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1841. ザ・グリード 《ネタバレ》 因果応報、勧善懲悪の原則がキッチリ守られているお約束どおりの展開が心地よいです。ラスト、たどり着いた孤島での続編も観てみたいです。[地上波(吹替)] 5点(2008-01-20 20:04:26)(良:1票) 1842. 監督・ばんざい! 前作『TAKESHIS’』が今までの監督人生の集大成とするなら、本作は人間、北野武の原点回帰。氏の本質、アイデンティティは、“芸人ビートたけし”なのだと思います。爆発オチなんかお笑いウルトラクイズと同じ。世界的な映画監督、大御所タレント、文化人、コメンテーター。どんな呼ばれ方をしようとも、結局オイラはおいら。ペンキ屋の小倅がたまたま芸人として売れただけ。大した才能なんか持ち合わせちゃいねえよ。そんな心の声が聴こえるよう。ただ、それなら『みんな~やってるか!2』でも良かった。あえて小津作品やALWAYSを揶揄するようなパロディにしたのは、映画関係者及びファンから非難されたいが為ではないかと。巨匠扱いは御免。もう一度、お笑い芸人タケちゃんの軽いスタンスで映画を撮りたい。その前フリとして、世間が持っている監督イメージの破壊を狙ったものと想像します。だからツマラなくて正解。コケて本望な気がする。『監督ばんざい』は、もうお手上げということ。そう考えると、たけし“らしい”と思います。爆発炎上でさら地となった大地に、今度はどんな花を咲かせてくれるのか。今から楽しみです。[DVD(邦画)] 5点(2008-01-17 19:40:41)(良:2票) 1843. インビジブル(2000) 《ネタバレ》 透明と可視を行き来する肉体。今となっては、さほど驚くようなCGではありませんが、それでも骨格、筋肉、臓器や血管等が浮き出たり消えたりする過程は見応えがありました。ただ、感心するのはココくらい。物語の方はさっぱりでした。心が狂気に支配されていく様が分かり難くい。透明であることの長所短所を活かす展開も少なくて残念。専ら殺人に向けられる透明スキル。確かに暗殺にはもってこいです。でも居ると分かっていたら、効果は半減。多少凶暴性や筋力がアップしていたところで、元はあの生っ白いお尻。スーパーマンには程遠いような。殺人鬼たるには、透明+天才的な頭脳があってこそかと。だけど全然知的じゃない。研究員皆殺し計画。全員のパスワードを使えなくするところまではいい。でも何で“温度感知メガネ”を壊さなかったのか不思議。あのメガネはケビンを裸の王様に変えるキラーアイテム。最重要品です。にもかかわらず、誰も気にかけないなんて。みんな頭いいのに。ノープランのケビンにいいように殺られていく研究員たちは情けないです。と言うより、みんな真剣に戦う気があるのか疑いたくなる。ケビンが火ダルマにされたシーン。ちゃんと元カノを避けて転げまわる彼が、何だかいい人に思えてきちゃう。[DVD(字幕)] 5点(2008-01-10 18:08:56) 1844. アルゼンチンババア 《ネタバレ》 (1番投稿失礼いたします。なお本文には妄想エロ表現が多数含まれていること、並びに初球から暴投みたいな投稿でありますことをお許しください。) 役所を虜にしたアルゼンチンババアの魅力とは何でしょう。彼女の優しさが、憔悴していた役所の心を癒したのは、想像に難くない。でもポイントは其処ではありません。彼に生きる力を与えたもの。それはアルゼンチンババアの女としての魅力だと感じました。もっとも外見に囚われると分かり難い。ボサボサの白髪。悪臭漂う住まいと身なり。年齢も相当イッている。普通なら性の対象にはなりません。しかし中身はどうか。アルゼンチンタンゴの情熱ほとばしる“モテポヨ”ボディ。真っ赤なルージュ。そして何より顔は鈴木京香ですもん。一度抱いてしまうと脳がとろけちゃう。「クサキモチイイ」禁断の熟れた果実です。浮世の辛さを忘れるのには、肉欲に溺れるのが手っ取り早い。相当の床上手と推測します。家族の再生が表テーマとするなら、裏テーマは“生と性”。直接的な表現はほとんどありませんが、間接的なエロ表現が多い。例えば、竹輪を食べる従兄弟、魚肉ソーセージを頬張る役所。長さといい、食感といい、自分にはアレの比喩表現としか思えない。つまり、その、あれですよ。「パックンチョしてもらった」ということ。京香は妊娠していましたし、堀北の二日酔いの嘔吐もツワリを連想させます。前フリは、従兄弟の卑猥な言葉に戸惑う(というより、自分の気持ちに気付いたような)堀北のアップ。彼女はもう「おぼこ」じゃないと睨みました(笑)。堀北は子供ではなく女。だから全てを許して、父や新しい母を受け入れたのかなと。死に行く命もあれば、生まれてくる命もある。その事をダイレクトに表した希望のラスト。ただ、随分とお気楽な着地点だとも思います。普通に考えて、役所のやっていることはメチャクチャですし。そんなに人生簡単なら、役所も逃げたりしないと思う。最後に堀北へ忠告。プロの料理人を目指すなら、台所にネコを入れるのは止めてね。[DVD(邦画)] 5点(2008-01-07 18:20:16)(笑:1票) 1845. ワイルド・スピード ストーリーは二の次三の次で、スピード感溢れるカーアクションをお楽しみくださいという趣向の作品。序盤の主人公VSディーゼルのレースは見応えがありました。歪む視界が心地よい。ただその他のカーアクションは、いたって普通。カーアクションを売りにしていない映画でもお目にかかれるレベルと感じました。[インターネット(字幕)] 5点(2008-01-05 18:23:02) 1846. DOA/デッド・オア・アライブ(2006) 原作ゲームは未プレイですが、“パイの揺れが好評だった対戦格闘モノ”であることくらいは知っていました。だからてっきりFカップ以上のボインちゃん祭りかと思いきや、これがなんとも控えめな。もっとも個人的には小さめが好みなのでむしろ大歓迎。ただ、デボン青木の顔はスキじゃない。肉体的にも忍者には見えない華奢っぷり。もうちょっと適任者はいなかったものかと。本作についてはストーリーについて言及する必要なし。ワイヤーバリバリのマーシャルアーツ系格闘アクションをぼんやり眺めていればいいのだと思います。気負いなく観られるのがイイ。正月に観るのには丁度良かったです。[DVD(字幕)] 5点(2008-01-02 19:01:56) 1847. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月 《ネタバレ》 マークとブリジットの愛の強さが明確なので、2人を襲うピンチがショボく見えてしまうのが難点。それに、ほとんどブリジットのひとり相撲。また“異国での投獄”というシチュエーションはかなり強引に感じました。観客と等身大のヒロイン像が魅力の作品。身近なエピソードの方が笑い易くていいかも。ところで、ブリジットの体重増について。前作は“ぽっちゃり”レベルでしたが、本作ではしっかりおデブの領域。「ありのままの君が好き」という言葉を鵜呑みにした結果です。ここで問題。マークは彼女の巨大化をどう考えているのか?①ルックスは全く気にならないね。彼女の内面に惚れたんだ。②むしろ大歓迎。デブ専ですから。③ストライクゾーンから少し外れたけど、まあOKでしょう。①か②ならノープロブレムです。本当にイイ人を見つけたと思う。もし③のケースだったら要注意。普通の男が口にする「ありのままの君が好き」とか「飾らない君でいて」系の口触りの良い台詞は、寝言かウソか勘違い。本気にすると痛い目に合う可能性大です。そこは見極めないといけない。親子の愛と男女の愛は別物。無償の愛は尊いけれど、努力を伴う愛には価値がある。彼女がその事を理解していると感じられたら、ハッピーエンドに素直に喜べたと思います。[DVD(字幕)] 5点(2007-12-28 18:57:24)(良:2票) 1848. フリージア 《ネタバレ》 「敵討ち法」に惹かれて鑑賞することに。犯罪被害者が加害者に合法的に復讐することが認められている社会。それも一方的な制裁ではなく反撃(返り討ち)もアリだという。まさに江戸時代の仇討ちが現代に蘇ったという設定。被害者、加害者、助太刀、その仇討ちに関わる全ての人のドロドロ、葛藤などが見られるものと期待しました。ところが本作の焦点はそこにはなかった。冒頭のエピソード“フェンリル計画”の被害者である2人。心を凍てつかせてしまった2人が、感情を取り戻していく物語。フリーズ爆弾でフリーズしてしまった心。だからフリージアなのかな?いずれにしても、敵討ち法はあんまり関係なかった。これにはガックリ。“心が無い殺人者”という設定なら、ただの殺し屋で構わない。実際、メインのVS西島については合法ではありません。せっかく面白い設定なのだから、活かさないと。どのキャストの感情も分かりづらく、感情移入しそびれました。それなりにスタイリッシュ。でも自分の心を捉える「何か」はありませんでした。[DVD(邦画)] 5点(2007-12-13 18:18:10) 1849. ゲド戦記 《ネタバレ》 『宮崎アニメ』と『ジブリのアニメ』は全く別物。ファンはその事を十分認識しています。だけど…混乱してしまう。デザインは、紛れもなく宮崎駿のキャラだから。それに名前も。どこかで『ナウシカ』や『ラピュタ』と比較してしまう自分がいる。酷だと思います。でも仕方が無いとも思います。父と子が同じ土俵で勝負する以上、避けられない宿命です。監督自身が誰よりも承知しているはず。主人公の“父殺し”を、宮崎親子の関係とダブらせずにはいられません。そこで疑問。何故監督は父と同じキャラクターデザインを使ったのか?もし自分が監督と同じ立場だったら、絶対にオリジナルデザインで勝負したと思う。例えば漫☆画太郎氏のキャラだったら。同一次元での比較を避け、容易に自分の色を出すことができたでしょう。(勿論別の猛烈な批判はありましょうが。)でも監督はそれをしませんでした。というより許されなかったのだと思う。さらに原作の問題。『ゲド戦記』はファンタジー界のビックネーム。これが危うい。タイトルの響きだけで先入観を持ってしまう。壮大なスケールの物語を期待すると肩透かしを食らいます。柔らかなタイトルの字体。“スペクタクルではありませんよ”というヒントは出ていました。もっとも、それに気付けというのは無理な話ですが…。監督は、最も厳しい道程を選んだと思います。しがらみも多かったでしょう。その心情は察するに余りあります。ただ、それと評価は分けないといけない。何者とも比べず、予断を入れず、ただ一作品として評価すること。敬意を払って感想を述べます。本作は少年の心の成長物語。ハイタカやテルーとの出会いが、主人公を変えるという図式です。しかし物足りない。それは苦労がないから。ピンチはハイタカが助けてくれる。大切な事はテルーが教えてくれる。主人公は自ら動いていません。与えられて得たモノの高は知れている。悪い魔法使いが死に行くクライマックス。この作画が非常に悪い。醜いです。このシーンだけで作品のクオリティを著しく下げています。終わってみればごく普通のアニメ映画。それ以上でも以下でもないと感じました。“宮崎アニメの本物”は、宮崎駿監督にしか作れない。宮崎吾朗監督には、“宮崎吾朗アニメの本物”を目指してもらいたいです。[DVD(邦画)] 5点(2007-12-11 18:18:07)(良:1票) 1850. ミッドナイトイーグル 《ネタバレ》 (すいません。大いにネタバレありですので、未見の皆様はご注意ください。) 雪山に挑む大沢と玉木。彼らが命を賭す理由が見えません。謎の集団に狙撃され、雪崩で荷物を失い、それでも目的地を目指すという。雪山での“勇気”が何かを、彼らはよく知っているはずです。玉木の「逃げたくない」では動機不十分。増援ヘリの出動も意味が分からない。吉田と大森の友達トークなど聞きたくない。トマホーク着弾までのおよそ10分間、核爆弾をテロリストから死守することがどれほど困難か。そんなときに呑気にカメラを拭いている大沢に呆れる。どれもほんの少しのフォローがあれば納得出来ました。吉田から2人に事情を説明して助力を請えばいい。ヘリは状況説明のために一機落す。大沢は銃が持てない程負傷すれば問題ない。難しい仕掛けは要りません。気遣いが欲しいのです。それが娯楽作品でのリアリティだと思います。他にも気になる点がある。キーパーソンは大沢の無線を受け取った濱田岳くん。民間人である大沢に最終手段を提案されるほど、当局は不甲斐無い。なら岳くんだって後半活躍できたはず。せっかくの良キャラを活かさないのは勿体無いです。大沢と竹内の関係性も希薄。重要な2人のドラマが迫って来ない。竹内の最後の台詞「許さない」が、単に冷たい言葉に聞こえてしまっては意味がない。大切なのは構想だと思います。一人のキャラ、一つの台詞を活かすためにどうするか。そのための尺はたっぷりとある。その場しのぎでは、どんな魅力的な人物も、深い言葉も、輝かないと思います。[映画館(邦画)] 5点(2007-12-03 18:10:34)(良:3票) 1851. unknown アンノウン(2006) 《ネタバレ》 ただ脱出が目的ならば、最初から電話で警察に助けを請えばいい。それが出来ないのは、物理的な環境によるものではなく、心理的に抑制されているから。誰の心の中にも、自分が誘拐犯かもしれないという疑念がある。だから逃げることに徹しきれない。この設定は上手いと思いました。ただその反面、誰が犯人か推理することを放棄せざるを得ないのがツライ。誰でもいい、明らかに“シロ”の人間を設定し、彼を探偵役にしても良かったのではないかと。(もちろん結果彼がクロでも構いません。)“記憶の回復“に謎解きをお任せしてしまったのはもったいない。主役(観客の感情移入先)はジャケットを着た男。彼が潜入捜査官だったというオチでは弱いので、実は悪人だったというサプライズはアリだと思います。でも伏線が無いので取って付けたような印象。これまた惜しい。雰囲気○、着想○なのですが、そこから先の展開にアイデアが欲しかったです。[DVD(字幕)] 5点(2007-12-01 20:23:01) 1852. スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい 《ネタバレ》 序盤は人間関係を整理するのに必死。というかイマイチ把握できませんでした。元マジシャンのマフィアもどきの首(心臓)に莫大な懸賞金が賭けられた。その大金を狙って暗殺者が大挙して高級ホテルに集まった。自分に理解できたのはこの程度。それでもホテル内部のバトルロイヤルは緊張感があり楽しめました。暗殺者達のキャラクターも上手く描けていたと思います。変身マスク男、指紋の無い男、女2人組、ヤンキー兄弟。中でもプロにあるまじき心の弱さをみせた女ペアと、死体を使って言い訳をする自動車泥棒兄弟のキレっぷりに人間味を感じました。ただ、どんでん返しについては前述のとおり、人間関係を整理していないため驚きに繋がらず。ラストの刑事の選択にも心を動かされませんでした。自分にとっては「アナーキーなドンパチの映画」どまり。[DVD(字幕)] 5点(2007-11-25 17:26:51)(良:1票) 1853. dot the i ドット・ジ・アイ 《ネタバレ》 序盤から頻繁に挿入されるビデオ撮影画像。隠し撮りをしているのは明らかです。問題は誰が何の目的で撮影しているのかということ。主要キャストの中に犯人がいるのはお約束。少ない登場人物、撮影アングル等から、“誰が”を言い当てるのはそう難しくありません。必然的にサプライズの成否は“目的”に懸かってくる。果たして事の真相には驚きました。でも心地よい驚きではありません。あるのは不快感と怒り。何だ、みんなダメ人間ばかりだったのかと。金に目がくらんだキットは情けない。まんまと罠にはまったカルメンは馬鹿です。でもクズよりは100万倍マシ。あの坊ちゃん監督は刺されるなと直感しました。ですから結末に驚きはありません。当然の流れだと思う。もし大オチを重視するなら、監督を殺したらダメだったと思います。本作で描いているのは、人間の愚かな部分、汚い部分。復讐する気概があるだけ、主役2人はまともです。いっそ金に目がくらんで魂を売り渡してしまう流れのほうが、人間の暗部を描くという意味で徹底していたと思います。スポットライトを浴びる主演女優カルメン。最悪の結末だと思う。多分平均点で2点は下がるでしょう。でも本作にはバッドエンドが似合うと思いました。[DVD(字幕)] 5点(2007-11-23 18:46:18) 1854. 雲のむこう、約束の場所 「平行宇宙」だとか、「神様のみる夢」だとか難しい単語は詳しく理解しなくてもOK。塔と彼女の因果関係、約束の場所が2人の青年と少女にとってどんな意味を持つのかを押さえておけば問題ないと思います。美術は相変わらず素晴らしいし、作画のクオリティは前作『ほしのこえ』より向上しています。出来としては決して悪くないと思いました。ただ、映画として好きかと問われると厳しい。気になる表現が多々ありました。吉岡秀隆の声が辛気臭い。どこかで聞いたような単語と台詞の羅列。壮大なスケールを小さな物語に閉じ込めたのはいいけど、奥行きが感じられない等々。自分の心のヒットポイントとズレていました。要するにノれないということ。俗っぽいのは好き。ベタは大歓迎なのですが、監督が得意とするセンチメンタリズムが肌に合わないみたいです。顔が大きめの少女のデザインなんか「萌え」ポイントだと思うのですが、全然心に響かない。(というか「萌え」文化が好きになれない。)自分にとっては、ストーリー以上に、作品の受け取り方が難しい作品でした。[DVD(邦画)] 5点(2007-11-08 18:33:40)(良:1票) 1855. ほしのこえ 起承転結を有する物語というよりは、言葉(単語)とイメージ映像で世界を紡いでいる印象。いわば詩のような。内なる心の世界の具現化。究極の遠距離恋愛で描かれるセンチメンタリズム。その切ない世界観に共感できた人にとっては、この上なく甘美な作品だろうと推測します。一編の詩に心を奪われるのと同じ。ただしその反面、間口は狭いと思います。国民的ベストセラーになる詩集があまり無いように、ポエムというジャンル自体が市民権を得ているとは言いがたい。かくいう自分も正直苦手です。そういう意味で、そもそも一般受けし難い作品なのだと思います。“アニメーション”として評価した場合、その背景美術の美しさは特筆するに値します。文句なくすばらしい。ただ、キャラクター造形は×。単純に作画力が足りていません。技術があるのか無いのかよく分からない。最大の難点はオリジナリティが感じられないこと。何処かで見たような景色で、人を感動させるのは難しいと思います。ただ、光る要素は確かに感じます。次回作に期待したいです。[DVD(邦画)] 5点(2007-10-31 18:26:03)(良:1票) 1856. 陽気なギャングが地球を回す デフォルメの効いた演出に、オシャレのスパイスを振りかけて。この試みは面白いと思います。ただノリが上滑りしているような。佐藤曰く、「銀行強盗はロマン溢れるもの」。綿密な計画と大胆な行動の上に成り立つ芸術作品。佐藤の演説は時間稼ぎの手段。派手な服装は人相を分かり難くするため(その割に私服も派手だけど)。それぞれに意味があります。芸術性も感じられる。でも、ドキドキもワクワクもしません。つまりロマンが無いということ。それは緊張感が欠如しているから。軽いノリはOK。でも緊張感まで無くしたら元も子もありません。この部分の手抜かりが作品の質を下げていると感じます。キャスティグはまずまず。佐藤浩市や鈴木京香のような大人の役者を配したのは正解。更なるビックネームもこのお遊びに付き合ってくれたら、もっとオシャレだったと思います。方向性はアリ。でもデコレーションに凝る前に、まずやるべきことがあると思いました。[DVD(邦画)] 5点(2007-10-26 19:00:12)(良:1票) 1857. 悪魔の沼 《ネタバレ》 序盤、宿屋の主人が女を鉤で刺し殺したシーン。あれは生々しかった。ただ、ここがマックス。後は緩やかな下降線でテンションが落ちていきました。大鎌のビジュアルは良いのですが、リアリティには欠ける。しかも男が使いこなせておらず、こけおどしに見えたのはツライ。もう一つの目玉、クロコダイルも本能的に恐怖を抱く対象じゃない。不意打ちでしか人を殺せない宿屋の主人は、殺人鬼として疑問符が付きます。なごみ系レトロなB級ホラーとして楽しむが吉。怖くは無いです。[DVD(字幕)] 5点(2007-10-21 17:11:51) 1858. ピッチブラック 《ネタバレ》 難点は、リディックが悪人に見えないこと。いくら賞金稼ぎが「彼は危険だ」と叫んでも、そのほかの乗客たち(観客)が目にするのは、脱出のために働く頼れる男の姿。伝え聞いた話と実際に目にした事実とでは、どちらが重いかは明らかです。おまけに子供はなつく始末。彼の本性が悪人でないことは、早々にバレてしまいます。これが大問題。後半の脱出劇で“前門の虎後門の狼”という危機的状況が作れていません。クライマックス、彼が残された仲間を助けに行く感動ポイントも予想通りだから驚きがない。彼が最後に言う「リディックは死んだ」という台詞は、「死んだことにして刑を逃れたい」という気持ちと、「悪人から生まれ変わった」という2つの意味が含まれています。皆既日食を抜けて進む宇宙船。差し込む光は、彼の心の中の光なのでしょう。でも、最初から悪人じゃないから、感動に結びつかない。つまり“凶悪犯リディック”という肝心の設定が活かされていないことが、諸々の不具合の根元です。物語が動かない前半のうちに、とことん彼の凶悪犯キャラを肉付けしておく必要があったと思います。ただ本作はSFアクション。そこで楽しめれば問題ありません。暗闇の中でのVSエイリアンのサバイバル戦は見応えあり。銃器に頼らないところも良かった。ただ、最後のたたみ掛けが今ひとつで残念。[DVD(字幕)] 5点(2007-10-20 18:48:51) 1859. リバーワールド(TVM) 《ネタバレ》 “川から這い上がってくる大量の裸の男女”。DVD表パッケージのインパクトに惹かれて鑑賞することに。お目当てのシーンはいきなりやってきました。巨大な川から這い上がってくる人、人、人。皆一様に裸です。どうやら皆死んだ人間のよう。しかもスペースシャトルのパイロットもいれば、古代ローマ人もいる。ネアンデルタール人まで。性別も人種も生きていた時代もバラバラです。しかも死んだ時点の年齢ではなく、みな20~40代にまで若返っている。たった一人の少女の例外を除いては。全てが謎。まるで謎。この世界は何なのか?何故蘇ったのか?設定には興味を惹かれます。しかし謎はひとまず置いといて、物語は進みます。先に蘇った有力者が支配する独裁国。そしてそれに抗う人々の集団。この対立が物語の主軸です。人が集まれば、そこに権力が発生する。支配階級と非支配階級が出来上がる。重いテーマを孕んでいますが、それを感じさせない娯楽テイストの冒険譚が展開されます。ノリは、タイトルも類似している『ウォーターワールド』に近いと感じました。もっともこの設定なら『リーグ・オブ・レジェンド』的なオールスター戦を目指しても面白かったと思います。一通り抗争が終結したところでジ・エンド。期待していた“世界の謎解き”は一切なし。消化不良もいいところです。おそらく続編ありきの1作目なのでしょう。ただ1作目の役目として、最低限「リバーワールド」の壮大な世界観だけは、観客に印象付ける必要がありました。予算に比例したであろう小さな世界観しか提示できなかったのは厳しい。続編を待つより、原作を読んだ方が遥かに早いし満足すると思われます。[DVD(字幕)] 5点(2007-10-10 19:48:10) 1860. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード 《ネタバレ》 劇場版クレしんで評価の高い「家族愛」と「アクション」要素は低めです。ひたすらおバカ映画に徹しています。見せ場は野原一家、一人ひとりに設けられている劇画調転換シーン。とくにしんのすけパートは爆笑。クライマックスのオールぶりぶりざえもんも、なかなかシュール。オリジナルぶりぶりの活躍が望めない以上、こういう形でも愛すべきブタの姿が観られるのは、嬉しいです。名作「戦国」の次の作品と考えれば、このシフトチェンジは正解。感動系の作品はたまにあるから際立つのだと思います。ベースの立ち位置はあくまでおバカ。その判断は賢明だったと思います。ただ全体的にみれば可もなく不可もなくの印象。ゲストのキャラクターデザインには?が付きます。レギュラーとのバランスが悪いです。[DVD(邦画)] 5点(2007-10-06 00:55:05)(良:1票)
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