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もらとりあむタマ子 - 目隠シストさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 もらとりあむタマ子
レビュワー 目隠シストさん
点数 7点
投稿日時 2014-12-30 18:59:00
変更日時 2014-12-30 19:17:18
レビュー内容
就職しなくちゃいけない。でも社会に出る覚悟もない。こんな時、ダメ人間が取る行動は決まっています。とりあえず寝ます。漫画を読みます。TVゲームをします。要するに現実から逃げるんです。選択の回避=自己責任の放棄。私も正真正銘のダメ人間気質ですので、その思考は痛いほど分かります。それがモラトリアムの真相。学生時代は社会的に容認された執行猶予期間と言えますが、卒業後も続けるのはご法度です。というか、物理的に無理なのです。通常は。世間体が、親が、そして何よりお財布が、許しません。そういう意味ではタマ子がモラトリアムを延長出来たのは、恵まれた生活環境にであったからに他なりません。実家住まいで3食昼寝マンガ付き。もちろん家事なんか手伝いません。それが許容されるのは、財政的ゆとりは勿論、父親がタマ子を子供扱いしていた証拠。そう、紛れもなくタマ子はガキでした。メンタル的には写真屋倅と同レベル(だから話が合う)。図体のでかい中坊でした。ラスト、父から家から出ろと言われ「合格」と返すタマ子。何生意気言ってるんだ?という話です。アイツは東京の母親の元へ逃げますよ。間違いなく。そこで“とりあえずの今”を続けるつもり。もっとも男親より女親の方が娘には厳しいもの。果てさて、何時までこの生活が続くことやら。真夏の棒アイスが溶けるのと、実は結構切羽詰った現状に気づくのと、一体どちらが早いでしょうか……。主人公は冴えない無職女子。少なくとも芸能界デビューの夢なんて無理に決まってるでしょ、と思わせる地味なキャラでなくては務まりません。これは意外と難役でした。当たり前ですが、映画女優全員がデビューを勝ち取った“選ばれし者”だからです。特に主演女優はそう。例えば北川景子、石原さとみ、橋本愛。彼女らにタマ子役は無理です。スターのオーラは簡単には隠せません。現役主演女優クラスでこの役にハマるのは黒木華くらいのもの。輝きを消してなお、(必要な)存在感は消さない。女優のお仕事でした。前田敦子にとっては大変な挑戦だった気がします。彼女が進むべき道が、明確になった一作だったと思います。
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