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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567
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1.  13デイズ 《ネタバレ》 “Thirteen Days”邦題まま。ギャリソン検事の記憶もまだ新しいウチに、今度はオドネル補佐官を演じるケビン・コスナー。ケネディの時代を掘り下げる、史実に基づいたドキュメンタリー映画です。 思えばこの作品が公開された時代、CGが日進月歩の進化を遂げて、色んな局面で映像に説得力を増す調味料として活かされていたと思います。ほんの一昔前だと、米ソ(そしてケネディと軍部)の駆け引きが中心の、画的にとっても地味な映画になったと思いますし、映画の冒頭、モノクロシーンを入れたりするのも『新規撮影部分に実際の記録映像を混ぜて使いますよ~』って思わせる前フリに感じました。 ところが、RF-8クルセイダーなんてマニアックな機体が、短時間だけどスピード感満点のCGで入ることで、動きの少ない事件なのに、活き活きとした映画になっていました。ここなんて別に、モノクロの前フリにならって、当時のクルセイダーの飛行映像を繋ぎ合わせても良かったのに、そうしない拘りっぷり。 振り返ると、当時の記録映像使ってるなぁってシーンが、驚くほど少ない映画だったんじゃないでしょうか?トータル5分も無いかも?ほぼ新規撮影&CGで再現。これって、ずっと昔からあった歴史ドキュメンタリー映画というジャンルの、新しい表現方法じゃないでしょうか?同じケビン・コスナーの主演のJFKから、僅か9年で、これだけ映像表現に広がりが出たんだなって感じました。カメラワークが過剰になる前のCGって、良いアクセントですよね。 夜のソ連大使館の煙突からモクモクと上がる黒煙。この歳になると、直接的な死の描写だけでなく、こういう演出に強い恐怖を感じます。これから起きることを想像する恐怖。自分の世界が壊される恐怖。 映画ならではの演出として、ソ連との戦争回避の光が見えた途端、軍部の挑発行為がブチ壊す。こんなタイミングの良さはきっと、映画ならではの演出部分…だとしても、映画的味付けの妙ですね。とても観ごたえがありました。[映画館(字幕)] 8点(2024-06-04 22:28:49)《改行有》

2.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 “Crash”『衝突』。多数の登場人物が、さっきまで自分とは無関係だった人と衝突することで、様々な影響を受ける群像劇。 こういう、誰かの行いが、他の誰かに影響を与え、連鎖していく映画ってとても好きです。点と点がどんどん結びついていく快楽とでも言うんでしょうか?そして人間は誰しも多面性を持っていて、善と悪だけでは別け切らない部分も、うまく表現できていたと思います。 この一本の映画で、登場人物の連鎖が綺麗にまとまることはなく、劇中で全てが完結していないのも、たくさんの人物の中から一部を抜粋しただけな感じがよく出ていました。 この映画を観て思ったのは、アメリカでは他人を人種で区別することでしょうか。黒人、アラブ系、メキシコ人、アジア人。怒りをぶつける時は、本人には変えようのない人種の部分を攻撃する。まぁ、日本でも職業とか学歴とかでマウント取るような人、居ますものね。公開された時代の関係もあるけど、銃砲店でのファハドへの暴言は酷い。ダニエルの入れ墨を見たジーンの反応は、過剰ではあるけど気持ちはわかるかな。 魔法のマントは2回観て2回とも泣けました。ファハドには奇跡。奇跡には理由があるけど、それを言わないドリ。ドリが銃砲店のあの短い時間で、数ある弾丸の中から“あの”赤い箱を選んだのは、彼女の職業が深く関係していたことに、2回目で気が付きました。 トムがピーターを撃つ。普段善人なトムの裏の顔とも言えるけど、善人だからこそ、ああするしか無かったとも言えるなぁって。誰も見てないんだから正当防衛になるよう、ピーターを路上強盗に仕立てる小細工とかも出来たろうに。 次もう一度観たら、また新たな気付きがあるかもしれません。[DVD(字幕)] 8点(2024-03-11 20:31:42)《改行有》

3.  グラディエーター 《ネタバレ》 “Gladiator”『剣闘士』。ですね。 巨大な闘技場で剣闘士が殺し合う。これもう、少年ジャンプの格闘漫画ですよね。私の世代はみんな大好きだと思います。主人公が普通の奴隷でなく立派な過去があり、暴君に家族を殺された復讐劇という勧善懲悪もの。戦いの舞台も、地方の小闘技場から中央の巨大コロッセオへ。自分や仲間もどんどんキラキラ装飾が増えていく。敵の甲冑も不気味なのから強そうなのまで。そんで戦車だ、寅だ、伝説の剣闘士だとグレードアップしていくのも、まさにジャンプの王道展開。優れた娯楽性です。 CGで表現の自由度が大幅に上がった、今からおよそ四半世紀前。本作以降、古代ローマ時代(とその近辺)を舞台とした映画が幾つか制作されていますが、この映画こそが知名度・完成度共にいちばん優れていると思います。 この年代辺りを頂点に、以降、猫も杓子もCGで創られるようになっていきます。それはそれでお金が掛かるんだろうけど、どんなに凄い映像でも『あ、これCG表現だな』って解ると、途端に安っぽく感じてしまいます。 本作ではコロッセオやローマ都市の俯瞰図といった、実物で再現できないものをCGで補っているのが解ります。そして昔ながらの実際に作られたセットに、豪華な衣装。本物の馬車に戦車に装飾品やら小物やら。つまり、メチャクチャお金が掛かってるのが感じ取れます。映画観るのにどうせお金を払うなら、CGのアニメじゃなく、ゴージャスな本物を観たいもの。本作はそんな欲求を満たしてくれます。 マキシマス将軍が家族の復讐を果たし、悪のコモドゥスを倒して、ローマに一筋の平和が訪れ、仲間の奴隷は故郷へと帰っていく。シンプルで良いですねぇ。ストーリーは創作部分がたっぷりで、本作を史実と比べるのは無意味だと感じます。本作をキッカケにイメージを膨らませて、史実に興味を持つのが正しい見方でしょうね。でもこの時代の人の名前って、長くてみんな似てて、難しいなぁ。[DVD(字幕)] 8点(2024-02-18 16:19:37)《改行有》

4.  スペース・カウボーイ 《ネタバレ》 “Space Cowboys”複数形なくらいで邦題まま。4人のおじいちゃんの若かりし頃、'50年代の音速実験機から始まり、宇宙開発をすっ飛ばし、現代に至る。旧ソ連がアメリカから盗んだ誘導装置を使ってたって設定が、実際ありそうで上手いです。レーガン大統領の時代に『スター・ウォーズ計画』なんてのがあって、まだ子供だった私は、現実がSF映画に一歩近づいた気がしてワクワクしてたのを思い出します。 アメリカも実現できなかった当時の計画を、ソ連がNASAから盗んだ技術で実現してたって設定は、あれれ?って思うけど、きっとこの世界ではアメリカも同様の核ミサイル衛生を打ち上げてたんでしょう。 マックやウィンドウズから進化してきたコンピューターの足跡とは違う、'80年代のロストテクノロジーはまさに驚きです。余談だけど、数年前にファミコンを買って時々遊んでるんですが、当時作られた中古のカセットを挿して電源を入れると、ほぼ100%見事に息を吹き返します。劇中「アイコン」がチームを“敵”と認識して攻撃態勢を取る様子が、今も元気なウチのファミコンと重なりました。 '50年代のX-2飛行実験シーンが短いので、誰がどんな担当なのかイマイチ掴めなかったけど、おじいちゃんたちが頑張って訓練して、世論とか努力以外の面でも後押しされて、みんなで宇宙に行くシーンは夢があります。さすがベテラン俳優4人、シャトル内の無重力演技もサマになってました。 この年代の作品で、スペースシャトルに乗って、落下物から地球を救うシナリオのお約束。この映画もソレだったけど、オープニングのホークと月への思い、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が上手に作用して、しんみりしない清々しさを感じました。 シャトル着陸はやり過ぎにも思えたけど、若造どもを追い出してチーム・ダイダロスでやり遂げるんだ!って場面を入れるための演出でしょうね。 最後の月面シーン。ホークが辿り着けたかどうか?を後の考察に委ねるのも良いけど、おじいちゃんたちには悠長に考えてる時間はないんだよ!って意味で、思いっきり観せたんだろうと思うと、ちょっと微笑ましい演出。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-22 10:20:22)《改行有》

5.  かもめ食堂 《ネタバレ》 フィンランドという非日常空間で繰り広げられる日本人女性の日常。不思議な雰囲気とやんわりとした空気が、なんか良いのだ。 何でその話?って思えるオープニングのナレーション。太った猫の死と痩せた母の死。美味しそうに食べる太った生き物に弱いって話から、遠巻きに店を見る太めな現地女性3人組。このお話はどこに向かっていくのかな? サチエがフィンランドに来た理由。ミドリにもっともらしい理由を話すけど実はその場の思いつき。「ここならやっていけると思った」と言うけど、結局サチエが日本を出てここに来た理由は不明。小さいけど綺麗なお店。ピカピカの食器に調理器具。統一感のある北欧家具。サチエ、お金はあるんだな。 ミドリがお店をガイドブックに載せて宣伝したり、現地の人向けのおにぎりの具を考案するのに対し、売上にまるで執着がないサチエ。ダメなら辞めます。ってのは、自信があるからというより、サチエは自分を曲げて商売に熱を入れるんじゃなく、好きなことをやってる今が大事なんだろうな。だから明日世界が終わっても良いような毎日を送っているんだろう。 目をつぶって地図を指差したミドリは、ムーミンが好きなくらい。親の介護が終わったマサコもエアギター選手権で興味を持ったくらい。サチエ含めみんなフィンランドに絶対のコダワリはない。 3人とも過去に何かがあって日本を出てきている。3人ともそんな過去をリセットして、たまたまここで出会って、同じ時を過ごしている。 夫が出ていった中年女性、コーヒーの煎れ方を教えた中年男性。共に過去をリセットして、これからリスタートするかどうかってところ。 食堂のメインはとんかつや唐揚げ、鮭の塩焼きといった日本食。ソウルフードのおにぎり。おにぎりにはシャケ、梅、おかか。 おにぎりにトナカイやザリガニを入れても合わない。こちらから無理に合わせるのではなく、自分に合うものを選んでもらう。 そんな生き方がしたくて、サチエはこの地で店を始めたんだろう。 日本を離れた彼女たちの生き方が、この映画自体が、遠い異国のフィンランドから、日本人に向けて発信されているメッセージのように思える。 そんなメッセージを受け取る勇気も行動力もなく、ただ忙しい日常に流される毎日だけど。 サチエの「いらっしゃい!」がとても心地よい。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-08 14:46:44)《改行有》

6.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 “Charlie and the Chocolate Factory”邦題まま。原作の邦題は『チョコレート工場の秘密』だそうです。公開当時、劇中チョコレートの香りがするって演出があった記憶があります。劇場で観ときゃよかったかな。 今回久々に視聴したけど、ウンパ・ルンパ以外、内容ほとんど覚えてなかったです。個性的な4人の子供(ライバル?)、こんなの、居たっけ? バイオレットなんて、後のヒットガールを彷彿とさせる雰囲気で、可愛くてカッコイイ。もっと記憶に残ってそうな気がするけど、登場は格好良かったけど、その後活躍もなく、青紫のまん丸状態になってフェードアウト。 他の子も同様で、一切活躍すること無く、行儀の悪い行いしてフェードアウト。みんな劇中チャーリーとそんなに絡むこと無く、勝手に自滅して勝手に退場して、その後が語られること無くそれっきりだったから、きっと記憶に残らないんだわ。 でも、子どもたちのフェードアウトは、結構原作通りだったので、案外再現度は高いのかもしらん。 ゴールドチケットの獲得方法。①食いしん坊だからたくさん食べてて②父親の財力を活用③勝つために好物のガムをチョコに変えて④統計取って一発獲得と、個性的なメンバーに対し、⑤チャーリーは拾ったお金で、店員おじさんが渡したチョコが当たるという、なんか一番モヤモヤする当選方法。 そもそも工場見学のチケットにそこまでの魅力を感じるか疑問だけど、優秀な子も多いのに、有り得ない方法で勝手に自滅していく様子が楽しめるかどうかがキモだろうか。'71年の映画とかミュージカルとか、派生作品も多いみたいで、バージョンの違いを楽しむのも良いかも。[地上波(吹替)] 6点(2024-01-05 19:36:15)《改行有》

7.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 歴史に残る大事故を地元新聞社の中から観る。当時の空気、あの時の夏の暑さを追体験する作品としてとても良く出来ていて、グイグイ引き込まれ、最後まで飽きることなく観られました。 日航機墜落事故は“夏休みの終わりの方の大事件”として覚えてます。多くの人とともに坂本九が亡くなったこと。生存者がヘリに釣り上げられる映像のインパクト。垂直尾翼の無い123便の写真。大人が読む週刊誌には生々しい現場の写真が多数載っていたとか。 ネットのない時代、いわゆるスクープ写真の載った雑誌が売れた時代。当時の報道の過熱ぶりが本作からも感じられました。 でも本作のメインは墜落事故自体ではなく、事故を取材する新聞社の内側。劇中何度もでる“大久保・連赤”は14年も前の事件で、社内上層部にはいわゆる当時の“レジェンド”たちがデカい顔をしている。等々力が若手に“読者は記者の姿を見ている”ことを延々と語っている、あの面倒くさい空気。そんなの良いから無線機入れろよって言えない環境。気に触った一言をいつまでも引っ張って設けた宴席、土下座の蒸し返し。昭和っぽい暑苦しさが良く出てました。 事故自体の経緯を俯瞰して観せてくれる作品ではなく、あくまで記者目線で事件を追う。私は事故の全体像を当時の記憶で補完出来たけど、若い人には説明不足に思えるかもしれない。『大統領の陰謀』もそんな創りだったなぁ。あっちは基礎知識がないからチンプンカンプンだったわ。 佐山の「…出来すぎじゃないですか?」から抜きネタ不掲載の流れ。悠木の信念「チェック、ダブルチェック」の結果として不掲載は納得だけど、社長じゃないけど恥の上塗りから辞表。乗客の手記でおしまいって、そこから先描かないんだ。最後のテロップ、隔壁じゃないなら何なのか、何を隠してるのかも、匂わすだけでも知りたいところだけど… 息子から「僕のかわりに」と渡される石。現代パートの悠木が大事に持っている石。悠木が空港で子供と別れてからの事故。乗客名簿の子供の名前で手が止まるとこ。なんだろうこの流れ。『子供が死んだのか?』って思って観てしまった。私のようなポンコツには説明が足りなかったか、ミスリードにハマったのか解らないけど、ストーリーに集中できなくなってしまった。 集中できないもう一つに要因が、話の流れと無関係に挿入される現代パートの登山部分。最後にまとめて入れても良かったと思うし、何なら無くても良かった。息子は事故と無関係だし、息子のことは最初と最後しか出てこない。一緒に山を登るのが安西の息子というのも説明不足に思える。 あと社長のセクハラと安西の病状。悠木の母親の話も、中途半端に掘り下げる必要性もね。社長が悠木を犬として扱っている描写、佐山に悠木の陰口を漏らすとことか、145分も尺使って書ききるつもりも無いなら、入れなくても良かったかも。 むしろ日航機事故に特化した映画にしたほうが良かったんじゃないかなぁ。[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-01-03 11:52:05)《改行有》

8.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 “Gran Torino”『フォード・トリノの一部車種の愛称』。日本だとスカイラインの、GT-Rじゃなくジャパンとか鉄仮面だと思う。 ウォルトはアメリカの輝かしい時代を生きた世代だ。'50年代に青春を過ごし、朝鮮戦争で戦ったのちフォードの工場で働き、愛する奥さんと二人の息子。郊外のニュータウンに一戸建てを持った男の余生、成れの果て。 2000年代、アメリカは様変わりしていた。ニュータウンは寂れて老朽化し、残っているのは老人とヨーロッパの移民系。金のある白人はもっと利便性の良い地域に移り住み、代わりに入ってくるのはアジア人。若者は移民や黒人のギャング。奥さんに先立たれ、息子はトヨタに勤めていて、孫はみんな馬鹿。 当時イーストウッドは78歳。いつ死んでもおかしくない年齢の男から観たアメリカの小さな街。あの街はアメリカの縮図。ウォルトは決して裕福ではない。広いとは言えない建売りの家をピカピカにして、小さな庭の芝を刈り、欠かさず国旗を掲揚している。グラン・トリノも当時大人気のマッスルカーってほどではなく、燃費の悪い中型のアメ車。ウォルトはアメリカの中流家庭の、プライドの塊のような男。 また'50年代の白人文化を過ごしてきた世代からの警告のカタチも取っている。白人中心のアメリカ社会も、アメリカ中心の世界も、今後更に変わっていく。 奇しくも公開年に起きたのが、サブプライム・ローン問題を起点としたリーマン・ショック。今の時代のウォルトのような中流以下の住宅ローン債務が焼き付いて、大手銀行が破綻するまでのダメージに発展し、アメリカ経済がどん底に落ちていった最中の公開。 この街の若い白人は、スーの友達のようなナヨナヨした白人しかいない。移民たちを受け入れて行くしかない現実がある以上、どんな人達と共に生きていくかを考えなくてはいけない。世界の警察だったアメリカは、他民族に銃を向けるのではなく、他の方法で解決をしなければいけない。 ギャングと戦う決意をしたウォルトは、白人の誇り高いスピリットは神父に残し、アメリカの輝かしいプライド(グラン・トリノ)はタオに残した。 最後ウォルトの手に残ったのはジッポーライター。これもまた、アメリカが世界に誇った古き良きアメリカ製品の象徴であり、消えゆくタバコ文化の象徴。[DVD(字幕)] 8点(2023-12-23 11:24:57)《改行有》

9.  キングダム/見えざる敵 《ネタバレ》 “The Kingdom”『王国』。…なんだけど、自然界を三大区分(動物界、植物界、鉱物界)した『界』という意味があるんだと。 アメリカとイスラム。どっちが偉いとか、どっちが正しいとかでなく、お互いに交われない存在って意味なんだろうなぁ。 アメリカとサウジの関係を綺麗にまとめたオープニングが秀逸。情報量が多いから何度も見返したくなるけど、センス良い。 お気軽な戦闘アクション映画だと思っていたら、事件勃発がエゲツナイ。無抵抗で非武装の市民を標的にするなんて、観ていて気持ちの良いものではないわ。攻撃第2段もまたエゲツナく、被害の大きさ&観ている私の犯人への怒りがデカくて効果絶大。首謀者アブ・ハムザが安全なビルの屋上で一連の事件の経緯を孫に見せるのも、私達と彼らイスラムの住む世界の違いを感じさせる。 映画だから主人公側に感情移入するように創られているのは解るけど、イスラム側があまりに非常識な悪の世界として描かれている。 テロリストを撃ったハイサム軍曹は味方から拷問を受け、ファリス大佐はFBIの越権行為にも協力する。映画の流れからつい『イスラム教徒にもイイ奴いるんじゃん』って思ってしまう。いやいや、そもそも主人公たちの行動原理が“仲間のフランを殺された復習”で、『フランを殺した連中をぶっ殺す』っていう、個人的な恨みを晴らす戦いなんだよなぁ。 カメラワークは切り替えが激しく揺れも強めで苦手なタイプ。最初のテロの衝撃と地味だけど緊張感がある捜査。最後の銃撃戦から急にトトトンと達成フラグが立っていく。前半と後半で作品の色が結構変わる作品。[DVD(字幕)] 6点(2023-12-12 00:07:10)《改行有》

10.  キューティ・ブロンド 《ネタバレ》 “Legally Blonde”『法律的金髪女』って、なんか中国の怪しい店みたいな。アメリカにはブロンド・ジョークってのがあるくらいで、金髪女ってだけで頭が空っぽって意味になるそうです。なので、天才バカボンっぽいニュアンスのタイトルでしょうかね?でも日本では金髪女にそんなイメージがないから、分かり易い邦題にして正解だと思います。 ゆったり気軽に観られる、お洒落なコメディ。キャーキャー言いながらドレスを買いに行って、ズルい店員を知識で言いくるめるスカッと展開から、頭はいいけど馬鹿でドジなエルのキャラが良く伝わります。失恋を糧に猛勉強してハーバード大学にギリギリ合格。知識は身についても服装も趣味もギャルのままなのは変わらず。あぁ漫画っぽいなって思ったら実話ベースの小説原作なのに驚き。まぁ東大とかにもすごい格好の人って居るからなぁ。 エルは学生のまま本物の裁判に参加して成果を上げるけど、プール係の秘密や、最後のアリバイ崩しなんか、終始女の子らしい着眼点を貫き通していて、一つの作品として上手くまとまっていたと思います。 リース・ウィザースプーン。日本人が考える定番の金髪美人ではないかもしれません。喜怒哀楽がハッキリしていて、角度や表情によってエリザベス・モンゴメリーやシガニー・ウィーバー、時にはウィレム・デフォーにも観えて面白い人です。[DVD(字幕)] 5点(2023-12-08 21:11:38)《改行有》

11.  カンナさん大成功です!(2006) 《ネタバレ》 “미녀는 괴로워”『美人はつらいわ』。ちなみに200ポンドは90.7185kgなんだって。 デブでブス。どっちも整形で解決しちゃうんだな。脂肪吸引だけして痩せたらアラ私って綺麗…とか、美容整形だけして体型は根性で痩せるとか、どっちかでも良かったような。声だけはそのままなのね。 サンジュンが良い奴なのかが掴めず。なんでカンナのことを悪く言うシーン入れたのかな。あんな男、整形で綺麗になって見返す対象程度で良いんじゃない? 犬を捨てるシーン、カンナ身勝手だなぁって思ったけど、その後サンジュンが飼ってるのはナイス。嬉しそうなカンナが良い感じ。三ジュン、悪ぶってるけど根は良い奴ってことか? アミが意地悪で嫌なヤツなんだけど、地道に歌の練習してるのに感心したところの、鬼の首を取ったかのような嫌がらせ… ジョンミンが安定の良心キャラなんだけど、最後整形しちゃうんだぁ…韓国では美しいことが、いろんなモノを手に入れる条件の一つなのかなぁ? どうにも、表も裏もどっちも好きになれるキャラクターが居なかった。サンジュンのカンナのホンネ、秘密を知ったアミの嫌がらせは、もう少しキャラを許せてしまうようなフォローを入れてほしかったかな。それが無いから『あの件は置いといて』って感じで、もう一歩感情移入できないままだった。 最後の方FOするアミより、ピンク髪の娘がカンナを認めててほっこりしたわ。 一時期、韓流ブームの時って、向こうの美人はみんな同じ顔(整形顔)してて不思議だったわ。美に対するベクトルが一緒だから、目指す目標も一緒になってしまう結果、同じような顔になるらしい。そんな中カンナは自然な整形をしていたってことなのかも? あれだけ整形が浸透している韓国で、整形した女を悪く言う風習があるのも意外だったかな。お互い納得して整形を認める文化だと思ってた。 ブロンディのカバー曲が良かったわ。[インターネット(字幕)] 5点(2023-11-24 23:25:50)《改行有》

12.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 “功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。 少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。 漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。 ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)《改行有》

13.  ガール・ネクスト・ドア 《ネタバレ》 “The Girl Next Door”『隣の家の女の子』。“24 -TWENTY FOUR-”のキム・バウアーの子が主演と聞いたら観たくなる気持ちも解る日本劇場未公開作品。 モテない主人公の隣にスゲー可愛い子が引っ越してきた!でもってやることが破天荒!って、かなりありがちなスタート。それは良いとして、ダニエルがマシューを好きになる理由がイマイチよく解らない。個人的にはここをもっと、納得出来る理由を用意してほしかった。 実はAV女優!?良いね、マシューの価値観を根底からひっくり返す展開は面白いと思う。でもだからって即モーテルは生徒会長マシュー君の決断としては短絡的だし、過去を忘れてマシューと向き合おうとしてたダニエルったって、そもそもマシューの何に惹かれたのかが解らなくて… どう観ても悪者なケリー登場。物語はどんどん進んでいきます。もう“Next Door”である必要も無くなってます。何でしょう、CMで興味を持って観だしたドラマが、実は全然思ってたのとは違うくて、毎週どっちに向かって進んでるんだか、よく解らなくなるドラマを、ダイジェストで観てる感覚です。 マシューとダニエルの恋の行方より、ドラッグでヘロヘロ状態のスピーチと、盗まれた25,000ドルをどう穴埋めするかの話が中心になってしまい、ますますマシューの何に惹かれたのかが解らなくなります。これ設定が幼馴染なら解るよ?昔から隣りに住んでたとか。でもダニエルのセンセーショナルな登場と、急激な恋愛関係の割に、後半“友情の3脚関係”に持っていくのは、ちょっと強引な方向転換な気がしました。だからリムジンで二人が初めて結ばれても、どうにも気持ちは盛り上がりませんでした。 エリシャ・カスバートは“24”のキム役をやる前『こどもおもしろメカニック』って教育番組のレポーターをしてたそうです。 そんなキャリアの彼女が“性教育”ビデオを作る映画に出るなんて、ちょっと面白そうだけど、彼女ビデオには出てないんだよな…[DVD(字幕)] 4点(2023-10-16 23:59:47)《改行有》

14.  A.I. 《ネタバレ》 “Artificial Intelligence”『人工知能』。今さらだけどそのまんまだったんだ。 スピルバーグの代表作“E.T.”を彷彿とさせるタイトルから、相当な意気込みで制作された作品だったんじゃないだろうか? キューブリック原案の作品とのことで、もしキューブリックが監督していたなら、ブルー・フェアリーに祈るデイビッドのその後がバッサリ無かったんじゃないか?とも言われているけど、もしかしたら常人には理解不能な2000年後が描写されて、頭ん中“???”状態のエンディングになってたかも? でもスピルバーグだから、常人が納得できる『めでたし、めでたし』なエンディングを用意出来たようにも思える。 食事中急にツボに入って大笑い。モニカをママと呼び方を変えたのに、ヘンリー(父)はヘンリーのまま。自分じゃ靴紐も結べない子供。純粋に母の愛情を求めるデイビッドって、もう人間の子供じゃないですか。ちなみに私は劇場で観た時、テディが髪の毛を一房出した時、ボロ泣きしてしまいました。 髪の毛に残るモニカ記憶は、まだデイビッドに危険を感じる前の記憶。だからモニカはデイビッドに無条件に優しかったんだと思う。 神が人間を造ったように、人間がロボットを造った。 未来のロボット(スペシャリストだって)は人間を観たことがなく、かつて人間と接していた最後のロボット=デイビッドを通して、初めて人間を観る。 人類はとっくに滅んでいるけど、クローン技術で人間を作り出すことは出来るけど、彼らスペシャリストにとっては、クローンよりデイビッドの記憶こそが、貴重な人類最後の足跡だったんだろう。 スピルバーグ作品だけに、クローンのT・レックスよりヴェロキラプトルの鉤爪の化石のほうに価値を感じる博士のよう。 クローンのモニカを眠らせ、デイビッドも人間として眠り、ここで人類の歴史が終わる。 この映画がどこか物悲しい最後なのは、この先、ロボット達からは何も産まれないからかもしれない。[映画館(字幕)] 7点(2023-10-16 21:59:50)《改行有》

15.  8 Mile 《ネタバレ》 “8 Mile”デトロイト市の都市部と郊外を分ける通りの名前で、黒人の多い貧困層の内側と、白人の多い富裕層の外側とに別けられる。…札幌だと新道かな。 で、主人公ジミーは内側に住む白人。いわゆるホワイト・トラッシュです。そりゃ自然とラップも身に付くでしょう。白人からは見下され、黒人からはハンパもの扱いされる。男の世界で生きていく女みたいなモン。 「B・ラビット凄いね!(でも白人でしょ)」みたく、どんなに才能があっても、どこかで“認めてもらえない”空気があるんでしょう。SDGsの無い世界だから、MCバトルでも白人なのをガンガン責められる。そんな埋められないルーツを覆したエミネムって、やっぱ凄い。 ロックが下火になってた時代、エミネムのヒップホップは売れまくってた。けど保守的な評論家は彼のアルバムを認めなかった。「エミネムまたチャートインしてるよ!(でもラップでしょ)」みたく。 “Lose yourself ”『のめりこめ』。エミネムの自伝とも言われる本作で、如何にして彼がラップの世界で認められたかが描かれる。彼の伝説の序章。あの最後のバトルに勝って、全てを掴んだわけじゃない。あのバトルで終わったわけでなく、家族の問題も仕事も恋愛も、何も解決しないまま、これから始まっていく感じが堪らない。 あのバトルから始まり、貧困層に認められてアルバムが売れ、富裕層も興味を持ち、この映画で世界が注目し、遂には保守層も認めてロックの殿堂入りしたのは2022年の話。[DVD(字幕)] 6点(2023-10-06 20:41:02)《改行有》

16.  イン・ハー・シューズ 《ネタバレ》 “In Her Shoes”『彼女の立場』。劇中のヒールの印象的な使い方とタイトルがマッチしてます。 余談だけど、PCでみんシネの◆検索ウィンドウ◆の検索欄を見ると、何故か『イン・ハー・シューズ』がデフォで入ってます。なんでだろ?私だけ? 『メリーに首ったけ』みたいなコメディだと思って観たから、案外真面目な内容に結構衝撃を受けました。 ふらふらとその日暮らしの遊び人マギーと、生活の安定と引き換えに弾けた生き方ができない堅ぶつローズの姉妹。 一見マギーのほうが楽しくて幸せそうに思えたけど、たった1日飼っただけの犬“ハニーバン”の思い出が忘れられないところから、空っぽのまま成長したんだろう。テレビの2次審査でセリフが読めなくて追い込まれるときの辛そうな表情が妙にリアル。 ローズのような安定生活“だけ”の人。上司ジムの気まぐれに利用される“だけ”の人生。シカゴにサイモンと行かせる時点で脈ナシなんだけど、そんな薄い縁にすがるほど追い込まれてるローズ。 二人がケンカ別れして、離れ離れになる。意気投合して2人の心が繋がっている時は1つのカメラにツーショットで収まり、言い争いをする時はそれぞれワンショットでギスギスした空気を演出するなど、結構計算された映画です。 姉妹の関係から今後の生き方まで、自分の力で人生を変えていく物語ですよね。お互いに新しい生き方を始めると、今まで意識していなかった“彼女の立場”が徐々に入り込んでくる。弁護士事務所を辞めて活き活きとその日暮らしを始めるローズに、“元気なシニアの施設”で得意分野をビジネスに変えていくマギー。何かどっちも『今までより良い』生き方に思えます。 アノ階段を犬と一緒に駆け上がるローズ。教授との読書で、詩の意味を理解したときのマギー。人生が変わる爽快感が伝わってきます。 もう一人の重要人物、祖母のエラ。幼いときに母親を亡くしている二人にとって、本当の母親代わりとなる人物。そして娘にしてしまった仕打ちをずっと後悔して生きてきた過去。自分の娘がどんな最後を迎えたのか。孫の口から語られる真実。ここに来てようやく理解できた娘婿の感情。 年老いた老婆だって人生を再構築する事ができる。壊れたまま終わるはずだった、娘婿マイケルとの再会。地味だけど良い演出でした。[DVD(字幕)] 8点(2023-10-02 22:07:01)《改行有》

17.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 “War of the Worlds”『世界(同士)の戦争』。地球世界VS火星世界の戦争。みたいな意味のようです。火星人が地球に攻めてくる古典SFをベースとした、1953年の同名映画のリメイク作品ってポジションです。 久しぶりのスピルバーグ版宇宙人映画だけど戦争描写は息が詰まるほどリアルで迫力があるので、この大昔のシナリオがどのように現代ナイズされるのか、結構ワクワクしていました。でも当時、なんかイマイチ不完全燃焼だったって評価が多かった気がする。 日常世界に現れたトライポッドの恐怖と迫力は見事でした。恐怖の中、どこからともなく人々が集まり、アテにならない噂話を広めていく様子は、突然災害に巻き込まれた不安感の表現としてリアルで見事。一方で炎の中からメラメラと迫りくるトライポッドの巨体表現はSF映画の真骨頂。流石スピルバーグです。 灰になって弾け飛ぶ人。川を流れる大量の死体。住宅街に墜落しているジャンボジェット機。炎を吹いて走っていく電車。火だるまで引き返してくる軍用車両。単純な爆発で終わりでなく、奴らに何をされてこうなってるのか?って考え込んでしまう被害状況がスピルバーグらしい。 高速を激走するフェリエ一家の車をグルグル取り巻くカメラワーク。日本のアニメのように、ダコタの見開いた大っきい目から引いていくカメラなんか、結構印象に残るけど、一番は窓に張り付くピーナッツバターパン。 本作初見以降に'53年版も観てる。内容ほぼ忘れてるけど。確か大筋はほぼ変わりないんだけど、リメイクで家族の物語を入れてきたのが大きな変化だったかな。主人公たちは一般的なアメリカ市民になってる。だけど何だろう、なんかスッキリしない。 現代ナイズされた映像に対し、ストーリーが古いままだからだろうか?あれだけ高度な宇宙人(火星人とは言われてないんだよな)が、'53年版同様、細菌でアッサリ全滅するからだろうか? ①期待した展開にならない。ダメ親父のレイは最初巨大なクレーンを操縦している。これ観て真っ先に『レイがこんな巨大クレーンを操作して、トライポッド倒すんじゃないかな?』なんて思ったけど、全然そんな風にはならず。 ②宇宙人の攻撃に一貫性がない。見境なしに灰にしたかと思えば、丁寧に捕獲して血吸ったり、トライポッドの中に飲み込んだり。じゃあ川を流れてた着衣無傷の大量の死体は何だったの? ③動かないハズの車。奪い合いになるほど貴重な動く車なのに、フェリーには大量に動きそうな車が積んである謎。ってかそもそもフェリーはどうして動けるんだ?軍のジープやヘリも普通に動いてる。戦闘機も飛んでる。コイル交換したからか?でも墜落したジャンボジェットはそもそもどうやって飛んでたんだ? ④無敵のトライポッド手榴弾で大爆発。主人公らしい大活躍!なのに、特に持ち上げることなく淡々と流された感じ。その後勝手に倒れてたり軍の反撃で倒されるトライポッド。いまいち盛り上がらない気が… ⑤冗長な小屋の話。'53年のやつにも同じようなのがあったと思うけど、小屋の一件が無駄に長い。CG技術でスケールの大きな話に生まれ変わったのに、急にレトロなホラー映画みたいになってしまう。リメイクで再現する必要があったのか謎。 ⑥家族揃って無事再会すればハッピーエンド?先に帰ってるロビー。どこでレイを追い抜いたんだ?でも服がボロボロだから戻ってきたばっかりなのかな…あんま興味湧かないけど。家族の物語にしたのに、子供たちは奥さん引き取るし、再婚相手が無事で居るから、子供たちとの絆が深まったところで、この先どう持っていくのか?ってところで終わった。 宇宙戦争の現代版リメイクと言うなら、細菌をコンピューターウイルスに作り替えた、インデペンデンス・デイの方がよっぽど弾けてたかな。[DVD(字幕)] 4点(2023-10-01 23:09:51)《改行有》

18.  愛しのローズマリー 《ネタバレ》 “Shallow Hal”『薄っぺらい(=うわべだけの)ハル』。太った子が薄っぺらに見える。…なんて意味はないだろうけど。 ハルにとって初見の人“だけ”内面の美醜が外観に反映されるって設定が面白い。初めて会う社長夫人はスマートだから、ローズマリーは父親似だと思ったわ。催眠術を解かれてからの婦人はぽっちゃりしてて、あぁこの婦人の内面の綺麗さが遺伝したんだな(父親からは頭の良さを)。そして両親の遺伝子と、たぶん止める者の居ないハイカロリーな食生活(家政婦ヘルガさんも同じような体型)が、ローズマリーをあの体型にしてしまったんだろう。 恐らく催眠術中、内面がきれいな美女は美女のまま。内面が汚いブスはブスのまま。なんでしょうね?たぶん。 小児病棟の件。大人の女性と違い、少女は催眠術で美人にもブスにもならず(病棟には小太りの子も居たね)、ただ火傷が消えただけ。 前回と同じく接しようとするハル。少女の真実に驚きながらも、まっすぐ少女の目を見て話すハルに、何度観ても涙が出てきます。 ハルは心から美女だけを狙っていたわけではなく、父親の遺言『美女をモノにしろ』が強い暗示になっていたんだろうね。催眠術に掛かったハルにはローズマリーが『とびきりの美女』に見えていた。正直この段階で、内面の美しさは二の次だったようにも思う。彼女と一緒に居て楽しい。それだけだと。 催眠術が解かれた際に、『美女をモノにする』という父親からの呪縛も一緒に解けてたんでしょう。外見とか内面とかでなく“ただ愛する人とずっと一緒にいたい”という事に気がつく、良い終わり方でした。 表向きは太った女性がハルにだけ美人に見える、そのギャップを楽しむ単純なコメディ作品。この作品はほんの22年前なんだけど、最近は人の見た目を表立ってネタにするのがタブーな時代になってきた気がします。今はブスとかデブとか言うことに厳しい時代。美人とかカワイイとかは当時とほぼ一緒なのに。当時と今と、どっちが息苦しい時代なのか、ふと考えてしまいます。[ビデオ(字幕)] 7点(2023-09-27 21:48:14)《改行有》

19.  E.T. 20周年アニバーサリー特別版 《ネタバレ》 ~E.T.の続き~ DVD買ったらコレでした。特別版の存在自体知らなかったから、観てて徐々に違和感を感じました。なんか、E.T.表情豊かでない?アップのシーンで瞳孔が収縮するのが、コレ当時の技術で出来ないでしょ。って。 E.T.はパペットの創りものだけど、CGで上書き修正されたコレは創りものの造り物感が強い。E.T.の豊かすぎる表情が、公開当時の『何考えてるのか解らない感』が減ってしまっている。 自転車のシーンとかは今の技術で特撮ぽさを減らしたほうが良いかもだけど、E.T.の顔をいじっちゃダメだと思う。 オリジナルをもう何年も観てないけど、今観たらよりショボいんだろうか?それでも、本作に限ってはオリジナルを観た方が良いと思うなあ。 装置を作ってエリオットと一晩森で過ごし、どこかに消えてしまうE.T.の謎。特別編でバスタブに入るシーンが追加?されてるらしい(オリジナルではどうだったっけ?)けど、ここにヒントがあると思いました。 E.T.にとって水に浸かることは、一種の治療なんじゃないかな?地球の大気で体調を崩したE.T.は、治療のために水場を探し、浅い川を見つけて力尽きます。水では治らない病気(感染症だろう)だったんだろうね。 E.T.を治療する科学者たち。治療をしつつ、E.T.の言葉をマイクで録ってるのがリアル。一方で「少年は助かります。でもE.T.は絶望的です」科学者の女性の声だけど、宇宙人のことを、子供が名付けた“E.T.”って呼ぶところに、凄い思いやりを感じました。彼らは悪い人たちではない。でも宇宙服で家を取り囲んで、ママたちを怖がらせたのは、ハロウィンのジョークにしては、やりすぎだぞ。 一度死んで生き返る謎。地球に戻った母船から遠隔で治療を受けた。ってことになると思います。それか少年の…愛? 嘘だろ?リアリティ無いぞって思った。E.T.をトラクタービームで引っ張る技術もない宇宙人なのに。 でも近年の『置くだけで充電できるiPhone』の技術に、遠隔でエネルギーを送るくらいは出来そうだなって思うようになったわ。 そういやE.T.胸とか指が光るもんな。E.T.って、純粋な生命体でなく、宇宙人が創った調査ロボット、生体端末なんじゃないかな。バッテリー切れで動かなくなって、母船からの遠隔充電で復活…なんて夢がないかな。 最初置いてけぼりにされるE.T.。森の中を走って逃げるけど、そういやあなた飛べるでしょ。子供の乗った自転車5台も飛ばしたでしょ。その能力で母船までビューンと飛べば…これも夢がないかな。 エリオットが愛称に“イーティー”を採用した謎だけど、もしかしたらE.T.が発音しやすい言葉だからかも?彼らはテレパシーで話すから、言葉はカタコト。イーティーは比較的言い易いから、エリオットにそう呼ぶようテレパシーで… 銃を無線機に変えてたのは気が付かなかったわ。ここは銃でいいと思う。これまで宇宙人と言えば地球を侵略しに来るのが定番なんだし、警官たちは『捕まえた宇宙人が生き返って逃げた!』って情報しか無いだろうから、街を守るために銃を構えるのは仕方ないことなんだ。E.T.は友好的な宇宙人の代表で、“侵略しない宇宙人映画”の歴史的ターニング・ポイント作品。宇宙人への古い考えの象徴として、銃のままが正解だと思うなぁ。 父親が出ていった家庭の、エリオット少年の成長物語。兄のオマケ的な存在だったエリオットが、仲間を率いてE.T.を逃がす。E.T.は友達であり、父親代わりでもあったと思う。『イコウ』と誘われるエリオットの心に、メキシコに行った父と、隠れて涙を流す母が浮かんだんでしょう。 ガーティの「ここにいたわ!宇宙人よ、ママが殺しちゃった」ここメッチャ可愛くて大好き。そして死にかけたE.T.に電気ショックを与えるのを見て泣き出すガーティ。子供が“死”とはどういう事かがわかった瞬間。スピルバーグの夢と現実のさじ加減が絶妙です。[DVD(字幕)] 7点(2023-09-09 11:22:54)《改行有》

20.  アメリ 《ネタバレ》 “Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain”『アメリ・プーランの素晴らしい運命』。 シアター・キノという小さな映画館があるんだけど、札幌ではそこで公開され、ロングランの大ヒット。ミニシアターといえば映画マニアがマニアックな映画を観るイメージがあるけど、アメリはその殻を破った作品。アメリは「この映画、もっと大きな劇場で上映してもウケるだろうに…」って思う作品ではなく、ミニシアターで観るからこそ、良い作品に出会えた感・私がこの映画を見つけたの!感が倍増する映画だったと思う。 例えるなら普段通らない路地裏で、ひっそりと営業してる個人経営のお菓子屋さんを見つけ、試しに買ってみたらめちゃくちゃ美味しかった!って気分? のっけから、いわば“あるあるネタ”の詰め合わせで、テンポよく紹介される“子供の頃こういう事したわ~”とか、両親の“(人に言うほどじゃないけど)嫌いなこと・好きなこと”は、共感出来るのもあれば、えぇ~?って思うのもあり。ここで共感できる率が高い人ほど、この映画好きなんじゃないかな? このOPで、観る人を一気に童心に返して、アメリの不思議な世界を楽しませようって、監督の作戦だと思うけど、どうだろう? お菓子で例えてしまったけど、幕の内弁当が近いかも?この映画にドンッ!とメインのおかずは無く、綺麗に小分けされたおかずが、それぞれ調和が取れていて美味しい感じ。割と大きなエピソードの“世界を旅するドワーフ人形”は、テレビで元ネタを観たことがあった(※検索したらアンビリバボーが出てきたけど、アメリ公開前に『世界まる見え』で観た記憶がある。)。もしかしたら“子供の頃の宝箱”や“証明写真の謎の男(このエピソードには一本取られた気分)”も、どこかに元になるエピソードがあるのかもしれない。 だからってこの映画の価値・アメリの魅力が下がるとは思わない。 アメリという人物の物語として、不思議な住人が住むモンマルトルの世界感として、しっかり調和が取れているからだろう。 忘れた頃に豆袋に手を突っ込み、忘れた頃に水切りの石を拾うアメリが、映画の世界観にしっかり引き戻してくれる。 この映画はコミュ症の女性が、自分の存在を知られずに相手を幸せにしていき、最後は勇気を出して自分を幸せにする物語。[映画館(字幕)] 8点(2023-09-05 14:47:36)《改行有》

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