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プロフィール
コメント数 2395
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1661.  ランナーランナー 《ネタバレ》 優秀な一流大学生が頭脳を活かしてギャンブルの世界で活躍するというプロットのお話しは以前に観たことがあるけど、この映画ではポーカーもネット・カジノも主人公の単なる背景にしか過ぎず、この手の映画に付き物のコン・ゲーム的なおもしろさは期待しない方が良いです。テンポが良いのはイイとしても、ベン・アフレックの運営するネット・カジノの詐欺手口がどういうものなのかがさっぱり判らないのはこの映画の大弱点です。ジャスティン・テインバーレイクが演じる主人公も切れ者という感じが全くないし、ベン・アフレックに仕える過程もまるで『ラスト・キング・オブ・スコットランド』のアミンに魅了されるジェームズ・マカヴォイみたいな感じ、だけど肝心のベン・アフレックにカリスマ性が皆無なので全体的に薄っぺらな印象になっちゃうんだよね。ぶっちゃければ、ベン・アフレックはミスキャストだったという結論になりますかな。まあ暇つぶしにはちょうど良い尺だと思います。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-14 22:18:47)

1662.  ガンズ・アキンボ 《ネタバレ》 死体役や変な悪役など最近おかしなキャラを演じることが多いダニエル・ラドクリフ、今回は両手にハンドガンを縫い付けられたシザーハンズならぬピストル・ハンズとなってしまいました。“なんでこうなるの?”という無茶苦茶なプロットだが、スキズムなる殺し合いタイマン試合をリアルタイムでネット中継サイトに悪口投稿したら、タトゥーまみれの主催者を激怒させて拉致され人体改造されて試合に無理やり出場させられたというわけです。まあなんか無理くり納得させてくれそうな設定だけど、このスキズム自体が最近日本でも物議をかもしているブレイキングダウンを連想させてくれて、なんかリアル感があります。ラドクリフ君が両手の銃を指代わりにせざるを得ず四苦八苦するところは笑えるが、掌に銃が文字通り釘づけにしただけの雑な改造は観るからに痛そう。対戦相手のこれまたタトゥーだらけの女・ニックスと協力するようになるだろうなって想像つきますが、彼女があんな最期を迎えるとはちょっと予想外でした。平和主義者であるラドクリフ君は基本として逃げ回るだけですけど、ニックスの方は多人数の敵の中に飛び込んでいって全部血祭りにしてしまう、爽快感はあるけどリアリティ無さすぎじゃね?前半のコメディ調がだんだん薄れてゆきシリアスになっちゃうのは、スピード感も失速してしまい残念でした。ラストで「これはラドクリフ君の妄想でした」という夢オチじゃなかっただけマシかな。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-11 23:07:38)

1663.  大菩薩峠 第二部 《ネタバレ》 第二部が始まるとなぜか机竜之介は盲目になっている、これは前作のラストの爆破攻撃で傷を負った為らしい。相変わらずの超特急的なストーリーテリングだが、本作では盲人のくせに虚無僧姿で飄々と東海道を東へ向かう竜之介と追うお松・兵馬のロードムービーという展開です。この竜之介が盲人なのに随所で斬りまくるしラストでは槍技まで披露します。これはもう座頭市どころじゃない特殊能力ですが、座頭市みたいなリアル指向がないチャンバラなのでやっぱ怪物としか思えない。道中では後から後から女性がモーションかけてくるし、ここまで来ると眠狂四郎もシャッポを脱ぐでしょう(笑)。そしてさすがの竜之介も未亡人のお徳と捨ててきた我が子と同年齢の息子と接するうちにその山中の湯治所で静かに暮らそうかと達観するけど、槍を振るって血の臭いを嗅ぐと元の竜之介に戻ってしまう。竜之介はゆく先々で因果をまき散らせているようなものですけど、悪旗本=神尾主膳がなぜか竜之介の近くに引き寄せられてるような印象があります。この神尾主膳=山形勲の悪辣ぶりはなかなかのものです。 もう後から後から登場人物が増えるので筋を追うだけで必死になりますが、このカオスの様な物語、どういう結末を迎えるのでしょうか?[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-03-05 23:07:14)

1664.  大菩薩峠(1957) 《ネタバレ》 時代劇映画できってのダーク・ヒーロー机龍之介、オープニングでいきなり通りすがりの老人を何の躊躇もなく斬捨てる、もうサイコパス人斬り魔でしかない。演じるは“山の御大”こと片岡千恵蔵、机龍之介役としてはやはりこの内田吐夢版の千恵蔵がやっぱいちばん有名でしょう。このキャラの鬼畜ぶりは眠狂四郎でさえも正義の味方に思えるぐらいで、そのニヒルぶりもかなりのもんです。千恵蔵はこの時すでに齢五十を超えている半ば御老体で龍之介を演じるにはちょっと老け過ぎの感もありますが、その貫禄と威厳はさすがとしか言いようがないです。中里介山の原作は超長編のうえに彼の死で未完という問題作、映画化されると長編の尺で三部構成というパターンが主流ですが、それでもストーリー展開は超高速でダイジェスト感があるのは否めません。やっぱ完全映像化となると、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』ぐらいの尺が必要でしょう。 第一部しかまだ観ていませんが、とにかく一つ一つのエピソードが短く次々に繰り出されるので、参考資料を片手に観ないと着いていけなくなります。その分どうしてもキャラたちの掘り下げが甘くなりがちで、とくに龍之介が単なるぐうたらにしか見えないところが残念でした。近藤勇や土方歳三なんかとつるみ出したんでどうやら新撰組に龍之介は参加したんだなと判りますが、どうして彼がその気になったのかはまったく描かれていないので?でした。あと『用心棒』以前の古い時代劇にはいわゆる斬撃音がないので、どうも迫力が感じられないのは私だけでしょうか?[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-02-17 22:31:36)

1665.  クレオパトラ(1963) 《ネタバレ》 “映画史上空前の失敗作“としてその名も高い本作、でも意外なことに世界中で大ヒットしてその年のNo.1の興行収入をあげていますが、20世紀フォックスは製作費の半分も回収できなくて社運が傾いて撮影所を売却する羽目にまで陥ります。当時の日本円で143億も製作費が掛かってたら(現在の貨幣価値では幾らになるんだろう…)、そりゃあ利益が出るわけないですよ、ここまで来ると不条理の世界です。金が掛かった原因は監督の交代から始まってエリザベス・テイラーとリチャード・バートンの不倫スキャンダル諸々で撮影期間が四年近くになったこと、ゴタゴタが続いて苦労して完成させた映画は報われない、というジンクス通りになっちゃったわけです。やはりこの映画で「カネかかってるなー」と唸らせてくれるのは、クレオパトラのローマ入城とクレオパトラが船でアントニウスを訪ねて来るシークエンスでしょうな。入城シーンはあまりの壮大さにバカバカしくなってしまうほど、船なんて巨大なガレー船を建造して撮影しているぐらい、もっとも遠景に映るのはどう見ても撮影当時の地中海沿岸の街並みでしたけどね(笑)。クレオパトラの衣装も豪華絢爛の極み、でもなんか現代風のオスカー受賞式で観られるようなドレスが多かった気がします。そう言えば宮殿内の机やソファーなどのインテリアも妙にモダンな感じだったのも違和感があり、考証的には他にも首を傾げるところがありました。 四時間の長尺ですけど、開幕から一時間余りがカエサルとクレオパトラ編、残りがアントニウスとクレオパトラのストーリーという感じで、リチャード・バートンは前半にはまったく登場しません。そういう面ではカエサル編とアントニウス編ではまったく違う映画の様な印象さえ与えかねないところですが、当初の構想ではカエサル編とアントニウス編は別々の映画として合わせて六時間という企画だったのを一本に纏めたそうです。正直なところカエサル=レックス・ハリソンの実に堂々とした演技が光り、肝心のアントニウス編になると単なるメロドラマというテンションになってしまいます。あとクレオパトラの子供がカエサリオンだけでアントニウスとの間に設けた子供が存在しないかのような描き方は、史実とは大幅に相違しています。バートンはアレキサンダー大王を演じているのを観たときも感じましたが、史劇になると妙に大芝居をするようになって持ち味を殺してしまうんじゃないかな。 とは言え歴代クレオパトラ女優の中でもやはりエリザベス・テイラーは別格、まさにクレオパトラのアイコンに相応しいと思います。当時彼女は31歳の女盛り、脱ぐわけじゃないですがあの豊満な乳には視線が釘付けにされてしまいます。パスカルには「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら…」という有名な言葉がありますが、テイラー=クレオパトラを観ていると「クレオパトラがもし貧乳だったら、歴史が変わっていただろう」と言いたくなりました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-04 22:24:39)

1666.  すてきな片想い 《ネタバレ》 80年代青春映画の巨匠であるジョン・ヒューズのデビュー作。本作で彼の作品の常連となるモリー・リングウォルドとアンソニー・マイケル・ホールが初めて起用されるが、やはりリングウォルドの発掘は大功績だったと言えるでしょう。たしかに彼女ほど同世代女性ファンから支持された女優は稀有で、ほぼ社会現象と言えるレベルでしたからね。この時彼女は15歳、まあ子役とは言えない年齢ながらも若くして脚光を浴びた俳優は伸び悩むというジンクス通りになってしまったのは、残念ではあります。 この映画は数あるヒューズ作品の中でももっとも下ネタがキツいという指摘は的確だと思います。現在のコンプラやポリティカル・コネクトネスの基準からすると、炎上必至と思われる内容があるのも事実です。一人だけ登場するアジア人キャラの扱いや、パーティでのジェイクの言動がいわゆるデートレイプを容認しているようなところなどです。まあ他愛もないコメディなんで目くじら立てるなとも言えるのですが、確かに中国人留学生の描き方はちょっと度が過ぎているって感じます。だいたいからして、全部観たとは言わないけど、黒人がキャスティングされたりストーリーに絡んだジョン・ヒューズの映画が記憶にないんですよね。アジア系とはいえ有色人種が登場するだけでも珍しいとも言えますかな。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-20 21:39:02)

1667.  シシリーの黒い霧 《ネタバレ》 イタリアの戦後史に疎いこちとらには、この映画の背景なんてさっぱりでございました。シシリーといえばマフィアの本場ってぐらいの知識はありましたが、第二次世界大戦後にシシリー島に独立闘争があったなんてこの映画で初めて知ったぐらいです。まあ簡単に言うと、山賊からその独立闘争の武装勢力のリーダーになったジュリアーノという男がいて、彼が闘争が収まってからもマフィアと組んで共産勢力を虐殺して憲兵隊に追われる身になり、挙句の果てには射殺死体で発見されたという事です。ジュリアーノ一味の残党はその後に皆逮捕されてメーデー虐殺事件の裁判にかけられますが、その裁判の推移とジュリアーノ生前の活動が交互に描かれるので注意して観ないと何が何だか判らなくなっちゃいます。ジュリアーノは冒頭で死体となって登場するのですが、面白いことにその後の過去のシークエンスでも彼が部下たちの近くにいることは暗示されますが決して画面に映されないところです。終盤で仲間に射殺されるところでも部屋は真っ暗で姿を見せず、二言三言のセリフが辛うじてあったぐらい、これがジュリアーノ役の俳優が発した唯一のセリフでした。イタリアン・リアリズモの系譜に繋がる監督らしく音楽もほとんど使わずに徹底的なドキュメンタリー調、イタリアの政治情勢に詳しくないとそのリアリズムが仇となって余計に難解なストーリーに感じられます。それでもジュリアーノ一味壊滅のために村の男性を軒並み連行しようとする憲兵隊に女性たちが抗議に押し寄せるシークエンスは、迫力と緊迫に満ちた映像でした。しかしながらラストで射殺された男はいったい誰?と最後まで惑わされる映画でした。因みにあるレビューによるとその男はマフィアのボスだという事ですが、普通に観ていりゃそんなん判るわけないだろ![CS・衛星(字幕)] 5点(2023-12-11 21:54:01)

1668.  女と女と女たち 《ネタバレ》 そりゃもうシャーリー・マクレーンを愛でるための映画ですけど、他の出演陣も豪華絢爛。ピーター・セラーズ、ロッサノ・ブラッツィ、ヴィットリオ・ガスマン、アラン・アーキン、マイケル・ケイン、フィリップ・・ノワレ、そして写真だけの出演だけどマーロン・ブランド!女優だってエルザ・マルティネリにアニタ・エクバーグですからね。マクレーンのコスプレは地味な普段着からピエール・カルダンのドレスまでキャラも含めてまさに七変化。演じる役柄も未亡人や夫の不貞に狂乱する主婦そしてオペラ座にボックス席を持つ社交界の花形夫人など、演じていないキャラは政治家と娼婦ぐらいなもんです。パリが舞台でロケ撮影がパリの街並みの色んな表情を捉えていますが、カラー撮影も色彩鮮やかです。でも尺の長短はあるけど、残念なことに各エピソードのオチがイマイチ弱いんですよ。ひとりの女優が別キャラを演じるオムニバス形式としては同じデ・シーカが撮ったソフィア・ローレンの『昨日・今日・明日』がありますけど、脚本家も同じなんだけど映画としてはかなり落ちる出来かな。やっぱ7エピソードと言うのは多すぎで、三つぐらいが妥当だったのかな。それでも印象深かったのはアラン・アーキンとの二人芝居を繰り広げる第六話『心中』で、唯一苦笑する様なオチがあったエピソードでした。あと最終話『雪の日』もしっとりしたお話し、セリフなしだったがマイケル・ケインは良かったな、これはキャロル・リードの『フォロー・ミー』の原型の様なストーリーでした。[DVD(字幕)] 5点(2023-12-02 22:58:26)

1669.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 東宝特撮映画には日米合作として製作されたものがあるが、本作はその最後の作品。合作と言っても独立系プロダクションが相手の場合が多くていろいろと難儀させられることもあり、本作なんて製作中に相手方が倒産して撮影中断、その為に複雑な権利関係になってしまい長い間ソフト化されませんでした。またこの映画が円谷英二と本多猪四郎の最後のコンビでもあります。 ストーリーは言ってみれば『海底二万哩』と『ドクターモローの島』を足して二で割ったような感じ。日米合作東宝特撮では欠かせないハリウッド俳優の出演も、ニック・アダムス、ラス・タンブリンに続いてリーチャド・ジェッケル、シーザー・ロメロ、そしてついに名優ジョセフ・コットンの出演と相成りました。ロメロの愛人役のパトリシア・メディナに至ってはコットンの当時の妻ですからね。アメリカ側プロの倒産で東宝が出演料を肩代わりさせられ、製作費のかなりの部分がこれらのハリウッド俳優のギャラに消えてしまい東宝はもう踏んだり蹴ったり、そりゃ合作を今後やらないとなるのも当然かも。特撮は円谷英二の最晩年ですからレベルとしてはほぼ頂点、冒頭の海底火山の噴火なんてこれがCGじゃないなんて信じられないぐらいです。緯度0という秘密世界の設定も荒唐無稽さが東宝特撮の中でもほとんど頂点、19世紀初頭の人間が200歳近くになっても普通に生きているというところなんかも謎めいていてグッド。当初の脚本では「緯度0の1日は地上の50年に相当する」という説明があったそうですが、それじゃいくら何でも計算が合わない、1年だと地上の18,250年になっちゃいますからね(笑)。でも登場する改造動物の造形はちょっとセンスが悪すぎ、まああんまり意味がないキャラ達だったとしか言いようがない。 やはり物議をかもしそうなのがあのラスト、リチャード・ジェッケルのラリッたあげくの妄想もしくは夢オチかなとも解釈できるような不思議な幕の閉め方です。でも私はこういう遊び心に満ちたような脚本は好きです、これぞ関沢新一の脚本らしさが出ていたと思います。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-11-27 23:24:05)

1670.  スプライス 《ネタバレ》 “むかし放射能、いま遺伝子操作”がSF・ホラー系映画でモンスターを産み出す理屈の定番ですけど、けっきょく健康被害は別としても短期的に生物を変異させるような影響が無いことが認識されている放射線と違い、DNA操作は意図せずにトンデモナイものが誕生してしまう危険性が多々あるのが怖いところです。この映画はあの『スピーシーズ/種の起源』と発想は同じくするものの、あんな無茶苦茶なお話しとは違ってじわじわ来る恐怖というか嫌悪感を追及してゆくストーリーなのは評価しておきたい。 門外漢のわたくしには新規のたんぱく質を生成するためになんであんな怪物を創造しないといけないのかは?なんですが、最初に登場する“ジンジャーとフレッド”からして気持ち悪いことこの上ない。でもほんと生理的にしんどかったのが幼年期までの“ドラン”の方で、あのドレスを着た姿なんて思わず眼をそむけたくなります。“ドラン”はサラ・ポーリーの卵細胞が使われたいわば子供のような存在だってことはバレますけど、成長するにしたがって文字を駆使したり絵を描いたりするようになるのはちょっとやり過ぎだったんじゃないかな。サラ・ポーリーの母親の精神的な問題が暗示するように、“ドラン”にもポーリーを通じて異常性が遺伝してしまったという解釈が妥当のようです。このストーリーのトンデモナイところは、エイドリアン・ブロディが“ドラン”と、サラ・ポーリーが性別転換後の“ドラン”と性交しちゃうところで、これはホントにおぞましい。まあブロディはともかくとしてもポーリーの方はもう近親相姦としか言いようがないわけですからねえ。 ラストの展開ですけど、明らかにありふれたモンスター映画に寄せてしまったのは失敗でしょう。“ドラン”に羽根のようなものが生えてくるのも意味が不明、沼地のシークエンスもほんと暗くて何が起こているのかさっぱり判らずストレスが溜まりました。けっきょくほぼ皆死んでサラ・ポーリーだけが生き残る後味の悪いバッドエンドで、とにかく禍々しさだけが印象に残りました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-10-18 21:47:34)

1671.  カモとねぎ 《ネタバレ》 森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)

1672.  キャッシュトラック 《ネタバレ》 “ハゲ無双”ステイサムとガイ・リッチー、これが4度目のタッグになるわけですよ。やっぱステイサムはメガロドンなんかと絡むよりも生身の悪人たちを成敗する方がかっこいい!それにしても毎度毎度のハゲ無双&無精ひげ無双、この人の演技プランには役造りという概念はないみたいだ。お話しは単純なんだけどそれをわざと複雑にして見せるいつものガイ・リッチー節でございます。劇伴も重低音を基調にして全体的に重苦しいストーリーテリングで、どこかに茶目っ気やユーモアをねじ込ませる今まで観てきたリッチーの作風とはちょっと違う気もします。章立てを用いる撮り方も彼お得意の手法だけど、さすがに今作ではステイサムの立ち位置というか背景が判りにくいのは難点です。前半で出てくるステイサムに現金ネコばばがバレて脅される女警備員や、襲撃犯のボスの家庭風景をわざわざ見せる、などは後半に繋がる伏線なのが普通だと思うんですけど、そういうところは雑と言うか奇妙な脚本です。私の中ではステイサムは“トム・クルーズやスティーヴン・セガールと違って撃たれたり手傷を負ってボロボロになるガメラ的なキャラ”という位置づけなんですけど、さすがに今回は「これ、絶対に死んだよな」と思いましたがまさか定説通りだったとは、さすがにこれはやり過ぎです(笑)。 ところで、日本ですらキャッシュレス化が進んでいるのに、いくらブラックフライデーとは言ってもキャッシュレス先進国のアメリカであんなに大量の現金取引があるんだろうか?というのが素朴な疑問。まあそれを言っちゃうと、現金輸送車襲撃をテーマにした映画は撮れなくなっちゃうけどね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-10-06 23:15:56)

1673.  空気の無くなる日 《ネタバレ》 1910年(明治43年)に20世紀最初のハレー彗星接近がありましたが、日本では明治維新後初のハレー彗星との出会いだったわけです。約75年周期で地球に接近するわけですから現代人の感覚では生涯で一回もしくは二回は出会うことがあるイベントですけど、昔の日本人の平均寿命はまだ短かかったので、一度もハレー彗星を見ることなく墓に入る人が多かったと思います。当時は半端に科学知識が広まっていた時代にはなっていましたので、あやふやな情報が元になったパニックが日本でも一部の地方であったそうです。そんな史実をもとにした児童文学を映画化したのが本作です。 舞台は山奥の集落、平和に農業や牧畜を営む地区にハレー彗星接近の知らせとともにある情報が伝わります。彗星がもっとも地球に接近する七日後の4月20日正午、地球の大気が5分間消失するという驚天動地の新聞記事。なんでも彗星の長い尾が地球を包むのがその5分間なんだそうで、大気がその間彗星に吸い取られちゃうという説明だが、なんでまた大気が元に戻るのかはさっぱり謎。つまり5分間呼吸を止めていれば助かるという理屈なんだけど、校長先生や児童たちは一生懸命に洗面器の水に顔を突っ込んで挑戦するけど、そんなことできるはずがない。すると空気がつまった自転車のチューブを使えば5分間を耐えられるというアイデアが広まるが、チューブや浮袋みたいなものは全て地主が買い占めてしまう。かくして地主一族以外の村民は、地球最後の日を粛々と迎えることになります。 プロレタリア作家である岩倉政治が書いた原作は子供向け寓話の形をとっていますが、痛烈な資本主義批判が込められています。貧しい生活だが清らかに生きる農家の一家と対照されるのが、チューブを買い占めて一族だけで独占して生き残ろうとする冷酷な地主階級というわけです。この原作は戯曲化され、昭和の日教組全盛時代には各地の小中学校で児童生徒を使って上演されていました。実は小学校高学年のときに小生のクラスでも学芸会の演目にされ、校長先生の役で生涯ただ一度(今のところ)の舞台に立ったのは懐かしい思い出です。ウン十年ぶり映像作品として再会を果たしたわけですが、小品ながら映画としても結構良く撮れています。冒頭でハレー彗星の接近が特撮アニメーションで解説されるわけですが、東宝のスタッフやまだ駆け出しのうしおそうじが関わっているのも興味深い。左翼臭もそれほど露骨ではなく、地球最後の日を迎えるように死を受け入れて彗星接近の瞬間を待つ村人たちの様子もしっとりと描かれていましたね。フィクションとはいえ、海外の映画ではこういう人類滅亡の危機では暴動や略奪が起こる(まあ現実でもそうなるでしょうね)のが定番ですけど、死に向かって悟りきったように対処するところも日本人的なリアルさかもしれません。もちろん結末はハッピーエンドですけどね。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-03 22:20:22)

1674.  コンビニエンス・ストーリー 《ネタバレ》 しょうじきイマイチ意味が判らんストーリーでしたが、ラストまで観てやっとこれは“お前はすでに死んでいる”パターンの『恐怖の足跡』、というか“死ぬまでに観てしまう走馬灯”パターンの『ふくろうの河』的なお話しだったと理解できました。この監督の映画は『大怪獣のあとしまつ』しか観たことがなく小ネタを挟み込んだストーリーテリングが芸風の人なんだなと理解していましたが、ホラーテイストの本作ではその小ネタがどう考えても有機的に繋がってないところが残念かな、と言うのが自分の感想です。それでも一つ一つのシーンでの非現実的なイメージはとても印象的で、とくに空一面を鳥が埋め尽くすように飛び回るカットにはひきつけられました。明らかに異界の者である恵子が服を脱いで加藤を誘惑するところ、「けっ、出し惜しみしやがって!」と心中で悪態をつきたくなりましたけど、よく見れば演じているのは元AKB48の前田敦子じゃありませんか、そりゃヌードになるわけなかったです(笑)。あと演技に難があるわけではないけどほとんどの会話が聞き取りにくいこと!これはイライラさせられました。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-17 22:36:21)

1675.  ブラック・スキャンダル 《ネタバレ》 なんかとても既視感がある物語だというのが感想だが、そう、スコセッシの『ディパーテッド』が浮かんできたんだよね。実際のところどっちも舞台はボストン、『ディパーテッド』でジャック・ニコルソンが演じたフランク・コステロは、ジョニデが演じたバルチャーがモデルなんだとか。もちろん『ディパーテッド』はフィクションなんだけど、ノン・フィクションが原作の本作と較べても、良く出来た脚本だったなと思います。中盤でステーキのレシピをダシにしてFBI捜査官に因縁をつけるシーンは、これまた『グッドフェローズ』でジョー・ペシが見せる恐怖の因縁付けのもろパクりというかオマージュなんでちょっと呆れました。でも熱演だったことは評価せんといかんと判っているけど、ジョニデの禿げ頭ギャングはどうしても違和感があるんだよな。自分には、『パブリック・エネミーズ』も含めて彼のギャング役はどうしても馴染めないんだよな。本作での彼の役柄は、家族との絆は深いがただただ冷酷非情で陰険なギャングの親分、それも最後までチンピラ感が抜けないキャラでした。これじゃあ手下たちから裏切られて証言されてしまったのは、もう自業自得としか言いようがない最期でした。邦題を『ブラック・スキャンダル』とした意図には、ギャングの犯罪よりもFBIとギャングの癒着がこの映画のテーマだと解釈した結果だと思いますし、それは正解だったと自分は考えます。 事実を追っただけなのでしょうがなかったのかもしれませんが、決して後味が良くない陰惨な物語でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-09-11 21:39:09)

1676.  エンテベ空港の7日間 《ネタバレ》 エンテベ空港奇襲作戦については、直後に『エンテベの勝利』と『特攻サンダーボルト作戦』という便乗したTV映画が粗製乱造されたのとメナヘム・ゴ―ランがさらにそこへ便乗して一本撮ったぐらいで、なんでまた40年以上もたってからこのテーマなのかというのは?ですね。『勝利』とか『特攻』なんて勇ましい言葉がタイトルにつくので察せられるとおり、二本のTV映画は奇襲成功に浮かれたハリウッドのユダヤ系俳優たちが結集した一種のエクスプロイテーション映画みたいなものらしいので、ある意味本作はこの事件をテーマにした唯一のまともな映画なのかもしれません。 監督が『バス174』を撮った人なので、全編を通じて重苦しいドキュメンタリー・タッチで、カタルシスはまったくありません。テロリスト側とイスラエル政府内の動静を均等に描いている感じですけど、テロリスト・サイドをいわゆるサイコパスじゃなくて偏った思想を持っているけど普通の人間として描くので、そこには批判があるかもしれませんが映画の評価としては妥当ではないと思います。とくに二人のドイツ人テロリストが、ロザムンド・パイクは別にしても相方がダニエル・ブリュールですからね、狂信的なヴィランの訳が無いじゃないですか。イスラエル政府内でも、ラビン首相とペレス国防相のいかにも政治家らしい責任の押し付け合いというか駆け引きを赤裸々に描いているのも面白い。渋った首相もギリギリで作戦にGOを出すのですけど、成功の一報が入っても歓喜の表情を見せるのでもなく、「このまま交渉不能なら、この戦争は終わらないぞ」と呻くところが印象に残ります。ラビンは実はテロリストと交渉する寸前だったぐらいなので作戦決行は苦渋の決断で、決断から逃げて「一人の生命は地球よりも重い」という迷言とともにハイジャック犯に降参したどこかの国の総理大臣とはえらい違いでした。 これだけ劇的でスリリングな出来事をここまで(あえて)盛り上げずに映画化するというのは、ある意味で偉業なのかもしれません。でもそれが万人受けするわけじゃないというところが、難しいところです。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-08-06 22:40:57)

1677.  引き裂かれたカーテン 《ネタバレ》 ジェームズ・スチュアートやケイリー・グラントそしてグレース・ケリーとは疎遠となり、いい意味でも悪い意味でも迷走していた60年代のヒッチコック、女優以上にヒーロー男優に迷いがあった感があります。『マーニー』のショーン・コネリーに続いてついに大物ポール・ニューマンが起用することになった次第です。そりゃあニューマンにはヒッチコック作品に呼ばれることには不満はなかったでしょうが、“若き天才物理学者”というキャラには正直いって合ってなかったような気がしてなりません。ヒッチコックには冷戦スパイものというべきいくつかの作品がありますが、本作を含めてどれもイマイチなんですよね。言ってみればこの映画でのニューマンは亡命者を装った二重スパイというわけなんですが、米国の国防兵器の開発に携わっているような科学者が危険な任務を引き受けるようになる動機というか必然性が見えてこない。まあ言ってみれば素人スパイなわけで、タクシーに乗って工作員に会いに行くシークエンスなんて東独当局にバレるのは当然と言えば当然です。ここで監視役を殺してしまうことで後半のハラハラ・ドキドキに繋がるわけだけど、この殺し自体がなんか雑な展開な感が拭えません。東独の科学者から数式を聞き出すところも思ったよりあっさり感が強くて、ここをもっと凝った展開にしたら違ったサスペンスが生まれたんじゃないでしょうか。脇はほとんど西ドイツの俳優が起用されていて仲間内では当然ドイツ語で喋っているのでニューマンがドイツ語を解しないという設定はリアルさがあるんですけど、さすがに劇場で「火事だ!」という英語の叫びにドイツ人の観客がパニックになるというのは、ちょっとアレでしたね(笑)。ニセ路線バスと本物のバスとの接近遭遇など随所にヒッチコック流の盛り上げが健在でしたが、全体的にサスペンス映画としては緩すぎです。 考えてみれば、本作がヒッチコックのフィルモグラフィで最後の大物男優の主演作でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-07-28 22:37:13)

1678.  ディボース・ショウ 《ネタバレ》 日本でも大竹しのぶで『後妻業の女』なんてストーリーがあったけど、本家ともいえるコーエン兄弟作品ではセレブの世界のお話しとは言っても潔いまでカネがすべてでカラッとしています。ゼタ=ジョーンズの亭主も殺されたり病死するわけでもなく別れるわけですが、考えてみれば夫側弁護士のジョージ・クルーニーおかげで一銭も得られず、この映画の中ではそのあくどい戦略は成功したとは言い難かったんじゃないかな。まるで下手なラブコメみたいな終わり方といい、けっきょく彼女は悪女というキャラではなかったという事ですね。ゼタ=ジョーンズはこの頃はその美というか魅力が頂点に達していたので、こういう役作りは正解だったんじゃないでしょうか、コメディですからね。これをマジで撮ったら、『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクになっちゃいますよ(笑)。 まあこの映画は、ジョージ・クルーニーの顔芸を愉しめるかが評価の分かれ目と言えるかもしれません。コーエン兄弟はその後に『バーン・アフター・リーディング』や『ヘイル、シーザー!』などでクルーニーの顔芸コメディをエスカレートさせるわけですが、本作のような初期のころはまだバランスがとれていたような感じですね。やたらと歯並びを気にするところがまた傑作で、やはり彼はこういう気取ったセレブのような役柄が似合っているみたいです。所々にヘンテコなキャラが登場するのはいかにもコーエン兄弟らしいのですけど、驚いたのは冒頭でサイモン&ガーファンクルの『ボクサー』を口ずさみながら爽やかに(?)登場するジェフリー・ラッシュの使い方で、いやはや、なんと豪華なムダ遣いでしょうか。まあ所々でチクチク刺さるものがありましたが、コーエン兄弟らしくないラブコメだったというのが感想です。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-05-31 21:50:15)

1679.  兵隊やくざ 大脱走 《ネタバレ》 本作まで常に部隊からの脱走を繰り返してきた有田と大宮なんですが、ソ連軍が満洲に侵攻してきたご時世となり身の安全を図るために自ら部隊に紛れ込むようになったのが面白い。まあその部隊はソ連軍に急襲されて全滅、生き残った彼らが今度は将校コスプレして通りすがりの部隊に潜り込むという展開。つまりサブタイトルに『大脱走』と銘打っているけど、本作では彼らはお得意の部隊脱走はやらかさないという新パターンで、『大脱走』とはクライマックスの保護した避難民を連れての脱出劇のことなのかと思います。 ソ連侵攻が始まっているとはいえ平常時と変わらない兵営生活を送っているところは「そんなのあり?」と違和感がありましたが、玉砕前提の捨て駒兵力として残置されているのでみな達観していると受け取ることもできるでしょう。本作では有田=田村高廣の存在感が高くなっているストーリーテリングのような気がして、偽中尉・有田の堂々たる指揮ぶりは惚れ惚れさせられました。でも “有田と大宮=勝新太郎の同性愛的な関係”というこのシリーズの裏テーマは健在で、慰問団の娘=安田道代と一夜を共にして帰ってきた大宮に嫉妬ともとれる視線を注ぐ有田の姿に象徴されていました。 そしてシリーズ前半の最大の悪役である青柳=成田三樹夫が再登場するわけですが、なんと脱走目的で憲兵から歩兵の上等兵に化けているというサプライズ。「お前らはバカか、脱走するには兵士が最適なのにわざわざ士官に化けるなんて」と嘲笑する青柳の言葉は、なるほど真理を突いていますね(笑)。この偽兵士・将校の三人組が今度はどんなバトルを見せてくれるのかと思えば意外にも最後にはすっかり善人と化してしまった青柳、拍子抜けさせられました。 本作は前半と後半ではストーリーの繋がりが悪い感じがするのが難点。どうせ成田三樹夫を再登場させるなら、もっと絡ませる脚本にしたら良かったのにねえ。[試写会(邦画)] 5点(2023-05-04 17:31:09)

1680.  悪魔のシスター 《ネタバレ》 ほとんど実績のなかった若造のデ・パルマに、彼のヒッチコック趣味全開の作品を撮らせたプロデューサーには敬意を表したくなります。なんせ音楽はバーナード・ハーマンですからねえ。ヒッチコックじゃないけど「凶器はナイフがいちばん!」という拘りの殺人シーンはかなりの生々しさです。そして『ファントム・オブ・パラダイス』の“ウィンスロー”ウィリアム・フィンレイの怪演というかその気持ち悪さ、この映画のヤバさのかなりの部分を彼が持って行ってくれました。スプリット・スクリーンの使い方もセンスの良さが感じられます。でも正直言って精神病院にヒロインが忍び込んでからのラストまでの二十分間の展開を理解するのは、自分には無理でした。特にあのラスト・シーンは、主演のジェニファー・ソルトですら「私には理解不能」とインタヴューに応えているぐらいですから。それでもヒロインが見る悪夢のシークエンスは、『ローズマリーの赤ちゃん』を思い出す不気味さ、ブニュエルの映画のワン・シーンみたいな感すらあります。 死体を隠した長椅子に血が染み出ているカットは普通は伏線のはずなのに放置されて終わったのは「なんじゃ、こりゃ?」感が拭えませんが、本当は長椅子の周りでもっとしつこく捜索するところを撮ったけど、尺の都合で切られてあのカットだけが残ったということらしいです。とすれば、かなり雑な仕事だよなあ、まあこの頃のデ・パルマにはそこまでプロデューサーに歯向かう権限はなかったでしょうけど…[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-16 22:55:56)

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