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プロフィール
コメント数 678
性別 男性
自己紹介 ソフト化されたタイミングでのレビューが中心です。2008年、子供の頃から夢だった自宅シアタールームがついに実現しました。(100~110インチ程度、音響2.1ch)できるだけネタバレせずに書いていますので文章がおかしい場合もあると思いますが、暖かい目で見守ってやってください。(2014初登録)

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456789
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1.  アイ・アム・デビッド 《ネタバレ》 テレビで観て感動しましたが全然人気がないので驚きました。ロードムービーとしても出来が良いし、何よりも子役(デビッド)の影があるような寂しい眼差しから色んな感情が見て取れます。この子は映画出演が初めて(結局他の映画には一つも出てないようです)ですが非常に良いです。全体的にゆったりしたシーンが多く、崖っぷちでお風呂に入るシーン、続く金持ち女の子の家族との一件など、なんとなく無駄とも思えるシーンが続きますがそれらはとても心地よい余韻を残します。 終盤、ソフィー(ジョーン・プロウライト)が出てきて一気に映画が締まります。ソフィーとデビッドのやり取りはとても優しくそして温かい。収容所では決して教えられることのなかった「人の優しさ」を理解し、デビッドの心境にも余裕が生まれてくる描写はとても心地よいです。この辺の演出、映像は本当に素敵です。 ラストが突然やってきますが中盤がかなりノンビリしていましたので、たたみかけるようなスピード感は結構正解だったと思います。本の裏表紙に母親の写真を見つけてからが省き過ぎという意見も見られますが、母が著名人&看守長の個人的な感情で一気に全てが繋がる訳で、これ以上の説明は蛇足だと思います。(特別扱いされただけで、さして深い意味も無いと思いますし) 何度見てもダミアン・ライスのコールドウォーターが流れてくると一気に涙腺が緩みます。終盤、ヨハンと看守長との目くばせでデビッドが守られていた描写なども泣かせます。原作本も読みましたが本来ならもっとヨハンとデビッドの絆が詳細に描かれるべきですが、映画だけ見たらヨハン、看守長、デビッドの母のつながりなどがイマイチ判り難い点が惜しいですね。また、デビッドが多国語に精通している描写も欲しかったところです。(ヨーロッパ圏は多言語を理解している人が割と多く、意外と当たり前のことだったりします) 人には全く勧めませんが、個人的にはとても大好きな映画!満点でしょう![地上波(吹替)] 10点(2014-05-03 13:16:29)《改行有》

2.  ボーン・アルティメイタム アルティメイタムは説明不要のカッコよさ。これほどカッコよくてリアルなスパイものアクション映画は滅多にありません。 このシリーズが素晴らしい理由は主人公の考え方と行動&アクションのリアルさに尽きますが、敵側の闇の深さも特筆ものです。敵側(政府)の縦社会ゆえの二重三重に張り巡らされたダークな部分がボーンの純朴さを際立たせる結果につながっています。もちろん元々はボーンもダークサイド側の人間だったわけで、自分から進んで闇の核心部へ足を踏み入れて行った事実はありますが、だからこそ記憶喪失になった現在のボーンの行動がリアルで奥深いものに昇華しています。記憶が戻るにつれボーンの表情から哀愁すらも感じられるストーリー展開は彼には気の毒ですが、映画としてはこれ以上ない素晴らしい流れになっています。 パート1から順に観ていただくと感動も倍増しますが、強いて文句を書けばパート2から監督変更&リアリティ追及のせいでアクションシーンの手ブレが酷くて目が疲れます。「頼むから続編は作らないでくれ~」という個人的な願いもむなしく、陳腐でつまらない続編が作られてしまいましたが、初期三部作(1-2-3話)の後の、あのニッキーの表情&エンディング曲の流れはやはり素晴らしいとしかいいようがありません!(BTTFやゴッドファーザーのように三部作で綺麗に終わらせていたら伝説だったのに)[ブルーレイ(字幕)] 10点(2014-04-29 21:38:52)《改行有》

3.  アザーズ 《ネタバレ》 この映画は二回目の鑑賞のほうが断然面白いです。初回ではどうしてもグレース(ニコール・キッドマン)の美しさばかりが目立ってしまって映画に集中できない問題があります。また、最後の最後まで答えを見せない作風であるにも関わらず、序盤から伏線が多いので意味が判らないようなシーンも少なくありません。 しかしオチを理解した上でもう一度同じシーンを見返してみると、全く違った見え方になるのが素晴らしいです。なぜ娘(アン=アラキナ・マン)があれほど母を毛嫌いしていたのか?序盤は意図的に娘を悪者に仕立て上げる流れで、ミスリードのさせ方としてはちょっと悲しいですが、娘にしつこく朗読させていた聖書、最初に描いたアザーズの絵と彼らに出会った回数、ビクター(アレクサンダー・ヴィンス)との関係性、老婆になっていた件などなど、非常に丁寧かつ巧みに伏線が仕込まれています。(実際娘は悪くないし、母への不信感から悪態をついていたと理解できるラストも泣かせます) 三人のメイドのセリフや旦那(クリストファー・エクルストン)のセリフなども巧みで奥深く、とても上手にミスリードを誘っています。特に旦那(父)が出てくるあたりから幽霊オチ確定の雰囲気が漂ってきますが、しかしそれでもなお、まだ誰が幽霊なのか判らない曖昧な展開は本当に秀逸でした。 終始暗い話と神経質過ぎる美しい母のせいでうんざりするようなシーンも少なくありませんが、とにかくオチが素晴らしい。おそらく光アレルギーと掛けてあるであろう子供たちの顔色も、後から考えると悲しくも素晴らしいし、この作品で提示された新しい視点で考えると、途端にこの物語の全てがリアルに感じられてきます。逆転の発想とはまさにこの映画のこと。シックスセンスとは似て非なるもの、本作も複数回見たくなる非常によく出来た素晴らしい作品でした。[インターネット(字幕)] 9点(2022-09-13 10:48:53)《改行有》

4.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 一般的には好き嫌いが判れそうな展開です。残念なことにダニーボイル&アレックスガーランドら特有の”驚く展開にしたい”という妙な癖が多数の観客の反感を買ってしまったような気がします。 皆さんご指摘の通り後半部分があまりにも突飛ですが、そもそもこの映画は序盤からピンバッカー的思考(マーク・ストロング)で話が進んでおり、実はほとんどのクルーが太陽に魅せられています。ある者は破滅し、ある者は命を投げ出し、そしてある者は使命を達成する、そんな映画です。ピンバッカーがああなった経緯が端折られているので、そういった意味では非常に不親切といえますが、序盤からサール(クリフ・カーティス)やカネダ船長(真田広之)など太陽と関わるシーンが多く、ピンバッカーがどうなっていったのかはおのずと理解できる作りにはなっています。 仮にピンバッカーが出ていない脚本を想像してみましたが、それはそれでやたらと退屈で地味な映画が出来上がりそうな気もします。結局のところ、ダニーボイル&アレックスガーランドの選択は間違っていなかったということでしょうが、ピンバッカーの扱いがもう少しソフトでしたら万人受けしただろうにと、その点は本当に惜しいと思いました。 ラストも綺麗にまとまっていてなかなか完成度の高いハードSFといえます。若干の説明不足感や各シーンのぶつ切り感はありますが、冗長になりがちな説明シーンを省いてくれたおかげでスピード感と緊張感を保った素晴らしい編集になっています。宇宙が大好き、SFにロマンを求める、哲学的な映画が大好きという方には強くお勧めできる映画です。ノーラン監督のインターステラーとは対極にあるようなハードSFの名作といって良いでしょう、個人的には最高のSF映画でした!![インターネット(字幕)] 9点(2020-02-27 12:55:01)《改行有》

5.  パッセンジャーズ 《ネタバレ》 「オチ」「どんでん返し」「二番煎じ」などの言葉が舞っていて、手厳しいレビューも多いですね。しかしこの映画は明らかにヒューマンドラマです。そういった意味ではパッケージや宣伝の人の罪は大きいですが、映画というものは変に勘繰らず素直に没入したほうが作り手の意図する流れに乗れて幸せです。ネタバレすると面白さが半減しますのでレビューなど見ずに鑑賞することをお勧めします。 【ここからネタバレ注意】 そもそも題名からしてネタバレしていますが、まさかこういう方向だったとは・・ なかなか意外です。死んでなおしばらくの間は普通に生活している(気づかずに)であろうという説は聞いたことがあります。しかし死後の世界は検証不可能なので自分がそこへ到達するまではそれが事実かどうかは判りません。そういった意味ではがっつりファンタジーだともいえます。 この映画では、人が不慮の死を迎えた時の無念さや寂しさがよく表現されています。特にネタバレ後のエピローグの部分がとても素晴らしくて、機内での最後の描写があるおかげで映画全体がより一層哀愁あるものに昇華しています(そして伏線回収も一気に行われます)。 本来なら無事に飛行機が着陸し、その後あったであろうその人の人生・希望・理想を彼女は生きたわけですが(まあ死んでいるけれど)、あのエピローグのおかげでその希望的な余韻が感じられます。あのエピローグのおかげで観客も主人公と一緒に走馬燈のように映画をおさらいできたと思います。むしろラスト10分で評価が一気に上がりました。 「ありふれた手法だし陳腐なネタだ」と切り捨てる前に、深くこの映画を理解すればどんでん返しに主軸を置いていないことに気付くでしょう。誰も生きている人は出てきませんが、非常に暖かい映画であったといえます。バランスよくまとまっていてとても素晴らしい作品です![インターネット(字幕)] 9点(2018-07-16 10:45:09)《改行有》

6.  レスラー プロレスに全く興味がなかったのでこの映画も完全無視をしていましたが・・ いやぁ全く、素晴らしい映画が眠っているもんです!昔は凄かったのに今では底辺のプロレスラー。自業自得といってしまえば身も蓋もないですが、ランディ(ミッキー・ローク)は真面目で正直な男だし人間の生き様としては非常に渋かった。いやシブすぎました。 しかしながら、この男は少々豪快過ぎる部分があり、酒で大失敗するシーンが描かれます。娘と会うのが嬉し過ぎて女と酒でハメを外すとかどんだけ子供なんだと。。いわゆる”人間としては最低の部類”といえますが、普段はプロレス仲間からは慕われており、近所のちびっ子たちと一緒にTVゲームで遊んだりする一面も見せ、純粋で真っすぐな人間的魅力というのも同時に描かれています。結果的になんとも味わい深い愚直な人間(ランディ”ザ ラム”ロビンソン)が形作られています。 この愚直でイライラするような男(漢)を脇で支えるのがストリッパーのキャシディ(マリサ・トメイ)で、こちらは風俗業=我が子に見せられない問題、年齢問題、プライベートと仕事の分離問題などの葛藤をウマく表現しつつ、ランディを裏で支えるポジションとして機能的に配置されています。 全編ドキュメンタリー風なので映画として良いのか判りませんが、風景やシーン、表情やセリフがいちいち心に入ってきます。音楽を徹底的に排除したことで観客とランディが一体になって共感できた成功例だと思います。私はミッキーロークのことをほとんど知りませんが、このシブさは役者の内面がにじみ出ているのは容易に想像できます。主演男優賞ノミネートは納得、いや、これほどシンプルで心に響く映画も珍しいので是非賞を取っていただきたかったものです。 女には受け入れがたい最高の男泣き映画を装っていますが、実は人間の本質を描いた超ヒューマンドラマとして、男も女も、プロレスが大嫌いな人間にも広くお勧めできる素晴らしい映画です。ラストの演説~試合~暗転の説得力は近年稀にみる素晴らしさでした。[インターネット(字幕)] 9点(2015-10-15 16:01:45)(良:1票) 《改行有》

7.  地獄の黙示録 特別完全版 劇場版は残念な評価でしたが完全版で180度評価が変わりました。サーフボード、プレイメイト、フランス農園の追加シーンがとても素晴らしい余韻を残してます。これらの長くて完成された”絶対に必要であったであろうシーン”を削除してしまった劇場版は、明らかに編集ミス&イミフな映画の代表になってしまっています。「ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録」からもその辺の混乱は見て取れますが、おそらく監督自身も映画の完成形がまだまとまっていない中で編集したんだろうと思われます。追加シーン(多少のシーン入れ替え等)のおかげで、ロードムービー・哲学ムービーとしてもかなりの完成度に生まれ変わったと思います。 賛否が分かれるフランス農園のシーンですが、私はこのシーンが大好きです。政治的な会話のおかげで、映画がより哲学的で分かり易いものになった印象です。副次的ですがロクサンヌの美しいシーンも堪能できますし、これからやってくる「この世の地獄」へ向かうにふさわしい追加シーンだったと思います。エンディングの全カットに関しては「全て殲滅せよ」というメモとの整合性を考えると違和感を感じますが、まあ、評価には影響しない程度です。 名作ですが大人になってから感じるべき映画だと思います。なかなか人にはお勧めしにくい映画ですが、私にとっては年に一度は鑑賞するマイベストムービーです。(劇場版は見ませんが)[DVD(字幕)] 9点(2014-09-04 17:06:26)《改行有》

8.  たそがれ清兵衛 テレビで何気なく見てハマった映画でしたが、、ディスクを取り寄せて何度も見返すと更に深いです。真田広之と宮沢りえの演技がとにかく非常に素晴らしい。井上陽水の音楽は蛇足だとおっしゃる方もいますが、私はあの音楽とナレーションがあって初めて彼(清兵衛)の心情が理解できるのだと感じました。 刀での斬り合いという意味での完成度も高く、今まで時代劇や戦国ドラマを見ても刃物で斬り合いをしているという事実にピンと来なかったものですが、、この映画を見て初めて「斬られる怖さ」を実感しました。自分がアノ時代に生きていたら地獄だろうなと改めて恐怖を感じます。邦画(時代物)としては異例の完成度ではないかと思います。本当に本当に大好きな映画です! 斬り合い、恋心、子育て、仕事、上司、貧乏など、色んな要素がてんこ盛りですが、全てがすっきりとまとまっていて、刀で切りあう激動の時代の中での清兵衛と朋江の淡い恋心がとてもピュアに表現されています。泣けるよあんたら・・。 PS. 最近DVDから買い直したブルーレイの画質が悪すぎるのには違う意味で泣けますた。(頼むよ松竹さん)[地上波(邦画)] 9点(2014-04-30 17:23:15)《改行有》

9.  ウォルター少年と、夏の休日 《ネタバレ》 非常に素晴らしい映画!遠縁のじい様二人の家に預けられた少年は、時間つぶしのためにじい様から聞かされた昔の武勇伝がにわかに信じられなかった。夜の地下室で大金を発見し、じい様二人は悪い人なのかもしれないと思い始めるも・・ 昔の武勇伝が真実だったというありがちなプロットですが、これほど上手にまとめてあるものは意外とないですね。昔パートの冒険活劇も非常に面白いし、現代パートも中古の飛行機や中古のライオンが届いたり、地下から大金が出てきたりと休む暇がありません。彼らの武勇伝は真実なのか、それとも大嘘つきの大悪党なのか?豪快でニヤッとさせられるラストは素晴らしすぎます。話の核になっている「男とは」というスピーチも非常に深いです。族長の孫がヘリで下りてくるシーンではウルウルさせられます。 日本版に限っては旧ヘラルド配給(現角川?)なのでBD化未定、DVDも廃盤で高騰しています。もっと有名になるべき名作ですが大人の事情という闇に飲み込まれてしまった、たいへん不運な映画です。(勿体無い話です) あ、あと邦題のつけ方が最悪です。これじゃ売れないはずです。素直に「Secondhand Lions-中古のライオンたち-」で良かったと思いますね。。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-29 21:51:54)(良:2票) 《改行有》

10.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 パート1は割と地味で低評価なところもありましたが、パート2は最初から毛色が変わっていてアクション路線バリバリで驚きます。しかしきちんとリアル&シリアル路線も引き継がれているので、徐々に謎が解明されてゆくサスペンス要素が良いアクセントになっています。結果的に一定の重厚感が維持されつつも適度にエンタメ要素がプラスされバランス型のサスペンス&アクション作品に仕上がっています。 いきなり恋人が居なくなるのには驚きましたが、諜報員って一人で行動するほうが合っていますのでかえって良かったような気もします。ハンドカメラが揺れすぎ問題はありますが、おかげで生々しい感じはよく表現されています。今作もリアルなアクションシーンは健在で、この映画を見ているともしかしてリアルな諜報員(&殺し屋さん)もこんな感じなのかなって思ってしまいます(汗) 難点はボーンの側の物語はそれなりに綺麗に流れているものの、CIA側の物語がやや煩雑で判り難いのが惜しいところです。CIA側は登場人物も多いし話も込み入っているので仕方ないのかもしれませんが、もう少しスッキリしてもらいたかったです。ただし敵側はパメラ、ニッキー、アボット、キリル等、魅力的な人物目白押しです。 全体的にアクション重視になっているのでエンタメとしては非常に観やすくなっています。今作(スプレマシー)と次作(アルティメイタム)は完全につながっていて、エンディング後に早く続きが見たくて仕方がありませんでした(笑)[映画館(字幕)] 9点(2014-04-29 21:35:28)《改行有》

11.  ボーン・アイデンティティー 公開前はかなり話題だったのにいざ公開されてみると、やれ地味だの印象に残らないだのと散々な評価が舞った映画です。正直、パート2が出るまでパート1を見たことすら忘れている人が多かったのではないでしょうか。今にして思えばあくまでこの作品は三部構成で考えられており、そりゃ一作目だけ見ても地味で意味が分からない訳ですよ。。よって今回は3作品ワンセットとして評価したいと思います。 最初の船のシーンから、、尻からなんか出てきてワクワクします。車の影に入った瞬間に自分の気配を消したり、移民局で警察官を三人一気にサバくあたりも非常にカッコいいのですが、その後は地味に壁をつたってみたり荷物を落としてみたりと、凄いのか凄くないのかよく判らない感じでダラダラ進みます(マンションでの格闘シーンは凄いが)。今にして思えばフランカ・ポテンテ(マリー)も地味で渋くリアル感に一役買っていますが、当時は「チョット華がないよなぁ~」なんて素人丸出しな評価をしていたものです。 このシリーズは複数回見返してみると、結局は本作(ボーン・アイデンティティ)が一番渋くてよくまとまっていることに気付きます。クライヴ・オーウェン(教授)なんか勿体無さすぎて泣けてくるほどの最期ですが、でもなんか渋くてイイんですよ。マリーもそう、ミニの中での主人公とのちぐはぐなやり取り、深夜のドライブインでの彼らのやりとり、ボーン宅でのうろたえ方、髪の毛を切るシーンからのぎこちないラブシーンなどなど、彼女でしか無しえなかった渋いシーンがてんこ盛りで、なんかイイんですよ。 パート1は序章的で非常に地味、まるで嵐の前の静けさといった雰囲気なので結構評価が低い人が多いですが、大局を見るとかなり渋くて味わい深い作品です。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-29 21:22:41)《改行有》

12.  バニラ・スカイ 運よくオリジナル(オープン・ユア・アイズ)→バニラ・スカイの順に見ることができましたので正しい順で評価です。オリジナルはオリジナルであるという点でリスペクトに値しますが、本作バニラ・スカイは圧倒的な資金力と大物の手によってハリウッド大作に生まれ変わっています。双方ともヒロインにベネロペを使っている点が素晴らしいです。そもそも彼女ありきでリメイクしたと噂でしたし、確かに彼女しかいないと思える可憐さなのです。キャメロン・ディアスと並んでもぜんぜん引けを取りませんものね。 本作は変な脚色がないおかげでリメイクとして成功していると思います。オリジナルではチープに感じたシーンや唐突に感じたシーンが、本作ではスムーズに繋がるよう丁寧に作られています。ラスト付近では寂しさや悲しさも伝わる素晴らしい仕上がりになっていて、後味も全く悪くないものです。(ただ、あくまで主人公は自分勝手ではあるのですが・・) この映画が深いのは、人間の本質を鋭く突いている点です。生と死を判りやすい形で映像化していますし、自分の全てだったものを失った時の人間の精神を深く追求しています。まあ、オリジナル版の脚本が素晴らしかったということでしょうが、リメイク版である本作のほうがよりインナーSFの古典的な映画として完成度の高い仕上がりになっているように感じます。他人には全くお勧めしませんが個人的には非常に大好きな作品、いや名作というべき映画だと思っています!(日本語版ブルーレイ化を熱望!!) ■2019/4にパラマウントよりブルーレイが発売されましたが、大画面でDVDと比較してもあまり違いが感じられない残念画質でした。むしろDVDのほうが若干発色が良いようです。ご参考までに。 ■2023/7にパラマウントより4K化されたUHDソフトが発売されました。こちらは全体的にシャープで鮮明に記録されていました。ブルーレイが非常に悪かっただけに嬉しさも大きいです。ただし、公開年を考えると画質はかなり悪いほうで、本作より4年も前に公開された「ディアボロス/悪魔の扉」などはブルーレイソフトでも非常に鮮明かつシャープで発色も良いものです。ご参考までに。[DVD(字幕)] 9点(2014-04-11 18:39:21)《改行有》

13.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 社会派で重たい映画だろうとパスしていましたが激しく後悔。アクション&社会派のバランスがとても素晴らしい極上のエンタメ作品に仕上がっていました。プリオ氏&ジェニファー&シャイモンの演技も最上のものですが、彼ら=本人さんにしか見えない点がちょっと残念。仕方がないことですが有名すぎるのも考えものですかねぇ。 上映時間は長めですが全体的にストーリーのまとまりが良くて時間を感じさせない仕上がりです。過不足なく、これ以上は削れないだろうなという絶妙の編集です。特に子供の洗脳シーンやジャイモン・フンスー (ソロモン)を証言台に立たすシーンも丁寧に描いてあるのは素晴らしいと感じました(ココ大切) ディカプリオとジェニファーとの淡い恋愛も取ってつけた的な意見はありますが、適度な比重でバランス的にはとても良かったと思います。大人の世界では出会って右から左へ流れて行く際に、こういう感じの恋愛感情はよくあることです。結果的に結ばれることなく死んじゃうのは残念ですが、変にハッピーエンドよりはリアル志向で良かったと思います。(ラストのプリオ氏もカッコいいし) 総じて素晴らしい作品なので色んな人に広くお勧めできる映画だと思います![ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-11 18:27:56)(良:1票) 《改行有》

14.  コンスタンティン ジャンル的に興味なしと判断し、長らく鑑賞することがありませんでしたがついに鑑賞。「なんだこの面白さは!」鑑賞しなかったことを後悔する完成度の高さでした。全体的に厨ニ病全開でメルヘンチックな内容ではありますが、ウマいこと現実世界(人間世界)との整合性を持たせてある天国と地獄の設定が素晴らしいです。キリスト教に詳しくなくても判りやすいよう説明が入るので、この世界観に興味がない素人でも違和感を感じることなく、この物語世界に熱中できるようになっています。むしろ現実世界との整合性など「ウマイ!」と感じる部分が多かったです。 虫をつなぎ合わせた怪人、黒猫を連れて洗面器の水に浸かって地獄へ行ってくる描写も素晴らしすぎますが、ハーフブリードたちが至るとこに居て、いつでも人間を陥れようとしている描写も素晴らしいです。個人的にはピーター・ストーメア(悪魔)とティルダ・スウィントン(天使)の掛け合いが素晴らしいかったのでもう少し長く見たかったのですが、そうなると主人公(コンスタンティン=キアヌ・リーブス)が置いてけぼりになるので映画が変わってしまいますね。 複数回の鑑賞に耐える丁寧な脚本と素晴らしい映像美ですので、悪魔とか天使に違和感を感じない人には超お勧めの映画です。(シャイア・ラブーフ、ジャイモン・フンスー、プルート・テイラー・ヴィンスら、有名人も多数出演しております)[インターネット(字幕)] 9点(2014-04-11 16:30:56)《改行有》

15.  ぼくのエリ 200歳の少女 《ネタバレ》 暗闇で静かに雪が吹雪くオープニングシーンから素晴らしかったです。派手な音楽を排除し雪に閉ざされた北欧の寒くて暗い雰囲気は、失敗するとやたらと暗い映画になりがちですがこの映画はそうなっていません。配役、演出、カメラワーク、80年代風な共産的色の少なさ等、とにかく全てが素晴らしい映画でした。プールのシーンは本当に素敵で、描き過ぎない美学というものを感じました。でもオスカーが頭を押さえられて沈められている前を何かが横切るシーンは物理的に?ですね、、まあそこ突っ込むのは野暮というものでしょうか。 エリにとっては打算もあろうかと思いますがラストの電車のシーンでは色んな想いがよぎります。大人の男女であっても色々あるのに、この子達ったら・・(泣) ただ、映画では12歳で頭脳も成長も止まっているのか、頭脳はずっと成長を続けているのかの説明がありませんでしたので、場合によっては200歳の年増でやり手ババアな可能性もありますが・・ エリやオスカーの気の毒具合が理解できてこその映画だと思いますので、彼らの立場に立つことができなかった人にはあまり感動がない映画かもしれません。ハリウッド版リメイクの「モールス」しか見ていない方は是非オリジナルであるこちらも見てほしいです。 2020/11追記 原作小説を読みました。非常に良かった。あまりに面白くて3日で上下巻とも読破しました。原作小説の出来栄えが非常に良いので先に小説を読んでしまうと映画が面白くなかった可能性が高いです。もちろん映画のほうも2時間弱という短い時間で原作小説の大切な部分を上手にかいつまんでありますが、悪くいってしまうとあまりにもダイジェスト的でした。絶対に映画を見てから原作小説で情報補完するのが正解だと思われます。 小説ではエリの過去・ホーカンの気持ち・中年カップルたちの状況・オスカー(オスカル)を取り巻く詳細な事情・唯一オスカーの友人トンミのことなどが詳細に描かれています。およそ映画と小説は同じ結末を迎えますが、映画にはトンミは出てきませんし、ホーカンの結末もかなり違います。ラストの締めくくり方としては小説のほうがキレイでしたが、よくぞここまで小説の世界観を壊さずに上手に映画化したものだと感心します。 映画を見た段階ではエリはしたたかな200歳のババアかもしれないと思っていましたが、小説を読むと違っていました。エリ(エライアス)は身体も心も頭脳も全てが12歳のままで止まっている可哀そうな子なのです。そういう前提で考えるとオスカルとのラストはとても美しいです。(ただし極めて破滅的ではありますが)映画も本もどちらも本当に素晴らしい作品でした! 【追伸】 他の方もおっしゃっていますが、日本版のボカシとタイトルのせいで映画の基本かつ根底部が捻じ曲げられています。監督のトーマス・アルフレッドソンは日本の配給会社や映倫を訴えてもいいレベルです。今からでも撤廃すべき由々しき問題、心底残念でならない。(いや、大真面目に)[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 16:46:01)《改行有》

16.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 興味なしと判断しロードショーは無視、レンタル開始時に前知識なしで鑑賞して大当たりだった映画です。題名も妙だったし、噂ではスピルバーグがたまたま暇だったから監督したんだとかなんとか、そんな風にいわれていた映画でした。 しかし鑑賞し始めて数分、冒頭のフランクの父(クリストファー・ウォーケン)の演技で一気に引き込まれます。彼の雰囲気を一番に持ってきたのは正解だと思います。反面、フランク・W・アバグネイル・Jr(レオナルド・ディカプリオ)は16歳には見えず、ちょっと辛いかなと思ったものの、パンナムのパイロットの制服を着てからは俄然面白くなります。 本作は70年代の話なのですが、スピルバーグ監督は70年代の雰囲気を今風かつオシャレに表現していて、画面のどの部分を切り取っても美しい。ハンサムガイのディカプリオ氏の七変化も見どころの一つで、パイロットはもちろん、医者のシーン、ジェームズボンドのシーン、裁判のシーンなど、どこを見渡しても見栄えが良く素晴らしいです。カール・ハンラティ捜査官(トム・ハンクス)との電話のやり取りではフランクの心のすき間まで垣間見え、終盤のブレンダの両親(マーティン・シーンら)との描写などのドラマパートもしっかり抜け目なく作り込まれています。味わい深いドラマ作品に仕上がっていて、さすがスピルバーグといった仕上がりです。 ラストのスチュワーデスの一件は少々鼻に付きますが、70年代の雰囲気をとても良く表していてアッパレなラストでした。某番組で「実話の再現ドラマ」としてTVでもやっていましたが、やはりスピルバーグ×ディカプリオ×ハンクスが作った映画版のほうが圧倒的に完成度が高く楽しめます。予想外にTOP10に入るほど大好きな映画になってしまいました![ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-04-10 16:28:47)《改行有》

17.  ドラゴン・キングダム 《ネタバレ》 期待していなかったせいかかなり面白かったです。手あたり次第TV録画してると、、たまに当たりが出るので止められませんね。。 オープニングのワイヤーアクションを見てゲンナリしましたが孫悟空が誰なのか気になって見続けることにしました。現代から始まる点が昔どこかで見たような気楽な流れで入り易かったです。時空を超えた後はいきなりすぎてチョット訳ワカメですが、カンフー系お決まりの流れになっていて、否応なしに定番の流れに引き込まれます。ストーリーも十分面白いですが、皆さんが書いてらっしゃるように見るべきはジャッキー・チェン×ジェット・リーの安売り合戦が最高の見ものです。80年代の香港映画を知っている人にとっては狂喜乱舞、本作こそマトリックスのバレットタイムを導入すべきでした。 ストーリー的にはお決まりの流れで少々安直すぎる感じはありますが、グリーンディスティニィのように複雑にせず安直に仕上げて正解だったと思います。むしろ香港映画といえばこの流れがお家芸なので見ていて心地よいくらいの安心感がありました。JJコンビがダブルキャストを務めている点も素晴らしく、ラストもとても綺麗に収まっています。 見ていて心地よい、娯楽映画のお手本のような作品でした。巷にあふれる見たら忘れる系の駄作とは一線を画した、愛すべきB級作、偉大なるB級作品として私の心に長くとどまる作品です!JJコンビに敬意を表して8点。(というか、JJコンビの偉大さを知っているハズのレビュアーの皆さんの評価が少し厳し過ぎませんかね?)[ビデオ(吹替)] 8点(2023-09-28 13:26:53)《改行有》

18.  007/ダイ・アナザー・デイ 《ネタバレ》 ピアース版ボンドが大好きな私ですが今作はイマイチ。まずちょっとシリアス過ぎる点が面白くないしSFが過剰な点もマイナスです。そして最大のイマイチポイントはパーフェクトストレンジャーのハリー・ベリー(ジンクス役)が魅力的に見えない点です。ついでに書くとCIAのお偉いさん役のマイケル・マドセンもどう見てもレザボア・ドッグスにしか見えない点も微妙でした。北のザオ(リック・ユーン)もマジもんにキモいし、今回は全体的にキャスティングが合ってないという印象が強かったです。(オープニングの曲もイマイチ) 唯一、ミランダ・フロスト(ロザムンド・パイク)当時23歳が最高に可愛くてついヨダレが出てしまいました。ツンデレ設定なのもソソるし、前作のソフィー・マルソーと並んで「借金してでも一晩お願いしたい女」の称号を与えたい女性です。(あの人と遊びで一夜なんて、ボンドに殺意が湧くわ~) 失笑もんのストーリーにはあまり触れませんが、色々と超絶SF設定が酷いです。ボンドカーがアストンに戻ったと思ったら透明で見えませんか(笑)黒幕が北のお坊ちゃん設定もかなり無理があるし、そのお坊ちゃんがイーロンマスク級の人間に成り代わることが可能なのかも色々と議論の余地があります。衛星は誰が上げたのか?オープンカーで氷上チェイスはどうなの?とか、色々凄すぎてツッコミ処は多めです。 カマトト風で超絶可愛いルックスで、なおかつツンデレという過去最強のロザムンド・パイク嬢に全てを捧げて異例の8点献上。(嬢が出てなかったら4点)[地上波(字幕)] 8点(2023-09-23 13:54:47)《改行有》

19.  落下の王国 《ネタバレ》 TV録画を字幕版で見ました。かなり素敵な映画ですが、、色んな意味で非常に惜しい作品でもありました。 皆さんがおっしゃるようにターセム・シン×石岡瑛子×ベートーベンは素晴らしいです。とにかくいちいち映像が美しい。前作ザ・セル同様の砂漠は凄いし、前作にはなかった突き抜けた明るい描写も多くて美しい映画とはまさに本作のことです。現実世界である病院での描写も素晴らしく、少女の肩の骨の折れ方や少女が左右の眼をつぶって指先が移動する表現なども素晴らしい。現実とおとぎ話のダブルキャストの面々も素敵で、5歳の子供の心理が本当に上手く表現されています。 何から何まで本当に素敵な映画なのですが何が惜しいかというと、リー・ペイス扮するロイ/黒山賊/パパの行動です。あまりにも大人げなさすぎて萎えるほどです。いいぇもちろん心の中で自殺願望が強いのは全然OKですし、子供を手なずけて薬を取ってこさせるのも全く問題ありません。大人げないのは自分の願望を5歳の女の子に全力でぶつけてしまったことです。その結果、終盤になるともう5歳の女の子の無垢で芯の強い心だけを原動力にこの映画は結末を迎えてしまいます。傍観している観客としては見ていてちょっと痛々し過ぎるし残酷過ぎました。 日本人的なのかもしれませんが、自分のせいで怪我をしてしまった女の子、ダメ人間の自分を父親のように慕ってくれる5歳の子、この無垢な女の子のために自分の葛藤を犠牲にしてでも素敵な話を紡いでいただきたかったですね。その過程で、女の子に悟られることなく自分の心が再生されるお話が見たかったです。(というか、女の子を号泣させて懇願させるのは色んな意味でズルいです) この致命的な問題を除けばおとぎ話も面白いし現実世界の話も面白い、プロットも面白いしもちろんダブルキャストや「落ちる」に掛けた様々な伏線も素晴らしかったです。(邦題の”落下の王国”は違うと思いましたが) 心底惜しい作品なので少々甘めの点数ですが、念のためにもう一度見返してみようと思います。 追伸 見返しました。この映画の完成度の高さ、これほど素晴らしいオープニングも珍しい!と、この映画の良さを再確認しましたが、それと当時に、どうしてもラストのロイが5歳の女の子をイジメてるような構図が納得できませんでした。集中治療室で目覚めた5歳の女の子にする仕打ちじゃないですよねアレ。。[地上波(字幕)] 8点(2023-07-31 11:45:42)《改行有》

20.  ラブリーボーン 《ネタバレ》 酷評が多いですね。私もビデオ化された当時非常に楽しみにしていた作品でしたが、、鑑賞してみるとイメージと異なっていてチョット落胆した記憶があります。十数年ぶりに再鑑賞してみましたが、落ち着いて見てみるとなかなか奥深くよく考えられた作品だったと思います。もっと世に広く認知されるべき、高評価に値する作品ではないかと考えを改めました。 世間の不評を買っている最大の理由がラストのアレと金庫が沈んでしまう点でしょうか。おそらく私も当時は「あり得ん」と切り捨てた記憶がありますが、10年の時を経て、今改めて見返してみると、誰の視点で物語に入り込むべきなのか?これが最も重要であったことに気が付きます。本来、観客は無意識のうちに第三者視点になっていて、客観的視点から勧善懲悪の物語を望むものです。でもこの作品は違うのです。オープニングで語られている通り、スージーの視点から見たスージーの物語。彼女がどう考えたのか?彼女がどうしたかったのか?これがこの映画の全てです。 あの年代の無垢な少女というのは、自分の気持ちを支配している脳内全ての事柄がラブリーでキラキラしたものだったハズです。14歳の少女といえばまだまだ子供だし恋愛や綺麗なことが人生の全てだったハズ。そしてスージーが今最も気になっているのが初恋の相手とのファーストキス。彼女にとってはこれが一番素敵な出来事だったハズなのです。そんな素敵で理想的な物語が叶わなかった無垢なスージー。これがこの映画の全てといっても良いでしょう。 ボトルの帆船が割れる描写、ろうそくの灯が別々に揺らぐ描写、その他多数の不穏な描写の数々が哀れにも素敵すぎました。しかしスージーがとどまっていたあの悪夢のような雰囲気は辛かったです。死んでからあの底冷えがするような不気味な感情を乗り越えて天国に行かねばならないのかと思うと、やはり穏やかに死にたいものです。 ギレルモ・デル・トロも関わっていますし、制作サイドとしてはバッドエンドにしたかったのは明らかです。あくまでモヤモヤしたままで終わらせたかったのでしょう。大人になって見返してみると、金庫が沈むからこそ良かったと思います。観客感情に配慮して”一応”ラストに犯人の転落死の描写を入れてありますが、明らかにアレは蛇足です。遺体は見つからないし犯人も見つからない。だけど家族は前を向いて生きていくしかないし、被害少女たちも昇天するしかないのです。どうにもならないこともあるのです。 成長した妹がノートを見せるか否か一瞬戸惑いますが、あの感情が全てを物語っています。残された最愛の家族の気持ち考えると、今更蒸し返すのが正しいのかどうか。。つまりはスージーは、これで良かったのです。[インターネット(字幕)] 8点(2022-09-02 12:29:10)《改行有》

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