満面の笑みでサムズアップのニックさん。テーマソングも相まって、2人ともカッコええ…[ビデオ(字幕)] 7点(2022-02-11 17:32:06)(良:2票) 《改行有》

126.  愛と哀しみの果て 《ネタバレ》 -Out of Africa- “アフリカから離れて”。アフリカ要素と恋愛要素を天秤にかけて、恋愛の方がウケるって判断した結果のタイトルでしょう。最後“果て”とした所が、地の果てアフリカな感じも辛うじて出していて、ニクい演出に思えます。類似タイトルで迷った時は“果て=アフリカ”とインプットしておけば、この作品を思い出せるかもしれません。 何不自由なく裕福なカレンがアフリカに移り住む。物欲に縛られないデニスは、彼女にとってアフリカそのものだった。 ヨーロッパの文明、人との繋がりとは対局な、孤独な生き方を選ぶデニス。 彼に近づけば近付くほど、彼女の裕福の象徴、文明との繋がりは足枷となっていく。 梅毒で生死の境をさまよい、子を持てなくなったカレン。生きるために不可欠な文明との共存。彼女はデニスのようには生きられない。 無情にもアフリカの神は彼女の築いた文明(農園)を焼き尽くす。人間のちっぽけさ。文明の儚さ。 カレンの影響で徐々に文明を受け入れたデニスは、皮肉にも文明の象徴である飛行機の事故で命を落とす。 残った財産を売り払い、すべてをアフリカに残し、文明の元デンマークに帰るカレン。 天に召されたデニスと文明に戻ったカレン。2人の肉体はアフリカを離れたが、2人の魂は永遠にアフリカに残っている。 …“美しいアフリカの自然”と“雄大なテーマ曲”というパワーワードを抜きに、この映画を語ることなんて、自殺行為だなって思ったわ。 そのくらい、この映画のアフリカ要素重要。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-11 16:53:20)《改行有》

127.  龍の忍者 《ネタバレ》 -Ninja in the Dragon's Den- “龍の巣の中の忍者”。 シャカニンジャー!!インパクト大なテーマソングと『忍者の平凡な毎日』みたいな、夢たっぷりなオープニング映像。何やら濡れ衣を着せられる伊賀忍者の皆さん。興味津々に見ていたら、アッという間に舞台は中国に移って、偽ジャッキー映画みたいな話に変わってしまう。 偽ジャッキーなんて失礼な書き方だけど、コナン・リーのアクションは華麗さと重みがあって格好良い。のに、個性を殺され、髪型も雰囲気もジャッキー・チェンっぽく、そう演じるよう指導されてるっぽい。何とも勿体ない。 お祭りだ。竹馬に乗った仙人と、牛魔王が、なんか、戦って、いるよ。知らんけど。使用人のケイをイジって遊ぶジン坊っちゃんのコントとアクション。もう最初の伊賀忍者のこと忘れてる。 って言ってる間に玄武登場。JAC仕込みの真田広之、全盛期のアクションはキレッキレ。マスクしてるから全部本人か解らないけど、中盤以降のノーマスクのアクションもキレッキレ。茜役の津島要も可愛いし、きちんとバランス見ながら編集したら、面白いストーリーになっていたように思う。 ジンと玄武のバトル。痛い身体をかばって戦うのとか、互角な感じで面白い。「バイチャ」かぁ、そんな時代かぁ。 何の前フリもなくジャッキー映画でおなじみの悪役、ウォン・チェン・リー登場は盛り上がるところ。映画最後の大ボスなのに、フザケた技ばかりでお茶を濁すのは、ちと残念。 でもヤムチャvs透明人間の元ネタっぽいおっぱい光線は笑った。[インターネット(字幕)] 5点(2022-02-05 15:43:43)《改行有》

128.  ザブングルグラフィティ 《ネタバレ》 小さい頃TV版が大好きで観てました。それで期待して劇場版も観ました。当時はビデオデッキもなかったし、久しぶりに見るザブングルと、新しいエンディングに、それなりに満足していたと思います。 当時のアニメは1年間(全50話)ほぼ毎週放送していて、そんなハードスケジュールなのに作画・脚本ともに完成度が高いのが凄い。 このザブングルというアニメの新しいところは、①同型の主役メカが2機いる ②主役メカがいきなり壊れて(背中の羽とタイヤ)最後まで直されない ③主役メカが途中で交代(ザブングル→ウォーカーギャリア)する ④主人公がブ男 特に①と③は、この後の多くのロボットアニメの定番展開になった。 西部劇をベースにしたカラッと明るい物語。程よいコメディ要素と敵味方ともに魅力的なキャラクター。ザブングルは富野由悠季が一番脂が乗っていた時期の傑作の一つと呼んで良いと思う。 当時は満足だったけど、改めて観てみると…序盤のジロンと仲間の出会い、親の仇のティンプ登場までは良かったけど、そこから脈絡のないシーンを断片的に挟んでくるので、『あれ?さっきの続きは?この場面どこに繋がるの?この人誰?』と、TV版を観ていない人にはストーリーが飛び飛びで繋がらなくなっていく。「これが動撮だ! 」とか、幻のトロン・ミラン。合間合間に入るお茶飲んでるチルとか、そういう“遊び要素”は当時珍しかったので良かったんだけど、これもTV版を観ている人向けのサービスで、初めて観る人が「フザケルな!」って怒っても無理はないと思えた。 せめてザブングルを知らない人がこの映画を見て『面白そうだ、TV版を観てみるか』ってなれば良いんだけど…ファットマン、ビエルは僅かしか出てこないし、ソルト(レジスタンス組織)とカタカムは一切出て来ない。彼らはザブングルの魅力の大事な要素だと思うのに。 ザブングルは素晴らしい作品だけど、この映画の出来は酷かった。 “グラフィティ=落書き”で誤魔化すのでなく、普通に“総集編=オムニバス”にしてほしかったな。 TV版の前向きで素晴らしいエンディングをちょっぴり変えて、更にコミカルに更に明るくした劇場版エンディングはなかなか。 当時はアニソンが市民権を得るちょっと前の時代。劇場版オリジナル・ソング、MIOの“GET IT!”が素晴らしい。彼女の歌は今聞いても元気が出るわ。[映画館(邦画)] 2点(2022-01-29 16:42:20)《改行有》

129.  吉原炎上 《ネタバレ》 この作品は私の中で、とても邦画らしいと言える邦画だった。日曜洋画劇場だったと思う。番宣の『鬼才・五社英雄監督作品』ってフレーズが印象に残ってる。この映画を見たときも、キスシーン程度ならともかく、もっと激しいお色気シーン、いわゆる“濡れ場”が作品のメインとして入ってて、そういうのに耐性のない子供だったし、お茶の間が凍るのも苦手で…すぐにリタイア。 当時はじっとりジメジメな邦画は避けて、カラッと陽気に明るいハリウッド映画ばっかり観てたっけ。お陰で今、当時未見だった邦画を見る楽しみが出来てるけど。 中梅楼を中心とした当時の遊郭の町並みが凄い。セットのようだけどあの再現度、質感がとても素晴らしい。お金が掛かってるのがよく分かる。細かいところだけど、ふすまの中にガラス窓が入っていたりと、近年の画一的な工業製品に見慣れてしまったため、こんな些細なところに職人技を感じてしまう。 仕事を始める前の神棚を前にした儀式とか、当時の文化を勉強する資料としても、とても面白い。 中梅楼の造りからは千と千尋の湯屋を。おちかさんの話し方は湯婆婆を連想させる。今は鬼滅の刃も遊郭編だし、ぜひ今の子供にも観てもらいたいところだけど、無理だろうな。「ここ、噛んでぇ~!」だし。私も無理だったし。 コレってどこまで実話なのかな?って調べたけど、吉原が炎上したのって何回もあって、『いついつ、ココが火元でこれだけ燃えて、死者は何人で』とかって個別の記録がないのね。 純愛と見せかけて性的不能者なことにコンプレックスを抱いていた古島。お春との結婚に向かう絶望(不能者だとバレる)からの、自殺だったんだろうかね?逃げようと思えば逃げられたし。 古島の純愛より、自己満足の為に花魁道中を選ぶ久乃。不本意に売られてきた身の上には同情するけど、話が進んでいくうちに久乃より、庶民的な菊ちゃんの方に魅力を感じてしまった。[地上波(邦画)] 6点(2022-01-22 18:31:54)《改行有》

130.  バンデットQ 《ネタバレ》 -Time Bandits-“時空強盗団” さて、邦題のバンデットQの“Q”って何よ?問題ですが、当時日本で子供向け映画として上映された本作。チラシなんかに“6人の小人Qが…”とか書いていて、それぞれ愛のQ、ロマンのQ、冒険のQとか役割があって…もうこの時点でサッパリ謎だけど、誰がどの役割とかはないみたいで、ただ6つ役割があるってだけ。それで『6つのQが集まって面白いことするよー』って、そんな意味を持たせたかったらしいです。普通の小人症の人たちと違って、彼らは創造主が作り出した特殊な小人“小人Q”なんだよ。って。 後のビートル・ジュースやバタリアンの、寒い悪ノリの前身ですね。この辺で止めておけば… 今回始めて観たけど、けっこう苦手な映画かもしれない。タイムホールを記した地図を使って盗みをする設定は良いけど、タイムボカン見たく『〇〇の時代に行って、基地に戻って、今度は△△の時代に行って、基地に戻って』なら解るんだけど、次々各時代を巡るから、ゴールとか彼らの目的(ナポレオンの財宝だけじゃダメなのか?)とかが、イマイチ解らなくなって、この話はどうなれば終わるんだ?って集中力が続かなかった。映像は綺麗で、作品全体から漂う不思議な感じも味わい深いんだけど… ロビンフッドの部下が貧民を殴るところ(なんでだ?)とか面白かった。お婆さんも殴るの、容赦ないな。船の下に無口な巨人がいたのには驚いた。そして特にストーリーに絡まないのも新しい。ガラスの壁や中空の牢獄からの脱出は手に汗握る。こんな風に場面、場面は楽しめてるんだけど、全体を通しては乗れなかったようだ。 最後、家の火事で目が覚めるところ。今までの冒険は部屋に散らばる玩具や写真が元ネタで、実は自分の空想が生んだ夢オチ。…と思わせといて、インスタントカメラの写真で実は!って。なんかオズの魔法使を思い出した。でも最後の両親爆死は、あまりに唐突。ケヴィン君の今後の人生がハード過ぎる。 まぁ結末が自分が期待してたのの斜め上だったとしても、観てる途中が楽しめればそれで良いんじゃないかな。本作はテリー・ギリアムの良い味が出ていたし、たぶん結末を知った上で再視聴すれば、違う角度で楽しめるかもしれない。[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-22 17:48:28)《改行有》

131.  ヤング・マスター/師弟出馬 《ネタバレ》 -The Young Master-“お坊ちゃん”・・・本当かぁ? -師弟出馬-“弟が出かける”怪しいけど間違いではないか…どうだろ? 当時一番印象に残ってるのが、手足を使った壁のぼり。当時みんなでトライして、けっこう高い所まで登れたものだったわ。あとあの“腕の力だけでロープ上り”体重の軽い小学生とは言え難しい技だったけど、1人だけ出来る子がいて、私の中で彼はヒーローだった。 獅子舞い、扇子を使った拳法、ユン・ピョウのイスを使った拳法、スカートひらひら拳と印象的なシーンも多く、モンキー・シリーズに負けないくらい面白いんだけど、きっとジャッキーの拳法に動物を取り入れたりの特徴がないためか、当時の印象が薄い。テレビで流れた回数が少ないせいもあるけど。 今の目で観るとキム兄貴の足技は華麗で、関節をグリグリ決める技も、今までのテンポよく拳を出し合う舞いのようなカンフー映画より実践的。後半ロンも相手の武器である脚や腕を集中的に攻撃したり、こちらも実践的。かと言ってガチな闘いに傾倒するでなく、相手を蹴り飛ばすシーンにワイヤーアクションを入れたり、映画として新しいものを取り入れている。 最後は水タバコのニコチン水(とか言って、実はアヘンか?)のドーピングで勝利とか、勝つには勝ったけどロンがミイラ状態の自虐的なエンディングとか、他のジャッキー映画でも観られるメチャクチャ・パターン。 長時間に及ぶ最後の戦いは、途中でセコンド気味にメガネのおっさんが水を飲ませたりと、まるでボクシングみたい。当時はアメリカの、ボクシングやストリートファイトの映画が流行っていて、この映画にはそれを取り込んだように思える。ジャッキーは純粋なカンフー映画に限界を感じてたんだろうか、今にしてみれば次作のバトルクリーク・ブローの下地作りにも思える。そしてジャッキーの代名詞だった一連の『昔むかしな清朝カンフーアクション』は、本作が最終作(※醒拳は含まない)となってしまった。ちょっと残念。[地上波(吹替)] 5点(2022-01-22 16:43:19)《改行有》

132.  DOOR 《ネタバレ》 家族構成に詳しい保険のセールス。怪しい当選話の電話。読むに値しないダイレクトメール・・・家族構成、電話番号、住所。今では自己責任で守るべき個人情報が、まだまだ簡単に手に入った時代。ストーカーという言葉は一般的ではなかったけど、事件といたずらの境界線が判断しにくい時代の映画。 見てるけど助けない隣人、ドアの落書きもだけど、目に入っても見て見ぬ振り。それでいてゴミ出しの曜日を間違えると戻す嫌がらせに近い正義感。住人同士の触れ合いはないけど、住人用の共用プールがあるのも、それを住人以外も眺められるのも、なんか時代を感じる。 タイトルにもなっているドア。セールスマンが無言でガンガン蹴り続けるシーンが、この映画の中で一番リアルで恐ろしい。だけど新聞の引っ張り合いは、怖いような可笑しいような。 セールスマンが部屋に入り込んでからは、日常的な怖さが半減してしまったけど、自分のことを棚に上げて、イタズラ電話を撃退するところは、犯人の異常さが出ていてけっこう良い。あとビール瓶で突然頭を叩くところは、不意を付かれて驚いた。けど『しゃぼん玉』フルで歌うのは長すぎ。セールスマンの異常さを感じるより退屈してしまった。 大昔、地上波で見たとき、最後子供がバットでとどめを刺したように記憶していたけど、バットのあとにチェーンソー攻撃があったんだな。後半に行くにつれ、直接的な暴力描写になっていったのが残念。母親を助けて、バットを肩に担いで去っていくタクト君(幼稚園児)のシーンが鮮明に記憶に残っている。 マンション内をワンカットで見せるシーンが数箇所あるけど、まぁ広いマンションだわ。床に丸いインテリア・ライト。玄関に透明な頭の帽子掛け。透明なフライパン!なんてバブリー。極めつけはソファーの横の電話台にミロのヴィーナス。凄いセンスだ。 主人公の本田靖子は、毎日、どう見てもくつろげそうにないオシャレな普段着で専業主婦。だったらゴミの日くらい守れよと言いたくなるわ。プールで真っ赤な水着姿、お風呂上がりのバスタオル姿(ご丁寧にミロのヴィーナスとツーショット)から、よっっっぽど高橋惠子が好きな人が監督したんだなって事が伝わる。あぁ、監督がご主人さんなんだ。奥さんが好きすぎてこんな映画撮っちゃったんだな。[地上波(邦画)] 4点(2022-01-14 12:29:43)《改行有》

133.  この子の七つのお祝いに 《ネタバレ》 たまたま最近、産まれたばかりの子供を誘拐して育てる映画が続いたけど、こちらのお母さんは娘に復讐を植え付けるという、最悪の幼少期を過ごさしている。 -この子の七つのお祝いに- は、童謡の“とおりゃんせ”の歌詞の一部からだろう。子供の死亡率が高かった昔のこと、七歳までの子供は神と人の中間みたいな存在と考えていたらしく、無事に七歳を過ぎれば、その子は大人になるまで成長できる。との言い伝えがあって、七五三のお祝いなんかがその名残らしい。 作中の本当の麻矢も四ヶ月で亡くなっている。“鼠に噛まれて”という今の時代では考えにくい悲劇が、戦後の貧しい時代をまざまざと感じさせる。真弓は精神を病んでいたにもかかわらず、誘拐したきえを七歳まで(=人としてきちんと生きていける年齢まで)育て上げること、復讐を植え付けることをを生きる糧としていたんだろう。たぶん真弓は、自分の幸せを奪った高橋の元妻のみやこが死んだことも知らずに死んだんだろう。 手相占いの才があるゆき子が、手形をモトに父を探す設定も、親子の手相(遺伝)で謎解きするのも面白い。けど手相や手形が重要なキーワードなら尚の事、幼少期の自分の手相が他人(本当の麻矢)のものだって、気が付かないものだろうか?手相って子供と大人で特徴が消えるくらい変わるんだろうか?って思う反面、自分が真弓の子じゃないなんて、母を疑う気持ちもなかったんだと思うと、“操り人形”ゆき子の生涯がとても悲しく思える。[インターネット(邦画)] 5点(2022-01-13 23:00:22)(良:1票) 《改行有》

134.  バットマン(1989) 《ネタバレ》 クリスマス感を味わいたくて、昔を思い出しながら観ました。 '89年の年末は、ゴーストバスターズ2、ビオゴジ、バットマン、BTTF2が次々公開。2G2B対決と銘打たれ、映画好きには期待感ハンパないシーズンでした。 このなかで唯一続きものじゃないバットマンは、ダークホース的な存在だったけど、プリンスのサントラ・アルバムが先行販売されるカタチになり、あの印象的な黄色と黒のバットマン・マークの認知度も高くなってたのもあって、公開前からとても斬新でとてもオシャレな映画の印象があったっけ。 タイツを履いた子供向けなヒーロー映画のダサい印象を、黒いラバースーツのバットマンが変えたと思う。 今でこそコメディ要素が感じられるけど、当時は影を背負った大人も楽しめるリアルなダークヒーローとして復活させたのもインパクトが有ったし、漫画チックな悪役ジョーカーをアカデミー俳優のジャック・ニコルソンが怪演したことも話題になって、なんか大人が本気で創ったヒーロー映画って感じが良かった。 ヴィッキー・ベール役のキム・ベイシンガーの魅力&脚線美が炸裂。劇中ハイヒール3回も脱いでます。戦場写真を撮っていた設定に対し、すぐ悲鳴を上げるとことか、水を掛けられたジョーカーの背中をポンポンするとことか可愛い。 ティム・バートン作品らしく、メカ、美術のこだわりも強く出ている。退廃的なゴッサムシティのヤバさ、空気感。森の中を走るバットモービルの格好良さ、飛行機(名前わかんない)が月と重なる美しさ。 ジョーカーがヴィッキーにプレゼントするガスマスクのリボンが緑と紫なのとか、凄いこだわりだと思う。 これまた全然クリスマスな内容じゃなかったけど、エンディングに流れるプリンスのスキャンダラスが、セクシーで素晴らしい。 ストーリーがしっかりしていて、それでいてオシャレで、とても満足度の高い大好きな映画の一つです。[映画館(字幕)] 8点(2022-01-01 18:06:41)《改行有》

135.  ゴーストバスターズ(1984) 《ネタバレ》 -Ghost Busters- “幽霊撃退業者” 今年のクリスマス映画に選んだのがコレだったんだけど、あんまクリスマス感無かったや。 公開された'84年のクリスマス・シーズンには、本作とグレムリン、'84ゴジラで『3G対決』って言われて賑わってたっけ。 ユニークなマシュマロマンのキャラ人気から、学校ではこのゴーストバスターズが一番人気だったけど、観た人の反応はどこかイマイチな印象だったような。 3人組が大学をクビになって、ゴーストバスターズを始めるのは良いし、街にゴーストが溢れてる展開も面白い。あんなゴーストが身近にワラワラと居たら、そりゃワクワクするよ。 だけど話が進んでいくと、なんだか違和感が。主人公達の捕まえたゴーストたちが、いわゆる電源オフで逃げ出せるような捕獲方法なのはどうなんだ?もし停電でも起きたら、ペックが電源を落とすまでもなくゴーストが逃げ出していたと思うと、ゴーストバスターズの処理方法、管理方法って杜撰じゃないかな。 一度捕まえたゴーストが散らばっても、まぁ一度捕まえた連中だしって思うけど、話がゴーザの復活になってくると、もう街は放ったらかしで、戦いの場はディナのマンションだけと、だんだんスケールダウンしていく感じ。 レイのズボンを下ろすゴーストとか印象深かったけど、アレ結局なんだったのかな。最後ゴーザを倒して、街は平和になったぜ!って感じのエピローグのあと、緑のゴースト(スライマーというのか)が飛んでいくの、映画のエンディングでは有りがちだけど、あれって街に放たれたゴーストたちとゴーザは無関係ってこと?じゃあ街にはまだまだゴーストがわんさと居るの?あんな大団円っぽい終わりなのに? 4人目のウィンストンを入れた意味も謎。10人グループの中の3人が主役とかなら解るけど、4人グループの3人が主役って、どういうメンバー設定だろ? 人気があったから2が作られたのはともかく、のちのちリブート作や同窓会的な続編まで作られる事に驚く。…そこまでオイシイ作品かなぁ? シリーズはともかく、本作品は飄々としたビル・マーレイの魅力と、まだまだ仕事を選ばないシガニー・ウィーバーの体当たり演技は今見ても色褪せない。 そして印象的なテーマ・ソングはもちろん、フル装備で人混みを駆けていくゴースト・バスターズ。夜のマンハッタン橋を走るECTO-1(専用車)などなど、数年に一度観たくなるシーンも多く、魅力的な作品ではある。[地上波(吹替)] 5点(2022-01-01 17:16:18)《改行有》

136.  ショート・サーキット 《ネタバレ》 -Short Circuit-“漏電する” 懐かしい!眉毛のあるロボットがとても生き生きしていて、小さい頃すごく気に入っていた映画。警備隊に蜂の巣にされて泣きそうになったっけ… あのロボット(S.A.I.N.T.というのか)、ラジコンとかパペットとかだと思うけど、ホントどうやって動かしてたんだろう?表情がとても豊か。あんなシンプルな顔なのに、やはり眉があるからか、自然に喜怒哀楽を表現出来るデザイン。 アイボとかロボホンとか、最近のプログラム・ロボット並みによく動く。しかも5台も。5台揃って挨拶するシーンなんて、なんかSF映画の表現の進化を感じさせられた。創ったシド・ミード凄い。 シンプルで分かり易いストーリーがとても良い。バッタを踏み潰して生命を理解するところなんて、子供でもわかるからこその文句なしな展開だと思う。そして登場人物に根っからの悪人が居ないのも好感が持てる。ナンバー5に置いて行かれたベンと警備員が暇潰ししてる所とか、ほのぼのしててとてもいい。 ハリウッド映画らしく銃は出てくるけど、ナンバー5が3台のロボットと戦って、破壊するのでなくプログラムを書き換えるのも可愛らしい戦い。 その戦いの結果、他のロボットも感情を持つわけでないのは、ジョン・バダムのロボットに対する考えの現れだと感じた。S.A.I.N.T.がいかに優秀なロボットであっても、プログラミングで感情や人格を作り出せるわけでなく、ナンバー5だけが落雷という偶然で誕生した、奇跡的な生命体という表現なんだろう。 だから他のS.A.I.N.T.は同じカタチしていても、三ばか大将を演じても、あくまでロボット。そんな流れから最後身代わりになったのが未登場のナンバー4かと思ったけど、あくまでスペアパーツなことから、他のロボットも全員無事なのは好感が持てる脚本。 大人になってから見ても充分面白かったよ。[地上波(吹替)] 6点(2022-01-01 15:39:58)《改行有》

137.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 公開当時は観客入れ替え制ではなかったので、同時上映のホームズと併せて、2回連続で観た初めての映画。 当時の私の年齢を考えると、内容を充分に理解していたとは思えないが、難しいながらも原作漫画も読んでいたし、映画についても子供向けのアニメじゃない、何かとっても凄いものを観ている気持ちになっていた。私にとって、アニメが子供が観るだけの娯楽じゃないと思えた、何かターニング・ポイント的な作品だったのが、このナウシカだ。 10代の頃は金曜ロードショーで放送される度に観ていたけど、そのうちビデオかLDを買おうと考えて録画はせず、20代以降になると一度鑑賞したくらいで、今回…久しぶりの鑑賞となった。高画質の必要性も感じなくなっているので、BDでなくDVDを買うことにしたんだけど、定価が結構高いので、ついケチって中古で買ってしまった。残念なことに中に入ってる説明書(?)がクシャクシャで…ジブリやピクサー作品を中古で買う時は、前の持ち主が小さな子供の場合があるから、注意が必要だわ。 久石譲さんの重厚な音楽、刺繍のような歴史絵巻。オープニングからなんかもう、感無量。 巨大な“蟲”と呼ばれる生命体。腐海と呼ばれる森。まだ謎だらけの巨神兵。騎士と銃と戦車があり、飛行機を船と呼ぶ世界。「父はもう飛べません」「ゴルが風が臭うと言うとります」セリフから創られる広い世界観。一気に公開当時の頃に引き戻される感覚。 ナウシカという不思議な少女。16歳と幼いけど、設定だとユパ様があの容姿で45歳なので、現代ならナウシカも成人以上の立場だと思う。村人に慕われる優しさを持ちながら、コマンド兵を殺す荒さを併せ持つ。今回観ていて気がついたのは、父が殺されて腐海の植物の研究を止めたこと。村人のため研究していたと言いつつ、内面では父親に対してかなりコンプレックスを持っていたようだ。幼少期に父に王蟲の幼生を殺されたことを、彼女の中でどう処理していたのか。原作や当時のガイドブックをもう一回見てみるかな。 一番好きなシーンは、腐海に落ちるバージを救うため、マスクを外して気持ち良さそうに風を受けるナウシカ。混乱する城おじを一発で従わせる行動力。あんな笑顔を見せられたら、誰だって従ってしまうよ。さすが村の長、ナウシカ凄い。 一方で酷い長がペジテの市長。映画観ていて『本当にコイツがラステルやアスベルのお父さんなのか?2人の父は他にいて(ペジテ王とか)、この人はただの行政の長なんじゃないか?』って思ったくらい。娘を人質(手枷が後のラステルの扱いを想像させて痛々しい)にされ、ペジテを放棄して少人数乗りの飛行艇で逃げて、恐らくまだ市民も残るペジテ市を蟲に襲わせるなんて。しかも最後、生存者を巻き添えに船ごと自爆まで考える始末。エンディングで風の谷がトルメキアとの戦争を回避(クシャナが本国に掛け合ったんだろう。)したのに比べ、なんと独善的で利己主義な人物だろうか。 ナウシカが最後に着たラステルの服(だと思う)。胸のマークは海亀だろうか?ペジテと海亀?…飛行ガメ…関係ないな。最後、生き残ったペジテ市民が風の谷で暮らしてるのに、今回初めて気がついた。そういえば、人間以外で今の世界と共通の生物が出てこないなって思ったら、川にカエルが泳いでた。 王蟲の暴走で明らかに跳ね飛ばされたナウシカが、どうして生きていたのかとか疑問は残るけど、映画は映画で特に不満なく観られるし、血みどろの漫画原作とはまた違った、スッキリした魅力があると思う。 安田成美のイメージソングも全然平気で、当時の予告編を観ていると、むしろこの歌と歌声が好きな私がいるのも、驚きの発見だった。[映画館(邦画)] 9点(2021-12-12 19:25:41)(良:1票) 《改行有》

138.  バスケット・ケース 《ネタバレ》 -BASKET CASE-グリーン・ディの名曲…じゃなくって、“非社交的な除け者”のスラング。モトは戦争で手足を失った兵士は担架(≠バスケット)で運ばなきゃいけなくて、もう役に立たないから。だそうな。ヒドい。 タイトルのモトネタは、兄ベリアルの事ズバリだし、スラングは弟ドゥエインの事も表していて、結構秀逸なタイトルだよね。 身体がくっついて産まれてしまったシャム双生児。同世代ならご存知、ベトちゃんドクちゃんが生まれたのが'81年。恐らくあの痛ましい姿を見て『よし!これだ!!』って思ったんだろうな。ヒドい。…けど、モノを作る人にはそういう発想が大事だし、ホラーなんてどう擁護したって“ヒドい!”としか言えないんだから、どんどん面白い作品を創ってもらいたいところ。 おぞましいバケモノと、血みどろの惨殺場面と女の悲鳴。セクシーなお色気だけあれば充分なB級ホラーなのに、案外ストーリーと登場人物がしっかり描けているので面白い。 主人公兄弟がテレパシーで話せてたこと。切り離されてからは兄から受信できても送信ができないとか、親が話せないベリアルを化け物扱いした背景も見て取れる。ベリアルを切り取る医者3人に獣医が入っていたり適当。兄を助け、かばい、復讐を手助けする弟。不気味だけど兄弟愛が描かれていたり、最後にホテルから落ちて、兄弟一対に戻って死ぬところとか、ちょっともの悲しくも思えて、なんかティム・バートン作品のようなファンタジックさもある。 恋人シャロンを殺しに行くベリアルの姿が、全裸のドゥエインだったりと、もしかして2重人格のドゥエインの単独犯行?とか、色々解釈もできそう。 ホテルの住人も個性的できちんと描かれて好感度高い。一方的に話しかけて一方的に去っていくオバサン。覗き見、侵入、盗みまでするオジサン。セクシーな面倒見の良い売春婦のお姉さん。奇妙な住人のせいでバタバタと忙しい管理人さん。…あれ?これってめぞん一刻?? ※めぞん一刻の方が先('80年~連載開始)でした。[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-22 15:07:09)《改行有》

139.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 -Terms of Endearment XXX- “愛称” …え?タイトル愛称なんだ?誰か個性的な愛称で呼ばれてたっけ? 意訳の“愛情を受けるための条件”…とかでも良いのかな? タイトルには含まれないけど、タイトル画面の最後のXXXは、手紙とかで書くキス。“Chu!”みたいなものみたい。 先日、瀬戸内寂聴さんが亡くなった。幼い頃から徳の高い尼さんという印象で見てたけど、出家する前は不倫したり娘を捨てたり、本能のままに生きてきたようで、知らなかったから結構びっくりした。人間生まれてから死ぬまで、誰であっても、どんな立場でも、どんな年齢でも、恋愛はするんだなぁ。本作もオーロラとギャレットの熟年の恋愛から、エマとフラップの結婚。お互いの不倫まで様々な恋愛模様が出てくる。 ただ、エマの不倫がねぇ…フラップがまだ浮気疑惑(あの段階でどれほどの確証があったのか?)なうちに、サムと不倫。そこまでは仕方ないとして、不倫してることをオーロラに相談してる事にドン引き。オーロラもフラップが大嫌いだからって、娘の不倫をどんな気持ちで聞いていたのか、とてもモヤモヤする。 妻が死んでいく事を受け入れて、自身の浮気を白状するフラップに対し、自分の不倫は墓場まで持っていくエマ。こんなところも、なんかやっぱりスッキリ出来ない。何が正解か解らないけど、恋愛に対して不誠実に思えた。 長男トミーのエマへの冷ややかな態度から、彼は母親の不倫を知ってたのかな?なんて思ったけど、そう言う描写は無かったな。 人生の最後、必死にトミーに語りかけるエマ、それを面倒くさそうに聞き流すトミーがリアル。これ大人になって絶対後悔する。 併せて、ママを怠け者扱いするトミーに手を挙げるオーロラのシーンも、かなり心に刺さる。叩くオーロラの心も痛い。 エマが死んだときのオーロラの『この子が逝けば苦しみが和らぐと思ってた』ここもとても共感。末期の家族を看病するのって精神的にも体力的にも疲れ果てるから、熟睡できない夜を何日も過ごしてるうち、つい“この状況、いつまで続くんだろ?”って思ってしまうんだよ…人間って弱い。 人は生まれてから死ぬまで、友情、愛情、不倫も含めて人を好きになり、愛を与えあう。 愛する人の死でポッカリ空いた穴は、残された家族と友人とで、時間を掛けて埋められていく。 ジェームズ・L・ブルックス監督って聞いたことあると思ったら、あのザ・シンプソンズのブルックスだった。へえぇ~~、こんなこともする人なんだ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-17 00:43:40)《改行有》

140.  地獄の7人 《ネタバレ》 -Uncommon Valor-“誰にも知られていない武勇” '80年代当時、こういうベトナム戦争を題材にした、戦争アクション映画って多かった気がする。その元祖のようだ。 そして'80年代後半は、もっとリアリティとメッセージ性の強い、本格的なベトナム戦争映画が増えたので、この映画もよくあるB級アクションってイメージだったように思う。 当時私がリアルタイムにこの作品を観ていたり、映画業界の知識や当時のアメリカの背景がもう少しわかれば、また違った視点で観られたかもしれない。ランボーⅡより先に世に出たこの映画、あの名作“ランボー”を撮ったコッチェフ監督作品だったことに驚いた。名優ジーン・ハックマンに、いぶし銀のフレッド・ウォード、若きパトリック・スウェイジも見どころ。しかも音楽はあのジェームズ・ホーナーで、どこか耳に馴染みある音色を楽しめる。 当時のアメリカは、ベトナム戦争の後ろ暗さを抱え、あの戦争の理由を考えながら、それでもレーガノミクスで“強いアメリカ”を掲げ、BORN IN THE U.S.A.を愛国心の歌と勘違いさせ、静かに暮らしたいランボーを再び戦地に送り、日本をバッシングして、アメリカが1番!アメリカ人が1番!って自分に言い聞かせて、立ち直ってきた時代。 仲間のために孤立無援で戦う七人だけでなく、マクレガーを助けて捕虜になったフランクの活躍の両方が、原題に掛かっているんだろう。 戦争に負けた事より、勇敢に戦った当時のアメリカ人と、家族や仲間のために武器を取る今のアメリカ人。俺たちはいつだって勇敢に戦うんだぜ!って自分に言い聞かせてる、そんな映画。 でも、この邦題がB級臭を強くしてるし、私も先にランボーⅡを観ていたので、当時は観終わった感想もコレと言ったものがなく、まぁ、同じような映画だなぁ…って感じだったっけ。あんまりベトナムっぽくない風景だなぁ。とか、火薬大げさ過ぎだなぁ。とか、銃撃戦に緊張感無さ過ぎだなぁ。とか、ヘリコプター使いまわしだなぁ。とか…そんなにお金は掛かってないのは観ての通り。 今回、無難に観終わったと思ったら、最後のセイラーの踊りを観ていて涙が出てきた。え?なんでここで泣いてるんだろ? セイラーの踊りは、下手じゃないけど際立って上手いワケでもなく、ある意味、滑稽な踊りにも見えるんだけど、劇中死んでしまうセイラーが、自分のやりたいことを全身で表現したようなあの踊り…なんかうまく書けないけど、感情の奥から涙が出たよ。 この映画を当時未見の人が、わざわざ今から観る価値があるのかは解らないけど、私は再見して良かった。[地上波(吹替)] 5点(2021-11-14 00:38:02)《改行有》

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