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プロフィール
コメント数 3874
性別 男性
年齢 53歳

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1661.  大いなる西部 《ネタバレ》 まずはお馴染みの音楽で「ああ西部劇だなあ」と思い、これでもかと登場する雄大な自然に「やっぱり西部劇だなあ」と思う。馬の隊列も大自然の中にスッポリ収まり、主人公たちの二人の殴り合いにいたっては、もうただただ、大自然の中で転がされているだけ、のような。 という、いかにも西部劇な雰囲気が充満してはいるのだけど、実際には、西部劇の世界の終焉、みたいなものを感じさせるオハナシでもあります。 東京の男性が関西の女性と知り合って彼女の故郷に行ってみたら、そこにはいるのはどう見てもカタギと思えない皆さんばかりだった、ってのを数十倍スケールアップしたようなオハナシで、アメリカ東部出身の主人公からしたら西部の開拓地は別世界もいいところ。しかし、主人公は涼しい顔で自分自身を最後まで貫き続け、その点はドラマとしてどうなのよ、と思ったりもするのですが、いずれにせよ物語は、彼をよそに西部の世界同士が「最後の戦い」を繰り広げ、新しい世界の到来を示して幕を閉じます。 実は結構、「らしくない西部劇」という気もいたします。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-25 02:44:45)(良:1票) 《改行有》

1662.  ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦 フィンランド製の戦争映画、オリジナル完全版197分。長いですよ。って、言うまでもないけれど。 特に物語らしきものもなく、これといって背景が語られることもなく、ただただ、どことも知れぬ雪原での戦闘が続きます。家庭では普通の男たちであったものが、戦場では兵士となって、そこには兵士としての彼らの日常がある。日中は弾が飛び交い、戦車が迫ってくる一方、夜には束の間の休息があって。また時にはサウナにも入ったりして。そしてまた戦闘が始まれば、塹壕に身を潜め、戦車に立ち向かい、吹き飛ばされた仲間が肉塊と化すしていく、そういう日常。どことも知れぬ雪原で死んでいく仲間たち。 そんでもって、延々と描かれた戦闘が、突然終わりを告げるラスト、ってのはなかなか衝撃的です。もはや、この映画の長さ、戦闘シーンの長さ自体が、完全版ではひとつの意味を持っているとも言っていいのではないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-12 11:34:29)《改行有》

1663.  殺しが静かにやって来る 《ネタバレ》 マカロニとかスパゲッティとかいう西部劇のタイプとはだいぶ印象が異なって、雪に囲まれた町と山岳地帯が舞台。音楽もノリのよいマカロニ調ではなくって静かなものが多く(酒場ではショパンが流れてます・・・?)、抒情的です。むしろ、もはやオカルト映画のテイストに近いかも。ときに、大胆な、というか、乱暴な、というか、単に「雑な」というか、そういうカメラワークが、どこかオドロオドロしい雰囲気にも繋がってますし、やってることも結構エゲツない。実際、保安官が馬車の窓から外を見たらそこに逆さ吊りの死体の顔、なんていうシーンは、犬神家もビックリです。 オハナシの方は、途中までは正直、よくワカラン。っていうか、一体誰が主人公なんだよ、と。誰がと言えばそりゃ、トランティニャンなのでしょうけれど、そもそもの印象が強くない上に、役どころはサイレントサムライならぬ、サイレントガンマン。セリフが無く、出番も多くなく、さらに印象が薄くなっちゃう。敵役の方がむしろ、クラキンみたいな強烈な人相で(←本人です)存在感を示しまくってます。しかし、どんなに女優の顔が怖くっても物語の中心にいればそれはヒロインなのであり、ヒロインとラブシーンを繰り広げてそこにとってつけたように情熱的なBGMが被されば、残念ながらこのトランティニャンが主人公なんだろうと認めざるを得ないわけです。 とか何とか、ボロクソ書いてますけれど、物語の進行とともにちゃんと焦点が結ばれていくのは、さすが(カメラの方は、ときどき焦点がボケてますが・・・)。人質をとった敵が待ち受ける死地へ、ひとり赴く主人公。この場面、ヒロインが敵の伝言を主人公にまるまる伝えた上で「これは罠よ、行かないで」などというくらいなら、そもそも伝言を伝えるなよ、と言いたくなるのですが、まあこれは、こんなヒロインと結ばれてしまった主人公が不幸だった、ということで。 まさかまさかのラストです。いや、まさか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-01-12 09:49:07)《改行有》

1664.  ランペイジ 巨獣大乱闘 ゴリラとオオカミが巨大化して、ワニがさらに巨大化して、街中で大暴れする。というシンプルな怪獣映画。ドウェイン・ジョンソンは巨大化しませんが、一緒に大暴れ。 とことん暴れ回ってくれるので、怪獣映画としては上出来でしょう。ひたすら破壊が繰り広げられるハチャメチャの中で、瓦礫が上から降ってくる描写などの芸の細かいところもあったりして、こういうのが結構楽しかったりします。 同じく街が破壊されるドウェイン・ジョンソン映画でも、かつて『カリフォルニア・ダウン』などというツマラナイ映画があったけど、コチラの方が数段面白いわい、と思ったら、実は同じ監督だったのね。残念。って別に残念がることでもないけれど。 いずれにせよ、レジェンダリーが、次はゴジラとキングコングを映画の中で戦わせるんだとか何とか言ってるけれど、本作ほどは盛り上がらないと思うよ、きっと(という予想が裏切られるに越したことはないけれど)。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-01-08 21:23:59)《改行有》

1665.  地上最大のショウ 某シネコンで「映画、だけじゃない」とか言ってるように、昨今では映画館でコンサートのライブ中継とか、プロレス中継とか、いろいろやってますけれど、本作の発想もきっと同じようなもんなんでしょう。ナマのサーカスをなかなか見る機会のない人たちは、この映画で楽しんでね、と。 ということで、一応、四角関係的なストーリーはあるものの、作品の見どころは、際限なく続くサーカスの演目シーン。ここまでやると、さすが見応えがあります。さらには、俳優たち自身が(チャールトン・ヘストンを除く)体を張っているのも見どころ。圧巻のサーカスシーンをボケーっと観てると、やっぱり客席でボケーっと観てる観客の姿が映し出されて、ふと我に返る、という寸法。 終盤は、「地上最大のショウ」というだけあって、なかなかショウ撃的な事件が勃発しますが(なんのこっちゃ)、これをきっかけにオハナシを一気にかつ強引に纏めきり、「ロクにストーリーらしいものなどなかった」というのをすっかり忘れさせてくれるのは、なかなかの手腕と言えましょう。 映画の中には、サーカスの団員たちが「帰宅する」シーンなどというものはなくって、まさにサーカスが我が家、興行から興行へと、巡業列車に乗って旅を続ける日々。で、人生ツラいことが多いけど、サーカスで夢のひと時を、と、サーカス愛を謳い上げる。セシル・B・デミル調の派手な作品ではあるんですが、一方でこの素朴過ぎるほどの素朴さが、本作の魅力になってます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-29 11:52:40)《改行有》

1666.  ドラフト・デイ NFLにはさっぱり興味ないし、ましてやそのドラフトなんて、もうまるっきりどうでもいいオハナシ、のはずなんですが、真っ向からその題材で、惹きつけてくれます。 デ・パルマ作品あたりで画面分割が出てきたら、「ああ、またか」ってなもんですが、本作はなかなか新鮮です。ドラフトを迎えるまさにその「運命の日」が舞台、まさに大詰めの一日。だもんで互いに離れた場所同士のやり取りの描写も多くなりますが、そのやり取りする両者の姿を画面分割で描くことで、連続感のある描写になってます。しかも本作の登場人物、分割された画面に収まらず、平気で画面からハミ出てきちゃって、ホント、何て厚かましいんでしょうか。 ドラフト会議(と言うんですかね、NFLでも?)が始まるまでのカウントダウンが挿入されるのも意外に効果的で、会話中心という点ではそれなりに地味なオハナシの映画ですが、時間が迫ってくるのを見るとやっぱり気分は盛り上がってきます。 それにしてもダサさあふれるのがケヴィン・コスナー。オハナシ自体もちょっとクサいところがありますが、それがケヴィン・コスナーにしっかりマッチしてます。カッコ良さの点では、ジェニファー・ガーナーの方が数枚ウワテかな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-22 15:46:31)《改行有》

1667.  死の追跡(1973) 《ネタバレ》 サミュエル・フラーが監督するはずが、バリー・シアーという主にテレビ方面の監督に交代、ということで、もうこれだけでロクな作品にはならないだろうと予想せざるを得ないのですが、確かにちょっとした珍品になっております。そして、こういう時にしばしば、人為的に作ろうと思ってもなかなか作ることのできない妙味が生まれます。 もともと、人を撃たないと言われてきた保安官が、悪党どもに無残に妻子を殺害され、復讐のために彼らをメキシコまで追いかけていく、というオハナシ。マカロニ風味の西部劇ではありますが、保安官をリチャード・ハリスが舞台俳優のごとく熱く熱く演じているので、ふとした時にまるでシェイクスピア悲劇のような雰囲気が漂います。一方、悪党の首領がロッド・テイラー、イマイチ悪そうに見えないんですけどね。それよりも悪党一味のひとりであるネヴィル・ブランド、義手が線路のレールで出来ている、という、強いのやら弱いのやら、どういう発想から生まれるのか想像もつかないキャラで、存在感を示します。 傷だらけになりながらも復讐心を燃やし続けて幽鬼のごとく悪党一味を追う主人公に対し、法を信じ彼の暴走を止めようとするメキシコ側の保安官がアル・レッティエリ、でもこちらは保安官ってよりも、マフィアか何かにしか見えないんですけどね。 という、見た目と役柄がマッチしないのがまず、本作の珍味たる所以のひとつで、この後もやや緩急がチグハグなまま、唐突に主人公が失明したりしつつ(本当に唐突)、物語は悲劇を予感させるクライマックスへと向かって行く。珍品だと思っていたらラストが意外に真っ当で、「意外性が無いのが一番意外でした」ってのもヘンな話ですが、余韻を残すラストです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-22 14:43:33)《改行有》

1668.  三度目の殺人 《ネタバレ》 三度目の殺人、って何がどう三度目なんでしょうか。Ⅾ・フィンチャーの『セブン』みたいなシステムですかね、これは。 顔のアップが多い、顔面映画です。表情だけで画面の緊張感を持続させなきゃいけない、ってのは、俳優さんにとっても大変だったんじゃないかと思われる、のですが、こういう時に役所広司というヒトは妙にノリノリな感じに見えてきて、ホントにこれでいいのかな、とも。それに比べると、広瀬すずは、時に表情を揺らがせつつも、相手に内心へ入り込ませない意志を表情に漂わせて、強い印象を残します。 実際、人間の表情から内面を完全に読み取ることなどできないワケで、「演技」というものはしばしばその読めないはずの内面を読み取らせんがために誇張気味に行われたりもするのですが、この映画の場合は逆に、事件の当事者たちの表情は様々な形で、内面を読み取られることを拒絶しています。だから事件の真相も、モヤモヤしたものになっています。一応は、「役所広司と広瀬すずは実は知り合い」であり、「父親に虐待されていた彼女を守ろうとした」のが一連の事件の真相、であろうという体裁にはなっていますが、では彼女の母親である斉藤由貴の、存在なり、役所広司との関係なりは、どう考えたらよいのか。役所広司と広瀬すずとは、(設定上の矛盾があろうがなかろうが)「雪のケーキ」のエピソードによる繋がりが示すように、実の父と娘の関係なのではないのか。とか・・・。雪合戦の幻想シーンや、役所広司との写真の中で示される、彼女の笑顔。 物語に登場する殺人シーンもまた、本当にそこにいたのは誰だったのか、描写が揺らいで、真相をはっきりとは示しません。ただ、血の付いた「頬を拭う」という動作が、犯罪への加担の有無にとどまらない広義の共犯関係のようなものも示していて。 ラスト近くで、福山雅治の顔と役所広司の顔とが、両者を隔てていたはずの仕切りへの映り込みによって重なるのですが、ここも、両者が重なっているようでもあれば、福山雅治が重ねようと顔を近づけるたびに役所広司の顔が離れていき「重なること」を拒絶しているようもであり。 役所広司の内面に繋がっているのであろう「十字架」のモチーフが、福山雅治の頭上でクロスする電線として示され、しかしそれを見上げる彼もまた「十字路」のど真ん中に立っている・・・。[地上波(邦画)] 7点(2019-12-17 21:42:06)《改行有》

1669.  居酒屋兆治 どういうオハナシかというと、健さんが居酒屋のオヤジをやっている、という、それだけなんですけどね。 居酒屋の客がなかなかに豪華メンバーで、田中邦衛がこういう場面にいるのは当然だとしても、ひとり静かに飲む池部良がいて、言動がヘンなら髪型もヘンな伊丹十三がいて、お笑い芸人にしか見えない細野晴臣がいて、誰も呼んでないのに気がついたらこういう場所にはきっと出没する武田鉄矢がいて。おや、山藤章二さんもいるじゃないですか、ではもう一人のいかにも原作者ですと言わんばかりの顔をした人は誰だろう、と思ったら、原作の山口瞳さんなのでした。 居酒屋のおかみさん、よく見かける女優さんのような気がするけど、アレ、このヒト誰だっけ、と思ってたら、本職の女優さんではなくって加藤登紀子さん。目立つことなく目立ってしまう、見事な存在感です。 で、とりとめなく様々なエピソードが綴られるのですが、映画の軸にあるのが、健さんと大原麗子、結ばれることなく別々の道を歩いてきてしまった二人の男女。映画の軸といいながら、実際にはもう終わってしまった、過去の話でもあるんですね。だから二人の人生は直接に交わることはなく、最後の残り香が消え去っていく姿がこの映画で描かれる。 人生とは様々なものを失っていく過程であって、健さんも含めてここに集う人々は、おそらくはすでに多くの物を失ってきたであろう人々(ただし、大滝秀治は除くことにしよう)。そしてまた、人々は日々、新たに何かを失っていく。そんな映画。 ユーモラスに哀しみを演じてみせる小松政夫が、絶妙のキャスティングでした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-12-15 11:45:25)(良:1票) 《改行有》

1670.  セルフレス/覚醒した記憶 《ネタバレ》 余命いくばくも無い金持ちジイサンが、意識はそのままで、若者の体に乗り換える。 と言うと、フランケンハイマーの「セコンド/アーサー・何とかから何とかかんとかへの転身」(←ちゃんと覚えろよ)などを思い起こしたりもするのですが、こういうネタだと、意識を移し替える作業のSF的な過程だとか、若者の体を手に入れた驚き・喜びだとか、そういう部分で映画を肉付けしそうなところ、本作ではそういう要素はかなりアッサリとした扱いに留められ、事件の真相、主人公が巻き込まれる危機の方に、サクサクと物語が進められます。 だもんで、その分、サスペンス・アクションとしては色々と盛り込まれてはいるのですが、やっぱり背景への踏み込みが浅すぎるのかな、とも。元の体の持ち主に対する主人公の関心、といったものがあまり描かれる訳でもなく、だから、なぜ主人公が、元の体の持ち主の家族のために必死になるのかという点にも触れられることなく、せっかくこれだけの背景を準備した作品なのに単なる「良心的ヒーローもの」になっちゃってるような部分があります。そうなってくると、変に色々と盛り込んだ設定がサスペンスの足を引っ張ることにもなり、よく「サスペンスの発端は単純な方がいい」なんて言うけど、確かに一理あるなあ、とも思えてきて。 さすがに主人公と娘との関係、という部分は、もう少し掘り下げなれなかったものか、と。 と、まあ、そういった不満はあるにはあるんですけどね。でも、それを差し引いても、なかなか面白かったですよ(と、例によって卓袱台返し)。 転身前の主人公がいる、ニューヨークの高層建築の窓から、遠く地上の世界が広がっている。一方、転身後の主人公が向かう、南部の鄙びた世界、といった対比。 定期的に薬を飲まないと、転身者は記憶が混乱し、視界が歪み始める。その歪んだ景色、と思われた視線の先から襲い掛かる火炎放射器の炎。 何より、この「他者に移し替えられた自分の意識」というテーマは、「自分は必要な存在なのか」「自分ではなく、他の誰かでいいのではないか。他の誰かの方がいいのではないか」という哀しい自意識につながるものがあって、その切実さが本作では、ラストにおける一種の諦念とも結びつき、詩情のようなものすら、感じさせます。 モニター内の「見知らぬ」自分と向かい合う男。そういやトータルリコールのシュワも同じようなコトやってましたけど、同じようなシチュエーションのシーンでも、これ程までに違う印象を与えるんですねえ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-12-01 06:53:47)《改行有》

1671.  ビッグケーヒル 主人公の保安官役がジョン・ウェイン。ではあるのですが、主人公というよりは若干、脇役に引き気味で、悪党一味に手を貸したばかりに抜き差しならない立場に陥ってしまう彼の息子たちが、むしろ物語の中心です。父親への反抗心からの軽はずみな行動が、次第に彼らを理不尽な状況に追い詰めていく、その理不尽さを少年の立場から描いているのが、何ともソラ怖ろしくて、イイんですね。大雨の中、ヌッと姿を現すジョージ・ケネディの、いかにもオソロシげなこと。 ジョン・ウェインというヒトは、映画の中ではしばしば、大丈夫かこのオッサン、とつい思ってしまう頼りない部分があったりする(ような気がする)のですが、本作は、一歩引いてる分、また中盤でその持ち前の頼りなさを垣間見せる分、終盤では彼に似合わず妙にしっかりしたオヤジになってて、そのおかげで、普通なら「こんな終わり方でいいのか!」と文句の一つも言いたくなるような(ある意味予想通り)のラストも、何となく腑に落ちてしまうのでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-09 02:51:04)《改行有》

1672.  解散式 経済ヤクザ隆盛の時代に、一人、着流し姿の鶴田浩二。その頑なで時代遅れの感じが、「滅びゆく任侠映画」というにはまだ早い67年の作品ではありますが、やくざ映画の行く末を予告しているようでもあります。 ライバル格として丹波哲郎が登場するものの、クライマックスで対決する訳でもなければ、共闘する訳でもなし。作品のテイストはあくまで、後の実録路線のそれではなく、当時の任侠映画に則ったものだとは思うのですが、ひとり巨悪に立ち向かおうとする鶴田浩二の存在は、巨大コンビナートを前にひたすら小さく、寂しさを伴った余韻を残す作品となっています。[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-10-26 10:31:04)《改行有》

1673.  僕のワンダフル・ライフ 《ネタバレ》 シッカンはその後どうなったのか、HACHIはその後どうなったのか、というオハナシですかね。 イヌの一生が描かれ、別のイヌに転生してまた描かれ、そんでもってラストには、すっかりダメ親父っぽくなってしまった元の飼い主の元へと回帰する。テンポのいい演出は、コミカルな味わいがあって、「死」を扱っていながらも物語を暗いものにはさせません。普通ならもう少し感動を煽るような場面、「このままもうちょっと浸りたい」と思わせるような場面でも、アッサリとケリをつけて、サバサバと物語を進めていき、立ち止まることはありません(なにせこのイヌ、死んでも死んでも決して物語は終わらないので)。 物語の最後に転生したイヌは、図体がやたらデカくって、ラストのあの見せ場であるジャンプシーンではもう一つジャンプ力が足りない(もっと華麗に跳んで欲しかった?)ような気がしないでもないのですが、それもご愛敬。 まあ、飼い主の方も歳をとって、遠からず、今後は「永遠の別れ」になるのでしょうけれど。[地上波(吹替)] 7点(2019-10-12 11:36:38)《改行有》

1674.  ハクソー・リッジ 子どもの頃に兄弟ゲンカで危うく人を殺めそうになった、とか、動脈と静脈の区別すらつかないけれどたまたま止血がうまくいって人を救った、とか、そういうエピソードが後の展開への下地を作ってたりして、数々のエピソードが網の目のように伏線になってます。父親の存在なんかも、そうですね。 で、そういう伏線が織り込まれてはいるのですが・・・にもかかわらず、主人公の主張がいささか極端に過ぎるせいか、正直、これらのせっかくのエピソード群が、彼の言動にあまりうまく繋がっていないような気がします。この主人公像を描くには、もっと強い印象を残すエピソードが必要なのでは? とか思うのも途中まで。後半、これでもかと続く戦闘シーンと、負傷兵の救出を続ける彼の姿には圧倒されます。戦闘の描写にちゃんとストーリー性を持たせた丁寧な描写も、その強い印象に大きく貢献しています。もっとも、テンポが良すぎる部分もあって、やや要領が良すぎるのでは、と思えたりもするのですが、そこはそれ、あくまでヒーロー映画ということで。 彼はついに銃を手にするのか、それとも最後まで銃を拒否し突けるのか、というサスペンス。 それにしても日本兵のガタイが少々良すぎるのは、これは最後まで違和感を感じてしまったのですが・・・一種のサバイバル映画ですから、「敵は強そうでないといけない」ってことなんですかねえ。しょうがないんですかねえ。[DVD(字幕)] 7点(2019-10-07 21:16:51)(良:1票) 《改行有》

1675.  レイヤー・ケーキ 麻薬取引に関わる主人公が引退前に引き受けた最後の仕事が、面倒な展開となっていくのですが、正直、映画の語り口自体も面倒くさいというか、ゴチャゴチャしてて、観てても完全にはついていけないんですけどね・・・でもまあ、我々の日常世界も、こんなものかも知れませぬ。日々の仕事でも、自分の直近のことは何とか把握してるけれど、それ以上のことはよくわからなくって、でも全貌は把握しきれないながらも物事は何となく進んでいってしまう。そんな中で、自分は仕事を、しているのか、それともさせられているのか。 後の『キングスマン』が曲がりなりにも一人の青年のサクセスストーリーだったことを思うと、本作はまさに正反対。レイヤーケーキのごとき層構造をなすイギリスの階級社会、それは裏社会すらもが同様で、うまくたち回ろうとする主人公ではあるけれど、その縛りからはなかなか抜け出せない。 例えば、ライフルでターゲットを狙っているつもりが、実は逆に狙われていて、身動きがとれなくなってしまう。どこから誰が自分を狙っているのか、こちらからは決して見えないまま。 ブルーレイのオマケに別エンディングが2種類入ってて、計3通りのエンディング。程度の差はあれ、そのどれをとっても、結局は階層構造からは抜け出せていないんですよね、たぶん。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-09-29 07:28:54)《改行有》

1676.  横道世之介 冒頭、ああこれはバブルの時代だなあ、と。個人的には何の懐かしさも感じないけれど、とそんなことを言ってみるのも一種の強がりなのかも知れないけれど。ああ、みんな、シャツの裾をズボンに入れてますねえ。 主人公を演じる高良健吾を始めとして、登場人物たちが、はにかんだようなオドオドしたような挙動を繰り返し、これが昨今のお笑いコントの演技を思い起こさせてちょっと安直ではないの、と最初は心配になるけれど、やがてそれが気にならなくなってくる。長回しが多用される中で、このオドオドした感じが、独特のリズムみたいなものを生み出してるんですね。いや、リズムというよりは、演技の詳細が確定されない中に役者たちが放り込まれ、開放系の中に映画の世界が広がっていくような。 そんな中で、素っ頓狂な吉高由里子はまったくオドオドせず、ブレることなく、純朴な主人公を変人の道(?)に誘い込む。これぞまさに究極のバカップル・・・ってのがこれまた不思議な懐かしさめいたものを呼び覚まします。 時間軸をいじくる構成も、イヤミになっておらず、ラストでは静かな感動に繋がります。 でも、それでもなお、この「世之介」ってヤツ、何なんだよ、という気持ちがどこかにあって、映画ってのは「懐かしがられる人々」ではなく「忘れられた人々」を描いてナンボでしょ、という気もしてしまうんですけれども。[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-09-28 01:51:41)《改行有》

1677.  ロボゲイシャ ネタが「ゲイシャ」ということもあってか、アクションシーンにややキレが無いのが残念ですが(「ゲイシャ」だからキレが無い、とかいう問題だと捉えるべきかどうか、という気もするし、いやそもそもそんなことを気にするべきか、という気もするけれど)。 ただ、「ロボ」の部分で言うと、ロボである以上はロボらしく、「変形」とか「合体」とかいう事に対する偏愛のようなものが感じられて、それが、姉との確執というストーリー骨格ともちゃんとシンクロしているのが、スバラシイなあ、と。 肉体をロボにいくら改造されようが、そんなことは全く不幸じゃなくって、姉と仲良くできないことこそが不幸。このテーマがしっかりと作品を貫いています。 で、そういう「ロボットと言えば、変形・合体やろ」という極めて日本的な発想が、ゲイシャとかフジヤマとかいう日本的なアイテムと結びついて、とんでもなく求心力をもった作品となり果てているのでありました。 デビル志垣も存在感あったけど、斎藤工の起用法が実によくワカッテルよなあ、と。[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-09-28 01:07:24)《改行有》

1678.  ダンケルク(2017) 《ネタバレ》 ダンケルクの撤退劇を、複数の視点から並列に描く、つまり複数の物語が同時に進む構成になっているのですが、あちらのエピソードが昼だったかと思うと場面変わってこちらのエピソードは夜の場面、だったりするもんだから、それぞれのエピソードは時間進行もバラバラなんだ、ってのはイヤでもわかるんですね。 で、時間軸の異なる各エピソードは、クライマックスにおいてきっと一点に交わるんだろうなーってのも、期待としては持っちゃう訳です。実際、そういう構成なんですが・・・ 普通、こうやって場面を切り替え切り替え、複数の場面を並列に描くってのは、盛り上げるためにやるもんなんでしょうけれど、本作の場合、方法論が先にあるためなのか、意図して感情移入させないようにしているのか、あまりに機械的に場面切り替えをやりすぎて、正直、わずらわしくなってきます。 また、この手法(異なる時間軸が一点に焦点を結ぶ)を取ると、どうしても、クライマックスが近づくにつれて時刻が小刻みに前後することになって、不自然さが目立っちゃう、ってのはタイムチャートを書いてみるとすぐにわかると思うんですけれども(作り手もわかってるんでしょうけれども)。こういう点も、少々、違和感が。収束すべき焦点もボケてしまいますわなあ。 しかしそれでも、その最後に、あの見事な海岸への不時着シーンをもってきたのはさすが。これはシビレました。もちろん映画中盤の、陸(海岸)、海、空でのさまざまな「戦い」が、さまざまに描かれるのも(時に仰ぎ見る形で、時に見下ろす形で描かれ、また時には姿の見えない敵からの攻撃という形でも描かれ)、見どころになっているのですが、これらの「陸・海・空」が、あの最後の不時着シーンで一点収束した感があって。ヘンな時間的細工より、よほどイイなあ、と。[DVD(字幕)] 7点(2019-09-17 21:23:18)《改行有》

1679.  眠れぬ夜のために 安部公房の未完の小説で、不眠症の男が山手線に乗って思索をめぐらす「名もなき夜のために」ってのがありましたが、それをモジって本作の邦題にしたのなら(たぶん違うでしょうけど)、随分遠いところからネタを拾ってきたもんです。こちらは、不眠症の男が深夜のドライブ中に事件に巻き込まれるサスペンス。 まあ正直、そういう巻き込まれ形のサスペンスとして見ると、もう一つキレが無くって、そんなには楽しめないんですけれど、ちょっとした意外なロケの光景(飛行場の下がトンネルになってて自動車が走る上を旅客機が移動してたり。立体迷路みたいな地下駐車場でカーチェイスを演じたり)が登場して、目を楽しませてくれます。 あるいは、場面がいきなり飛ぶ意外性。突然、飛行機スタントの奇妙なCMが挿入されたり、スワ大事件かと思いきや実はロケ撮影のシーンだったり。 そういう小ネタの面白さ、ですね。 ただ、この主人公の「不眠症」という設定、本作が、あの悲惨な撮影中の事故を起こした『トワイライトゾーン/超次元の体験』の少し後の作品であることを思うと、もしかしてジョン・ランディスも当時、不眠症に苦しんでいたんだろうか、なんて事も思ったりして。せめて映画の中だけでも、イキのいいところを見せて欲しいもんです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-09-16 07:02:05)《改行有》

1680.  BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 少女と巨人の交流のオハナシですが、正直、ストーリーらしいものは殆ど無くって、多少、間延びした感はあります。しかし、CGで描かれる巨人たちの活き活きとした感じ、そしてCGの世界と主人公の少女との融合が、観てて楽しいんですね。 特に、CGの中で茶目っ気たっぷりに動き回ってみせる少女と、これまた見事に動き回って見せる「カメラ」、その特殊効果による描写は、ここまで描けるんだという驚きにあふれていますが、それでもどこか少し胡散臭くって、トリックめいていたりもして。それが、あのかつてのダイナメーション技術みたいな「魅力的な不自然さ」とでも言いたくなるようなものを感じさせたりもします。 個々のシーンが持つワクワク感。いいですね~。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-09-08 17:50:05)《改行有》

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