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プロフィール
コメント数 2394
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  日本海大海戦 《ネタバレ》 太平洋戦争をテーマにした『日本のいちばん長い日』から始まるいわゆる“東宝8.15シリーズ”は第三作目にして日露戦争に逆戻り。唐突感はあるが、これには同時期に新聞連載されていた『坂の上の雲』の影響があったのかもしれない。日露戦争を扱った作品としては新東宝の『明治天皇と日露大戦争』が12年前に製作されて大ヒットしたので、いつかその雪辱を晴らしたいという執念があったのかも。思えば当時は左翼全盛時代、日露戦争のことなんかは学校ではほとんどスルーだし、大日本帝国の富国強兵政策が起こした侵略戦争だなどと教えていたもんです。そんなご時世にこのテーマを選ぶとは、ある意味勇気ある決断だったかもしれません。■三船敏郎は山本五十六・阿南惟幾・木村昌福といった将軍や提督を演じていますが、自分はそんな三船の演技スタイルにもっともジャストフィットしたのが東郷平八郎で、まさにはまり役だったんだと思います。後年に流布された神格された人物ではなく、加藤友三郎参謀長の前で取り乱してしまうような人間臭い一面もきっちりと見せてくれました。笠智衆の乃木希典も、皆が持つ彼のパブリックイメージにはぴったりの好演で、乃木と東郷が対面する場面での「そのお言葉で、乃木はやれます、必ずやります」と203高地の攻略を誓うところは良かったな、名シーンです。■この映画はタイトル通り日露戦争でも海軍作戦がメインで描かれていますが、やはりここでものを言ったのが円谷英二特撮の技でしょう。実はこの映画が円谷の遺作となったのは周知の通りですけど、彼が拘ってきた“水の特撮表現”の集大成を見せてくれます。なんと107隻も製作された大スケールの日露艦艇の繰り広げる海戦シークエンスは見事の一語に尽き、水柱が上がるカットにはほんと拘りを感じさせます。陸戦関係では実質203高地攻防戦しか取り上げていないのですが、まあ尺の関係もあって仕方なかったかも。この陸戦シークエンスは明らかにカネのかけ方が海戦より貧弱なのは否めず、日露両軍とも火砲が発砲しても砲身が後座しないのはちょっとしらける、海戦シーンでは戦艦の主砲が後座するところまできっちり再現しているのにねえ。あとせめて大山巌と児玉源太郎ぐらいは登場して欲しかったな。■『坂の上の雲』ではとかくバルチック艦隊とロジェストヴェンスキーをディスる傾向がありましたが、冷静に考えればあれだけの大艦隊を極東まで引っ張て来れたというのはやはり歴史に残る偉業と言えるでしょう。休養および修理・訓練が十分で待ち受ける連合艦隊と長旅を続けてきて疲労蓄積しているバルチック艦隊では、やっぱこれはハンデ戦だったと言えるかもしれません。あと陸軍も海軍も、艦艇の大損害をちゃんと報告するし乃木将軍の更迭の許可を伺うなど、きちんと天皇や閣僚を通しているところには考えさせられるところがありました。“統帥権の独立”を盾にして天皇まで蔑ろにして好き勝手やった昭和の陸海軍に比べるとえらい違いです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-05-27 22:30:36)(良:1票) ★《新規》★

2.  マッシブ・タレント 《ネタバレ》 最近のニコラス・ケイジの持ち芸である自虐ネタが炸裂しているしプロデューサーにも名を連ねているので、彼がまたヘンな思い付きで撮った映画なのかなと思いきや、外部から持ち込まれた企画だったらしい。一応は彼が演じているのはニック・ケイジというハリウッド俳優ということにはなっているが、これはニコジー本人がモチーフだというのは言うまでもないです。所々でニック・ケイジの別人格であるニッキーが登場してニック・ケイジと論争しますが、ニッキーの見た目やコスチュームが若き日に演じた『ワイルド・アット・ハート』のセイラーそっくりなのが面白い。特殊メイクやAIを駆使したんだろうと思うけど、すっかりふやけてしまった現在のニコジーから良くあそこまで再現できたなと感心します。彼の主演した過去のヒット作からの小ネタが満載なのはファンには嬉しいところですが、なんかこの脚本にはハッチャケ具合が足りないんだよな。基本的にはニック・ケイジがCIAエージェントに仕立てあげられる典型的な巻き込まれ型ストーリーなんだけど、後半になるほどコメディ要素が薄くなってストーリーももたついてきちゃうんですよ。そういう点では段々と正統的なアクション映画っぽくなっているとは思うんだけど、この映画をチョイスして観始めた人はそんなこと期待してないんじゃないかな。そういう点ではなんか中途半端感が拭えなかったというのが感想です。 デミ・ムーアも出演しているらしいけど、いったいどこにいたの?ラストの映画上映後のスタンディングオベーションの中にいたのかな?[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-24 23:05:32)
《新規》


3.  MEG ザ・モンスターズ2 《ネタバレ》 しょうじき前作はメガロドンとハゲ無双が出ていたなというぐらいしか今や記憶が残っていないが(そういやラストで胎児みたいなのがメガロドンの体内から飛び出していましたっけ)、この続編はのっけから一段とチャイナカラーが強くなってるなというのが第一印象。「モンスター映画の続編は群れで勝負」という鉄則に忠実にメガロドンだけでなくわけの判らんのがちゃんと増えています。何はともかく、この映画のとくに前半はそのムチャクチャな設定でもう開いた口がふさがらない状態。いくらアイアンマンみたいなスーツがあるからと言っても、深海の水圧をここまで無視できるとは大した度胸の脚本だ。そんな7,600メートルの深海で歩き回るというのもふざけているが、生身の人間がそんな深海で酸素マスクもつけずに海中に出るなんて、もう頭がクラクラするほどの衝撃でした。生身で宇宙空間に瞬間的に放り出されて生還するというSF映画を観たことがありますが、水圧のことを考えるとまだこっちの方にリアリティがあります。また前半ではメガロドンはほとんどストーリーに絡まず、ジェイソン・ステイサム主演の単なる深海海洋アクションに過ぎないんじゃないでしょうか。クライマックスでは何の説明もなくクラーケンみたいな巨大イカ(タコだったかな?)が現れるのも訳が判らん。画造りも過去のモンスター映画で使われたショットを、再現というかパクっているだけの箇所が目につきました。中でも鏡をガムで棒に張り付けて敵情を探るというカットがありましたが、これって『プライベート・ライアン』の上陸シークエンスでトム・ハンクスがやったことの丸パクりじゃないですか。こんな意味がなく顰蹙を買いそうな演出を平気でする監督のセンスの悪さが、もうバレバレです。ハゲ無双・ジェイソンはやはり元オリンピック飛び込み選手だけあって、泳がせたらやっぱこの人の右にでる者はいないって感じでしたね。でもサメと闘うのは、もういい加減にしといた方がいいと思います。[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-05-21 22:53:49)

4.  アポカリプト 《ネタバレ》 ハリウッドきっての変態映画作家メル・ギブソンのまさに本領発揮と言えるでしょうな。実はほとんど予備知識なしで観ていたため、ラストを観るまででっきり有史以前のお話しだと思っていました。実はスペインが来襲してくる直前のマヤ帝国のお話しだったんですね。こちとら日本人だから始めから字幕で鑑賞するタイプなのでどうってことないですが、全編セリフがマヤ語とはさぞかしアメリカ人の観客は戸惑ったことでしょうね。上映時間の半分ぐらいは密林の中で撮影された映像、滝つぼに飛び込むところを含めてこれは『アギーレ/神の怒り』に匹敵する様な過酷な撮影だったんじゃないでしょうか。男は皆ふんどし一丁みたいな半裸なのに、女はいちおうワンピース形の衣装で露出が少ない。これは多少はコンプライアンスを意識した結果なのかもしれないけど、違う要素でR指定を喰らってんだからこりゃ世話なしです(笑)。でも血生臭い描写にはこだわりのあるメル・ギブソンにしては、本作はそれでもおとなしめだったような気がします。ストーリー自体は尺が三分の二を過ぎたぐらいから急展開ですが、これを指して町山智浩氏は「コーネル・ワイルドの『裸のジャングル』のパクりだ」と指摘しているけど、『裸のジャングル』も観たことがある自分としては、これはちょっと的外れの様な感があります。たしかにマン・ハント劇としては一緒だけど、本作はただの殺し合いで『裸のジャングル』のラストで観られるような狩る者と狩られる者の融和と言うような要素がありません。かなり強引な解釈の様な気がします。 ラストのスペイン人たちの上陸には主人公たちを苦しめたマヤ文明の滅亡が暗示されていると思いますが、メル・ギブソンのことだからキリスト教徒の到来によって文明開化がもたらされるという啓示が意図として含まれているかもと、勘ぐってしまいたくなります。これからマヤ人たちはスペイン人と彼らが持ち込んだ天然痘によって、ほとんど死滅しかけるような惨状に追い込まれてゆくわけです。主人公とその妻子たちに待ち受ける未来は、さらに悲惨なことになるんでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-05-18 22:22:05)

5.  決戦は日曜日 《ネタバレ》 日本じゃ選挙戦そのものをテーマにした映画はほとんど見かけないけど、たいていは挑戦する側つまり野党候補の視点のストーリーしかなかった様な気がするが、与党のそれも普通であれば当選見込みが高い世襲候補が主人公というプロットは初めてなんじゃないかな。いかにもお嬢様育ちという雰囲気の宮沢りえのわがままし放題の候補者ぶりには始めはとてもじゃないけど感情移入出来ないけど、あの「各々」を「カクカク」と読んで恥じないところには笑ってしまいました。これは漢字の読みに弱い某総理経験者のパロディでした。本職の選挙アドバイザーが製作に参加していたそうなので、選挙戦の流れなんかは素人にも判りやすくて良かったです。でもホントに凄かったのは、脱力系と言うか曲者揃いの秘書軍団と後援会幹部および地方議員たちでしょうね。小市慢太郎が演じる筆頭秘書なんかは普段は物静かな能吏という感じだけど、裏ではいろいろと地元建設業者あたりを使って私腹を肥やしているし、地方議員たちにも一歩も引かずに張り合っている。終いにはキレて宮沢りえを怒鳴りつける始末で、やっぱ国会議員秘書ってけっこう強面なんですね。窪田正孝もそうだったけど、この秘書軍団のパワーワードは「いろいろありますが、これが最善の策なんです」、これでわがままお嬢さん候補を引っ張らないといけない、こりゃ大変です。それにしても、国会議員と地方議員や業者との関係をここまで赤裸々に見せてくれる映画は初めてなのかな。 面白いのは、二年前の映画なのに本年に政界で起こった出来事を予言している様な感じがあるところです。落選活動(?)を始めた宮沢りえが対立候補の街頭演説に割り込んで妨害活動するところなんか、まさについ最近に警察沙汰にまでなったあの騒動を彷彿させてくれます。けっきょく色々と愚行を繰り返してネットでは炎上できたのに低投票率で組織票が強い与党・宮沢りえ候補が当選、まさに現代日本の選挙制度の最大の問題点をしっかり浮き彫りにしてくれました。 ヘンにおちゃらけたり過度にオフビートすぎることもなく、諧謔とシリアスな主張が高いレベルでバランスがとれた良作でした。[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-05-15 23:24:06)(良:2票)

6.  軍用列車 《ネタバレ》 アリステア・マクリーンがこんな西部劇を書いていて、しかも映画脚色までしていたとは知らなんだ。 南北戦争後、西部の辺境の砦でパンデミックが起こったので救援のために医薬品と交代の兵士を運ぶ軍用列車が舞台。ウエスタンと言っても延々と雪が積もった大地を列車は進むわけで、あまり西部劇らしくないとも言える。正直なところ登場人物や設定にかなりのムリがある。ぶっちゃけネタバレすると、途中の駅から捕まった指名手配犯のチャールズ・ブロンソンが同乗するわけだが、実は連邦政府の秘密情報員で略奪されたライフルとダイナマイトを追跡してわざと捕まったという設定、FBIすらなかった19世紀にアメリカにCIAみたいな組織が存在したというのはお笑い種ですがね。列車には兵士たちはもちろん保安官やなぜか知事まで乗り込んでいるが、停車中の仕草を見てるとなんかみんな怪しそうである。実は知事や保安官たちはみなグルで、医薬品と偽っている武器は砦を占拠している原住民と無法者たちに横流しする計画で、オリエント急行よろしく無関係な同乗者である医師や牧師を次々に殺害してゆく。逃げ場のない列車内での密室殺人なのに、ブロンソンと将校以外は誰もショックを受けていない、そりゃあほとんどがグルで共犯なんだから当然ですよね(笑)。リチャード・クレンナやベン・ジョンソンなどの顔ぶれの中で、それまでの出演作ではワルがパブリックイメージであるエド・ローターが実は善玉だったというのはちょっと捻っていますね。密室殺人のミステリーも盛り上がらないし、後半はスーパーエージェント・ブロンソンの大活躍でいつの間にか終幕といった感じ。ブロンソンの愛妻ジル・アイアランドもお約束の様に顔見世していますけど、彼女のキャラってほとんど見せ場のない不必要な存在だったんじゃないかな。 違和感があったのは、この蒸気機関車が石炭じゃなくて薪を燃やして走ってるんです。なんでわざわざ薪にしたのか不思議でしたが、これはある伏線のために石炭が使えなかったというウラが途中で判ります。まあ色々と苦労してたわけですね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 4点(2024-05-12 22:33:27)

7.  マーニー 《ネタバレ》 プロットとしては殺人も起こらないしスパイも出てこない、ヒッチコックとしては珍しいタイプの作品、おっとそういや回想シーンでブルース・ダーンが殺されていましたね。製作された64年は、ショーン・コネリーにはジェームズ・ボンドとしては『ゴールドフィンガー』の時期。でもこの年には本作以外にも『丘』や『わらの女』にも主演していて、彼もジェームズ・ボンドを演じるのに嫌気がさして来ていた頃だったんじゃないかな。でも本作での彼は、ボンドとはまたイメージが違う色男ぶりを見せていて感心しますが、どう見てもアメリカ人には見えないのが玉に瑕かな。マーニー役に未練がましくヒッチコックはとっくに引退していたグレース・ケリーを希望していたそうですが、そりゃ当然断られますよ。代わりにというかティッピー・ヘドレンが『鳥』に続いて起用されたわけだが、撮影中ずっと険悪だった二人の関係は、映画史に残るようなトラブルになってしまいました。 殺人やスパイのサスペンス色が希薄なんですが、ヒッチコックにしては妙に理屈っぽい映画に仕上がってしまった感は否めません。コネリーのキャラは会社経営のボンボンというより、まるで精神分析医にしか思えない言動なんで違和感が濃厚です。なんでも原作小説ではサブ・キャラとして精神分析医が存在していたそうで、それを脚色段階でコネリーが演じるキャラに統合してしまった結果みたいです。そうは言ってもその精神分析はけっこう雑でとってつけた感がアリアリで、ティッピー・ヘドレンの幼児期のトラウマがなんで成人してからの盗癖に結びつくのかは説得力に欠けています。まあ彼女の演技には文句をつける余地はなかったですけどね。 恒例のヒッチコック御大のワンカット出演、いきなり部屋から出てきてしかも一瞬ながらもしっかりカメラ目線を決めてくる、いくら何でも調子に乗りすぎだよ(笑)。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-09 22:28:21)

8.  ジェイド 《ネタバレ》 脚本が『氷の微笑』『硝子の塔』『ショーガール』のジョー・エスターハスですからね、エロ要素強めなのは予想と言うか期待通りです。でも肝心のストーリーもやはりメロメロで、見事にラジー賞で最低脚本賞にノミネートされました。裏話によると、エスターハスの書いた脚本をフリードキンが勝手にじゃないけどかなり強引に書き換えたそうで、これはちょっとエスターハスがかわいそうですね。 マイケル・ビーンに妖しいフラグが立っていたと指摘する人があるけど、私はチャズ・パルミンテリが出ているというだけでピンと来ましたよ。ラストの結末まで観ると、どう考えてもこのストーリーは破綻してるとしか言いようがないです。要はエスターハスお得意というか馬鹿の一つ覚えの悪女ものというわけですが、それがリンダ・フィオレンティーノじゃちょっと役不足だったんじゃないかな。シャロン・ストーン級の女優を使えよ、と言いたくもなるけど、このフィオレンティーノの役はものすごい数の女優にオファーをかけて拒否されまくっているので、まあしょうがなかったのかもね。フリードキンの力量もすでにズタボロになっている頃なのですが、カーチェイスのシークエンスだけはさすが『フレンチ・コネクション』を撮った人だけはあるこの映画唯一の見どころでした。チャイナタウンのお祭り行列の真っ只中に突っ込んでのチェイスになりますが、人混みを跳ね飛ばしながらののろのろカーチェイスなんて、ちょっと珍しい絵面でした。まあ中国人だから構わないということは毛頭ないんですけど、この映画には妙にアジア人蔑視の様な底意が感じられるところがありました。[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-05-07 10:09:45)

9.  オーシャンと十一人の仲間 《ネタバレ》 御存じ『オーシャンズ11』の元ネタ。フランク・シナトラと言えば「スターよりもマフィアになりたかった」と言ったという伝説もあるくらいで、そんなマフィアとズブズブだった彼じゃないと実現できなかったストーリーです。60年代のラスベガスは実質マフィアの直轄地みたいな場所だったそうで、そんな物騒なところのカジノが一斉に強奪されるなんて普通の映画人が撮ったらマフィアが黙っているわけがない、仲間内のシナトラ(襲われるカジノの一つサンズは実はシナトラが当時オーナー)のおふざけとして大目に見られたんじゃないかな。 ソダーバーグ版との比較で大きな違いと言えるのは、ダニー・オーシャンがプロの犯罪者ではなくて退役軍人でチョイ悪ぐらいの男、そのダニーがかつての戦友たちを集めてグループを組むというところでしょう。彼らは第82空挺師団の所属だったという設定ですが、エリート部隊だった空挺師団に黒人のサミー・デイビスJrがいたというのは、ちょっと不自然。まあシナトラ一家総動員のこの映画にサミー・デイビスJrが出ないわけはないし、黒人差別意識がなかったというシナトラらしいとも言えます。正直言って11人のキャラ分けがきちんとできていたとは言えず、半分ぐらいは名前どころかキャラさえ見分けがつかないぐらいです。こういうところはソダーバーグ版の方がはるかにしっかりしていたと思います。黒幕のエイキミ・タミロフはこの映画に必要なキャラだったのかは疑問だったし、アンジー・ディキソンらの女優陣も有機的な効果をストーリーに与えていなかったと思います。でも所々にシャレた展開もあるのは、ビリー・ワイルダーも脚本に参加していた功績なのかな。ラストの展開はやはりヘイズ・コード(犯罪は成功してはいけない)が生きていた時代だから仕方なかったかもしれないけど、ソダーバーグ版の様な爽快なカタルシスとは比べるべくもなかったかな。 まあ言ってしまえばシナトラの肩の力を抜いたおふざけ映画と見るしかないけど、そんな目くじら立てるほどのことはないかと思います。あと一目で彼の作と判るソウル・バス謹製のタイトルバックは、現代でも通じるようなシャレた逸品でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-03 22:01:39)

10.  オースティン・パワーズ ゴールドメンバー 《ネタバレ》 ひょっとして…と思ったらやっぱそうでした!このシリーズ、三作すべてが0点から満点まで満遍なく評価が分かれるという前人未到の偉業を成し遂げました、おめでとうございます(笑)。 前二作がかすむ豪華なカメオ出演の顔ぶれ、マイク・マイヤーズとトム・クルーズが前髪たらしてベッコウ眼鏡をかけると顔面相似形だったとはとにかくサプライズ!トムは前からちょこちょことおバカ映画に変なキャラでカメオ出演したことがあったけど、他の豪華な顔ぶれを眺めると、このシリーズはハリウッド業界では愛されていたみたいですね。相変わらずシャレたオープニングでしたが、続く本編は中坊でも呆れるような下ネタのオンパレード、期待通りでした。今回は特にウンコやオシッコのスカトロ・ネタが強烈で、お約束の影絵ネタに至ってはバカバカしさを通り越してシュールの領域に達していました。マイク・マイヤーズは驚異の四役、実際のところこの四つのキャラがどれも画面に映っていなかった時間は、上映時間中10分、いや5分もなかったんじゃないでしょうか、ほとんど彼のワンマン映画だと言えます。この人日本の映画ファンにはけっこう嫌われているみたいだけど、私は嫌いじゃないしこの芸達者ぶりはもっと評価されるべきじゃないでしょうか。ドクター・イーブルの潜水艦やセットなどはけっこうカネをかけているのも好感が持てるけど、ゴールドメンバーのキャラだけは、けっきょく彼だけが悪役を通したわけだけど、イマイチ意味が判らない存在でした。そして“お声が掛かればどんな映画でも出演する男”マイケル・ケインが当然の様に顔を見せてくれるのも嬉しかったです。20年余り前の映画だけど、この頃のマイケル・ケインはまだまだ若々しかったんですね、ほとんど70歳だったとはとても見えませんね。[CS・衛星(吹替)] 7点(2024-05-03 11:53:25)

11.  ペトラ・フォン・カントの苦い涙 《ネタバレ》 終始ある家の寝室で進行する、登場人物は全員が女性で六人だけという、いかにも舞台劇の映画化という雰囲気のストーリーです。 ペトラは三十代のファッションデザイナーでそこそこファッション界では名が知れている存在みたい。離婚経験があり、娘は遠方の寄宿学校に入れていて疎遠になっている。マレーネという住み込みのお針子というか助手と同居している。どうも二人は同性愛関係にあるみたいだが、家事から仕事上の事務までなんもかも彼女にやらせていて、しかも常に命令口調で接している。そこに旧知のシドニーが訪ねてきて、カーリンという若い女性を紹介した。ペトラはカーリンを自分のコレクションのモデルにデビューさせるという口実で同居し始めるが、次第に彼女にレズの関係を求めるようになり、ペトラ、カーリン、マレーネの奇妙な同居生活になってゆきます。舞台演出家としてキャリアをスタートしたファスビンダーが、自作の舞台劇を映像化した作品です。全編がペトラの寝室だけで展開して、まるっきり舞台演劇を見ている感覚ですな。カーリンを演じるハンナ・シグラにはコケティッシュな魅力があり、ペトラが性愛の対象にしてのめり込んでゆくのは納得です。このカーリンがまた怠惰なうえにツンデレで、いろいろと際どい話しをしてペトラを苦しめます。そんなカーリンですけど、舞台展開の全くない密室劇なのに出番は意外と少なくて尺の三分の一程度しかない。ペトラ役のマルギット・カルステンセンはほぼ出ずっぱりでしたけどね。ラストを観て気が付くのは、この物語の陰のと言うか真の主人公は、ペトラとカーリンの痴態を散々見せつけられていたマレーネだったという事です。この若いんだか歳行ってのか判りづらい女性は、劇中でペトラにこき使われながらも一言もセリフを発しないのです。そりゃあ最後にはああいう行動をとりたくもなりますよね。 もうねちっこいとしか言いようのない女同士の愛憎劇、観ててほんと疲れました。観念的なセリフも多くて、正直物語に引き付けられることはなかったですが、この女性心理の描き方は自身もバイセクシャルだったファスビンダーならではといった感じですかね。因みに最近フランソワ・オゾンが、設定をゲイの物語にして『苦い涙』としてリメイクしているそうです。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-04-30 23:30:17)

12.  レインメーカー 《ネタバレ》 ハリウッドというかアメリカ映画のお得意ジャンルでありそれこそ星の数ほど(ちょっと大げさでした)製作されてきた法廷ものだけど、巨匠コッポラもやっぱ撮ってたんですね。彼は『タッカー』でも法廷劇的な要素を後半に盛り込んだけど、法廷小説の大家であるジョン・グリシャムのベストセラーに取り組んで、風格ある映画に仕上げました。原作とはかなり雰囲気の違う出来だという声もありますが、コッポラは脚本家としての力量を見せて観ていて飽きさせないエンタメとしての完成したストーリーかと思います。 やっぱ若い頃のマット・デイモンは、汚れた弁護士の世界に飛び込んだがギリギリのラインを守って成長してゆく姿が瑞々しくて、後年にジェイソン・ボーンみたいにゴリラ化するとは想像できないですね(笑)。悪徳ブラック弁護士のミッキー・ロークも、出番は少なかったけどいい味だしてました。悪徳とまではいかないかもしれないけど、一人で悪役を背負ったようなジョン・ボイドの弁護士も、あの法廷での駆け引きは迫力満点でマット・デイモンじゃ到底勝ち目が無いでしょ。日本じゃ未だに弁護士(とマスコミ)を正義の味方だと誤解している人が多いけど、前半の病院での営業活動なんかを見ていると、やっぱこの職業は他人の不幸やトラブルがないと喰ってゆけないんだなと実感させられます。人の涙や不幸を常に探し求める稼業、まさにレインメイカー(雨降らし屋)というわけです。コッポラの脚本は、“善い弁護士”と“悪い弁護士”をある意味で突き放して並列させている感じで、破産で保険会社が逃げ切った様なラストになってジョン・ボイドに「俺たちはどっちも負けだな」と嘆息させるところにその意図が出ているのかなと思います。 初訴訟で大企業に大勝したマット・デイモンが「これで依頼者は常に勝訴を期待してくる、そしてどこかで自分は越えてはいけないラインを踏み外してしまうだろう」と廃業を決意するラストには、とても共感できました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-04-24 22:38:46)

13.  雲の上団五郎一座 《ネタバレ》 いやはや錚々たる面子、昭和の喜劇役者が勢ぞろいしていて壮観でした。エノケンが座長のドサ回り劇団が、四国の公演に赴く船上で東京から流れてきた(一応)インテリの演出家と出会いタッグを組み、彼の吹っ飛んだ演出のおかげで大入り満員、ついには大阪の興行会社の眼に留まり大阪でも大成功をおさめるというサクセスストーリー、言ってしまえば他愛もないお話しです。菊田一夫が大ヒットさせた舞台の映画化だそうで、21世紀になってからもジャニーズ(おっと放送禁止用語でした)WESTがアレンジして上演しています。はっきり言ってストーリーなんてどうでも良しで、喜劇役者たちのパフォーマンスを愛でる映画でしょう。やっぱフランキー堺は凄くて、彼のパロディ『勧進帳』での弁慶は必見です。そして見逃してはいけないのは三木のり平の芸のキレっぷりで、八波むと志とのコンビで演じる『切られ与三』は抱腹絶倒でした。いやはや、この人はほんとに凄い役者だったんですね。あと花菱アチャコ、あの中気の芸は現代では炎上必至のヤバさがありますが、これが上手いんだよなあ。一座の団長役のエノケンの出番が少なく意外と大人しかったのはちょっと残念だったかな。このストーリーは続編も撮られたりTVドラマ化されたりしたそうで、埋もれてしまうのは惜しいエンターテインメントだと思います。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-04-22 12:33:36)

14.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 甲子園出場の地方大会に義務的に動員された生徒たち、本気で熱くなっている応援席から離れたアルプス席に逃げ込んだJK二人と野球部を途中脱落した男子生徒の会話が面白い。野球のルールが全く判らない二人の会話に元野球部が突っ込みを入れるところが延々と続くが、これがグラウンドを全く見せないから試合の進行を観客に説明する仕組みにもなっている。私らの世代と違って最近の子供たちの野球離れが話題になったりしているので、野球に興味がなく基本的なことも知らないJKがいてもちっとも不思議じゃない世の中になってるんですねえ。 良くも悪くも高校演劇部には相応しいストーリーだったかなと思います。でも色んな意味でしらけた高校生活を送っていた四人が、高校野球の応援を通じていつの間にか熱くなってゆくところには、素直に共感できました。イマイチ感情移入できなかった自分ではありますが、青春映画としては良作だと思います。ただ「人生は送りバントだ」みたいな陳腐なことをドヤ顔で言うあの鬱陶しい教師の存在と、どう考えてもいらん付け足しだったと思うエピローグのせいで、マイナス一点![CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-21 23:00:59)

15.  ワイルド・リベンジ 《ネタバレ》 私の中での映画を観る前のチェックポイントの一つに、製作者や製作総指揮にどういう名前が挙がっているか、そしてそれは何人ぐらいがリストされているかという事があります。大体にして、“船頭多くして船山に上る”じゃないけどこの人数が多ければ多いほど駄作率が高いという経験則があるんです。それがこの映画はIMDBで確認したらなんと42人!「むむ、これは…」と覚悟を決めて観始めました。 それが意外なことに、全然並みの映画以上の出来栄えで見事にジンクス破りをしてくれました。主演がジャック・ヒューストンで、自身も恋人もヤク中のブルーカラー男。婚約を機に二人してヤク絶ちをして人生やり直そうと苦労するけど、あと少しというところで恋人は売人に唆されて中毒死してしまいます。そして怒り狂った主人公は、若い頃はマスタングと呼ばれていた気性の荒さが復活して、お約束の復讐劇となり密売組織を潰しにかかります。典型的なインデペンデント映画ながらも、ヒューストン以外にもロバート・デ・ニーロとジョン・マルコヴィッチというビッグネームが出演しているんですよ。デ・ニーロは田舎町の老シェリフで、ファーストショットから登場して、いわばこの映画の狂言回しみたいな立ち位置だったと思います。でもさすがデ・ニーロ、こんなマイナーな映画でも彼が姿を見せるだけで引き締まった映画になるんですね。映像にも拘りが感じられて、やたら空撮(たぶんドローン撮影でしょう)が多用されていて、この映画の陰のモチーフが浸礼(パブテスマ)みたいだから、いわゆる神の視線を印象させる意図があるのかも。この映画の最大の弱点は、恋人が中毒死するまで二人がヤク絶ちに苦しんでいる描写があまりに長くて、これだけで尺の半分はあります。その後にヒューストンが復讐に駆け回るようになると俄然アクション映画要素が強まるだけに、決して不必要とは言わないが前半はちょっとテンポが悪すぎだったのかな。まあラストにかけては意外な展開とそれなりのカタルシスもあるので、そこは相殺されたかなと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-19 01:27:18)

16.  ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 《ネタバレ》 リメイク版ではリーアム・ニーソンが起用されているそうだが、まさに北欧に生まれたリーアム・ニーソンともいうべき男ステラン・スカルスガルド。ぞのいかつい容貌には惚れ惚れさせられてしまいます、そういや本作では一切笑顔というか緩んだ表情を見せませんでしたね。まさにバイキング子孫の北欧男という感じなんですが、最近売り出し中の息子のビル・スカルスガルドが親父とは似ても似つかないラテン系の顔なのが不思議。 私が感じたのは、監督のこの映画での撮り方は北野武の風味が強いなということ。たしかにギャング同士の会話などにはタランティーノ風味もあるかもしれませんけど、場面転換や遠景に拘りを感じさせる景色の見せ方などは、北野武が撮ったと言っても違和感がないんじゃないですか。劇中で死人が出るたびに入る十字架と死者の名前のカットも、実にシュールで雰囲気があったなと思います。言われてみると「そうかな?」と納得はしますが、個人的にはこの映画が観終わるまでコメディだとは感じませんでした。でも観たときにはちょっと理解できなかったラストは、コメディとして観ればとてつもなくシュールなセンスですよね。 ノルウェーというととても民主的で平和な国というイメージがありましたが、当たり前ですがノルウェーにもギャングや反社がいるんですね、おまけにセルビア人マフィアも。あとノルウェー人がデンマーク人を嫌っていることも判りました(笑)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-15 21:59:09)

17.  オースティン・パワーズ:デラックス 《ネタバレ》 前作の時は「こんな酷い吹き替えは初めてだ(下ネタのことで声優の演技ではない)」と嘆息していた自分だけど、麻痺してしまったのか耐性が付いたのか、本作では意外と吹き替えが心地よく(?)なってしまったのが恐ろしい。そりゃあネタの下品さは相変わらずですが、字幕で鑑賞したら伝わらないセンスなんだけど、セリフを日本的なギャグに近づけようとしている努力の跡は伺えます。やっぱ海外のコメディは、的確な演出の吹き替えで観るのが正解なんでしょうね。 期待通りの下品さですけど、腹立つほど音楽のセンスは良い。タイトル・バックに流れるのは完全にシャーリー・バッシ―が歌った『ゴールドフィンガー』の完璧なパロディだし、なぜかマドンナが歌っている主題歌はゴールデングローブ賞にノミネートまでされている。おまけにバート・バカラックとエルヴィス・コステロの超豪華なコラボが、ワンシーンだけどあります。今回は『ムーンレイカー』と『タイムトンネル』を元ネタにしてパロったという感じだけど、『ID4』や『SW』からのネタもありましたね。「どっかで見た顔だよな~」と気になっていましたが、大統領がティム・ロビンスだったとは最後まで気づきませんでした。立って動き回るシーンがあれば間違いなく判るんだけどね(笑)。まあはっきり言って今作は次作『ゴールドメンバー』への繋ぎ的な意味合いが強かったと思うけど、それなりに愉しめました。 しかしマイク・マイヤーズは一人で三役、考えてみると90分あまりの上映中ほとんどの場面で登場していたんじゃないかな?『ゴールドメンバー』ではこれが一人四役になるからもう出ずっぱりじゃん(笑)。[CS・衛星(吹替)] 6点(2024-04-09 23:22:59)

18.  大菩薩峠 完結篇(1959) 《ネタバレ》 カオスの権化の様な大伝奇物語もいよいよ終盤、というか原作は中里介山の死去により決着がつかないストーリーの大漂流のうちに未完、それを映画としてどのように閉めるのかに興味が湧きます。 前二作に続いて相変わらずの怒涛の様に進行するストーリー、でも今作では新規の登場キャラがあまり多くないのでまだ判りやすいかなと思いました。駒井能登守=東千代之介の暗殺を謀る大悪役の神尾主膳=山形勲に雇われ机龍之介=片岡千恵蔵、その機会を狙って待機中でも入手した名刀を試したくて辻斬りに励む、ほんとこの人ビョーキです。今回も神尾主膳の悪辣ぶりはキレまくっていて清々しいほどでしたが、駒井能登守謀殺に失敗して失脚してからは全く出番が無くなってしまいます。この三部作ではいろいろなキャラが登場するのですが、どの人物も中途半端にストーリーから消えてゆくのはどうなのかなと思います。逆にこの物語は宇津木兵馬=中村錦之助の成長物語の要素が強かったのかなと思いますし、ラストではあれほど憎んでいた龍之介を因縁から救ってやらねばという親鸞聖人みたいな心境にまで達しますが、その手段はやはり斬ることだとなるところは、さすがブレません。対する時代劇史上で最悪級の怪物キャラ机龍之介ですが、暇になれば辻斬りが趣味の様なサイコパスキャラもブレなかったですね。そんな龍之介も終盤では黄泉の国の幻影に苦しんだり捨てた我が子への思いに苦しめられたり、因果応報が襲ってくる仏教的な描写が目立ちます。この三部作では肝心の龍之介のキャラの掘り込みが浅く、観る者にはこの男を理解するのは困難なわけですが、それがかえって龍之介の怪物性が濃くなる効果が出ちゃったのかなと思いました。 未完の原作なのでラストは当然オリジナルなわけですが、もうこれしかない、という幕の閉め方でした。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-06 22:51:16)

19.  ジョン・ウィック:コンセクエンス 《ネタバレ》 相変わらずぶっ飛んだ世界線の本シリーズもついに最終章(なのかな?)に突入です。冒頭で主席連合の上位に立つとされる首長がジョンにあっさりと射殺されてしまいますが、このジョンの行動にはちょっと説明がつかない感じがありました。代わって主席連合のトップに立つのがグラモン侯爵なる若造、彼が本作での最凶ラスボスという位置づけなのですが、貴族ぶった言動をするだけで最後まで銃を一発も撃つこともなくて悪役としては拍子抜けさせられます。そしてジョン・ウィックに絡む旧友二人がどちらもアジア人のドニー・イェンと我らが真田広之となります。盲目の暗殺者イェンの能力は超人と言うよりも超能力者というレベルですが、この人の動作やアクションには華というか男の色気の様なものすら感じさせられます。できればこのケインというキャラは真田に演じて欲しかった気もしますが、イェンの方がハリウッドではまだ格上ということなんでしょうね。まあ真田が演じたコウジというキャラも十分にカッコイイんですけど、彼に割り当てられるキャラはパターンが決まっているような気がするのは、自分だけでしょうか? 凱旋門のロータリーでの銃撃戦や200段の階段落ちなど、今作では体を張った見せ場が多かったかなと思います。キアヌ・リーヴスも、ローレンス・フィッシュバーンがプレゼントしてくれた完全にスーツスタイルの防弾着のおかげで、車にはねられても弾を喰らってもダメージが少ないという設定でしたが、いくら何でもこのスーツ無敵でしょ(笑)。キアヌは基本(?)に忠実で必ず相手の頭や顔に何度も弾をぶち込むのに、なんで敵の弾は頭部や顔面に当たらないのかな?すいません、野暮でした(笑)。 最近は『ミッション・インポッシブル』シリーズやジェイソン・ボーン作品群などシリーズになったアクションものが多いけど、その独特な世界線も含めてこの『ジョン・ウィック』シリーズが私には一番のツボでした。ジョン・ウィックよ安らかに眠れ!と哀悼の意を示すところですが、まさかの第五作目製作の噂が…それじゃあ『アウトレイジ』になっちゃうじゃん![CS・衛星(字幕)] 8点(2024-04-03 22:52:45)

20.  江分利満氏の優雅な生活 《ネタバレ》 直木賞受賞作の山口瞳の原作は、短編小説のコンピレーションというかどちらかと言うとエッセイに分類されるような作品。それを江分利満氏=山口瞳を主人公にして彼のそれまでの人生を落とし込んで脚色した感じです。勤務先だったサントリー宣伝部をそのまま江分利氏の勤め先にして、“アンクルトリス”の産みの親であるサントリー宣伝部に在籍していた柳原良平=天本英世も登場している。この江分利氏=山口瞳は自分の亡き父親と同年産まれなので、なんか親近感がありますね。 ストーリーテリングは特に前半は軽妙洒脱、柳原良平のアニメを使ったりして、岡本喜八じゃなくて市川崑が撮ったんじゃないかと思うようなリズム感があります。実際のところ、始めは川島雄三の監督作として企画され本作とは違う視点でのオリジナル脚本が完成していたけど、川島雄三の急死で岡本が監督することになったそうです。とくに靴だけが歩き回って会話するというシュールなカットには驚きました。登場キャラでは破天荒かついい加減極まりない江分利氏の父親=東野英治郎がやっぱ光ってましたね、ほんとこの人は上手い。ストーリー自体は江分利氏が大酒を飲みながらもなんとかサラリーマン生活をこなし、ひょんなことから雑誌に連載を載せることになり直木賞を受賞するという山口瞳の半生をテンポよく描いているのですが、ラスト近くになって江分利氏が戦中派としての心情を延々と十分にわたって同僚・後輩に語るという展開は、明らかに作品のテンポを壊してしまった感があります。その語り口も軽妙さは無くてほとんど演説みたいな感じで、こりゃ聞かされる方も堪ったもんじゃありません。こういうことは他の岡本作品には見られなかったところですが、江分利氏と同世代の岡本の真情が迸ってしまったんじゃないでしょうか。この真情が後の『日本のいちばん長い日』『肉弾』『沖縄決戦』などを手掛けるエネルギーの源泉だったのかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-03-29 23:07:20)

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