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プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  サンセット大通り 《ネタバレ》 今も昔も情緒不安定な女が人の気を惹く方法は変わらないのだなあ、と変なところで感心。スワンソンの熱演はもちろん(もっとも、人間というよりモンスターにしか見えないきらいはある。悲哀の滲む演技、とは言い難い)、映画全体に漂う妙な生々しさが良い。女優が行動を決めるのにやたらと占いを重視する辺り、瑣末なネタではあるがとてももっともらしい。 実は狂った女優と同じくらい、寡黙な執事が怖い。元夫でありながら執事として仕え、現在の恋路まで援助する、その奇妙な愛情のあり方が薄気味悪かった。偽のファンレターをせっせと書き続けてもいずれ破綻の日が訪れるのはわかり切っていたはずで、ほんとうに女優を守ろうという使命感があるのであれば、鳥を駕籠に入れて飼うような支配的なやり方はありえない。この映画がこんなにもリアルなのは、単に一人の女が狂うのではなく、異常なほど依存し合う関係が狂気を培養する背景として描かれているからこそだろう。 死者を語り手に置くなど、失敗としか思えない試みもあるが、いくつかの欠点を差し引いてもやはり優れた脚本だと思う。そして特筆すべきは結末のおぞましさだ。グロリア・スワンソンの怪演も、映像が滲んでいく演出も強烈。おそらくラストシーンの衝撃度だけをとってみれば、映画史上でも屈指じゃないだろうか。[DVD(字幕)] 7点(2009-09-29 22:07:12)《改行有》

2.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 明確に色分けされたキャラクターといい冒険の旅に出る物語といい、まるで現代の少年マンガのようで、リメイクされた理由がわかったような気がした。プロットよりまずキャラクターの魅力ありきの展開で、その意味ではとても現代的なのだ。雪姫なんかは演技がどうこうではなく印象に残るし(あの声!あの太もも!)、真壁六郎太は文句なしにかっこいい。百姓二人組が少しでも山場で貢献していればプロットとしてはもっときれいだったと思うが、ここまでダメダメだとかえって忘れ難い。 尺は明らかに長すぎ、しかも強引すぎる。けれども冒頭の大脱走シーンの力のこもりよう(本筋とは直接関係ないのに)から、瓦礫の山登りや長時間に渡る槍での決闘など、最近の映画なら絶対ありえないような描写が、なんだかとても楽しい。とくに馬を使った見せ場のスリルは類を見ない素晴らしさだ。三船敏郎の殺陣のかっこよさは知っていたけれど、これほど力強さを見せつけられたのは初めてかもしれない。脚本は洗練されていないが、その分でたらめにエネルギッシュで、なんとも野蛮な魅力があることは否定できない。『七人の侍』や『椿三十郎』に比べてしまうとどうにも苦しいけれど、充分面白い作品だと思う。[DVD(邦画)] 7点(2009-07-21 01:31:03)《改行有》

3.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 現代の映像から始まったのと、初めのうちは登場人物の顔見せが続いたのとで戸惑った。しかも台詞がべらんめえ調で早口、時代劇を知らない者には馴染みのない語彙も多く、聞き取りにくいことこの上ない。 しかし物語が転がりだすと俄然面白くなり、最後まで一気だった。おそらくカメラが下手に動かないためだろう、すごく臨場感があって、まるで自分も相模屋の一角にいて一部始終を眺めているかのようだ。 たとえば廊下の場面で、手前で登場人物が戸口をくぐって画面から消えたかと思うと、映像はそのままで奥の別の戸から次のパートの登場人物が現れ――といった具合に鮮やかに視点が切替る。一つの建物のなかでさまざまな物語が交錯しながら並行して展開していく、それが目で見てわかる。 だからテンポよく複雑な筋書きが進むにも関わらず混乱しない、取り残されない。普通に考えたら密度の濃すぎる話を何気なく観せている。実はさまざまな面で高度なことをやってのけているのではないかと思う。 結末はあれはあれで味があっていいが、やっぱり監督の構想が実現したらと思わずにはいられない。そうであれば後味も明るく、力強い印象となっただろう。 そして惜しまれるのが台詞の聞き取りにくさ。時代劇も落語もさっぱりなので、この低レベルなハードルに最後までひっかってしまい、心から没入することはできなかった(巻き戻してもわからない!)。ちょっと哀しかった。台詞が多いから字幕も難しいだろうし……。[DVD(邦画)] 7点(2009-06-27 19:00:02)《改行有》

4.  イヴの総て 《ネタバレ》 リアリティを感じたのが、イヴはさまざまな策謀をめぐらして栄光を手にするものの、敗者にしか見えないという点だ。誘惑した男にはプライドを傷つけられ、脅迫にしても無意味で、友人を失っただけ損だった。大女優の付き人になるまではともかく、時間がかかっても正攻法の努力をした方が、遥かに理に適っていただろう。 こういう人、実際にいる(性別に関わらず)。自分以外はみんなばかだと思っているのか、本人は狡猾に他人を利用しているつもりで、実際はバレバレ。歪んだ自己愛に基づいて行動してるから判断力が鈍って、浅はかな目論見は見透かされることがわかっていない。 女の子が鏡に見惚れる万華鏡のようなラストシーンは鮮烈に美しい。けれども映っているのはどこまでも自分だけ。きらびやかな夢が虚しいナルシシズムの発露でしかないことを告発するようだ。 階段に座ったイヴが夢見るように語った「観客からの喝采だけあればいい」という言葉は、本心に聞こえた。演劇への純粋さを表明する演技と取っても別に矛盾はないが、きっとあれは、本心と仮面とが一致した珍しい瞬間だったのではないだろうか。授賞式のでイヴは裏切った友人達に臆面もなく謝辞を送るが、あれも実は何分の一かは本気のなのではないか。マーゴの「自分の心を正しい場所に置きなさい」という言葉はただの皮肉とは思えない。マーゴはあれだけ忌み嫌いつつも、イヴの本質を理解できてしまったのだろう。 〈イヴ〉は最初の女の名前、タイトルはつまり女のすべてという意味だろうと思われる。秀逸な筋書きではあるけれどしかし、所詮は男が書いた脚本だと感じるところはある。最後は男性がおいしいところをかっさらい、善人悪人に関わらず女性に支配的な位置に立つ。行き着く真理は「女の幸せは結婚」、か。なんだかなー。 端役で出演しているマリリン・モンローの実人生を、なんとなく作品に重ねてしまった。貧しい境遇から這い上がって名声をつかむも、待ち受けていたのは痛々しい最期。世界中の男性に愛されたようでいて、食いものにされたようにも取れる。 また、脚本は堅固に構築されているが、余裕もなければ隙もない。映画でも小説でも、あまりに言葉を尽くして説明してしまうのは野暮だ。加えて直接作品の出来とは関係ないが、字幕は細かいニュアンスを殺していたと思う。多少は仕方ないとしても台詞のテンポまで全然違うのは勘弁してほしい。[DVD(字幕)] 6点(2009-06-25 00:00:12)(良:1票) 《改行有》

5.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 冒頭で入り込めないと結局最後まで感情移入できないことが多いんだけど、この映画がまさにそれだった。 まず感じたのは映像的な薄っぺらさで、モノクロだからまだいいものの、映画というよりは古いテレビドラマを観ているかのようで、想像以上に安っぽかった。とくにあの空襲の場面でのぎこちなさには興ざめしてしまった。 あと子どもに対して大人の描き方が偽悪的に過ぎるというか、狙ってやっているんだろうけど過剰に感じた。まず橋から犬の死骸を投げ捨てるシーンで唖然。ミシェルの家族にしてもあまりにも無神経な言動が多く、かなり引いた。戦争がそうであるように大人の身勝手な理屈の犠牲になるのはいつも子ども、ということだろうか。 終盤に至ってはミシェルの両親がまるで悪役のように思えた。孤児院に引き渡さざるを得ないのは仕方ないとしても、短期間とはいえ娘のように扱っていたのだから、もう少し配慮してあげてもいいだろうに。とくに平然と笑顔で引き渡そうとする母親は空恐ろしくすらあった。 テーマ曲については、まったく個人的な理由から受け付けなかった(というのはうちの両親の趣味がギターで、子供の頃からこの曲が家に流れているのがごく当たり前だったため、耳に入ると悲しみや切なさを感じるよりも全然関係ないことを思い出してしまうので)。この映画に音楽が果たしている役割は相当に大きいはずで、それがないから余計に脚本のあざとさや映像の貧しさに目が行ってしまった。 というわけで、平均点が非常に高い中心苦しいけれど、終始心を動かされることはなかった。八十分がひどく長く感じられた。[DVD(字幕)] 5点(2007-11-18 19:56:27)(良:1票) 《改行有》

6.  情婦 《ネタバレ》 始まりがあまりにほのぼのしてるので不安になったけど、裁判に差し掛かってからは目が離せない。トリックについてはクリスティの某代表作の変奏曲といった感じで、みせ方ひとつでこうも変わるものかと感心させられた。大胆なミスディレクション(誤導)の名手として知られるクリスティだが、この結末の二重の裏切りは大したもの。第一のどんでん返しに観る側の注意をひきつけておいて、まったく違った方向での第二のどんでん返しが待ち受ける。右手で殴るぞと威されたから左手のパンチを警戒していたら、予想通り左からきたけど、最後の回し蹴りはもろに喰らってしまった、というか。 また、クリスティが確かな仕事をしているのはもちろんだけど、秀逸なプロットを人間味あふれるユーモアで包みこんだビリー・ワイルダーの功労も絶大なものがある。弁護士と看護婦とのやりとりがなければ、ここまで魅力的な映画になってないだろう。 ただ、このサイトでここまで高評価を獲得しているのにはちょっとびっくりした。確かに面白いけど、そこまでずば抜けた感動があったとは思わない。とても意地の悪いいい方をすれば、とりたてて欠点はない代わりに絶大な感動もない、優等生的な作品だ。平均点は高くなるけど、誰かにとっての宝物的な映画になることはあまりないんじゃないだろうか。いや、いい作品なのは確かなんだけど。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-11-05 01:34:51)(良:1票) 《改行有》

7.  ローマの休日 映像や脚本がどうとかいうよりも、オードリー・ヘプバーンの魅力に尽きるように思う。彼女以外の要素も確かにプロの仕事なのだろうけれど、結果的にはヘプバーンをひきたてるための脇役でしかない。 ヘプバーンの少年のような華奢なスタイルと、過剰な女性性を感じさせない清廉な美しさは、彼女以外には持ちえない不思議な魅力だ。これほどに大勢の人を惹きつけ、それでいて強烈な個性を持った人は珍しい。ヘプバーンが微笑むだけで、真っ白な花が咲くのを見るかのような、心が澄み切ったような気持ちになる。 オードリー・ヘプバーンという唯一無二の女性の存在を知れただけでも、この映画を観た価値はあったと思う。[DVD(字幕)] 7点(2007-01-01 14:37:53)《改行有》

8.  めし 《ネタバレ》 なんか違う。 たとえば小津安二郎の『晩春』だって前時代的な価値観が背景にあるが、あちらはあくまで「背景」であって、登場人物の心情には嘘がない。ところがこの作品では当時の価値観に沿うように物語が流れ、テーマのために登場人物が歪められているような印象を受ける。『晩春』は自然で普遍的なドラマであるのに対し、こちらは押し付けがましく、説教くさい。 成瀬監督といえば暗いくシビアな視点が持ち味だと思うけど、今回はハッピーエンド、しかも手紙を細かくちぎって列車の窓から捨てるといういかにもな演出つき。取ってつけたような、というのは言い過ぎかもしれないが若干の違和感は否めず、成瀬さんらしからぬ感じがした。映画の九割までは面白かったのに、結末に至って主張が物語に先立ち、バランスが崩れてしまったという印象。[DVD(邦画)] 6点(2006-10-26 19:03:39)《改行有》

9.  突撃(1957) 塹壕や処刑場の場面はさすがキューブリックという感じだったが、全体の構成に関してはやや中途半端な印象を受けた。  たとえば軍法会議にかけられる三人のうち、ラルフ・ミーカー演じる伍長についてのみ挿話があるのだが、他の二人については放置されたままだし、この挿話自体あまり活かされていない(わざと突き放して描いているからだろうか?)。  また三人それぞれが容疑をかけられる理由がユニークで面白いのだが、言葉で説明されるだけでさらっと流され、なんとももったいない。とくに容疑者をくじ引きで決める場面なんかは映像で観たかったなあ。  一番冷めたのはラストのドイツ娘のエピソードで、前振りがまったくなかったのでとってつけたように感じられた。過酷でリアルな物語の後にいきなり人間に対する希望を謳われても、無理矢理過ぎて説得力が薄れる(いや、確かにいくらか感動してしまったけど)。キューブリックにしては甘ったるいヒューマニズムを感じた。  全体的に、物語を構成するのに必要な場面がいくつか欠けているのではないだろうか。あるいは逆に削ってさらにコンパクトにしても良かったと思う。面白いが、多少バランスを欠く印象を受けた。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-02-23 12:18:19)《改行有》

10.  裏窓(1954) ジェームズ・スチュアートがギプスで曲げられない足の先を必死に掻こうとする場面を観て、昔骨折して満足に身体を動かせなかったときのもどかしさを思い出した。この届きそうで届かない"もどかしい感覚"というのを上手に使っていると思う。  肝心なものは見えそうで見えない、証拠はないのにどう考えてもあやしい、調べたくても人に頼むしかない……とくにグレイス・ケリーの行動を遠くから見ていることしかできない場面はものすごく恐ろしかった。こういう悪夢をときどき見る。ある人に危険が迫っていることがわかっていても報せることができず、殺人者はどんどん近づいてくるのだ。肌がざわざわと粟立つようなスリルを味わう作品であって、どんでん返しを期待するのは筋違いではないかと思う。   BGMもなく必要以上に派手な演出をせずに淡々とみせるのは、サスペンスを日常生活に組み込もうとする試みだろう。地味すぎて現代では通じないという意見もあるが、たとえば『サイコ』だって音楽やどんでん返しが重要な仕掛けとなっているわけで、この作品の異常なまでの抑制の仕方は当時としても異色だったに違いない。  休暇中に部屋からぼんやりと窓の外を眺めていて、ふと目に留まったささやかな光景から始まる恐怖の物語。悪夢は非日常の世界にあるのではなく、あくまでも日常生活の裏側に潜んでいる。一見平和な生活も、裏窓から覗いてみればどんなグロテスクな様相を示すかわからないのである。この着眼点が秀逸な作品だと思う。[DVD(字幕)] 7点(2006-02-19 12:13:01)《改行有》

11.  浮雲(1955) 《ネタバレ》 最近読んだ小説に、「恋をする女性は現実の男を見つめているとは限らなくて、もっと遠くにあるよくわからないもの、途方もなく美しい極みたいなものに焦がれていることがある」という意味の一節があった。たぶんこの映画のゆき子がそうだったんじゃないかと思う。  敗戦後の何もかもが色を失った苦しい時代に、南国で過ごしたひたすらに幸福な時の記憶を抱きしめて生きる。親類に性的な虐待を受けていたゆき子のなかでは、暗い思い出のある日本を遠く離れて過ごした日々が、本当に美しく輝いていたのだろう。しかしゆき子を待っていたのは、日本の敗戦と貧困、愛した男のみすぼらしい本性。  本当はここで足を踏ん張って、前に進む道を選ばなければいけなかった。甘い時代の残像を追いかけて生きるべきじゃなかったのだ。しかし未来を見なかったがために、ゆき子は地に足の着かないまま、ふわふわと漂流するような人生を送ることになってしまう。  娼婦のまねごとをして、インチキ宗教家の親類に生活を頼ったかと思うと、大金を盗んで逃げる。堅実な職業に就いたり家庭を作って定住したりはしない。だけど人間は本来、安住の地を求める生き物だ。どこか特定の場所にしっかり根を張って、しっかりした人間関係を築くことで、自分が帰ってくる居場所を作りたがる生き物だと思う。放浪生活を送る人間ほど、繋がることへの渇望を抱いている。ゆき子のそれはあまりにも強く、それゆえに却って現実を見失ってしまう。  劇中では殺人事件なども起きており、後になって考えるとかなり劇的な物語なのだが、観賞中はそれほど違和感を覚えないで普通に流していた。それほど自然で説得力のある演出だったのだ。しかもとにかく観る者を引き込むのが上手い! 暗い内容にもかかわらず、前のめりで鑑賞してしまった。これほど強烈かつリアルな人間ドラマはなかなかない。成瀬巳喜男の比類ない才能を思い知った。[DVD(字幕)] 8点(2006-02-09 03:46:59)《改行有》

12.  地下水道 《ネタバレ》 この今にも押し潰されそうな閉塞感が、もう比類がないくらいに苦しい。無謀な作戦によって隊が全滅すると聞いて八甲田山の雪中行軍を連想したのだが、個人的にはこっちの方が嫌だ。日の光も届かない場所で汚物にまみれ、ネズミと一緒に死んでいくなんて。しかもやっと辿り着いた出口が塞がれてるって……観ていて叫びだしたくなった。あまりにもヘビーな展開ゆえに、ほんとうにもう、気が狂いそうな思いだった(少なくとも閉所恐怖症もしくは暗所恐怖症の人は絶対に耐えられないだろう)。前半の人間描写の浅さに「おいおい」と思ってしまったので点数が押さえ目になったが、とくにクライマックスは一見の価値ありと思う。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-02-09 02:26:31)

13.  蜘蛛巣城 《ネタバレ》 序盤はやや冗長と感じたのだが、鬼気迫る終盤でささいな瑕疵など吹き飛んだ。これほど壮絶という形容がふさわしい作品はない。運命に絡めとられるように破滅へと突き進む武時の姿から一時も目を離すことができなかった。『七人の侍』などに比べるといささか寓話めいてはいるが、もっと知名度が高くてもいいはずだ。  森に棲む妖婆の怖さは『妖怪百物語』の置いてけ堀の下りを思い出させる。が、はっきりいって怪奇映画であるあちらよりも怖い。そして皆さん言及しておられますが、なんだかんだいっていちばん邪悪な奥方、山田五十鈴さん。あんた怖すぎるよ! 夢に出てきちゃうから! あんまり怖いので森の化生が憑依してるのかと疑ったくらいだ。  何の前知識も無しに観たために、三船敏郎が矢の雨のなかでの絶命する場面には口があんぐり。かっこいい決め台詞を言わせたり堂々とした態度をとらせたりせずに、みじめに悲鳴をあげて這いずり回るのが非常にリアル。すさまじい迫力だった。『俺たちに明日はない』のボニーとクライドが銃弾の嵐を浴びる場面に勝るとも劣らない名場面でしょう。  個人的には『七人の侍』よりも好きかも。登場人物に温かみがない分、白と黒だけで映される荒涼とした風景が胸に沁みる。なんともいえない虚無感が閉幕後もしばらく後を引くのです。[DVD(字幕)] 9点(2006-01-06 15:43:27)

14.  見知らぬ乗客 ヒッチコックは観客をじりじりさせるのが本当に上手く、ほとんどサディスティックですらある。おまけにただ単に緊迫感を盛り上げるだけでなく、どことなく洒落てる。遊園地やテニスの試合場といった場所の使い方、ボクサー犬(?)やライターといったアイテムのセレクトがかっこいいのだ。そしてなんといってもメリーゴーランドでの最後の対決シーンが最高! むしろ主人公や悪役よりも一場面一場面の強烈な絵が脳裏に焼きついている。なんというセンスの良さだろうか。  ところでブルーノが排水溝に落ちたライターに必死で手を伸ばすシーン、何かに似てるなと思ったら、なんと『ウルトラマン』でハヤト隊員が変身用の道具をつかもうとするシーンにそっくりだ。円谷さんはこんなところから影響を…? どんな分野の人間でも、ヒッチコックの才能に触れてしまったら影響を受けずにはいられないのかもしれない。だって、かっこいいもんなあ。[DVD(字幕)] 7点(2005-12-24 02:48:40)(良:1票)

15.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 個人的には評判ほど面白いとは思わなかった。 ジョーが高いところから落ちる場面では笑った。どれだけバカなのか。しかも石油溜まりを越えるときは、事前に調べたはずの道に枝があり、加えてジョーはまたもやわざわざ車の軌道上を歩いていたために轢かれてしまう。前もそれで崖から落ちたのに、学習能力がないのか? 自分から危険に飛び込んで。ルイジがニトロを仕掛けた岩の場所へ戻ろうとする場面もそうだが、無理やり登場人物を危険に追い込むところで興ざめする。大体「爆発で石が飛ぶ!」って導火線に火をつける前に気づけよ。 いきなり二人が原因もわからないまま吹き飛ばされた部分も納得いかない(そこがいいのだろうか?)。 冗長さも弱点だと思う。明らかに150分も必要ない。またストーリーはともかく、台詞や映像にはあまりこだわりが感じられず、味気ない。手に汗握る場面もあったけど、やはり地味過ぎる。そこそこ面白いが、時代を感じずにはいられなかった。6点(2005-03-20 01:07:31)

16.  空の大怪獣ラドン もちろん「空想科学読本」みたいに厳密に考えればラドンのような生物はありえないのだろうが、その怪物の存在をいかにもリアルに思わせるのが上手い。卵の殻からラドンの体長を推測するシーンなど、細かな取材と考証に基づいているのがわかる上質のSF作品である。たとえ特撮技術が現在のそれからすると見劣りするものだとしても、戦闘機との空中戦、衝撃波で吹き飛ぶ市街地、そして阿蘇山での徹底的な爆撃のシーンはかなりの迫力を感じた。製作者の気迫も伝わって来たように思う。ときには明らかに着ぐるみであるラドンに恐怖すら感じた(さすがにメガヌロンは可愛いだけだったが)。ラドンたちが死んでいく場面も哀れまずにはいられない。  努力と工夫次第でアナログな方法でも優れた表現ができることを知った。7点(2005-01-31 04:28:19)(良:1票)

17.  夜と霧 残酷な映像が力を持つことは確かだけど、映画それ自体はさほど優れているとは思わない。衝撃を与えているのは映画の作り手の力じゃなく、真実の力のほうでしょう。資料としての価値はあっても、映画としてはたいしたことない。踏み込んだ考察があるわけでもなく、編集も普通のドキュメンタリー。内容が内容だから事実の重みに何もいえない雰囲気がありますが、ドキュメンタリー映画としてのできはどうなんでしょうか?5点(2004-02-25 04:31:44)

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