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141.  E.T. 《ネタバレ》 “E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL”『地球外生命体』。細かく言えば『陸上生物』で、“Intelligence”が入ってないので『知的生命体』ではありません。話を聞いただけの友達の言葉から命名したからだけど、なぜエリオットが愛称に“イーティー”を採用したかは謎。 この友好的な宇宙人E.T.って、どんな姿をしているんだろう?って、公開前から話題の映画でした。公開後も、おもちゃ屋さんにE.T.人形が並んで大人気に。それでも劇中の動くE.T.の姿は一切公開されてなかったと思う。 ポスターの指合わせは、友好を表現する挨拶になってたから、友達と喧嘩して仲直りするときは「ごめんね」と言う代わり(照れ隠し)に指くっつけてたっけ。 新春かくし芸で研ナオコのドラマ(“イーテフ”だったか、研ナオコがE.T.だったと思ったけど、記憶違いっぽい)で盛り上がって、私も本物を観たい熱が。 忙しいママンに「お姉ちゃんと観ておいで」と言われ、別な映画が観たかった姉が熱弁「みんな英語で喋るんだよ?あんた解る?字幕の漢字読める?」それでもいい!観たい!という私に、姉「E.T.はね、実は白黒映画なんだよ、きっと退屈して寝ちゃうよ?」それは、困る。当時8歳の私にはその嘘を覆す知恵もなかったわ。一気にシュンとしてしまって、ママンも「トシちゃん観ておいで、そっちも面白いから」って。姉と一緒に『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』を観に行きました。面白かったです。 その後E.T.はテレビ放送もされず、ビデオデッキが普及しても暫くVHS化されず、いよいよレンタル開始ってときは、もうワクワクが止まらなかったわ。 いざ視聴・・・・あれ?内容殆ど知ってる。子供の頃に観た“イーテフ”と、ほぼ一緒。終わり?これで全部?びっくりする何かはないの? 本作を観ること無く、リスペクトされた作品を多数観たことの弊害で、まるでインパクトの無い出涸らしのような印象を持ちました。当時、あの時代、あの空気の中で観るべき作品だったんだなって。リスペクトやパクりは超有名作品の宿命。たまに遭遇する“古いけど隠れた名作”って、当時不人気で内容パクられることが少ないから、今観ても面白いのかも? 第一印象はそんなだけど、複数回観るとオリジナルのパワーを感じられます。 舞台は閑静な住宅街と、近所の森だけ。子供が自分の足で行ける範囲なんですね。子供が汚い言葉で話し、夜集まってタバコ吸ってピザ注文してママのケツ触ろうします。BMXのカッコイイこと。大人相手に戦うために気合い入れるサングラスやマスク。スタントだってバレない工夫なんだけど、カッコイイ。 騒がしいスクールバス。カエルの解剖の緊張感。飲酒(子供に飲ませるのは難しいからって、あんな方法で表現するのは流石)。好きな子にいきなりキス(足がキュッと内股になるのがエロいぞ)。そしてきれいな夕焼け。静寂に包まれる夜の森。まさに学生時代の放課後。子供時代の冒険物語です。 本作はアメリカ人にとっての『となりのトトロ』なんでしょうね。 ~興味があればE.T. 20周年アニバーサリー特別版へ~[ビデオ(字幕)] 8点(2023-09-09 11:17:50)(良:1票) 《改行有》

142.  インデペンデンス・デイ 《ネタバレ》 “Independence Day”『独立記念日』。アメリカがイギリスから独立した記念日です。 宇宙人の地球侵略を、これでもか!ってくらいストレートに表現し、大迫力の都市破壊シーンを映像化した映画の元祖かもしれません。都市を飲み込む巨大な円盤。どう考えても勝てっこない相手に、現役のF/A-18が果敢にも戦ってます。 当時のCMを観て、劇場の大画面と大音響サラウンドで観てこそ、この映画の価値は最大限に活かされるであろうことは、想像するまでもないことでした。 うん、後日テレビ放送も観たけど、F/A-18が母船のバリアに突っ込んで爆発するシーンなんて、ハエが飛んでるくらい小さく観えたわ。 序盤は“もし、巨大なUFOが現れたら、政府はどうする?”を、結構リアルに表現できていたと思います。偵察機を飛ばしたり、ヘリで歓迎の意を示してみたり、UFOに発砲しないようニュースで呼びかけたり。民主主義国家は未曾有の出来事に対し後手後手に回ってしまうのは、先の震災でも体験したとおりです。だけどそこはアメリカ(製の映画)、一方的にやられてからの反撃の決断が早い。当時、それまで再現されたことのなかった物量攻撃。でも流石に最終手段の核を使うまでは悩むんだな。そして核さえ効かない絶望感。さぁどうなる? 初期のCGでスター・ウォーズ並みに迫力のドッグファイトを観せてくれるけど、都市破壊映像はミニチュアのビルの模型を使ってるのが凄い。ビルの砕け方とか、いまのCGじゃ再現できないハリウッド職人の技術を感じてしまう。 色々飛ばして大統領が「インデペンデンス・デイ!!」「うぉお~~~!!!」ってトコ大好きです。本作の『最終決戦。リーダーが演説で兵士たちの士気を高める』シーンの中で、この映画の右に出るものはないかもしれません。今でも娯楽番組で使われる劇中音楽も良いよね(大統領の紹介とかでよく掛かるイメージ)。そしてやっぱり親父の特攻はホロリと来てしまう。ここを観ないとこの映画は終われない。 テレビのUFO特番でよく聞いたエリア51とかロズウェル事件とかを“劇中ほんとにあった話”にしたのは斬新…というか、劇場で観ていた当時、まさかこの映画で矢追純一な設定持ってくるなんて思ってなかったわ。 まぁ一見陳腐な設定に思えたけど、変に新しい設定創って話を難しくするより、誰もが知ってるミステリーから引っ張ってきたほうが分かり易いよな。だって派手な破壊シーンを楽しむ映画なんだし。 エリア51のクリーンルーム。完全防備の研究員の奥からマスクすらしてない白衣の博士が…。デビッドが反撃を思いつてから、トントン拍子に一晩で色々諸々が完成。ウイルスが効くなんて敵の母船はマイクロソフト製か?小型UFO、宇宙人もテレパシーでなく手動で操縦してたの?研究施設なのにどうしてUFOの射出カタパルトみたいになってるの?大統領が戦闘機で出撃なんてブッ飛んでんなぁ… 敢えて残したと思えるくらいツッコミどころは多い。けど、面白かった。[映画館(字幕)] 7点(2023-09-06 22:40:32)(良:2票) 《改行有》

143.  雨に唄えば 《ネタバレ》 “SINGIN' IN THE RAIN”邦題まま。1929年にはこの楽曲はあったらしい。ライバル映画の『ジャズ・シンガー』が1927年だから、細かく言えば、ややフライング気味?ジーン・ケリーにドナルド・オコナー凄いですね。フレッド・アステアの流れるようなダンスに比べ、パワフルでスピーディ。人間離れした動きに圧倒されました。 コズモのソロ『奴らを笑わせろ』なんてまるでジャッキー・チェンのスタントアクションのよう。計算された動きが笑いに繋がる。 3人共演の『グッド・モーニング』息ピッタリの完璧な動きの影に猛特訓アリ。わずか3ヶ月ほどの練習でこのダンスしてるデビー・レイノルズも凄い。 どれも極力全身が映る(動きを隠すアップに逃げない)撮影で、ワンカットが結構長く、演者には笑顔が要求されるから、これは大変だ。 そしてこの映画のための曲と言える『雨に唄えば』は圧巻。水たまりを踏みつけ、激しく動きつつ、止まるところでピタッと止まる。雨の中上を向くドンの笑顔。たぶんスタジオで大雨を降らせながらも、ケリーの顔には極力水が掛からないよう(雨粒で顔が歪まないよう)工夫してるな。 時代背景がサイレントからトーキー映画に移行する時代。ライバル社は『ジャズ・シンガー』というトーキーのヒット作を作ってきた。 声が独特すぎるリナのように、サイレントでは名女優でも、時代を乗り越えるのが難しい女優もいる。 またキャシーのように舞台女優(たぶんだけど、嘘や見栄でなく売れない舞台女優なんだろう)の傍ら、サプライズダンサーで生活費を稼ぐ女優もいる。 新しい時代は雨のように苦難をもたらすけど、捉えようによっては雨すら楽しく出来る。どんな逆境だってチャンスにすることは出来る。 そんな、観ていて明るくなれる楽しい映画です。[DVD(字幕)] 8点(2023-09-05 15:43:47)(良:1票) 《改行有》

144.  アメリ 《ネタバレ》 “Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain”『アメリ・プーランの素晴らしい運命』。 シアター・キノという小さな映画館があるんだけど、札幌ではそこで公開され、ロングランの大ヒット。ミニシアターといえば映画マニアがマニアックな映画を観るイメージがあるけど、アメリはその殻を破った作品。アメリは「この映画、もっと大きな劇場で上映してもウケるだろうに…」って思う作品ではなく、ミニシアターで観るからこそ、良い作品に出会えた感・私がこの映画を見つけたの!感が倍増する映画だったと思う。 例えるなら普段通らない路地裏で、ひっそりと営業してる個人経営のお菓子屋さんを見つけ、試しに買ってみたらめちゃくちゃ美味しかった!って気分? のっけから、いわば“あるあるネタ”の詰め合わせで、テンポよく紹介される“子供の頃こういう事したわ~”とか、両親の“(人に言うほどじゃないけど)嫌いなこと・好きなこと”は、共感出来るのもあれば、えぇ~?って思うのもあり。ここで共感できる率が高い人ほど、この映画好きなんじゃないかな? このOPで、観る人を一気に童心に返して、アメリの不思議な世界を楽しませようって、監督の作戦だと思うけど、どうだろう? お菓子で例えてしまったけど、幕の内弁当が近いかも?この映画にドンッ!とメインのおかずは無く、綺麗に小分けされたおかずが、それぞれ調和が取れていて美味しい感じ。割と大きなエピソードの“世界を旅するドワーフ人形”は、テレビで元ネタを観たことがあった(※検索したらアンビリバボーが出てきたけど、アメリ公開前に『世界まる見え』で観た記憶がある。)。もしかしたら“子供の頃の宝箱”や“証明写真の謎の男(このエピソードには一本取られた気分)”も、どこかに元になるエピソードがあるのかもしれない。 だからってこの映画の価値・アメリの魅力が下がるとは思わない。 アメリという人物の物語として、不思議な住人が住むモンマルトルの世界感として、しっかり調和が取れているからだろう。 忘れた頃に豆袋に手を突っ込み、忘れた頃に水切りの石を拾うアメリが、映画の世界観にしっかり引き戻してくれる。 この映画はコミュ症の女性が、自分の存在を知られずに相手を幸せにしていき、最後は勇気を出して自分を幸せにする物語。[映画館(字幕)] 8点(2023-09-05 14:47:36)《改行有》

145.  アマデウス 《ネタバレ》 “Amadeus”邦題ままモーツアルトのミドルネーム…なんだけど『神に愛される』って意味なんだって。たしかに劇中、彼をアマデウスとは呼んでない。中学生の時、音楽の授業で複数回に分けて観たのが最初。だけど時間の関係で最後までは観られなかったと思う。とにかくあの、独特な笑い声で、いつもヘラヘラしてる、子供みたいなモーツアルトがショッキングだった。音楽の教科書に書いてた肖像画とイメージ違いすぎた。 音楽映画で才能の違いを観せるのって難しいと思う。極端な下手くそと上手い人の対比ならともかく、どちらも名だたる才能の持ち主だとしたら尚さら。 サリエリが作曲した『マーチ』。謙遜して「思い付きで書いた曲で」なんて言ってた自信作を、モーツァルトは1度の耳コピで完璧に弾いてみせて、その場で改良までするシーンは音楽の素人が見ても圧巻。ピアノが上手じゃない陛下と比べるまでもなく、作曲者サリエリの才能すら凌駕して、モーツアルトの曲に人々が凌駕されていく空気すら伝えてみせた、凄いシーン。 金策に困ったコンスタンツェがサリエリに楽譜を見せるシーンも圧巻。見ただけで楽譜から音楽が溢れ出す。全く手直しされていないオリジナルの楽譜。 モーツアルトが改良した『マーチ』が自分の作品じゃなかったら、楽譜がたくさんの手直しで苦労の跡が見えたなら、サリエリも素直にモーツアルトを尊敬できただろうか?終始サリエリ側の視点で観せるから、プライドがズタズタに引き裂かれる気分と、モーツアルトの才能の凄さが同時に味わえる。(創作だって?私はドキュメンタリーじゃなく映画を観てるんだ) モーツアルトの才能が解るからこその苦悩。嫉妬から来る妨害。音のないバレエを陛下が観た時のモーツアルトの勘違いと、咄嗟に空気読むサリエリ可愛い。 神が自分ではなくモーツアルトに才能を与えたこと。神を恨み、その恨みの矛先をモーツアルトに向けたサリエリ。そんな2人のまさかの共同制作がアツい。何だろう、サリエリにとって、この瞬間こそ至福の時だったに違いない。そんな思いがビシバシ伝わってくる。 神を恨む一方で、モーツアルトに頼られた男サリエリ。師弟愛とも友情とも違う、2人の奇妙な関係に惹きつけられた。[レーザーディスク(字幕)] 9点(2023-09-03 16:27:42)《改行有》

146.  男はつらいよ 葛飾立志篇 《ネタバレ》 シリーズ16作目。前作が名作とは言え、寅もリリーも可哀想で、心がヒリヒリとなる作品だったため、本作の“寅さんスタンダード”な明るさは、一服の清涼剤に思える。もっと言えば普段以上にとらやの修羅場が(極力)回避された回に思えた。 オープニングは前回同様凝った作りで、メキシコ風ウエスタン。寅の夢だからかな?さくらはいつも可愛く、タコ社長は何故か悪いやつの側で、社長なのにボスではない。さくら歌上手いなぁ。 順子の「たいてい500円ですけど」に「やっぱり寅ちゃんかねぇ?」で吹き出した。今思うと、500円札って惜しげなく出せる、気を使わないで受け取れるコミュツールとして優れていたなぁ。500円玉だと有り難みが落ちる。「お父さんなの?」でつい流れでうなずいてしまう寅も可愛い。 御前様の身内がとらやに下宿するのは2回目。どっちも勉学に励む人(甥の岡倉金之助は東大理学部助教授、親戚の筧礼子は東大考古学の助手)。で、岡倉役の米倉斉加年 が交番のお巡りさんで出てくる。後で知った「クッククック♪」のシーン、無かったと思うなぁ。版権の問題かな?(※BSテレ東) やっぱりスポンサーしてたブルドックソース。四角いボトルのパッケージが約50年前の劇中と今と、ほとんど変わりないのが脅威(※と思ったら最近リニューアルしたらしい)タコ社長がとんかつソース舐めてたけど、私もやったなぁ。ママンに怒られたわ。 交番にチラッと写った指名手配犯『桐島聡』の写真。これも、今とぜんぜん変わらないなぁ。 小林桂樹が日本沈没と同じ田所って名前なのも嬉しいツボ。時代に合わせて新しい笑いを追求しつつ、悪ノリで基本路線を踏み外さないさじ加減が、男はつらいよは上手。 さて礼子先生はてっきり田所先生のプロポーズをウケたものだと思ったから、寅に話すとき、私も寅と同じ勘違いをしていたよ。観返すと「結婚を申し込まれたの」って。あぁ、人生の考え方に迷いが出たって話してるんだけど、“結婚”ってパワーワードでその先が頭に入ってなかったわ。あといつものパターンだなって思い込みを利用した、高等なトリックなのかも?頭真っ白でも寅が礼子先生に掛ける言葉の暖かさが素晴らしい。 『男はつらいよを数作品だけ観てみたい』って人に、自信を持って勧められそうな作品でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-09-03 15:20:53)《改行有》

147.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 “Butch Cassidy and the Sundance Kid”『ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』。どうしても『俺たちに明日はない』と比較してしまうし、邦題も意識して付けたと思われる。 観終わった後スカッとするでなく、ズウ~んと重たくなってしまうアメリカン・ニュー・シネマ。ベトナム戦争で世の中が暗くなってるから創られたというより、まだ全体的に明るい世の中に『一部暗い影も落ちてるんだよ。』って気付かせる目的の作品。言い換えればまだ世の中に“打たれ強さ”があるから創れた作品だったんだと思う。打ちのめされてたら、暗い結末の作品は敬遠するものね。 その日暮らしの強盗ブッチとサンダンス。どっちつかずなエッタとの関係。流行り物の自転車。将来に夢を抱けないアメリカの若者のような2人。追いかけるピンカートン探偵社。逃げても逃げても追ってくる彼らは、さしずめ当時の若者の、不安な未来の象徴だろうか。 夢のゴールドラッシュに湧くボリビア…とその前に最先端のニューヨークで遊ぶ3人を写真で見せる演出が見事。そして好き勝手やってきた若者が、現実から逃げて辿り着く先に相応しい極貧のボリビア。 結局はケチな強盗に逆戻りしてしまい、エッタも呆れて変える始末。より悪くなった状況に追い打ちをかけるような包囲網。こんな状況でも夢を語る2人に、当時どれだけの人が共感しただろうか?なんかこの2人から漂う「明日から本気出す」オーラが強い。 地元警察を相手に「レフォーズ保安官じゃないなら勝てる」「今度はオーストラリアに行こう」でも警察は軍隊を呼んでいた。飛び出した2人の静止画に、響き渡る多数の銃声。 容赦ない最後の姿を観せた『俺たちに…』に対し、観せなかった本作。まるで世間を知らない半人前(泳げなかったり、人を撃ったことがなかったり)の若者が、突っ走った挙げ句の最後、「カッコ悪い死に様だけは観ないでくれ」って叫びにも思えた。[ビデオ(字幕)] 7点(2023-09-02 18:01:25)《改行有》

148.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 シリーズ15作目。本シリーズで流血を観たのは初めてじゃないだろうか?…劇中夢の話だけど。過去最大級にお金が掛かった夢だなぁ。帆船のミニチュア特撮まで出てきたわ。 当レビューサイトで平均点も高くレビュー数も多い。1作めを除くと最高傑作の呼び声も高い本作。 噂が独り歩きじゃないけど、何故か有名な『メロン騒動』の部分だけは、以前動画で観てました。コトがメロンだけに、たかがメロンって馬鹿らしい可笑しさと、されどメロンって笑えないリアリティの、さじ加減がまた秀逸だなぁ。 真顔で「…ワケを聞こうじゃないか」で引き込まれ、そっくりな博のモノマネで吹き出したわ。おいちゃんがお金投げて、おばちゃんが泣き出す修羅場っぷり。とどめのリリーの一括。寅に掌返しで「他人様」と言われたからこそ言い返せた口上に、とらや一家でなくてもスカッとしてしまう。あぁでも、寅は悪くないんだよなぁ。本作『寅次郎メロン騒動』でも良いんじゃないか?ってくらい。 そのあとの雨の中の相合い傘。大人げない姿を見せた寅と、つい言い過ぎたリリーの、気遣いたっぷり、心をくすぐる男女の会話が堪らない。結婚とかお付き合いとか、そういうのでなく、この瞬間が最高なんだよね。 「お兄ちゃんのお嫁さんに…」心から“それも良いな”って思った嬉しそうなリリーと、口に出した後、そんな生活は自分には無理なことを悟っていくリリーの表情の変化。ここで一拍置ければよかったのに帰ってきてしまう寅。冗談にするしか出来なかった二人の間が悲しい。 「オレみてぇバカとくっついて、幸せになれる訳がないだろう?」最後に来て寅のこのセリフ。「女が幸せになるのに、男の力を借りなきゃいけないとでも思ってるのかい?」小樽の港でのリリーのセリフ。 リリーが去って大雨が降るなか、傘を持って掛け出せない寅の背中、さくらへの語りが寂しすぎる。だからタイトル『寅次郎相合い傘』なんだな。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-09-02 17:00:40)《改行有》

149.  ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 《ネタバレ》 “Dead Reckoning”『推測航法』…って何よ?ほう、船とかの航法。あぁ、カーナビがGPSの届かないトンネルに入ってる間動いてる理由のアレね?ふむふむ、長時間、長距離になるほど誤差は増大するのか、そこに勝機がありそう。 最近の人気続編映画らしく長時間の本作。しかもPART ONEって書いてて、観る前から「うえぇ~…」ってなりました。それでこんなに遅くなって観ました。解っちゃいましたが劇場で見て大正解。 深海、砂漠、アブダビ空港、ローマ、ベニス、オリエント急行。正直、別な大作映画で観たような風景が多い気がします。それってマイナス要素に聞こえそうですが、私にはまるで、大作映画の集大成に思えました。 CGで何でも出来る時代に本作が目指したものは、“かつて無い新しい刺激!”ではなく、いままで多くの映画が観せてくれた、憧れの観光地、自然の雄大さ、非日常の迫力を、現代の技術で、現地ロケを多用して観せること。だったんじゃないでしょうか? それを劇場で観る。音響と大画面の迫力を、他の観客と同時に無言の共有をする。一緒に行った人と言葉で共有する。これが映画館で観る映画の醍醐味ですよね。トップガンMでも感じましたが、最近のトムの劇場映画へのこだわりに、とても共感できました。 映画の内容も、進みすぎたデジタル時代VSアナログ技術(と知恵と勇気)。のようで、ここもトップガンM(無人機VS友人機)と共通しています。 “それ”の指示通り動くガブリエルVS最新機器に頼れないイーサンは、CGに合わせて俳優が動く昨今の映画 VS CGは使うけど現地ロケと俳優のアクション有りきの本作。のように思えました。このぐらいが、私達の好きだった映画だったんですよね。 内容内容。私が観る前から「うえぇ~…」ってなった上映時間は全然苦になりませんでした。わりと余裕ある展開で、かといってダラダラ感も少なく、クライマックスの連続で疲れることもなく、終わり方も今回のミッションは完了してるし、でも続きも気になる。ちょうどイイさじ加減です。 カギの本物と偽物、いま誰が何を持っているのか?がよく解らず。入り乱れる多くの組織も前作を観ている人向け。恐らくリピーター狙いの複雑さは、上映時間の長さがネックになってる気がします。映画も高くなったしね。 列車とチンクエチェントが、ある映画と被ってしまった。なるほど、だからこの映画で若いトムは出せなかったんだな。 敵である新型AIを“それ”って訳しちゃったのは、ややこしかったと思います。そのまま“IT(Entity?)”でも良いから固有名詞っぽくしたほうが…です。 1以来のキトリッジ再登場が嬉しかった。この勢いで、どこかで元気に活躍していたゼーンやデクラン出てこないかな? シリーズ5作目以降、本作も同じ路線です。私は個人的に辛口評価でしたが、本作を劇場で観て、前2作の評価(というか観かた)を変えなきゃいけないかな。と思いました。ミッション・インポッシブルという歴史に引っ張られて、トムが観せようとしたものを、私には観えてなかったんじゃないか?って。 そもそもテレビ画面で観てるしなぁ。本作はそう思ってしまうくらい、映画館で観るべき“正しい”アクション超大作映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2023-09-02 11:22:06)(良:1票) 《改行有》

150.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 “American Beauty”邦題まま。真紅の花びらが美しいバラの品種のひとつ。好きな映画で2~3回は観てると思うけど、今回初めて気がついたことがあったので報告!…え?報告? 撃ち殺されるんだけど、キスを拒まれての突発的な殺人だと思ってた。でも血まみれのフィッツ大佐、ゴム手袋してたんだよ。 衝動殺人で、実際撃ってから怖くなって逃げた!とかでなく、最初から警察に捕まる気がないからゴム手してたんだよ。 戸棚のコレクションの銃(※銃の棚と皿の棚は別だけど、同種の鍵がかけられてると思われる。)で撃つんだけど、リッキーはナチスの皿を見るため戸棚を開けられる(※ホントは合鍵だけどリッキーは針金と主張してる)のは大佐は知ってる。 オープニングのジェーンを撮ったビデオ。「僕が殺そうか?」「殺してくれる?」。その後の「今のは冗談よ」は録画されてない。息子のビデオを盗み見る大佐だから、これも観てたかも? 自分の潜在的な同性愛嗜好を隠すために、隣人を殺害し、血の繋がった息子を殺人犯に仕立てたんだとしたら…大佐怖すぎる。 アメリカのごく一般的な中流家庭の白人男性を主人公にした本作。美しい妻。可愛い娘。庭付きのマイホーム。2台のマイカー。高級な家具。家族揃っての夕食。主な登場人物は全員白人。誰もが描く理想的な住宅街の生活と現実。何不自由ない生活の中の不満。 中流家庭。美少女。手に入れてない者には理想的で美しく見えても、手に入れて日常に落とし込んでしまうと、それが美しいものだと気付かなくなる。 いとこのトニーのファイヤーバード。安いトヨタを売ってついに手に入れた車。でもレスターが運転する姿は出てこない。 大量のバラに包まれ、妖艶に誘惑してくる美しいアンジェラ。でもこれはレスターの勝手な妄想。あんなにエロい顔してるんだから、こうであってほしい、彼女とこうなりたい。…って理想のアンジェラでしかない。 さぁ、いよいよという時に処女だと告白するアンジェラ。その時の不安そうな眼差しに、レスターは彼女の本当の美しさに気がついたんだろう。 数年前の家族写真。ジェーン。キャロリン。まだ手に入れてないものだらけで、理想の未来を描いていた写真の中の家族。当時美しいと感じていたもの。42歳の現実は当時の理想とは違っていても、日常では気が付かないだけで、世の中は昔も今も美しいものに溢れている。[ビデオ(字幕)] 9点(2023-08-30 22:25:52)《改行有》

151.  アビス/完全版 《ネタバレ》 ~『アビス』のつづき~ 最近DVDを買うまで放置していた完全版。こちらだときっと、ディープコアを助けるまでの描写が細かく描かれてるんじゃないかな?なんてちょっぴり期待をしてましたが… 海底でバッドたちが孤立している間に、地上では米のミサイル巡洋艦がソ連の駆逐艦を撃沈(事故?)して死者が出るなど、第二のキューバ危機が起きています。このまま行けば第三次世界大戦って状況です。 完全版の一番の観せ場が地上を襲う大津波…う~~んどうでしょう??この物理法則全否定“モーゼの十戒”並みの奇跡を、この題材の映画で観せられるとは思わなんだ。ここまで行くとリアリティなんて吹き飛びます。 そして映像で観せる核実験、戦争、紛争。同種族で争う愚かしい人間が、自分の手に余る核という脅威を手に入れたことに対する警告であり、それが「人類はもう少し大人になれ。おせっかいだとは思うが」になる。 世界滅亡の核戦争を止めるための世界同時発生の大津波。命を犠牲にしても核弾頭を止めたバッドのような人間への敬意と、人類への期待から、深海生物は地上に姿を出すことに決めた。ってことだけど、見かたによっては人類をより強大な脅威で脅してるんだよな。 そもそも、原子力潜水艦モンタナが沈んだのは深海生物の接触で電力が死んだためで、それがキッカケで米ソの間に第二のキューバ危機が起きてる。 ディープコアが地上から切り離されたのは彼ら深海生物が起こした暴風雨の影響。 そしてコフィが核弾頭をセットしようと決めたのは、ヘビ状の水が核弾頭を見てたから。ってかどうしてコフィたちは核弾頭の部屋を無人にしてたんだ? もし戦争になってたら、その引き金はどう考えても深海生物のせいだったろう。余計モヤモヤするわ。 “強い女性”を描くのが上手いキャメロン監督。ターミネーターのサラもエイリアン2のリプレーも、最初と最後で主人公の女性が大きく変化(成長)します。さて本作のリンジーは? 彼女は登場時から頭の良い大人の女性。周りからは堅物の嫌な女扱い。そんな彼女が深海生物の存在をキラッキラした目で熱弁するギャップ。登場時はスーツでパリッと決めてたリンジーが、最後はノーメイク・髪ボサボサでダボダボのスウェット。まるで少女のように。これはこれで変化球だったかな。 賛否両論の本作だけど、印象的なシーンも多いし、悪くない映画だと思います。[DVD(字幕)] 5点(2023-08-28 22:48:46)《改行有》

152.  アビス(1989) 《ネタバレ》 “THE ABYSS”『深淵』。底なしの海溝の底には何があるのか? この作品は、中学校の授業の一環で観ました。平日、学年全員で映画館に映画を観に行くなんて、ウチの学校だけだろうか?そういうイベント今でもやってるのかなぁ?先生は無難にBTTF2(前年末公開)にしようとしたそうだけど、人気作だったし観たい人はもう観てる状態。映画授業は2月末。そこで無理を言って、まだ公開前の本作を観せてもらいました。先生と劇場に感謝。 当時、深海/海洋映画が立て続けに公開されて、それがたまたま2作品続けてホラー映画。「また海洋モノか」って、食傷気味ではあったけど、そこはあのJキャメロン監督。しかも初のオリジナル超大作。期待が高まる。 ヘリから降りる軍用ブーツ、軍用ブーツ、軍用ブーツ、スト足パンプス。これだけで掴みは充分だ。そしてキャメロン監督らしく、しっかり“強い女”と“自己犠牲”を抑えています。 リンジーが自分を溺れさせて後に蘇生させる提案の奇抜なこと。それでいてあの状況で2人とも助かる可能性を考えると、最適解と思えること。かと言ってバッドにもリンジーにも辛い選択なこと。 延々と深い海中に沈んでいくバッド。信管解除から残り時間を見ての「片道切符は覚悟の上だった」。これを無機質なタイプ文字で観せる演出も見事。あれだけの人が見守ってるなら酸素残量がどこで半分になったかも解って当然だろうに、演出が上手い。 離婚寸前の夫婦、夫婦ともに死を体感するが、その過程もタイトルの『深淵』(夫婦の深淵、生命の深淵)に掛かっているのかも。 最新技術。先の海洋ホラー2作品に比べても海の中のシーンが多かったように思う。ディープコアに潜水艇、液体酸素と宇宙服のような最新潜水服といった、ちょっと未来の技術(現実にはあるのかなぁ?)が凄い。縦横無尽に動く潜水艇のチェイスは、海中だけにちょっとモタモタ感があるけど、なかなかの迫力。この撮影のために原発の廃炉で作った超特大プールを存分に活かした撮影は圧巻。 そしてヘビ状の水(みんな何て呼んでるの?)が人の顔にモーフィングするCG技術。メカ物以外でこれだけ自然なCGが映画で出たのは初めてだと思うし、この映画からT2が産まれ、この応用でジュラシックパークが産まれると思うとメチャクチャ胸熱。映画の新時代を体験出来た喜びが大きい。 唐突に姿を見せる深海生物。ここがどうにも処理しきれない。たしか当時は宇宙人と取れる訳し方をしていたはず。どうしてリンジーは海底で不思議な物体(小型偵察機っぽいのと飛行機っぽいの)を見たからって、即宇宙人に結びつけたのかが意味わかんなくて…素直に考えたら海底人じゃんって。 リンジー「Non-terrestrial Intelligence」を“地上(陸上)以外の知的生命体”と素直に訳してくれたら良かったけど、“地球のものではないわ”とか“エイリアン”とかって訳してた(と思ったうろ覚え)から、宇宙人が何でわざわざ海底に?ってなるよね~。でどうしてリンジーは突然宇宙人って力説してるの?って事になっちゃったんだと思うんだわ。英語圏ではこの混乱はなかったのかなぁ? 普通に海底サスペンス(地上からの孤立。減っていく酸素。SEALの暴走)で面白いのに、目的不明な深海生物。劇場版でバッドを助けたのは解るけど、その後母船でディープコアを地上まで持ち上げる“おせっかい”に、「おいおいやりすぎだろう」って思ってしまった。 そしてここでも“宇宙からの移住者だ”って字幕が。宇宙なんて言葉は出てこなくて“彼らは暫くここに滞在していたようだ”って言ってるだけなのに。 もうすこし現実的な解決策を観せてくれたら、作品の評価ももう少し上がったんじゃないかな? ~続きは『アビス/完全版』に~[試写会(字幕)] 7点(2023-08-28 22:48:29)《改行有》

153.  男はつらいよ 寅次郎子守唄 《ネタバレ》 シリーズ14作目。あぁこれ、私が初めて観た寅さんです。たぶん中学生くらいにやってた日曜洋画劇場で、マドンナの「飴降って痔固まる」の話を覚えてました。 本作からおいちゃんが変わりましたね。私の中ではおいちゃん=下條さん。今までのおいちゃんと比べて大人しめな印象ですね。 今さらだけど男はつらいよは、ほぼ2つのパートに分かれていて、マドンナと寅の話が後半にあって、前半はもう一つの話って感じ。 本作は前半、寅が赤ん坊を連れてくる話と博が手を怪我する話で、後半赤ん坊は引き取られ、博の手は治ってる。つまり前半が無くても後半は成り立つんです。 もちろん、博の手の怪我を診せた看護婦に赤ん坊を診せに行くって関連はあるけど、マドンナパートの中心は看護婦である必要が無いコーラスグループの話。 たぶんもしかしたら、たくさんのバリエーションを作ったマドンナ・シナリオ案と、同じくたくさん作った前半のシナリオ案(とらやの人々の掘り下げ、寅の旅先話などなど)を組み合わせて、一つの作品にしてるんじゃないかな。 妄想はそれくらいにして、本作はタコ社長の人柄がいい味出てました。博の怪我を心配して、寿司を届けて詫びる姿。印刷所の仕事を止めて社員を休ませる気遣い。いい社長だと思います。 それとおばちゃん。寅の連れてきた赤ん坊を本気で育てようとしたおばちゃん。男が引き取りに来たあとの、おばちゃんの喪失感はもう少し掘り下げてほしかった気がする。湿っぽい話になってしまうけれど。 寅がさくらに7,700円入った貯金通帳を渡すのも良い。名義が諏訪さくらなのがもう、泣けてくる。[地上波(邦画)] 5点(2023-08-27 18:00:24)《改行有》

154.  アイ,ロボット 《ネタバレ》 “I, Robot”『私、ロボット』。アシモフ博士の同名の短編『われはロボット』の原題まま。SF好きならちょくちょく耳にする『ロボット三原則』もこの作品から産まれた模様。原作はロボットに関するスーザン・カルヴィン博士の回顧録なんだって。面白そう。 ウィル・スミスのSFモノにしては結構シリアス路線。事故で女の子でなくスプーナーを救ったNS-4。あぁ、感情のないロボット君は現実的にそっちを選んでしまうのか。三原則ネタの一つとして、なるほど!って思えた。 NS-4は昔ながらの人間の役に立つロボットって感じで、無表情なのに温かみが感じられる。廃棄されて倉庫でじっとしてるNS-4の哀愁。襲われるスプーナーを助けようと新型に飛びかかる様子型がとっても健気。 でもNS-5は不気味だなぁ。どう考えても日本で売れるデザインじゃないなぁ。でもそんなデザインも、当時、新時代感を出すための工夫だったんだろう。 ストーリーはシンプルで、登場人物も少なくまとめられている。ロボット嫌いなスプーナーの奥の手、片腕サイボーグの出し方も上手い。何よりカメラワークもグルングルン動いたりする割に観やすい。余計な情報を入れすぎない作りに好感。 ヴィキのような中枢コンピュータって、大抵のSF映画で悪者になる。この大モトを倒さなきゃいけないんだけど、映画後半の人間 VS NS-5みたく、末端機械を相手に原始的に力で戦うんだよね。 この映画から19年。便利なロボットが街を歩く未来にはなってないけど、1人1台スマホを持って、そこから得られる検索結果やニュースを事実として信じる時代。なんか気が付かないうちにアッサリ支配されてそう。怖い怖い。[地上波(邦画)] 7点(2023-08-27 17:22:31)《改行有》

155.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 日本でまとめたVol.1と、アメリカでまとめたVol.2。公開当時は雰囲気がガラッと変わった印象だったのと、1が予想外に観る人を選ぶ作品だったため、2観てないよって人も多かったと思う。日本が舞台じゃないのが大きいかな。私も2は観に行ってない。でも充分に面白かったわ。 ただ1で日本らしいアニメパートを入れる嬉しい力技があったのに対し、バイオレンスアクションも抑え気味で、正統派ハリウッド・アクション映画になってた印象。回想で中国が舞台だけど、中国らしいワイヤーアクションも1で出しちゃってるしなぁ。 序盤に観どころが集中していて、棺桶に閉じ込められるシーンは観ていて息が詰まる怖さを感じたわ。そして修行時代の回想に入ってからの脱出は、何故だろう涙が出そうになる。前作の病院からの脱出もそうだけど、彼女の過酷な修行と身体能力が、絶体絶命の状況から彼女を生かす。大袈裟に言うと命のしぶとさを観せてくれるから、なんか泣けてくるんだよね。 エル戦の格好良さ。狭い室内での半蔵の刀の斬り合いは大迫力。フィニッシュが中国拳法なのは、前作との棲み分けとして機能してたかな。 ここまでガンガン盛り上げて、さぁいよいよビル戦、どれほどの激しい戦いかと思いきや、アッサリ。五点掌爆心拳がそういうワザだからだけど、エル戦以降静かな展開だっただけに、静かなまま終わってしまった印象。ビルの過去を知るエステバンのパートの必要性がイマイチ解らず。妊娠した時に襲撃したキムはいい味出してたわ。 1本の映画を2本に別けたなら、せっかくだから後半にもうひと盛り上がりあってもなぁって思ってしまうけど、あったらあったでクドかったかも? つまり、これでいいんだわ。[DVD(字幕)] 7点(2023-08-27 16:33:17)《改行有》

156.  キル・ビル Vol.1(日本版) 《ネタバレ》 “KILL BILL”『ビルを殺れ』って、映画秘宝のポスターがまた格好良かった。そういやラスト・サムライやロスト・イン・トランスレーションも同じ年(2003年)だっけ。酷評のパール・ハーバーの2年後にこれ。格好いい日本題材映画ラッシュ。ニッポン・ヨイショ。 これまでの日本を題材にした洋画って、どこか日本を小バカにしてるっていうか、良く言えば欧米との文化の違いを笑おうって意図があったように思えたんだけど、この映画は、本気で日本を格好いいと思って創ったんだろうなぁって、そんな思いが感じられました。 タランティーノが日本好きとはいえ、そこは商売。大金が動いてるんだから、自分の趣味を入れつつ、興行的に売れるように創るのがプロ。さすが仕事人だなぁと思いました。 架空の日本。刀を持ったまま飛行機乗れないからって、日本人みんな刀を持ってて、飛行機にもバイクにも“刀を置くところ”創ってしまう設定の強引さ。 オーレン石井の過去。日本が舞台だからって、日本制作のアニメーションで再現。グロ表現も突っ走ってますね。 たしかフィルム・コミッションで、困難な東京ロケも一部(バイクのシーンだったよね)したと思うけど、青葉屋の死闘では、西麻布の居酒屋をセットで再現する念の入りよう。 そうそう、青葉屋の宴会中クレイジー88の下ネタジョークに、素で笑っちゃってるGOGO夕張と、日本語が分からず愛想笑いしてるオーレンが可愛い。 有名な布袋の楽曲も『新・仁義なき戦い』と共に世に埋もれるところ、この映画がキッカケとなって、今でも多方面で引っ張りだこのテーマソングに昇華させる。これがプロの仕事だなって思います。 その布袋のテーマソングで繰り広げられるテレビCMで存在を知り、なんか日本語が飛び交う不思議な洋画として、私も興味津々で観に行きました。 まさかここまで人を選ぶバイオレンス映画だったとは。手足が斬られ、血飛沫舞う地獄絵図。一緒に行った友達は無言になってましたよ。どうしてくれんだ。最高の裏切りっぷりじゃないか。[映画館(字幕)] 8点(2023-08-27 15:42:28)《改行有》

157.  赤い河 《ネタバレ》 “Red River”『レッド川』はテキサスとオクラホマの州境に流る川。 人気絶頂期のジョン・ウェインだし、彼が格好いい主人公かと思いきや、全然人の話を聞かない男ダンソン。幌馬車隊隊長の助言も聞かず隊を離れ、一緒に行きたい彼女は置いていき、他人の土地に勝手に牧場を作り、他人の牛にも自分の烙印を押す。アビリーンに鉄道が通ったなんて噂話には耳も貸さず、セダリアまでの強行軍を指揮する男ダンソン。 ヒロインのハズのフェンはアッサリ殺されてしまうのもあり、主役はモンゴメリー・クリフト演じるマシューの方みたい。 マシューとダンソン、何もない荒野から14年で牛を1万等も育てた二人の絆。ダンソンは開拓時代の古いワンマン・タイプのカウボーイで、南北戦争に参加したマシューは、戦中戦後の新しい協調性重視タイプのカウボーイ。1600kmもの距離を牛を連れ運ぶ過酷な行程は、世代の違う二人を対立させてしまう。 二人の間に立つヒロイン・テス。矢で肩を射抜かれても平然としている勇ましさ。マシューを追いつつテスにも惹かれるダンソン。自分の子を産んでくれなんて、この時代の女の存在がどんなものか想像できる。 そしてなんか、逃げるマシューと二人の男に惚れられたテスVS復讐の鬼と化したダンソンの図が、まるでターミネーターの追跡劇に思えてきた。 アッサリと退場する腕利きの相棒チェリーのその後が気になる。怪我程度で済んでてほしいけど…チェリーの事などお構いなしに和気あいあいとしてる二人にちょっと違和感。 モノクロで地味でのんびりした映画なんだけど、ついつい引き込まれてしまう。牛の大群を引き連れる規模の大きさ。どこまでも続くテキサスの荒野と青い空(モノクロだけど)。牛の暴走や川を渡るシーンは静かな迫力がありました。[DVD(字幕)] 6点(2023-08-24 22:52:08)《改行有》

158.  アウトブレイク 《ネタバレ》 “Outbreak”『感染爆発』。新種のウイルスが街機能を崩壊させる映画(否ゾンビもの)として、真っ先に思い浮かぶのがこの映画です。いつもの街に細菌が蔓延して、見知った町の住人が次々と死んでいき、自分たちを守るべき軍隊には銃を向けられる。公開当時は今まで体験したことのない恐怖として、自分の街で起きたらどうなるだろうか?って、メチャクチャ怖くなりましたね。 映画の中の出来事が現実に起きるなんて。新型コロナウイルスがどんどん広がっていく過程は、この映画を追体験するような怖さを感じました。 '60年代、内戦激しいアフリカの奥地で発生したモターバ・ウイルス(やっぱ地名なんだな)。全身から出血した死体の痛々しいこと。それをハッキリ観せるのではなく、防護服のバイザー越しに観せるなど、見た目の怖さに頼らない工夫が上手い。ウイルスに対する血も涙もない解決方法もショッキング。 そして何より、30年近く前の、ザイールのモターバ川流域という、地球の裏側の生活に何の影響もない地域で起きたウイルスという設定が、感染の恐怖感を鈍らせる。国内の細菌は『安全レベル1~4』と完全隔離されているのも上手い観せ方。 あれよあれよとウイルスが国内に持ち込まれ、変異株化して広がっていく恐怖。後手後手の感染経路特定。気がつけば街を閉鎖するしか無く、気化爆弾で吹き飛ばすしか解決策もない。 政府の決断も怖いけど、イチ住民目線で体験する怖さが秀逸。感染して軍のジープで運ばれるお母さんとそれを見送る父と子のシーンは何とも痛ましい。コロナが大流行したときは、世界がこの映画みたいになるんじゃないか?って思ったわ。 宿主をサルに絞って、信憑性の低い視聴者情報からすごい確率でサルを発見、捕獲、血清作成、効いたー!!の流れは娯楽映画丸出しだけど、トータルでいい塩梅で楽しめました。爆撃担当パイロットの選択も粋だね。[ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-24 19:41:11)《改行有》

159.  男はつらいよ 寅次郎恋やつれ 《ネタバレ》 シリーズ13作目。出だしがすっごく面白かったです。旅先で既に寅が恋をしていて、いよいよ成就するか?ってところから始まる新たなパターン。まるでリーサル・ウェポン2のよう。 絹代の振り方も、『主人が帰ってきた!』って屈託なく言うもんだから、今回も寅の一方的な思い込みだったようで… 歌子再登場。ってか、吉永小百合再利用。愛知県のどこかに住んでるハズの歌子が津和野で暮らしていて、偶然再開するなんて、なかなか強引な設定。しかもあのブサ…陶芸家のご主人は結婚1年目で亡くなってる。実生活でも前年にあたる'73年に電撃結婚した吉永小百合。 これは悪く読み取れば、サユリストの「小百合様に旦那はいらん!」って願望じゃなかろうか?映画は夢を観るところ。ならば映画の中だけでも永遠に独身でいてほしい。そんな願望に応えようとしての、本作だったり? 本作は柴又慕情の後日談の意味合いが強く、歌子の父親だけでなく、女子旅仲間のみどりとマリも出てくるのが嬉しい。更に「はい!バター!」のギャグも再登場と、続きもの感が強くて良い。ただね、この歌子がどうにも、何をしたいのかイマイチわからない。前作ではOLだったらしいけど、陶芸家の嫁としてその道に行ったかと思えば、夫の実家で図書館で働き、姑の家を出ても実家には戻らず、今度は看護・介護系の仕事に就こうとする。歌子は何がしたいのか?嫌なものから逃げてブラブラしてるようにも思えてしまう。 夫の葬儀にも出ない父。歌子がとらやに来たと聞いて、とらやに顔を出す父。あぁ、お父さんが考えていた以上に、歌子は全然子供だったんだ。自立した女としてでなく、一人娘、子供として接しなみゃいけなかったんだ。修吉はそう思って、とらやに来たんじゃないかな?そう思わせる展開でした。 最後、絹代のところに顔を出した寅がいい。あの流れだったら絶対歌子だろうって期待を裏切る好展開。未練たらしく独り身の歌子を追うのでなく、フラレた自分を見つめ直す寅が良い。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-23 20:42:02)《改行有》

160.  男はつらいよ 私の寅さん 《ネタバレ》 シリーズ12作目。冒頭の夢がだんだん豪勢になっていくなぁ。本編よりこっち創るのが楽しくなってたりして? ここに来て寅の子供時代の男友達が出てきたり、とらや一家が九州旅行に行ったりと、マンネリ打破に取り組んでいた時期なんだろうか? 今までのシリーズとの大きな違いが、寅が面と向かってフラレるところ。事情を察して身を引いたりはあったけど、今でも使われるであろう「友達でいましょう」は、確か寅さんでは初めてですよね。 そして大抵、寅を踏み台に(もしくは寅は無関係に)幸せに向かって進み出すマドンナだけど、本作のりつ子は失恋(※観てる最中、津川雅彦がりつ子の片思いの相手だと思って、こんがらがったわ。)したまま、宙ぶらりんに終わるのも初めてじゃないかな。 劇中3度も出てくるセリフ「自分の気に入った作品は誰にも売りたくない、まして気に入らない作品は売りたい訳がない」画家を志す者の心中とはこんなものなのか。りつ子が食べるにも困る貧乏画家なのも、嫁に行って出戻って、更には片思いの画家に失恋してしまう男運の悪さも、彼女のこの考え方から来るものなのかもしれない。 言ってしまえば自身の実力に対し理想が高すぎる。一条も寅も自分の理想とは違うから受け入れない。だから幸せにもなれないし、画も売れない。 最後の啖呵売「だが、私にも生活というものがある」が答えだわ。「私の寅さん」なんて言ってる場合じゃない、現実を観て、自活していこう。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-19 17:13:00)《改行有》

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