45.フランキー堺の魅力が詰まった傑作。駄作も多い川島雄三の最高傑作にして日本映画史に残るコメディ映画だ。なによりも脚本が優れている。群像劇のお手本にするべき。いくつかの落語から話を持ってきたからか、演出もどこか落語っぽい。名人の演じる落語を聞いている時の脳内映像を映画化したらきっとこんな感じなんだろう。初期の日本映画は落語からの影響が強かったが、もう落語から教わることはないと言わんばかりのクオリティの高さ。幻のラストシーンが実現していたら伝説の一本になったに違いない。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-02-25 14:32:39) (良:2票) |
44.ご存知名作古典落語「居残り佐平次」をベースにしたグランドホテル形式の傑作。「居残り・・・」の他にも「三枚起請」「五人廻し」など有名な廓話が散りばめられていて楽しい。当時の日本映画の中では稀に見る湿気の少ない作品。筋金入りの近代人である佐平次が様々な人間模様が繰り広げられる品川遊郭「相模屋」のど真ん中を全てを巻き込みながら疾走する。自らの才覚で如才なく時にはごう胆に立ち回る佐平次の小気味好さに惚れ惚れとする。しかし、持病の薬を自ら調合する彼に一抹のペーソスが漂わぬわけではない。常に抜け目なく快走していた彼もラスト近くで野暮な土着の化身である様な杢兵衛に追及され脅されしどろもどろになってしまう。中途半端で浮き草である様な近代は大地に根をしっかり下ろした土着に脅されて自らの脆弱さを露呈してしまう。きっと川島自身も手強く湿気を多分に含んだ土着が鬱陶しかったのだろう。佐平次はその湿気と鬱陶しさを振り切るように走り去ってゆく。現代を生きる我々も性懲りも無く土着から逃亡を続けている。なんちってー。理屈抜きに楽しめる映画です。 因みに私はあのフランキーの着物の着方を未だマスター出来ずに居ます。 【水島寒月】さん 9点(2004-04-30 09:37:16) (良:2票) |
43.左平次を演じるフランキー堺の独壇場。歩くカタチのさまになり具合ったらない。製作された1957年といえば、ラジオの時代。近所に寄席がなくても、落語は毎日のように放送されていたのだろう。そういう、ラジオで流されるいろいろな噺を知らず知らずのうちに覚えていた時代だからこの映画は成り立った。落語好きの私は大変面白く観ることができたし、脚本は傑作と自信を持っていえる(落語の噺の組み合わせの妙だけでなく、江戸の華の、火事と喧嘩の場面がちゃんとはいっているところがニクイ)のだが、古典落語を聴かない人がこれを果たして面白く観られるのかどうか、また、使われている言葉を全部聞き取れるのかどうか、はなはだ心もとない。私としては、古典落語を知らない人で、この映画を観たい人は、下敷きになっている落語を先に図書館のCDなどで予め聴いてみる事を勧めたい。私が認識できたネタについて、【エピソード・小ネタ情報】に記すので参照されたい。 【南浦和で笑う三波】さん 7点(2004-04-28 16:02:57) (良:2票) |
42.石原裕次郎特集の一編としてダメな映画ばかりに挟まれての鑑賞(通算3度目)だったので、余計に面白く見ら れました。と・に・か・く、この時代の日活産のプログラムピクチャーのタグイといったら、脚本からしてどうにもデタラメな映画ばっかりで、今回の特集でも『陽のあたる坂道』と『赤いハンカチ』を除いたら見るんじゃなかったってなものがだいたいだ。そこへいくと同じ日活でも、川島雄三の、いや、日本映画の最高傑作のひとつと言ってもいいこの珍妙な時代劇は、なにより、出てくる俳優がみなイキイキとしていて誰ひとりとして素晴らしい。南田洋子も岡田真澄も芦川いづみも、二谷英明ですら(笑)、それぞれがそれぞれの代表作とも言えるくらいに。裕次郎だっていつものような当たり前のようにあてがわれた主役ではなく、大勢の登場人物のうちのひとりに甘んじている(?)にもかかわらず、すこぶるカッコイイのだ。言うまでもなく、豪奢な二階建旅館を建築した美術班をはじめ、スタッフ陣も揃っていい仕事をしている(黛敏郎の音楽もおっもしろいぞ~)。岡本喜八を“人徳の監督”と評したのは誰あろうぼくだけど(笑)、川島もそんな周りの優れたスタッフや俳優たちに恵まれ、慕われた監督だったのだ。同じ川島作品なら『青べか物語』『女であること』同様、これからも映画館でかかるたびに足を運ぶことになるだろう。なお点数は、有名な逸話→会社側の反対で結末が思惑通りにならなかった、の無念さを考慮して1点マイナス、ということで。 【茶蟻】さん 9点(2003-07-18 23:27:23) (良:2票) |
41.細々言ったらきりがないね。したたかに(ああ陳腐な表現だ)生きる花街の女たちと翻弄される男。無責任な理想に燃える志士たち。そして死を見据えながらも覚悟できず(女は絶つ、クスリの調合には一生懸命)おのが命にすがる佐平次。それぞれ身勝手に生きる人間たち。ラストの鐘の音が象徴するように、人はいつかは死ぬ。どんどん時代は過ぎていく。それでも確かに一瞬、心と心がふれあう一瞬というものはある。それを象徴するのは「壊れた時計」。ラスト、地獄さ落ちるぞ~ゴーン(鐘の音)いや、わかってます。いつかは死ぬんです。だから好きに生きてもいいんです。この映画が教えてくれました。 【飼育委員】さん 10点(2003-04-03 01:18:58) (良:2票) |
40.「10年後にはどうなっているか分からない」日本、つきまとう明日への不安の中でも明るく生きる人々。夜空の星がどうして輝いているのか、それは太陽に照らされているから。そう、星は一人では輝けないのだ。じゃぁ、太陽は誰に照らされているのだろうか・・・? テンポよく退屈する暇など全くない楽しい映画だが、その雰囲気はどこか寂しげ。 【紅蓮天国】さん 8点(2003-11-16 13:36:18) (良:1票) |
39.日本映画の最高傑作とまで断言してしまおう。とにかく面白い。面白いんだけど、喜劇にしてはどこか物寂しい空気が作品全体に漂っていて、観客のあいだから「爆笑」はおこらなかったように記憶してます。「引き」の画が多いせいかもしれませんね。 【じゅんのすけ】さん 10点(2003-06-17 20:00:14) (良:1票) |
38.「こちとら、てめえひとりの了簡で生き抜いてきた男だ。首が飛んでも動いてみせまさあ。」という、主人公の台詞(たぶん、映画のオリジナルではない)があるが、この映画の雰囲気を見事に言い当てていると思う。『貸し間あり』や『特急にっぽん』など川島雄三作品の主人公を数多く演じたフランキー堺は、本作でもそうだが、全くじっとしていない。いつも落ちつきなく、ちょこまかちょこまかよく動く。まるで、立ち止まってしまうと二度と動けなくなるかのように。 【なるせたろう】さん 10点(2003-01-06 19:34:55) (良:1票) |
37.初見は傑作と思ったが、時間がたつにつれて、評価が目減りした作品。フランキー堺の魅力は変わらないが、落語をモチーフにした「タイガー&ドラゴン」と比べれば、ギャグセンスなど、古くなっているのは仕方ないか。確か、立川談志は評価していなかったと思う。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2018-12-20 13:35:55) |
36. 初めて観たときは時代劇の傑作!と思ったが、二度三度と観るうち、お調子者の主人公に対する反感とともに、映画で落語を観てもしゃあないという気分が強まった。 生き生きとした人物描写で、俳優陣も演出に応え好演。江戸時代の風俗に命を吹き込ませ、小物ひとつにもディテールが行き届き、細部にわたる演出の緻密さが際立つ。遊郭を俯瞰する構図も見事。 異人館の焼き打ち等、幕末の世相を反映しつつ、攘夷を語る長州侍に対する皮肉も込められる。惜しむらくは、落語調の演出が過ぎること。 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-22 11:21:59) |
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35.こりゃあ~参りました。 お見それいたしやした。 つくづく面白いお話しで。 評判どおりの名作、フランキー境さんの名演を観られて嬉しい。 こはるの南田洋子さん、おそめの左幸子さんも素晴らしい。 落語「居残り佐平治」を聞いてみたくなりました。 【たんぽぽ】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2018-06-20 09:31:15) |
34.古臭くて慌ただしい時代劇コメディですが、面の皮の分厚い主人公、マルチで超ポジティブなフランキー堺が超楽しい。イケメンではないのに思わず見とれてしまいます。共演者も「時代背景や製作者の意図を考慮してそのまま放映された不適切な表現」を吹き飛ばすくらい活き活きしており、嫌みのない中味もユーモアたっぷりです。「主人公が墓場のセットのスタジオを突き抜けて現代の街並みをどこまでも走り去っていく」とかいう幻のラストシーンの方を見てみたかったのですが・・・ 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2018-04-10 23:57:12) |
33.品川宿で何が起こっているのか、誰かが何をしようとしているのか、最初から最後までさっぱりわかりませんでした。ここまで興味をそそらない作品も珍しい。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 2点(2017-02-01 22:20:26) |
32.あんまり誰もいわないみたいなので言いますが、この名作のために、落語「居残り佐平次」だけはどうしても予習として押さえほしいんだ。面白さ40%増し。ぜひYoutubeでどうぞ。ワタシは、志ん朝押しです。フランキー堺の神がかり演技。誰にもまねできない。だからリメイクはあり得ないと思いますが、もしやるなら佐平次は山崎弘也(ザキヤマ)で見てみたい。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-09-12 08:22:32) |
31.○日本軽佻派を自称する川島雄三の傑作。けれども軽佻浮薄なニンゲンにこういう映画は撮れっこない。 監督の演出に10点。フランキー堺の神がかり的演技に10点。遊郭のセットに命を与えたすべての脇役陣(石原裕次郎を含む)に10点。合計30点を献上。 ○居残り佐平次が「相模屋」から逃走するのは、佐平次自身も気づいていないが、目の前に迫っている死を迎える場所を探すためである。 従って、最後の場面はこのほうがいい。幻のラストシーン(昭和32年の品川を走り去る佐平次)など不要である。 ○「地獄も極楽もあるもんけぇ。俺ぁまだまだ生きるんでぇ。」の捨てゼリフは、生老病死を宿命とする全人類に共通する呪文。この呪文だけでも10点。 【火蛾】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-05-11 00:12:24) |
30.名作の誉れ高い作品ですが、意外と面白くないというのが率直な感想です。せめて最後の場面は川島監督の構想通りであったなら印象がまた違ったのかもしれません。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 4点(2014-06-07 21:15:42) |
29.フランキー堺ってこんなすごい役者だったんだ。このテンポの良さが邦画っぽくなく、なんだか昔のハリウッド映画を観ているような気分になった。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-09-22 00:50:16) |
28.古典落語「居残り左平次」は内容を知ることがなく、「品川心中」「三枚起請」なども知らなかった。 序盤からいろいろな人物が入り乱れて混乱、早口すぎるセリフも半分ほどしか聞き取れずにイライラしながら見ていると、中盤からやっとフランキー堺の芸が分かってきて面白くなってきた。 最後まで落ち着くことのないドタバタ劇という印象。 あらかじめ知識があったり、時代劇が好きな人なら入り込めると思うが、素人の人はこれを喜劇映画の傑作だと思って期待しすぎず鑑賞することをおすすめしたい。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-04-30 19:40:15) |
27.遅ればせながらデジタル修復版の存在を知り、初鑑賞。 川島雄三監督も初鑑賞。 軽快な喜劇でありながら、役者も美術も実に豪華。 正直、一度では人物関係が理解しきれなかったのだが、2回目でますます面白く、絵の端っこまで発見があった。舞台は今で言う飲食店でもあるので、食器の小道具や、役者たちの物の食べ方、飲み方、タバコの吸い方を見ていると、江戸時代はこんな生活だったのだろうという、ドキュメンタリー的なリアリティを感じる。 客室、台所、階段、桟橋などこの遊郭の美術空間が実に面白い。 海のそばで、御殿山の近くという地理も面白い。(googlemapで調べたら今はコンビニのあるビルであり、当時の面影もない) 昔の日活といえば、荒唐無稽なアクションや軽薄な青春映画というイメージを勝手に持っていた自分が恥ずかしい。巨匠は黒澤・溝口・小津ばかりではなかったのである。 こんな密度の映画が、山のように作られていた時代が今や信じがたい。 去年、デジタル修復版の上映が終わってからネットでこの映画の存在を知ったのだが、こういうリバイバルはどんどんやるべきだ。 自分は劇場で観られなくて残念だったが、日活の宣伝サイトのカラフルなイメージを観て、ものすごく観たくなった。懐古的ではなくまるで新作であるかのようなうまい宣伝だ。(フランキー堺ではなく、女優を全面に出したイメージもずるいけどうまい) 古い映画には今の映画には失われたものがある。今の時代に無いということは、今の時代に新鮮なものがあるということだ。こういう切り口で昔の傑作をどんどんリバイバルしてほしい。 創立00周年やら、生誕00周年といったイベントではなく、定期的にこういうリバイバルをやっていれば、きっと映画館はもっと面白くなるはずだ。 【どっぐす】さん [インターネット(字幕)] 8点(2013-02-13 00:19:44) |
26.登場人物が多く最初の方はごちゃごちゃして落ち着かなくせわしない感じだったが、中盤フランキー堺が活躍し始めて途端におもしろくなった。品川心中、三枚起請など落語の世界が映像化され痛快きわまると言ったところだし、さすがフランキー堺である。長州藩士も入っての大騒動になるかと思いきや、その方は・・・。石原小林の大スターを引っ張り出したのは良かったが、映画にちょっと溶け込んでいないような気がする。 ところで「起請文」といって今の若い人たちにはわかるのだろうか、ちと心配。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-12-02 07:05:27) |