みんなのシネマレビュー |
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1481. うつつ UTUTU 《ネタバレ》 ちょっと豪華な2時間TVサスペンスといった趣です。ツッコミどころはありますし、全体的な軽さは否めません。でもそんなに悪くないと思いました。自分がそう感じたのは、“壁から流れる黒い液体”に意味を感じたからです。宮沢との最初の出会いで佐藤が見た幻。最初はB級ホラーにありがちな“雰囲気の演出”だと思いました。特別な意味は無いと。しかし、そうではないようなのです。本作のオチは、「佐藤の妻殺しは夢だったけど、宮沢夫婦の計画は本物だった」というもの。となれば、黒い液体シーンを含む、宮沢と佐藤の出会いは現実の出来事のはずです。しかし“この時点で”、佐藤が幻を見るのはおかしい。この時、彼はまだ情緒不安定ではありません。幻を見る理由がない。なら、このシーンは“佐藤の夢”と解釈出来ないでしょうか。幻の説明がつく。ではどの時点でみた夢なのか。黒い液体から連想されるもの。自分は直感的に血だと思いました。佐藤が妻に殴られた時に目にした、自身の血なのではないか。さらに夫婦の楽しい想い出“イカ墨パスタの色”。夫婦間の不審を黒色とイメージしたとも取れます。つまり黒い液体は夢におけるイメージの集合体。そしてこのことは、【死に際の主人公が、薄れゆく意識の中でみた夢から本作は始まっている】という事実を導きます。物語がループしているのです。(※このプロットは某有名難解作品を彷彿とさせます。ネタバレになるのでタイトルは伏せます。)ちょっと凝っているのでは。少なくともTVサスペンスのレベルではありません。もちろんこれは自分の勝手な解釈です。それに仮にそうだとしても「だから何なの?」と言われると困ってしまいます。凝ったつくりが、作品の魅力に繋がっていないのです。某作品との大きな違い。もっと幻想的に、もっとテクニカルに観客を惑わせて欲しかったと思います。[DVD(邦画)] 6点(2006-12-26 18:58:55)(良:1票) 1482. 隠し剣 鬼の爪 《ネタバレ》 本作を語るうえで『たそがれ清兵衛』は避けて通れません。少し比較してみます。まずは主役2人。松たか子については文句ありません。惚れました。ハート鷲づかみです。宮沢りえと甲乙つけがたいくらい素晴らしかった。永瀬は予想以上に良かったという印象。時代劇でも十分通用することが分かりました。ただ、真田と比較すると殺陣の部分でツライものがあるのも事実。そして物語。展開は似ているものの、印象はだいぶ違います。本作の方が軽いです。意図的に笑いを入れた描写が多かったことも原因ですが、主人公に悲壮感が感じられなかったのが大きい。失うものが無いこと、迷いが無いこと。主人公の人物造形がやや薄かった気がします。鬼の爪を使う経緯にしてもやや短絡的。人を斬る(殺す)ことの恐怖、重大さを知っている主人公ですから、もう少し強い理由付けが欲しいと感じました。“鬼の爪を物語上どうしても披露したかった”という風に見えます。やはり自分は『たそがれ』の方が好きです。言葉は悪いですが、二番煎じの感は否めません。ただ元々のお茶が上質なので、二番煎じでも十分美味しくいただけます。[DVD(邦画)] 6点(2006-12-25 18:25:51)(良:1票) 1483. モダン・タイムス チャップリンの動きは相変わらずキレがあります。また、本作のテーマにあたる“機械化する社会への警鐘”部分も、うなずけます。特に作品紹介の際などで象徴的に引用される“歯車に巻き込まれる人間”は映画史に残る名シーンだと思います。ただ作品全体としてみた場合はどうでしょうか。チャップリン作品の特色である、切なさや憂いといった人情部分の描写は弱かったように思います。自分はチャップリンに対し、単純に笑えてホロリとさせられる、そんな娯楽性を求めてしまいます。その観点からすると、物足りなさがありました。自分には少々高尚すぎたのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-21 18:50:34) 1484. ザ・セル 《ネタバレ》 世界観自体は好きです。予想通り非常に幻惑的で、映像的にも面白いものがあったと思います。ただちょっとちぐはぐな印象があります。テーマは深そうなのに、ストーリーはわりとアッサリとしていたような。監禁された人質救出という明確な目的を作ってしまったことで、普通のサスペンスになってしまった気がします。作品の間口は狭いのに、いざ入ってみたら意外に出口は広かったという感じ。もっと深い、難解な作品を想像していた者にとっては、食い足りなさが残りました。いっそカルトと呼ばれるくらい、思い切った作品にして欲しかったと思います。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-16 20:17:04)(良:1票) 1485. 深呼吸の必要 《ネタバレ》 『ALWAYS・三丁目の夕日』と同じ匂いを感じました。疲れた現代人に対する清涼剤。『ALWAYS』はノスタルジーという名の、本作は実生活から離れた“楽園”という形での癒しです。癒しそのものを否定する気はありません。必要なことだと思います。でも、ただ浸るのは違う気がします。キーとなるのは田所の存在。彼の生き方を西村が非難する場面があります。結局お前も人生から逃げているだけではないかという指摘。彼は黙ります。つまり多少なりとも心当たりがあるということ。でも結局これに対する回答はなく、彼は同じ生き方を続けます。でも自分は答えを聞きたかった。どんな答えでも納得します。そもそも生き方に正解なんてありません。しかし答えないのでは、問いかけを肯定したことになってしまう。つまり人生から逃げ込む場所が楽園であると。そこで安住することを“よし”とすることを。しかしそれは違うと思います。楽園はあくまで一時の休憩所のはず。自分の在るべき場所に戻らなくてはならない。それが楽園に行く条件だと思います。(おじいとおばあにとっては、島が在るべき場所。楽園ではありません。)深呼吸は確かに必要です。でも深呼吸ばかりもしていられない。そのことを忘れてはいけないと思いました。それより心に残ったのは、おじいの言葉でした。「ダメになったらまたやり直せばいい」よく聞くフレーズです。でもおじいの言葉には説得力がある。丹精込めて育てた農作物がひとつの台風でダメになることを常とする生活。でも投げ出さず、また作り直す。経験を積んだ人間、痛みを知っている人間の言葉は心に響きます。「なんくるないさー」もそう。なんでもないような言葉でも、本当は凄いことなんだと思います。おじいの言葉にちょっと泣けてしまいました。[DVD(邦画)] 6点(2006-12-14 18:30:43) 1486. 親切なクムジャさん 《ネタバレ》 自分は復讐そのものを否定する気はありません。人間が持つ、至極当然の感情だと思います。しかし“復讐しても死んだ人間は生き返らない”“虚しいだけだ”という声もあります。この意見も正しいと思う。いずれにしても“人間だから”どうすべきか悩むのです。本作の重要ポイントは、主人公が遺族を復讐に巻き込んだこと。いや正確にいうなら、遺族を巻き込む際に、主人公が“悩まなかった”ことです。普通は悩むはず。遺族にとって良いことなのか?知らずにいた方が幸せではないか?そういうことを考えるのが人間です。しかし彼女がそのことで、悩んだようには見えません。これはどういうことか。彼女は、自分の指を切って詫びるほど、他人の痛みを感じることが出来る人間です。遺族を巻き込むことに、ためらいが無いはずがない。彼女が“悩まない”のは、“人間であることを止めたから”だと思いました。遺族にしてもそう。いつもと変わらぬ(ように見える)振る舞い、事務的に制裁を加える姿が、とても恐ろしいと感じました。一線を越えたのだと思います。人間であることを放棄しなければ復讐は出来ない。一方、復讐をするのは人間であるがゆえ。哀しい矛盾がそこにあります。復讐の先にあったのは、“やすらぎ”か“苦しみ”か。いずれにしても、残された者はこれからも生きて行かなくてはなりません。本作のスタンスはニュートラルです。復讐を肯定しているとも、否定しているともとれます。この姿勢は良いと感じました。惜しむらくは、展開がやや平坦であったこと。物語的な面白さに欠けたことです。こと作品の求心力という点においては、前作『オールドボーイ』に及ばないと感じました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-11 18:24:02)(良:1票) 1487. 007/カジノ・ロワイヤル(1967) ナンセンスギャグのオンパレード。というか出鱈目です。作品として破綻していると言ってもいいぐらい。でもかえって清々しい。これだけ豪華キャストを使っての悪ふざけ、ラストにかけてのワッショイぶり。凄いです。ただ、作品としては正直、面白いとは言い難い。というか、見終えてポカーンとしました。0点か10点かというぐらいアクの強い作品だと思いますが、自分は本作をまだ消化しきれていないようです。なので中間くらいにさせてください。でもエンドクレジットのセンスは好きなのでちょっとプラスで。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-10 22:30:10) 1488. 終わりで始まりの4日間 《ネタバレ》 谷の住人の姿は人生をなぞらえています。人生は鉱脈を掘り進めることと同じ。深く深く無限に掘り進めて行く作業。降りしきる雨の中、主人公は谷底へ叫びます。自らの人生と向かい合う決意をするかのように。少年期に負った心の傷を引きずる主人公。ひとりの少女との出会いが彼を変えていく。いいお話だと思います。作品を包む雰囲気も温かい。でもちょっとひっかかります。結局は“彼女が出来てハッピー”という話ではないのか。父との和解は一方的ではないか。家族(ホーム)の重要性を訴えているようだが、家族がないと人はダメなのか。いくつかの疑問(言いがかりともいう)が頭を過ります。キスのハッピーエンド。上手くまとめ過ぎのような気がするのです。主人公は本当に成長したのでしょうか。これはナタリー・ポートマンをゲットした主人公に対するやっかみではありません。たぶん。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-01 20:51:07) 1489. 問題のない私たち 《ネタバレ》 sayzinさんのおっしゃるように、前半と後半では別の話になっています。1話完結スタイルの連ドラを2本立てにしたよう。前半が「生徒間のいじめ」、後半が「教師による生徒へのいじめ」。いじめの方法、登場人物のキャラ作り、台詞等すべてがステレオタイプで、リアリティに欠けます。美女ぞろいのクラスというのも(男性目線からすると嬉しいですが)現実感の無さに拍車をかけます。でも事の本質は外していないと思いました。個の放棄、短絡的発想、想像力の欠如、狭い社会、幼児性。いじめを生む要件は揃っています。観ていて心が痛くなります。不快指数は高い。でも本作で用意されたラストは、前半も後半も実に爽やかです。今までのドロドロが嘘のよう。そう、ウソ臭いんです。こんなに後腐れなく、丸く納まるなら誰も苦労はしません。でも共感できたのは、”主人公が自ら動いたこと“。誰もが主人公のように強くありません。だから逃げてもいいし、助けを求めてもいい。ただ、自分から能動的に動かないと事態は変わらない。呼んでもいない正義の味方は現われないということ。その点を押さえていたのは良かったと思います。あと友達は大切です。自らの身を守るうえでも、自身を成長させるうえでも。美少女揃いですし、ピチピチ水着も拝めます。でもそれを目的で観ると痛い目にあいます。[CS・衛星(邦画)] 6点(2006-11-30 18:16:07)(良:2票) 1490. のび太の結婚前夜 何の取り得もないように見えるのび太。そんな彼の根っこの部分を見抜き、のび太を選んだしずかちゃんは素晴らしいですが、そのしずかちゃんを育てたご両親も本当に素晴らしい。しずかちゃんのお父さんの言葉には泣かされます。しずかちゃんが良い娘に育った理由が分かります。でものび太の”心の優しさ”を表すエピソードはちょっと違うかなと思いました。いい話なのに、全肯定できないのがもどかしいです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2006-11-25 18:31:34) 1491. メジャーリーグ3 設定は「2」の数年後。舞台がインディアンズからツインズ傘下のマイナーチーム「バズ」に移っています。宗教家セラノ、石橋貴明、実況アナなどお馴染みの顔は見られるものの、基本的に前2作とは別物。番外編や外伝といった趣です。でも、この手法はアリだと思いました。「2」をそのまま引き継いでも前作、前々作を上回るのは至難の業。このシフトチェンジは正解だと思います。“出演者のギャラを抑えて手軽に続編を作りたかった”感は否めませんが、そうだとしても良くできた方だと思います。メジャーからマイナーへ、そして主役を監督に移したことで全体的な派手さ薄れましたが、マイナー選手の希望や悲哀といったドラマ性は高まりました。練習シーンが増えた点も好感がもてます。キャラ設定の弱さや盛り上がりに欠ける展開など、不満な点も多々ありますが、全体的な印象は悪くないです。オチもいい。「2」よりはずっと好きです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-12 01:31:06) 1492. 英語完全征服 《ネタバレ》 タイトルは大げさ。主人公たちに英語を征服する気なんかありません。ただ、英語に限らず「言葉」の重要性は伝わってきました。心から出た言葉こそが相手の心に届く。キャンディーがエルビス妹を引き止めた拙い英語。エルビスがキャンディーに告白した母国語。あと冴えない中年男タイソンが美人女講師のハートを射止めた「ユー」。伝えたい想いを乗せた言葉は、どの国の言葉だろうと良いものです。全体的なつくりは随分古いタイプのラブコメで、ベタでマンガチックな描写が目に付きました。でも、クライマックスの地下鉄車内の告白シーンは良かったです。クサイけどこんなのに弱いんで。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-09 18:41:48) 1493. ナチョ・リブレ/覆面の神様 《ネタバレ》 (『バス男』のネタバレあります。ご注意ください。)『ナポレオン・ダイナマイト』(以下『ナポ』と略す。え?もっといい略し方があるだろうって?知らないですよ(笑))のジャレッド・ヘス監督待望の新作。しかも今回は主演があのジャック・ブラック!期待せずにはいられず、往復7時間かけて近所の映画館へ足を運びました。感想は正直「イマイチ」。全然ダメってわけじゃないです。静まり返る劇場の中、一人爆笑をこらえるシーンもありました。でも全体的には期待値に届きませんでした。『ナポ』はある意味自分にとって特別な作品です。本サイト初レビュー作品にして、初の10点作品。それほどに自分の心を掴む要素が『ナポ』にはありました。個性豊なキャラクター。独特な“間”と脱力系ともいえるゆるいストーリーがツボにはまりました。みんな生きることに正直で嫌味がないし、不器用な人間が輝く瞬間には爽快感がありました。本作もそんな『ナポ』の要素を踏襲しています。オープニングからエンディングに至るまでその世界観は紛れも無くジャレッド・へス作品でありました。しかし『ナポ』にあった重要な要素、「爽快感」が足りないのです。本作におけるクライマックスはナチョのプランチャシーン。驚異の飛距離を誇る場外ダイブのシーンです。ここで感動が生まれないのはどういうことか。『ナポ』のダンスシーンに感動があるのは、主人公が努力していたから。人知れず、誰に披露する当てもないのに、汗だくになってダンスの練習をする伏線があったからです。でもナチョのプランチャには伏線がありません。いや正確にはあります。鷲(鷹だったかな?)の卵を採りに絶壁を登るシーン。ここで生卵を飲んだナチョが海上へダイブする場面があります。当初の目的どおり不思議な力が宿ったという解釈も可能です。でもそれなら、ナチョが高所恐怖症みたいな設定が事前に示されなければなりません。自分には単に“ナチョは高いところが得意”としか映りませんでした。これでは伏線が逆効果です。ほんのちょっとでいい。おバカなものでいい。プランチャを放つための努力が欲しかったのです。それでも本作のルチャ・リブレに対する真摯な姿勢には好感が持てましたし(自分はプロレスファンでもあります)、ジャック・ブラックの演技には相変わらずキレがありました。期待値が高すぎたためにやや不満が残った初見でしたが、決して嫌いな作品ではないです。[映画館(字幕)] 6点(2006-11-06 18:08:59) 1494. メゾン・ド・ヒミコ キャストが秀逸。オダギリジョーは上手いし、田中泯をはじめゲイ役の皆さんが個性的で味がある。そのゲイ集団の中にレズ顔(もちろん“タチ”のほう)の柴咲コウの対比が面白い。“父娘の確執”と“愉快で悲しいゲイの人生”が主軸の本作。柴崎の父に対する感情の変化が繊細に描かれています。あまりに繊細すぎて観客に伝わらないのではと思うくらい。ゲイの人生の方はやっぱりちょっと悲しい。でもお友達がいれば生きていけるものです。ラストは洒落ていて良いですね。ただちょっと物足りない。濃い題材のわりにドラマの味付けは薄味だったからかも。[CS・衛星(邦画)] 6点(2006-11-05 02:32:47) 1495. 人形霊 《ネタバレ》 基本的に怖くはないのですが、なかなか面白く観られました。ポイントは「忘れやすい人間」と「決して忘れない人形」の対比。60年も怨みをひきずり、当人に対してではなく、その子孫に復讐を果たすというお話。展開は相当強引で“呪い”という言葉を便利に使いすぎかなと思いました。それでも後半の畳み掛けは見事でしたし、オーバーアクションやホラー用の「顔芸」は見ごたえがありました。ただ怖がらせることが目的でないのも良かった。(考えすぎかもしれませんが、“60年前の怨み”という部分に別の意味があるのかもと思いました。韓国作品なので。)生霊のミナちゃんが本物の人形のように可愛らしかったです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-11-03 19:28:58) 1496. DEATH NOTE デスノート(2006) とくに原作ファンではありませんが、コミックは7巻くらいまで既読。そういう立場での鑑賞でした。まず原作にかなり忠実だなという印象。ただ原作は、夜神明の心理描写がとにかく多いというイメージがあるので、そのあたりは控えめだったかなと思います。続編を観たいという気にさせているので、本作は成功。主要キャストが原作のイメージどおりのビジュアルなのも良。[地上波(邦画)] 6点(2006-10-29 23:02:30) 1497. 東京ゾンビ 原作既読。かなり原作に忠実だと思いました。そのエピソードの再現性もさることながら、原作の持つ「空気感」の表現が見事。(これは浅野と哀川の演技力によるところが大きいと思う。)終盤からラストにかけては少し映画オリジナルの要素が強くなりますが、ストイックな原作よりもドラマチックな本作のほうが自分は好みです。原作のテーマは“リアル格闘技の主張”。今でこそ寝技を主体とする総合格闘技が社会的にも認知されるようになりましたが、原作が書かれた98年~99年頃は、まだ総合格闘技の一大ブランド『PRIDE』もまだ創世期。大衆にとってはプロレスも総合もK1も何もかもひとくくりの時代でした。いや今もあまり変わっていないのかもしれません。原作者の花くま氏は、「それは違う」と主張したかったのだと思います。映画版ではミツオの設定変更やフジオに妻子を持たせることで、フジオの“人間的成長”や“家族愛”という要素が加味されていました。そのためマニアックさが薄れていたように思います。ある程度心の準備がないと、いやあっても「何だコレ」となる可能性の高い作品ではあります。[DVD(邦画)] 6点(2006-10-26 19:24:46)(良:2票) 1498. 日本沈没(2006) バスや飛行機などのパニックものの場合、そこに居合わせていない自分がいます。どこか他人事。地球全体に及ぶ災害の場合は、スケールが大きすぎて恐怖心が麻痺。それに、人類が滅亡するなら、あがいてもしょうがないとも思ってしまう。その点、本作の“日本列島が沈む”という災害は、要するに大きな地震。極めて現実的です。特撮の迫力は十分満足できるレベルで、とてつもなく恐ろしいものに感じました。国土を失うこと=国を失うこと。国に属していることの恩恵を、日本人であることの有難さを痛感しました。国に属し、国土があることはそれだけで本当に幸せなんだなと思いました。(別に“右”っぽいことを言う気はないです。もっと純粋に国というコミュニティーを尊重しようということ。)そんなことを考えるきっかけとなっただけでも、本作は自分にとって意義ある作品でした。ドラマ部分の薄さや物語のトンデモぶりを差し引いても。[映画館(邦画)] 6点(2006-10-24 19:16:21)(良:2票) 1499. ステップフォード・ワイフ(2004) 《ネタバレ》 かなり早い段階でネタバレてしている話なので、ちょっと途中ダレたかなという印象です。観終わってみれば確かにコメディですが、結構サスペンス、いやホラー的な要素を感じました。エンディングは夫に対して甘すぎ。まあ、男より女のほうが大人で、かつ偉大であるということですね。それに妻側にも多少の反省があったと見るべきかもしれません。主人公の髪の色、最後は最初の色と金髪の中間色になっていましたし。それにしても“ステップフォードワイフ”はかなり魅力的ですね。もちろん自分も今の奥さんがいいと思いますが、こんな提案をされたら10分くらい、いや30分くらいは悩むかも(苦笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-10-22 20:23:38) 1500. ロボコン 《ネタバレ》 第2ロボット部、予選参加時のマシーンYAT13号は60%の出来。それは部員の技術的な問題というよりも、心の持ち方に起因していたと思います。「全力」「一所懸命」という言葉は美しいです。自分も好きな言葉です。ただ怖い言葉でもあります。全力で立ち向かって望みが叶わなかった時のショックは、余力を残していた時とは比べ物になりません。否応も無く自分の実力を知ることになる。心の逃げ道がありません。100%の力を注ぎこんだマシーン「ボックスフンド」で全国大会に挑んだこと。結果はどうあれ、全力でぶつかるという気持ちになれたことが、彼らにとって一番の収穫であったと思います。ただ、その心の成長過程が描ききれていません。人物描写があまりに薄く、主要4人の誰にも感情移入が出来ませんでした。体感温度の低い「熱血」青春ドラマという着眼点は面白く、ロボコン自体の戦いも見ごたえがあっただけに残念です(ベストバウトを準決勝に持ってくるあたりはニクイ)。あと、長澤まさみ、歌うまいですね。[CS・衛星(邦画)] 6点(2006-10-10 18:40:49)
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