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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 最初はトカゲゴジラかと思ったら後でちゃんとゴジラ型ゴジラになっていたが、振りや表情がクサすぎて演技過剰に見える。映像面では重巡洋艦の主砲射撃と敢闘精神、また大正時代の峯風型から戦争末期の丁型まで揃えた駆逐艦が見どころで、震電も本物っぽい感じで飛んでいた。ちなみにゴジラが2万トンというのは高雄の倍くらいということだ。 ドラマとしては安手だが一定のメッセージ性はある。「この国」(身内や知人その他自分のいる社会を構成する人々)を守るための戦いは誰かがしなければならないことであり、自己都合で去るのは止めないが、自ら志をもって行くのを止めることもできない。ただし死ぬと決まった出撃ではなく、必ず生きて帰る前提だ、といったこと自体は理解できる。 ただしタイミングとして今それを言うかという感じではある。映画の設定としては戦争直後でも、いま製作するからにはいまに通じるテーマがあるだろうと思うわけだが、公開時点の国際環境のもとでは、極東有事の際は「米軍も当てにできない」から日本人が率先して戦おう!というような、勇ましいが不穏な空気を醸している。アカデミー賞の受賞は、そうなったら頑張って戦ってね笑というアメリカからの激励ではないか(どうせ武器だけ買わされる)。時事性の面では最悪だったというしかない。 なお時代を遡ることで反核色を消すつもりかと思っていたが、核兵器との関連付けは一応残してある。ただしそれは初代ゴジラの先行映画「原子怪獣現わる」(1953米)からのことであってアメリカでも常識の範囲内である。放射線量を測って首を振る場面は旧作にもあったが、この映画のは形ばかりで心がない。 ほかに「日本政府も…当てにできない」から民間主導というのは意味不明である。何か意図があったにしても最低限、金の出所がわからなければ納得できない(実はアメリカにやらされていたとか)。また「情報統制はこの国のお家芸だ」と言っていたのは別に「この国」(日本国家)限定のことではないだろうが、昔の人は視野が狭いということなら仕方ない。 最後にゴジラが生き返りそうになっていたのは、50周年で一度終わった邦画ゴジラに関し、今回の延長上でまたシリーズを始めるための仕切り直しだったという意味か。最後の病室で、浜辺美波さんの首筋をこれ見よがしに映していたのは意図があったようだが、そういうことまで好意的に受け取るのは完全に無理である(浜辺美波さん=沢口靖子か)。 全体として、視覚効果は現代風だがマイナス要因が多いのであまりいい点はつけられない。[インターネット(邦画)] 6点(2024-05-25 21:12:00)(良:1票) 《改行有》

2.  アナベル あいのきずな 《ネタバレ》 ホラー映画ではない。どちらかというとファミリー向けの映画である。 製作国がバハマというのは珍しいが、国自体はタックスヘイブンであることや「バハマ文書」という言葉で知られている。主産業は観光と金融とのことで、ほとんどマイアミの沖合のような場所のためアメリカからの観光客が多いらしい。劇中映像では当然ながら南の島らしい景観が見られ、また名前が出ていた飲食店は現地に実際あるので行ける。ただし楽園のようでも時々来るハリケーンが深刻な脅威であることは台詞にも出ていた。 映画としては、南の海でイルカと少女が戯れるお気楽な映画かと思うと実際そういう雰囲気で始まるが、そのうち深刻な親権争いが起きて法廷闘争になったりするのでファミリー向けには少し厳しい。ただしハッピーエンドというのは初めから見えていて、もう駄目だとなったところで横紙破り的な打開があったのは少し面白かった。最後はボート一艘が全損したが、金さえあればどうにでもなると思ってはいられる。 ほか英題の印象通りイルカにもかなりの演技をさせている。また個人的にはエンドロールの最後に出たThe Islands of the Bahamasのロゴがバハマ諸島の地図のデザインになっていたのは感心した。 ところで撮影場所はほとんどがグランド・バハマ島にある国内第二の都市フリーポートと思われる。ここは1955年から米英の投資家や金融家が政府との協定のもとで開発してきた地域であり、現在も民間資本のGrand Bahama Port Authority (GBPA) が主体になって地域の開発と運営に当たっているとのことで、エンドロールの最後にはこのGBPAのロゴも出ていた。映画の「製作」はロサンゼルスの合同会社であるのに何でアメリカ映画でないのかと思っていたが、こういう機関が関与したからこそのバハマ映画ということかも知れない。 劇中では悪役として、孫を金で買おうとするニューヨークの富豪や金で動く弁護士が出ていたが、それで最後に天罰が下るわけでもなく、金持ちであること自体は罪ではないらしかった。それよりラストの場面のように富裕層も低所得者層も海賊も、アフリカ系も英米系も(イルカも)みな交じり合って楽しく過ごせる場所がバハマだということになっている。 結果的には、所得階層を問わず皆さんぜひ遊びに来てください、というPR映画だったのかと思った。ただし下級公務員が金で簡単に転ぶと思われていたり、未成年の詐欺・窃盗の常習犯がいたりするようなので渡航時は注意が必要だ。[インターネット(字幕)] 5点(2024-05-04 10:53:17)《改行有》

3.  オクス駅お化け 《ネタバレ》 題名とビジュアルの雰囲気に騙された感じだった。 原題を漢字表記すると「玉水驛 鬼神」だが、原語では日本語の「の」に当たる助詞が省略されているので、邦題ではこれを補って「オクス駅の…」とすべきところ、省略したままにして不器用な直訳の印象を出している。また「鬼神」は「鬼神」のままでもいいだろうが、あえて幼児語の「お化け」にしてユーモラスな方向に引っ張っている。どうせなら「おばけ」にすればもっととぼけた感じが出ただろうがそこまでは徹底していない。 この邦題と、怖そうなポスタービジュアルのギャップに目を引かれたのが見た動機だが、しかし実際そのイメージ通りの映画でもない。黒いオバケが駅に取りついているのかと思ったらそうでもなく、そもそも導入部と本編がほとんど関係ないように見えたのは意外だったが、前日談として一応つながった形ではあるようだった。 ホラーとしては特に怖いところはない。井戸の慰霊で決着がついたかと思ったら実は終わっていないとか、呪いを他人に移すのは確かに「リング」っぽいが、似ているというだけで特に面白くはない。 物語としては、各種問題を頭出ししただけで薄っぺらいので社会派的な面での本気は感じない。劇中の「玉水保育院」は日本で起きた事件を元にしたとのことだが、臓器売買まで持ち出すのでは現代的すぎて唐突感がある。また「4桁の数字は、韓国で児童を対象とした犯罪事件の日付」だそうで、1211・1013・0329は確認できたが、そういう悲惨な事件を思わせるのも形だけの問題提起にしか見えない。 さらに主人公を記者の設定にして巨悪を告発する物語のようでいて、最後は個人的な復讐でしかなくなったようなのは話を逸らされた感がある。ただし社長本人も巨悪の隠蔽に加担した過去があり、今回知らぬふりで逃げようとした?のを主人公が潰した、というようなことなら勧善懲悪的な(というより懲悪的な)話だったことにはなる。また湯灌師の発言をもとに考えれば、主人公は恨むべき相手に正しく復讐したことで、世の中全部を恨まなくて済んだのが幸いだったいうことか。これが儒教倫理的な筋の通し方ということかも知れない。 一応の娯楽性は備えているので極端に低評価にはならないが、何かと半端な印象を残す映画だった。個人的には事前の期待が大きすぎたということもある。 その他、特に序盤で変に漢字が目についたのは日本向けのサービスだったかも知れない。[インターネット(字幕)] 5点(2024-04-20 17:15:45)《改行有》

4.  オンマ/呪縛 《ネタバレ》 題名の印象と違ってアメリカ映画だった。韓国人のお母ちゃんが押しかけて来て恨み言をいうならいかにも怖そうだが、ホラーというより北米の韓国人移民の物語になっている(脚本兼監督はカナダ出身)。 なお英題がUMMAなのはオンマ/엄마のㅓが、例えば太陽/SUNという時のUに近い音だからということかも知れない。韓国語の正規のローマ字表記法ではEOMMAとなるはずだが、それではアメリカ人が(日本人も)読めないわけなので監督の判断を尊重する。 内容的には人間ドラマが中心であって怖さは感じない。超常現象や変なケモノが出ることの必然性もないようだが、監督の考えとしてはホラーというジャンルを使えばテーマを極限まで突き詰められるとのことで、それはその通りと思われる。 題名との関係からすれば母子のドラマが中心で、母~主人公~娘の三世代にわたる母子関係を重ねた形になっている。また、そこへさらに移民の一世~二世~三世(でなく0~2?)という関係も重ねていたようだった。前の世代との間で呪縛と化したつながりを断たなければ前には進めないが、つながっていた記憶自体は失わないことで、自分という存在の原点を心の中で守っていきたいという意味か。白人風に見える娘が母親とともに韓服を着て、墓碑に拝礼していたのは他人事(他民族事)ながら若干感動的だった。 また商店主の姪が言った「自分だけが変な人間だと思うのは間違ってる…」というのは北米社会の包容力を示したものと思われる。これに関して日本社会がどうかは少し考えさせられるものがあったが、適法に入国して現地社会のあり方を尊重し、自ら分断を図ることなく平和に生きるなら、その上で故郷由来のアイデンティティを守ろうとするのはいいのではないか、という少しリベラルな気分になったりはした。韓国の本国社会はどうか不明だが。 その他、映画では韓国(朝鮮)の伝統的な事物を紹介していたが、韓服とかお面は別として、「千字文」や九尾の狐、あやとりは韓国(朝鮮)限定のものではないとアメリカ人に言っておきたい。夜空の月が最後に満月になったのは、月が満ちて機も熟したというようなことの表現かと思うが、これも東洋的な感覚か。 また全くどうでもいいことだが、韓国語の初学者にとって言い分けにくい+聞き分けにくいが意味の違う言葉として달・탈・딸が有名だが、この映画にはその三つが全部出ていて感動した。달は映像だけで台詞に出なかったのが残念だ。[インターネット(字幕)] 6点(2024-04-20 17:15:41)《改行有》

5.  リゾートバイト 《ネタバレ》 2chオカルト板発祥の怪談をもとにした映画である。永江監督のこの手のホラーはシリーズ化していたが、今回の劇場予告編に「ネット怪談最終章」と書いてあるということはもうネタ切れで終わりになるのか。 場所はエンドロールに出ている通り瀬戸内海の白石島(岡山県笠岡市の笠岡諸島)とのことで、特に義理はないが紹介しておくと、旅館は名前を変えているが「白石島旅館 華大樹」、食料品店「あまのストア」も実在する。また地元民役として、オーディションを経た地元キャストが多数出演しているようだった。 原話を読んだことがなかったので一応内容を確認したが、題名の話だけでは長編映画にならないのを、その他の怪談も組み合わせて充実させている。具体的には「リゾートバイト」をメインにして、主人公が御堂に籠る場面から「八尺様」を前面に出す形に作っている。また旅館の2階に上中下の引出しがあったのは、その場面で文字が見えた「禁后」という題名の別の怪談に入っている要素だった。 ほか映画宣伝にある「絶対に先が読めない」展開を意図して、原話にない趣向をラストで加えた形になっている。それ自体は「きさらぎ駅」と似たような印象もあって感心するほどのものではないが、終盤の最終決戦の開始に当たり、登場人物の誰が誰だかわからなくなるのは出演者の演技力が試される場面だったかも知れない。その後のコメディ風味は結構いい味を出していたので嫌いでない。 なお主題歌は不気味な曲で好きともいえないがホラーのエンディングにはふさわしい。全体的に娯楽映画として悪くない感じだった。 出演者として、主演の伊原六花という人はよく知らなかったが、2024/3/16の大相撲中継にゲスト出演したのを見て(終盤のみ)なかなか面白い人だと思っていた。一見あまり特徴のない顔かと思っていたが、今回見るとかなり個性的で魅力的な表情をしてみせる人だった。終盤この人がヒーロー的に大活躍する場面も作ってあるのは大変よかった。[インターネット(邦画)] 6点(2024-04-13 15:45:03)《改行有》

6.  “それ”がいる森 《ネタバレ》 大人が真面目に見るものではない。点数は子ども向け映画という前提で甘くしておく。 題名の「森」(こんもりした山の意)のモデルになったのは福島県に実在する「千貫森」だそうである。ここは実際にUFOの目撃例が多いとのことで、地元の福島市飯野町では「UFOの里」を地域の個性として売り出している。エンドロールに出ていた「福島市UFOふれあい館」は市の施設として公開されており、また2021年には「国際未確認飛行物体研究所(UFO)研究所」も開設されたとのことで、そのPR映画として作ったとすれば子ども向けにできている理由はわかる。ちなみにその研究所は雑誌「ムー」(映像中にも見えた)の協力を得ているとのことで、この映画もホラーというよりオカルト映画と思えばいいかも知れない。従ってSFでもない。 ドラマ部分はいわば「学校の怪談」のようで、大人はわかってくれない系の展開が苛立たしいのは前世紀の遺物のようでもある。しかし子ども向けにしては刺激が強すぎで、特に宿題していただけの児童(川瀬麻友ちゃん)が犠牲になったのは痛々しい。他にも帰って来なかった連中がいたにもかかわらず、最後が晴れやかな雰囲気で終わったのはかなり適当な感じだったが、子ども向け映画として型どおりとはいえる。 なお宇宙人は福島市飯野町にしか来ないとしても、クマの方は全国的に警戒が必要だ。冬眠しないクマがいる場合もあるそうである。[インターネット(邦画)] 4点(2024-04-13 15:45:01)《改行有》

7.  事故物件 恐い間取り 《ネタバレ》 原作を読んでいないので比較できないが、実話とされているものをベースに映像化した感じは出ていて、全体的な印象としては悪くない。芸人の業界らしいドラマもあり、ホラーにしては特色ある劇中世界ができている。 映画的な趣向としては、物件を渡り歩くうちに悪しきものがついて来て、4軒目に至ってヤバさが頂点に達する形になる。クライマックスの対決は盛り上げ過ぎのようだったが、もとの怪談本をそのまま再現したのでなくホラー映画として作ったわけなので仕方ない。最後は一応ハッピーエンドかと思わせておいて、ホラーらしく後味の悪さを加味した終幕になっている。 好んで事故物件に住むなどろくなことにならない気はするわけだが、原作者本人は特に支障なく今に至っているようなので、必ず何かヤバいことになるわけでもない。この映画でもラストの展開からすると、仮に周囲で何かヤバいことが起きたとしても、結果的にこの二人は何とかなるのではと思ったりした。ついて来ていた銀河帝国皇帝のようなのは二人の生命を縮めるものかも知れないが、場合によっては守護する側に回ることもあるかも知れず(「恐怖新聞」の配達人のように)、また笑いで二人の生命が延びれば相殺して余りが出る可能性もある。 その他現実問題として、外国人は事故物件でも気にしないことがあるそうなので、住む人の心持ち次第という面は確かにある。映画では一般の不動産屋に担当者がいたようだが、現実世界では事故物件を専門的に取り扱う事業者もいるようで(高齢者と外国人向けなど)、そのような動きを通じて物件の適正な流通が促されるのはよいことだ。実在の事故物件公示サイトの運営者もそのようなことを言っていた。 ほか出演者では江口のりこさんが魅力的な登場人物になっている。メイクアシスタント役の奈緒という人もいい感じを出していた。[インターネット(邦画)] 6点(2024-04-13 15:44:59)《改行有》

8.  イビルアイ 《ネタバレ》 ホラーとのことだが特に怖くはない。宣伝画像の絵は怖そうだがこういう場面はない。登場人物の演技過剰とBGMの過剰によって軽薄な印象を出している。 話の中身としては、祖母が邪悪なのか主人公の精神状態が変なのかわからないまま引っ張って、終盤にまとめて真相を語る形のようだったが結局よくわからない。わからないのでネタバレを見たらなるほどと思ったが、わかったからといって何かいいことがあるわけでもない。だから何だという感じで終わった。 その他雑感として、メキシコというと荒野のイメージだったが森林もあるらしいことがわかった。衛星画像で見ると緑色の面積も広いので当然だ。また「バッカ」(Bacá)というのが出たので一応調べると、カリブ海のドミニカ共和国にあるものらしい。隣国ハイチ発祥のゾンビと違ってあまり知られていないのを世界にアピールする意図があったかも知れない。[インターネット(吹替)] 3点(2024-03-09 10:32:32)《改行有》

9.  ベネシアフレニア 《ネタバレ》 「ホラー&スリラー映画」とのことで、現地の警察も出て事件の真相に迫っていくサスペンス風味もある。ベネチアの風景が見られるのはいいが、物語としてすっきり整理された感じはなく、昔の薬とか秘密結社の正体は何だったのか、人数を集めて最終的に何がしたかったのか(動画配信で終わり?)が納得できるよう作られている気はしない。最後もそれほど盛り上がらず尻すぼみのように終わってしまう。 テーマとしては世界的に問題化しているオーバーツーリズムを扱っている。以前からベネチアでは大型クルーズ船による観光客の増加や環境悪化が問題になっていたが、2019年6月には衝突事故が発生し、またユネスコの危機遺産指定を回避する関係もあって、2021年8月には政府が大型船の中心部乗り入れを禁止した。しかし大型船が来なくなったわけではなく観光公害も解消されないため、2024年4月からはほとんどが大型船で来る日帰り客を対象に入域料を取ることになっているが、たった5ユーロでは抑制効果がないとの批判もあったらしい。 この映画では大型船の観光客を、疫病を運ぶネズミの群れに見立てて人間扱いしていない。観光客が殺人鬼に殺されるのを住民が見過ごしにしていたのは激しい怒りと憎悪の表現であって、いわば全市が「人殺し(暗殺者)通り」と化していたということになる。ちなみにこの映画は地元イタリアのベネト州も支援しているようだった。 ところで題名の「…フレニア」は精神疾患を意味する接尾辞だろうがそれだけでは意味不明なので、例えば一つのものの中に異質で相反する要素が同居していることの表現と思うことにする。 同居の組み合わせの一つとしては、住民の間に観光客への強い反感がある一方、当然ながら観光で生計を立てる住民も多いことである。もう一つはカラス男(ペストドクター)とピエロの関係だが、これは一人の人間の持つ二面を双子として表現したようで、カラス男も本当は皆殺しにしたい衝動を秘めていたと解される。こういったことで現地の利害対立や住民の苦悩を表現していたようだった。 主人公は本来地味な性格のようだったが、実際来れば無銭飲食とか怪しい場所へ好んで入り込むなどネズミ集団の一員になってしまっていた。ネズミの分際で、友人を殺した男を「人でなし」と罵ったのは笑うところかと思ったが、この主人公も一個体に人とネズミが同居していたと取るべきかも知れない。 それでどうすべきかに関しては、例えば登場人物が言ったように、騒ぎたいだけの奴はラスベガスとか、カナリア諸島やバレアレス諸島のリゾートにでも行けということだ。また目の敵にされていたのは大型船で来る大集団だけで、それ以外は許容可能という区分けはできなくもない。橋で殺された東洋人はそれほど迷惑系にも見えず群れてもおらず、観光客とすれば好ましい方ではなかったかと思われる。主人公のネズミ仲間で生き残ったのも、スマホを持っていない奴と多少なりとも歴史に関心のある奴だった。 最後は歯切れの悪い終わり方で、この映画自体が分裂を内包しているのかと思ったが背後の意図は受け取れなくはない。金を生まない文化は持続性が期待できないにしても、金額で計れるものだけが文化の価値ではなく、また金を生むだけ生ませて潰して(沈めて)しまっていいわけでもない。ユネスコもそういう考えかどうか。 思ったより深い映画だったので長文になってしまった。[インターネット(吹替)] 7点(2024-03-09 10:32:31)《改行有》

10.  アイ・アム まきもと 《ネタバレ》 「おみおくりの作法」(2013英伊)のリメイクとのことだが、撮影場所からすれば「おくりびと」(2008)の成功に味をしめた制作会社が二匹目のドジョウを狙ったように見える。変な題名は我の強い人々には受けるかも知れないが、自分にとっては見る気を減衰させる効果しかない。 内容的にはコメディ要素らしきものが多いが笑えない漫才のようで寒々しく、また本人の性格特性を言い訳にして、お役所だから非効率も許されるはずという前提で話を作っているのは安易な印象がある。都合よく人を死なせて泣かせるのは薄っぺらいドラマというしかない。 物語に関しては、世評によれば結構忠実なリメイクらしいので、この映画に対していちいち突っ込みを入れる気にならない。もとからこういう変な話だったということだ。 一つ書くと、死を語る映画であれば死者よりむしろいまを生きる人々を前向きにさせるメッセージがあってもらいたいと思うが、それがこの映画では「頑張った」だったのか。オウムが言っていたように日々の自分を励ますため、あるいは主人公のように最後にこの言葉が言えるよう、日々悔いのない働きをしようということならわからなくはないが、何にせよ最後の締めの言葉だというのが後向きの印象を残す。 未来に向けて生きていこうと人を元気づける映画でもなく、どちらかというと人生後期の人々向けに、そろそろ自分の最後を意識しておけ、という終活映画のように思われた。今の時代にふさわしい。 以下関係ないが個人的な思いとして、自分としては劇中の元炭鉱夫のように、死んだ後はもうどうでもいいので死体を適切に処理してもらいたいとしか思わない。もう死んでいるので葬式に人が来なくても困らないが、しかしそれでも自分の死を悼んで来てくれる人がいるとすれば有難いと思う(心霊になっていれば泣く)。故人を思う生者の気持ちは大事にしなければならず、自分もまた生きている限りそのような気持ちは持っていたいという程度の感慨を催す映画ではあった。特に同じ時代を生きて来た人が先に行ってしまうのはつらいものがある。[インターネット(邦画)] 4点(2024-01-20 19:55:30)(良:2票) 《改行有》

11.  忌怪島/きかいじま 《ネタバレ》 ホラー映画として怖いところはない。話の前提として、科学技術と心霊は「真逆にある世界」ではないということらしいがだから何だという感じである。いろいろ理解困難なところが多いが、要は島一つをまるごとデータ化して作ったVR世界が「あの世とこの世」の出入口になってしまったということか。鳥居はどっち側のものかとか、この人物はこの時点でどっちにいるのかといった謎解きの仕掛けがあるかも知れないが、どうせわからないので考えるのは放棄した。 ただ少なくとも島の名前が「境島」なのは2つの世界の境界という意味と思われる。最後に2人(+1人)がフェリーで出て行ったのは、国内他地域の言い方だと補陀落渡海のようなものだろうが、撮影地の言葉でいえばネリヤカナヤに向かっていたのであって、それは死後の世界または理想郷(死んだ父親のいる場所/主人公の望むべき世界)なのかとは思った。 その上でさらにホラー要素として撮影地で実際に伝わる呪いの伝承をからめた形だが、複数要素の接合によってまとまりのない印象になっているのは前作などと同様だった。当然ながら物語として共感できるものもない。 その他個人的な感覚として、何とはいわないが非常に嫌な感じの成分が全編にわたって含まれている気がしたが、あくまで個人的な感覚なので他の人々が何とも思わなければどうせ意味はない。 登場人物に関しては、最初に伊藤歩さんが重要人物っぽく出たので期待したがすぐ顔が見えなくなってしまった。村シリーズのレギュラーだった「秋奈」は突撃YouTuberを卒業してしまったらしい。個人的には見どころが多くなかった。[インターネット(邦画)] 3点(2024-01-06 10:14:49)《改行有》

12.  コンパートメントNo.6 《ネタバレ》 寝台列車でモスクワからムルマンスクへ行く映画で、列車内外の冬の風景やムルマンスクの都市景観らしいものも見える。映画評では「世界の見方が変わるような映画」と言われていたが個人的には何も変わらなかった。 原作付きの映画だそうだが、短縮のためか説明不足になっている気がする。主人公には特に共感できないので同室の男に関していえば、最初は粗野なだけに見えて実はけっこう愛嬌のある奴だったが、精神年齢的にはガキのようでもある。これはここの国民がこれで普通というよりも、この男個人として人格形成の過程に特殊事情があったのではと思わせる。しかし男の出自をはっきり示すものはなかったようで、ペトロザヴォーツクのガガーリンは何だったのか、住所交換を嫌うのはなぜかといったことが不明点として残る。 ただ少なくとも食堂車から戻ってからの主人公は男にとっての母親のようで、その後の行動はいわば愛する母への献身なのかと思った。いわば不良少年と母親の関係とすれば男女のラブストーリーではなかったことになる。男が言った「みんな死ねばいい」は絶望の表現だろうが(ガキっぽいが)、その心は主人公も共有できていたかも知れない。ラストで車内に陽がさして来たのは悪くなかった。 点数は普通につければ無難に5点くらいだろうが、製作国4つの中に個人的に嫌悪する国が入っているので採点放棄で0点とする。映画に罪はないだろうが感情問題ということで。 ついでに書くと自己紹介で名前を言われたのにアロハと答える奴の無神経さを憎む。隣国であるのにЛёхаが人名ということも知らないのか。[インターネット(字幕)] 0点(2023-12-30 16:45:47)《改行有》

13.  先生!口裂け女です! 《ネタバレ》 前に見た「スマホ拾っただけなのに」(2019)と同じ監督なので、この映画も台湾映画「報告老師!怪怪怪怪物!」(先生!かかか怪物です!)の真似かと思ったが中身は違っていた。実際に題名通りの台詞もあったのは笑ったが、後の方になると「先生」の意味が変わって来る。ジャンルとしてはホラーというよりコメディであって終盤にはアクション場面もある。 口裂け女に関しては、最初はその辺の住民とどこが違うかと思わされるが実は真の口裂け女であって「私、きれい?」の台詞もちゃんとある。もともと口裂け女は三鷹・三軒茶屋・三宮といった「三」のつく場所に出やすいと言われているが、この映画でも主人公は東京都三鷹市に住んでいて、名字がミカミだったのも三上とか三神のつもりだったかも知れない。また走るのが早いので原付では逃げきれないとの伝承があるが、その原付も映画の構成要素として使っている。 物語としては、特に考えもなく悪事に関わっていた高校生が自業自得で危機に陥ったが、先生のおかげで助けられて心を入れ替えた話になっている。序盤はワルぶってイキがるクソガキ連中が苛立たしいが、最終的には微笑ましい青春映画になっていて和まされた。また終盤の戦いでは先生の大活躍がものすごく格好いいので感動した。 主人公の家庭は一人親だったが、ものわかりのいい片親だけでは家庭教育が行き届かなかったクソガキを、先生が強烈な手法で矯正してくれた形になっている。また先生が去った後は姉が年少者を導く存在になったのかも知れない。 今回の件で先生が三鷹を去らねばならなくなったのは寂しいことだが(千葉県木更津市に移転?)、ちゃんと仕置人の仕事は完遂していたようで笑った。今後の活躍を期待したくなるヒーロー映画でもあった。 登場人物としては転校生が愛すべきキャラクターで、主人公の姉もなかなか格好いい姉貴になっている。口裂け女も愛嬌のある人物で大変結構でした。[インターネット(邦画)] 7点(2023-12-02 14:34:24)《改行有》

14.  バトル・オブ・バンガス 《ネタバレ》 何でロシアがアフリカで戦争するのかと思ったが、実は有名な民間軍事会社ワグネルのプロパガンダ映画とのことだった。背景にはロシアがワグネルを使ってアフリカで影響力を拡大しようとする動きがあり、この映画は2021~22年の中央アフリカ共和国での話だが、最近では2023年4月にスーダンで起きた武力衝突でもワグネルが存在感を見せていた。 原題のツーリストとは新米の主人公に指揮官がつけたコールサインである。当初は観光客のような意味だったらしく、またその後はいつまでも娑婆の気分でプロになり切れない奴というニュアンスも出ていたが、最後は本人が自分なりの意味づけをして終わっていた。なお改名前のコールサインは字幕に「ピオネール」とフリガナをつけた方がよかったかも知れない。 物語としては、劇中時点で予定されていた大統領選挙で元大統領を推す勢力(旧宗主国フランス?)が暗躍し、カトリック教会の神父を使って騒乱を起こそうとしたが、ロシアの民間軍事会社の働きで無事収まって現職大統領が再選され、地元住民に「ありがとうロシア」と言われたという話である。現地の国連軍は役に立たないものとして扱われている。 会社の業務は現地の兵隊を訓練することであって戦争しに行ったのではないが、しかし一方的な攻撃を受けて逃げる気もなく、また武装解除してまで他者の保護を受けるつもりもなく応戦する形になっていた。結果として最初に来たアマチュア武装集団も、次の少しプロっぽい軍隊もほとんど皆殺しで死屍累々の状態にして、ロシア人はスパルタ人のようなものだと敵方に言わせていた(参考映画「300<スリーハンドレッド>」)。また仲間の生命は味方を脅してでも救うといった姿も見せている。 日本でこれを真に受ける人々はあまりいないだろうが本国では入隊勧誘に役立ったりしたのかどうか。単純に映画としての印象はそれほど悪くなかったが、世間の風潮に合わせて点数は低くしておく。 その他、1980年代に隣国で起きた「トヨタ戦争」のように、今でもこの辺ではトヨタ車が多く使われているということなのか、敵味方と民間にもトヨタ車がやたらに目立つ映画だった。またプロパガンダ的に「米国人は民主主義のため、俺たちは正義のため」という台詞(字幕)があったが、これは民主主義自体は正義でも何でもなく(目的でなく手段)、民主主義のためだといえば何でも許されると思うな、というように解しておく。[インターネット(字幕)] 1点(2023-11-25 15:37:51)《改行有》

15.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 今回はオープニングで東映のロゴが出る。仮面ライダーは対象年齢が自分より少し低かったので、リアルタイムではあまり熱心に見ておらず思い入れもそれほどない。 アクション場面では、序盤で崖の上から飛び降りるとか唐突な場面転換などは元の雰囲気が出ているが、その後は映像効果を多用した独自のダイナミックな映像を作っている。最後は単なる取っ組み合いの喧嘩になっていたが意図があってのことと思われる。 敵組織の目的が「人類の幸福探し」であるからには、「幸せって何?」を問う映画かと思ったら「最大幸福」は放棄したとのことだった。昔あった「最小不幸社会」の再現かと思ったが、しかしそれより進んだ現代的感覚として、不幸な人々の救済のためにはその他大勢にどれだけ負担や犠牲を強いても構わないという価値観のようでもある。その上さらにこの映画では、絶望した個人を敵組織が適当に選抜して強大な力を与え、当該個人の趣味嗜好で勝手に幸福を追求させることにより、その他大勢どころか社会全体に破滅的被害が及ぶ恐れが生じていたらしい。いわば不幸最強社会ということで、善なる意図を標榜しながらも、まるで社会の破壊自体が目的になっているかのようなのは嘆かわしい。 出て来た連中はほとんどテロリストだが、うち0号の男だけは本当に人類の幸福を目指していたらしい。しかし政府の男が言ったように「絶望の乗り越え方」は個人により違うのであって、全部まとめて処置すれば問題解決というのは間違っていることになる。最後の戦いで本郷は、社会の破滅を阻止すると同時に個人の救済にも手を貸していて、それが常に可能とも限らないがそういうことを彼は目指したのだと思われる。幸も不幸も人によって処方箋は違うはずだということだが、ちなみに「幸せって何?」に関してはルリルリの話がけっこう本質をついていた。追伸が泣かせる。 もう一つ、この世界で信じられるものがあるとすれば組織でも主義主張でもなく個人の単位でしかないのであって、そのためには誰をどこまで信じるかの見極めが大事と言っていたようでもある。ルリルリと一文字は本郷を信じ、また政府の男らをも個人としては信じようとしていたらしかった。ほか本郷が「自分の心を信じる」と言ったのは、自分がもともと持っていた良心の根底部分をどういう状況下でも失わないと決意したのかと思った。信ずべきもののわからない人類社会で、個人の心の持ち方を提言しようとした映画と取れる。 最終的には本郷の誠実さと一文字の反骨精神をもって戦うヒーロー像が実現し、とりあえず当分このまま戦いが続くらしいが、仮にこれが1年間のTVシリーズだったとすれば、最終回で人工知能が何をするかが問題になるのではないか。ロボット刑事がずっと見ていて人間の行動に関心を持ったりしていたので、その観察結果をもとに人工知能が本郷と同じく自分を変える結末だったらハッピーエンドになるかも知れない。それまでは見るのもつらい戦いになりそうだが、一文字が陽性で打たれ強そうな男なのは救われる。 以下その他雑記: ・全体的にシリアスで笑わせる場面は基本的にないが、大阪でいうとされる「知らんけど」のような台詞を浜辺美波さんが言っていたのは、制作側と若い世代の断絶を自虐的に表現したようで微妙に面白い。古い世代の常識?とされた赤いマフラーはけっこう感動的な使い方をされていた。 ・SHOCKERのSがSUSTAINABLEなのは今っぽいので笑った(偽善的)。浜辺美波さんもここは憶えにくかったのではないか。 ・キカイダーとロボット刑事は、日本語文中の英語を機械的に英語の発音に置き換えればいいと思っていたようで、各国事情に配慮する気のないグローバルな雰囲気を出している。 ・個々の改造人間についてはコウモリ→ウイルス→科学者、パリピ+薬物?といった現代的事象もあるがハチ→女王様はわかりやすい。それぞれの絶望の理由は必ずしも明瞭でなかったが見る側で察してやれということか。三種混合は単なるバカ(哀れな奴)。 ・一文字はかつて仲間を失う経験をして絶望し、自分は孤独が向いていると思い込もうとしていたが、今回の件でまた仲間を求める方向に転換したようで、この男の救済にも本郷が手を貸したことになる。政府の男らは機器類のメンテナンスその他に欠かせない連携先であり(なんと米軍まで動かしていた)、どこまで信じて協力できるか見極める力を一文字は持っている。 ・「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」に続いて体臭の話題が出ていたが今回は男だった。ニオイフェチとかは関係なく彼が人間であることの証拠と思われる。[インターネット(字幕)] 9点(2023-11-11 15:10:57)(良:1票) 《改行有》

16.  シン・感染恐竜 《ネタバレ》 本編の前後両方に長々とクレジットが出るので人名を見せるための映画なのかと思う。また主要キャストの名前がスタッフの名前にも出ていたりして同好会レベルを思わせる。 監督は毎年こういうクズ映画を量産しているようで、映画間でキャラクターが共通していることもあるらしい。台詞にあった「5Gゾンビ」や「殺人スズメバチ」、また本編の前・中・後に出た魔女風の案内役も同監督の別映画に出ていたものらしいが、今回特に説明もなかったのは観客も常連化しているからと思われる。この映画からは「Ebola Rex Versus Murder Hornets」(2021)に続いたと思われるが、そういうのにどこまでもついていく連中がいるということか。 実感として見れば見るほど損失が累積する映画だったので、こういうのは0点でいいのではと思った。アメリカ映画の最底辺を見た気がする。[インターネット(字幕)] 0点(2023-11-11 15:10:55)《改行有》

17.  漁港の肉子ちゃん 《ネタバレ》 人に勧められたので見たが、勧めたくなる気持ちはわかった気がする。子どもの生育過程に必要なものを惜しみなく提供する人物像と、自分の存在を肯定できた子どもの姿に反感を覚えそうな人々は見ない方がいい。 事前に絵面を見た限りでは、こんな人物が近くにいれば煩わしい(暑苦しい)だろうとしか思わなかったが、実際は意外に嫌悪を感じさせないキャラクターができている。また映画紹介を読むと社会性が強そうで敬遠したくなるが、見れば意外に嫌味を感じない。暗い場面や寒そうな場面もあるが基本は陽性の物語であって、ちゃんと笑わせて泣かせる作りになっているのはさすがと思わせる。登場人物は年齢性別境遇が自分と違うので直接共感する立場にはないが、問答無用で感情を動かされるものがある。 またアニメらしいファンタジックな作りで可笑しみを出しているのは楽しめる。かつて死ぬ気で働いたという仕事が奇怪なキノコの収穫だったのは子どもの想像の世界だからということか。またその辺の生物とか神社が言葉を発するのも文学少女的な性格の表れかと思うが、あからさまに人の声を当ててしゃべらせていたのが変でユーモラスに感じられる。お嬢様風の同級生の自宅が領主貴族の居館のようだったのはふざけすぎだ(笑)。 主人公の少女は小学5年生の割に達観したところがあり、これは遺伝的資質のせいかも知れないが反面教師が側にいたからとも思われる。またその反面教師の人徳のせいか、頼れる人物のいる生活環境ができていたのも救われる。親はなくても愛はある、ということも含めて、不遇なようでも実は幸運のもとに生まれた子どもだと思っていいかも知れない。 最後の出来事はどう評すべきか困るものもあるが、少なくとも事前にちゃんと祝いの品が用意されていたという点は感動的で、これは神様の特別な計らいだったと取れる。劇中人物の好みそうな品で2人を祝福しようと企んだらしく、エロ神社といわれていた理由は説明されていなかったが、特に女性を贔屓する神様だったからだと思っておく。[インターネット(邦画)] 8点(2023-10-14 17:01:44)《改行有》

18.  泣く子はいねぇが 《ネタバレ》 秋田色の濃い映画である。海浜景観に日本海沿岸の風情があり、秋田名物ババヘラアイスも出たのは感動した。地方ではあるがみな現代に生きる日本人であり、必要以上に田舎臭く見せることもないのは秋田出身の監督として当然といえる。 男鹿の「なまはげ」に関して、劇中では「なまはげ保存会→存続の会」会長の男が全体を一人で引っ張っている印象だったが、実際は多数の集落単位で個別に行ってきたものらしい。もともと地元の青年団のような人々がやっていたのだろうから多少の不祥事があっても変でなさそうだと思うが、現実に2007年末の悪質な事件が全国に知れ渡ってしまったことがあり、この映画もそのことが発想の原点にあったかと思われる。行く先々で酒を注がれて飲まねば済まない地域社会の縛りの中で、主人公のような腑抜けが個人的方針を通すのが難しいのは間違いない。 帰郷した主人公を直接責める者はあまりいなかったが、あからさまに攻撃して来たのが会長の男であって、これは主人公のせいというより会長自体の人間性による。「わがんねんだよおめだぢが」と言っていたがわかる能力がないのであって、自分の決めた枠に人間をはめ込む以外の観念がなく、枠から外れた者には容赦なく憎悪を叩きつける。本人は善意と信じているので手に負えず、指導力があると思われて持ち上げられるのでどこまでもリーダー然としつづける。個人的には最悪と思うがこれも人間なのでどうしようもない。 一方の主人公は極めて善良な男だが、眼前の問題にまともに向きあえない人間だったようで、今になって向き合うにしても普通人のレベルとの差が開きすぎている。保育園での姿などはあまりに見苦しく、おめあど死んだ方いいんでねが(…秋田方言になっているか不明)と言いたくなったが、現に生きている人間が簡単に死ねるわけもないのでどうしようもない。序盤に出た「シロクマ効果」との関係でいえば、最後の出来事を経て心が入れ替わる可能性も表現されていたかも知れないが、安易に希望を語る気にもならなかった。 解説によると「父性」がテーマだそうだが主人公があまりに不甲斐なく、とても父性を語る域に達してないようで素直に受け取れないが、しかしそういう感想自体が劇中会長に近いかと思うと何ともいえなくなる。自分としては会長よりは主人公に近い側と感じたのは間違いない…というよりかなり近いかも知れない。結果的に自省させられた映画だった。 ほか周辺人物に関して、「運動会」ビデオを見た兄の発言は不明瞭だが孫を見せたかったと言っていたのか。事件のせいで兄が結婚の機会を逃したとすれば、いわば会長と並ぶ直接の被害者だったことになる。また親友も主人公の任務懈怠のせいで破滅したとすれば被害者だろうが、悪友ながらも最後まで主人公の味方だったらしい。社会にはこういう奴もちゃんといるということで、自分が神様の会長などとは大違いだった。 出演者について、吉岡里帆は個人的に最近見ていなかったが、こういう顔をしてみせる人だったかと改めて思った(顔自体はどんぎつねと同じだろうが)。また序盤だけだったが古川琴音という人も目を引いた。仲野太賀には引き続き期待する。[インターネット(邦画)] 8点(2023-09-30 10:51:07)《改行有》

19.  ニューオーダー 《ネタバレ》 メキシコ国家の悪を暴く映画である。映像面や物語構成についてはそれなりに見せているが、残酷な場面があるので一応要注意である(電気棒を尻に挿すなど)。 映画として何を訴えたいかは公式サイトに監督の言葉が一応書かれていて、民衆を顧みない政府をこのままにしておくといずれこうなる、という警告とのことだった。冒頭がショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」で始まるのでロシア革命の民衆蜂起のようなことを予感させるが、結果的に民衆が勝利したとはいえなかったという意味とも取れる。劇中では最初に暴動を起こしておいてから、軍隊がこれを鎮圧する体で新たに抑圧体制を作ったのが「新体制」の意味だったのかも知れないが、そうだとすれば特に目新しさを感じるものではない。題名は刺激的と思ったが期待外れだった。 現実の問題として、メキシコでは以前からの麻薬戦争との関係で、犯罪組織だけでなく警察や軍隊までが虐待・拷問をやってきたということはあるらしい。しかしこの映画のような営利目的の誘拐を、末端はともかく軍として組織的かつ大々的に行うことまで実際あるのか、あるいはやりかねないとアピールする根拠はあるのかどうか。まあ根拠があると地元民が思うなら他国民として否定できるものでもなく、一応何が起きるかわからない世の中とはいえるが、ちなみにメキシコ国家が本当にこれほど恐ろしいならこの映画も公開できない(関係者は生きていられない)だろうから、基本的には安全な環境で批判だけしている状態だろうと思っておく。 なお登場人物のうち「ビクトル」というのは父の友人とされているだけで実際何なのかは不明だったが、公的機関に関わっていて、軍の高官と思われる将軍よりも立場が上に見えたからにはかなりの権力者であるらしい。最後の場面で3人が並んでいたのは「軍」「政」「財」であって、これら勢力が癒着して国を動かしているが、実は「財」が痛めつけられる立場だというのを象徴的に示したのかも知れないと思った。 その他雑談として、メキシコでは公的健康保険の加入者は公立病院で自己負担なしで診療が受けられるそうで、それ自体は社会保障の手厚さを思わせる。ただし医療の質や治安の問題から、経済的に余裕のある人々は自己負担で私立病院を利用するとのことで、そのための民間医療保険に加入することもあるようだった。現地の日本人は私立病院の利用を勧められているようで、庶民向けが明らかに安かろう悪かろうという点に格差が見えているとも取れる。メキシコが世界最悪なわけでもないだろうが。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-16 10:03:27)《改行有》

20.  呪餐 悪魔の奴隷 《ネタバレ》 「悪魔の奴隷」(2017)の正統な続編である。「夜霧のジョギジョギ」(1987)はともかく前作を見ていないと厳しいかも知れない。 大まかにいうと主人公の家族は悪魔に狙われていて、前回は戸建ての自宅で恐ろしい事件が起きたが、そこから逃げて住んだ高層アパートが実は悪魔教団の拠点のような場所だったということらしい。この家族を助けようとした男は前回も出ていたが、実はこれがオカルト雑誌「MAYA」の創刊者であって、都市伝説の形で世間に悪魔の脅威を警告していたことになっていた。またラストで出ていた男女は、前回は悪魔側のエージェントのようなものかと思ったが今回も正体不明のままで終わった。 劇中年代としては冒頭で1955年の場面を見せた後、本体部分は前回の事件から3年後の1984年ということにしている。映像が茶色いので前回よりかえって古く見えるが最初だけである。 前回はけっこう考えさせられるミステリー調の展開だったが、今回は趣向を変えて単純に面白がらせる映画にしたようで、主人公の家族や周辺住民をさまざまな手で怖がらせたり悲惨な目に遭わせたりするお化け屋敷ホラーになっている。舞台の高層アパートは、外観はシンプルだが内部は結構複雑な構造でお化け屋敷にふさわしい変化を出している。 登場人物中に中学生くらいのガキ連中がいるので「学校の怪談」のようでもあるが女子にも容赦ないので安心できない。かなり悲惨な場面もあるがグロくは見せず、叫んで騒いで笑わせる場面もあってドタバタコメディのようでもある。 ストーリーとしては、何か破滅的な大事件が起きそうでいて結局何だかわからないまま終わってしまったが、これはオカルトライターやラストの男女の言葉からすると要は次回作を待てということらしい。そのほかバンドン会議(1955)との関係や、その他前作を見ていても意味不明な点は多々あるが、次もあるなら考えなくてもまあいいかと思わせる雰囲気もあり、制作側の意図のとおり(多分)単純に面白がらされる映画だった。 出演者も前回と全員同じで、主人公(姉)には次第に愛着がわいて来たので次回作での登場を待ちたい。弟らは少し年齢が上がって(+5程度)クソガキ的な雰囲気が濃くなって来ている。またラストで正体不明の女性がちゃんと顔見せしていたのは嬉しくなったが、今回は最後に観客の方を見てくれなかったのが残念だった。[インターネット(字幕)] 6点(2023-08-19 09:54:22)《改行有》

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