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1721. 時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 タイムリープの方法を理解した真琴が、初めて意識してそれを使ったシーン。前転ゴロゴロ。言い訳は「転んだ」。で、カラオケ10時間連続熱唱。このアホさ加減に思わず噴きました。そして同時に心を掴まれたのが分かりました。予想通り、それからはもう可笑しくて、切なくて。オッサンの自分が真琴に感情移入しまくりでした。さて物語の解釈について。いつものように勝手に想像(創造)させてもらいます。(当然の事実だったらゴメンナサイ。また誤読の場合もご容赦ください。)ハッキリしているのは、千昭が未来人だということ。そして未来は荒廃していること。彼が現代に来た理由は1枚の絵を観るためだと言う。そこで疑問。何故彼は絵の存在を知っていたのか。千昭は言っています。絵の存在が確認されているのは、「この時代、この場所、この季節だけ」だと。現時点で歴史的価値の無い絵が、これから有名になることは有り得ません。“しょうしつ”は消失ではなく焼失。彼が絵の存在を知るには、その絵を知る人(思い入れのある人)から伝え聞く以外に方法がありません。別れの場面、千昭は真琴に何故あんな注意をしたのでしょう。まるでこの先、彼女が飛び出して事故に遭うのを知っているかのような。それに何故キスをしなかったのか?ラブストーリーなら別れのキスは欠かせない。「未来で待ってる」とはどういうこと?この全ての疑問を満足させる答えは一つ。それは“千昭は真琴の血縁”。それも相当に近いはず。真琴あるいは芳山和子の子供か孫と推測します。母(祖母)の昔話で聞いた絵。それは“かつての世界の終わり”に描かれた希望の光。どうしても観たくて千昭はタイムリープしてきた。現代社会の終焉もそう遠い先の話ではないことになります。「未来で待ってる」は、「将来俺を誕生させて欲しい」ということ。そして今観られなかった絵を、未来で俺に見せてくれという意味。真琴は答えます。「すぐ行く。走って行く」と。彼女は知っている。誰よりも信じられる。未来は変えられることを。彼女はこれから起こる悲劇を、ただ待っている女の子ではありません。自分で行動するはずです。世界を変えるために。千昭との約束を守るために。“待ってられない未来がある。”そう、未来は誰もがすぐ手の届くところにある。(2008.7.19一部内容修正)[地上波(邦画)] 10点(2007-07-24 17:50:02)(良:8票) 1722. チアガール VS テキサスコップ オヤジ刑事と女子大生チアガールのジェネレーションギャップをコミカルに、かつハートウォーミングに描く。そのコンセプトに惹かれました。ただし、トミー・リー・ジョーンズが渋くてカッコ良すぎるのは難点です。小うるさくても、小汚くはない。結局その辺にいる(自分を含めた)オヤジとは根本的に違います。主人公と女子大生たちが打ち解けても、「だって、彼カッコイイもん」と思ってしまいます。(すいません単なる僻みです。)チアガールという設定はさりげなく上手い。イヤイヤお色気部分ではなく。モチそれもありますけど(笑)。何だかんだ言ってもみんなしっかりしている。“チアの精神”が彼女たちを大人にしています。オジサンとの会話が成り立っているから、言い争いも微笑ましい。事件解決にあたっても、チアガールの特技を活かしているのがニクイ。サプライズはありませんが、安心して楽しめます。 なんか無駄にカタカナ多いなあ。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-23 18:27:47)(良:1票) 1723. ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密~銭形姉妹への挑戦状 BSⅰで放送していたのは知っていたものの、一度もTV版を鑑賞することなく本作に臨みました。正直面食らいました。作風は『トリック』『富豪刑事』あたりに近いものの、それを遥かに凌ぎます。何かが。明らかに狙っていることは分かりますし、ツッコミ御無用な作品であるのも理解出来ます。でも免疫の無い人間には刺激が強すぎました。同じ女子高生刑事もの(←どんなジャンルだ)なら、個人的には『スケバン刑事』のノリの方が分かり易くて好きです。愛→舞→泪→零→雷→海とシリーズを重ねているので、13代目あたりで”はとこ”の銭形鬱の登場を予想しておきます。キメ台詞は、「憂鬱、陰鬱、躁鬱と、鬱もいろいろあるけれど、今宵はあんたをお縄にかけて、鬱憤ばらしといきましょう。その名も人呼んでケータイ刑事銭形鬱!鬱って言う字、書けるものなら書いてごらん!」で如何でしょう。[DVD(邦画)] 4点(2007-07-22 20:16:29) 1724. ランド・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ロメロソンビ正統の系譜。描かれるのはゾンビが発生してから数年後の世界。人間は相も変わらず人間でした。完全に崩壊した世界においても、旧態以前の社会を形成している様は滑稽ですらあります。街が崩壊して逃げだそうとする資本家。そんな時でも後生大事に抱えているのはマネー。もうアホかと。ライブドアの株券よりも価値は無いのに。結局人間は何も学んでいない。考えることを放棄しています。それに比べるとゾンビは立派。ちゃんと進化している。先頭をきったオッサンの利発そうなこと。次の地球の支配者は、猿でもロボットでもなく、ゾンビではないかと思わせます。いや、もう既に支配者かもしれません。人間を襲いはらわたを食らう様は、まるで肉食獣の捕食風景のよう。不思議とグロいとは感じませんでした。イヤな奴はキッチリお仕置き。主人公の仲間は全員無事という筋書きは、ある意味ホラーのお約束を破っているとも言えますが、後味は悪くありません。うん、面白かった。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-21 19:09:11) 1725. ロッキー・ホラー・ショー 《ネタバレ》 どアップの真っ赤な唇が延々と映し出されるオープニング。「SF映画二本立て~」のよく分からない歌詞。でも何故か惹きつけられる。しかもご丁寧に2番まで歌い上げてくれます。もう最初っから、センスが尋常でないことが分かります。案の定、中身もぶっ飛んでる。とは言っても、およそ意味が無いストーリー。でもそんなの関係ねぇ!(@小島義雄)。どうにも心を掴んで放さない歌と音楽、奇天烈なキャラと衣装があればいい。その世界観を味わえれば問題ないです。映画というよりはミュージックプロモ。ですから家庭のテレビで観ては驚きがありません。そんなものかと思ってしまう。やはり映画館で観た方が断然、脳に来るはずです。カルトな人気を誇るのもよく分かる。個人的にもこのセンスはかなりツボです。でも35歳になってからの初見ゆえ、インパクトはさほど大きくありません。多感な時期に本作に出合っていないことは、自分にとって幸か不幸か。んん~難しい(笑)[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-07-20 18:39:56) 1726. 頑張れ!グムスン 《ネタバレ》 開始10分足らずで、登場人物のキャラクター、一家の生活環境、結婚に至った経緯など必要な設定が漏れなく説明されます。このあたりの手際がいい。男の子に間違われる赤ちゃん=丈夫な赤ちゃん。だから夜連れまわしても大丈夫なんですよ、という論法は力技ですが一応計算されている。“夜の繁華街で赤子を背負って奮闘する若妻“という、かなり無理矢理な設定がどうにか成立しています。どんどんトラブルに巻き込まれていく主人公。この流れも悪くない。都会の暗部を見せることで、主人公の正義感を煽る。アホだからトラブルに巻き込まれた訳ではありません。ちゃんと必然性がある。ヤクザを相手にしたことで肝が据わり、結果ダンナも無事に取り返すことが出来た。大筋の脚本は悪くありません。ただしドタバタで終始してしまったのはもったいない。この設定ならば、ベタに人情アピールをしても良かった。また、本作の基本スタイルは「グムスン+赤ちゃん」。そこに魅力がある。天空平手打ちをするグムスンの背中に、赤子がいてこそ画になります。クライマックスで彼女が子供をおぶっていないのはマイナス。この場面に限らず、赤ちゃんという強力な切り札を活用する意識があまり感じられません。もっともっと”お姫様“を利用すればいい。演技が出来なくても、キャラを発揮させる方法はいくらでもあります。結果、この一家に感情移入するまでには至らず、「頑張れ!グムスン!」と声を大にして叫びたくなることはありませんでした。残念。でもドゥナ好きとしては、可愛い彼女が沢山見られて十分満足なんですけど。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-19 19:52:42) 1727. サイレントヒル 《ネタバレ》 物語開始早々、主人公はサイレントヒルに到着。実にあっけない。普通の映画なら、辿り着くまでにひと悶着ありそうなもの。サイレントヒルはゲームのフィールド。ここからが勝負だということ。手っ取り早く本題に入ります。話が早いのは観ていて楽です。ただしリスクはある。「ここから本番ですよ。」といきなり言われても戸惑ってしまいます。主人公に感情移入する暇もなければ、世界観を掴む余裕もありません。物語に厚みも出ない。そこで重要なのが“割り切ること”。原作ゲームのプレイ経験よりも、ゲーム慣れしていることが大事だと思いました。作り自体がゲーム。舞台は廃墟。雪の如く舞い落ちる灰。この世のモノとは思えぬ生き物たち。問答無用、視覚で圧倒されます。絶対にヤバイ。早く逃げたい。でもそうはいきません。娘を救い出さなくては!母の想いは一貫しています。手錠をしていようと関係ない。その覚悟の瞳に心を打たれます。さらに驚くべきは、子供と血が繋がっていないということ。その事実を知って感極まりました。母親とはそういうものなのか。もちろん主人公は、シャロンに魅入られていたという解釈が可能です。彼女がシャロンを引き取った時点から、復讐のシナリオは始まっていたと考えるほうが自然でしょう。でもどんな親も子に魅入られているようなもの。子供にとって母親が神であるなら、母にとって子は命そのもの。理屈ではなく共感できます。惜しいのは、クライマックス前に主人公が恐怖から開放されてしまうこと。事実上、彼女があの部屋に到着した時点でゲームクリア。恐怖の源である闇の力を我が身に宿してしまえば、もう怖れるものはありません。復讐の殺戮は、もうSHOWでしかない。オチには納得しました。ただ好みを言えば、もう少し希望を残して欲しかった。ゲーム原作の映画としては、破格の出来だと思います。[DVD(字幕)] 8点(2007-07-18 18:25:15)(良:2票) 1728. ヴィタール 《ネタバレ》 博史と涼子。首を絞め合い、擬似の死を味わうことで生を感じ、同時につながりを確認する。相手が分からない。自分が分からない。分かるはずなのに分からない。それは見た夢を思い出せない感覚に近いのかも。記憶を失った博史。彼が涼子の体を解剖することになったのは必然だった。彼女を知ることは、彼女を通じて自分自身を知る作業でもありました。彼女の体の隅々まで観察する彼。体の仕組みを知ることで、心までも理解する。非科学的です。でもその感覚は分からなくはない。解剖はいわば死体との会話。いやSEXに近いか。その人の全てを知り尽くす感覚はそれ以上のものがある。博史の心の中で、生を謳歌するが如く踊る彼女。生きているときよりも活き活きと。そして深く交わる2人。彼女は今まで見せたことのないような、穏やかな表情を見せます。分かり合い、今を認識することで歩き出せる。「博史はまだまだ生きなきゃならないから」という彼女の言葉が胸をつきます。それが彼の妄想だとしても、希望を感じずにはいられない。さて、本作を理解する上で避けて通れないのが、“4本の煙突”の解釈。これが難しい。一見、工場の煙突。男性シンボルの象徴か。何で4本なのか。自信のある答えはとても出ませんが、自分の解釈は次のとおりです。煙突は献体(死体)焼却の意。(↓【トナカイ】様ご指摘のとおりです)。つまり4つの煙突は4つの死を表している。指し示すのは、作中で死が確認された涼子、中井教授、涼子の母。でも一人足りない。4人目は主人公と推測します。でも彼が亡くなっていたとは思えません。彼の場合は心の死。記憶喪失も言い換えれば、それまでの自分の死と言える。死んで、そして生まれ変わる。主人公はこの経験を乗り越えて、やはり医者を目指すといいます。希望は、COCCOのエンディングテーマと相まって、より強く光を増します。[DVD(邦画)] 7点(2007-07-17 18:21:13) 1729. クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ 《ネタバレ》 クレしん映画史上おそらく最恐。世界観がお子様向けであるため、ちょっとしたホラー要素でも殊更怖いものに感じられるのでしょう。親がいつの間にか別人に入れ替わっている。幼い子供たちにとって、親は特別な存在です。生活の基盤であり心の拠所。ニセモノと疑いつつも、お母さんが好きだという風間くんの気持ちは切ないですね。普段は意識しない家族のつながりの大切さをクレしん映画はいつも教えてくれます。前半のホラー部分は上々。事態収拾に向けての流れも悪くない。ただ、「尺稼ぎでは?」と思われるような描写が散見されたのが惜しい。また、逃げ惑うこんにゃく人間たちを、子供たちが一方的に消去していく描写は、見ていて気持ちが良いものではありません。殺戮に見えてしまう。シューティングゲーム的爽快感を狙ったのかもしれませんが、的外れ。反撃してこない敵を倒したところで面白くありませんし。長州小力は完全にだだスベリ。素直にゲストは鈴木亜美でよかったんじゃないかと。ボスと女エイジェントとのサンバ対決は、相当シュール。でもこんなのも嫌いじゃありません。ボニーピンク風、受け口ヒロインの健康的なエロさに+1点。[DVD(邦画)] 7点(2007-07-16 19:44:50)(良:1票) 1730. ハサミ男 《ネタバレ》 原作既読。とは言いつつも、随分前に読んだので細かい部分はすっかり忘れていました。ですから物語自体は新鮮に楽しめました。ただし、本作の目玉である“仕掛け”については忘れるはずがない。どう表現するのかと案じていると、冒頭から麻生とトヨエツの並び立つ姿が。「なるほど、そう来たか!」という感じ。でも考えてみれば、この方法以外無かったとも言える。あとはいかに観客に対してフェアに(嘘をつかずに)、かつ無理なく物語を進めていくかを注視することになります。この点については十分満足。ヒントも小まめに出ていましたし、致命的に不自然な描写は見受けられませんでした。繊細な気配りが感じられました。麻生久美子もこういう役にはうってつけ。トヨエツもいい感じ。キャストについて不満はありません。画の質感も好き。ただしBGMは趣味じゃない。それにネタバレ以降の展開がまどろっこしい。主人公のパーソナリティについて、カタをつけないといけないのは分かります。でも言い訳がましい。個人的には、父親の代わりに殺した娘の人格と今後はやっていくというのが面白いと思いました。[DVD(邦画)] 6点(2007-07-15 18:41:32)(良:1票) 1731. 武士の一分 《ネタバレ》 個人的に危惧していた木村拓哉の演技は悪くなかった。殺陣もいい。壇れいの清楚な雰囲気も素晴らしい。総じて悪い部分は見当たりません。結末もハッピーエンドだし良かった良かった。ただ、前2作に比べると圧倒的に厚みが足りない気がする。それは心情が1色で表現されているから。例えば木村。根底にあるのは妻、坂東、そして己に対する憤り。渦巻く感情のせめぎあい、葛藤が感じられません。壇れいにしても、感じられるのは後悔の念ばかり。その結果、本作の見所は木村と坂東の果し合いに絞られています。むしろ決闘に行くまでの心情の描写がメインであった、前2作との大きな違いです。木村は最初から死を覚悟している。いや正確には、視力を失った時点で“武士として”既に死んでいる。一分は、彼に残された矜持。勝ち負け(生死)はもはや関係ない。立ち会うこと自体に意味がある。当時の倫理観をもってすれば、それは当然のことでしょう。彼の選択がオカシイとは思いません。ただし、山田監督が描いてきた時代劇は、そういうものではなかったはず。主人公に義務付けられていたのは、生きること。生きなくてはならないから、切ない。そこに観客は自身を重ねて、共感してきたのだと思います。本作にある共感は、いわば可哀想レベル。そこから更に踏み込んだ部分に価値がある。作品の出来は標準以上だとは思いますが、自分にはキレイすぎました。[DVD(邦画)] 6点(2007-07-14 18:13:27)(良:1票) 1732. スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ 《ネタバレ》 石川梨華が松浦に言い放った「お前の全存在がウゼえんだよ!」。斉藤由貴の娘である松浦が言う「親子どんぶり」。この2つの台詞があるだけでも、本作には価値がある。脚本家の執念(悪ふざけとも言う)を感じずにはいられません。さて内容について。正直、思っていたよりは全然悪くなかったです。真面目なつくりに好感が持てました。アイドル松浦のセーラー服姿は良かったですし(ブレザー制服の学院に無理矢理セーラー服。そのこだわりに脱帽。)、アクションも頑張っていたと思います。今の時代に「スケバン」は流石に厳しいと思いましたが、なかなかどうして。アイテムがヨーヨーである必然性は皆無ですが、「それがスケバン刑事だから」で納得させられてしまう。結末がショボイのもこの際関係ないです。次回作があるなら、加護亜依・若槻千夏・あびる優の風間3姉妹を希望。武器はそれぞれ、タバコ・ハズレ馬券・ダンボール箱でどうですか。[DVD(邦画)] 6点(2007-07-13 20:07:42)(笑:2票) 1733. ソウ3 《ネタバレ》 (本作及び前2作のネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。)アマンダには理念が無かった。“何かを犠牲にすることで命は助かる“というゲームの大原則を、前作から彼女は無視しています。彼女が設定するのは、脱出要件が存在しない仕掛け。言い方は変ですが程度が悪い。そこでジグソウはゲームを使って彼女に問うた。後継者としての資質を。「憎い相手でもルールはきちんと守りなさい。ゲームに勝ったならば、助けてあげなさい。」ここで大切なのは、”命のありがたみを知る“から”憎い相手を赦す“にゲームの勝利条件が移行していること。そこにジグソウの心の変化が見える。末期の癌患者である彼が、最初に意識したのが命の大切さ。いよいよ死期が迫ってきたことで、今度は赦しを求めたのではないか。何者かから(広義の)罪を、あるいは死への恐怖を、赦してもらいたい。死を目前にした人間の心理。”何者か“は一般的には神でしょう。しかしジグソウが赦しを乞うた相手は、ゲームのプレイヤーだった。彼らしい。ですからジグソウ自身も本作ではプレイヤー。“赦してもらうこと”が目的。真のゲームの主人公は、ジェフでも、女医でも、アマンダでもなく、ジグソウ自身。ここで忘れてならないのは、彼自身のゲーム開始要件が“アマンダがゲームに敗れる(女医を射殺する)”であること。彼女の性格を知り尽くしているジグソウならではの悪魔のゲームプラン。更に念入りにも彼は、ジェフを挑発している。挑発しなければ、おそらく首を切られずに済んだ。しかし憎んでもらわなくては、赦してもらうことも出来ません。もっとも、今までジグソウがしてきた行為を考えれば、彼が赦される道理がない。それを一番分かっていたのは、実は彼自身だった気がする。だから“あえて”挑発したのではないか。ところで監禁されていた子供は本当に死ぬでしょうか。赦しを乞う人間が罪のない子供の命まで奪うとは思えない。また前作でも人質の子供は、プレイヤーの選択とは無関係に開放されています。子供は助かると考えていいと思う。子供を殺してもジェフには恨みしか残りません。ジグソウは、“赦しの必要性”を最後の最後まで訴えたのではないか。ただし、ジェフが理不尽に妻を失った事実は変わらない。ここまでくると、ジグソウの行為は滑稽にしか見えません。そして虚しさだけが残る。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-12 19:01:57)(良:1票) 1734. ジョニー・イングリッシュ 《ネタバレ》 イギリス名物といえば、『ビッグ・ベン』『クリケット』『レインコート』『マズいめし』。あと『ロビンマスク』に『英国ちょうちん』『英吉利に行ってきました饅頭』。学のない自分には、こんなところしか思い浮かびません。そうそう大事なのを忘れていました。『007』。スパイを忘れちゃいけません。本作はその本場のスパイコメディ。Mr.ビーンでお馴染のローワン・アトキンソンが、お間抜けエージェントを演じています。やはり女王陛下のいる国。下品だけれど、どことなく品がある。ケツ丸出しでもイヤらしくない。まるで沢尻エリカみたい。ただし、品がありすぎて物足りないです。ご指摘の方もおられるように「キミノムスメサンタチニ、チイサイチンチンガツイテイマスヨウニ」は紛れも無い名台詞。誰なのでしょう、こんな日本語を教えたのは?その人には10点差し上げたい。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-11 18:52:03) 1735. DEATH NOTE デスノート the Last name 《ネタバレ》 前編に当たる部分の原作は既読ですが、本作の原作部分は未読。そういう立場での感想です。映画版デスノートが大方の原作ファンに受け入れられた理由。それはほぼ忠実に世界観を再現出来ているからだと思いました。マンガ原作の特性。それは観客が視覚情報を共有していること。月やLの容姿はみんなが知っている。だからキャスティングが重要です。イメージとかけ離れていては、誰も受け付けてくれません。超がつく原作の美形キャラに、誰をキャスティングするか。その部分を外さなかったことが、本作最大の勝因だった気がします。『NANA』の中島美嘉なんかもそう。あとは支持されている原作の流れに沿えばいい。ファンは概ね好意的に受け取ってくれる。原作に対する好意が、そのまま映画の評価についてもプラスに作用した。そのように感じました。では、そういうアドバンテージを外すとどうか。Lの捨て身の賭けには唸りましたが、それ以外はピンとこないというのが正直なところ。月は極めて論理的、合理的に思考するキャラ。そして狡猾で慎重なはず。その彼が切り札(デスノート)を手放す危険を冒すとは思えない。騒動のための騒動に見えてしまいます。そう思えるのは、キャラクターの描き込みが不足しているからとも言える。彼の“心のかたち”が見えれば、納得できる展開なのでしょう。世界観、すなわち上辺はキレイに繕ったが、中身には手をつけなかった。そんな印象です。原作の知識で足りない部分を補完できる人には満足出来ても、そうでない人には厳しいと感じました。ところで月は、デスノートに「夜神総一郎は、身近にいる甘党を銃殺したあとに自殺した」と書けばいいと思ったんですが、それってダメ?[DVD(邦画)] 5点(2007-07-10 18:33:39) 1736. ビッグ・リバー ビッグリバーは、グランドキャニオン。形作るまでに要した膨大な月日を思い遣ると、意識は現実から遠のいていくよう。雄大な大河の流れと対比するように描かれる小さな小さな人の生。川の支線が交わるように、3人の人生は交差した。旅は各人にとってひとつの契機だった。無類のロードムービー好き(©『マネーの虎』吉田栄作)の自分としては、嫌いな作品ではありません。ただあまりにも淡白すぎました。また作品へ望む姿勢も良くなかった。ビックリバー→びっくり・バー→サプライズ・棒と深読みして、「キーアイテムは、何か棒のようなものにちがいない!」と決め付けていたところ、全くそれらしき棒は出ずじまい。無理矢理、棒的なものを探そうとすれば、下品なイマジネーションしか湧いてこない始末。こんな紛らわしいタイトルを付けた監督が悪いのか、はたまた自分が悪いのか。もちろん100%後者でございます。せっかく作品登録していただいたのに、こんなアホコメントとは。本当にすみません(反省)[CS・衛星(邦画)] 5点(2007-07-09 18:26:03)(笑:1票) 1737. ビーン お馴染のビーンが巻き起こす大騒動。彼の振る舞いは、TV版と何ら遜色がないように感じます。しかし印象は大分違います。ひとつはシチュエーションの違いでしょうか。TVの場合、視聴者は傍観者です。自分とは関係ないから深刻さがない。でも本作では学芸員という、観客自身を投影させるキャラがいます。そのため、笑いよりも居た堪れない気持ちが勝ってしまう。各エピソードの深刻さ(被害の大きさ)も、そのことに拍車をかけます。もうひとつは、ビーンのキャラ付けの問題。本作のビーンからは悪意(イタズラ心)があまり感じられません。どのエピソードもアクシデントと言っていい。毒がないから物足りない。確かにタイトルには、Mr.の冠はありません。すなわち、本作のビーンは“大人ではないよ”という意味。“子供のような大人”と“大きな子供”の違いは大きいと感じました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2007-07-08 17:43:28) 1738. ハイテンション 《ネタバレ》 「こういうホラーが観たかった!」と声を大にして叫びたいくらい面白かった。叫びながら逃げ惑ったり、安易に敵にアドバンテージを与える展開のホラーに辟易していただけに、ガッチリハートを掴まれました。ほんと面白い。男を仕留める瞬間は爽快感すら感じました。それだけにあのオチには腹が立つ。全てが茶番と化してしまいます。整合性も取れているとは言いがたい。でもタネ明かし手前まではホントに楽しめたので、結果的にはアリということで。満足満足。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-07 19:26:32)(良:1票) 1739. フォー・ルームス 《ネタバレ》 絶対無いだろうけど、もしあったら面白そうな(現実離れしすぎていない)シチュエーションがいい。主人公の性格も実にいい加減で笑いを誘います。毒気は強く、かなりお下品ですが、個人的には嫌いじゃない。オッパイが見られればOKの1話目と、オチが全ての4話目は別にしても、『間違えられた男』と『かわいい無法者』は膨らませても面白そうだなと思いました。なお、4話が微妙に繋がっていても、物語として大胆に絡んでこないのはもったいない。単発での満足感は、たかが知れています。散発のジャブよりもコンビネーションブローの方が遥かに効きます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2007-07-06 18:33:10) 1740. 助太刀屋助六 こういう人情もの大好きです。結末も気が利いている。お話だけで言えば、9点、10点付けたいくらい好み。でももうひとつ乗り切れませんでした。ケレン味の強い芝居、演出に違和感を覚えました。鈴木京香の言い回し、真田広之のオーバーアクション、小林桂樹の芝居。どれも居心地がわるい。テンションが自分と合わない舞台を観ているような感覚。落語のイマジネーションをそのまま映像化すると、こんな感じでしょうか。慣れればきっと、悪くないでしょう。[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-07-05 18:10:46)
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