みんなのシネマレビュー |
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1721. 宇宙戦争(1953) 正直、バリバリのVFX映画の完成形であるスピルバーグ版「宇宙戦争」を観た後では、ビジュアルの弱さに気後れしてしまうことは否定できない。映画としての緊張感という点でも、一方的に宇宙人に侵略され続けるという絶対的な絶望感を感じることがなかった。 ただ、ところどころのシーンで、その後のSF映画に影響を与えていると思われる描写は多々あり、この映画の価値はそれだけで充分あったのだと思わせる。[DVD(字幕)] 6点(2005-11-02 11:40:48)《改行有》 1722. 穴/HOLES 「穴」というタイトル通り、ストーリー自体にも実際“穴ぼこ”だらけのような気もする。でも、それを「残った穴は想像で埋めて」と終幕で言い切ってしまうユーモアがこの映画の最大のウリであろう。登場人物たちも、物語も、設定も、どこかヌケている。そういうものを平然と流して、独特のユーモアに昇華させ、普遍的な爽快感を生むなんとも奇妙な映画だ。[DVD(字幕)] 6点(2005-10-24 18:08:01) 1723. バットマン(1989) コミックの映画化というジャンルにおいて、ティム・バートンはその能力を遺憾なく発揮できるタイプの映画監督であることは間違いない。そして、「バットマン」は特に彼が手掛けるにふさわしい素材であったことを確信させる。 なぜなら、「バットマン」はその世界観そのものが、ある意味“イカレ気味”であるからだ。大袈裟すぎる程に“犯罪都市”な舞台・ゴッサムシティーも、現れるいかにも狂気じみた悪者たちも、そもそも、元来普通の人間なのに、その莫大な富を行使しヒーローになってしまったバットマン自体、“尋常”ではない。 こういう、イイ意味でイカレた世界を映像化するには、それ相応の“美意識”がなければ成立しない。[DVD(字幕)] 6点(2005-09-01 05:24:48)《改行有》 1724. 猫の恩返し テーマパークかなんかのPR用ムービーの企画からスタートしたという今作。 上映時間75分という尺が物語るように、この作品は端から“深み”なんてものは目指していない。 ただ「普通」の女子高生が、ルイス・キャロルの世界よろしくふいに不思議の世界に迷い込み、サクッと不思議体験をするというシンプルなプロットをシンプルにまとめた良作だと思う。 ネットの情報の受け売りだが、「平成狸合戦ぽんぽこ」で開発された団地に、「耳すませば」の主人公月島雫が住んでいて、月島雫が生み出した物語が「猫の恩返し」だという裏設定を敷いてみると、各作品との“連なり”がとても興味深く、各作品の味わいがまた一つ深まる。 主人公に池脇千鶴、猫国の王子に山田孝之、猫王に丹波哲郎、そして、米国版吹替えには案・ハサウェイ!今となっては、極めて豪華な声優陣もポイント。[地上波(邦画)] 6点(2005-08-27 16:03:10)(良:1票) 《改行有》 1725. 深呼吸の必要 「言いたくないことは、言わなくていい」 お互いのことをほとんど知らない中での生活。それはその事実だけを見れば、現実の冷たい社会と同じことかもしれない。でも、もちろんそれは根本的に異なる。“平良家のルール”は、人と人とを隔てるためではなく、人に対する深い想いから存在することだ。だからこそ、赤の他人だったそれぞれが紛れもないひとつのファミリーへと成り得るのだ。 とてもありきたりで、シンプルなストーリーである。主人公のキャラクターの薄さなど詰めるべき部分は確かにある。しかし、あの空と海に囲まれた時間そのものに、ストーリーという概念に縛られない解放感があったと思う。[DVD(字幕)] 6点(2005-06-24 03:08:52)(良:1票) 《改行有》 1726. 踊る大捜査線番外編 湾岸署婦警物語 初夏の交通安全スペシャル<TVM> 「番外編」という雰囲気が悪い方向ににじみ出て見えて、「踊る~」ファンでありながら今まで敬遠していたのだけれど、実際見てみると十分に楽しめる内容だった。なんと言っても、内田有紀がイイ。今更ながら彼女の魅力を垣間見た気がする。あの眼差し、可愛さ、そして抜群のミニスカポリスっぷり。もうそれだけでも存分に楽しめる要因になり得る。そこに湾岸署の相変わらずの空気感が加わり娯楽性は高い。内田有紀ー渡辺えり子の“青島ー和久的関係”もドラマ性があった。番外編だからなのか、いつもよりも若干高いコメディ路線も楽しかった。あの新城管理官までどこかコメディ的だ。[DVD(字幕)] 6点(2005-06-22 19:11:45) 1727. マタンゴ 《ネタバレ》 “昭和の娯楽映画フェチ”な僕にとっては、ゾクゾクとする時代の空気感が秀逸だった。俳優たちのキザったらしい台詞まわしも聞きなれてくるとたまらなくなるものだ。“マタンゴ”という新感覚の怪物の発想と、漂流した男女の極限状態を見事に融合させた物語の骨格は素晴らしいと思う。ただ、もう少し丁寧に展開を描いてほしかった。それぞれのキャラクターに個性はあるが、その言動があまりに唐突に思える。そもそもマタンゴという生命体の性質自体が曖昧だった。ラストなんとか逃げ延びた主人公も結局はマタンゴに侵されているわけだが、「え、いつ食ったの?」という疑問が残る。しかしその顛末の描かれ方自体にはこの映画の締めとしての相応しさがあった。[DVD(字幕)] 6点(2005-06-07 15:37:35) 1728. コンスタンティン ビジュアル的にもストーリー的にも俳優的にも総じて“バランスの良い”映画だったと思う。テンポも良くてひたすらにハードボイルドを貫くキアヌのスタンスも良かった。ただしかし、やはりというか何というか、この手の映画に対する“ありきたりさ”を拭いきれなかったような気がする。また見方を変えると、かつてキアヌが主演した作品と似通った点が多すぎる。悪魔と対峙するという点ではアル・パチーノと共演した「ディアボロス」、そしてダークスーツでのアクションはやはり「マトリックス」を彷彿とさせてしまう。出来はまあ良いんだけど、随所で新鮮味が欠けるというところか。あと個人的にはとても期待していたレイチェル・ワイズの見せ場があまり無かったことが残念。[映画館(字幕)] 6点(2005-05-25 19:14:09) 1729. タイガー&ドラゴン(単発ドラマ版)<TVM> 池袋、木更津、そして今度は浅草だあー!加えて落語だあー、と地域性を殊更に意識したクドカンらしい着眼点とストーリー展開が面白い☆もはやクドカンファミリーの長男坊と言っていい長瀬智也の息の合ったはしゃぎっぷりも良い☆これくらいのものを肩をはらずにサラっと創りだしてしまうクドカンの相変わらずの絶好調ぶりに安心しつつ、公開待機の初監督作“弥次喜多”に胸が高鳴る☆☆☆[地上波(邦画)] 6点(2005-01-14 18:39:11) 1730. マッハ!!!!!!!! 昨今のアクション映画といえば、右を向いても左を向いても“ワイヤー”に引っかかる。そんな中で飛び出したトニー・ジャーのアクションは、アクション映画において、なんだか懐かしい革新であると思う。蹴る、走る、跳ぶ、そして飛ぶ。“わあ人間てこんなに動けるものなのかあ”ととても根本的な部分で驚愕する。ジャッキー・チェンの引退が近づいてきた今、彼の存在はアクション映画ファンにとって、大きな希望であろう。今後の伝説の構築に期待したい。しかし、この映画何人怪我人が出たのだろうか?(主役も捻挫してエライ腫れてましたけど……)6点(2004-11-26 11:47:11) 1731. BLOOD THE LAST VAMPIRE もともと実験的というか演習目的から生まれた作品らしいので、尺の短さからどうしてもストーリーの軽薄さは目立っているようだ。ただシーンごとのクオリティはとても高く、どろどろとした怪しい空気感の表現も見事だったと思う。小夜の動きや血飛沫の演出などが、「キル・ビル」に挿入されるアニメーションやGOGO夕張のキャラクターと被る。「キル・ビル」のアニメ制作がProduction IGなので当然だと言えば当然だが、絶対にタランティーノはこれを観たに違いない。6点(2004-11-14 16:22:49) 1732. コラテラル なにか描かれるストーリー以上のものを観客に伝える映画だったと思う。単純にストーリー展開だけを見たならば、なんだかクールというよりもあっさりし過ぎているように感じるかもしれない。しかし実際に生きている人間たちがみなそうであるように、“一夜の出来事”の終焉は決して夜明けともに来るわけではない。翌朝も、翌々朝もずっとその人間の中に残っていくものだ。それは映画の住人たちにとっても変わりなく、タクシー運転手の人生はその後も続いていくし、死んだ殺し屋の人生を一晩だけで完全に理解するのは無理だ。なんだか、上手く言えないけど、そういう彼らの“一夜の出来事”の前後の生き様を考えさせられる映画だった。そして、最後の最後まで続いた彼らの思想の対立が、心の中をぐるぐると駆け回って、苦しい。[映画館(字幕)] 6点(2004-11-01 22:36:36) 1733. 笑の大学 もちろん笑える。それは間違いない。そしてそれと同時にこの映画もとい脚本には、喜劇作家三谷幸喜のプライドと意志がダイレクトに表現されている。「笑い」とは何なのか?必要なのか?不必要なのか?自分自身がそれを描き続ける意味は何なのか?三谷幸喜が日々思い悩んだ答えが、そのままこの話であり、喜劇作家椿一のキャラクターなのだと思う。得意の“密室コメディ”の形式だったので、映画的にもっと徹底して密室のみで描くことができれば、さらに面白さは凝縮されたのではないかと思う。しかしそれでも、喜劇作家と検閲官の対話によってのみ紡ぎだされる“笑い”には見応えがあったし、映画化されることによって更に力量が問われる役柄を主演の二人は見事に表現してみせたと思う。[映画館(字幕)] 6点(2004-11-01 22:19:58) 1734. ヘルボーイ 現役俳優の中では最も「怪優」という言葉が似合いそうな俳優=ロン・パールマンを主演に起用したことも含めて、“ヘルボーイ”というマンガ魂爆発のキャラクター自体は非常に良かったと思う。そのインパクトの高いキャラクター性のおかげで全体的に飽きのこないヒーロー映画には仕上がっている。がしかし、手放しで盛り上がれる映画かと言えばそうではないというのが正直なところだ。何と言っても、ヘルボーイ以外のキャラクター(敵キャラも含めて)がイマイチ立っていないのが致命的だ。多弁な半魚人や苦悩する人体発火ヒロインなど面白味の高いキャラがせっかく周りを固めているのに、彼らの活躍はいたって地味なまま終わってしまう。それはそのまま展開の地味さにも繋がっているように感じ、結果的にストーリーの粗が最大限に目立ってしまっている。なかなか憎めないキャラ、憎めない映画だけに、惜しいと思う。6点(2004-10-10 21:55:22)(良:1票) 1735. ダークシティ 前述の評価にもあるが、「マトリックス」三部作を物語の核を電子から精神に変えて100分というコンパクトな枠にまとめ上げたという印象が残る。それをそのまま好評へとすることもできるが、悪く言えばやはり、これほどまでに奥行きのあるアイデアをこの枠で留めるには説明不足な感も拭えない(かと言って、大風呂敷を広げた「マトリックス」がストーリー的に完成していたとは言えないが…)。まあとにもかくにも、期待以上の世界観の壮大さには驚きがあったし、それを描ききった圧倒的なヴィジュアルセンスにも舌を巻くことは間違いない。[ビデオ(字幕)] 6点(2004-10-03 15:07:26) 1736. NARC ナーク 期待していたよりも、ストーリーとキャラクターの設定がありきたりだったという感は否めない。あまりにもストーレートな展開には、“隠された真相”を探る秀逸なサスペンスを期待していた者としては少々物足りなかったというのが正直なところ。しかし骨太な刑事ドラマを最初から想定していたのなら、その圧倒的な重量感には満足できたであろう。レイ・リオッタの好演者ぶりは予想できたが、驚かされたのはジェイソン・パトリックである。全米で最もセクシーな俳優として(ほんの一瞬だけ☆)騒がれ、あわよくばスターダムにのし上がろうとした瞬間に見事にその階段を踏み外し、転落していったこの俳優のこれほどまでの豹変ぶりを誰が予想しただろうか。もしかしたら、彼の俳優としての怒涛の反撃をこれから先、幾度となくあびることになるのかもしれない。[ビデオ(字幕)] 6点(2004-09-17 02:17:25) 1737. 華氏451 ジャンルはSFとなっているが、この映画世界は実に現実的な問題に溢れている。表現の自由を剥奪され、規制されたメディアに家族を求める映画の住人たち。その過剰なまでの規制ぶりには少々面食らってしまうが、一度社会の流れが変われば起こりうることであり、実際にそういう社会は存在する。主人公は危ういところで残された最後の希望の場所へと逃れるが、そのラストを横目に観客は、自らの環境に垣間見えるリアルな恐怖を痛感する。6点(2004-09-13 04:40:17)(良:1票) 1738. 10億分の1の男 「運」というまさに形のないものを表面に押し出した試みは非常に面白い。常識を逸脱したバイオレンス的な構図をベースに、同じように形のない「愛」を語るようにこの題材を展開させていくストーリーの雰囲気もヨーロッパ的で良かったと思う。ただやはり、ストーリー展開の愚鈍さに少々飽きがくることは否めない。中盤の展開をもっと小気味良くインパクトを高めることが出来ていれば、格別に良い映画に仕上がっていたと思う。映像の色合い、俳優の演技等、作品の雰囲気は目を見張るものがあっただけに、それだけが殊更に残念なところだ。6点(2004-08-04 19:04:33) 1739. 緋牡丹博徒 二代目襲名 藤純子演じる緋牡丹のお龍の任侠劇を描いた人気作第4弾。4作目になり、さすがにストーリーの鈍さは隠せないが、相変わらずのお龍節には惚れ惚れさせられる。3回目となる高倉健との絡みも手伝って独特の任侠アクション&ドラマに熱くなる。それにしても、ズッコケ役の長門裕之がサザンの桑田圭祐に見えて仕方なかった。[DVD(邦画)] 6点(2004-08-01 17:48:37) 1740. トロイ(2004) 《ネタバレ》 エンターテイメント映画としては、おそらくほとんど問題はないと思う。ただそこに史実的な男たちのドラマという要素を入れるとしたら、何だか物足りないというのは正直なところだ。登場人物たちの心情がいまひとつ描ききれていなかったように思う。どこか人物描写が希薄だから、アキレスの己の宿命に対する葛藤が単に優柔不断に見えたり、盲目的に愛を貫き通すパリスが軟弱なアホ王子に見えたりするのだと思う。「歴史に名を残す」という男たちの思いを群像的に描く上でこの人物描写の弱さは、痛いところだ。その影響が、明らかにスゴイはずの映像世界のパワーをも弱めているようで、益々残念である。 しかしながら、やはり圧倒的なビジュアルに裏づけされる娯楽性は大したもので、大スペクタクル映画としての要素は存分に備わった作品であることは確かだ。トロイの木馬、アキレスの唯一の弱点という史話的に非常に有名なエピソードをそつなく抑えたクライマックスは見事だと言える。[映画館(字幕)] 6点(2004-06-03 19:18:45)《改行有》
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