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シャンドライの恋 - かたゆきさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 シャンドライの恋
レビュワー かたゆきさん
点数 9点
投稿日時 2014-04-17 18:41:25
変更日時 2014-04-19 19:57:23
レビュー内容
政情不安にゆれるアフリカの何処かの貧しい国。反政府活動を疑われた夫が理不尽にも投獄されて独りぼっちになってしまった若く美しい人妻シャンドライは、身の安全を図るため難民としてローマへと移り住むことに。親戚が遺した遺産で悠々自適の生活を送るピアニストのキンスキーのアパートで、投獄された夫のことを気遣いながらも、シャンドライは看護婦を目指して新たな生活を始めるのだった。そんなある日、突然大家のキンスキーから愛の告白をされる。あまりにも違うお互いの境遇に、最初は反発を覚えたシャンドライだったが、彼の無垢な心と優しさに触れて次第に気持ちが揺れ動いてゆく…。映画監督としてノリにノッていたベルナルド・ベルトルッチが、ラスト・エンペラーやシェルタリング・スカイといった大作映画の後に、良い意味で肩の力を抜いて撮っただろう、小品ながらも愛すべき作品でした。まるで絵画のように美しいローマの街並みを背景に紡がれる、極端なまでに無駄を削ぎ落としたシンプルでありながら深いストーリー、全編を彩る情熱的なのにあくまで上品で静謐な音楽の数々…、もうベルトルッチの素晴らしい才気が画面の端々に漲っています。そして、何より魅力的なのは主人公のシャンドライ。きれいで可憐な容姿にもかかわらず、胸には熱い情熱を秘めた彼女の魅力に最後まで惹き付けられました(僕がいままで見てきた黒人女性の中では一番と言っても過言じゃないくらい、笑顔がかわいかったっす笑)。そんな彼女の心に芽生えた小さな恋心が徐々に高ぶり、最後は官能的でとても美しいラストシーンへと導かれていく、その丁寧でスリリングな心理描写はもうさすがの一言。最後、シャンドライがあのドアを開けるのかどうか、それを明示しないまま終わるのも印象的な良い余韻を残してくれます。小品ではあるけれど、久し振りに「ああ、良い映画観たなぁ…」と心から思える作品に出会えました。お薦めっす。
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