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プロフィール
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性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  狩人の夜 《ネタバレ》 恐怖映画としては、もはや風化し古臭い印象を拭い去ることはできません(悪夢的幻想としては素晴らしい)。しかしながら本作は、脳裏にバッチリ焼き付くような陰影に富んだ映画的な場面の連続なのです。例えば、川に沈む母親の死体の奇妙な美しさは特筆すべきものですし、ロバート・ミッチャムと子供たちの食卓と地下室での攻防やボートでの脱出劇(移動感も良い)、あるいは馬でゆっくり追跡する不気味なミッチャムを目撃する納屋のシーン、そしてミッチャムとリリアン・ギッシュ!との対峙等々、設計も実に見事です。あざとい監督だったら、ミッチャムが家庭に入り込み母親が消されるまでの不毛な心理劇に時間を割いていたでしょうが、そんなことはせず常に転がし続けたところに面白さがあるのです。[DVD(字幕)] 8点(2012-03-02 18:38:18)(良:3票)

2.  折れた矢(1950) 白人よりも先住民族の側から描かれた珍しい西部劇ですが、物語を別にしても、信念を貫く男ジェームズ・スチュワートでさえも先住民族の酋長コーチーズ(演じるのは白人だが違和感はない)を前にするとかすんでしまっているということが、白人側からの一方的な西部劇ではく先住民族によっているという何よりの証でしょう。同じくスチュワートが恋するソンシアレイの美しさも雄弁ですし、あるいはスチュワートが初めて一人でコーチーズのもとへ交渉に行くシーンは秘境へ向かう様で、彼らの領域に神秘性すら感じさせます。 ただ、クライマックスの銃撃戦は重要であるのにやや緊張感に欠けています。[DVD(字幕)] 7点(2011-12-20 18:34:55)

3.  黒い罠 《ネタバレ》 力が入り過ぎているくらいの冒頭の長回し、爆発が起きてヘストンとウェルズの事件解明の物語かと思いきや…そうはならず、お次はメキシコのギャング一家とヘストンの全面対決かと思いきや…そうはならず、ならばジャネット・リーが罠にハメられていくのが主軸かと思いきや…そうでもなく、結局は杖を置き忘れるというボーンヘッドにより注目もしていなかったウェルズと部下の絆関係に、登場せずとも良かったディートリッヒが花を添えて終わる…という焦点がぶれまくりの筋を羅列すればかなりお粗末でありますが、そんな怪しげな筋書きでも映画は十分に面白くなるという好例です。  例えば、ジャネットがモーテルで襲われてしまう場面や(彼女が付け狙われているシーンは全てドキドキしてしまう)ウェルズが殺人を犯す場面の禍々しさは圧巻です。あるいはラストのウェルズとヘストンの対決の緊張感、盗聴器を持って追いかけていく実に間抜けな作戦ですが、つまらない自白のシーンを移動と橋と川により見事な活劇にしています。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-14 18:40:09)(良:3票) 《改行有》

4.  シェーン 《ネタバレ》 例えば、冒頭のシェーンがスターレットの家へやって来て、さらにライカーたちがやって来る場面の緊張感の無さなどを見てみても、とても退屈に思えるのですが…、それでも本作を気に入っているのは、アラン・ラッドの男っぷりとジャック・バランスのニヒルさもさることながら何より肉体的な映画であるからです。  シェーンとスターレットは巨大な切り株を馬を使わず協力し合って取り除き、一緒に酒場で乱闘を繰り広げ、最後には過剰に素手で殴り合う(銃で殴れば少年に「嫌いだ」と言われる)。ライカー側の手下がシェーンに罠であると知らせに来るのも、シェーンと彼が素手で殴り合いをしたからに違いなく、ここにおいては肉体を駆使することがコミュニケーションであるかのようです。ラストで少年が自宅から酒場までの長距離を走ってやって来るのも、シェーンとの仲直りに必要な肉体的労働であったとすら思えるのです。[DVD(字幕)] 8点(2011-08-12 18:48:45)(良:1票) 《改行有》

5.  大砂塵 《ネタバレ》 当初は30分ばかり見て中断する予定だったのですが、面白過ぎて最後まで一気に見てしまいました。そのぐらい持続力がありますし、何より美人とは言えない?(少なくとも個人的な趣味からは外れている)ジョーン・クロフォードがいつしか極めて魅力的に見え始めた時点で、この映画の勝利が確定したようなものです(真っ白いドレスを着てピアノをひくシーンは圧巻だ!)。敵のマーセデス・マッケンブリッジにしても魔女の如き禍々しさは最高の悪役ですし、脇役に至るまで各々のキャラクターが過不足なく描かれていますし(しかも間抜けなキャラクター説明なしで、それぞれの人物が完璧に立っている!)、アーネスト・ボーグナインとマッケンブリッジが絶命し石ころの如くコロコロと転げ落ちていく様も素晴らしいです。私には〝西部劇らしからぬ〟とかそういうことは良く分かりませんが、いずれにせよ本作が尋常ではないのは確かです。[ビデオ(字幕)] 8点(2011-04-22 18:29:34)

6.  決断の3時10分 《ネタバレ》 〝決断のとき〟が訪れるのは3時10分より少し前、ダンの奥さんが馬車でホテルに乗り込んで来て夫と抱き合った瞬間です。生活に困窮している実直な夫婦は、ここで「やっぱり生きてるだけで丸儲けね」とばかりにきつく抱き締め合い、2人の絆を目の当たりにした余裕綽々のグレン・フォードは初めて敗北の表情を見せる…。極悪には見えないスマートなグレン・フォードと、ヒーローとは形容し難いしかめっ面のヴァン・へフリンの曖昧とも思える善悪の境界線に決着が付いたこの瞬間がとても感動的です。 また、全編に渡って緊迫感の緩急が良くついていますし、酒場のシーンなどもとっても洒落ています(僅かな登場ながら酒場女が良い)。 ・・・ただ欲を言えば、アレックスの酔っ払いという属性が活かされていませんし、ホテルのロビーで寝ている子分にしてもさらに一工夫した使い方を求めたくなってしまいます。[DVD(字幕)] 7点(2011-02-28 18:37:41)《改行有》

7.  鬼軍曹ザック 《ネタバレ》 風穴の開いたヘルメットが動き出し韓国人の少年ショートラウンドに助けられるまでのオープニングの、情報を小出しにしてゆく様が面白いです。伏せなければ命を落とす戦闘シーンも徹底されていて、大仏が強烈な印象を残す(手に引っ掛けて輸血するお茶目さ!)寺院での攻防戦は緊張感と力感が溢れています。役者の顔も一人一人が良く、戦争映画にありがちな人物の判別不能などという残念な事態には決して陥りません。  最後の戦闘前に急展開となり、冒険映画から戦争映画へと変わり、ショートラウンドに認識票をあげることやヘルメットの交換は叶わずに終わる過酷さが待ちうけています。特にショーティは最初に登場した際にアップの笑顔を見せるので、勝手に最後まで無事なのだと確信していたものですから、表で無造作に倒れている姿は悲しいものがあります。[DVD(字幕)] 8点(2011-02-25 18:30:26)《改行有》

8.  夕暮れのとき 《ネタバレ》 スタンドで新聞を探す男は明かりがつくと慌てて顔を背ける…。この男は何らか事件に絡んでいると一目瞭然な冒頭からしてミステリアスで、ただならぬ気配が漂っており観客の心を鷲掴みするものです。その後もアン・バンクラロフトとのバーでの出会い、調査員のシーン挿入の巧みさ、強盗の二人組のキャラクター造型と見所がありますが、最後の対決シーンで除雪車と小屋までの足跡しかないのに「危ない」と言いながらも何の用心もなしに近寄って行ってしまうのは間抜けに見え緊張感を欠いています。 ただここは、強盗たちが小屋の窓枠からヌッと姿を現すところを見せたかった一点に尽きるのでしょう。それに、そもそもファッションショーの会場から逃げ出す際、アン・バンクロフトは走ることは微塵も考慮されていないドレスで逃げ出し、早歩きすらままならないので主人公にお姫様抱っこされるのですから、つまりこれはハネムーンへの出発なのであってハッピーエンドはこの時点で既に約束されていたのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-28 18:23:29)

9.  限りなき追跡 《ネタバレ》 これは紛れもなく〝追跡〟の映画であり四六時中、馬で駆けまわり移動しますし、逃げる側も裏切った仲間をわざわざ足跡として残し追われる者と追う者の距離感を出してくれます。ラストの斜面を使った殴り合いも見事ですし、スパニッシュで会話している部分ですら内容を把握できてしまうほど確かな出来で(おそらく英語の部分ですら言葉は不用だ)、僅か90分足らずでまとめ上げてしまっている簡潔さも素晴らしいです。 …が一方で、主人公のロック・ハドソンとヒロインの魅力は乏しいですし(ウォルシュ映画のヒロインとしては個性を欠いている。リー・マーヴィンをひっくり返してしまうのは彼女でも良かったのでは?)、悪役もこズルいばかりで小物感が否めませんし、ハドソンと行動を共にするジェス(キャラクターに一貫性が無い)と先住民の扱いはぞんざいであり、南北戦争の話などにしても中途半端な印象をぬぐえません。  …ところで、明かに意識して正面に向かって発砲したりするのですが、これは3D上映もしていたんですかね?[DVD(字幕)] 7点(2010-10-19 18:30:48)《改行有》

10.  西部の人 《ネタバレ》 オーバーアクト気味ではあるもののリー・J・コッブが巧みに演じる悪役老人のキャラクター造型の素晴らしさであるとか、撃つ方も撃たれる方も同一の画面におさめてしまう銃撃戦の見せ方であるとか、秀逸なところはたくさんあるのですが、オーソドックスな娯楽劇を期待していた者には物寂しさを感じさせる作品でもあります。  例えばゲイリー・クーパーがおっかなビックリ汽車に乗る様子や隣に座ってくる口の達者な男を見て、これは喜劇調なのかと思っていましたが(馬に乗るには便利だったろうスラっとした長い脚も汽車では窮屈そうに畳まねばならない皮肉にも見える)、列車が襲われ悪党どもの小屋に着くや否や完全に空気が一変します。特にヒロインにストリップを強要するシーンの禍々しさは作中随一の出来だと思います。しかし、そんな禍々しさ全開の悪党どもも、憧れの銀行は既に潰れ街はゴーストタウンとなり、ワイルドバンチは過去の遺物となってしまった寂しさを漂わせており、特に全てを承知の上で老人に味方するジョン・デナー(かな?)を倒したクーパーが(この銃撃戦も見事)、彼の男気に憐れみを感じるかのように、はたまたワイルドバンチに別れを告げるように、死体の手を合わせて送ってやるのも物悲しいです。  しかし何と言っても共に苦難を乗り切ったヒーローとヒロインがめでたく結ばれず、片想いで終わってしまうというのが決定的に寂しいです。思えばマン映画のヒロインは既に決まった相手が存在していて、その男から勝ち取るものであり、フリーで登場する彼女は最初から対象外だったのかもしれません。ということで、なんだかもう「西部劇はこれでお終いだよ」と言っているような気がするのです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2010-09-30 18:13:21)《改行有》

11.  脅迫者(1951) 《ネタバレ》 本作は当初、ブレティン・ウィンダスト監督が指揮を執っていたようですが、途中からラオール・ウォルシュ監督に代わったとのこと。この手のミステリーは得てして活字の方が面白かったりしますが、例えば、証人のリコが階上の洗面所窓から逃亡を謀るシーンや、悪党の隠れ家でトランプをバラ撒いて「拾え」と言い力関係を示すところ、あるいは後半でいくつかある銃撃戦(ボギーにも電話ボックスを使った見せ場が用意されている)、それに誰もがビビりまくる黒幕の極悪人メンドーサの初登場シーンが殴られているところというのは面白く、この辺りはウォルシュの演出によるものと思われます。 ただ、中途参加ですので仕方ないのですが、ウォルシュの映画にはやっぱり女優さんが出てこないと物足りなさも覚えます。それでも、悪党たちの隠れ家になっている店の主人が女であるというのは、もともと男だったのを「男じゃつまらんだろ?」と変更したのでは・・・などと、勝手に想像を膨らませてみたりもしますが。[DVD(字幕)] 7点(2010-08-23 18:10:51)

12.  ホンドー 《ネタバレ》 母子の家にどこからともなくやって来るジョン・ウェイン。しかし馬にも乗らず犬を連れて現われるところが一風変わっています。他にもアパッチと遣り合いながら、その酋長と心を通わせたりするのも珍しいですが、これは父親を扱っている作品で、父親が不在の間に蹄鉄や斧がダメになっていたり、あるいは直接的に男親としての息子の教育にも触れておりウェインが「泳げない」という子供を川に放り投げてしまうという印象的なシーンがあります(ついでに母親も「泳げない」と口走ってしまい慌てて逃げてゆく姿が可笑しい)。  また、アパッチとの戦いで馬車で円陣を組み、それを俯瞰で捉えるシーンは同じくジョン・ウェイン主演、ラオール・ウォルシュ監督の「ビッグ・トレイル」を想起させます。さらに、これは3D映画だったらしいですがカメラに向かって発砲するのは「大列車強盗(1903)」を思わせ、やはり最初にするのはそういうことなんだと妙に納得してしまいます(いつ頃から立体映画が始まったのか存じませんが)。  ただ、ウェインのキャラクター設定はほとんど活かされていませんし、犬の使い方も中途半端な感じがします。[DVD(字幕)] 7点(2010-08-13 18:22:25)《改行有》

13.  第十一号監房の暴動 《ネタバレ》 これぞ決定的に刑務所の映画だと思わせるのが、ズラッと並ぶ監房の前の一本スッーと細長くのびた閉塞感が漂う廊下の使い方です。オープニングショットからその廊下の表情が映し出され、まず最初に、監房から抜け出した囚人が看守を追い詰める場面でその力を発揮し、看守にグングン走り迫って行く囚人を後ろからハンディカムで捉え恐怖を感じさせます。そしてクライマックと言っても過言ではないのが爆破を中止させる電話をのシーンで、鳴り響く電話を取るために長い廊下の奥も奥から囚人たちが全速力でドッと駆けてくる…受話器を早く取らなければ爆破されてしまう一刻を争うドキドキの緊張感を、廊下の長さを使うことによって見事に表現しています。こういった単純に走る場面であっても見せ方により、実際に暴力シーンや派手な爆発シーンなど見せずとも十二分にスペクタクルを起こせるのです。まさに純度100%の紛れも無い刑務所の囚人のパワーを描いた映画。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-06-23 18:40:36)(良:2票)

14.  決斗!一対三 《ネタバレ》 「決斗!一対三」などという邦題と僅か83分という短さから、ウォルシュのいつもながらの痛快娯楽活劇だろうと思っていたのですが、どんよりと雲がかかっているような印象で、「追跡」(1947)を想起させます(あれほど見事ではない)。この薄暗さは主人公を演じるロック・ハドソンがパッとしないのも一因ですが(老けメイクをした時の方が魅力的だ)、ムチを振り上げる厳格そうな髭親父も何とも不吉ですし、婚約者のジュリーが美しく見えないのも彼女が幸福なヒロインになれないのだと予感させるものです。しかしながら、酒場女のロジーがとびっきり美しく撮られて現われた瞬間、彼女こそが救いの女神であり真のヒロインで、この先どれだけ不運が続いたとしても決して悲劇だけでは終わらないのだと確信させてくれます。  決闘に関しては実際のところ一対三で行われませんが、砂埃と枯葉が舞う強風の中での対決は見所になっています。また、時の経つのを紙面を使って見せますが、西部時代ですから仕方がないとはいえ、輪転機ではなく活版印刷なので軽快さに欠けています。それでもロジーが突如としてあられもない格好で大胆に着替えていたりするのは時間の経過と共にサービスシーンとしても有効です。[DVD(字幕)] 7点(2010-05-12 18:13:57)(良:1票) 《改行有》

15.  殺人捜査線 《ネタバレ》 手際よいアクションシーンから始まり、湯気が立ち込めるサウナや鏡を使って見せる屋敷での見事な射殺シーン、高所からの二度の落下と見せ場には事欠きませんし、人物造型も秀逸の一言に尽きます。特に印象深いのはダンサー(イーライ・ウォラック)と髭の男(ロバート・キース)のコンビと運転手の絡みで(マイケル・マン監督の「コラテラル」はこれがモトかも?)、何気ない会話がとてつもなく面白いです。そして登場人物たちの各々の〝顔〟が良く、抜け目の無さそうな犯罪者たちや精悍な面構えの刑事たちはもちろんのこと、端役に到るまでバッチリ決まっていて、黒幕のマンは車椅子に座り無言で何食わぬ表情というだけの僅かな登場シーンながら、その恐ろしさは容赦ないダンサーたちが小悪党に見えてしまうほど強烈です。また、マンに死の宣告を受け顔面蒼白となったダンサーのもとに、望遠鏡のお礼を言いに来る満面の笑顔の少年を挿むところなど演出も冴え渡っています。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-10 18:07:49)(良:1票)

16.  世界を彼の腕に 《ネタバレ》 グレゴリー・ペックの海の男役は私にはどうしても違和感があるのですが、前年の同じくペックとウォルシュのコンビによる同じく海洋ものの「艦長ホレーショ」よりも、波しぶきが激しい船の競争が用意されているので海のシーンが面白いです。またウォルシュ作品によく見られる、主人公とヒロインとの喧嘩はあっけないものですが(立つ姿勢と座る姿勢で変わる視線の高さが整って仲直りする見せ方は良い)、その代わりに何かとやりあうのが商売敵?のアンソニー・クインで、普通ならこの役は完璧に悪党扱いなのですが、腕相撲からはじまって過激な船の乗っ取り合いに到るまで、まるでトムとジェリーのように仲良く喧嘩します。そんなこんなで物語はかなりいいかげんなのですが、とにかく豪快で(されど恋愛シーンは繊細だ)痛快な活劇となっています。また、鞭打ちを受けるペックを(ペックもっと痛がってくれ!)身を捧げて助けるアン・ブライスの宝石よりもキラキラと輝く瞳の美しさも忘れらぬものとなっています。[DVD(字幕)] 8点(2010-04-09 18:15:07)

17.  ララミーから来た男 とにかく面白いです。例えば、ジェームズ・スチュワートが塩田で塩を積んでいたら遠方にデイヴ一味が姿を見せ、馬を駆ってやって来るや否やあの惨事となる運びの鮮やさ。あるいは、その借りを返すため町でデイヴに殴りかかりにズンズン向かって行くスチュワートの怒りの圧倒的な凄さ。 ただ、監督がアンソニー・マンともなると、こちら側も欲張りになってしまい、せっかくなのでもっと銃撃戦を見せてほしかったであるとか、相棒となるじっ様をもっと登場させてほしかったであるとか要望も増えてきます。というのも、じっ様がスチュワートに行動を共にしたいと言う時のセリフが良いですし、それを聞いたスチュワートは凄く嬉しそうな表情を見せ、じっ様がラバに乗るのを手伝ってやる…と、二人のシーンが忘れ難いものになっているからです。[DVD(字幕)] 8点(2010-03-19 18:22:35)

18.  不死身の保安官 《ネタバレ》 この映画は不自然な組み合わせが見所で、英国紳士で世間知らずのお坊ちゃんジョナサンは西部の無法地帯で保安官に任命され、酒場を仕切るブロンドのグラマーな女主人ケイトは凄腕のガンマンでドレスの腰にホルスターを巻きつけ、大団円の結婚式ではイギリス男とアメリカ女と先住民が横一列に並んでしまうという可笑しさなのです。しかもここで面白いのは、この英国紳士が郷に入れば郷に~とはならず、地のままでボケ倒し?どんな危機的状況に陥っても一発も実弾を発射することなしに見事、事件を解決してしまうところです。ということでコメディ色が強いわけですが、最も印象深いのは凄腕のケイトがジョナサンに銃の手ほどきをするシーンで(ケイトに銃を使う見せ場が無いのが残念ですが、凄腕という設定はこのシーンのために作られたものでしょう)、射撃するケイトは魅惑的に口を半開きで狙いを定め、エロティックに銃の説明をし、手取り足取り指導しながら二人の距離が少しづつ近づき、口付けをするとケイトの興奮が高潮に達し銃をズドンとやる…。 ウォルシュ監督のロマンスシーンはいつもながらの流石の出来栄えで、そして本作においても結ばれる男女は些細な誤解からやっぱり一度はケンカをするのです。[DVD(字幕)] 8点(2010-02-16 18:19:16)(良:4票)

19.  見知らぬ乗客 《ネタバレ》 特に印象に残ったことを三つばかり…。まず、殺される主人公の女房が掛けている野暮ったいメガネです。彼女は次々と男を引っ掛ける役所であるのに、あのメガネは絶対に掛けない方が良いじゃないかと思っていたら、あれは殺人を映し出す装置として存在し、さらに上流階級の妹がやっぱりどうして野暮ったいメガネを掛けて登場した瞬間、これが鍵になるのは間違いないというサスペンスの道具として機能しているのです。  二つ目は証拠をかけて殺害現場へ向かわねばならぬ一刻を争う事態の場面です。単純に両者の行動を見てみると、ガイは負けりゃ済むはずの試合を必死に勝利を目指しプレーし、他方のブルーノはブルーノでライターを排水溝に落として必死に手を伸ばす…という何ともつまらない出来事で足留めをくらい互いに独り相撲もいいところなのですが、まるで横綱同士の大一番並に緊張感に満ちているのです。これはもうヒッチコックの手腕に他ならないでしょう。  そして三つ目はガイが夜中にブルーノの家に侵入する場面。個人的にはここが最もドキドキしたシーンで、あそこに犬を登場させるあたりはズルいとすら思ってしまいます。  …三つと言いながら思い出したのでついでに四つ目、排水溝に落ちているライターのカットがとても印象的で、こういうカットがあるからこそ物語的には怪しいライターの重要性にも説得力が出てくるのでしょう。ということで本作は映画を作る人は必見というような作品です。[ビデオ(字幕)] 9点(2010-02-09 18:19:00)(良:1票) 《改行有》

20.  たくましき男たち 《ネタバレ》 群衆の大移動と言えば同監督の「ビッグ・トレイル」を思い出しますが(個人的には「ビッグ・トレイル」の方が好みだが)、これまた壮大な移動です。何より物凄い数による牛の大移動が壮観で、終盤でスー族が渓谷を下って襲ってくるのを、突撃で切り抜けるシーンは特にド迫力です。また、小道具の使い方が上手く、毛布とブーツが恋の鍵となっているわけですが、ラストで毛布によりジェーン・ラッセルがその存在を知らせ、クラーク・ゲイブルがブーツを脱がせるカットで終わらせるなんてのは、さすがウォルシュ監督です。ここでの靴を脱がせるという行為はとっても官能的なのですが、規制がなくなって激しい濡れ場も可能になった今日では刺激が足りんと言われてしまうのでしょう。しかしこういったシーンを見ると映画としては露骨な露出は進歩とならず、むしろ退歩したのではないかとすら思えます。  ・・・ただ細かい話をすれば、前半の吹雪中の移動シーンで馬が駆けた後に巻き起こる砂埃のような雪は良いのですが問題もあり、極寒であるにもかかわらず役者たちの吐く息が全く白くなく、その当りは手抜かりな感じもします。また、ゲイブルと弟の最後の別れ際、なぜ死んでしまう弟ではなくゲイブルの去る姿を見せたのかもよく分かりません。[ビデオ(字幕)] 8点(2010-01-26 18:08:09)《改行有》

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